JP3574262B2 - 非真円体の研削装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カム等の非真円形状をなす被加工物を回転させながら、その外周面を回転砥石によって研削加工する非真円体の研削装置に係わり、特に被加工物を装着した主軸の回転速度を制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被加工物を装着した主軸を回転させながら、その主軸と直交する方向へ回転砥石を相対移動させて、被加工物の外周を非真円形状に研削する装置としては、例えば車両用エンジンにおけるカムを研削するためのカム研削盤が知られている。
【0003】
この種のカム研削盤においては、主軸の回転角度と回転砥石の移動位置との関係を設定したプロフィールデータが、予め数値制御装置(以下、NC装置という)に制御データとして記憶されている。そして、そのプロフィールデータに基づいて、NC装置により主軸の回転角度に応じて回転砥石の移動位置が制御されることにより、被加工物が予め設定された所定の切り込み量で研削されて、非真円体としてのカムが形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図18に示すように、被加工物Waを回転砥石12により所定の切り込み量△Hで研削する場合には、被加工物Wa及び回転砥石12に研削抵抗が作用する。ところが、カムは非真円形状をなしているため、被加工物Waの回転に伴って、その被加工物Waの曲率半径ρiが変化する。この研削加工時における曲率半径ρiの変化は、前記研削抵抗のうちの摩擦抵抗の変化となって表れる。そして、この曲率半径ρiが大きい部分では摩擦抵抗が大きくなるため、被加工物Waの仕上げ面に熱的損傷を与え、研削焼けや研削割れが発生して加工品位の低下を招くという問題があった。
【0005】
【発明の目的】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、研削加工時における摩擦抵抗の増大を抑制して、加工品位の低下を防ぐことができる非真円体の研削装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、被加工物を装着した主軸を回転させる回転手段と、被加工物の外周面を研削する回転砥石を前記主軸に対して交差する方向へ相対移動させる移動手段とを備え、主軸を回転させながら、主軸の回転角度と回転砥石の移動位置との関係を設定した制御データに基づいて移動手段を制御して、被加工物を所定の非真円形状に研削する非真円体の研削装置において、被加工物の形状データに基づいて、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径を算出する第1の算出手段と、非真円形状の基礎円部分に対応して予め設定された基準主軸回転速度と上記算出された曲率半径とに基づいて主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出する第2の算出手段と、上記算出された主軸回転速度と上記制御データとに基づいて時間変化に対する回転砥石の移動位置を算出する第3の算出手段と、上記算出された移動位置に基づいて時間変化に対する回転砥石の移動加速度を算出する第4の算出手段と、上記算出された移動加速度が予め設定された規定値以内か否かを判定する判定手段と、上記判定の結果に基づいて、移動加速度に規定値を越えたものがあるときには上記基準回転速度を下げるように修正し、再び第2の算出手段ないし第4の算出手段に算出を行わせる基準主軸回転速度修正手段と、上記判定の結果に基づいて移動加速度が規定値以内のときには最新の基準主軸回転速度とこれに基づく最新の主軸回転角度に対する主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定する主軸回転制御データ決定手段と、研削加工時には上記決定された主軸回転制御データに基づいて上記回転手段を制御する制御手段とを備え、主軸の回転速度が被加工物の曲率半径に応じて変化するように、かつこれに伴う回転砥石の移動加速度が規定値以内になるように主軸の回転速度を設定する構成としている。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1において、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径をρとし、主軸回転速度をωとしたときに、制御手段は主軸回転速度ωが1/ρに比例して変化するように回転手段を制御する構成としている。
【0010】
請求項3の発明では、請求項1または2において、上記第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果から主軸回転角度に対する曲率半径を算出する手段を有する構成としている。
【0011】
請求項4の発明では、請求項1または2において、上記第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果から被加工物角度に対する主軸回転速度を算出する手段を有する構成としている。
【0012】
請求項5の発明では、請求項1ないし4のいずれかにおいて、上記基準主軸回転速度修正手段は、基準主軸回転速度の修正量を回転砥石の移動加速度の最高値と上記規定値との差に応じて算出する手段を有する構成としている。
【0013】
請求項6の発明では、被加工物を装着した主軸を回転させる回転手段と、被加工物の外周面を研削する回転砥石を前記主軸に対して交差する方向へ相対移動させる移動手段とを備え、主軸を回転させながら、主軸の回転角度と回転砥石の移動位置との関係を設定した制御データに基づいて移動手段を制御して、被加工物を所定の非真円形状に研削する非真円体の研削装置において、被加工物の形状データに基づいて、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径を算出する第1の算出手段と、非真円形状の基礎円部分に対応して予め設定された基準主軸回転速度と上記算出された曲率半径とに基づいて主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出する第2の算出手段と、上記算出された主軸回転速度に基づいて主軸回転角度に対する主軸単位回転角度間の回転速度変化量を算出する回転速度変化量算出手段と、上記算出された回転速度変化量が予め設定された規定範囲内か否かを判定する判定手段と、上記判定の結果に基づいて回転速度変化量に規定範囲を越えたものがあるときには上記第2の算出手段による主軸回転速度に対して非真円形状のリフト部分における最小回転速度幅を広げるように主軸回転速度を修正する主軸回転速度修正手段と、上記修正された主軸回転角度に対する主軸回転速度と上記基準主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定し、もしくは上記判定の結果に基づいて回転速度変化量が規定範囲内のときには上記第2の算出手段による主軸回転角度に対する主軸回転速度と上記基準主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定する主軸回転制御データ決定手段と、研削加工時には上記決定された主軸回転制御データに基づいて上記回転手段を制御する制御手段とを備え、主軸の回転速度が被加工物の曲率半径に応じて変化するように、かつこれに伴う単位回転角度間の回転速度変化量が大きい部分でのデータが低くなるように主軸回転速度を設定する構成としている。
【0014】
請求項7の発明では、請求項6において、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径をρとし、主軸回転速度をωとしたときに、制御手段は主軸回転速度ωが1/ρに比例して変化するように回転手段を制御する構成としている。
【0015】
請求項8の発明では、請求項6または7において、上記主軸回転速度修正手段は、リフト部分において回転速度変化量が規定範囲を越えている角度を修正開始点または修正終点として主軸回転速度を修正する構成としている。
【0016】
【発明の作用】
従って、請求項1の発明によれば、第1の算出手段により、被加工物の曲率半径が算出される。そして、第2の算出手段により、上記算出された曲率半径に基づいて主軸の回転角度に対する主軸回転速度が算出される。すなわち、曲率半径が大きくなると、加工部分で発生する摩擦抵抗が大きくなる。従って、このような場合には、主軸の回転速度を遅くして、摩擦抵抗の増大を抑制する。一方、曲率半径が小さいと、加工部分で発生する摩擦抵抗が小さくなるので、このような場合には、主軸の回転速度を速くする。その結果、被加工物の回転に伴って曲率半径が変化したとしても、被加工物に対する熱的影響が均一化され、仕上げ面の高品位化が実現することとなる。
【0019】
しかも、こうして得られた主軸回転速度から第3の算出手段により、時間変化に対する回転砥石の移動位置を求め、第4の算出手段により、回転砥石の移動加速度が算出され、この算出の結果、判定手段により、移動加速度が規定値を越えていた場合には、基準主軸回転速度修正手段により、主軸回転速度算出の基準となる基準主軸回転速度が修正され、第2、第3、第4の算出手段を経て、判定手段により規定値以内と判定されたときに、主軸回転制御データ決定手段により、最新の基準主軸回転速度およびこれに基づく主軸回転角度に対する主軸回転速度が主軸回転制御データとして決定される。そして、研削加工時には、この決定された主軸回転制御データに基づいて回転手段が制御される。
【0020】
このように、主軸の回転に追従するように回転砥石の移動手段の能力を越えない範囲で主軸の回転速度を適正に設定することにより、回転手段および移動手段のスムーズな制御がなされることとなる。
【0021】
請求項2の発明によれば、ωは1/ρに比例して変化する。言い換えれば主軸回転速度ωは、曲率半径ρが大きくなるのに従って遅くなり、曲率半径ρが小さくなるのに従って速くなる。
【0022】
請求項3の発明によれば、第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果から曲率半径を主軸回転角度に対応するデータに変換したのち、このデータをもとに主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出するため、算出が容易になされる。
【0023】
請求項4の発明によれば、第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果をもとに被加工物角度に対する主軸回転速度を算出したのち、この主軸回転速度を主軸回転角度に対応するデータに変換するため、算出が容易になされる。
【0024】
請求項5の発明によれば、基準主軸回転速度修正手段は、基準主軸回転速度の修正量を回転砥石の移動加速度の最高値と規定値との差に応じて算出し、適正な修正量が与えられるため、基準主軸回転速度の修正および回転速度の算出が短時間でなされる。
【0025】
請求項6の発明によれば、第1の算出手段により、被加工物の曲率半径が算出される。そして、第2の算出手段により、上記算出された曲率半径に基づいて主軸の回転角度に対する主軸回転速度が算出される。すなわち、曲率半径が大きくなると、加工部分で発生する摩擦抵抗が大きくなる。従って、このような場合には、主軸の回転速度を遅くして、摩擦抵抗の増大を抑制する。一方、曲率半径が小さいと、加工部分で発生する摩擦抵抗が小さくなるので、このような場合には、主軸の回転速度を速くする。その結果、被加工物の回転に伴って曲率半径が変化したとしても、被加工物に対する熱的影響が均一化され、仕上げ面の高品位化が図られることとなる。
【0026】
しかも、こうして得られた主軸回転速度から第3の算出手段により、主軸回転角度に対する主軸単位回転角度間の回転速度変化量が算出され、この算出の結果、判定手段により、回転速度変化量が規定範囲を越えていた場合には、主軸回転速度修正手段により、第2の算出手段で算出された主軸回転角度に対する主軸回転速度に対してリフト部分の最小回転度幅を広げるように主軸回転速度が修正され、主軸回転制御データ決定手段により、修正後の主軸回転速度と基準主軸回転速度が主軸回転制御データとして決定される。もしくは、判定手段により規定範囲内と判定されたときに、主軸回転制御データ決定手段により、第2の算出手段により算出された主軸回転角度に対する主軸回転速度と基準主軸回転速度が主軸回転制御データとして決定される。そして、研削加工時には、この決定された主軸回転制御データに基づいて回転手段が制御される。
【0027】
このように、特に主軸回転速度の変化量の大きい部分でのデータが低くなるように主軸回転速度が修正されるため、研削加工時、主軸の回転速度がこの回転速度制御データによって制御されるとき、多少の速度の時間ずれがあったとしても異常加工は回避されることになる。
【0028】
請求項7の発明によれば、ωは1/ρに比例して変化する。言い換えれば、主軸回転速度ωは、曲率半径ρが大きくなるのに従って遅くなり、曲率半径ρが小さくなるのに従って速くなる。
【0029】
請求項8の発明によれば、主軸回転速度修正手段は、リフト部分において回転速度変化量が規定範囲を越えている角度を修正開始点または修正終点として主軸回転速度を修正するため、適正な角度位置でデータ修正がなされ、これにより、微小な速度変更があったとしても良好な加工がなされる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を研削盤に具体化した第1実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
【0031】
図1の一部破断側面図および図2の平面図に示すように、ワーク支持台1は基台2の一方の側部上面に移動機構(図示省略)により水平方向(図2Z方向)へ移動可能に支持されている。主軸台3はワーク支持台1の上面に配設され、カムシャフトWの一端を着脱可能に支持するための主軸4及びその主軸4を回転させるための回転手段としてのサーボモータよりなる主軸用モータ5を備えている。また、カムシャフトWにはカム形状の複数の被加工物Waが軸線方向へ所定の間隔をおいて形成され、これらの被加工物Waの外周面が被研削面Wbとなっている。そして、被加工物Waはその被研削面Wbを研削されることにより、非真円体としてのカム23として形成される。
【0032】
ホルダ6は主軸4との間隔を調整自在にワーク支持台1の上面に配設され、前記カムシャフトWが主軸4とこのホルダ6との間においてZ方向へ延びるように回転可能にかつ着脱可能に支持される。そして、カムシャフトWは、この支持状態で主軸用モータ5の駆動に伴い所定の方向へ回転する。エンコーダ7は主軸用モータ5に取り付けられ、このエンコーダ7からの検出信号が後述するNC装置18に入力される。
【0033】
砥石台8は前記基台2上にカムシャフトWの軸線と直交する水平方向(図2X方向)へ移動可能に支持されている。サーボモータよりなる移動用モータ9は基台2の他方の側部に取り付けられ、この移動用モータ9によりボールスクリュー10が回転して、砥石台8をカムシャフトWと接近又は離間する方向へ移動させる。本実施の形態では、移動用モータ9及びボールスクリュー10等により、移動手段が構成されている。エンコーダ11は移動用モータ9に取り付けられ、このエンコーダ11からの検出信号が後述するNC装置18に入力される。回転砥石12は、その研削面がカムシャフトWと対向するように砥石台8の一端に支軸13により回転可能に支持されている。砥石用モータ14は砥石台8上に配設され、この砥石用モータ14の出力をプーリ15、16及びベルト17を介して砥石12に伝達して一方向へ回転させる。
【0034】
第1の算出手段、第2の算出手段、第3の算出手段、第4の算出手段、判定手段、基準主軸回転速度修正手段、主軸回転制御データ決定手段および制御手段を構成するNC装置18は、装置全体の動作を制御するためのものである。このNC装置18は、各種演算処理を行うCPU(中央処理装置)19、装置全体の動作を制御するためのプログラム等を記憶したROM(リードオンリーメモリ)20、及び各種情報を一時的に記憶するRAM(ランダムアクセスメモリ)21を有している。
【0035】
前記RAM21には、加工対象となる各種の被加工物Waにそれぞれ対応して、仕上げ後の最終カム形状に基づくリフトデータが予め記憶されている。図3および図4(a)に示すように、このリフトデータは、最終的に得られるカム23(図3に2点鎖線で示す)の回転中心Oから外周面までの半径方向における長さr(Ai)を、被加工物Waの単位角度毎に設定したものである。尚、被加工物Waの角度Aiとは、被加工物Waをその半径方向に沿って延びる直線によって単位角度毎に分割したときに、各半径方向線が0度を示す所定の半径方向線に対してなす角度を表すものである。そして、ここでは、図3に示すように、カム23の基礎円部分23a(半径方向における長さr(Ai)が一定の部分)の中間位置をP1としたとき、その位置P1と被加工物Waの回転中心Oとを結ぶ半径方向線が、0度(=角度A1)を示す半径方向線として設定されている。
【0036】
すなわち、NC装置18は、図5のフローチャートに示すように、ステップS1において、ワークの種類によってリフトデータr(Ai)を決定し、ステップS2において、被加工物Waに対する砥石12の切り込み量△Hを決定する。切り込み量△Hとは、被加工物Waが1回転するとき、砥石12を被加工物Waの外周面からどの程度の深さまで切り込ませるかを、被加工物Waの外周面に接する接線と直交する方向に長さで表したものである。
【0037】
さらに、ステップS3において、砥石12の半径Rが決定されると、NC装置18は、ステップS4において、被加工物Waが各角度Aiの位置において砥石12と接触するときの主軸回転角度θ(Ai)を算出して、RAM21に記憶する。
【0038】
つまり、図3に示すように、被加工物Waに対する砥石12の研削点Qiが被加工物Waの各角度Aiの位置と対応しているときの主軸回転角度θ(Ai)を求める。この主軸回転角度θ(Ai)は、研削点Qiが被加工物Wa上の前記位置P1と対応しているときの角度θ(A1)を0度として設定してある。
【0039】
被加工物Waに対する砥石12の研削点Qiが、被加工物Waの回転中心Oと砥石12の回転中心Piとを結ぶ直線上に常に位置していれば、被加工物Waの角度Aiとそれに対応する主軸回転角度θ(Ai)とは常に同一の値となる。しかし、図3に示すように、非真円形状をなす被加工物Waを所定の半径Rを有する砥石12で研削する場合には、前記研削点Qiが両回転中心O、Piを結ぶ直線に対して上下にシフトする。従って、被加工物Waの角度Aiとそれに対応する主軸回転角度θ(Ai)とは、常に同一の値にはならない。その結果、等角度毎に設定されている被加工物Waの角度Aiに対して、主軸回転角度θ(Ai)は等角度毎の値として算出されない。
【0040】
この関係をもとにして、NC装置18は、ステップS5において、主軸4の回転角度θiと砥石12の移動位置すなわち砥石台8の移動位置Xとの関係を設定した制御データとしてのプロフィールデータXiを算出し、RAM21に記憶する。図4(b)に示すように、このプロフィールデータXiは、主軸4が1回転する間における砥石台8のX方向の移動位置Xを、主軸4の単位回転角度毎に設定したものである。
【0041】
つまり、図4(a)における主軸回転角度θ(Ai)に対応するリフトデータr(Ai)を、図4(b)に示すように、等角度毎の主軸回転角度θiに対応する被加工物Waの回転中心Oと研削点Qiとの間の距離riに変換して、この距離riと砥石半径Rとに基づいて、プロフィールデータXiを算出する。
【0042】
また、NC装置18は、ステップS6において、リフトデータr(Ai)に基づいて、被加工物Waの研削点Qiにおける曲率半径ρ(Ai)を、被加工物Waの角度Aiにそれぞれ対応して算出して,RAM21に記憶する。つまり、図3に示すように、研削点Qiが被加工物Wa上の各角度Aiの位置と対応しているときの曲率半径ρ(Ai)を求める。続いて、NC装置18は、ステップS7において、ステップS4にて算出された関係をもとにして、曲率半径ρ(Ai)を、所定の補間式を用いた補間演算(例えばスプライン補間演算)により、等角度毎の主軸回転角度θiに対応する曲率半径ρiに変換し、RAM21に記憶する。
【0043】
図6は、主軸4の回転角度θiと曲率半径ρiとの関係を表わすグラフである。同図より明らかなように、主軸4の回転に伴い、被加工物Waに対する砥石12の曲率半径ρiは大きく変化する。
【0044】
次に、主軸回転の制御データとするべく主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiの算出が行われる。まず、ステップS8において、基礎円部分23aの基準主軸回転速度ω0が設定される。この基準主軸回転速度ω0はカム23の基礎円部分23aが砥石12に接触している時の主軸回転速度であり、最初は予め設定されているこの基準主軸回転速度ω0が用いられる。そして、ステップS9において、図4(b)に示すように、NC装置18は、主軸4の回転速度ωiが前記算出された曲率半径ρiの値に応じて変化するように、その主軸回転速度ωiを主軸4の単位回転角度毎に算出して、RAM21に記憶する。
【0045】
具体的には、NC装置18は、下記の式(1)を用いて主軸4の回転速度ωiを算出する。
【0046】
ωi=K1×ω0×(ρ0/ρi)…(1)
ここで、ρ0はカム23の基礎円部分23aにおける半径である。K1は装置固有の補正係数であり、各装置毎に予め設定されている。
【0047】
図6および図18に示すように、カム23の突出部分23bにおいては、前述のように曲率半径ρiが変化する。従って、カム23の基礎円部分23aが砥石12に接触しているときの主軸回転速度ω0を基準の回転速度としたとき、主軸4の回転速度ωiが、その基準回転速度ω0に対して前記曲率半径ρiに反比例して変化するように、主軸回転速度ωiを前記式(1)に従って主軸4の単位回転角度毎に算出する。言い換えれば、主軸回転速度ωiは1/ρiに比例して変化するように設定される。その結果、主軸回転速度ωiは、曲率半径ρiが大きくなるに従って小さく設定され、曲率半径ρiが小さくなるに従って大きく設定される。
【0048】
図7は、基準主軸回転速度ω0を例えば55rpmに設定した場合において、上記式(1)より算出されたデータに基づいて主軸回転角度θiと主軸回転速度ωiの関係を表したグラフである。
【0049】
そして、このグラフに示した主軸回転速度ωiを研削加工時の主軸回転制御データとして用いた場合、この制御データに基づいて主軸4が回転制御され、この主軸4の回転に追従してプロフィールデータXiをもとにして、砥石台8が移動制御される。移動用モータ9には、通常、その性能に応じて移動加速度αの最大限を示す規定値αaが予め設定されている。この規定値αaを越えないように運転するために、算出された制御データに対し、砥石台8の移動加速度αを考慮する必要がある。
【0050】
このためNC装置は、ステップS10ないしステップS12によって、時間tの変化に対する砥石台移動加速度αの算出を行う。ステップS10において、ステップS9で算出された主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiとステップS5で算出されたプロフィールデータXiとに基づいて、時間tの変化に対する砥石台位置Xを算出する。図8はこの算出されたデータに基づいて時間tと砥石台位置Xの関係を表わしたグラフである。次に、ステップS11において、上記砥石台位置Xのデータより砥石台移動速度vを算出する。図9はこの算出されたデータに基づいて時間tと砥石台移動速度vの関係を表わしたグラフである。さらに、ステップS12において、上記砥石台移動速度vのデータより砥石台移動加速度αを算出する。図10はこの算出されたデータに基づいて時間tと砥石台移動加速度αの変化を表わしたグラフである。
【0051】
そして、この砥石台移動加速度αに対しステップS13において、規定値αaとの比較がなされる。図10に示すようにカム23の突出部分23bにおける2箇所のリフト部分23c、23dに対応して加速度αの特に高い部分が見られる。この点の最高値αhが規定値αa以内にあるか否かが判定される、図10においては明らかに規定値αaを越えており、このような場合、ステップS14において、ステップS8で設定された基準主軸回転速度ω0に対しその値を小さくするように修正する。修正量△ω0は予め設定された所定量ずつ行う。或いは、演算により最高値αhと規定値αaとの差に応じた修正量△ω0を求めることも可能である。この修正によって、再びステップS8ないしS13を繰り返す。
【0052】
ステップS8では、ステップS14にて修正された後の基準主軸回転速度ω0が設定され、ステップS9によって同様にして主軸回転速度ωiの算出が行われる。図11は、図7に対し基準主軸回転速度ω0を例えば40rpmに修正したときの主軸回転角度θiと主軸回転速度ωiとの関係を表わしたグラフである。
【0053】
さらに、ステップS10ないしステップS12によって、同様にして砥石移動加速度αの算出が行われる。その結果、時間tと砥石台移動加速度αとの関係を表わしたグラフが図12である。
【0054】
そして、ステップS13にて規定値αaと比較され、図12で明らかなように、砥石台移動加速度αの最高値αhは規定値αa以内に下がっており、ここで規定値αa以内であると判定される。この判定により、ステップS15において、主軸回転の制御データが決定される。すなわち、直前のステップS8およびステップS9にて設定および算出された最新の基準主軸回転速度ω0および主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiが主軸回転制御データとして決定され、RAM21に記憶される。
【0055】
すなわち、上記ステップS6が第1の算出手段に相当し、ステップS7、S8、S9が第2の算出手段に相当し、ステップS10が第3の算出手段に相当し、ステップS11、S12が第4の算出手段に相当し、ステップS13が判定手段に相当し、ステップS14が基準主軸回転速度修正手段に相当し、そして、ステップS15が主軸回転制御データ決定手段に相当している。
【0056】
こうして設定された主軸回転制御データω0、ωiとプロフィールデータXiとに基づいて、被加工物Waの研削加工が行われる。
【0057】
研削加工時、NC装置18は前記各エンコーダ7,11からの検出信号に基づいて、主軸4の回転角度θに対する回転速度ωを演算するとともに、砥石台8のX方向における移動位置X等を演算する。そして、制御手段としてのNC装置18は、これら演算結果、前記設定した主軸回転速度ωiおよびプロフィールデータXiに基づき、主軸用モータ5および移動用モータ9を回転制御して、主軸4をその回転角度θiに応じた速度で回転させるとともに、その主軸4の回転角度θiに応じて砥石台8をX方向へ移動させる。また、NC装置18は、前記ワーク支持台1のZ方向への移動制御を行って、所定の被加工物Waを砥石12と対向配置させる。これらの結果、所定の被加工物Waがリフトデータr(Ai)に対応した非真円形状に研削されて、図3に2点鎖線で示すようなカム23が形成される。
【0058】
さて、上記のように構成されたカム研削盤においては、被加工物Waに対応するリフトデータr(Ai)に基づいて、被加工物角度Aiに対する曲率半径ρ(Ai)が算出され、これより、主軸4の回転角度θiに対する曲率半径ρiが算出される。そして、主軸4の回転速度ωiが前記算出された曲率半径ρiの値に応じて変化するように、その主軸回転速度ωiが主軸4の単位回転角度毎に設定される。そして、研削加工時には、主軸用モータ5が前記設定された主軸回転速度ωiに基づいて主軸4の単位回転角度毎に回転制御される。
【0059】
すなわち、カム23は非真円形状をなしているため、被加工物Waの回転に伴って、前記曲率半径ρi、言い換えれば加工部分で発生する摩擦抵抗が変化する。そして、曲率半径ρi(摩擦抵抗)が大きくなると、被加工物Waに与える熱的影響が大きくなる。しかし、このような場合には、主軸4の回転速度ωiが遅くなるように主軸用モータ5が回転制御され、加工負荷が抑制される。一方、曲率半径ρi(摩擦抵抗)が小さくなると、主軸4の回転速度ωiが速くなるように主軸用モータ5が回転制御される。
【0060】
その結果、この実施の形態では次のような効果を奏する。
【0061】
(1)被加工物Waの回転に伴って曲率半径ρiが変化したとしても、加工部分で発生する摩擦抵抗が均一化され、研削焼けや研削割れなどの熱的損傷を与えることなく、高品位な仕上げ面を得ることが可能となる。
【0062】
(2)前記曲率半径ρiの変化に伴い、砥石12に対する回転抵抗も比例して変化する。しかし、この場合も、前述のように曲率半径ρiの変化に応じて主軸4の回転速度ωiが変化するように主軸用モータ5が回転制御されるので、砥石12を回転させるための砥石用モータ14に対する負荷の変動が抑制され、砥石12が微振動を発生することなくスムーズに回転して、高精度な加工が可能となる。
【0063】
(3)この実施の形態では、曲率半径ρiが主軸4の単位回転角度毎に算出されるとともに、それらに基づき、主軸4の回転速度ωiが主軸4の単位回転角度毎に予め設定される。そして、研削加工時には、主軸用モータ5が前記設定された主軸回転速度ωiに基づいて主軸4の単位回転角度毎に回転制御される。このように、主軸4の回転速度ωiを研削加工前に予め設定しておくことにより、主軸用モータ5をスムーズに制御できる。また、主軸用モータ5を主軸4の単位回転角度毎に正確かつ確実に制御できる。
【0064】
(4)さらに、上記のように算出された主軸回転速度ωiに対し、これに追従する砥石台8の移動加速度αが算出され、この加速度αが規定値αa以内になるように、基準主軸回転速度ω0を修正することにより、これに基づいて主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiを修正するようにしたため、砥石台8の移動用モータに無理をかけることのない、スムーズな運転が可能となり、その結果、加工精度の向上を実現できる。
【0065】
(第2実施形態)
次に本発明を具体化した第2実施形態を図13および図14に基づいて説明する。
【0066】
この第2実施形態は、図14のフローチャートに示すように、ステップS1〜ステップS6およびステップS10〜ステップS15については前記第1実施形態と同様な手順で行なわれるが、ステップS6とステップS10との間における主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiの算出の手順が前記第1実施形態とは異なっている。
【0067】
すなわち、ステップS6までに、図13(a)に示すように、被加工物Waの角度Aiに対応してリフトデータr(Ai)および曲率半径ρ(Ai)がRAM21に設定された後、NC装置18は、ステップS8において基礎円部分23aの基準主軸回転速度ω0が設定されると、次にステップS16において、上記基準主軸回転速度ω0に基づいて、曲率半径ρ(Ai)の値に応じて変化する主軸回転速度ω(Ai)を、下記の式(2)に従って求める。
【0068】
ω(Ai)=K1×ω0×(ρ0/ρ(Ai))…(2)
上記式(2)に従って算出された主軸回転速度ω(Ai)は、被加工物角度Aiに対応しており、すなわち等角度毎ではない主軸回転角度θ(Ai)に対応するものである。そのため、次に、ステップS9において、上記主軸回転角度θ(Ai)に対応する主軸回転速度ω(Ai)を、図13(b)に示すように、等角度毎の主軸回転角度θiに対応する主軸回転速度ωiに変換する。すなわち、主軸回転角度θ(Ai)およびそれに対応する主軸回転速度ω(Ai)に基づいて、所定の補間式を用いた補間演算(例えばスプライン補間演算)により、等角度毎の主軸回転角度θiに対応する主軸回転速度ωiを算出する。
【0069】
この実施形態では、上記ステップS6が第1の算出手段に相当し、ステップS8、S16,S9が第2の算出手段に相当し、ステップS10が第3の算出手段に相当し、ステップS11、S12が第4の算出手段に相当し、ステップS13が判定手段に相当し、ステップS14が基準主軸回転速度修正手段に相当し、そしてステップS15が主軸回転制御データ決定手段に相当する。
【0070】
このようにしても、前記実施の形態と同様に、制御手段としてのNC装置18は、主軸4の回転速度ωiが曲率半径ρiに応じて変化するように、主軸用モータ5を主軸4の単位回転角度毎に制御できる。その他の作用効果は、前記第1実施態様と同様である。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図15〜図17に基づいて説明する。
【0072】
この第3実施形態は、図15のフローチャートに示すように、ステップS1〜ステップS9までは前述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。第3実施形態では、ステップS9にて、曲率半径ρiに応じて変化する主軸回転速度ωiが算出された後における主軸回転制御データ決定の方法が第1実施形態と異なっている。
【0073】
すなわち、ステップS9で主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiが算出された後、ステップS17において、上記算出された主軸回転速度ωiに基づいて主軸回転角度θiに対する主軸単位回転角度間の回転速度変化量dω/dθを算出する。図16はステップS9の算出結果に基づいて主軸回転角度θiと主軸回転速度ωiとの関係を表わしたグラフであり、図17はこの主軸回転速度ωiの算出データに基づいてステップS17にて算出された主軸回転角度θiと主軸単位回転角度間の主軸回転速度変化量dω/dθとの関係を表わしたグラフである。
【0074】
こうして主軸回転速度変化量dω/dθが算出されると、次にステップS18において、この速度変化量dω/dθが規定範囲内か否かが判定される。図17に示すようにカム23の両リフト部分23c,23dの始点付近と終点付近において特に速度変化量dω/dθが大きく変化する角度位置θa、θb、θc、θdがある。
【0075】
このような速度変化量dω/dθをもつ主軸回転速度ωiのデータを主軸回転制御データとして研削加工を行ったとき、例えば主軸4の回転に僅かでも速度の時間ずれが生じた場合すなわち角度ずれが生じた場合には、被加工物Waの研削点Qiに対し適応する回転速度ωiとは全く相反した回転速度で研削が行われてしまうため、その位置で異常加工が起こる可能性がある。このような事態を防止するために、ステップS18、S19を設けている。
【0076】
ステップS18において、回転速度変化量dω/dθが規定範囲Eを越えているか否かが判定される。図17においては明らかに規定範囲Eを越えたものがあり、このような場合、ステップS19において、ステップS9で算出された主軸回転速度ωiのデータに対し、主にリフト部分23c、23dについて修正を行う。この修正は図16で実線で示す算出値のうちの各最小回転速度ωL1、ωL2に合わせて同図二点鎖線で示すように角度θ方向に各最小回転速度ωL1、ωL2の幅をそれぞれ広げるようにデータ修正する。この方法は、単に予め設定された所定幅に修正してもよいが、ここでは速度変化量dω/dθが規定範囲Eを越えた箇所の角度位置θa、θbを修正の始点或いは終点に決めて最小回転速度の線を延設するように修正を行う。このように修正することにより、理論計算に基づく主軸回転速度ωiの変化量dω/dθが大きい部分でのデータが低く設定されるので、良好な加工ができる。
【0077】
ステップS20において、上記修正された主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiと上記基準主軸回転速度ω0とを主軸回転制御データとして決定し、もしくはステップS18での判定の結果、回転速度変化量dω/dθが規定範囲E以内のときには上記ステップS9で算出された主軸回転角度θiに対する主軸回転速度ωiと上記基準主軸回転速度ωiとを主軸回転制御データとして決定し、RAM21に記憶する。
【0078】
すなわち、上記ステップS6が第1の算出手段に相当し、ステップS7、S8、S9が第3の算出手段に相当し、ステップS17が回転速度変化量算出手段に相当し、ステップS18が判定手段に相当し、ステップS19が主軸回転速度修正手段に相当し、そしてステップS20が主軸回転制御データ決定手段に相当する。
【0079】
そして、研削加工時には、制御手段としてのNC装置18により、上記設定された主軸回転制御データω0、ωiとプロフィールデータXiに基づいて主軸用モータ5および砥石台8の移動用モータ9が制御される。
【0080】
このように、主軸4の回転速度ωiが被加工物Waと砥石12との曲率半径ρiに応じて変化するように、かつこれに伴う単位回転角度間の回転速度変化量dω/dθが大きい部分でのデータが低くなるように主軸回転速度ωiが設定される。
【0081】
その結果、この実施の形態では次のような効果を奏する。
【0082】
(1)被加工物Waの回転に伴って曲率半径ρiが変化したとしても、加工部分で発生する摩擦抵抗が均一化され、研削焼けや研削割れなどの熱的損傷をあたえることなく、高品位な仕上げ面を得ることができる。
【0083】
(2)前記曲率半径ρiの変化に伴い、砥石12に対する回転抵抗も比例して変化する。しかし、この場合も、前述のように曲率半径ρiの変化に応じて主軸4の回転速度ωiが変化するように主軸用モータ5が回転制御されるので、砥石12を回転させるための砥石用モータ14に対する負荷の変動が抑制され、砥石12が微振動を発生することなくスムーズに回転して、高精度な加工が可能となる。
【0084】
(3)この実施の形態では、曲率半径ρiが主軸4の単位回転角度毎に算出されるとともに、それらに基づき、主軸4の回転速度ρiが主軸4の単位回転角度毎に予め設定される。そして、研削加工時には、主軸用モータ5が前記設定された主軸回転速度ωiに基づき主軸4の単位回転角度毎に回転制御される。このように、主軸4の回転速度ωiを研削加工前に予め設定しておくことにより、主軸用モータ5をスムーズに制御できる。また、主軸用モータ5を主軸4の単位回転角度毎に正確かつ確実に制御できる。
【0085】
(4)この実施形態で設定された回転制御データω0、ωiに基づいて主軸回転が制御されるとき、多少の速度の時間ずれがあったとしても、異常加工を回避することができ、円滑かつ良好な研削加工を行うことができる。
【0086】
(5)また、リフト部分23c、23dにおいて回転速度変化量dω/dθが規定範囲Eを越えている角度位置を修正開始点または修正終点として主軸回転速度ωiを修正することにより、適正な角度位置でデータ修正が行え、これにより、微小な速度変更があっても良好な加工が行える。
【0087】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、次のような優れた効果を奏する。
【0088】
請求項1の発明によれば、主軸の回転速度が、被加工物の曲率半径に応じて変化するように、回転手段が制御されるので、研削加工時における摩擦抵抗の増大を制御して、加工品位の低下を防ぐことができるという優れた効果を奏する。また、回転手段をスムーズに制御できるとともに、主軸の単位回転角度毎に正確かつ確実に制御できる。
【0091】
しかも、主軸の回転に追従するように回転砥石の移動手段の能力を越えない範囲で主軸の回転速度を適正に設定することにより、回転手段および移動手段をスムーズに制御できる。
【0092】
請求項2の発明によれば、主軸回転速度ωを、曲率半径ρが大きくなるのに従って遅くでき、曲率半径ρが小さくなるのに従って速くできる。
【0093】
請求項3の発明によれば、曲率半径を主軸回転角度に対応するデータに変換したのち、このデータをもとに主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出するため、算出を容易に行うことができる。
【0094】
請求項4の発明によれば、被加工物角度に対する主軸回転速度を算出したのち、この主軸回転速度を主軸回転角度に対応するデータに変換するため、算出を容易に行うことができる。
【0095】
請求項5の発明によれば、基準主軸回転速度の修正量を回転砥石の移動加速度の最高値と規定値との差に応じて算出し、適正な修正量が与えられるため、基準回転速度の修正および回転速度の算出が短時間でできる。
【0096】
請求項6の発明によれば、主軸の回転速度が、被加工物の曲率半径に応じて変化するように、回転手段が制御されるので、研削加工時における摩擦抵抗の増大を抑制して、加工品位の低下を防ぐことができるという優れた効果を奏する。また、回転手段をスムーズに制御できるとともに、主軸の単位回転角度毎に正確かつ確実に制御できる。
【0097】
しかも、特に回転速度の急激に変化する角度にあるリフト部分に対し最小回転速度が与えられる角度幅を広げるように主軸回転速度を修正を行うため、主軸の回転速度がこの回転速度制御データによって制御されるときには、多少の速度の時間ずれがあったとしても異常加工が生じるのを防ぐことができる。
【0098】
請求項7の発明によれば、主軸回転速度ωを、曲率半径ρが大きくなるのに従って遅くでき、曲率半径ρが小さくなるのに従って速くできる。
【0099】
請求項8の発明によれば、主軸回転速度修正手段は、リフト部分において回転速度変化量が規定範囲を越えている角度を修正開始点または修正終点として主軸回転速度を修正するため、適正な角度位置でデータ修正を行うことができ、これにより、微小な速度変更があったとしても良好な加工を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる非真円体の研削装置の一実施形態を示す本発明を具体化した研削盤の一部を破断した側面図である。
【図2】図1に示した研削盤の平面図である。
【図3】被加工物Waに対する研削状態を説明するための概略図である。
【図4】第1実施形態を示し、(a)は被加工物Waの角度Aiに対応するリフトデータr(Ai),曲率半径ρ(Ai)および主軸回転角度θ(Ai)を示す説明図、(b)は等角度毎の主軸回転角度θiに対応する距離ri,プロフィールデータXi,曲率半径ρiおよび主軸回転速度θiを示す説明図である。
【図5】主軸回転制御データ決定までの手順を示す第1実施形態のフローチャートである。
【図6】主軸回転角度θiと曲率半径ρiとの関係を示すグラフである。
【図7】主軸回転角度θiと曲率半径ρiに対応した主軸回転速度ωiとの関係を示すグラフである。
【図8】時間tと砥石台位置Xとの関係を示すグラフである。
【図9】時間tと砥石台移動速度vとの関係を示すグラフである。
【図10】時間tと砥石台移動加速度αとの関係を示すグラフである。
【図11】修正後の主軸回転角度θiと主軸回転速度ωiとの関係を示すグラフである。
【図12】修正後の主軸回転速度ωiに基づく時間tと砥石台移動加速度αとの関係を示すグラフである。
【図13】第2実施形態を示し、(a)は被加工物Waの角度Aiに対応するリフトデータr(Ai),曲率半径ρ(Ai),主軸回転速度ω(Ai)および主軸回転角度θ(Ai)を示す説明図、(b)は等角度毎の主軸回転角度θiに対応する距離ri,プロフィールデータXiおよび主軸回転速度ωiを示す説明図である。
【図14】主軸回転制御データ決定までの手順を示す第2実施形態のフローチャートである。
【図15】主軸回転制御データ決定までの手順を示す第3実施形態のフローチャートである。
【図16】第3実施形態を説明するための主軸回転角度θiと曲率半径ρiに対応した主軸回転速度ωiとの関係を示すグラフである。
【図17】第3実施形態を説明するための主軸回転角度θiと主軸単位回転角度間の主軸回転速度変化量dω/dθとの関係を示すグラフである。
【図18】被加工物Waに対する研削状態を説明するための概略図である。
【符号の説明】
4 主軸
5 主軸用モータ(回転手段)
8 砥石台
9 移動用モータ(移動手段)
10 ボールスクリュー(移動手段)
12 回転砥石
14 砥石用モータ
18 第1の算出手段,第2の算出手段,第3の算出手段,第4の算出手段,判定手段,回転速度修正手段,主軸回転制御データ決定手段および制御手段等を含むNC装置
23 カム
Wa 被加工物
O 回転中心
θi 主軸回転角度
ρi 曲率半径
Qi 研削点
ri 回転中心と研削点との間の距離
ω0 基準主軸回転速度
ωi 主軸回転速度
x 砥石台移動位置
α 砥石台移動加速度
αa 規定値
△ω0 修正量
dω/dθ 主軸回転速度変化量
E 規定範囲
Claims (8)
- 被加工物を装着した主軸を回転させる回転手段と、被加工物の外周面を研削する回転砥石を前記主軸に対して交差する方向へ相対移動させる移動手段とを備え、主軸を回転させながら、主軸の回転角度と回転砥石の移動位置との関係を設定した制御データに基づいて移動手段を制御して、被加工物を所定の非真円形状に研削する非真円体の研削装置において、
被加工物の形状データに基づいて、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径を算出する第1の算出手段と、
非真円形状の基礎円部分に対応して予め設定された基準主軸回転速度と上記算出された曲率半径とに基づいて主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出する第2の算出手段と、
上記算出された主軸回転速度と上記制御データとに基づいて時間変化に対する回転砥石の移動位置を算出する第3の算出手段と、
上記算出された移動位置に基づいて時間変化に対する回転砥石の移動加速度を算出する第4の算出手段と、
上記算出された移動加速度が予め設定された規定値以内か否かを判定する判定手段と、
上記判定の結果に基づいて、移動加速度に規定値を越えたものがあるときには上記基準回転速度を下げるように修正し、再び第2の算出手段ないし第4の算出手段に算出を行わせる基準主軸回転速度修正手段と、
上記判定の結果に基づいて、移動加速度が規定値以内のときには最新の基準主軸回転速度とこれに基づく最新の主軸回転角度に対する主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定する主軸回転制御データ決定手段と、
研削加工時には上記決定された主軸回転制御データに基づいて上記回転手段を制御する制御手段と
を備え、主軸の回転速度が被加工物の曲率半径に応じて変化するように、かつこれに伴う回転砥石の移動加速度が規定値以内になるように主軸の回転速度を設定することを特徴とする非真円体の研削装置。 - 被加工物角度に対する被加工物の曲率半径をρとし、主軸回転速度をωとしたときに、制御手段は主軸回転速度ωが1/ρに比例して変化するように回転手段を制御する請求項1に記載の非真円体の研削装置。
- 上記第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果から主軸回転角度に対する曲率半径を算出する手段を有する請求項1または2に記載の非真円体の研削装置。
- 上記第2の算出手段は、第1の算出手段による算出結果から被加工物角度に対する主軸回転速度を算出する手段を有する請求項1または2に記載の非真円体の研削装置。
- 上記基準主軸回転速度修正手段は、基準主軸回転速度の修正量を回転砥石の移動加速度の最高値と上記規定値との差に応じて算出する手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の非真円体の研削装置。
- 被加工物を装着した主軸を回転させる回転手段と、被加工物の外周面を研削する回転砥石を前記主軸に対して交差する方向へ相対移動させる移動手段とを備え、主軸を回転させながら、主軸の回転角度と回転砥石の移動位置との関係を設定した制御データに基づいて移動手段を制御して、被加工物を所定の非真円形状に研削する非真円体の研削装置において、
被加工物の形状データに基づいて、被加工物角度に対する被加工物の曲率半径を算出する第1の算出手段と、
非真円形状の基礎円部分に対応して予め設定された基準主軸回転速度と上記算出された曲率半径とに基づいて主軸回転角度に対する主軸回転速度を算出する第2の算出手段と、
上記算出された主軸回転速度に基づいて主軸回転角度に対する主軸単位回転角度間の回転速度変化量を算出する回転速度変化量算出手段と、
上記算出された回転速度変化量が予め設定された規定範囲内か否かを判定する判定手段と、
上記判定の結果に基づいて、回転速度変化量に規定範囲を越えたものがあるときには上記第2の算出手段による主軸回転速度に対して非真円形状のリフト部分における最小回転速度幅を広げるように主軸回転速度を修正する主軸回転速度修正手段と、
上記修正された主軸回転角度に対する主軸回転速度と上記基準主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定し、もしくは上記判定の結果に基づいて回転速度変化量が規定範囲内のときには上記第2の算出手段による主軸回転角度に対する主軸回転速度と上記基準主軸回転速度とを主軸回転制御データとして決定する主軸回転制御データ決定手段と、
研削加工時には上記決定された主軸回転制御データに基づいて上記回転手段を制御する制御手段と
を備え、主軸の回転速度が被加工物の曲率半径に応じて変化するように、かつこれに伴う単位回転角度間の回転速度変化量が大きい部分でのデータが低くなるように主軸回転速度を設定することを特徴とする非真円体の研削装置。 - 被加工物角度に対する被加工物の曲率半径をρとし、主軸回転速度をωとしたときに、制御手段は主軸回転速度ωが1/ρに比例して変化するように回転手段を制御する請求項6に記載の非真円体の研削装置
- 上記主軸回転速度修正手段は、リフト部分において回転速度変化量が規定範囲を越えている角度を修正開始点または修正終点として主軸回転速度を修正する請求項6または7に記載の非真円体の研削装置。
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