JP3569692B2 - モップヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、床を掃除するモップを取り付けるモップヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から床面の清掃を行う時は、モップが使用されることが多い。かかるモップは、図1に示す如く、棒状のモップハンドルHの一端に設けられたモップヘッド10に取り付けられて使用される。前記モップMは、平面視略楕円形状をなした生地部Bの一面に木綿を撚り合わせて房状にしたもの(以下、拭き取り部という)Cが設けられ、他面に前記モップヘッド10に取り付ける一対の取付袋部A,Aが形成されたものである。前記一対の取付袋部A,Aは、生地部Bの長手方向の頂点近傍の形状と同一の布材S、すなわち、平面視山形状をなした布材Sを生地部Bの形状に対応させて配置し、前記布材Sと生地部Bとを生地部Bの外周に沿って縫い合わせて形成されている。したがって、モップMの生地部Bには、山形状の底辺となる部分が開口を形成させるように、布材Sが生地部Bに縫い付けられているのである。
【0003】
前記モップヘッドは、図4に示す如く、基材60と、該基材60に取り付けられ、前記モップMの取付袋部A,Aを掛止して該モップMを取り付ける一対の掛止部材61a,61bとで構成されている。
【0004】
前記基材60は、モップMと略同等の形状をなしており、前記一対の掛止部材61a,61bにモップMを取り付けたときに、モップMの他面が使用者に見えないようにするカバーも兼ねている。
【0005】
前記一対の掛止部材61a,61bのそれぞれは、前記モップMと平面視略同等の板材を長手方向の中間位置を短手方向に切断した形状、すなわち、平面視半楕円形状をなしている。つまり、一対の掛止部材61a,61bのそれぞれは、山形状をなした板材であり、山形の底辺同士を対向させて一対の掛止部材61a,61bを配置すると、前記基材60と略同等の形状となるようになっている。そして、一対の掛止部材61a,61bは、該一対の掛止部材61a,61bの一方の面の全てが基材60と略対向し、且つ所定の間隔を有しするように配置され、一方の掛止部材61aは、山形の底辺が基材60に固定され、他方の掛止部材61bは、山形の底辺の両端部が基材60に枢着されている。なお、他方の掛止部材61bは、モップMを取り付けた際に傾動しないように、基材60に掛止できるようになっている。
【0006】
そして、上記構成のモップヘッド10にモップMを取り付けるには、他方の掛止部材61bを傾動させた状態で、一方の掛止部材61aを一方の取付袋部51の開口を介して取付袋部51内に挿入し、その後、他方の掛止部材61bを他方の取付袋部51の開口を介して他方の取付袋部51内に挿入する。そして、傾動させていた他方の掛止部材61bを、一方の掛止部材61aと同一面を形成するように元の位置に戻してモップMの取付けが完了する。
【0007】
このように取り付けられたモップMは、使用者が該モップMの拭き取り部Cを床面に接触して移動させるように、モップハンドルHを動かすことにより、床面のゴミや塵を付着させて床面をきれいにする。
【0008】
そして、ゴミや塵が大量に付着したモップMは、モップヘッド10から取り外され、その後に洗浄及び乾燥されて再度使用される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の如く、モップMは、該モップMの生地部Bが繊維で構成され、また、生地部Bの一面に木綿を撚り合わせて房状にした拭き取り部Cが設けられたものであるため、繰り返し洗浄することで縮みが生じる。これにより、一対の取付袋部A,Aの開口同士の間隔が短くなり、他方の掛止部材61bを傾動させても、一対の掛止部材61a,61bの山形の頂点同士の距離がモップMの開口間の距離よりも長く、基材60に固定された一方の掛止部材61aのみにしか取付袋部51内に挿入できないという事態が生じることがあった。つまり、モップヘッド10にモップMを取り付けることができないのである。
【0010】
また、モップMは、種々の大きさのものあるが、モップヘッド10は、所定のモップMの大きさに対応して選定されたものであり、仮に、使用者が大きさの違うモップMを所有していても、該モップMに対応したモップヘッド10を所有していなければ使用することができなかった。つまり、複数のモップヘッド10を所有しなければならない場合があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、繰り返し洗浄して縮みが生じたモップであっても、取り付けることができ、しかも、所定の大きさでないモップであっても取り付けることができるモップヘッドを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるモップヘッドは、上記課題を解決すべくなされたもので、請求項1記載の如く、所定の間隔を有して互いの開口が対向する一対の取付袋部A,Aを備えたモップMの該取付袋部Aに挿入される挿入部35,38がそれぞれ形成された一対の掛止部材20a,20bを備え、該一対の掛止部材20a,20bの少なくとも何れか一方が、他方の掛止部材20bに対して傾動可能とされたモップヘッドにおいて、前記一対の挿入部35,38同士を接離可能とすべく、前記一対の掛止部材20a,20bが相対的に位置変更可能に設けられ、一方の掛止部材20aには、傾動支点となる枢支軸22が形成されるとともに、他方の掛止部材20bには、前記枢支軸22を枢支可能とした複数の枢支部23a,23a,23b,23bが所定の間隔を有して設けられ、前記複数の枢支部23a,23a,23b,23bのいずれかを適宜選択し、該選択した枢支部23a,23a,23b,23bに枢支軸22を枢支させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記構成のモップヘッド10は、モップMの一対の取付袋部A,Aの配置に対応させるように一対の掛止部材20a,20bの挿入部35,38を接離させるように、一対の掛止部材20a,20bを相対的に位置変更させることができるので、モップMを洗浄したことにより一対の取付袋部A,Aの開口間の距離が短くなっても、その縮みの生じたモップMを取り付けることができる。また、大きさの異なるモップMを取り付ける場合においても、一対の掛止部材20a,20bがモップMの取付袋部A,Aに配置に対応するように、一対の掛止部材20a,20bを相対的に位置変更させれば、大きさの異なるモップMであっても取り付けることができる。
【0014】
即ち、一方の掛止部材20aには、傾動支点となる枢支軸22が形成されるとともに、他方の掛止部材20bには、前記枢支軸22を枢支可能とした複数の枢支部23a,23a,23b,23bが所定の間隔を有して設けられ、前記複数の枢支部23a,23a,23b,23bのいずれかを適宜選択し、該選択した枢支部23a,23a,23b,23bに枢支軸22を枢支させるようにしているので、モップMが縮んで取付袋部A,Aの開口間の距離が短くなっても、一対の挿入部35,38の配置が縮んだモップMの一対の取付袋部A,Aの配置に対応するように、一方の掛止部材20aの枢支軸22を、複数の枢支部23a,23a,23b,23bの中から最適な位置の枢支部を選択して枢支させれば、その縮んだモップMを取り付けることができる。また、大きさの異なるモップMを取り付ける場合においても、一対の挿入部35,38の配置がモップMの取付袋部A,Aに配置に対応するように、枢支軸22を複数の枢支部23a,23a,23b,23bの中から最適な位置の枢支部23a,23a,23b,23bを選択してその枢支部23a,23a,23b,23bに枢支させれば、大きさの異なるモップMであっても取り付けることができる。
【0015】
さらに、請求項2記載の如く、前記枢支部23a,23a,23b,23bの間隔方向において前記他方の掛止部材20bが位置変更可能に取り付けられる基材21を更に設け、前記枢支部23a,23a,23b,23bが、前記他方の掛止部材20bの位置変更量に対応した位置に設けられてもよい。このようにすれば、一方の掛止部材20aと係合して該一方の掛止部材20aの傾動を制止する制止部材を所定の位置に設けた場合に、一対の掛止部材20a,20bを位置変更しても、一方の掛止部材20aが基材21に対して略同一の配置を維持することができので、一方の掛止部材20aと制止部材との係合が可能となる。したがって、一対の掛止部材20a,20b以外の部品の配置変更などをすることなく、容易に一対の掛止部材20a,20bの位置変更を行うことができる。
【0016】
また、請求項3記載の如く、前記枢支部23a,23a,23b,23bの間隔方向において前記他方の掛止部材20bが位置変更可能に取り付けられる基材21を更に設け、前記枢支部23a,23a,23b,23bが、前記他方の掛止部材20bの位置変更量の略二倍に対応した位置に設けられてもよい。このようにすれば、基材21に一対の掛止部材20a,20bを取り付ける部分と対向するように柄であるモップハンドルが取り付けられた場合、一対の掛止部材20a,20bを移動させてモップMを取り付けても、両方の掛止部材20a,20bを均等に移動させることができるので、モップMが何れか一方の掛止部材20a,20b側に偏って取り付けられるのを防止することができる。すなわち、縮んだモップMを取り付けるために、一対の掛止部材20a,20bを位置変更させてモップMを取り付けても、本来(縮む前)のモップMの中心位置と、縮んだモップMの中心位置が略一致させることができ、縮む前のモップMが取り付けられていた位置に対して、縮んだモップMが偏った位置に取り付けられるのを防止することができる。これにより、使用者が、モップハンドルを握って掃除をしても、モップMの位置に違和感を覚えることなく、掃除に専念することができる。この場合、枢支部23a,23a,23b,23bの間隔方向において、一方の掛止部材20aに係合する係合部が一方の掛止部材20aの位置変更量に対応した間隔で複数配置すれば、一方の掛止部材20aの傾動を制止させることができる。
【0017】
そして、請求項4記載の如く、前記他方の掛止部材20bに複数の固定用穴24a,24a,24a,24a,24b,24b,24b,24bが前記枢支部23a,23a,23b,23bの間隔方向に前記他方の掛止部材20bの位置変更量に対応した間隔で穿孔されるとともに、前記基材21の所定部位にネジ穴25,25,25,25が穿孔され、該固定用穴24a,24a,24a,24a,24b,24b,24b,24bを介してネジ穴25,25,25,25にネジ部材26を螺嵌して前記他方の掛止部材20bを基材21に固定するようにすれば、モップMの縮み量に応じた位置の固定用穴24a,24a,24a,24a,24b,24b,24b,24bにネジ部材26を挿通して基材21のネジ穴25,25,25,25に螺嵌させるだけで、一対の掛止部材20a,20bの位置決めを容易にすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモップヘッドにかかる一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。なお、モップヘッドに取り付けられるモップの種類は多数あるため、本実施形態においては、図1に示す如く、平面視略楕円状をなした布(以下、生地部という)Bの一面に、木綿を撚り合わせて房状にしたもの(以下、拭き取り部という)Cが縫い付けられ、他面に、モップヘッドに取り付けつけるための一対の取付袋部A,Aが設けられているものを採用して説明する。さらに、モップMについて詳しく説明すると、前記一対の取付袋部A,Aは、生地部Bの長手方向の頂点近傍の形状と同一の布材S、すなわち、平面視山形状をなした布材Sを生地部Bの形状に対応させて配置し、前記布材Sと生地部Bとを生地部Bの外周に沿って縫い合わせて形成されている。したがって、モップMの生地部Bには、山形状の底辺となる部分が開口を形成させるように、布材Sが生地部Bに縫い付けられているのである。
【0019】
本実施形態にかかるモップヘッドは、図2に示す如く、該モップヘッド10にモップMを取り付けた際に、モップMの取り付け部分が使用者に見えないようにする基材であるカバー体21と、該カバー体21に固定され、モップMの一方の取付袋部Aに開口を介して挿入されて、前記モップMを掛止する一対の掛止部材の一方である第一掛止部材20bと、該第一掛止部材20bに傾動可能に取り付けられ、モップMの他方の取付袋部Aに開口を介して挿入されて、前記モップMを掛止する一対の掛止部材の他方である第二掛止部材20aと、カバー体21と第二掛止部材20aとの間に配置され、第二掛止部材20aの傾動を制止する制止部材27と、該制止部材27を操作する操作用部材28とで構成されている。
【0020】
前記カバー体21は、平面視略楕円形状をなした板材で形成されており、カバー体21の一面が、該楕円形状のカバー体の一面21の略中央部を突出させるように湾曲して凸面を形成している。つまり、かかるカバー体21は、板材で形成されているので、カバー体21の他面は、凸面をなした一面に対応するように凹面を形成している。そして、カバー体21の一面の略中央には、使用者がモップM及びモップヘッド10を操作する棒状のモップハンドルHの一端を枢着する枢着部29が形成されている。また、カバー体21の長手方向の一方の頂点と枢着部29との間に、操作用部材28を取り付ける為の長穴30がカバー体21の長手方向に長さを有するように穿孔されている。そして、カバー体21の他面の中央部近傍には、前記第一掛止部材20bを取り付ける四本の棒体31,31,31,31が、カバー体21と鉛直をなし、且つ所定の大きさの四角形の各頂点に軸心が一致するように延設されている。かかる棒体31,31,31,31のカバー体21とは反対側の端部には、該棒体31,31,31,31の軸心と同一軸のネジ穴25が穿孔されている。また、カバー体21の長手方向の中心線上に位置し、且つ四つの棒体31,31,31,31のうち、前記長穴30側とは反対側に位置した二つの棒体31,31の間には、制止部材27が係止される係止片33が設けられている。さらに、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aにモップMを掛止させた時に、モップMの取付袋部A,Aをカバー体21と第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aとで挟持できるように、第一掛止部材20b、第二掛止部材20aとカバー体21のと間の隙間を小さくする円板状の突片34,34が、カバー体21の長手方向の両頂点近傍に形成されている。
【0021】
第一掛止部材20bは、モップMの取付袋部A,Aの相似形をなした板材で形成された前記モップMの取付袋部Aに挿入する挿入部である第一先端部35と、該第一先端部35に連続して形成された、前記カバー体21の四つの棒対31,31,31,31に固定される固定部36とで構成されている。
【0022】
前記第一先端部35は、モップMの取付袋部A,Aの平面視形状に相似する山形状をなした板材で形成されている。つまり、第一先端部35の外周は、湾曲した部分(以下、湾曲部という)と、該湾曲部の端点同士を連結する直線部分(以下、直線部という)とからなっている。かかる第一先端部35は、平面視の大きさがモップMの取付袋部A,Aよりやや小さく、板厚が、取付袋部A,A内に挿入させることができる板厚とされている。そして、固定部36は、第一先端部35よりも板厚の厚い板材で形成されており、第一先端部35の直線部と同等の長さを有する平面視長方形状をなした部分と、一辺が直線部よりも短い平面視矩形状をなした部分とで構成されており、該矩形状をなした板材は、長方形状の板材の中心線と矩形状の板材の中心線とが、同一直線をなし、且つ板材同士で同一面を形成するように、矩形状の板材の一端部と前記長方形状の板材の短手方向の一端部とが接続されている。また、長方形状の板材の他端部は、長方形状の板材と矩形状の板材とで形成した同一面と、第一先端部35の一面とがさらに同一面を形成するように前記第一先端部35の直線部と接続されている。また、前記矩形状の他端部の両端部近傍には、第二掛止部材20aの位置決めを行う一対の位置決め部37が形成されている。かかる位置決め部37は、断面角形の棒材で形成されており、該角形の一辺の長さが前記矩形状の板材の板厚と同等とされている。そして、該位置決め部37は、一端部に段部が形成され、該段部が前記第一先端部35と固定部36とで形成した同一面側に位置するように、該位置決め部37のそれぞれの他端部が、前記矩形状の板材の他端部の両端部に接続されている。つまり、第一掛止部材20bは、第一先端部35、固定部36及び位置決め部37が一体成型されたものである。そして、第一掛止部材20bをカバー体21に取り付けたときに、カバー体21の長手方向の一方の頂点と、該第一掛止部材20bの第一先端部35の頂点とがほぼ対向するように、固定部36及び位置決め部37には、前記カバー体21に形成された四本の棒体31,31,31,31のネジ穴25,25,25,25に対応した位置に固定用穴である四つの第一ネジ挿通穴24a,24a,24a,24aが穿孔されている。また、該四つの第一ネジ挿通穴挿通穴24a,24a,24a,24aと同一の構成とされた別の固定用穴である別の四つのネジ挿通穴(第二ネジ挿通穴)24b,24b,24b,24bが、前記第一ネジ挿通穴挿通穴24a,24a,24a,24aとのそれぞれと所定の間隔をあけて第一先端部35側に位置して穿孔されている。そして、前記固定部36の矩形状をなした板材の両側端部に、枢支部である一対の枢支溝(第一枢支溝)23a,23aが形成されており、第一ネジ挿通穴挿通穴24a,24a,24a,24aと第二ネジ挿通穴挿通穴24a,24a,24a,24aとの間隔と同一の間隔を有するように、第一枢支溝23a,23bと間隔をあけて、前記第一先端部35側に別の枢支部である一対の枢支溝(第二枢支溝)23b,23bが形成されている。
【0023】
そして、第二掛止部材20aは、前記モップMの取付袋部Aに挿入する挿入部である第二先端部38と、該第二先端部38に連続して形成され、該第二掛止部材38を大きな回転半径で回転させる一対のアーム39,39とで構成されている。
【0024】
前記第二先端部38は、第一先端部35と同一の形状を有した板材で形成されており、該第二掛止部材38の直線部の両端部には、傾動用のアーム39,39が設けられている。かかる傾動用のアーム39,39のそれぞれは、断面が略角形をなした棒体で形成されており、前記第二掛止部材38の直線部近傍の一面に、アーム39,39の一端部の一面とが接続された状態となっている。また、第二掛止部材20aに接続された一面と対向するアーム39,39の他面は、カバー体21に緩衝しないように、第二先端部38側が先細りするように傾斜させている。そして、一対のアーム39,39のそれぞれの他端部には、対向するアーム39側に一端が突出する枢支軸22,22が形成されている。そして、第二先端部38の直線部の略中央部には、第二掛止部38が傾動するのを制止する第一係合部である制止用係合部40が形成されており、該制止用係合部40は、第二先端部38の直線部の略中央部に立設された脚41と、該脚41の上端部から第二先端部38とは反対側に延出した係合部42とで構成されている。つまり、脚41と係合部42とで、断面L字状をなしている。
【0025】
そして、前記制止部材27は、長方形形状の板材で形成されており、該制止部材27の長手方向の一端部の一面側には、前記操作部材28を取り付ける角形の穴が穿孔され、他面側には、角形の穴43と同軸心且つ連続して、前記角形の穴43より小さな径を有する丸穴44が穿孔されている。つまり、制止部材43の長手方向の一端部には、板材を貫通した角形の穴43と丸穴44とで構成された段付穴45が穿孔されている。また、他端部には、バネ体46が形成されており、該バネ体46は、薄板をくの字状に曲げた形状をなし、そのバネ体46の一端が長方形状の板材の端面に接続された状態をなしている。そして、長方形状の板材の略中央部には、第二掛止部材20aの制止用係合部40と係合可能な第二係合部である係合部47が形成されている。該係合部47は、長方形状の板材の一面と略直角をなすように、板材の中央部から延出した支持部48と、該支持部48の一端をさらに制止部材27の一端部側延出して形成した係合片49とからなる。つまり、制止部材27の係合部47は、第二掛止部材20aの制止用係合部40と同様に、断面がL字状をなしたものである。
【0026】
前記操作用部材28は、使用者が操作するボタン状の操作部50と、前記制止部材28に連結する連結部51とで構成されている。連結部51は、ボタン状の操作部50の一面に連続して形成された前記制止部材27の角形の穴43に嵌挿可能な棒体であり、前記カバー体21の板厚以上の長さを有している。そして、操作部50とは反対側の連結部51の端部には、連結部51と同軸心のネジ穴が穿孔されている。
【0027】
上記構成からなるモップヘッド10を組み立てる時は、まず、操作用部材28の連結部51をカバー体21の長穴30に挿通し、その連結部51を制止部材27の角形の穴43に嵌挿し、制止部材27の丸穴44にネジを挿通し、該ネジを操作用部材28のネジ穴に螺嵌して操作用部材28と制止部材27とを連結する。このとき、制止部材27のバネ体46の他端をカバー体21の他面の係止片33に係止させておかなければならない。そして、第二掛止部材20aのアーム39,39を形成させた側の面に、第一掛止部材20bの位置決め部37,37を当接させるように第二掛止部材20aの枢支軸39,39を第一枢支溝23a,23a内に配置した状態で、第一掛止部材20bの第一ネジ挿通穴24a,24a,24a,24aのそれぞれにネジ部材26を挿通し、該ネジ部材26をカバー体21の四つの棒体31,31,31,31のネジ穴25,25,25,25に螺嵌して第一掛止部材20bをカバー体21に固定する。この状態で、第二掛止部材20aは、第一掛止部材20bに枢支された状態となる。また、カバー体21の枢支部29,29には、棒状のモップハンドルHが取り付けられて組み立てが完了する。なお、モップハンドルHについては、本発明に直接関係しないので詳細な説明について割愛する。
【0028】
上記構成のモップヘッド10にモップMを取り付ける時は、図3に示す如く、操作用部材28をカバー体21の長穴30の長さ方向にスライドさせ、制止部材27の係合部47と第二掛止部材20aの制止用係合部40との係合状態を解除して、第二掛止部材20aを傾動させる。そして、第一掛止部材20bの第一先端部35及び第二掛止部材20aの第二先端部38のそれぞれに、モップMの取付袋部A,Aの開口を介して、取付袋部A,Aのそれぞれに挿入し、再度第二掛止部材20aを、第一掛止部材20bと第二掛止部材20aとがほぼ同一面を形成するように、第二掛止部材20aをもとの位置に戻し、制止部材27の係合部47と第二掛止部材20aの制止用係合部40とを係合させて、モップMの取付けが完了する。
【0029】
そして、使用者がモップMで日々の清掃を行い、該モップMが汚れて洗浄する場合には、操作用部材28をカバー体21の長穴30の長さ方向にスライドさせ、制止部材27の係合部47と第二掛止部材20aの制止用係合部40との係合状態を解除して、第二掛止部材20aを傾動させる。そして、モップMの一対の取付袋部A,Aを第一掛止部材20bの第一先端部35及び第二掛止部材20aの第二先端部38から抜き取り、モップMを取り外し、洗浄されたきれいなモップMを取り付ける。
【0030】
この洗浄されたモップMが、洗浄および乾燥によって縮みが生じ、一対の取付袋部A,A間の間隔が短くなり、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aが、該モップMの一対の取付袋部A,Aに挿入することができなくなった場合、まず、カバー体21に第一掛止部材20bを固定したネジ部材26を外して第一掛止部材20bをカバー体21から外し、第一掛止部材20bを第二掛止部材20a側に変位させるように第二掛止部材20aの枢支軸22,22を第一掛止部材20bの第二枢支溝23b,23bに移す。そして、第一掛止部材20bの第二ネジ挿通穴24b,24b,24b,24bにネジ部材26を挿通し、該ネジ部材26をカバー体21のネジ穴25,25,25,25に螺嵌して第一掛止部材20bをカバー体21に固定する。この状態で、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aのモップMの一対の取付袋部A,Aに挿入される部分が、所定距離で接近した状態となる。つまり、第一掛止部材20bの第一先端部35の頂点と第二掛止部材20aの第二先端部38の頂点との距離が短くなったので、一対の取付袋部A,A間の距離が短くなったモップMでも取り付けることが可能となる。そして、上述したモップMの取付け方法と同様の行程を行えば、モップMの取付けが完了する。
【0031】
以上のように、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aを相対的に移動させることができるので、モップMを洗浄して該モップMが縮んでも、第一掛止部材20bと第二掛止部材20aとの距離を変えることで容易にモップMを取り付けることができる。
【0032】
したがって、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aを移動させることができる範囲内であれば、大きさの違うモップMであっても、該モップMの大きさに対応するように第一掛止部材20b及び第二掛止部材20bを移動させれば、種々のモップMを取り付けることができる。これにより、使用者が、大きさの違うモップMを数種類使用する場合であっても、そのモップMの種類の数に対応したモップヘッド10を準備する必要がなくなる。したがって、モップヘッド10にモップハンドルHが取り付けられた状態で、収納されても、一つのモップハンドルH及びモップヘッド10だけの収納となり、収納スペースを他の用途に有効活用することができる。
【0033】
また、第二掛止部材20aがカバー体21に対して位置変更せずに、第一掛止部材20bのみが第二掛止部材20a側に位置変更されているので、制止部材27の係合部47と第二掛止部材20aの制止用係合部40とを確実に係合させることができる。
【0034】
尚、本発明のモップヘッドは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0035】
本実施形態において、カバー体21、第一掛止部材20b、第二掛止部材20a及び制止部材27のそれぞれは、一体成型されたものであるが、例えば、第一掛止部材20bにおいて、第一先端部35、固定部36、位置決め部37のそれぞれを、別体で成型し、最終的に第一掛止部材20bに組み立ててもよい。つまり、カバー体21、第一掛止部材20b、第二掛止部材20a及び制止部材27のそれぞれの機能が維持できれば、製作工程および方法は、本実施形態に囚われるものではなく、種々の製造方法で製作が可能である。
【0036】
また、本実施形態において、第一掛止部材20bに形成した四つに第一ネジ挿通穴24a,24a,24a,24a及び四つの第二ネジ挿通穴24b,24b,24b,24bを穿孔したが、二組の穴を設けるものに限定されるものではなく、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aの接離方向に長さを有する一対の長穴としてもよい。すなわち、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aの接離方向の同一列上に位置して、隣接する第一ネジ挿通穴24aと第二ネジ挿通穴24b同士を一つ長穴にしてもよい。このすれば、基材21に対する第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aの位置調整を行うことができる。
【0037】
さらに、第一掛止部材20bに設けた枢支溝は、第一枢支溝23a,23a及び第二枢支溝23b,23bの二組の溝が形成されたものに限定されるものではなく、二組以上の溝を形成してもよい。二組以上の枢支溝を形成すれば、さらに種々の大きさの違うモップMを取り付けることができる。
【0038】
また、二組以上の枢支溝を形成する場合、枢支溝同士の間隔を、第一掛止部材20bを変位させる変位量(位置変更量)の略二倍(第一掛止部材20bを変位させる変位量を枢支溝間の間隔の半分)とすれば、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aのそれぞれを均等に変位させることができ、モップMが偏って取り付けられるのを防止できる。したがって、複数の枢支溝を形成した場合、当初枢支軸22を枢支させていた枢支溝に対して第一掛止部材20bを変位させる変位量の倍の間隔に位置した枢支溝に枢支させても、第一掛止部材20b及び第二掛止部材20aのそれぞれを均等に変位させることができ、モップMが偏って取り付けられるのを防止できる。この場合において、係合部40が大きく変位できるように制止部材27の変位量を大きくしておけば、第二掛止部材20aを位置変更して制止用係合部40が変位しても、係合部47及び制止用係合部40の係脱が可能となる。
【0039】
また、制止部材27のバネ体46は、必ずしも制止部材27の他端に取り付けられたものに限定されるものではなく、別体のバネ、例えば、圧縮コイルバネをカバー体21の係止片33と制止部材27の他端とで挟持させたものであってもよい。つまり、制止部材27がバネ力によって、制止部材27の係合部47と第二掛止部材20aの制止用係合部40との係合が維持できるように、所定の位置に復元されればよい。
【0040】
【発明の効果】
以上の如く、本発明にかかるモップヘッドは、繰り返し洗浄して縮みが生じたモップであっても、一対の挿入部を接離させるように一対の掛止部材を相対的に位置変更することができるので、一対の挿入部をモップの取付袋部の配置に対応するように接離させれば、モップを取り付けることができる。
【0041】
また、種類又は大きさの異なるモップを取り付ける場合であっても、一対の挿入部を接離させるように一対の掛止部材を相対的に位置変更することができるので、一対の掛止部材の位置可能な範囲内において、種類及び大きさに関係なく種々のモップを取り付けることができる。したがって、使用者は、モップの種類に応じた数のモップヘッドを所持する必要がなくなり、これまで、複数のモップヘッドやモップハンドルを収納していた収納スペースを有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるモップヘッドに取り付けられるモップの外観斜視図。
【図2】同実施形態にかかるモップヘッドの分解斜視図。
【図3】第二掛止部材を傾動させた状態における、同実施形態にかかるモップヘッドの斜視図。
【図4】掛止部材を傾動させた状態における、従来のモップヘッドの斜視図。
【符号の説明】
10…モップヘッド、20a、20b…掛止部材(20a…第二掛止部材、20b…第一掛止部材)、21…基材(カバー体)、22…枢支軸、23a、23b…枢支溝(23a…第一枢支溝、23b…第二枢支溝)、24a、24b…固定用穴(24a…第一ネジ挿通穴、24b…第二ネジ挿通穴)、25…ネジ穴、26…ネジ部材、27…制止部材、28…操作用部材、29…枢着部、30…長穴、31…棒体、33…係止片、34…突片、35…第一先端部、36…固定部、37…位置決め部、38…第二先端部、39…アーム、40制止用係合部、41…脚、42…係合部、43、44…穴、45…段付穴、46…バネ体、47…係合部、48…支持部、49…係合片、50…操作部
Claims (4)
- 所定の間隔を有して互いの開口が対向する一対の取付袋部(A,A)を備えたモップ(M)の該取付袋部(A)に挿入される挿入部(35,38)がそれぞれ形成された一対の掛止部材(20a,20b)を備え、該一対の掛止部材(20a,20b)の少なくとも何れか一方が、他方の掛止部材(20b)に対して傾動可能とされたモップヘッドにおいて、前記一対の挿入部(35,38)同士を接離可能とすべく、前記一対の掛止部材(20a,20b)が相対的に位置変更可能に設けられ、一方の掛止部材(20a)には、傾動支点となる枢支軸(22)が形成されるとともに、他方の掛止部材(20b)には、前記枢支軸(22)を枢支可能とした複数の枢支部(23a,23a,23b,23b)が所定の間隔を有して設けられ、前記複数の枢支部(23a,23a,23b,23b)のいずれかを適宜選択し、該選択した枢支部(23a,23a,23b,23b)に枢支軸(22)を枢支させるようにしたことを特徴とするモップヘッド。
- 前記枢支部(23a,23a,23b,23b)の間隔方向において前記他方の掛止部材(20b)が位置変更可能に取り付けられる基材(21)を更に設け、前記枢支部(23a,23a,23b,23b)が、前記他方の掛止部材(20b)の位置変更量に対応した位置に設けられた請求項1記載のモップヘッド。
- 前記枢支部(23a,23a,23b,23b)の間隔方向において前記他方の掛止部材(20b)が位置変更可能に取り付けられる基材(21)を更に設け、前記枢支部(23a,23a,23b,23b)が、前記他方の掛止部材(20b)の位置変更量の略二倍に対応した位置に設けられた請求項1記載のモップヘッド。
- 前記他方の掛止部材(20b)に複数の固定用穴(24a,24a,24a,24a,24b,24b,24b,24b)が前記枢支部(23a,23a,23b,23b)の間隔方向に前記他方の掛止部材(20b)の位置変更量に対応した間隔で穿孔されるとともに、前記基材(21)の所定部位にネジ穴(25,25,25,25)が穿孔され、該固定用穴(24a,24a,24a,24a,24b,24b,24b,24b)を介してネジ穴(25,25,25,25)にネジ部材(26)を螺嵌して前記他方の掛止部材(20b)を基材(21)に固定するようにした請求項2又は3記載のモップヘッド。
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