JP3572375B2 - 内燃機関のヘリカル型吸気ポート - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直噴式ディーゼルエンジン等の内燃機関のヘリカル型吸気ポートの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の直噴式ディーゼルエンジンのヘリカル型吸気ポートの形状としては、図8、図9に示すものが知られている(特開昭59−12124号公報参照)。
【0003】
シリンダヘッド11に設けられる吸気側のヘリカルポート10は、吸気バルブ12の周囲において、バルブガイド15の軸心を中心に螺旋状の旋回部13が形成される。旋回部13にはシリンダヘッド11の直線部16から吸気が流入し、旋回部13を通過するうちに旋回運動が付与され、旋回部13の旋回区域の下方の全域において接続するドーム状のスロート部14を経由して吸気バルブ12の周囲からシリンダ17内に旋回流を生じながら流入する。
【0004】
この場合、旋回部13の螺旋通路を少なくとも2つの螺旋軸を中心とする曲線13a,13bにより形成し、かつ吸気バルブ12の弁軸中心とシリンダ14の中心との位置関係を規定することにより、吸気ポートの流量係数を低下させることなく、シリンダ14内におけるスワールの強化させるようにしている。
【0005】
即ち、この従来例では、主として旋回部13のプランビューからの形状を改良することで吸気特性の改善を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のヘリカルポート10では、旋回部13のプランビューの螺旋形状が同一であっても、吸気の流れは旋回部13の全域から下方のスロート部14へと流れ込み、このため旋回部13の通路断面の形状が変化すると、旋回全域におけるスロート部14に対する吸気の導入を均一にはできず、吸気バルブ12の周囲から流入するスワールの生成能力が変化し、スワール比を適切に設定できない。
【0007】
また、プランビューからの螺旋形状を特定するのみでは、高いスワール生成能力と高い吸気ポート流量係数を両立するヘリカルポートの設計が困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、旋回部の流路形状を適切に設定することにより、高いスワール生成能力とポート流量係数の両立を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、吸気バルブの弁軸を中心にして螺旋状に旋回する旋回部をもち、この旋回部の上流にはポート導入部が接続し、同じく下流の吸気バルブの背面のスロート部とはほぼ旋回全域において開口部を介して接続される内燃機関のヘリカル型吸気ポートにおいて、前記ポート導入部と旋回部との境界となる旋回開始部から、旋回通路断面の上面がスロート部の上面の高さと等しくなる旋回終了部に至るまでの旋回部の総旋回角をβ0としたとき、旋回開始部からの角度βでの通路断面積Sが、旋回開始部の通路断面積S0に対して、
【0010】
【数4】
【0011】
の関係で与えられるように構成するとともに、旋回部とスロート部とを連通する開口部の開口幅を、前記総旋回角β0の全区間で概略一定の距離となるように構成する。
【0012】
第2の発明は、旋回開始部からの角度βでの機関上側からみた旋回部の通路幅Wが、総旋回角β0、旋回開始部での通路幅W0としたとき、
【0013】
【数5】
【0014】
の関係で与えられる。
【0015】
第3の発明は、旋回開始部から角度βでの通路断面のスロート部に対する開口部の幅Lが、開口部の吸気バルブの弁軸中心からの平均半径をRとして、開口面積比をC=1.0〜0.6、総旋回角度β0、旋回開始部での通路断面積S0としたとき、
【0016】
【数6】
【0017】
の関係で与えられる。
【0018】
第4の発明は、吸気バルブを支持すると共に前記スロート部の天井面の一部を構成するバルブガイドボスの底部に加工代を設け、この加工代の高さを調整することにより前記開口幅を調整可能とする。
【0019】
【発明の作用・効果】
第1の発明において 旋回部は吸気バルブを中心にして螺旋状に旋回し、吸気の流れに旋回運動を与える。このとき、旋回開始部から旋回終了部までの旋回区間において、旋回部はスロート部に対して開口部を介して連通し、旋回部の旋回全域からスロート部へと吸気が流れ込む。この場合、旋回開始部から旋回終了部に至る通路断面積は、旋回角度に応じて一定の比率で通路断面積を減少させていき、通路断面積の減少分に相当する吸気量が順次スロート部へと導入される結果、旋回部からスロート部へと開口部を介して導入される吸気量は、旋回区間の全域において略一定にすることができる。これにより、旋回区間の全域をスワール生成のために均等に利用でき、スワール生成効率が高められる。
【0020】
したがって吸気ポートの流量係数を低下させることなく、高いスワール生成能力を発揮し、スワールにより燃焼を改善し、機関出力、燃費と排気組成の向上が図れる。
【0021】
第2の発明において、旋回部の通路幅が一定の比率で減少し、このことは旋回部の半径が旋回全域において滑らかに減少していくことを意味し、また旋回部の断面形状は旋回全域で概略相似形となり、このため旋回部の内周に沿う吸気の流れが円滑となり、整流作用により乱れが減り、吸気ポートのポート流量係数を高くとることができ、吸気導入効率を向上させられ、またスワール生成比率も向上する。
【0022】
第3の発明では、旋回部とスロート部とを連通する開口部の開口幅は、旋回全域において概略一定の距離となり、このため旋回区間の全域にわたり、旋回部からスロート部への吸気の導入速度、導入角運動量を均一に設定でき、これによりスワール生成効率とポート流量係数を向上できる。
【0023】
第4の発明では、加工代を調整してバルブガイドボスの高さを変えると、開口部の開口幅が変化し、これにより同一的に鋳造したシリンダヘッドであっても、そのスワール比を要求に応じて簡単に変更できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1および図2に本発明の第1の実施の形態を示す。
【0026】
まず、第1の実施の形態における構成を説明すると、1はシリンダヘッド、2は吸気バルブ、3は吸気バルブ2の弁軸を中心にして螺旋状に形成される旋回部、4は吸気バルブ2の背面に形成されたドーム状のスロート部、5はバルブガイドボス、6は旋回部3の上流のポート導入部である。
【0027】
ここで旋回部3は、ポート導入部6が接線方向から接続する旋回開始部から、バルブガイドボス5の周りに吸気バルブ2の弁軸を中心にして角度β0の旋回終了部までの区間にわたり設けられ、この総旋回角β0の範囲において、旋回部3はスロート部4に対してその上方から開口部7を介して連通する。なお、総旋回角β0の旋回終了部は旋回部3の通路断面の上面(天井面)が、スロート部4の上面(天井面)とほぼ一致する点をいう。
【0028】
そして、旋回部3の通路断面積Sは、ポート導入部6との接続点、つまり旋回開始部での通路断面積S0が、その旋回角度βが大きくなるに従ってほぼ比例的に減少していき、旋回終了部においてゼロとなるように設定される。
【0029】
いま、旋回開始部から旋回終了部までの旋回部3の総旋回角β0としたとき、旋回部3の通路断面積Sは、次式で表される。
【0030】
【数7】
【0031】
このように旋回部3の旋回区間β0において、図3にも示すように、旋回角βの進行と共に通路断面積Sが一定割合で減少していく結果、旋回部3からスロート部4への開口部7を介しての吸気の導入量も旋回区間の全域にわたり一定となる。
【0032】
つまり、各旋回角βでの旋回部3における通路断面積の減少分に相当する吸気量が、その旋回角βにおいて開口部7からスロート部4へと導入されるわけであるから、旋回区間の全域において通路断面積が一定の割合で減少すれば、旋回部3の全域において旋回部3からスロート部4へと移動する吸気の導入割合が一定となる。
【0033】
これにより、総旋回区間β0の全域をスワール生成のために均等に用いることができ、吸気バルブ2の周囲から均等な流速の旋回流をシリンダ内へと導入して、シリンダ内でのスワール生成効率を向上させられる。
【0034】
また、旋回部3は吸気バルブ2の弁軸中心からの半径rが、旋回角βに応じて次第に減少していくが、このとき、旋回部3の通路断面を略矩形に形成し、そのの幅Wを、図4にもあるとおり、旋回角βと共に断面積Sの減少割合の1/2乗に比例して減少させるにように設定することで、旋回部3の弁軸中心からの半径rは、ポート導入部6の接続点の最大半径r0から旋回部3の終了点(角度=β0)に向かって滑らかに変化する。
【0035】
この旋回部3通路幅Wは、旋回開始部の通路幅W0とすると、次式で表わすことができる。
【0036】
【数8】
【0037】
このようにして、旋回部3の半径rは、ポート導入部6の接続点の最大半径r0から旋回部3の終了点に向かって旋回全域において滑らかに減少していく。
【0038】
また、旋回部3の通路断面積Sの減少が一定比率であるから、旋回部3の通路断面の縦方向の高さHは、旋回部3の幅Wに略比例(Sの変化率の1/2乗に比例)する。従って旋回部の断面形状は大略相似形となる。
【0039】
このように、旋回部3の通路断面の形状が略相似形に変化するため、旋回部3の内周に沿う吸気の流れが整流され、乱れることが少ない。このため、吸気ポートのポート流量係数を高くとることができ、吸気導入効率を向上させられ、またスワール生成比率も向上する。
【0040】
旋回部3とスロート部4とを連通する開口部7の開口幅Lは、旋回部3の全域において、つまり旋回角β0の全区間で概略一定の距離となるように設定する。この場合開口幅Lは、開口面積比Cが1.0〜0.6(Cは旋回開始部の通路断面積S0に対する開口部7の全旋回区域の平面投影面積)の間で選定されるとして、通路断面積S0に対して、次式のようになる。
【0041】
【数9】
【0042】
このように設定すると、図5にも示すように、旋回区間の全域にわたり、旋回部3からスロート部4への吸気の導入速度、導入角運動量を均一に設定でき、スワール生成効率とポート流量係数を向上できる。
【0043】
なお、開口幅Lを変化させることにより、吸気の導入速度Vを変更することができ、これに応じて生成スワール比を変えられる。つまり、開口幅Lを増加させると、開口部7からの吸気導入速度が低下し、スワール比が減少してポート流量係数が向上する。反対に開口幅Lを減少させると、吸気導入速度が上昇し、スワール比が増加してポート流量係数が落ちる。
【0044】
ここで、図6に示すように、開口面積比Cが1.0より大きくなると、スワール比、ポート流量係数とも変化が少なくなる。これは流れの律則条件が旋回部3の開始点の通路断面積S0となるためである。
【0045】
これに対して開口面積比Cを0.6より小さくとるとポート流量係数の減少が急激になる。従って、開口面積比を1.0〜0.6の間となるように開口幅Lを調整すれば、ポート流量係数をあまり変化させることなくスワール比を変更することができる。
【0046】
次に、第2の実施の形態を図7を参照して説明する。
【0047】
この第2の実施の形態は、バルブガイドボス5の底部に加工代5aを設け、加工量を変更することによって、スロート部4の実質的な高さを調整し、吸気ポートのスワール比を変更できるようにしたものである。
【0048】
つまり、加工工具Mをシリンダヘッドの下面側よりスロート部4に挿入し、バルブガイドボス5の底部の加工代5aの高さを調整すると、開口部7の開口幅Lが変化し、ポート流量係数とスワール比が変化する。
【0049】
これによって、従来は要求スワール比の違いによって変えていたシリンダヘッドの鋳物(形状)を共通とし、加工代5aを変更することによってスワール比の最適化が可能となる。
【0050】
このため、自然吸気と過給エンジンや、燃料噴射ポンプ仕様の違い、仕向地の違いなどによって要求の異なるスワール比の最適化を、低コストで行うことができ、各々のエンジンの出力・排気性能を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すヘリカル型吸気ポートの縦断面図である。
【図2】同じくその平面図である。
【図3】旋回部通路断面積と旋回角度との関係を示す説明図である。
【図4】旋回部の通路幅と旋回角度の関係を示す説明図である。
【図5】旋回流の流れの状態を示す説明図である。
【図6】開口距離とスワール比との関係を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示すヘリカル型吸気ポートの縦断面図である。
【図8】従来のヘリカル型吸気ポートを縦断面図である。
【図9】同じくその平面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 吸気バルブ
3 旋回部
4 スロート部
5 バルブガイドボス
5a バルブガイドボスの加工代
6 直線部
7 開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は、直噴式ディーゼルエンジン等の内燃機関のヘリカル型吸気ポートの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の直噴式ディーゼルエンジンのヘリカル型吸気ポートの形状としては、図8、図9に示すものが知られている(特開昭59−12124号公報参照)。
【0003】
シリンダヘッド11に設けられる吸気側のヘリカルポート10は、吸気バルブ12の周囲において、バルブガイド15の軸心を中心に螺旋状の旋回部13が形成される。旋回部13にはシリンダヘッド11の直線部16から吸気が流入し、旋回部13を通過するうちに旋回運動が付与され、旋回部13の旋回区域の下方の全域において接続するドーム状のスロート部14を経由して吸気バルブ12の周囲からシリンダ17内に旋回流を生じながら流入する。
【0004】
この場合、旋回部13の螺旋通路を少なくとも2つの螺旋軸を中心とする曲線13a,13bにより形成し、かつ吸気バルブ12の弁軸中心とシリンダ14の中心との位置関係を規定することにより、吸気ポートの流量係数を低下させることなく、シリンダ14内におけるスワールの強化させるようにしている。
【0005】
即ち、この従来例では、主として旋回部13のプランビューからの形状を改良することで吸気特性の改善を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のヘリカルポート10では、旋回部13のプランビューの螺旋形状が同一であっても、吸気の流れは旋回部13の全域から下方のスロート部14へと流れ込み、このため旋回部13の通路断面の形状が変化すると、旋回全域におけるスロート部14に対する吸気の導入を均一にはできず、吸気バルブ12の周囲から流入するスワールの生成能力が変化し、スワール比を適切に設定できない。
【0007】
また、プランビューからの螺旋形状を特定するのみでは、高いスワール生成能力と高い吸気ポート流量係数を両立するヘリカルポートの設計が困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、旋回部の流路形状を適切に設定することにより、高いスワール生成能力とポート流量係数の両立を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、吸気バルブの弁軸を中心にして螺旋状に旋回する旋回部をもち、この旋回部の上流にはポート導入部が接続し、同じく下流の吸気バルブの背面のスロート部とはほぼ旋回全域において開口部を介して接続される内燃機関のヘリカル型吸気ポートにおいて、前記ポート導入部と旋回部との境界となる旋回開始部から、旋回通路断面の上面がスロート部の上面の高さと等しくなる旋回終了部に至るまでの旋回部の総旋回角をβ0としたとき、旋回開始部からの角度βでの通路断面積Sが、旋回開始部の通路断面積S0に対して、
【0010】
【数4】
【0011】
の関係で与えられるように構成するとともに、旋回部とスロート部とを連通する開口部の開口幅を、前記総旋回角β0の全区間で概略一定の距離となるように構成する。
【0012】
第2の発明は、旋回開始部からの角度βでの機関上側からみた旋回部の通路幅Wが、総旋回角β0、旋回開始部での通路幅W0としたとき、
【0013】
【数5】
【0014】
の関係で与えられる。
【0015】
第3の発明は、旋回開始部から角度βでの通路断面のスロート部に対する開口部の幅Lが、開口部の吸気バルブの弁軸中心からの平均半径をRとして、開口面積比をC=1.0〜0.6、総旋回角度β0、旋回開始部での通路断面積S0としたとき、
【0016】
【数6】
【0017】
の関係で与えられる。
【0018】
第4の発明は、吸気バルブを支持すると共に前記スロート部の天井面の一部を構成するバルブガイドボスの底部に加工代を設け、この加工代の高さを調整することにより前記開口幅を調整可能とする。
【0019】
【発明の作用・効果】
第1の発明において 旋回部は吸気バルブを中心にして螺旋状に旋回し、吸気の流れに旋回運動を与える。このとき、旋回開始部から旋回終了部までの旋回区間において、旋回部はスロート部に対して開口部を介して連通し、旋回部の旋回全域からスロート部へと吸気が流れ込む。この場合、旋回開始部から旋回終了部に至る通路断面積は、旋回角度に応じて一定の比率で通路断面積を減少させていき、通路断面積の減少分に相当する吸気量が順次スロート部へと導入される結果、旋回部からスロート部へと開口部を介して導入される吸気量は、旋回区間の全域において略一定にすることができる。これにより、旋回区間の全域をスワール生成のために均等に利用でき、スワール生成効率が高められる。
【0020】
したがって吸気ポートの流量係数を低下させることなく、高いスワール生成能力を発揮し、スワールにより燃焼を改善し、機関出力、燃費と排気組成の向上が図れる。
【0021】
第2の発明において、旋回部の通路幅が一定の比率で減少し、このことは旋回部の半径が旋回全域において滑らかに減少していくことを意味し、また旋回部の断面形状は旋回全域で概略相似形となり、このため旋回部の内周に沿う吸気の流れが円滑となり、整流作用により乱れが減り、吸気ポートのポート流量係数を高くとることができ、吸気導入効率を向上させられ、またスワール生成比率も向上する。
【0022】
第3の発明では、旋回部とスロート部とを連通する開口部の開口幅は、旋回全域において概略一定の距離となり、このため旋回区間の全域にわたり、旋回部からスロート部への吸気の導入速度、導入角運動量を均一に設定でき、これによりスワール生成効率とポート流量係数を向上できる。
【0023】
第4の発明では、加工代を調整してバルブガイドボスの高さを変えると、開口部の開口幅が変化し、これにより同一的に鋳造したシリンダヘッドであっても、そのスワール比を要求に応じて簡単に変更できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1および図2に本発明の第1の実施の形態を示す。
【0026】
まず、第1の実施の形態における構成を説明すると、1はシリンダヘッド、2は吸気バルブ、3は吸気バルブ2の弁軸を中心にして螺旋状に形成される旋回部、4は吸気バルブ2の背面に形成されたドーム状のスロート部、5はバルブガイドボス、6は旋回部3の上流のポート導入部である。
【0027】
ここで旋回部3は、ポート導入部6が接線方向から接続する旋回開始部から、バルブガイドボス5の周りに吸気バルブ2の弁軸を中心にして角度β0の旋回終了部までの区間にわたり設けられ、この総旋回角β0の範囲において、旋回部3はスロート部4に対してその上方から開口部7を介して連通する。なお、総旋回角β0の旋回終了部は旋回部3の通路断面の上面(天井面)が、スロート部4の上面(天井面)とほぼ一致する点をいう。
【0028】
そして、旋回部3の通路断面積Sは、ポート導入部6との接続点、つまり旋回開始部での通路断面積S0が、その旋回角度βが大きくなるに従ってほぼ比例的に減少していき、旋回終了部においてゼロとなるように設定される。
【0029】
いま、旋回開始部から旋回終了部までの旋回部3の総旋回角β0としたとき、旋回部3の通路断面積Sは、次式で表される。
【0030】
【数7】
【0031】
このように旋回部3の旋回区間β0において、図3にも示すように、旋回角βの進行と共に通路断面積Sが一定割合で減少していく結果、旋回部3からスロート部4への開口部7を介しての吸気の導入量も旋回区間の全域にわたり一定となる。
【0032】
つまり、各旋回角βでの旋回部3における通路断面積の減少分に相当する吸気量が、その旋回角βにおいて開口部7からスロート部4へと導入されるわけであるから、旋回区間の全域において通路断面積が一定の割合で減少すれば、旋回部3の全域において旋回部3からスロート部4へと移動する吸気の導入割合が一定となる。
【0033】
これにより、総旋回区間β0の全域をスワール生成のために均等に用いることができ、吸気バルブ2の周囲から均等な流速の旋回流をシリンダ内へと導入して、シリンダ内でのスワール生成効率を向上させられる。
【0034】
また、旋回部3は吸気バルブ2の弁軸中心からの半径rが、旋回角βに応じて次第に減少していくが、このとき、旋回部3の通路断面を略矩形に形成し、そのの幅Wを、図4にもあるとおり、旋回角βと共に断面積Sの減少割合の1/2乗に比例して減少させるにように設定することで、旋回部3の弁軸中心からの半径rは、ポート導入部6の接続点の最大半径r0から旋回部3の終了点(角度=β0)に向かって滑らかに変化する。
【0035】
この旋回部3通路幅Wは、旋回開始部の通路幅W0とすると、次式で表わすことができる。
【0036】
【数8】
【0037】
このようにして、旋回部3の半径rは、ポート導入部6の接続点の最大半径r0から旋回部3の終了点に向かって旋回全域において滑らかに減少していく。
【0038】
また、旋回部3の通路断面積Sの減少が一定比率であるから、旋回部3の通路断面の縦方向の高さHは、旋回部3の幅Wに略比例(Sの変化率の1/2乗に比例)する。従って旋回部の断面形状は大略相似形となる。
【0039】
このように、旋回部3の通路断面の形状が略相似形に変化するため、旋回部3の内周に沿う吸気の流れが整流され、乱れることが少ない。このため、吸気ポートのポート流量係数を高くとることができ、吸気導入効率を向上させられ、またスワール生成比率も向上する。
【0040】
旋回部3とスロート部4とを連通する開口部7の開口幅Lは、旋回部3の全域において、つまり旋回角β0の全区間で概略一定の距離となるように設定する。この場合開口幅Lは、開口面積比Cが1.0〜0.6(Cは旋回開始部の通路断面積S0に対する開口部7の全旋回区域の平面投影面積)の間で選定されるとして、通路断面積S0に対して、次式のようになる。
【0041】
【数9】
【0042】
このように設定すると、図5にも示すように、旋回区間の全域にわたり、旋回部3からスロート部4への吸気の導入速度、導入角運動量を均一に設定でき、スワール生成効率とポート流量係数を向上できる。
【0043】
なお、開口幅Lを変化させることにより、吸気の導入速度Vを変更することができ、これに応じて生成スワール比を変えられる。つまり、開口幅Lを増加させると、開口部7からの吸気導入速度が低下し、スワール比が減少してポート流量係数が向上する。反対に開口幅Lを減少させると、吸気導入速度が上昇し、スワール比が増加してポート流量係数が落ちる。
【0044】
ここで、図6に示すように、開口面積比Cが1.0より大きくなると、スワール比、ポート流量係数とも変化が少なくなる。これは流れの律則条件が旋回部3の開始点の通路断面積S0となるためである。
【0045】
これに対して開口面積比Cを0.6より小さくとるとポート流量係数の減少が急激になる。従って、開口面積比を1.0〜0.6の間となるように開口幅Lを調整すれば、ポート流量係数をあまり変化させることなくスワール比を変更することができる。
【0046】
次に、第2の実施の形態を図7を参照して説明する。
【0047】
この第2の実施の形態は、バルブガイドボス5の底部に加工代5aを設け、加工量を変更することによって、スロート部4の実質的な高さを調整し、吸気ポートのスワール比を変更できるようにしたものである。
【0048】
つまり、加工工具Mをシリンダヘッドの下面側よりスロート部4に挿入し、バルブガイドボス5の底部の加工代5aの高さを調整すると、開口部7の開口幅Lが変化し、ポート流量係数とスワール比が変化する。
【0049】
これによって、従来は要求スワール比の違いによって変えていたシリンダヘッドの鋳物(形状)を共通とし、加工代5aを変更することによってスワール比の最適化が可能となる。
【0050】
このため、自然吸気と過給エンジンや、燃料噴射ポンプ仕様の違い、仕向地の違いなどによって要求の異なるスワール比の最適化を、低コストで行うことができ、各々のエンジンの出力・排気性能を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すヘリカル型吸気ポートの縦断面図である。
【図2】同じくその平面図である。
【図3】旋回部通路断面積と旋回角度との関係を示す説明図である。
【図4】旋回部の通路幅と旋回角度の関係を示す説明図である。
【図5】旋回流の流れの状態を示す説明図である。
【図6】開口距離とスワール比との関係を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示すヘリカル型吸気ポートの縦断面図である。
【図8】従来のヘリカル型吸気ポートを縦断面図である。
【図9】同じくその平面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 吸気バルブ
3 旋回部
4 スロート部
5 バルブガイドボス
5a バルブガイドボスの加工代
6 直線部
7 開口部
Claims (4)
- 吸気バルブの弁軸を中心にして螺旋状に旋回する旋回部をもち、この旋回部の上流にはポート導入部が接続し、同じく下流の吸気バルブの背面のスロート部とはほぼ旋回全域において開口部を介して接続される内燃機関のヘリカル型吸気ポートにおいて、前記ポート導入部と旋回部との境界となる旋回開始部から、旋回通路断面の上面がスロート部の上面の高さと等しくなる旋回終了部に至るまでの旋回部の総旋回角をβ0としたとき、旋回開始部からの角度βでの通路断面積Sが、旋回開始部の通路断面積S0に対して、
- 前記吸気バルブを支持すると共に前記スロート部の天井面の一部を構成するバルブガイドボスの底部に加工代を設け、この加工代の高さ調整することにより前記開口幅を調整可能とする請求項3に記載の内燃機関のヘリカル型吸気ポート。
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JP15247997A JP3572375B2 (ja) | 1996-06-24 | 1997-06-10 | 内燃機関のヘリカル型吸気ポート |
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Family Applications (1)
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- 1997-06-10 JP JP15247997A patent/JP3572375B2/ja not_active Expired - Fee Related
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