JP3568646B2 - 透湿性シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透湿性及び防水性のある透湿性シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透湿性及び防水性シートとして、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂100重量部に40重量部以上の無機充填材を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが知られている。微多孔性シートの別の製法として、特公平5−38011号公報では、特定の結晶性ポリマー(ポリプロピレン等)と特定の化合物(鉱物油等)を溶融混練し、シート成形(冷却)過程で相分離を起こさせ、そのシートを延伸することにより得られる微多孔性シートが提案されている。このような微多孔性シートは、通気性及び透湿性に優れ結露現象を生じないため壁紙や包装用シート等に好適に用いられている。また、このような微多孔性シートの優れた性質に更に柔軟性を付与することにより、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材として使用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
微多孔性シートに柔軟性を付与するためには、一般にオレフィン樹脂として線状低密度ポリエチレンを用いることが提案されている。しかしながら、単にそのような低密度ポリエチレンに充填剤を多量に混合し、シート状に成形した後一軸または二軸に延伸した微多孔性シートは、シート強度、特に吸収性物品の裏面材として要求される防漏性、引き裂き強度に問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、上述の微多孔性シートに不織布をホットメルト接着剤等を用いて接着して強度を向上させる方法が提案されているが、該方法では引き裂き強度は向上するものの防漏性は改良されていない。即ち、一般に開示されている防漏性は純水または一般水(水道水等)で測定されているため、あたかも実用に耐えられる値を呈示されているが、実際に人体から排出される体液、例えば尿等は多量の有機、無機物を含んでいて、表面張力で表示すると純水が70〜72dyne/cmであるのに対し、尿等は40〜50dyne/cmと低く、更に、吸収性物品がより薄型になるにつれ、尿等排出液が吸収体に留まらず裏面材に到達することが多くなっている。従って、従来の透湿シートでは尿等低表面張力液体の漏れを防ぐことが出来ない。前述の特公平5−38011号公報で開示されているシートも同様に尿等低表面張力液では防漏性が著しく劣る。
【0005】
別の微多孔性シートを得る方法として、特開平2−47031号公報で結晶性樹脂を溶融押出しロールで加圧冷却し、該フィルムを熱処理、延伸、熱処理して微多孔性フィルムを製造する方法が、特開平2−75151号公報で結晶性ポリプロピレン樹脂を特定の条件でフィルムを成形し、これを特定の条件で延伸することにより微多孔性フィルムが得られる技術が開示されている。また、特開平5−331306号公報でポリプロピレンとポリエチレンを必須成分とする多孔質フィルムの技術が開示されている。これらは主に電池用セパレータに開発されたもので、前述の透湿防漏シートに比べて1桁以上小径の微細孔で、且つ、空激率が高く、充填剤、化合物(鉱物油等)を含んでいないため、高い透湿度を有するにもかかわらず、尿等低表面張力液の防漏性に優れているが、柔軟性に乏しく、従って風合いが悪いのと、機械(引張、引き裂き)強度が弱く、特に脆いため吸収性物品の防漏シート等には到底使用出来ない。
【0006】
更に別の透湿性防漏シートとして、特開平6−134000号公報では、特定のポリウレタンシート(無孔質透湿性)と伸縮性不織布を積層して無孔の伸縮性透湿シートが提案されている。このシートは無孔のため、尿等低表面張力液でも防漏性はあるが、ポリウレタンは使用されるイソシアネートによって吸収性物品に使用する時、欠点がある。即ち、芳香族イソシアネートを用いると(イソシアネートと反応してポリウレタンを造る)ポリオール等との反応性が高い為、未反応イソシアネート残存量は少ないが、自然条件で保存しても激しく黄変し、特に光、熱、酸化窒素ガス、都市燃焼ガス等による変色と劣化を受け易い欠点を持っている。これに対し、非芳香族イソシアネートから得られるポリウレタンは黄変し難いが、反応性が劣るため、未反応イソシアネートが残存し、皮膚を激しく刺激する。また、イソシアネートは空気中の水分によっても反応してウレア結合を造るが高分子化反応後期の水との反応はウレア結合に至らずアミンとして残存する。このアミンも皮膚を激しく刺激しカブレる。また、芳香族、非芳香族をとわずポリウレタンは分解するとアミンを生成し皮膚刺激の基となる。(無孔で透湿性を発現するポリウレタンは吸水により通常のポリウレタンより分解され易い)又、ウレタン化反応に使用されるアミン触媒も同様の刺激の基となる。従って、ポリウレタンは衛生用品等人体に直接接触する用途には好ましくない。
このように従来の微多孔性シートでは、柔軟性、引き裂き強度、及び透湿性、尿等低表面張力液の防漏性等吸収性物品の透湿・防漏シートの要望する物性を全て満足するに至っていない。
【0007】
従って、本発明の目的は、シート強度、特に引き裂き強度に優れ、且つ透湿性、尿等低表面張力液防漏性、良好な風合い等を有し、更に、接着剤等を要しない安価で生産性の高い透湿性シートの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂のみからなるフィルムを延伸して得た超微細孔樹脂膜と不織布とを積層することにより、透湿性で尿等低表面張力液の防漏性に優れ、引き裂き強度に優れ、人体の皮膚に優しい、また接着剤等を使用せず安価で生産性に優れ、経時変質し難い透湿性シートが得られることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、開孔の為に用いられる添加剤を含まない微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と不織布とを積層したことを特徴とする吸収性物品の裏面材用透湿性シートの製造方法であって、結晶性ポリオレフィン樹脂のみからなる樹脂を製膜してフィルムとなし、該フィルムを融点より80〜10℃低い温度で熱処理し、次いで延伸し、更に熱処理することにより、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜を得、然る後、該微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層することを特徴とする透湿性シートの製造方法を提供するものである。
【0010】
本発明の透湿性シートは、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と不織布とを積層し、部分接着した構成で、透湿性を有し、尿等低表面張力液防漏性に優れ、高強度で且つ良好な風合いを有する。
また、上記の透湿性シートを裏面材に用いた本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツは、水蒸気を通すためムレることなく、柔軟なためフィット性に富み、高強度で良好な風合いを有し、防漏性に優れ快適な装着感を与える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、先ず本発明の透湿性シートについて詳述する。
本発明の透湿性シートは、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜(以下、単に「透湿性樹脂膜」ということがある)と不織布とを積層したものである。
上記透湿性樹脂膜は、結晶性ポリオレフィン樹脂により形成される超微多孔質樹脂膜である。上記透湿性樹脂膜は、その膜厚が好ましくは5〜100μm、更に好ましくは10〜40μmであり、透湿度が好ましくは0.8g/100cm2 ・Hr以上、更に好ましくは1.0〜3.0g/100cm2 ・Hrであり、防漏性が、表面張力45dyne/cmの人工尿で水圧35g/cm2 のとき、好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上、最も好ましくは120分以上である。
【0012】
上記透湿性樹脂膜を形成する上記結晶性ポリオレフィン樹脂としては、結晶性高密度ポリエチレン樹脂、結晶性ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、中でも、ホモの結晶性ポリプロピレン樹脂、特にメルトインデックスが5以下のホモの結晶性ポリプロピレン樹脂が好適である。
なお、本発明において、メルトインデックスとは、JIS K6758に準拠して230℃、2.16kgfで測定した値(単位はg/10min)をいう。
【0013】
上記透湿性樹脂膜には、従来の開孔の為に用いられる充填剤、可塑剤等の添加剤は含まれず、必要に応じて上記結晶性ポリオレフィン樹脂の安定化の為に用いられる少量の安定剤(酸化防止剤等)及び着色または隠蔽の為に用いられる少量の着色剤、隠蔽材等のみが含まれる。従って、上記透湿性樹脂膜の組成は、上記の少量の安定剤等以外は樹脂のみである。
【0014】
上記透湿性樹脂膜の製造方法は、後述する本発明の透湿性シートの製造方法における該透湿性樹脂膜の製造方法が好ましい。
【0015】
本発明の透湿性シートに用いられる不織布は、通常当業界で用いられる不織布が特に制限なく用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;、ポリエチレンテレフタレート;ポリアミド等熱可塑性樹脂の単独樹脂から成形されるフィラメント、コア/シェル型、サイドバイサイド型等の構造の複合フィラメント等からなる不織布が挙げられ、中でも、高弾性樹脂をコアに、低弾性及び/又は低融点樹脂をシェルに用いたコア/シェル型のフィラメントからなる不織布が、風合い、弾力性、及び、上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と積層複合体を得るとき、熱融着性から接着剤を必要とせず、生産性、安全性、コストから好ましい。
【0016】
また、上記不織布は、その製法により、▲1▼通常の溶融紡糸によるフィラメントを必要に応じて延伸、クリンピング処理し、切断した短繊維を熱、接着剤等で点接着又は水流、針等で交絡させた不織布、即ち、湿式法、乾式法、スパーンレース、スパンボンド法等を用いた不織布や、▲2▼多層フィラメント成形後、これを外力によって分割した分割フィラメントからなる不織布や、▲3▼メルトブローン成形法により直接成形される不織布等に分類され、これらの何れも用いることができる。
【0017】
上記不織布としては、ポリオレフィン系不織布が好ましい。ここで、ポリオレフィン系不織布とは、ポリオレフィンのみからなる不織布及びポリオレフィンをシェルに用いたコア/シェル型のフィラメントからなる不織布をいう。
上記ポリオレフィン系不織布の中でも、コア/シェル型のフィラメントからなり、該シェルがポリエチレン又は低融点ポリプロピレンからなるものが好ましく、その代表例としては、PET/PE、PP/PE、PP/PP等のコア/シェル型のフィラメントからなる不織布が挙げられる。
【0018】
また、上記不織布には、必要に応じて安定剤、着色剤等を添加することができる。
【0019】
上記不織布におけるフィラメントの太さは、該不織布の柔軟性、風合いの点から、細い程好ましく、特に好ましくは3デニール以下である。上記フィラメントの太さの下限は特に制限されないが、現在実生産可能なフィラメントの太さは約0.1デニール位までである。
また、上記不織布の坪量は、5〜200g/m2 が好ましく、10〜50g/m2 が特に好ましく、見かけ厚さは10〜500μmが好ましく、20〜300μmが特に好ましい。
【0020】
本発明の透湿性シートは、上記透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層して接着することにより積層体を形成する。上記積層体の積層構成は、▲1▼「不織布/透湿性樹脂膜」、▲2▼「不織布/透湿性樹脂膜/不織布」、▲3▼「透湿性樹脂膜/不織布/透湿性樹脂膜」の何れでもよいが、本発明の透湿性シートを、例えば通常の使い捨てオムツ等の裏面材として用いる場合には、上記構成▲1▼又は▲2▼、即ち上記透湿性樹脂膜の片面又は両面に該不織布を積層したものが好ましい。
具体的には、図1(a)に示すように、本発明の透湿性シート4は、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aの片面に不織布4bを積層した構成や、図1(b)に示すように、本発明の透湿性シート4は、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aの両面に不織布4bを積層した構成となっている。本発明の透湿性シート4を使い捨てオムツの裏面材として用いる場合であって、上記構成▲1▼の積層体を用いるときには、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜4aが吸収体3(図2参照)側になるように用いられるのが好ましい。(図2については、後述の実施例において説明する。)
【0021】
上記積層体の接着は、熱により表面を溶融して接着する熱融着による方法や、ホットメルト接着剤等の通常の接着剤で接着する接着剤による方法等の何れの方法でも行うことができるが、生産性、安全性、コストの点から熱融着による方法で行うのが好ましい。
また、上記積層体の接着部の面積は、接着強度、風合い及び透湿性に応じて適宜選択される。即ち、上記の接着部の面積が増えると、接着強度は増すが風合いが悪くなり、透湿度も低下する。
また、上記積層体の接着における接着パターンは、風合いの点から接着部が非連続の点状であるのが好ましく、更に、MD方向に平行又は垂直に点在するよりも斜めに点在する方が引き裂き強度と風合いの点から好ましい。
また、上記積層体の接着点の形状は、特に制限されないが、風合いの点からは、円、ひし形、亀甲型等が好ましい。また、上記接着点1点の面積は、好ましくは0.1〜5mm2 、更に好ましくは0.5〜2mm2 である。更に上記接着点の間隔も、接着強度、風合い、引き裂き強度から選択される。
上記積層体の接着における接着面積比(接着部面積:非接着部面積)は、好ましくは1:99〜40:60、更に好ましくは5:95〜20:80である。
【0022】
本発明の透湿性シート(上記積層体)のシートみかけ厚は、好ましくは10〜500μm、更に好ましくは20〜300μmであり、透湿度は好ましくは0.8g/100cm2 ・Hr以上、更に好ましくは1.0〜3.0g/100cm2 ・Hrであり、防漏性は、表面張力45dyne/cmの人工尿で水圧35g/cm2 のとき、好ましくは30分以上、更に好ましくは60分以上、最も好ましくは120分以上である。
【0023】
本発明の透湿性シートは、例えば、使い捨てオムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品の裏面材としての用途に使用される。
【0024】
次に、本発明の透湿性シートの製造方法について詳述する。
本発明の透湿性シートの製造方法は、ポリオレフィン樹脂のみからなる樹脂を製膜してフィルムとなし(以下、この工程を「フィルム成形工程」という)、該フィルムを熱処理し(以下、この工程を「熱処理(1)工程」という)、次いで延伸し(以下、この工程を「延伸工程」という)、更に熱処理する(以下、この工程を「熱処理(2)工程」という)ことにより、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜を得、然る後、該微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層して本発明の透湿性シートを製造するものである。
【0025】
上記フィルム成形工程において、上記フィルムを成形するために用いられるポリオレフィン樹脂としては、結晶性ポリオレフィン樹脂が用いられる。
上記フィルムを成形するには、上記結晶性ポリオレフィン樹脂を、従来から熱可塑性樹脂のフィルム成形法として知られているインフレーション成形法、Tダイ法等により実施することができる。
上記フィルム成形工程における成形条件は、例えば上記インフレーション成形法を用いた場合には、ドラフト比が好ましくは20以上、更に好ましくは40以上であり、ブロー比が好ましくは1.2〜0.7、更に好ましくは1.1〜0.8であり、フィルム引き取り速度が好ましくは5〜100m/min、更に好ましくは10〜50m/minであり、成形温度が融点より好ましくは30〜100℃高い温度、更に好ましくは50〜80℃高い温度である。尚、上記ドラフト比及び上記ブロー比はそれぞれ下記の式で表される値をいう。
ドラフト比=フィルム引き取り速度/ダイから押し出される樹脂の線速度
ブロー比=成形されたフィルムの径/ダイリップ(樹脂吐出部)径
【0026】
また、上記熱処理(1)工程は、後に行われる延伸工程での微細孔形成を容易にする。
上記熱処理(1)工程は、従来公知の如何なる方法によっても実施することができ、例えば、加熱されたロールや金属板にシートを接触させる方法、シートを空気や不活性ガス中で加熱する方法やシートを芯体上に巻取り、これを気相中で加熱する方法等が採用できる。
【0027】
上記熱処理(1)工程における条件(温度/時間)は、用いられる結晶性ポリオレフィンの種類によって異なるが、温度は融点より80〜10℃低い温度であり、時間は好ましくは10sec〜10Hrである。
【0028】
また、上記延伸工程においては、上記熱処理(1)工程で熱処理されたフィルムに延伸を行い、微細孔を有するフィルム(以下、「多孔質フィルム」という)を形成する。
上記延伸工程における延伸方法は特に制限されず、従来から知られているロール式延伸法、テンター式延伸法等により実施することができる。
また、上記延伸工程における延伸条件(延伸温度/延伸倍率)は、用いられる結晶性ポリオレフィンの種類及び目標透湿度等によって異なるが、延伸温度は好ましくは融点より130〜50℃低い温度であり、延伸倍率は好ましくは50〜500%である(ここで、延伸倍率50%とは、例えば、延伸前の長さ100に対し、延伸後の長さが150となることをいう)。
【0029】
また、上記熱処理(2)工程においては、更に上記多孔質フィルムを熱処理する。
上記熱処理(2)工程における温度は、用いられる結晶性ポリオレフィン樹脂の種類によって異なり、上記延伸温度より10℃以上高い温度〜融点より10℃低い温度が好ましい。
上記熱処理(2)工程においては、熱処理(2)後の上記多孔質フィルムの長さが該熱処理(2)前の長さの好ましくは5〜50%、更に好ましくは10〜40%減少するように張力を制御しながら行うのが好ましい。
【0030】
得られた上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜は、上記不織布と上述の積層方法により積層して透湿性シートを製造することができるが、特に、部分的な熱融着により積層するのが好ましく、具体的には、融着させる部分に対応する部分が凸状の加熱された金属製ロールとバックロール(ペーパーロール)との間に一定の線圧をかけ、その間を通すことにより積層するのが好ましい。
【0031】
更に、本発明の吸収性物品について詳述する。
本発明の吸収性物品は、液透過性の表面材と、防漏性の裏面材と、これらの両面材の間に配置される吸収体とからなるものである。このような構成及び上記表面材及び上記吸収体の形成材料等は従来公知の構成及び形成材料と同様である。
而して、本発明の吸収性物品においては、上記裏面材として上記の本発明の透湿性シートが用いられている。
尚、本発明の吸収性物品としては、生理用ナプキン、大人用又は乳幼児用の使い捨ておむつ、失禁パッド等が挙げられ、上記透湿性シートは、吸収性物品の用途に応じて所望の形状として用いられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0033】
実施例1
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
フィルム成形工程;ポリプロピレン樹脂(メルトインデックス:0.4、mp:169℃、チッソ(株)製ホモポリマー)を、ダイリップ径200mm、ダイリップクリアランス1mmのサーキュラーダイを付けた50mm単軸押出機(L/D:28)にて、250℃でドラフト比:40、ブロー比:1.0にて厚さ25μmのフィルムを成形、チューブの一端を切開して1枚のフィルムに巻取った。
熱処理(1)工程;このフィルムを100℃のオーブン中で2Hr加熱した。
延伸工程及び熱処理(2)工程;径500mmの余熱ロール(2本)、径100mmの延伸ロール(2本)、径500mmの熱処理ロール(2本)、径500mmの冷却ロール(2本)からなる働き幅1500mmのロール延伸機を用い、フィルム供給速度;2m/minで2.0倍延伸、熱処理(2)で25%収縮させて熱固定した。ロール表面温度は余熱ロール:50℃、延伸ロール:50℃、熱処理(2)ロール120℃、冷却ロール:27℃で行った。得られたフィルムは均一に白化し、厚さ21〜22μmであった。
【0034】
〔不織布〕
mp:161℃のPPをコアに、mp148℃の低融点PPをシェルに用い、コア/シェルの断面積比が60/40、2デニールのフィラメントを38mmにカットし、カード機で22g/m2 のウエブを形成し、ヒートロールを通して見かけ厚さ0.29mmとした。
【0035】
〔透湿性シート〕
上記超微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜と上記不織布を各々300mm幅にスリットし、径100mm、働き幅600mmのエンボスロール/バックロールからなる部分ヒートシール機に通した。
径1mm高さ0.5mmの円柱が各々円柱間隔が2mmでロール回転方向に斜め(45度)に点在する鉄製ロールを表面温度154℃、バックロール(ペーパーロール)との線圧を33kg/cm、搬送速度30m/minで処理した。得られたシートは見かけ厚さ0.30mm、接着部面積/非接着部面積=20/80であった。得られた透湿性シートを次の評価基準に従って評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0036】
(評価基準)
(1)透湿度;JIS Z0208に準拠して測定した。
(2)防漏性;シートを径3cmのシリンダー端部にシリコーンゴムバッキン付リングで固定し、シート通気面が径3cmとした。シリンダーに人工尿を35cmの高さまで入れ、他端からシートを通して液滴が漏れてくる迄の時間を測定した。用いた人工尿は、尿素1.94%、塩化ナトリウム0.795%、硫酸マグネシウム0.110%、塩化カルシウム0.062%、硫酸カリウム0.197%、赤色2号(染料)0.010%、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルで表面張力を45dyne/cmに調整した。
(3)引き裂き強度;延伸方向(MD方向)に30mm幅×60mm長さの試験片の長手方向の一端における短片の中央から長片に平行に内部へ向けて30mmの切込みを入れる。次いで、試験片の切込みを入れた片の両側が裏表になるように引張試験機に取り付け引張速度300mm/分で引き裂き、平均応力を求める。
(4)風合い;透湿性シートを指触感触により下記基準に従って評価した。
◎;柔軟で風合いが非常に良好
○;柔軟で風合いが良好
△;やや硬く風合いがやや悪い
×;硬く風合いが悪い
【0037】
比較例1
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
実施例1と同じ樹脂、同じ成形設備を用い、同じ温度、ドラフト比、ブロー比で厚さ45μmのフィルムを成形した。このフィルムを実施例1と同じ条件で熱処理(1)工程、延伸工程、及び熱処理(2)工程を行い厚さ40〜41μmの均一に白化したフィルムを得た。このフィルムを実施例1と同様に評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0038】
比較例2
〔微多孔質ポリプロピレン透湿性樹脂膜〕
実施例1と同じ樹脂70重量部、鉱物油(出光興産(株)製ダイアナプロセスオイルpw−90、引火点272℃)30重量部を二軸混練押出機にて溶融混練しストランドに押出、冷却、カッティングしてペレットを得た。このペレットを得た。このペレットを実施例1と同じ押出機を用い230℃で43μmのフィルムを得た。このフィルムを実施例1と同じ延伸機にて1.6倍に延伸し、熱処理にて1.5倍(延伸前のフィルム長さの1.5倍)とした。得られたフィルムは厚さ38〜39μmの均一に白化してた。このフィルムを実施例1と同様に評価した。その結果を〔表1〕に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2、比較例3、比較例4
実施例1、比較例1、比較例2で得られた透湿性シートを裏面材に用い、表面材、吸収体、裏面材及び止着テープからなる図2に示す吸収性物品としての使い捨てオムツをそれぞれ製造した(順に実施例2、比較例3、比較例4)。このオムツを10人のモニターにオーバーナイトで使用して下記項目の比較評価を行った。その結果を〔表2〕に示す。
尚、図2は、本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツであって、その一部を切欠したものを示す斜視図である。
図2に示すように、この使い捨てオムツ1は、液透過性の表面材2と、防漏性の裏面材4と、これらの両面材2,4の間に配置される吸収体3とを具備し、ウエスト部5と、レッグ部6と、該ウエスト部5及び該レッグ部6において表面材2と裏面材4との間にそれぞれ張設された弾性部材7と、腹側胴まわり部8と、背側胴まわり部8’と、該腹側胴まわり部8と該背側胴まわり部8’とを結合するための結合手段として用いるテープファスナー9とから構成されるものである。
【0041】
(評価基準)
(5)漏れ率;20枚中の漏れ発生枚数を漏れ率として評価した。
(6)フィット性;装着した時のフィット性を下記基準で評価した。
・非常によくフィットする・・・◎
・良くフィットする・・・・・・○
・ややフィット性が劣る・・・・△
・フィット性が悪い・・・・・・×
(7)ムレ度;下記の基準で評価した。
・ムレ後が全くなし・・・・・・◎
・僅かにムレ後がみられる・・・○
・ムレ後がやや多くみられる・・△
・ムレ後が非常に多くみられる・×
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】
本発明の透湿性シートは、シート強度、特に尿等低表面張力液防漏性に優れ、風合いが良好で、人体への安全性、変質しない安定性の高い、且つ熱融着可能な生産性の高いものである。
本発明の透湿性シートの製造方法によれば、シート強度、特に尿等低表面張力液防漏性に優れ、風合いが良好で、人体への安全性、変質しない安定性の高い、且つ熱融着可能な生産性の高い透湿性シートを得ることができる。
本発明の吸収性物品は、吸収した体液を漏らさず気化放出して、ムレることなく、快適な装着感を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の透湿性シートを示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の吸収性物品としての使い捨てオムツであって、その一部を切欠したものを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 吸収性物品としての使い捨てオムツ
2 表面材
3 吸収体
4 裏面材
4a 微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜
4b 不織布
5 ウエスト部
6 レッグ部
7 弾性部材
8 腹側胴まわり部
8’ 背側胴まわり部
9 テープファスナー
Claims (7)
- 開孔の為に用いられる添加剤を含まない微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と不織布とを積層したことを特徴とする吸収性物品の裏面材用透湿性シートの製造方法であって、結晶性ポリオレフィン樹脂のみからなる樹脂を製膜してフィルムとなし、該フィルムを融点より80〜10℃低い温度で熱処理し、次いで延伸し、更に熱処理することにより、微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜を得、然る後、該微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを積層することを特徴とする透湿性シートの製造方法。
- 上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜と上記不織布とを、部分的な熱融着により積層することを特徴とする請求項1記載の透湿性シートの製造方法。
- 上記微多孔質ポリオレフィン透湿性樹脂膜が、結晶性ポリプロピレン樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2記載の透湿性シートの製造方法。
- 上記結晶性ポリプロピレン樹脂が、メルトインデックス5以下のホモの結晶性ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項3記載の透湿性シートの製造方法。
- 上記不織布が、ポリオレフィン系不織布であることを特徴とする請求項1〜4項の何れか1項に記載の透湿性シートの製造方法。
- 上記ポリオレフィン系不織布が、コア/シェル型のフィラメントからなり、該シェルがポリエチレン又は低融点ポリプロピレンからなることを特徴とする請求項5記載の透湿性シートの製造方法。
- 上記不織布が、3デニール以下のフィラメントからなることを特徴とする請求項5又は6記載の透湿性シートの製造方法。
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