JP3572989B2 - ペルフルオロアルキル基を有する多面体有機ケイ素化合物 - Google Patents

ペルフルオロアルキル基を有する多面体有機ケイ素化合物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルフルオロ基を含有する、新規なかご型多面体構造の有機ケイ素化合物とその製造方法および用途に関する。本発明の有機ケイ素化合物は、乾式成膜法と湿式成膜法のどちらも適用可能な成膜材料として有用であり、誘電率および屈折率が低く、撥水・撥油性を示し、色素を含有させることによりパターニングが可能で、耐熱性と耐火性を備え、良質な膜を形成することができる。
【0002】
【従来の技術】
テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン (アルキルシリケートとも呼ばれる) は、4官能型シランモノマーである。これらの化合物を加水分解および縮合させた生成物 (実質的に完全に加水分解させたものはシリカゾルと呼ばれる) は、耐熱性、耐食性、透明性に優れた高硬度の膜を形成するため、シリコン系ハードコート剤として、塗料や表面改質材などの成膜用途に従来より広く用いられている。しかし、形成された膜は無機物のシリカ質であるので、膜特性はほぼ決まってくる。
【0003】
一方、上記化合物における4つのアルコキシ基の1つをアルキル基に置換したモノアルキルトリアルコキシシラン (例、モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン等) は3官能型シランモノマーである。この3官能型シランモノマーを加水分解および縮合させた生成物は、アルキル基が残留するので、アルキル基を含有するポリシロキサン型のポリマーとなる。残留するアルキル基が有機化合物としての性質を示すため、この生成物は有機−無機複合材料となる点で注目される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような3官能型シランモノマーから合成された生成物を成膜材料として使用する場合、残留するアルキル基の鎖長を変化させたり、このアルキル基に各種の置換基を導入することにより、膜の特性が変化する可能性があるので、4官能型シランモノマーに比べて応用範囲が広くなるものと期待される。例えば、アルキル基にフッ素基を導入すると、有機フッ素基に固有の撥水・撥油性を示す膜が生成する可能性がある。
【0005】
しかし、実際には、有機フッ素基を有する3官能型シランモノマーから常法に従って加水分解と縮合を経て合成された成膜材料は、高分子体が得られないため、膜の硬度が低くなり、実用に耐えうる膜を形成することが困難であるか、或いは逆にゲル状となって、溶媒に対する溶解性がなくなり、塗布に適さなくなるという問題がある。これらの化合物を加水分解および縮合させて得た生成物は、水分に対する安定性が低く、保存中に変性または析出等を生じて、安定な成膜材料として使用しにくいという難点もある。
【0006】
従来より、基材表面に撥水・撥油性を付与する材料として、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーが利用されているが、この種のポリマーは基材への密着性が乏しく、また有機溶媒中の溶解性が低いので、成膜材料として利用しにくいという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、基材との密着性に優れ、撥水・撥油性を示す、良質な膜を形成することができ、溶液状態で安定に保存できる、成膜材料として好適な有機ケイ素化合物、特にペルフルオロアルキル基を有する有機ケイ素化合物を提供することである。本発明の別の課題は、この有機ケイ素化合物の製造方法および用途を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
モノアルキルトリアルコキシシラン型化合物のアルキル基をペルフルオロアルキル基に置換して、ペルフルオロアルキル基を含有するトリアルコキシシラン型有機ケイ素化合物を得ることは可能であるが、前述したように、このような化合物を常法に従って酸触媒の存在下で加水分解および縮合させて得た材料を成膜に使用しても、良質な膜が得られないので、上記課題の解決策とはならない。また、この化合物の加水分解物は安定性も低い。
【0009】
ペルフルオロアルキル基を有する3官能型シラン化合物には、別の問題点がある。即ち、ペルフルオロアルキル基を有するこの種のシラン化合物は、加水分解と縮合が進んで重合度が増すと、有機溶媒への溶解度が極端に低下するため、炭化水素系シラン化合物や、アルキル基を水素に置換したハイドロジェンシラン化合物に比べて、加水分解を進行させることが困難である。
【0010】
本発明者らは、ペルフルオロアルキル基を有するトリアルコキシシラン化合物を、特定の溶媒中、塩基性触媒の存在下で加水分解および縮合させると、これらの反応が円滑に進行し、かご型の多面体構造を持つ有機ケイ素化合物が生成することを偶然見出した。この有機ケイ素化合物は、特定溶媒に溶解するため、スピンコート等の湿式法と蒸着等の乾式法のいずれでも成膜材料として利用でき、成膜により良質な膜を形成する。形成された膜は、シロキサン結合を主体とする構造のため、炭化水素系の樹脂膜に比べて、耐熱性と耐火性に優れている。この膜は、ペルフルオロアルキル基に起因する撥水・撥油性だけでなく、低い屈折率と誘電率を示すので、低反射膜や低誘電率膜としても有用である。また、特定溶媒に溶解するため、エッチングが可能であり、色素を含有させれば、レーザ等の熱を利用したパターニング用の膜としても利用できる。
【0011】
本発明は以上の知見に基づいて完成したものであり、下記一般式(1) で示される、ペルフルオロアルキル基を含有する多面体構造の有機ケイ素化合物とその製造方法および用途を提供するものである。
【0012】
[Rf−X−(CH−SiO1.5 (1)
式中、Rfは炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、Xは2価結合基、aは0〜10の整数、mは4〜20の整数である。
【0013】
一般式(1) で示される有機ケイ素化合物は、下記一般式(3) で示される化合物を、O、N、F、およびClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒中、水および塩基性化合物の存在下で加水分解および縮合反応を受けさせることにより製造することができる。
【0014】
Rf−X−(CH−Si(Y) (3)
式中、Yは炭素数1〜8のアルコキシ基またはClであり、Rf、X、aは上記と同じ意味である。本明細書において、アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0015】
本発明に係る一般式(1) で示される有機ケイ素化合物は、成膜材料として有用であり、特定の有機溶媒に溶解した状態で使用することができる。この有機ケイ素化合物から形成された膜は、撥水・撥油性、低い屈折率および誘電率を持つので、低誘電率膜、低反射膜、撥水・撥油膜として有用であり、膜中に色素を分散させて含有させることによりパターニング用膜としても利用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
一般に、シロキサン結合 (Si−O−Si) から構成される化合物 (即ち、ポリシロキサン) は、シロキサン結合の立体配置によって、鎖状ポリシロキサン、環状ポリシロキサン、はしご型ポリシロキサン、および多面体 (かご型) ポリシロキサンの4種類に大別される。
【0017】
かご型多面体構造のポリシロキサンは一般式 (RSiO1.5)m なる式で示される有機ケイ素化合物であって、シルセスキオキサン(silsesquioxane)と総称されている (式中、Rは有機基、mは整数) 。この化合物は3官能性シラン化合物の加水分解と縮合により得られる。m (一般式(1) の化合物の場合) またはm+n (一般式(2) の化合物の場合) が8および12である場合の多面体シラン化合物の構造を次に示す。
【0018】
【化1】
Figure 0003572989
【0019】
このような多面体構造を持つ有機ケイ素化合物については、Rがアルキル基、モノフルオロ置換アルキル基、またはペルフルオロフェニル置換アルキル基である化合物が、Eckhard Rikowskiら、Polyhedron, Vol. 16, No. 19, pp. 3357−3361 (1997) 等に報告されているが、ペルフルオロアルキル基で置換されたアルキル基を持つこの種の化合物はこれまで知られていなかった。
【0020】
これは、前述したように、ペルフルオロアルキル基を有するシラン化合物は、加水分解と縮合が進んで重合度が増加するにつれて有機溶媒への溶解度が極端に低下するため、アルキル基が非置換であるか、または水素であるシラン化合物に比べて、加水分解と縮合反応を進行させにくく、多面体構造になるまで縮合を十分に進行させることが困難であったことが理由ではないかと考えられる。
【0021】
本発明では、O、N、F、およびClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒中で、水および塩基性化合物の存在下に加水分解と縮合反応を行うことにより、従来法では困難であったペルフルオロアルキル基を有する多面体構造を持つポリシロキサン化合物の合成が可能となる。その結果、次の反応式に示すように、一般式(3) で示されるペルフルオロアルキル基を有する3官能型シランモノマーから、一般式(1) で示される多面体ポリシロキサン構造を持つ有機ケイ素化合物を得ることができる。
【0022】
【化2】
Figure 0003572989
上記式中、Rf、X、a、Y、およびmは上記と同じ意味である。
【0023】
上記一般式において、Xは好ましくは−CH− 、−O− 、−N(R)−、−S− 、−C(O)O− 、 −CON(R)− および−SON(R)− よりなる群から選ばれ、ここでRは水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基である。Rは好ましくは水素または炭素数1〜4のアルキル基である。Rfは好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数2〜8のペルフルオロアルキル基である。Rfの炭素数が大きい方が、疎水性のより高い膜を形成することができる。一般式(1) で示される有機ケイ素化合物のうち特に好ましいのは、式: (Rf−CH−CH−SiO1.5で示される、X=−CH−、a=1の化合物であるが、X=−CONH−または−SON(C)−、a=3である化合物も好ましい。
【0024】
一般式(3) におけるYは、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基または塩素であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基または塩素である。なお、三つのY基は同一でも異なるものでもよい。一般式(1) におけるmの値は、好ましくは8〜16である。
【0025】
上記反応に触媒として用いる塩基性化合物としては、金属水酸化物、アミン化合物、および第四級アンモニウム塩水酸化物よりなる群から選んだ1種もしくは2種以上を使用することが好ましいが、アンモニア (水酸化アンモニウムまたはアンモニアガス) も使用できる。アミン化合物は第三級アミンが好ましい。塩基性化合物の好ましい例としては、KOH 、NaOH、LiOHなどのアルカリ金属水酸化物、Ca(OH)、Ba(OH)などのアルカリ土類金属水酸化物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン等のアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩水酸化物が挙げられる。
【0026】
シラン化合物の加水分解触媒として、従来は一般に酸 (例、塩酸、硝酸などの鉱酸) が使用されてきたが、酸触媒を使用した場合には、反応が部分的にしか進行せず、上記のかご型の多面体シロキサン生成物を得ることはできない。
【0027】
上記反応に使用する塩基性化合物と水の量は、一般式(3) で示される原料モノマー1モルに対して、塩基性化合物が1×10−5〜2モル、好ましくは1×10−3〜1モルであり、水が1〜20モル、好ましくは 1.5〜6モルである。触媒の塩基性化合物の量が多すぎると反応が急激に進行し、ゲル化を生ずることがある。また、少なすぎると反応が十分に進行せず、未反応物の割合が多くなる。水は原料モノマーの加水分解に必要である。水の量が1モルより少なくなると、加水分解と縮合が十分に進行しない。水が多すぎると、原料モノマーと溶媒が相分離を起こし、目的とする多面体化合物を形成しない。
【0028】
また、本発明の別の態様によれば、一般式(4) 、(5) でそれぞれ示される、いずれもペルフルオロアルキル基を有する、複数種類の (即ち、互いに異なる) 3官能型シランモノマーを出発物質として使用して、上述した一般式(3) で示される1種類のシランモノマーを使用する場合と同様に加水分解および縮合反応を行うことにより、次の反応式に示すように、一般式(2) で示される、1分子中にペルフルオロアルキル基を含有する異なる有機を持った単量体ポリシロキサン構造を持つ有機ケイ素化合物を製造することができる。本発明は、このような有機ケイ素化合物とその製造方法も提供するものである。
【0029】
【化3】
Figure 0003572989
式中、Rf’ とRf” はそれぞれ炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基、X’ とX” はそれぞれ2価結合基、aとbはそれぞれ0〜10の整数、mとnはそれぞれ1〜19の整数、かつm+nは4〜20であり、Y’ とY” はそれぞれ炭素数1〜8のアルコキシ基またはClであり、Rf’ とRf” 、X’ とX” 、およびaとbの少なくとも1つの組合わせは互いに同一ではない。
【0030】
Rf’ とRf” 、およびX’ とX” の具体例や好ましい例は、それぞれRfおよびXについて上述した通りである。一般式(2) で示される有機ケイ素化合物のうち特に好ましいのは、式:(Rf’−CH−CH−SiO1.5(Rf”−CH−CH−SiO1.5で示される、X’ =X” =−CH−で、a=b=1である化合物であるが、X’ とX” が−CONH−または−SON(C)−であり、a=b=3である化合物も好ましい。
【0031】
化合物(4) および(5) から化合物(2) の合成は、上述した化合物(3) から化合物(1) への合成と同様にして実施することができ、塩基性化合物の種類やその使用量、水の使用量も上記と同様でよい。なお、使用するシランモノマーは、2種類に制限されるものではなく、3種類以上の異なる有機シランモノマーを使用してもよい。
【0032】
一般式(1) と(2) のいずれの有機ケイ素化合物を製造する場合についても、反応溶媒は、O、N、F、およびClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒である。溶媒は、原料モノマーと生成ポリマーのどちらも良好に溶解するものを使用する。このような溶媒の例は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、フッ素化および/もしくは塩素化炭化水素類、アミン類、アミド類等である。なお、アミン系溶媒は触媒と溶媒の両方として機能しうる。溶媒は2種以上の混合溶媒としてもよい。
【0033】
好ましい溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリクロロトリフルオロエタン、トリクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、ルチジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0034】
加水分解および縮合反応は、例えば、原料モノマーのシラン化合物を上記の有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に、触媒の塩基性化合物の水溶液を滴下するか、塩基性化合物と水を一緒または別々に滴下または添加することにより実施できる。但し、反応方法はこれに限られるものではない。反応は10〜150 ℃の温度で行うことができるが、高収率を得るには反応温度を50〜120 ℃とすることが好ましい。反応時間は、加水分解と縮合反応が可及的に完結するように設定し、反応温度によっても異なるが、通常は1〜72時間程度である。
【0035】
上記のようにして、一般式(3) で示される3官能型シランモノマーの加水分解および縮合反応を行うと一般式(1) で示されるシロキサン化合物が生成し、一般式(4) および(5) で示される3官能型シランモノマーの加水分解および縮合反応を行うと一般式(2) で示されるシロキサン化合物が生成する。生成物は有機溶媒と水からなる媒質に溶解した状態で得られる。反応液から生成物を単離するには、例えば、有機溶媒と水を留去し、残渣を適当な手法で精製 (例、抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィー) すればよい。或いは、純度が問題にならなければ、反応液をそのまま (例、単に不溶物を濾去しただけで) で成膜材料として使用することができる。また、反応液から水と触媒の塩基性化合物を適当な手法 (例、留去、抽出、水洗等) で除去して生成物が有機溶媒に溶解した溶液にしてもよい。この溶液状態で長期間保存し、成膜材料として使用することができる。
【0036】
生成した多面体シロキサン化合物は、重合体であるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー) による分子量分布の測定で極めて幅の狭いピークを示す、均一重合度 (一定のm値 [一般式(1)]またはm+n値[ 一般式(2)]を持つ化合物である。生成物を29Si−NMRおよびGPC で分析すると、29Si−NMR測定では1つのケイ素原子に対してSi−O−Si 結合を3つ持つ [即ち、 R−Si(O−Si−)骨格に帰属する] 単一のピークのみが得られ、GPC による分子量分布の測定では、ほとんどの場合1本のピークが得られる。これらの結果から、生成した化合物が上記のかご型の多面体構造を持つことがわかる。
【0037】
このシロキサン化合物は、上の
【化1】に示したようなかご型の多面体構造を持ち、加水分解後も残留するペルフルオロアルキル基を有する有機基 [例、一般式(1) ではRf−X−(CH−基] が「かご」の周囲の◎の位置に存在する。
【0038】
この多面体シロキサン化合物は、鎖状のポリシロキサンとは異なり、構造中に反応点 (例、分子末端の水酸基またはアルコキシ基) を全くもたないため、極めて安定である。従って、これを溶液状態で保存しても、変性や析出物を生ずることがないので、保存安定性に優れており、また溶解性も良好に維持される。
【0039】
本発明のペルフルオロアルキル基を有する多面体有機ケイ素化合物は各種目的での成膜材料として有用である。この化合物は、反応に使用することができる前述したような有機溶媒への溶解性に優れているので、溶液の状態でスピンコート、浸漬、スプレー等の各種の湿式成膜法に容易に利用することができる。また、好ましくは固体状態、または溶液状態で、真空蒸着による乾式成膜法を採用することもできる。形成された膜の厚みは特に制限されないが、 0.1〜2μm程度が適当である。湿式成膜後の乾燥は60〜200 ℃で行うことが好ましい。
【0040】
本発明の多面体有機ケイ素化合物から成膜された膜は、多面体構造の表面に現れるペルフルオロアルキル基の存在により、優れた撥水・撥油性を示す。しかし、ポリテトラフルオロエチレンのような撥水・撥油性フッ素樹脂とは異なり、分子の骨組みがシロキサン結合 (−Si−O−Si−) から構成されるため、この膜は各種基材との密着性にも優れている。さらに、シロキサン結合の膜に固有の優れた耐熱性および耐火性も示す。従って、従来にない優れた密着性と耐熱性を備えた撥水・撥油膜となる。この撥水・撥油膜は、例えば、ガラス板への撥水・撥油性の付与といった用途に有用である。
【0041】
この膜は、撥水・撥油性に加えて、屈折率と誘電率が低いという特徴を持つので、低反射膜および低誘電率膜としても有用である。低反射膜は、例えば、TVのブラウン管や各種ディスプレイ装置 (CRT、液晶、EL、プラズマ等) の表面に画質向上のために形成することができる。低誘電率膜は、例えば、半導体素子の層間絶縁膜等として有用である。
【0042】
本発明の多面体有機ケイ素化合物から成る膜はまた、一定温度で気化するので、膜中に色素を分散させれば、レーザ等の熱によるパターニングにも適しており、精密に (高い解像度で) パターニングすることができる。色素は、使用するレーザの波長近傍に吸収極大を有するものが好ましい。成膜は多面体有機ケイ素化合物の溶液を用いて行い、この溶液に適量の色素を添加して溶解させることにより、色素が分散した膜を形成することができる。膜は有機溶媒に溶解可能であるので、パターニングした後、必要に応じてエッチングにより除去することもできる。従って、例えば、半導体素子の微細加工等にレジストとして使用することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0044】
【実施例1】
(CF CH CH SiO 1.5 の合成
磁気攪拌装置、温度計、滴下ロートを備えた容量100 cm 三つ口フラスコに、[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) およびアセトン21.8gを入れ、生成した溶液を50℃に保持しながら、1N−NaOH 水溶液6.0 g(NaOH 6 mmol、水0.3 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で15時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量85%) 。この白色粉を水洗して精製した (精製後の収量80%) 。
【0045】
精製した生成物を、ShodexTMKF801+802 カラムを使用し、0.75 cm/minでテトラヒドロフランを溶離液としてGPC による分子量分布を測定したところ、17.22 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間から、ポリスチレン換算により分子量を算出したところ、m=8の分子量に相当した。
【0046】
この生成物の元素分析結果、IRスペクトル (特徴的ピークのみ、以下同じ) および29Si−NMRスペクトル (標準物質:TMS 、溶媒:アセトン、以下同じ) は下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0047】
以上より、生成物をかご型多面体構造の (CF3CH2CH2SiO1.5)8 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−70.5。
【0048】
精製した生成物の熱特性を、TG−8110 (RIGAKU 製) を用いたTG−DTA測定により調べた。試料を空気中で室温から10℃/minで昇温すると、260 ℃までの重量減少は5%以下と安定な熱特性を示した。さらに昇温を続けると、260 ℃付近で吸熱とともに急激な重量減少を示した。350 ℃まで加熱した後の残留物は5%以下と、ほとんとが揮発していた。さらに、測定後のアルミパンは、試料を入れる前と外観上の変化は見られず、残留物および着色等は認められなかった。
【0049】
【実施例2】
(CF CH CH SiO 1.5 12 の合成
実施例1と同様の反応装置に、[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) およびテトラヒドロフラン65.4gを入れ、得られた溶液を60℃に保持しながら、1N−KOH水溶液 3.0g(KOH 3 mmol 、水0.167 mol)を約30分間かけて滴下した後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量84%) 。この白色粉を水洗により精製した (精製後の収量75%) 。
【0050】
精製した生成物の分子量分布を、実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、16.75 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間から、ポリスチレン換算により分子量を算出したところ、m=12の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0051】
以上より、生成物をかご型多面体構造の (CF3CH2CH2SiO1.5)12と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−71.0
【0052】
【実施例3】
(CF CF CH CH SiO 1.5 10 の合成
実施例1と同様の反応装置に [CFCFCHCHSi(OMe)] 26.8g(0.1 mol) およびアセトン40gを入れ、得られた溶液を50℃に保持しながら、1.25N−NaOH水溶液 7.3g(NaOH 9.1 mmol、水3.7 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量85%) 。この白色粉を水から再沈殿させて精製した (精製後の収量78%) 。
【0053】
精製した生成物の分子量分布を、実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、16.93 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間から、ポリスチレン換算により分子量を算出したところ、m=10の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0054】
以上より、生成物をかご型多面体構造の(CF3CF2CH2CH2SiO1.5)10と同定した。
Figure 0003572989
IR:2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−70.5
精製した生成物の熱特性を実施例1と同様にして測定した。試料を空気中で室温から10℃/minで昇温すると、275 ℃までの重量減少は5%以下と安定な熱特性を示した。さらに昇温を続けると、275 ℃以下で吸熱とともに急激な重量減少を示した。350 ℃まで加熱した後の残留物は5%以下と、ほとんとが揮発していた。さらに、測定後のアルミパンは、試料を入れる前と外観上の変化は見られず、残留物および着色等は認められなかった。
【0055】
【実施例4】
(C CH CH SiO 1.5 10 の合成
容量500 cmの三つ口フラスコを用いた以外は実施例1と同様の反応装置に、 [CCHCHSi(OMe)] 36.8g(0.1 mol) およびアセトン/メタノール(1/1 wt/wt) 混合溶媒 220gを入れ、得られた溶液を50℃に保持しながら、1N−NaOH 水溶液12g(NaOH 12 mmol 、水0.6 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解と縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量80%) 。この白色粉を水洗により精製した (精製後の収量73%) 。
【0056】
精製した生成物の分子量分布を、実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、16.37 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間から、ポリスチレン換算により分子量を算出したところ、m=10の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0057】
以上より、生成物をかご型多面体構造の (C4F9CH2CH2SiO1.5)10 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−71.2
【0058】
【実施例5】
(C 17 CH CH SiO 1.5 の合成
容量1000 cmの三つ口フラスコを用いた以外は実施例1と同様の反応装置に、[C17CHCHSi(OMe)] 56.8g(0.1 mol) および1,1,2−トリクロロ−2,2,1−トリフルオロエタン 500gを入れ、得られた溶液を40℃に保持しながら、水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液34g (塩基37 mmol)と水12g(667 mmol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で3時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去し、得られた粘稠液体を水洗して精製した (精製後の収量76%) 。
【0059】
精製した生成物の分子量分布を、実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、16.03 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間から、ポリスチレン換算により分子量を算出したところ、m=8の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0060】
以上より、生成物をかご型多面体構造の(C8F17CH2CH2SiO1.5)8と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−71.5
【0061】
【実施例6】
(C 15 CONH(CH SiO 1.5 12 の合成
実施例4と同様の反応装置に [C15CONH(CHSi(Cl)] 59.0g(0.1 mol) および1,4−ジオキサン 181.5gを入れ、次にトリエチルアミン1.0 g(9.9 mmol)と水20.0g (1.1 mol)を加えて、100 ℃で12時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去し、残渣を水洗し、その後ヘキサンに投入して不溶分を分離除去して精製した (精製後の収量74%) 。
【0062】
精製した生成物の分子量分布を実施例1と同様にGPC により測定し、ポリスチレン換算により分子量を概算したところ、上記化合物の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは次のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは主に強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0063】
以上より、生成物をかご型多面体構造の(C7F15CONH(CH2)3SiO1.5)12 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1720、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−71.4
【0064】
【実施例7】
(C 17 SO N(C )(CH SiO 1.5 10 の合成
実施例5と同様の反応装置に、[C17SON(C)(CHSi(OEt)] 74.5g(0.1 mol) およびアセトン 670gを入れ、得られた溶液を50℃に保持しながら、水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液 5.5g (塩基6.0 mmol) と水 3.0g(167 mmol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去し、残渣を水洗して精製した (精製後の収量67%) 。
【0065】
精製した生成物の分子量分布を実施例1と同様にGPC により測定し、ポリスチレン換算により分子量を概算したところ、上記化合物の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは次のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0066】
以上より、生成物をかご型多面体構造の(C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5)10 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1400、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−70.9
【0067】
【実施例8】
(CF CH CH SiO 1.5 (C 17 CH CH SiO 1.5 の合成
実施例1と同様の反応装置に[CFCHCHSi(OMe)] 18.7g(0.086 mol) 、 [C17CHCHSi(OMe)] 8.1g(0.014 mol) および溶媒のテトラヒドロフラン27gを入れ、得られた溶液を50℃に保持しながら、1N−NaOH 水溶液 8.0g(NaOH 8.3 mmol、水0.4 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で15時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量85%) 。この白色粉を水から再沈殿させて精製した。
【0068】
精製した生成物の分子量分布を実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、17.09 min に1本のピークが得られた。このピークの溶出時間からポリスチレン換算により分子量を算出したところ、上記化合物の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0069】
以上より生成物をかご型多面体構造の(CF3CH2CH2SiO1.5)7(C8F17CH2CH2SiO1.5)1と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−69.7
精製した生成物の熱特性を実施例1と同様にして測定した。試料を空気中で室温から10℃/minで昇温すると、270 ℃までの重量減少は5%以下と安定な熱特性を示した。さらに昇温を続けると、270 ℃以下で吸熱とともに急激な重量減少を示した。400 ℃まで加熱した後の残留物は5%以下と、ほとんとが揮発していた。さらに、測定後のアルミパンは、試料を入れる前と外観上の変化は見られず、残留物および着色等は認められなかった。
【0070】
【実施例9】
(CF CH CH SiO 1.5 (C SO N(C )(CH SiO 1.5 の合成
実施例4と同様の反応装置に、[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) 、 [CSON(C)(CHSi(OMe)] 12.6g(0.025 mol) および溶媒のトリクロロトリフルオロエタン 103gを入れ、得られた溶液を30℃に保持しながら、水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液 6.0g (塩基6.6 mmol) 、および水7g (0.39 mol) を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次に、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量77%) 。この白色粉を水から再沈殿させて精製した。
【0071】
精製した生成物の分子量分布を実施例1と同様にGPC により測定し、ポリスチレン換算により分子量を概算したところ、上記化合物の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0072】
以上より生成物をかご型多面体構造の(CF3CH2CH2SiO1.5)8(C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5)2 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1400、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−69.5
【0073】
【実施例10】
(C SO N(C )(CH SiO 1.5 (C 17 CH CH SiO 1.5 の合成
実施例4と同様の反応装置に、 [CSON(C)(CHSi(OMe)] 50.3g(0.1 mol) 、[C17CHCHSi(OMe)] 10g(18 mmol) 、および溶媒のアセトン 120gを入れ、得られた溶液を50℃に保持しながら、約0.5N−KOH水溶液8g(KOH 4 mmol 、水0.4 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、白色粉が得られた (収量72%) 。この白色粉を水から再沈殿させて精製した。
【0074】
精製した生成物の分子量分布を実施例1と同様にGPC により測定し、ポリスチレン換算により分子量を概算したところ、上記化合物の分子量に相当した。
この生成物の元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは下記のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い1本のピークが得られた。そのピーク位置は3官能性シロキサンのピークと一致した。
【0075】
以上より生成物をかご型多面体構造の(C4F9SO2N(C3H7)(CH2)3SiO1.5)7(C8F17CH2CH2SiO1.5)1 と同定した。
Figure 0003572989
IR:2920、2960、1400、1130、1070cm-1
29Si-NMR:δ(ppm) =−69.7
【0076】
【比較例1】
実施例1と同様の反応装置に、[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) とアセトン21.8gを入れ、生成した溶液を50℃に保持しながら、0.2N−HCl水溶液1.0 g (HCl 0.2 mmol、水0.056 mol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で15時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、淡黄色の高粘性油状物が得られた (収量81%) 。
【0077】
この生成物の分子量分布を、実施例1と同様にしてGPC により測定したところ、モノマーピークを含む複数のピークが得られた。その元素分析結果、IRスペクトルおよび29Si−NMRスペクトルは次のとおりであった。29Si−NMRスペクトルでは強い3本のピークが得られ、そのピーク位置はモノマーならびに1および2官能性シロキサンのピークと一致した。
【0078】
Figure 0003572989
【0079】
この生成物の熱特性を実施例1と同様にしてTG−DTA測定により調べた。試料を空気中で室温から10℃/minで昇温すると、220 ℃と350 ℃で段階的に重量減少が見られ、残留分は350 ℃で65%であった。さらに400 ℃まで昇温しても、40%以上が残留していた。この残留物はアルミパン上で黒化していた。
【0080】
以上より、酸触媒を使用した場合には、本発明で目的とするかご型多面体構造の有機ケイ素化合物が得られないことがわかる。
【0081】
【比較例2】
実施例1と同様の反応装置に[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) とアセトン21.8gを入れ、生成した溶液を50℃に保持しながら、0.01N−NaOH水溶液 1.0g(NaOH 0.01 mmol 、水0.056 mol)を滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で24時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。次いで、反応液から減圧下で溶媒と水を含む低沸点物を留去すると、無色透明の高粘性油状物が得られた (収量82%) 。
【0082】
この生成物の試料を用いて、実施例1と同様にGPC による分子量分布の測定を行ったところ、モノマーピークを含む複数のピークが得られた。本例では、水の使用量が少なすぎたため、目的とする多面体構造の有機ケイ素化合物を得ることができなかった。
【0083】
【比較例3】
実施例1と同様の反応装置に[CFCHCHSi(OMe)] 21.8g(0.1 mol) とアセトン21.8gを入れ、生成した溶液を50℃に保持しながら、1N−NaOH 水溶液 6.0g(NaOH 6 mmol) を滴下し、次に水34g (水は合計2.2 mol)を滴下した。水の滴下中に白色沈殿を生じた。本例では、水の使用量が多すぎたため、目的とする多面体構造の有機ケイ素化合物を得ることができなかった。
【0084】
【実施例11】
実施例1で得られた反応液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、不溶物を除去した。この溶液を、溶媒の揮発を防ぐようにしたスピンコータを用いて、回転速度4500 rpmでシリコン基板上に塗布し、次いで 150℃に30分間加熱して塗膜を乾燥させることにより成膜して、ペルフルオロアルキル基を持つポリシロキサン膜を形成した。
【0085】
乾燥後の膜厚を走査型電子顕微鏡を用いて測定したところ 0.3μmであった。得られた膜は、無色透明であり、穴や突起のない平滑な面であった。この膜上に直径2mmの円形電極を金蒸着によって作製し、LCR メータ (日本ピューレット・パッカード製:4284A)を用いて金電極とシリコン基板に挟まれた部分の静電容量を測定し、誘電率を算出したところ、誘電率2.95であった。
【0086】
【実施例12】
実施例1で得られた生成した白色粉を使用し、小型真空蒸着装置 LUMINO(日本真空製) を用いて 0.5×10−3 Pa の条件下でシリコン基板に真空蒸着することにより 0.2μm厚の膜を得た。この膜の誘電率を実施例11と同様に求めたところ、2.75であった。
【0087】
【比較例4】
シリコン基板を電気炉中で約 900℃に熱し、その中に飽和水蒸気を5l/min で導入することによってシリコン基板表面にSiO酸化膜を形成した。この酸化膜の膜厚は 0.3μmであった。この膜の誘電率を実施例11と同様に求めたところ 3.7であった。
【0088】
【比較例5】
実施例1と同様の装置にプロピルトリメトキシシラン50gとアセトン50gを入れ、50℃に保持しながら約30分間かけて1N−NaOH 水溶液 6.0gを滴下した。滴下終了後、反応混合物を15時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。得られた反応液を用いて、実施例11と同様にして、スピンコート法による成膜と膜の誘電率の測定を行ったところ、誘電率は 3.5であった。
実施例11で成膜したペルフルオロメチル基を有する膜の誘電率は2.95であるので、ペルフルオロメチル基の導入により膜の誘電率が低下することがわかる。
【0089】
【実施例13】
実施例4で得られた反応液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して、不溶物を除去した。この溶液を、溶媒の揮発を防ぐようにしたスピンコータを用いて、回転速度4500 rpmでガラス基板上に塗布し、次いで 200℃に30分間加熱して塗膜を乾燥させることにより成膜して、ペルフルオロアルキル基を持つポリシロキサン膜を形成した。
【0090】
得られた膜の水との接触角を測定するため、室温で約2μl の水滴をマイクロシリンダの針先に作り、これを塗布面に滴下させ、接触角測定器で塗布面と水との接触角を測定したところ 101°であった。
【0091】
また、ガラス基板の背面 (塗布面と反対側の面) に黒色テープを貼付して背面からの反射を防止してから、塗布面の反射率を反射率測定装置を用いて波長 240mm〜800mm の範囲で測定したところ、反射率は1.3 %であった。
【0092】
【比較例6】
テトラエトキシシランの加水分解物を含有する10%メタノール溶液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して不溶物を除去した。この溶液を用いて、実施例10と同様にガラス基板上への塗布を乾燥を行ってSiO膜を成膜した。
【0093】
この膜の水との接触角および反射率を実施例10と同様に測定したところ、水との接触角は25°、反射率は4%であった。
【0094】
【実施例14】
実施例1で得られた反応液に黒インクを滴下し、十分に攪拌して液を着色した。この着色液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して不溶物を除去した。この着色液にガラス基板を浸漬し、2mm/minの一定速度で基板を引き上げることにより塗布を行った。塗布した基板を150 ℃に30分間加熱して膜を乾燥させた。乾燥後の膜の外観は、目視では穴や突起のない平滑な黒色膜であった。
【0095】
この黒色膜に、波長532 nm、出力180 mJのYAG レーザを1秒、5秒、10秒、および20秒間照射し、照射後の表面状態を観察した。ビーム径はいずれも約1cmであった。膜は1秒のレーザ照射によって、ビーム照射部分のみが完全に焼失し、ガラス面が出た。照射時間が20秒でも結果は同じであった。レーザ光によって膜が焼失した部分には膜の焦げや、変性物などはなかった。
【0096】
【比較例7】
ポリアクリル酸10gを30gのメタノールに溶解し、得られた溶液に黒インクを滴下し、溶液を十分攪拌して着色した。この着色液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して不溶物を除去した。この着色液にガラス基板を浸漬し、2mm/minの一定速度で基板を引き上げることにより塗布を行った。塗布した基板を150 ℃に30分間加熱して膜を乾燥させた。乾燥後の膜の外観は、目視では穴や突起のない平滑な黒色膜であった。
【0097】
このポリアクリル酸の膜に、実施例11と同様にして波長532 nm、出力180 mJのYAG レーザを照射し、表面状態を観察した。膜はレーザ照射によってビームが当たった部分が変質し、ガラス基板上で黒く焼き焦げていた。
【0098】
【比較例8】
実施例1と同様の反応装置に、[CFCHCHSi(OMe)] 50g(0.23 mol)とテトラヒドロフラン50gを入れ、生成した溶液を50℃に保持しながら、0.2N−HCl水溶液6.0 g(HCl 1.2 mmol)を約30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応混合物を同じ温度で15時間攪拌して、加水分解および縮合反応を完結させた。
【0099】
得られた反応液に黒インクを滴下し、溶液を十分に攪拌して、液を黒く着色した。この液を0.45μmのメンブレンフィルターでろ過して不溶物を除去した。この着色液にガラス基板を浸漬し、10 mm/min の一定速度で基板を引き上げることにより塗布を行った。塗布した基板を150 ℃に30分間加熱して膜を乾燥させた。乾燥後の膜の外観は、目視では穴や突起のない平滑な黒色膜であった。
【0100】
このペルフルオロアルキル基を有するポリシロキサンの膜に、実施例11と同様にして波長532 nm、出力180 mJのYAG レーザを照射し、表面状態を観察した。膜はレーザ照射によってビームが当たった部分が変質し、ガラス基板上でやや黒く焼き焦げていた。
【0101】
【発明の効果】
本発明により、特定の有機溶媒に溶解し、溶解状態で安定に保存できる、ペルフルオロアルキル基を有するかご型多面体構造の単一分子量の有機ケイ素化合物が提供される。この有機ケイ素化合物は、湿式法および乾式法により成膜材料として使用するのに適している。この成膜により、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂とは異なり、密着性のよいペルフルオロアルキル基含有膜を各種基材の表面に形成することが可能となる。
【0102】
こうして本発明の有機ケイ素化合物から形成された膜は、ポリシロキサン質であるため、耐熱性や耐火性に優れ、またペルフルオロアルキル基の存在に起因する撥水・撥油性を示す上、低誘電率、低屈折率、高硬度、色素添加によりレーザ等によるパターニングが可能、といった特徴を持ち、また溶媒への溶解性を利用してエッチングが可能であるので、撥水・撥油膜、低誘電率膜、低反射膜、色素添加したパターニング用膜などとして有望である。

Claims (18)

  1. 下記一般式(1) で示される、ペルフルオロアルキル基を含有するかご型多面体構造の有機ケイ素化合物。
    [Rf−X−(CH2)a−SiO1.5]m (1)
    式中、Rfは炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、Xは -CH 2 -, -O-, -N(R)-, -S-, -C(O)O-, -CON(R)- および -SO 2 N(R)- よりなる群から選ばれた2価結合基であり、ここでRは水素または炭素数1〜 10 のアルキル基もしくはアルケニル基であり、aは0〜10の整数、mは4〜20の整数である。
  2. 下記一般式(2) で示される、ペルフルオロアルキル基を含有するかご型多面体構造の有機ケイ素化合物。 .
    [Rf'−X'−(CH2)a−SiO1.5]m[Rf"−X"−(CH2)b−SiO1.5]n (2)
    式中、Rf' とRf" はそれぞれ炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、X'とX"はそれぞれ -CH 2 -, -O-, -N(R)-, -S-, -C(O)O-, -CON(R)- および -SO 2 N(R)- よりなる群から選ばれた2価結合基であり、ここでRは水素または炭素数1〜 10 のアルキル基もしくはアルケニル基であり、aとbはそれぞれ0〜10の整数、mとnはそれぞれ1〜19の整数であり、かつm+nは4〜20であり、Rf' とRf" 、X' とX" 、およびaとbの少なくとも1つの組合わせは互いに同一ではない。
  3. 式: (Rf-CH2-CH2-SiO1.5)m で示される、請求項1記載の有機ケイ素化合物。
  4. 式:(Rf'-CH2-CH2-SiO1.5)m (Rf"-CH2-CH2-SiO1.5)n で示され、Rf' とRf" とが異なる、請求項2記載の有機ケイ素化合物。
  5. X、あるいはX' とX" が、−CONH−または−SO2N(C3H7)−であり、a、またはaとbが3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物。
  6. Rf、Rf' およびRf" が炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物。
  7. Rf、Rf' およびRf" が炭素数2〜8のペルフルオロアルキル基である、請求項記載の有機ケイ素化合物。
  8. 下記一般式(3) で示される化合物を、O、N、F、およびClから選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒中、水および塩基性化合物の存在下で加水分解および縮合反応を受けさせることを特徴とする、下記一般式 (1) で示される、ペルフルオロアルキル基を含有するかご型多面体構造の有機ケイ素化合物の製造方法。
    [Rf−X−(CH2)a−SiO1.5]m (1)
    Rf−X−(CH2)a−Si(Y)3 (3)
    式中、Rfは炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、Xは -CH 2 -, -O-, -N(R)-, -S-, -C(O)O-, -CON(R)- および -SO 2 N(R)- よりなる群から選ばれた2価結合基であり、ここでRは水素または炭素数1〜 10 のアルキル基もしくはアルケニル基であり、は炭素数1〜8のアルコキシ基またはClであり、aは0〜10の整数、mは4〜20の整数である。
  9. 下記一般式 (4) (5) で示される複数種類の化合物を、O、N、F、および Cl から選ばれた少なくとも1種の元素を含有する有機溶媒中、水および塩基性化合物の存在下で加水分解および縮合反応を受けさせることを特徴とする、下記一般式 (2) で示される、ペルフルオロアルキル基を含有するかご型多面体構造の有機ケイ素化合物の製造方法
    [Rf' X' (CH 2 ) a SiO 1.5 ] m [Rf" X" (CH 2 ) b SiO 1.5 ] n (2)
    Rf' X' (CH 2 ) a Si(Y') 3 (4)
    Rf" X" (CH 2 ) b Si(Y") 3 (5)
    式中、 Rf' Rf" はそれぞれ炭素数1〜 20 のペルフルオロアルキル基であり、X ' とX " はそれぞれ -CH 2 -, -O-, -N(R)-, -S-, -C(O)O-, -CON(R)- および -SO 2 N(R)- よりなる群から選ばれた2価結合基であり、ここでRは水素または炭素数1〜 10 のアルキル基もしくはアルケニル基であり、Y ' およびY " はそれぞれ炭素数1〜8のアルコキシ基または Cl であり、aとbはそれぞれ0〜 10 の整数、mとnはそれぞれ1〜 19 の整数であり、かつm+nは4〜 20 であり、 Rf' Rf" 、X ' とX " 、およびaとbの少なくとも1つの組合わせは互いに同一ではない。
  10. 塩基性化合物が金属水酸化物、アミン化合物および第四級アンモニウム塩水酸化物よりなる群から選ばれる、請求項8または9記載の製造方法。
  11. 一般式(3) で示される化合物1モル、または一般式(4) および(5) で示される2種類の化合物の合計1モルに対して、1×10-5〜2モルの塩基性化合物と1〜20モルの水を使用する、請求項8〜 10 のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 加水分解および縮合反応を10〜150 ℃の温度で行う、請求項〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物からなる成膜材料。
  14. 該有機ケイ素化合物が有機溶媒に溶解している、請求項13記載の成膜材料。
  15. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物からなる低誘電率膜。
  16. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物からなる低反射膜。
  17. 請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物からなる撥水・撥油膜。
  18. 分散した色素を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の有機ケイ素化合物からなるパターニング用膜。
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