JP3574276B2 - 有機電解液電池用シール剤、それを含む組成物、及びそれを用いた電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、有機電解液電池に用いられる高温時の密閉性に特に優れたシール剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで二次電池として広く用いられていた酸・鉛電池やニッケル・カドミウム電池は、電化製品が小型化されている現在、その大きさや重量に限界が来ている。近年、二次電池として、小型で軽量な上、高出力、高エネルギー密度化が可能な有機電解液電池を用いることが提案され、現在はリチウム二次電池またはリチウムイオン二次電池がその主流となっている。
この有機電解液電池は、その発電要素が金属容器に収納され密閉されたものである。発電要素とは、支持電解質と有機系電解液溶媒とからなる電解液、正極用および負極用の活物質、セパレーターなどである。電解液を構成する支持電解質は、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 などのリチウム系化合物などのような水と反応して加水分解しやすい化合物が用いられている。また有機電解液溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等の可燃性有機化合物が用いられている。このような電池の中に水が入ると、サイクル特性等の電池性能が大幅に劣化される。このため、水の電池内部への侵入を防止し、かつ電解液の液漏れを防止する必要があり、これらの電池には高い密閉性が要求されている。
ところで、有機電解液電池は、その発電要素を密閉のために金属容器に収納して成るが、正極と負極の短絡を防止するために、正極端子と負極端子の間を絶縁する必要がある。
通常、正−負極間の絶縁及び密閉のため、発電要素を収納した金属容器の開口部に絶縁材料からなるガスケットが使用されている。絶縁材料としては、樹脂製絶縁ガスケットを使用することが知られており(特公昭57−45028号公報など)、その樹脂材料としてはポリエチレン(特開昭59−205153号公報など)、フッ素樹脂(特開昭59−205152号公報など)、弾性率が12,000〜18,000Kg/cm2 のポリオレフィン樹脂(特開平7−130341号公報など)などが知られている。
【0003】
このような絶縁ガスケットによる密閉をさらに強化するため、絶縁ガスケットとシール剤とを併用することも提案されている(特開昭55−030148号公報、特開昭55−016352号公報、特開昭59−112565公報など)。このシール剤を絶縁ガスケットまたは金属容器に塗布し、絶縁ガスケットを金属容器に装着することで、絶縁ガスケットと金属容器との間の密閉性を高めている。
このようなシール剤としては、コールタール、アスファルト等のピッチ系材料、ピッチ系材料にポリマーを改質剤として添加した材料(特開昭56−032671号公報、特開昭58−010365号公報、特開昭59−091660号公報、特開平6−124694号公報、特開平6−005270号公報等など)があり、このほかピッチ系材料以外に、ブチルゴム(特開昭55−030148号公報など)、ポリオレフィン系接着剤(特開昭56−032672号公報など)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(特開平1−040469号公報など)などが提案されている。
しかしながら、これらのシール剤は高温条件下で劣化しやすく、今後さらに広く電化製品等に搭載される電池には、より高温での安定性が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術のもと、発明者らは、高温でも安定な有機電解液電池用シール剤を得るべく鋭意検討した結果、ある種のジエン系ゴムが高温での密閉性に優れ、かつ操作性に優れていることを見い出し、本発明を完成するに到った。
【0005】
【発明を解決するための手段】
かくして本発明によれば、重量平均分子量が10,000〜1,500,000のジエン系ゴムを主成分とする有機電解液電池用シール剤が提供され、また、当該シール剤を炭素数5〜15の有機溶媒に溶解させてなるシール剤組成物が提供され、さらに当該シール剤が発電要素を収納した金属容器(以下、単に金属容器という)の開口部に装着された絶縁ガスケットと金属容器との間、および/又は絶縁ガスケットと封口体との間に用いられている有機電解液電池が提供される。
【0006】
以下に本発明を詳述する。
(シール剤)
本発明のシール剤は、重量平均分子量10,000〜1,500,000、好ましくは20,000〜800,000、より好ましくは50,000〜700,000のジエン系ゴムを主成分とするものである。重量平均分子量が1,500,000を超えると、ジエン系ゴムを有機溶媒に溶解させ、シール剤組成物としたとき、粘度が高くなりすぎて、絶縁ガスケットに塗布する際のシール剤層の厚さの制御が困難となり、逆に重量平均分子量が10,000未満になると、シール剤としての強度が弱く、絶縁ガスケットを装着する際、シール剤層に亀裂が入り、シール効果が悪くなる。シス体含量が30%未満になると、反発弾性が低下し、絶縁ガスケット装着時に変形し、亀裂が入る場合があるので注意を要する。
本発明のシール剤の主成分となるジエン系ゴムは、ジエン系モノマーの単独重合体、二種以上のジエン系モノマーの共重合体、またはジエン系モノマーと非極性重合性モノマーとの共重合体の何れであっても構わないが、ジエン系モノマーと非極性重合性モノマーとの共重合体では、非極性重合性モノマーの割合は、通常ジエン系モノマー全量に対して300重量%以下、好ましくは100重量%以下で使用する。
ジエン系ゴムの原料となるジエン系モノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、非極性重合性モノマーの具体例としてはスチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどが例示される。これらのモノマーを常法、例えば溶液重合、配位重合、乳化重合などにより反応させて、本発明でシール剤の主成分となるジエン系ゴムを得ることができる。但し、乳化重合で乳化剤として石鹸等を用いて得たゴムについては、これらを洗浄により除去されたものである方が好ましい。
このようなジエン系ゴムとしては、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ピペリレンゴム、1,3−ペンタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(ブタジエンなど)ゴムなどが挙げられる。またジエン系ゴムのシス体含量が好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上のものを主成分とするものである。シス体含量が高い方がシール性の良いシール剤が得られる傾向があるので好ましい。
また、本発明のシール剤は電解液と接触している場合が多いため、シール剤の性質として電解液に不溶・不活性、かつ膨潤しない耐性が必要である。
さらに本発明のシール剤は、絶縁ガスケットの性能を劣化させず、電解液と反応および溶解しない老化防止剤・紫外線吸収剤・着色剤等、通常ゴムに使用される添加剤を添加することができる。
【0007】
(シール剤組成物)
本発明のシール剤組成物は、上述したジエン系ゴムを有機溶媒に溶解したものであり、この組成物を金属容器や絶縁ガスケットに塗布乾燥し、絶縁ガスケットと金属容器との密閉性を高めるシールとなる。ここで用いられる有機溶媒としては、上述のジエン系ゴムが溶解可能な通常炭素数5〜15の有機溶媒が好ましく、更に好ましくは炭素数6〜12の炭化水素溶媒・含窒素系有機溶媒・含酸素系有機溶媒などであり、特にベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒やn−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの飽和炭化水素系溶媒が好ましい例である。炭素数5以下、特に炭素数1〜2の有機溶媒例えば四塩化炭素等は好ましくない。
本発明のシール剤組成物中のジエン系ゴムの割合は、有機溶媒に対して、1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%である。ジエン系ゴムの濃度が50重量%を超える量では、組成物の粘度が高くなり、塗布性が低下する傾向がある。逆に1重量%未満の濃度では、組成物の溶媒量が多すぎ、シール成形性に劣る傾向がある。
さらに本発明のシール剤組成物には、必要に応じて着色剤などの添加剤を添加することも可能である。添加可能な着色剤としては、電解液と反応せず、また電解液に溶解しないものであるのが望ましく、各種の有機系・無機系の顔料が挙げられる。なかでもカーボンブラック、特にファーネスブラック、チャンネルブラック等の粒径0.1μm以下のカーボンブラックが好ましい。このような着色剤を添加する場合、組成物中で十分均一に溶解または分散させる必要があり、造粒されているものや凝集構造を持ったものを用いる場合は、ボールミル、サンドミルや超音波などで分散させるのがよい。
このような着色剤などの添加剤の添加量は、必要に応じ任意の量でよいが、ジエン系ゴムに対して通常0.01重量%〜20重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.02重量%〜3重量%である。添加剤の添加量が20重量%を超えるとシール剤の柔軟性が小さくなり、ひび割れの原因となることがある。
【0008】
(有機電解液電池)
本発明の有機電解液電池は、金属容器と絶縁ガスケットとの間に上述してきた本発明のシール剤層が設けられた有機電解液電池であればよく、その金属容器の素材、発電要素、絶縁ガスケットは、一般に使用されているものでよい。この有機電解液電池は、その発電要素を金属容器に収納され密閉されたものである。発電要素とは、支持電解質と有機系電解液溶媒とからなる電解液、正極用および負極用の活物質、セパレーターなどである。電解液を構成する支持電解質は、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 などのリチウム系化合物などのような水と反応して加水分解しやすい化合物が用いられている。また有機電解液溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等の可燃性有機化合物が用いられている。絶縁ガスケットとしては、一般に耐電解液性が高いと言われるポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン共重合ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、特にその強度と弾性率のバランスの良さからエチレン共重合ポリプロピレンを用いるのが好ましい。さらに、ポリオレフィン樹脂は、JIS K7207により測定される熱変形温度が90〜200℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは95〜130℃であるものを用いるのがよい。200℃より高いと常温での曲げ弾性率が高すぎて絶縁ガスケット装着時の変形が起こり、亀裂や割れの原因となることがあり、90℃に満たない温度では、高温での絶縁ガスケットの耐性が劣り、密閉性が低下する。本発明の有機電解液電池のシール剤層は、例えば次の手順で形成すればよい。即ち、本発明のシール剤組成物を、金属容器表面および/または絶縁ガスケット表面に、エアー駆動の定量ディスペンサー、ローラーポンプ、ギアポンプ等の定量ポンプで所定量を送液し塗布する。塗布後、これらの塗布物を前記シール剤組成物が片寄らないよう水平を維持した状態で自然乾燥をおこない、有機溶剤を除去しジエン系ゴムの薄層を形成する。
ただし、塗布に際しては、定量ポンプを用いる方法に限定されることはなく、少量であれば刷毛を用いて人手で行うことも可能である。また、乾燥も加熱装置により強制乾燥を行うことによりより短時間での乾燥が可能となり、工業的にはより適した工程とすることができることは説明するまでもない。このような方法で設けられたシール剤層の厚さは、金属容器と絶縁ガスケットの大きさにより任意に選択すれば良く、通常0.1μm〜1000μmである。層の厚さが不足すると電解液の液漏れや水分の侵入の問題が生じたり、層が切断されてしまう可能性があり、逆に厚いと層形成が困難となることがある。
【0009】
【発明の効果】
本発明は、高温時の密閉性に特に優れた有機電解液電池用シール剤が得られ、また同シール剤を用いた電池は幅広い環境で使用可能な電池として有用である。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は、特に断りない限り重量基準である。また、重量平均分子量(以下、Mwという)は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定された値である。
(実施例1)
10リットルの攪拌機付きオートクレーブにトルエン5000g、ブタジエン810gを加え、十分攪拌した後、ジエチルアルミニウムクロライド0.27mol、塩化クロム・ピリジン錯体0.6mmolを加え、60℃で3時間攪拌しながら重合した。その後、メタノール100mlを加えて重合を停止した。重合停止後、室温まで冷却した後、重合液を取り出した。得られた重合液を水蒸気凝固した後、60℃で48時間真空乾燥して固体状のポリマー780gを得た。得られたポリマーのMwは390,000であった。
また、13C−NMRスペクトルの結果からこのポリマーのシス体含量は94%であった。
このポリマーをエチルシクロヘキサンに溶解させ、濃度10重量%のシール剤組成物を調製した。その後、ポリプロピレン製の絶縁ガスケット表面に定量ディスペンサーを使用して乾燥後のシール剤層厚が15μmとなるように塗布、乾燥を行い、シール剤層を形成した。
【0011】
これとは別に、繊維状グラファイトであるMCFをバインダーとともに水を溶剤として混練し、ペーストとしたものを銅箔へ塗布し、乾燥・プレスを行うことにより負極を作成した。また正極はLiCoO2 をバインダーとともに混練ペースト化したものを、アルミ箔へ塗布し、乾燥・プレスを行って作成した。これらを、ポリエチレン製の多孔質セパレータとともに、捲回して電極群を構成した。ついで前記電極群を、内径16mm、高さ50mm(17500型)のニッケルメッキを施した鉄缶へ挿入し、開口部近傍に封口部固定のため、ビードを形成した。このビード部の絶縁ガスケットと接触する部分へ、前記シール剤を定量ディスペンサーを使用して乾燥後のシール剤層厚が15ミクロンとなるように塗布、乾燥を行い、シール剤層を形成した。
その後、真空乾燥器に投入し電極群に吸着している水分を完全に乾燥させ、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの混合溶媒へLiPF6 を1M溶解させたものを電解液として注入後、封口して電池とした。電池構成図を図1に示す。
これらの電池を電解液注液、封口後2日間静置した後、電池電圧が4.2Vになるまでは1Cの定電流で、4.2Vに達してからは4.2Vの定電圧で合計5時間充電することにより初充電を行った。この4.2Vに充電されている電池5個を95℃の恒温槽で48時間加熱し、加熱前後の重量変化を求めた。また、同じく4.2Vに充電されている電池5個を1.9mの高さから任意方向に10回落下させて、落下前後の重量変化を求めた。
その結果、恒温放置試験、落下試験のいずれにおいても、有意な重量変化は観察されず、十分に電池内容物を密閉していることが確認された。
【0012】
(実施例2)
10リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエン5000g、ブタジエン710g、スチレン100gを加え、十分攪拌した後、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのトルエン溶液(濃度は0.05mol/リットル)を10ml、チーグラー触媒(0.2mmol)を加え、60℃で4時間攪拌しながら重合した。その後、メタノール100mlを加えて重合を停止した。重合停止後、室温まで冷却した後、重合液を取り出す。得られた重合液を水蒸気凝固した後、60℃で48時間真空乾燥して固体状のポリマー750gを得た。得られたポリマーのMwは280,000であった。また、13C−NMRスペクトルの結果からこのポリマーのシス体含量は93%であった。
次いで、このポリマーをトルエンに溶解させ、濃度15重量%のシール剤組成物を調製した。実施例1と同様の方法により円筒形の絶縁ガスケット表面にシール剤層を形成した。この層の厚さは17μmであった。
このシール剤層の塗布された絶縁ガスケットを用いて、実施例1と同様の試験を行った結果、10個の電池は、いずれも有為な重量変化が検知されず、十分に内容物を密閉していることが確認された。
【0013】
(実施例3)
10リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエン5000g、ブタジエン710gを加え、十分に攪拌した後、n−ブチルリチウムのトルエン溶液(濃度は0.01mol/リットル)を20ml加え、重合を停止した。重合停止後、室温まで放冷した後、重合液を取り出した。得られた重合液を水蒸気凝固した後、60℃で48時間真空乾燥して固体状のポリマー650gを得た。得られたポリマーのMwは230,000であった。また、13C−NMRスペクトルの結果からこのポリマーのシス体含量は35%であった。
次いで、このポリマーをメチルシクロヘキサンに溶解させ、濃度10重量%のシール剤組成物を調製した。実施例1と同様の方法により円筒形の絶縁ガスケット表面にシール剤層を形成した。この層の厚さは10μmであった。
このシール剤層の塗布された絶縁ガスケットを用いて、実施例1と同様の試験を行った結果、恒温放置試験、落下試験のいずれにおいても有為な重量変化は観察されず、十分に電池内容物を密閉していることが確認された。
【0014】
なお、本願実施例においては、負極活物質として繊維状グラファイトであるMCFを、正極活物質としてLiCoO2 を、また電解液としてエチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの混合溶媒へLiPF6 を1M溶解させたものを使用したが、それ以外に下記のような物が使用可能である。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出可能な物であれば良く、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類(天然グラファイト、人造グラファイト、繊維状グラファイト、球状グラファイト等)、ガラス状炭素類、有機高分子化合物体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成したもの)、あるいは、金属リチウム、リチウム合金、金属含有化合物、金属酸化物、あるいはポリアセチレン、ポリピロール等のポリマーも使用可能である。
正極活物質としては、Lix MO2 (ただし、Mは1種以上の遷移金属、好ましくは、CoまたはNiの少なくとも一種を表し、0.05<x<1.10である)または、Lix M2 O4 (ただし、Mは1種以上の遷移金属、好ましくは、Mnを表し、0.05<x<1.10である)を含んだ活物質が使用される。かかる活物質としては、LiCoO2 以外に、LiNiO2 、LiNiy Co(1−y) O2 (ただし、0.05<x<1.10、0<y<1)、LiMn2 O4 で表される複合酸化物があげられる。上記複合酸化物は、たとえばリチウム、コバルト、ニッケルの炭酸塩を出発原料として、これら炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素存在雰囲気下で600〜1000℃で焼成することにより得られる。また出発原料は炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物からも同様に合成可能である。電解液としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチルラクトン、テトラヒドロフラン等の単独もしくは、混合溶媒をベースとして、LiClO4 、LiAsF6 、LiPF6 、LiBF4 等を適宜混合した物が使用可能である。
【0015】
(比較例1)
10リットルの攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン5000g、ブタジエン800gを加え、十分に攪拌した後、n−ブチルリチウムのトルエン溶液(濃度は1.65mol/リットル)を100ml加え、60℃で1時間重合した後、メタノールで重合を停止した。重合停止後、室温まで放冷した後、重合液を取り出した。得られた重合液をBHT/メタノール/アセトン溶液で凝固した。凝固後、60℃で48時間真空乾燥して粘稠状のポリマー800gを得た。得られたポリマーのMwは9,000であった。また、13C−NMRスペクトルの結果からこのポリマーのシス体含量は35%であった。
このポリマーをトルエンに溶解させ、濃度10重量%のシール剤組成物を調製した。実施例1と同様の方法により円筒形の絶縁ガスケット表面にシール剤層を形成した。この層の厚さは10μmであった。
このシール剤層の塗布された絶縁ガスケットを用いて、実施例1と同様の試験を行った。その結果、5個の電池の重量減少の最大値と最小値はそれぞれ、2.04%と1.01%であり、電池内容物の密閉が不十分であることが確認された。
【0016】
(比較例2)
シール剤組成物として、針入れ深度20〜40のブローンアスファルト100部とトルエン400部とを混合した組成物を用い、実施例と同様の厚さにシール剤層を形成し、実施例1と同様の試験を行った。その結果、高温保存液を行った電池のうち2本、落下試験を行った電池1本から電解液由来の臭気が発生していることが確認されるとともに、それぞれ、20〜40mgの重量減少が認められた。また、これらの電池を室温で10日間保管後、電解液中の水分量をカールフィシャー法により測定したところ、数100ppmの水分が観察され、電池の密閉性が低下していることが確認された。
【0017】
以上の実施例および比較例の結果から、重量平均分子量が10,000未満のジエン系ゴムを主成分とするシール剤や従来のシール剤と比較して、本発明のシール剤は優れた密閉性を示すことが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電解液電池の一部を展開した電池構成図を示す。
【符号の説明】
1 負極
2 セパレータ
3 正極
4 缶
5 封口体
6 安全弁
Claims (7)
- ジエン系モノマー単独重合体、二種以上のジエン系モノマーの共重合体、およびジエン系モノマーとそれに対し300重量%以下の非極性重合性モノマーとの共重合体からなる群より選ばれ、かつ重量平均分子量が10,000〜1,500,000のジエン系ゴムを主成分とする有機電解液電池用シール剤。
- 前記ジエン系ゴムの重量平均分子量が20,000〜800,000である請求項1記載の有機電解液電池用シール剤。
- ジエン系ゴムのシス体含有量が30%以上である請求項1又は2記載の有機電解液電池用のシール剤。
- ジエン系ゴムがブタジエンの重合体または共重合体である請求項1〜3記載のシール剤。
- 請求項1〜4記載のシール剤を炭素数5〜15の有機溶媒に溶解させてなるシール剤組成物。
- 発電要素を収納した金属容器の開口部に装着された絶縁ガスケットと金属容器との間、および/又は絶縁ガスケットと封口体との間に請求項1〜5記載のシール剤層が設けられている有機電解液電池。
- 有機電解液電池がリチウム二次電池またはリチウムイオン二次電池である請求項6記載の電池。
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