JP3574555B2 - 重質油の流動接触分解方法 - Google Patents

重質油の流動接触分解方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重質油の接触分解方法に関し、詳しくは重質油からエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の軽質オレフィンを高収率で得るための流動接触分解(FCC)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の接触分解は、石油系炭化水素を触媒と接触させて分解し、主生成物としてのガソリンと、少量のLPGと分解軽油等を得、さらに触媒上に堆積した炭素質(コ−ク)を空気で燃焼除去して触媒を循環再使用するものである。
【0003】
しかしながら最近では、流動接触分解装置をガソリン製造装置としてではなく石油化学原料としての軽質オレフィン製造装置として利用していこうという動きがある。このような流動接触分解装置の利用法は、石油精製と石油化学工場が高度に結びついた精油所において特に経済的なメリットがある。また一方、環境問題への関心の高まりから、自動車ガソリン中のオレフィン、芳香族含有量の規制あるいは含酸素基材(MTBE等)添加の義務づけ等が施行され始めている。これによりFCCガソリン、接触改質ガソリンに替わる高オクタン価ガソリン基材としてアルキレート、MTBEの需要が増大することが予想される。従ってそれら基材の原料であるプロピレン、ブテンの増産が必要となる。
【0004】
重質油の流動接触分解により軽質オレフィンを製造する方法としては、例えば高温で反応を行う方法(米国特許第4,980,053号)等が挙げられる。
【0005】
しかしこれらの方法に共通する問題点として、反応帯域入口で原料油を加熱し、気化させるために、好ましい反応温度よりも高温の触媒を導入する必要があり、原料油が部分的に高温の触媒と接触して熱分解を併発してしまうこと、分解反応が吸熱反応であるため反応開始後温度が下がってしまうこと、高温での過酷度の高い反応であるため触媒上にコークが付着し、触媒が急激に劣化することなどがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重質油の分解率を上げ、軽質分の熱分解、過分解による水素ガス、メタンガス、エタンガス等のドライガスの発生を抑制し、さらにエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の軽質オレフィンを高収率で得ることのできる重質油の流動接触分解法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、高温における重質油の流動接触分解法において、重質成分の分解率を上げつつ熱分解の併発と、軽質分の過分解によるドライガスの発生を抑制し、軽質オレフィンを高収率で得ることを主眼に鋭意研究を行った。その結果、特定の触媒/油比、反応温度、接触時間を採用し、なおかつ触媒を反応帯域に対して多段階で導入して、反応帯域中の触媒活性および、温度を制御することによりその目的が達成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の重質油の流動接触分解法は、下向流型反応帯域、分離帯域、ストリッピング帯域および触媒再生帯域を具備する流動接触分解装置を用いて重質油を接触分解するにあたり、
▲1▼ 重質油を該反応帯域入口の原料油導入部に供給し、かつ該触媒再生帯域からの再生触媒の一部を該反応帯域入口の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させ、
更に該触媒再生帯域からの再生触媒の他の一部を、上記反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間に設けられた少なくとも一カ所の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させること、および
▲2▼ 該反応帯域における接触分解を、接触時間が0.1〜3.0秒、反応帯域出口部温度が530〜700℃、触媒/油比が10〜50wt/wtという条件下で行うことにより、
軽質オレフィンを製造することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様の重質油の流動接触分解法は、下向流型反応帯域、分離帯域、ストリッピング帯域および触媒再生帯域を具備する流動接触分解装置を用いて重質油を接触分解するにあたり、
▲1▼ 重質油を該反応帯域入口の原料油導入部に供給し、かつ該触媒再生帯域からの再生触媒の一部を該反応帯域入口の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させ、
更に該触媒再生帯域からの再生触媒の他の一部を、上記反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間に設けられた少なくとも一カ所の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させること、
▲2▼ 該反応帯域出口部直後にクエンチオイルあるいはクエンチガスを供給することにより、分解生成物、未反応物および触媒の混合物の温度を、反応帯域出口部温度に比べて1〜100℃低下させること、および
▲3▼ 該反応帯域における接触分解を、接触時間が0.1〜3.0秒、反応帯域出口部温度が530〜700℃、触媒/油比が10〜50wt/wtという条件下で行うことにより、
軽質オレフィンを製造することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0011】
本発明において、原料油として重質油が用いられる。重質油としては、減圧軽油、常圧残油、減圧残油および熱分解軽油、並びにこれらを水素化精製した重質油が例示できる。これらの重質油を単独で用いてもよいし、これら重質油の混合物あるいはこれら重質油に一部軽質油を混合したものも本発明でいう重質油に含まれる。
【0012】
本発明で使用する流動接触分解反応装置は、触媒再生帯域(再生塔)、下向流(ダウンフロー)形式反応帯域(反応塔)、分離帯域(分離器)およびストリッピング帯域を有する装置である。
【0013】
本発明でいう流動接触分解とは、前記した原料油を、流動状態に保持されている触媒と前記運転条件で連続的に接触させ、原料油を軽質オレフィンを主体とした軽質な炭化水素に分解することである。通常の流動接触分解では、触媒粒子と原料油が共に反応塔の管中を上昇するいわゆるライザ−クラッキングが採用される。しかし本発明においては、触媒/油比が通常の流動接触分解法に比べて極端に大きいため、触媒粒子と原料油が共に反応塔の管中を降下するダウンフロークラッキングを採用して逆混合を避けるということも特徴の一つである。
【0014】
通常の流動接触分解では、触媒再生帯域から反応帯域へ供給される触媒の全てが反応帯域入口の触媒導入部から供給される。しかし本発明では、触媒再生帯域からの再生触媒の一部を反応帯域入口の触媒導入部に供給して原料油と触媒粒子を接触させ、更に該触媒再生帯域からの再生触媒の他の一部を上記反応帯域入口の触媒導入部と該帯域出口の間に設けられた触媒導入部の少なくとも一カ所に供給する。上記反応帯域入口の触媒導入部と該帯域出口の間に設けられた触媒導入部は、反応帯域内の任意の箇所に設置することができる。反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間に設ける触媒導入部の数は、1〜5とすることができる。
【0015】
本発明では、触媒再生帯域から供給される再生触媒のうち、反応帯域入口の触媒導入部に供給される触媒の割合は好ましくは20〜95重量%、より好ましくは40〜80重量%である。ここで原料油の加熱、気化が行われ、分解反応が開始される。
【0016】
反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間の触媒導入部に供給される再生触媒の割合は好ましくは5〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%である。反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間の触媒導入部が複数ある場合は、各導入部に再生触媒を等量あるいは任意の量に分割して供給できる。この方法により、反応帯域内の全域にわたって重質油の高分解率に有利な高温が維持される。また通常の流動接触分解においては、単に反応温度を高温にするためにコーク生成量が増加し触媒が急速に劣化し、反応帯域の後段(下流)では分解反応が十分に起こらないという欠点があったが、本発明によれば反応帯域内の全域にわたって高活性な触媒を分布させることができる。
【0017】
本発明においてはこのように、反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間の触媒導入部から再生触媒の一部を供給することが重要であるが、反応帯域にダウンフロー形式の反応管を採用しているため、触媒を重力のみあるいは少量の水蒸気等の移送気体とともに容易に反応管内に落とし込むことができる。このときダウンフロー形式であるが故に、導入された触媒により触媒と原料油の逆混合が起きることもなく、逆に導入された触媒により反応管の途中で触媒と原料油の再混合を促すことができるという利点がある。
【0018】
ダウンフロー形式反応帯域において、重質油を流動状態に保持されている触媒粒子によって接触分解して得られた生成物、未反応物および触媒からなる混合物は、次に分離帯域に送られる。
【0019】
反応帯域出口部の温度が530〜700℃と非常に高い場合、生成物、未反応物および触媒の混合物が反応帯域を出てからも分解反応が継続し、好ましい生成物である軽質オレフィンがさらに分解を受けてドライガスが発生する過分解と呼ばれる現象がおこる。そこで本発明では、接触分解により得られた生成物、未反応物および触媒の混合物を、サイクロン分離帯域によって精密に分離する前に、高速分離帯域に導入することができる。高速分離帯域とは、分離効率が低いかわりにガスの滞留時間が小さく、滞留時間分布も狭いものを指す。サイクロン分離帯域においてはガスの一部がサイクロン内に長く滞留し、ガスの滞留時間の分布が0.1〜1.0秒と広いのに対し、該高速分離帯域ではガスの滞留時間は0.3秒以下、好ましくは0.2秒以下であり、滞留時間分布が非常に狭いという特徴を持つ。本発明においては該高速分離帯域により、生成物、未反応物および触媒の混合物から、該触媒の90重量%、好ましくは95重量%が除去される。高速分離帯域としてはボックス型、Uベント型が例として挙げられる。
【0020】
上記混合物は最終的に1段以上のサイクロン分離帯域に導かれ、高速分離帯域で除去しきれなかった触媒が取り除かれる。
【0021】
一方、分離帯域において分解生成物および未反応物の混合物から分離された触媒は、触媒ストリッピング帯域に送られ、触媒粒子に付着した生成物、未反応物等の炭化水素類の大部分が除去される。炭素質および一部重質の炭化水素類が付着した触媒は該ストリッピング帯域から触媒再生帯域に送られる。触媒再生帯域においては、該炭素質等の付着した触媒の酸化処理が行われる。この酸化処理を受けた触媒が再生触媒であり、触媒上に沈着した炭素質および炭化水素類が減少されたものである。この再生触媒は前記反応帯域に連続的に循環される。
【0022】
本発明においては触媒再生帯域として、通常の流動接触分解装置で用いられる濃厚流動床型再生帯域を用いうる。触媒再生帯域は複数設置することができ、その場合、濃厚流動床型再生帯域の他に稀薄移動床の上昇管であるライザー型再生帯域を用いることができる。また複数の濃厚流動床型再生帯域とライザー型再生帯域を直列に組み合わせて用いることもでき、この場合、ストリッピング帯域と直結している再生帯域(第1再生帯域)がライザー型でそれ以降(第2再生帯域以降)が濃厚流動床型であること、あるいは最後段の再生帯域がライザー型でありそれ以前が濃厚流動床型であること、が好ましい。
【0023】
本発明においては通常、複数ある全ての再生帯域を通過した後の完全に再生された触媒を、分配して、反応帯域入口の触媒導入部と、該導入部と反応帯域出口の間に設けられた少なくとも一カ所の触媒導入部に供給する。該反応帯域入口の触媒導入部には、複数ある再生帯域の途中から抜き出した再生が十分でない触媒を供給することもできる。この場合、反応帯域入口の触媒導入部には、活性が低く、温度も低い触媒を導入することになり、その結果穏和な条件で原料油の加熱、気化、分解が行われ、ドライガス、コークなどの好ましくない副生成物の発生を抑えることができる。
【0024】
本発明でいう反応帯域出口温度とは、ダウンフロー形式流動床型反応帯域の出口部の温度のことであり、より具体的には、分解生成物、未反応物および触媒の混合物から該触媒が分離される前の該混合物の温度、あるいは該混合物が分離帯域の手前でクエンチオイルまたはクエンチガスにより冷却される場合はその冷却される前の該混合物の温度である。本発明において反応帯域出口温度は530〜700℃であり、好ましくは540〜650℃、より好ましくは550〜620℃である。530℃より低い温度では高い収率で軽質オレフィンを得ることができず、700℃より高い温度では熱分解が顕著になりドライガス発生量が多くなるため好ましくない。
【0025】
本発明でいう触媒/油比とは、触媒循環量(ton/h)と原料油供給速度(ton/h)の比であり、本発明において該触媒/油比は10〜50wt/wtであり、好ましくは15〜30wt/wtである。本発明では短い接触時間で接触分解反応を行うため、触媒/油比が10より小さい場合、接触分解反応が十分起こらず好ましくない。また触媒/油比が50より大きい場合、触媒循環量が大きく、それ故触媒再生帯域の温度が低くなり、触媒上に付着した炭素質が十分に燃焼しない、または触媒再生に必要な触媒滞留時間が長くなりすぎ好ましくない。
【0026】
本発明でいう接触時間とは、再生触媒と原料油が接触してから、分解生成物、未反応物および触媒の混合物から該触媒が分離されるまでの時間、あるいは分離帯域の手前で該混合物がクエンチオイルまたはクエンチガスにより冷却される場合はその冷却されるまでの時間を示す。本発明において接触時間は0.1〜3.0、好ましくは0.1〜2.0秒、より好ましくは0.3〜1.5、さらに好ましくは0.3〜1.0秒の範囲が選択される。接触時間が0.1秒より短い場合は、反応が十分進行する前に原料が反応帯域を出てしまうため好ましくない。接触時間が3.0秒より長いときは、分解反応に引き続いておきる水素移行反応、過分解により、軽質オレフィンが軽質パラフィン等に転化する割合が増加するので好ましくない。
【0027】
本発明でいう触媒再生帯域触媒濃厚層の温度(以下再生帯域温度と称する)とは、触媒再生帯域において濃厚状態で流動している触媒粒子が再生帯域を出る直前の温度を指す。本発明において、再生帯域温度は好ましくは650〜800℃であり、より好ましくは680〜740℃である。650℃より低い温度では触媒上に堆積した炭素質の燃焼が遅くなり、炭素質が十分に取り除かれず触媒活性を維持できない、もしくは炭素質を十分に除去するためには再生帯域内の触媒の滞留時間を非常に長くする必要があり、そのために再生帯域が大きくなりすぎ経済的に好ましくない。一方、800℃より高い温度では触媒が水熱劣化を受ける上、触媒が再生帯域から反応帯域に持ち込む熱量が大きくなりすぎ反応帯域の温度を好ましい温度に保てないため経済的に好ましくない。
【0028】
本発明では、さらに軽質オレフィンの過分解を抑制するために、反応帯域出口部分(出口部直後)にクエンチオイルまたはクエンチガスを供給することにより、分解生成物、未反応物および触媒の混合物を冷却する方法を用いることができる。クエンチオイルまたはクエンチガスを供給することにより、分解生成物、未反応物および触媒の混合物の温度を反応帯域出口温度に比べて1〜100゜C、好ましくは1〜50゜C、更に好ましくは1〜30゜C低下させる。クエンチオイルの供給量は、原料油に対して好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。
【0029】
反応帯域とサイクロン分離帯域の間に高速分離帯域を設置した場合は、高速分離帯域とサイクロン分離帯域の間にもクエンチオイルまたはクエンチガスを供給することができる。
【0030】
前記のクエンチオイルとしては、通常、例えば灯油、直留軽油、減圧軽油等の常圧あるいは減圧石油蒸留留出油、常圧あるいは減圧石油蒸留残査物、石油蒸留留出油や石油蒸留残査物などの水素化処理油、石油蒸留留出油や石油蒸留残査物などの熱分解油、石油蒸留留出油や石油蒸留残査物などの接触分解油、またはこれらの混合物等が用いられる。また注入する温度、圧力で液体として存在できる炭化水素が好ましく用いられる。
【0031】
またクエンチオイルとしては、本発明の接触分解法により得られる分解生成物の一部をリサイクルしたものを使用することが好ましい。特に、本発明の接触分解法により得られた分解生成物を蒸留して得られた沸点300℃以上の残渣油分の一部をリサイクルして使用することが好ましい。この理由は、一般の流動接触分解法で用いられているクエンチによる大幅な温度の降下(通常、降下幅は180〜350℃で350℃以下に下げる)により反応を停止し、過分解を抑えるという方法では、本発明の高い触媒/油比のもとで大量の触媒を冷却するのには大量のクエンチオイルが必要となってしまうからである。かつこの方法では触媒を大幅に冷却してしまう結果、本発明の特徴である高温の反応帯域温度を保つのに必要な高い再生触媒温度を保つことが難しくなってしまうからである。これに対し本発明では、芳香族性の高い分解生成物の残渣油分の少量をクエンチオイルとして用いることによって、温度を余り下げずに水素移行反応、過分解を急速に減少させることができる。
【0032】
前記のクエンチガスとしては、水蒸気あるいは、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭素数1〜6のパラフィン系炭化水素およびこれらの混合物など、注入する温度、圧力で気体として存在できる物質が好ましく用いられる。
【0033】
本発明で用いる流動接触分解反応装置の操作条件のうち、上記以外については特に限定されないが、反応圧力1〜3kg/cm Gで好ましく運転される。
【0034】
本発明において使用する触媒並びにその調製法は特に限定されないが、通常、石油類の流動接触分解反応に用いられる触媒粒子が使用できる。特に活性成分としての超安定Y型ゼオライトとその支持母体であるマトリックスからなる触媒が好ましく用いられる。また前記超安定Y型ゼオライトに加えて結晶性アルミノシリケートあるいはシリコアルミノフォスフェートを含む触媒も好ましく用いることができる。
【0035】
触媒粒子のかさ密度は0.5〜1.0g/ml、平均粒径は50〜90μm、表面積は50〜350m /g、細孔容積は0.05〜0.5ml/gの範囲であるのが好ましい。
【0036】
【実施例】
次に本発明を実施例等に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例1
断熱型のダウンフロー形式反応帯域および一つの触媒再生帯域を有するFCCパイロット装置を用い、中東系の脱硫VGOの流動接触分解を行った。触媒は、マトリックスであるアルミナに活性成分として超安定Y型ゼオライトを担持したものを、800℃で6時間、100%スチーミング処理により疑似平衡化させたものを使用した。装置規模はインベントリー(触媒量)2kg、原料油フィード量1kg/hであった。
【0038】
この装置の反応帯域入口の原料油導入部からは1kg/hの脱硫VGOを供給し、反応帯域入口の触媒導入部からは10kg/hの再生触媒を供給し、一方、反応帯域入口から反応帯域全長の1/2の長さだけ下流(下方)に設けた触媒導入部のノズルからは、少量の窒素ガスとともに2kg/hの再生触媒を供給した(触媒/油比=12wt/wt)。
【0039】
このとき再生帯域温度は740℃、反応帯域入口温度は610℃、反応帯域出口温度は600℃、反応帯域全長にわたる接触時間は0.5秒であった。このときの分解生成物収率を表1に示す。
【0040】
実施例2
実施例1と同じ装置、触媒、原料油を用い、同じ反応条件で接触分解を行い、分解生成物を蒸留して得られた沸点343℃以上の残渣油分のうち50g/hをリサイクルして反応帯域出口部直後に導入した。このため残渣油分導入後の分解生成物、未反応物および触媒の混合物の温度は、反応帯域出口温度より4℃低い596℃となった。このときの分解生成物収率を表1に示す。
【0041】
実施例3
反応帯域での接触時間を1.5秒とした他は、実施例1と同様に流動接触分解を行った。
【0042】
比較例1
実施例1と同じ装置、触媒、原料油を用い、反応帯域入口の触媒導入部のみから12kg/hの再生触媒を導入して分解反応を行った。このとき反応帯域入口温度は625℃であり、その他の反応条件は実施例1と同様であった。このときの分解物収率を表1に示す。
【0043】
比較例2
断熱型のアップフロー形式反応帯域(ライザー)および一つの触媒再生帯域を有するFCCパイロット装置を用い、実施例1と同じ触媒を用いて、実施例1と同じ脱硫VGOの分解を行った。装置規模は実施例1と同様とした。
【0044】
この装置の反応帯域入口の触媒導入部からは10kg/hの再生触媒を導入し、一方、反応帯域入口から反応帯域全長の1/2の長さだけ下流(上方)に設けた触媒導入部のノズルからは、少量の窒素ガスとともに2kg/hの再生触媒を導入した。なおその他の反応条件は実施例1と同様とした。このときの分解物収率を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003574555
以上の結果から、等量の触媒を用いながらも、実施例1〜3の様に触媒を2段階に別けてダウンフロー形式の反応帯域に導入する方法が、最も高い軽質オレフィン収率を得られることがわかる。さらに実施例2の様に残渣油分をリサイクルすれば、より高い軽質オレフィン収率を得ることができる。
【0046】
これに対して、従来の流動接触分解方法と同様に触媒を1段階で導入した比較例1の場合は、反応帯域入口で高温となり熱分解が激しくなる結果、ドライガス、コーク収率が増加してしまう。
【0047】
また、アップフロー形式の反応帯域を用いた比較例2の場合には、下流の触媒導入点で触媒とガスの流れが乱れ、逆混合が激しくなりドライガス、コーク収率が増加してしまう。これは、逆混合により触媒の一部が反応帯域内に長く滞留したために劣化が進み、かつガスの滞留時間分布が広くなり一部のガスは滞留時間が小さくなり分解が進まず、一部のガスは滞留時間が大きくなり過分解が進んだためと思われる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の重質油の流動接触分解法によれば、ドライガスの発生を抑制し、軽質オレフィンを高収率で得ることができる。

Claims (5)

  1. 下向流型反応帯域、分離帯域、ストリッピング帯域および触媒再生帯域を具備する流動接触分解装置を用いて重質油を接触分解するにあたり、
    ▲1▼ 重質油を該反応帯域入口の原料油導入部に供給し、かつ該触媒再生帯域からの再生触媒の一部を該反応帯域入口の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させ、
    更に該触媒再生帯域からの再生触媒の他の一部を、上記反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間に設けられた少なくとも一カ所の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させること、および
    ▲2▼ 該反応帯域における接触分解を、接触時間が0.1〜3.0秒、反応帯域出口部温度が530〜700℃、触媒/油比が10〜50wt/wtという条件下で行うことにより、
    軽質オレフィンを製造することを特徴とする重質油の流動接触分解法。
  2. 下向流型反応帯域、分離帯域、ストリッピング帯域および触媒再生帯域を具備する流動接触分解装置を用いて重質油を接触分解するにあたり、
    ▲1▼ 重質油を該反応帯域入口の原料油導入部に供給し、かつ該触媒再生帯域からの再生触媒の一部を該反応帯域入口の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させ、
    更に該触媒再生帯域からの再生触媒の他の一部を、上記反応帯域入口の触媒導入部と反応帯域出口の間に設けられた少なくとも一カ所の触媒導入部に供給して、重質油と触媒粒子を接触させること、
    ▲2▼ 該反応帯域出口部直後にクエンチオイルあるいはクエンチガスを供給することにより、分解生成物、未反応物および触媒の混合物の温度を、反応帯域出口部温度に比べて1〜100℃低下させること、および
    ▲3▼ 該反応帯域における接触分解を、接触時間が0.1〜3.0秒、反応帯域出口部温度が530〜700℃、触媒/油比が10〜50wt/wtという条件下で行うことにより、
    軽質オレフィンを製造することを特徴とする重質油の流動接触分解法。
  3. 前記触媒再生帯域が複数の触媒再生帯域からなり、
    前記反応帯域入口の前記触媒導入部には、該触媒再生帯域の途中から抜き出した半再生触媒を供給し、
    前記反応帯域入口の前記触媒導入部と前記反応帯域出口の間に設けられた前記触媒導入部には、全触媒再生帯域を通過した後の再生触媒を供給する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の重質油の流動接触分解法。
  4. 前記複数の触媒再生帯域のうち、一部がライザー型再生帯域であり、その他が濃厚流動床型再生帯域であることを特徴とする請求項3記載の重質油の流動接触分解法。
  5. 前記クエンチオイルが、前記下向流型反応帯域で接触分解して得られた分解生成物を蒸留して得られる、沸点300℃以上の残渣油分であることを特徴とする請求項2記載の重質油の流動接触分解法。
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