JP3577147B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッド等の発熱体でマスタに穿孔画像の形成を行う孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
簡便な印刷装置として感熱デジタル製版式の孔版印刷装置が良く知られている。この孔版印刷装置は、微細な発熱素子が1列に並んだサーマルヘッドを感熱孔版用のマスタに接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラで搬送することで、マスタに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔形成させた後、この穿孔されたマスタを所定長さで切断するとともに版胴に巻装させ、インクローラでエマルジョンタイプのインクを版胴の内周面に供給しつつプレスローラによって用紙を版胴の外周面に押圧させることで版胴の開孔部及びマスタの穿孔部からインクを滲出させ、このインクを用紙に転移して印刷を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置において、用紙に転移したインクは水相と油相とが混ざり合ったエマルジョンのインクであり、このインクには水相が7割も存在している。この水相が、インク内の油相部(油+顔料+界面活性剤)の用紙内部への浸透を阻害して、用紙の表面にインクが盛り上がった状態になり、インクの乾燥に時間がかかり、次に排出された用紙の裏面にインクが転移する、所謂裏写り(印刷後の再転写)が発生するという問題が上述の技術にはある。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、インクを速やかに用紙に吸収させ、裏写りを防止できる孔版印刷装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、多孔性の版胴の外周面にマスタを巻装し、上記版胴の内周面からインクを供給し、上記マスタから滲み出させたインクを転写胴に押圧して一時転写し、上記転写胴上に転写したインクを圧胴で用紙に押圧して印刷を行う孔版印刷装置において、上記転写胴を加熱する加熱手段と、環境温度を検知する温度センサとを有し、上記加熱手段は上記温度センサからの環境温度情報に応じて加熱量を制御され、上記転写胴は上記版胴よりも小径であり、かつ、上記転写胴の表面が無端状のシームレスであり、上記版胴に対する上記転写胴の押圧力を、上記転写胴に対する上記圧胴の押圧力よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置の製版装置において、上記加熱手段は上記転写胴の全体を加熱することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、上記加熱手段は上記転写胴の内部に設けられたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の孔版印刷装置において、上記インクはエマルジョンのインクであることを特徴とする。
【0011】
ここに、圧胴には、版胴よりも小径の所謂プレスローラも含まれる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の第1の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示す孔版印刷装置は、符号1で示す版胴と、この版胴1の右上方に配設された製版書込み装置3と、版胴1の下方近傍に配設された転写胴91と、転写胴91の右方に配置された加熱手段98と、転写胴91の下方近傍に配設された圧胴94と、圧胴94の右方に配設された給紙装置47と、版胴1の左上方に配設された排版装置62と、圧胴94の左方に配設された排紙装置56と、版胴1の上方に配設された原稿読取部88とを具備している。
【0013】
版胴1は、内周面を形成する多孔性で円筒状の支持体層と、その外周面に巻装されたスクリーン層とを有し、回転可能に支持されていて、図示しないモータにより回転される。版胴1の外周面にはマスタ8の先端部をクランプするクランパ2が設けられている。クランパ2は軸2aによって、版胴1の外周面に枢着され、図示しない開閉手段により駆動力を伝達されて、回転自在となっている。版胴1の内部には版胴1の内周面にインキを供給する図示しない周知のインク供給手段が配置されている。
【0014】
製版書込み装置3は、ロール状に巻かれたマスタ8を繰り出し自在に支持するマスタ保持手段9と、マスタ8を繰り出す繰り出しローラ11、12と、ロール状のマスタ8からマスタ8を剥離するマスタ剥離爪20と、マスタ8に対して溶融穿孔を行う、サーマルヘッド22とプラテンローラ23とから主になる製版手段と、プラテンローラ23の下流側に配置され、マスタ8を切断する可動刃24と固定刃25とを備えた切断手段と、切断手段のマスタ8の搬送方向下流側に配置された送り出しローラ26、27とから主に構成されている。
【0015】
マスタ保持手段9は、ロール状のマスタ8の位置決めやロール状のマスタ8にバックテンションを与えるための保持部19を備えている。保持部19には、マスタ8を繰り出す繰り出しローラ11、12が配置されている。繰り出しローラ11、12は、マスタの繰り出しを安定させるために、その形状を団子状に形成されている。
【0016】
マスタ剥離爪20は支持部材21に固定されていて、弾性体により形成されていて、その形状はマスタロールの先端部から剥離できるようにその中央先端を凸型にし、さらにその先端部をマスタロール側に湾曲させたものが良い。
【0017】
サーマルヘッド22は、製版書込み装置3の側板に取り付けられており、図示しない接離機構によってプラテンローラ23に対してマスタ8を介して接離自在となっている。サーマルヘッド22は、原稿読取部88からの画像信号に基づきマスタ8を選択的に加熱溶融し穿孔する周知の機能を有する。プラテンローラ23は、製版書込み装置3の側板に回転自在に支持されており、図示しない駆動手段で回転駆動され、マスタ8をサーマルヘッド22に押圧しつつ下流側へと搬送する。
【0018】
可動刃24は図示しない移動機構により、固定刃25に対して回転移動しマスタ8を切断する。
送り出しローラ26、27は、製版手段で穿孔製版されたマスタ8を版胴1のクランプ手段へ向けて搬送する。送り出しローラ26、27は、製版書込み装置3の側板に回転自在に支持されていて、送り出しローラ26は、図示しない駆動手段で回転駆動され、送り出しローラ27は送り出しローラ26に連れ回りする。送り出しローラ26、27のさらに下流側の製版書込み装置3の側板には、マスタ8をクランパ2へ案内するガイド板28が配置されている。
【0019】
給紙装置47は、給紙トレイ48、呼出しコロ50、給紙コロ49a、49b、フィードコロ51a、51b、搬送ガイド板52、53、分離板80、用紙センサ81、給紙モータ(不図示)等から主に構成されている。
給紙トレイ48は、その上に用紙Pを積載され、給紙装置本体47aに上下動自在に支持されている。給紙トレイ48は、用紙Pの増減と連動して上下動される。分離板80はスプリング(不図示)で給紙コロ49aに接触して配置されていて、用紙Pが複数枚呼び出された時に上の用紙Pのみの搬送を許容し、下の用紙Pの搬送を阻害する。
【0020】
呼出しコロ50と給紙コロ49aとは、最上位の用紙Pと当接するように設けられており、給紙コロ49aは駆動モータで回転駆動される。給紙コロ49bは図示しないオーバーランニングクラッチによって、時計回り方向には回転しないようになっているので、呼び出された用紙Pを分離(2枚呼び出されたときに下の用紙Pにブレーキをかける)して、1枚だけを搬送ガイド板53を介して、フィードコロ51a、51bに給送する。
【0021】
呼出しコロ50と給紙コロ49aとは、図示しないベルトによって連結されていて、同一方向に同一速度で回転される。給紙コロ49a、49bの用紙搬送方向下流側には、フィードコロ51a、51bが配設されている。フィードコロ51aは給紙モータの駆動を不図示のベルトによって伝達され回転駆動される。一方フィードコロ51bは、不図示のカムの動作によって、版胴1の回転に同期して、用紙搬送に必要なときだけ、フィードコロ51aに接触する。フィードコロ51a、51bによって搬送された用紙Pの先端は、タイミングをとって版胴1の外周面と圧胴94との間に搬送される。なお、ガイド板52、53は孔版印刷装置本体の側板に固着されており、用紙Pの給紙をガイドする。
【0022】
版胴1の下方近傍には、マスタ8の穿孔部から滲み出させたインクを押圧して一時転写する版胴1と略同径の転写胴91が配置されている。転写胴91には、クランパ2とぶつからないように凹部91aが形成されている。転写胴91の少なくともマスタ8からインクが転写される部分には、ゴムや樹脂などからなるシート(不図示)が巻かれている。このシートとしては、本例においてオフセット印刷機のブランケットに用いるニトリルゴムが使用されている。転写胴91は版胴1と同期した所定のタイミング及び所定の押圧力もって回転する。
【0023】
転写胴91に一時転写されたインクが全て用紙Pに転写されると転写胴91上にはインクが付着していないが、転写胴91の表面性と用紙Pの表面状態によっては、インクが転写胴91上に残ってしまうことになる。そこで、本実施例では、転写胴91のインクを除去してクリーニングするクリーニング手段92が設けられている。クリーニング手段92は、転写胴91に接触して配置され、転写胴91上のインクを吸い取るクリーニングローラ93を有する。クリーニングローラ93は例えば、インク吸収性の多孔質のゴムにより構成されている。なお、クリーニングローラ93の表面にインク吸収性の布(フェルト)を順次送ることによって、インクを吸い取ってもよい。
【0024】
加熱手段98は、転写胴91に対向して配置され、熱源98aと熱源98aからの熱を転写胴91の表面の一部に集光する反射板98bとから構成されていて、転写胴91に一時転写されたインクから水相を蒸発させる。熱源98aとしては、例えば、発熱管(ハロゲンランプ)が用いられている。熱源98aには、図2に示すように、その加熱量を制御する加熱制御板97が接続されている。加熱制御板97は、その要部をROM,RAM,CPU等から成るマイクロコンピュータで構成されており、制御板I/Oポート96を介して環境温度を検知する温度センサ89を接続されている。
【0025】
加熱制御板97は、温度センサ89からの環境温度情報に基づいて、加熱手段98の加熱量を変化させる。即ち、環境温度が低い場合でも、インクから所定量の水分を取り除くように加熱量を補正する。また、ユーザーが印刷物の状態を確認しながら加熱手段98による加熱量を調整するために不図示の温度調整SWが操作部に設けられている。加熱手段98による加熱量は、PWM(パルス幅)等により制御される、即ち通電時間で制御でされる。このように本例では転写胴91の表面の一部を加熱するので、少ない加熱エネルギーでインクを加熱できる。
【0026】
孔版印刷装置に用いられるインク100は、図3に示すように水相101と、油相102とが混ざっているエマルジョンタイプのものであり、その割合は、例えば7対3に設定されている。油相102は、油と顔料と界面活性剤などからなる。
【0027】
転写胴91の下方近傍には、転写胴91の外周面に一時転写したインクを給紙装置47から搬送された用紙Pに押圧して印刷する圧胴94が配設されている。圧胴94は孔版印刷装置本体の側板に搖動自在に支持された図示しない支軸に固着されていて、図示しない搖動手段で搖動されることにより、用紙Pを介して転写胴91と接したり、離れたりする。圧胴94は、転写胴91上のインクを所定の押圧力で押圧しつつ版胴1と同期して回転する。版胴1に対する転写胴91の押圧力は、転写胴91に対する圧胴94の押圧力よりも小さく設定されている。このことは、マスタ8の穿孔に忠実な大きさのインクを転写胴91に一時転写でき、さらに用紙Pの内部にインクを浸透させるのに役立つ。
【0028】
圧胴94には用紙Pの先端をくわえる為のクワエ爪(図示していない)が設けられている。このくわえ爪は、オフセット印刷機などに用いられているものと同機構であり、くわえ角度に圧胴94が回転したときに拡開し、用紙Pの先端をくわえ、さらに圧胴94が所定の角度回転したときに、用紙Pの先端を開放する。
【0029】
排紙装置56は、ガイド板95、従動ローラ57、駆動ローラ58、ベルト59、ファン60、排紙トレイ61等から主に構成されている。
従動ローラ57と駆動ローラ58とは排紙装置本体56aの側板に回転自在に支持されており、各ローラ間には、表面に複数の開孔を有するベルト59が掛け渡されている。駆動ローラ58は図示しない駆動手段で回転駆動され、この回転力はベルト59を介して従動ローラ57に伝達される。各ローラ57、58の間の下部には、ファン60が配設されている。ファン60は、その回転により図において下向きの空気流を発生させ、ベルト59の表面に用紙Pを吸引する。駆動ローラ58の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを積載する排紙トレイ61が排紙装置本体56aと一体的に設けられている。
【0030】
排版装置62は、上部排版部材63、下部排版部材64、排版ボックス65、圧縮板66等から主に構成されている。
上部排版部材63は、図示しない駆動手段で回転駆動される駆動ローラ67と従動ローラ68、及び各ローラ間に掛け渡されたゴムベルト69から構成されている。下部排版部材64は、駆動ローラ67と図示しないギヤによって連結された駆動ローラ70と従動ローラ71、及び各ローラ間に掛け渡されたゴムベルト72から構成されている。また、下部排版部材64は、駆動ローラ67の中心軸を中心に左右方向に移動自在となっており、図示しない移動手段で移動される。下部排版部材64の移動により、駆動ローラ70の外周面は版胴1の外周面と接離自在となっている。排版ボックス65は、排版装置62本体に対して着脱自在に設けられている。排版ボックス65の上方には、図示しない昇降手段によって上下動される圧縮板66が配設されている。
【0031】
次に、この孔版印刷装置の動作について説明する。
オペレーターが製版スタートボタンを押すと、先ず排版装置62では、前版のマスタ8の排版が行われる。外周面に前版のマスタ8を巻装している版胴1は、版胴1のモータにより反時計回り方向に回転を開始する。そして版胴1が、その外周面に巻装した前版のマスタ8の後端が駆動ローラ70と対向する所定の排版位置に到達すると、図示しない駆動手段と移動手段とが作動し、駆動ローラ70を回転させると共に下部排版部材64を版胴1側に移動させる。
【0032】
駆動ローラ70の外周面が版胴1の外周面に当接したとき、版胴1は反時計回り方向に回転し続けており、駆動ローラ70は、マスタ8の後端をすくい上げる。すくい上げられたマスタ8は、下部排版部材64と上部排版部材63とで挟持され、版胴1の外周面より剥離される。剥離されたマスタ8は下部排版部材64と上部排版部材63とで搬送され、排版ボックス65の内部に廃棄された後、圧縮板66によって圧縮される。
【0033】
版胴1の外周面より前版のマスタ8が全て剥離されると、版胴1はさらに回転し、クランパ2がガイド板28の近傍に位置する給版位置で停止する。版胴1が給版位置に停止すると、図示しない開閉手段が作動してクランパ2を時計回り方向に回動させ、給版待機状態となり、排版動作が完了する。
【0034】
上記の排版動作の開始後まもなく以下の如く製版動作が行われる。
原稿読取部88にて、原稿の表面に光が照射されて、原稿の画像の読み取りが行われる。そして、光電変換された電気信号が図示しない画像処理回路に入力される。原稿の画像の読み取りと並行して、画像処理回路において処理された後に送出されるデジタル画像信号に応じて、サーマルヘッド22に設けられた複数の発熱素子が選択的に発熱すると共に、プラテンローラ23、送り出しローラ26、27がそれぞれ図示しない駆動手段で回転駆動される。マスタ8は、繰り出しローラ11、12の回転により繰り出され、マスタ剥離爪20によりマスタロールから剥離され、プラテンローラ23で搬送されつつ、サーマルヘッド22で溶融穿孔されて送り出しローラ26、27で版胴1の外周面へ向けて搬送される。
【0035】
製版書込み装置3で溶融穿孔されたマスタ8は、プラテンローラ23、送り出しローラ26、27の回転により搬送され、マスタ8の先端部が、給版待機状態で拡開しているクランパ2に送出される。製版済みのマスタ8が所定長さ搬送され、その先端部がクランパ2に届くと、クランパ2が図示しない開閉手段により閉じられる。このクランプ動作と同時に版胴1が時計回り方向に回転され、版胴1の外周面にマスタ8が巻装されていく。
【0036】
版胴1の外周面にマスタ8が所定長さ巻装されると、版胴1、送り出しローラ26、27、プラテンローラ23の回転が停止する。この停止動作と同時に、可動刃24が図示しない移動機構によって移動され、マスタ8が固定刃25との間で切断される。そして版胴1が再び時計回り方向に回転され、切断されたマスタ8の後端が、製版書込み装置3から抜き出され、版胴1の外周面に製版済のマスタ8が完全に巻き取られ、給版工程が終了する。
【0037】
給版工程終了後、転写胴91は所定の押圧力をもって版胴1に対してマスタ8を介して接触される。この状態で、版胴1と転写胴91とはそれぞれ所定の方向に回転駆動される。版胴1上のマスタ8は転写胴91で押圧されて、版胴1の内周面に供給されたインクが、マスタ8の穿孔部から滲み出し、転写胴91に一時転写される。
【0038】
ここで、加熱制御板97(図2参照)に温度センサ89からの環境温度情報が制御板I/Oポート96を介して入力される。加熱制御板97は環境温度情報に応じた時間だけ熱源98aに通電して加熱し、転写胴91の表面を加熱し、転写胴91の表面に一時転写されたインク画像のインクから所定量の水分を蒸発して取り除く。
【0039】
一方、給紙トレイ48上の用紙Pが、呼出しコロ50により給紙され、給紙コロ49a、49bの間で一枚ずつに分離されて給送される。その後、用紙Pは、ガイド板53に案内されて給送され、フィードコロ51a、51bによりタイミングをとられた後、ガイド板52に案内されて圧胴94のクワエ爪に向けて給送される。
【0040】
圧胴94は図示しない搖動手段により、用紙Pを介して転写胴91と接した位置に搖動され、所定の押圧力で用紙Pを押圧しつつ版胴1と同期して回転する。これにより、転写胴91上に一時転写し、所定量の水分を蒸発されたインク(好ましくは顔料と油の部分のみのインク)が用紙Pに押圧される。インクの中の顔料と油の部分が、水分に邪魔されることなく、用紙Pの内部に浸透されて印刷される。
【0041】
印刷済みの用紙Pは所定の位置にてクワエ爪が開放されることで、クワエ爪から離れてガイド板95に沿ってベルト59上に排出される。ベルト59上の印刷済みの用紙Pは、ファン60でベルト59上に吸引されつつ駆動ローラ58の回転によって搬送され、排紙トレイ61上に排出される。製版済みのマスタ8は、転写胴91の押圧によって版胴1の外周面に密着されて、版付工程が完了する。
【0042】
その後、印刷枚数等の印刷条件を設定した後に印刷開始スイッチを押すことにより、モータによって版胴1が回転駆動され、用紙Pが連続して給送されて印刷が行われる。用紙Pに印刷された後、転写胴91の上に残ったインクはクリーニングローラ93により吸い取られ除去される。
【0043】
図4に第2の実施例を示す。本実施例は、第1の実施例に対して、転写胴38の大きさを版胴1よりも小径にした点と、加熱手段198を転写胴38の内部に配置し転写胴38の全体を加熱する点とが相違する。なお本実施例の動作は第1の実施例のそれと同様なので省略する。
【0044】
転写胴38と版胴1とが同径でないために、版胴1上のマスタ8から滲み出させたインクを転写胴38に一時転写する際に、版胴1よりも小径の転写胴38では、転写胴38が1回転以上する場合があり、切れ目や継ぎ目があると画像に影響を及ぼすので、転写胴38の表面には、切れ目や継ぎ目のないシームレス加工が用いられている。また、版胴1から突出した構成のクランパ2(図1参照)があると、転写胴38にぶつかるので、クランパとしては、版胴1の表面に突出していない構成のものが採用されている。例えば、 特開平6−127107号公報、特開平6−127108号公報に示されているように、版胴の表面の継ぎ目にマスタを挟み込む方式などが有る。このように転写胴38を版胴1よりも小径とすると、装置の軽量コンパクト化になる。
【0045】
加熱手段198としては、例えば熱線、発熱管(ハロゲンランプ)、遠赤外線発熱体等が用いられる。加熱手段198を転写胴38の内部に配置することにより、転写胴38の表面を均一に加熱でき、転写胴38上に転写したインクを均一に加熱できる。
なお各実施例において、インク100としてエマルジョンタイプのものについて説明したが、水性インクや油性インクを用いても勿論かまわない。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、加熱手段が転写胴の上に一時転写されたインクから所定量の水分を蒸発させ、その後用紙に印刷されるので、用紙内部にインクが浸透し易くなり裏写りを防止できる。
また、請求項1記載の発明によれば、版胴に対する転写胴の押圧力を転写胴に対する圧胴の押圧力よりも小さくしたので、マスタの穿孔に忠実な大きさのインクが転写胴に一時転写され、一時転写されたインクが用紙の内部に浸透して、にじみの少ない印刷画像を得ることができる。
また、請求項1記載の発明は、転写胴を版胴よりも小径としたので、軽量コンパクトになる。転写胴の表面を無端状のシームレスにしたので、転写胴に一時転写されるインクに切れ目や継ぎ目がなくなり、美しい画像が得られる。
【0047】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、加熱手段が転写胴の全体を加熱するので、転写胴の表面を均一に加熱でき、転写胴に一時転写したインクを均一に加熱できる。
【0048】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、加熱手段を転写胴の内部に配置するので、転写胴の表面を均一に加熱でき、転写胴上に転写したインクを均一に加熱できる。
【0049】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、加熱手段が環境温度に応じて加熱量を制御されるので、各環境温度に応じた最適の加熱量でインクが加熱される。
【0050】
請求項5記載の発明によれば、加熱手段が転写胴の上に一時転写されたエマルジョンのインクから所定量の水分を蒸発させ、その後用紙に印刷されるので、用紙内部にインクが浸透し易くなり裏写りを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を採用した孔版印刷装置の概略側面図である。
【図2】図1に示す孔版印刷装置の加熱手段の制御ブロック図である
【図3】孔版印刷装置に用いられるインクの概略構造図である。
【図4】本発明の第2の実施例を採用した孔版印刷装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 版胴
3 製版書込み装置
8 マスタ
P 用紙
11、12 送り出しローラ
20 マスタ剥離爪
22 サーマルヘッド
23 プラテンローラ
26、27 送り出しローラ
38、91 転写胴
47 給紙装置
56 排紙装置
62 排版装置
88 原稿読取部
89 温度センサ
94 圧胴
97 加熱制御板
98、198 加熱手段
Claims (4)
- 多孔性の版胴の外周面にマスタを巻装し、上記版胴の内周面からインクを供給し、上記マスタから滲み出させたインクを転写胴に押圧して一時転写し、上記転写胴上に転写したインクを圧胴で用紙に押圧して印刷を行う孔版印刷装置において、
上記転写胴を加熱する加熱手段と、
環境温度を検知する温度センサとを有し、
上記加熱手段は上記温度センサからの環境温度情報に応じて加熱量を制御され、
上記転写胴は上記版胴よりも小径であり、かつ、上記転写胴の表面が無端状のシームレスであり、
上記版胴に対する上記転写胴の押圧力を、上記転写胴に対する上記圧胴の押圧力よりも小さく設定されていることを特徴とする孔版印刷装置。 - 上記加熱手段は上記転写胴の全体を加熱することを特徴とする請求項1記載の孔版印刷装置。
- 上記加熱手段は上記転写胴の内部に設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の孔版印刷装置。
- 上記インクはエマルジョンのインクであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の孔版印刷装置。
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JPH09142004A (ja) | 1997-06-03 |
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