JP3573941B2 - ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物及び該組成物を含有する化粧料 - Google Patents

ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物及び該組成物を含有する化粧料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細藻類の抽出物を有効成分として含有し、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物及び該組成物を含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒアルロニダーゼは皮膚や哺乳動物組織に広く分布しており、ヒアルロン酸の加水分解に関与する酵素である。一方、ヒアルロン酸は皮膚、項靱帯、大動脈、腱、骨、目の角膜、心臓弁、血清、脳、ある種の肉腫及び水腫等に存在するムコ多糖類の1種であり、組織においては蛋白質との複合体となって粘稠な状態を呈しており、この複合体は細胞間で結合水を除去し、ゼリー状のマトリクスを形成して細胞を保持し、細胞間質における物質の移動を抑制し、関節では潤滑剤的な作用を呈し、又細菌の侵入や毒物の浸透を防止すると云う重要な機能を有している。
【0003】
老化又は病的状態により皮膚に存在するヒアルロン酸が減少すると、細胞の保湿力が低下することにより乾燥、肌荒れ、シミ、皺の原因となることが報告されている。尚、ヒアルロニダーゼは炎症時に活性化され、蛋白質-ヒアルロン酸複合組織を破壊し、血管の透過性を亢進すること、I 型アレルギーにおける肥満細胞からのヒスタミン遊離の過程に関与している可能性の高いことが知られており、従ってヒアルロニダーゼ阻害活性は生体中のヒアルロン酸レベルに関与するのみならず抗炎症活性、抗アレルギー活性及び抗アトピー活性にも関与するものと考えられ、事実抗炎症剤及び抗アレルギー剤として開発された化学合成品であるアスピリン、インドメタシン、クロモグリク酸ナトリウム等にヒアルロニダーゼ阻害作用が認められている。
【0004】
現在、天然物由来のヒアルロニダーゼ阻害剤としてはジュ、ゲンノショウコ、シャクヤク、エイジツ、アセンヤク、ビンロウジ、紅茶及び緑茶の抽出物が報告され (特開平 2 - 11520 号公報)、又緑藻類のヒトエグサ属、アオサ属、アオノリ属、ハネモ属、イワヅタ属、ミル属、褐藻類のマツモ属、オキナワモズク属、モズク属、カジメ属、レッソニア属、マクロシスティス属、ヒバマタ属、アスコフィラム属、ダービリア属、紅藻類のアマノリ属、マクサ属、ヒラクサ属、オバクサ属、フノリ属、キリンサイ属、スギノリ属、Iridaea 属、ツノマタ属、ダルス属、イギス属に属する海藻の抽出物が報告されている (特開平 9 - 67266 号 公報)。
【0005】
一方、近年公衆衛生に対する人々の関心が高まっており、抗菌性を有する製品の研究開発が盛んに行われている。殊に、天然物由来の抗菌性物質は副作用の心配も少なく、安全性の面から注目され、植物由来の抗菌性物質の研究が多くなされており、微細藻類から抗菌性物質を抽出する試みも盛んに行われている。これまで微細藻類由来の抗菌性物質としては、ハプト藻綱のイソクリシス目に属するプレウロクリシスの藻体から分離された多糖類は抗菌活性を有することが報告されている (特開平 7 - 25780 号公報)。
【0006】
このように従来合成品が使用されていた分野において、その有効成分を天然物に求める傾向は現在も増加の一途を辿り、人体に安全で且つ効果の優れた物質が求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題乃至目的】
しかしながら、既述のように、従来報告されてきたるヒアルロニダーゼ活性阻害剤は生薬類や茶類及び一部の海藻類の抽出物に限られていた。
従って、本発明の目的は従来報告されていない種類の微細藻類からの抽出物を有効成分とするヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、このようなヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物を含有する化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決し、所期の目的を達成するために種々の微細藻類について鋭意検討を行った結果、藍藻綱 (Cyanophyceae) ネンジュモ目 (Nostcales) のノストック属 (Nostoc) 及びユレモ目 (Oscillatoriales) のスピルリナ属(Spirulina)、紅藻綱 (Rhodophyceae) チノリモ目 (Porphyridiales) のポルフ ィリディウム属 (Porphyridium) 及びロデラ属 (Rhodella)、緑藻綱(Chlorophyceae) オオヒゲマワリ目(Volvocales) のデュナリエラ属(Dunaliella)、ハプト藻綱 (Haptophceae) イソクリシス目 (Isochrysidales)プリュウロクリシス属 (Pleurochrysis) に属する微細藻類の抽出物がヒアルロニダーゼ阻害活性を有していることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0009】
藍藻綱におけるネンジュモ目のノストック属に属する藻類としては N.flagelliforme、N. commune、N. linckia、N. muscorum 及び N. verrucosum を例示することができ、ユレモ目のスピルリナ属に属する藻類としては S.platensis、S. majar、S. maxima 及び S. subsalsa を例示することができ、紅藻綱におけるチノリモ目のポルフィリディウム属に属する藻類としては P.purpureum 及び P. cruentum を例示することができ、ロデラ属に属する藻類としては R. maculate 及び R. violacea を例示することができ、緑藻綱 におけるオオヒゲマワリ目のデュナリエラ属に属する藻類としては D. salina 及び D. tertiolecta を例示することができ、ハプト藻綱におけるイソクリシス目のプリュウロクリシス属に属する藻類としては P. carterae 及び P. haptonemafera を例示することができる。これら藻類の抽出物はヒアルロニダーゼ阻害活性を有している。
【0010】
上記の藻類の内で S. platensis、S. majar、S. maxima、S. subsalsa、P.purpureum、P. cruentum、D. salina、D. tertiolecta、P. carterae 及び P.haptonemafera の抽出物については抗菌活性をも有していることが確認された。
【0011】
本発明による化粧料としてはシャンプー、ボディシャンプー、リンス、石鹸、ローション、化粧水、乳液及びクリームを例示することができる。
【0012】
原料としての微細藻類は天然のものをその侭利用することもできるが、安定供給の面から培養により増殖させて使用することが望ましい。藻類は光合成を行って自らのエネルギーとしているため、培養は光照射の下に藻類培養用の培地を用い、通常の培養方法により行うことができる。但し、藻類によって培養方法が若干異なるために最適な培養条件を設定する必要があり、既述の藻類の内で代表的なものについて具体的な培養条件を述べれば下記の通りである。
【0013】
(1) N. flagelliforme の培養
培地は淡水性藍藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば Modefied Detmer medium を用いることができる。但し、N.flagelliforme は陸生であり、液体培地を用いた培養は困難であるために、上記培地に寒天を 1.5 重量% 添加した培地を用いる。即ち、イオン交換水 1000mlに対して、KNO 1g、MgSO・7HO 250mg、KHPO 250mg、NaCl 100mg 及び CaCl・2HO 10mg を添加した溶液を調製し、この溶液に FeSO・7HO 3.2g/l を含む金属イオン溶液 1ml と、HBO 286mg/l、MnSO・7HO 250mg/l、ZnSO・7HO 22.2mg/l、CuSO・5HO 7.9mg/l 及び NaMoO・2HO 2.1mg/lを含有する微量元 素混合溶液 1ml を添加した後に、pH を 9.0 に調整し、これに寒天を 15g/l の割合で添加したものが培地として使用される。この寒天培地をシャーレ (90mmφx 15mm) に約 10ml 流し込み、固まったところに N. flagelliforme を接種して培養する。尚、N. flagelliforme は他の藻類と比較して増殖速度が遅いために、培養は 20 - 30 日間継続して行う必要性がある。培養は明期 16 時間及び 暗期 8 時間のサイクルとし、蛍光灯を光源として照度を 100 - 150μEinsteins/m/sec の条件に設定するのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0014】
(2) S. platensis の培養
培地は一般的な淡水産藍藻類を培養する際に用いられるものであれば格別な制限はなく、例えば SOT medium を用いることができる。即ち、イオン交換水1000ml に対して、NaNO 2.5g、KSO 1.0g、KHPO 500mg、NaCl 1.0g、MgSO・7HO 200mg、CaCl・2HO 40mg、FeSO・7HO 10mg、NaEDTA・2HO 80mg 及び NaHCO 16.8g を添加した溶液を調製し、これに HBO 286mg/l、MnSO・7HO 250mg/l、ZnSO・7HO 22.2mg/l、CuSO・5HO 7.9mg/l、NaMoO・2HO 2.1mg/l を含有する微量元素混合溶液を 1ml 添加したものが培地として使用される。培 養は、S. platensis の細胞数が 5 - 7 x 10cells/ml となるように上記の培地に接種し、2 リットル容のガラス製扁平フラスコを用いて行われる。培養期間は 7 - 10 日間が適当であり、培養は炭酸ガスを 5% 濃度となるように混合した空気を適当な通気手段により導入する好気的条件下において且つ蛍光灯を光源として照度を100 - 150μ Einsteins/m/sec に設定し、連続光照射下で行うのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0015】
(3) P. purpureum の培養
培地は一般的な海産性紅藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば Modified Koch medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過海水 1 リットルに対して KNO 0.75g、KHPO 25mg、MgSO・7HO 20mg、クエン酸アンモニウム鉄 2.5mg を添加することにより培地を調製した。この培地に、P. purpureum の細胞数が 10 - 20×10cells/ml となるように接種し、2 リットル容のガラス製扁平フラスコにて培養した。培養期間は 5 - 7 日間が適当であり、培養は炭酸ガスを 5% 濃度となるように混合した空気を適当な通気手段により導入する好気的条件下において且つ蛍光灯を光源として照度を10 - 30μ Einsteins/m/sec に設定し、連続光照射下で行うのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0016】
(4) Rhodella sp. の培養
培地は一般的な海産性紅藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば Modified Koch medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過海水 1000ml に対して KNO 0.75g、KHPO 25mg、MgSO・7HO 20mg、クエン酸アンモニウム鉄 2.5mg 及びニトリル三酢酸 10mg を添加することにより調製することができる。培養は Rhodella sp. の細胞数が 5 - 7×10cells/ml となるように上記の培地に接種し、2 リットル容のガラス製扁平フラスコにて培養した。培養期間は 7 - 10 日間が適当であり、培養は空気を適当な通気手段により導入する好気的条件下で且つ蛍光灯を光源として照度を10 - 30μ Einsteins/m/sec に設定し、連続光照射下において行うのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0017】
(5) C. pyrenoidosa の培養
培地は一般的な淡水産性緑藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば MC medium を用いることができる。即ち、イオン交換水 1000ml に対して KNO 1.25g、MgSO・7HO 1.25g 及び KHPO 1.25g を添加した溶液を調製し、これに FeSO・7HO 320mg/l を含む金属イオン溶液 1ml と HBO 286mg/l、MnSO・7HO 250mg/l、ZnSO・7HO 22.2mg/l、CuSO・5HO 7.9mg/l、NaMoO・2HO 2.1mg/l とを含有する微量元素混合溶液 1ml を添加したものを培地として用いる。
尚、培養は既述の第 (2) 項に記載の方法に準じて行うことができる。
【0018】
(6) D. salina の培養
培地は一般的な海産性緑藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はないが、塩濃度が 2M となるようにする。即ち、新鮮な濾過海水 1000ml に対して NaCl 116.88g、KNO 80mg、MgSO・7HO 0.6mg、KHPO 30mg 及び NaHCO 420mg を添加した溶液を調製し、これに CuSO・5HO 19.6mg/l、ZnSO・7HO 44mg/l、CoCl・6HO 20mg/l、MnCl・4HO 360mg/l、NaMoO・2HO 12.6mg/l 及び Fe-EDTA 10g/l を含有する微量元素混合溶液 1ml を添加することにより培地を調製する。
尚、培養は既述の第 (2) 項に記載の方法に準じて行うことができる。
【0019】
(7) P. carterae の培養
培地は一般的な海産性ハプト藻類を培養する際に用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば Eppley's medium を用いることができる。即ち、新鮮な濾過海水 1000ml に対して KNO 50.5mg 及び KHPO 8.7mg を添加した溶液に、CuSO・5HO 19.6mg/l、ZnSO・7HO 44mg/l、CoCl・6HO 20mg/l、MnCl・4HO 360mg/l、NaMoO・2HO 12.6mg/l 及び Fe-EDTA 10g/l からなる微量元素混合溶液 1ml を添加し、次いでチアミン塩酸塩 200mg/l、ビオチン 1mg/l、シアノコバラミン 0.2mg/l を含有するビタミン混合溶液 1ml を添加することにより培地を調製した。培養は P. carterae の細胞数が 10 - 20×10cells/ml となるように培地に接種し、2 リットル容のガラス製扁平フラスコを用いて行った。培養期間は 5 - 7 日間が適当であり、培養は空気を適当な通気手段により導入する好気的条件下に且つ蛍光灯を光源として照度を 40μ Einsteins/m/sec に設定し、連続光照射下において行うのが好ましい。培養温度は 20 - 25℃ であり、23℃ 付近が望ましい。
【0020】
このようにして得られた微細藻類からヒアルロニダーゼ阻害物質は下記の手法により抽出される。
(a) 培養した藻体を収集し、藻体濃度が 1 - 70% となるように水を添加し、室温 - 90℃ で約 1 - 24 時間程度抽出処理し、次いで濾過して濾液を凍結乾燥させる (試料 1)、
(b) 藻体濃度が 1 - 70% となるように 10 - 80% のエタノール水溶液を添加し、室温 - 90℃で 1 - 24 時間抽出処理し、濾過し、濾液からエタノールを除去し、次いで凍結乾燥させる (試料 2)、
(c) 藻体 100g に 5 倍量の水を添加して 90℃ で約 3 時間撹拌し、遠心分離により得られた上澄みに最終濃度が 80% となるようにエタノー ルを添加して分画し、次いで上澄みのエタノールを除去して凍結乾燥する (試料3)、
(d) 上記 (c) 項のエタノール分画による析出物を凍結乾燥する (試料 4)、
(e) 藻体 10g に 10 倍量の 80% エタノール水溶液を添加して 90℃ で約 3 時間環流し、遠心分離し、得られた上澄みからエタノールを除去して凍結乾燥する (試料 5)。
【0021】
上記のようにして得られた微細藻類の抽出物は、基本的には、ヒアルロニダーゼ阻害活性を示すが、濾過後の残査又は遠心分離後の沈査はこれらの活性を示さない (後記の試験例における試料 4 の項参照)。このことは、この種の微細藻類においてヒアルロニダーゼ阻害活性は分子量の大きい多糖類等の高分子物質に起因するものだけではなく、それ以外の低分子物質であるアミノ酸や低分子糖及び脂質等により発現されるものと推定される。
【0022】
【製造例等】
次に、製造例、試験例により本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
【0023】
製造例 1
(a) 熱水抽出 : 各種微細藻類について、下記の表 1 に示す条件にて熱水抽出を行い、得られた乾燥粉末を試料 1 とした。
【0024】
【表1】
Figure 0003573941
【0025】
(b) エタノール抽出 : 下記の表 2 に示す条件にて 50% 濃度のエタノール水溶液を用いて抽出処理を行ない、得られた乾燥粉末を試料 2 とした。
【0026】
【表2】
Figure 0003573941
【0027】
(c) 熱水抽出エタノール分画 (上澄み): P. carterae 100g に 5 倍量の水を添加して 90℃ で約 3 時間撹拌し、遠心分離により得られた上澄みに最終濃度が 80% となるようにエタノールを添加して分画し、次いで上澄みのエタノールを除去して凍結乾燥することにより、乾燥粉体 5.9g を得た。これを試料 3 とした。
【0028】
(d) 熱水抽出エタノール分画 (析出物) : 一方、上述のエタノール分画による析出物を凍結乾燥し、乾燥粉体 13.3g を得た。これを試料 4 とした。
【0029】
(e) エタノール還流抽出 : P. carterae 10g に 10 倍量の 80% エタノール水溶液を添加して 90℃ で約 3 時間環流し、遠心分離し、得られた上澄みからエタノールを除去して凍結乾燥することにより、乾燥粉体 1.55g を得た。これを試料 5 とした。
【0030】
試験例 1 (ヒアルロニダーゼ活性阻害試験)
上記方法にて得られた微細藻類由来の抽出物のヒアルロニダーゼ阻害活性を、各抽出物のヒアルロニダーゼに対する 50% 阻害濃度 (IC50) を求めることにより行った。即ち、所定濃度に調整した被験試料 1 又は被験試料 2 に、牛の睾丸由来のヒアルロニダーゼ 0.1ml (type 4-S、最終酵素活性 400NF units/ml、シ グマ社製) を溶解した 0.1M 酢酸緩衝液 (pH 4.0) 0.2ml を添加し、37℃ で 20分間インキュベートした。更に、活性化剤 0.2ml (Compound 48/80、Sigma 社製、CaCl、NaCl の最終濃度がそれぞれ 0.1mg/ml、2.5mM、0.15M となるように上記の酢酸緩衝液に溶解したもの) を添加し、37℃ で 20 分間インキュベートした。これに雄性家禽の鶏冠由来のヒアルロン酸カリウム (和光純薬株式会社製) 溶液 0.5ml を添加し、37℃ で 40 分間インキュベートした後、0.4N NaOH 0.2ml を添加して反応を停止させた。10 分間氷冷後、硼酸緩衝液 (pH 9.1)0.2ml を添加し、3 分間煮沸した後、再び 10 分間氷冷し、次いで、 p-ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬 6ml を添加し、37℃ で 20 分間インキュベートした。得られた反応液について 585nm における吸光度を測定した。尚、ブランクとして上記の試料溶液や酵素溶液の代わりに酢酸緩衝液を添加したものを用いた。阻害活性は次式から求められる阻害率で示される。
【0031】
阻害率 (%) = [1 - (C - D)/(A - B)] x 100
A : 被験試料ブランクの吸光度
B : 酢酸緩衝液の吸光度
C : 被験試料と酵素の反応溶液の吸光度
D : 酵素 blank の吸光度
【0032】
各微細藻類の抽出物の阻害率から 50% 阻害濃度 (IC50) を算出した結果は下記の表 3 に示されている通りであり、藍藻綱ネンジュモ目の N. flagelliforme及びユレモ目の S. platensis、紅藻綱チノリモ目の P. purpureum 及び Rhodella. sp.、緑藻綱クロロコックム目の C. pyrenoidosa 及びオオヒゲマワリ目の D. salina、ハプト藻綱イソクリシス目の P. carterae の抽出物にヒアルロニダーゼ阻害活性が認められた。尚、参考としてヒアルロニダーゼ阻害物質として知られているクロモグリク酸ナトリウムについて同様に調べた結果も併せて示されている。
【0033】
【表3】
Figure 0003573941
【0034】
試験例 2 (抗菌性試験)
既述の製造例 1 により得たハプト藻 (P. carterae) 抽出物を被験試料として抗菌活性試験を下記の要領で行った。即ち、黄色ブドウ球菌 (Staphylococcusaureus) を 37℃ において 17 - 48 時間培養した後、普通寒天培地 30ml を流し込んだシャーレに塗布した。次いで、ペーパーディスクに被験試料をしみ込ませたものを上記の寒天表面に載置し、37℃ において 12 時間培養して最小阻止濃度 (MIC = mg/ml) を求めた。結果は下記の表 4 に示されている通りであり、熱水抽出物 (被験試料 1)、エタノール抽出物 (被験試料 2)、熱水抽出エタノール分画の上澄み (被験試料 3) 及びエタノール還流抽出物 (被験試料 5) に抗菌活性が認められ、殊に熱水抽出エタノール分画の上澄み (被験試料 3) に優れた抗菌活性が認められた。しかしながら、熱水抽出エタノール分画の沈査 (被験試料 4) は抗菌活性を示さないことが判明した。
【0035】
【表4】
Figure 0003573941
【0036】
製造例 2 (ボディシャンプー)
下記の表 5 に示される原料 (A)、(B) 及び (C) をそれぞれ 80℃ で加熱して固形物を溶解させた後に、原料 (A) に 原料 (B) を徐々に添加しながら撹拌し、次いで原料 (C) を添加して撹拌した後、冷却して液温を 30℃ になすことにより所望のボディシャンプーを調製した。
【0037】
【表5】
Figure 0003573941
【0038】
製造例 3 (ローション)
下記の表 6 に示される諸原料を混合して、常法により所望のローションを調製した。
【0039】
【表6】
Figure 0003573941
【0040】
製造例 4 (クリーム)
下記の表 7 に示される原料 (A) 及び (B) をそれぞれ 80℃ に加熱して固形 物を溶解させた後に、原料 (B) を 原料 (A) に添加して撹拌することにより乳 化させ、次いで撹拌しつつ冷却して品温を 30℃ になすことにより、所望のクリームを調製した。
【0041】
【表7】
Figure 0003573941
【0042】
試験例 3 (使用テスト)
上記の製造例 2 - 4 において得られたボディシャンプー、ローション及びクリームについて、女性ボランティア 6 名による使用評価を行った。即ち、ボディシャンプー、ローション及びクリームを 1 セットとして 3 ヶ月間毎日使用してもらい、その後、本発明に係るスピルリナ熱水抽出物を成分から除外したもの(対照品) についても使用してもらい、既述の製造例による本発明品と対照品とに関し肌荒れ防止、肌の張り、肌の艶について下記の表 8 に示される基準に従って評価した。
【0043】
【表8】
Figure 0003573941
【0044】
試験の結果は後記の表 9 に示されている。数値はボランティアの評価した点数の合計であり、点数の合計が高いほど本発明品が優れていることを示している。その結果、本発明品に関するボランティアの合計点数は何れも高い値を示し、従って本発明品は肌の状態を有意に改善することが明らかとなった。
【0045】
【表9】
Figure 0003573941
【0046】
【発明の効果】
本発明による組成物は微細藻類から抽出されたものであり、従って人体に対する安全性が高く且つヒアルロニダーゼ阻害活性が高いので、この組成物を含有する化粧料を使用することにより、生体中のヒアルロン酸の加水分解が抑制され、これに伴う種々の効果、即ち皮膚細胞の賦活化、皮膚の老化防止、皺や肌荒れの防止、炎症防止、アレルギー防止、アトピー防止効果を期待することができる。
尚、アレルギー性皮膚炎患者の皮膚表面には黄色ブドウ球菌が異常増殖していることが知られているが、本発明に係る組成物は黄色ブドウ球菌に対して抗菌活性を示すので該組成物を含有するクリーム等は、これらの患者に対して有用である。

Claims (3)

  1. 藍藻綱 (Cyanophyceae) ネンジュモ目 (Nostcales) のノストック属 (Nostoc) 及びユレモ目 (Oscillatoriales) のスピルリナ属(Spirulina)、紅藻綱 (Rhodophyceae) チノリモ目 (Porphyridiales) のポルフィリディウム属 (Porphyridium) 及びロデラ属 (Rhodella)、緑藻綱(Chlorophyceae) オオヒゲマワリ目(Volvocales) のデュナリエラ属(Dunaliella)、ハプト藻綱 (Haptophceae) イソクリシス目 (Isochrysidales)プリュウロクリシス属 (Pleurochrysis) に属する微細藻類の抽出物を有効成分として含有し、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有することを特徴とする組成物。
  2. 請求項 1 に記載のヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物を含有していることを特徴とする化粧料。
  3. シャンプー、ボディシャンプー、リンス、石鹸、ローション、化粧水、乳液及びクリームから選択されたものであることを特徴とする請求項2 に記載の化粧料。
JP03093698A 1998-02-13 1998-02-13 ヒアルロニダーゼ阻害活性を有する組成物及び該組成物を含有する化粧料 Expired - Fee Related JP3573941B2 (ja)

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