JP2015163464A - 透湿防水シート - Google Patents

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【課題】 揉み試験後も優れた機械強度、透湿性を示し、衣服として用いたときに快適さと丈夫さを兼ね備えた生地を提供すること。【解決手段】 繊維層とポリオレフィン系多孔性フィルム層とから成り、透湿度が150g/m2・h以上であり、以下の計算式により算出される揉み試験後の突刺強さ変化率が5%未満である透湿防水シートとする。突刺強さ変化率(%)=|((揉み試験前の生地の突刺強さ − 揉み試験後の生地の突刺強さ)/揉み試験前の生地の突刺強さ)| ? 100【選択図】なし

Description

本発明は、衣服などとして用いた際に高い機械強度と透湿性を両立する透湿防水シートに関する。詳しくは揉み試験後も優れた機械強度、透湿性を有することで、生地としての加工性や使用環境に対する耐性に優れ、特に衣服として用いた際に快適さと丈夫さを兼ね備えた透湿防水シートに関する。
透湿性と防水性を兼ね備える透湿防水シートは、衣服として用いた際に、発汗による水蒸気の衣服外への放出と、水滴の衣服内への侵入を防ぐ機能とを有しており、防寒着やスポーツウェアなどの衣料材料として好適である。
このような透湿防水シートの構成の一つとして不織布と多孔性フィルムの積層体があり、その高い防水性から、雨具や建築用シートとして、またそれに加え、粒子、血液、ウィルスなどに対するバリア性から防護服用途として特に好ましく用いられている。
不織布と多孔性フィルムの積層体から成る透湿防水シートを衣服として用いる場合の要求特性の一つとして、衣服への加工や着用時の揉みに対する耐性が挙げられる。透湿防水シートは揉みにより積層体の接着部分の剥がれや多孔フィルムの孔構造の変形が起こり機械強度が低下することで、破れや穴あきによる耐水性、バリア性の低下が問題となり、特に、高透気、高透湿性の積層体においてはこの問題が顕著となる。
これまで不織布と多孔性フィルムから成る衣料用透湿防水シートとしてポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系など様々な樹脂を主原料とした多孔性フィルムを用いた積層体が提案されているが(特許文献1〜5)、揉みに対する耐性については検討されておらず、高透湿性、低目付の積層体における揉み耐性は不十分なものであった。
特許第3838378号公報 特開2006−28495号公報 特開2004−322553号公報 特開2004−181811号公報 特開平11−170461号公報
本発明は上記課題を解決することにある。すなわち揉み試験後も高い機械強度と透湿性を両立した透湿防水シートにより快適さと丈夫さを兼ね備えた生地を提供することにある。
上記した課題を解決し目標を達成するための本発明は以下の特徴を有する。
繊維層とポリオレフィン系多孔性フィルム層とから成り、揉み試験後の透湿度が150g/m・h以上であり、かつ以下の計算式により算出される突刺強さ変化率が5%以下である透湿防水シート。
突刺強さ変化率(%)=|((揉み試験前の生地の突刺強さ − 揉み試験後の生地の突刺強さ)/揉み試験前の生地の突刺強さ)| × 100
本発明の透湿防水シートは、衣服用生地として用いた場合、衣服としての加工や着用中における揉み耐性に優れており、快適さと丈夫さを兼ね備えた衣服用の生地として好適に用いられる。
本発明において用いる多孔性フィルム層は、主成分として熱可塑性樹脂からなることが好ましく、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素系樹脂などの樹脂が挙げられる。この中でもコスト、生産性、そして積層体にしたときの、透湿防水シートしての性能から、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主成分とする多孔性フィルム層であることが好ましい。また、後述する繊維層についても、上記と同様に、ポリプロピレンを主成分とすることが好ましい。なお、ここで述べる主成分とは多孔性フィルム層または繊維層を構成する成分のうち最も質量%の高いもの(含有量の多いもの)をいう。
本発明において用いる多孔性フィルム層はフィルムの両表面を貫通する孔(貫通孔)を有する。多孔性フィルム中に貫通孔を形成する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わない。湿式法とは、ポリオレフィン樹脂をマトリックス樹脂とし、これに被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を用いて添加剤のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法である。一方、乾式法としては、たとえば、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法)や、無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生させ、空隙を形成する方法も提案されている。さらには、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、所謂β晶法と呼ばれる方法の提案も数多くなされている。このうち貫通孔の形成に粒子を多量に添加する方法では、揉み試験により残留している粒子界面から孔が目開きし、機械強度の低下が起こることがある。さらに高い生産性、均一物性、薄膜化を達成する観点から、多孔性フィルム中に貫通孔を形成する方法としてβ晶法が特に好ましい。
本発明において用いる多孔性フィルムを構成する樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレンが好ましいが、このアイソタクチックポリプロピレンのアイソタクチックインデックスは、90〜99.9%であることが好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると樹脂の結晶性が低く、高透湿性を達成するのが困難な場合がある。アイソタクチックポリプロピレンは市販のものを用いることができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成するためには、ポリプロピレンを含む原料樹脂(以下、ポリプロピレン樹脂ということがある)のβ晶形成能が60%以上であることが好ましい。β晶形成能が60%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、透湿性の低いフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能の上限は特に限定されるものではないが、99.9%を超えるようにするには、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が低下するなど工業的な実用価値が低い。工業的にはβ晶形成能は65〜99.9%が好ましく、70〜95%が特に好ましい。
β晶形成能を60%以上に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。β晶核剤としては、たとえば、1,2−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、コハク酸マグネシウムなどのカルボン酸のアルカリあるいはアルカリ土類金属塩、N,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドに代表されるアミド系化合物、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどのテトラオキサスピロ化合物、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどの芳香族スルホン酸化合物、イミドカルボン酸誘導体、フタロシアンニン系顔料、キナクリドン系顔料を好ましく挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の添加量(含有量)としては、ポリプロピレン樹脂全体を基準とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。0.05質量%未満では、β晶の形成が不十分となり、多孔性フィルムの透湿性が低下する。0.5質量%を超えると粗大孔を形成し、透湿防水シートとしてバリア性、機械強度や耐水圧が低下する場合がある。
本発明において用いる多孔性フィルムは、ポリオレフィン樹脂としてホモポリプロピレンを用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を用いることもできる。なお、ポリプロピレンへのコモノマーの導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。
本発明において用いる多孔性フィルムを構成する樹脂には酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましいが、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤添加量は2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下である。
以下、本発明における多孔性フィルムの製造方法についてポリオレフィン樹脂を使用した場合を例にとり説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、基材フィルムを構成するポリオレフィン樹脂を押出機に供給して200〜320℃の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押し出し、冷却用金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化させて未延伸シートとする。
ここで、未延伸シートに多量のβ晶を生成させるためには、溶融押出温度は低い方が好ましいが、200℃未満であると、口金から吐出された溶融ポリマー中に未溶融物が発生し、後の延伸工程で破れなどの工程不良を起こす原因となる場合がある。また、320℃を超えると、ポリプロピレン樹脂の熱分解が激しくなり、得られる多孔性ポリオレフィンフィルムのフィルム特性、例えば耐水圧、破断強度、弾性率などに劣る場合がある。
冷却用金属ドラムの温度は105〜130℃とし、多量かつ均一にβ晶を生成させて、延伸後に高透湿性の多孔性ポリオレフィンフィルムとすることが好ましい。冷却用金属ドラムの温度が105℃未満であると、得られる未延伸シートのβ晶分率が低下する場合があり、130℃を超えると、ドラム上でのシートの固化が不十分となり、冷却用金属ドラムからのシートの均一剥離が難しくなる場合がある。ここで、未延伸シート中のβ晶量は、未延伸シートをサンプルとし、示差走査熱量計を用いて得られるファーストランの熱量曲線から得られるβ晶分率に対応する。この際、特にシートの端部の成形が後の延伸性に影響するため、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態に基づき、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。また、複数の押出機を用いて共押出による積層を行ってもよい。
次に得られた未延伸シートを二軸延伸してフィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。二軸延伸の方法としては、機械方向(長手方向、MD)に延伸後、幅方向(MDと直交する方向、TD)に延伸、あるいは幅方向に延伸後、機械方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルム機械方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透湿性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に機械方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを機械方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。機械方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、110〜140℃、さらに好ましくは115〜135℃の温度を採用することが好ましい。機械方向の延伸倍率は1.1〜8倍であり、好ましくは4.2〜7倍、更に好ましくは5〜6.5倍である。
次に、一軸延伸多孔性ポリオレフィンフィルムをテンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入し、幅方向に延伸して二軸延伸フィルムを得る。
幅方向の延伸について、予熱温度、及び延伸温度は133〜158℃が好ましく、143〜158℃がより好ましい。予熱温度、及び延伸温度が133℃未満である場合、フィブリル開裂時の応力が大きくなり、フィルム破れの原因や、空孔率が高すぎるために、耐水圧や機械強度に劣る場合がある。また、予熱温度、及び延伸温度が158℃より高い場合空孔率が低下し、透湿性が低下する場合がある。
予熱時間は5〜70秒が好ましく、10〜50秒がより好ましい。予熱時間が5秒未満である場合、フィルムが十分温まらず、フィルム破れの原因になる場合がある。また、予熱時間が70秒を超える場合、生産性に劣る場合がある。
幅方向への延伸倍率は1.1〜15倍が好ましく、より好ましくは2.5〜10倍であり、さらに好ましくは6.5〜9.5倍である。延伸倍率が1.1倍未満である場合、空孔率が低下して透湿性、また生産性が低下する場合がある。また、延伸倍率を高くするほど透湿性が向上するが、15倍を超えると、フィルム破れが起きやすくなってしまう場合がある。なお、このときの幅方向の延伸速度としては500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。
延伸応力の緩和、結晶化度の向上による機械強度の改善を目的として、幅方向への延伸に続いてテンター内で熱処理を行ってもよい。熱処理温度は、幅方向への延伸温度以上、170℃以下であることが好ましい。幅方向の延伸温度未満であると、熱固定が十分でなく、幅方向の機械強度が低下する場合がある。170℃を超えると、高温により孔周辺のポリマーが溶けて透湿性が低下し、衣服として用いたときの快適性に劣る場合がある。出力特性と安全性の両立の観点から幅方向への延伸温度以上、167℃以下であればより好ましい。熱処理時間は、幅方向の機械強度と生産性の両立の観点から0.1秒以上10秒以下であることが好ましく、3秒以上8秒以下であるとより好ましい。
透湿防水シートに用いる多孔性フィルムに期待される特性として、突刺強さ、透湿度、耐水圧が挙げられる。本発明において用いる多孔性フィルムは突刺強さが100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。突刺強さが100N/mm未満では例えば衣服として用いた場合、縫製などの加工性が低下したり、引っかきや磨耗、突き刺しなど、着用時のダメージにより衣服が破れ、防水性、バリア性が低下してしまうことがある。
多孔性フィルムの透湿度は150g/m・h以上であることが好ましい。より好ましくは200g/m・h以上、さらに好ましくは300g/m・h以上である。透湿度が150g/m・h未満では、これを積層し衣服として用いた場合、発汗による水蒸気を外に逃がしにくくなり、着心地が低下することがある。透湿度の上限は特に設けないが、2,000g/m・hより高いと衣服として用いた場合のバリア性や機械強度の低下が起こる場合がある。
多孔性フィルムの耐水圧は10kPa以上が好ましく、より好ましくは30kPa以上、さらに好ましくは40kPaである。これより低いと透湿防水シートとして防水性能に劣り、水にさらされる環境下での使用に耐えないことがある。
続いて、本発明において用いる繊維層について述べる。
本発明の透湿防水シートに用いられる繊維層は、材料に十分な強度、摩耗強さ、手触りなどの風合い、柔らかさがあるものであることが好ましい。繊維層として用いられる布帛形状としては、織物、編物、不織布、紙などの繊維構造体があげられる。なかでも、コスト、物性の観点から不織布が好ましい。不織布の製造方式としては、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織布、多孔性フィルム式乾式不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等のほか、目付や厚みが均一にできる抄紙法も好ましく使用できる。なかでも、スパンボンド不織布が、コスト、物性の面から好ましい。
繊維層に求められる機能としては、強度、摩耗強さ、手触りなどの風合いに関わる剛軟性などが挙げられる。
繊維層の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができ、特に前述の多孔性フィルムと熱融着可能な素材であることが、貼り合わせ時の加工性、揉み耐性の観点から好ましい。
繊維層の引張強さは、5N/50mm以上が好ましい。さらに好ましくは、10N/50mm以上、さらに好ましくは15N/50mm以上である。強度が200N/50mm以上となると、構成する繊維の強度を著しく高くしたり、目付を高くする必要があることから、防水・透湿材料としての柔らかさが得られなくなることがあるため、200N/50mm未満であることが好ましい。
繊維層の破裂強さは、JIS L 1096:2010(8.18.1) A法において、好ましくは300kPa以上、より好ましくは400kpa以上、さらに好ましくは500kPa以上である。一方、2,000kPa以下であることが好ましく、より好ましくは1,500kPa以下である。破裂強さが2,000kPaを超える場合、繊維層の強力、目付を限りなく高くする必要があり、防水・透湿材料としての柔軟性、軽量性が損なわれることがある。
繊維層の摩耗強さは、JIS L 1913:2010(6.6.2)記載のテーバ形法において、3級以上が好ましい。さらに好ましくは、4級以上である。
これらの条件を満たすようにする場合、好ましい繊維層の厚みは、0.01mm以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1mm以上である。一方、好ましくは5mm以下であり、より好ましくは1mm以下である。目付は10g/m以上が好ましく、より好ましくは20g/m以上である。一方、好ましくは200g/m以下であり、より好ましくは100g/m以下である。
また、本発明に用いる繊維層は、表面に制電加工などの機能加工がされていると好ましい。制電加工は、導電性ポリマーを表面に加工する方法や、吸湿性ポリマーを表面に加工する方法が好ましい。この際、積層する多孔性フィルム層に接触する反対の面に加工するのがよい。制電加工部分が多孔性フィルム層と接触すると制電性能が低下する恐れがあるからである。
本発明の透湿防水シートは、前述した多孔性フィルム層と繊維層との積層により製造される。多孔性フィルム層と不織布の積層方法について以下に示す。
本発明における透湿防水シートは、少なくとも2層以上の構成を有することが好ましい。積層の構成としては繊維層をA層、多孔質フィルム層をB層、他の繊維層をA’層(A層と同じものでも異なっていてもよい)、他の多孔質フィルム層をB’層(B層と同じものでも異なっていてもよい)としたときに、A/B、A/B/A’、A/A’/B/A’/A、A/B/B’/A’などが挙げられ、中でも、A/B、A/B/A’の構成が好ましい。
本発明の透湿防水シートの目付は100g/m未満であることが好ましく、より好ましくは80g/m未満であり、更に好ましくは50g/m未満である。目付を小さくすることで、衣服としたときに透湿性に優れ、軽量かつ着心地の良いものとできるが、一方で、目付を小さくすることにより耐揉み性や機械強度は低下する。
本発明の透湿防水シートの厚みは500μm未満であることが好ましく、より好ましくは300μm未満であり、更に好ましくは250g/m未満である。厚みを薄くすることで、衣服としたときに着心地の良いものとできるが、一方で、厚みが薄くなることにより機械強度は低下する。
本発明におけるサンプルの揉み試験はスコット形揉み試験機により行う。JIS K 6404−6(3.2):1999に記載の方法に従い、試料から幅25mm,長さ100mmの試験片を採取し、試験機のつかみ具につかみ間隔30mmとして試験片1個を挟み、つかみ間隔を次第に狭め繊維層同士を軽く触れさせる。揉み速さは120回/分、つかみ具の移動距離は50mmとする。揉み回数は1,000回とし、揉み試験を行った透湿防水シートについて、後述する透湿性試験、突刺強さ試験を行う。
本発明の透湿防水シートの揉み試験後の透湿度は150g/m・h以上である。衣服として用いた場合に発汗による水蒸気を外に逃がしにくくなることによる着心地の低下と、機械強度とバリア性の低下への懸念から、好ましくは200g/m・h以上、より好ましくは250以上g/m・h、さらに好ましくは300g/m・h以上である。透湿度の上限は特に特に設けないが、2,000g/m・hを超えると揉み試験後の突き刺し強度が低下する場合がある。
本発明の透湿防水シートの耐水圧は10kPa以上であることが好ましく、より好ましくは30kPa以上、更に好ましくは50kPa以上である。10kPa未満では透湿防水シートとして十分な防水性が得られないことがある。
本発明の透湿防水シートの揉み試験前後での突刺強さ変化率は5%未満である。衣服として用いた場合に機械強度が弱く、加工時や使用時のダメージにより生地に穴が開く、破れるなどして耐水圧やバリア性が低下してしまう懸念から、好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満である。
本発明では、隣接する繊維層と多孔性フィルム層との少なくとも1対が特定面積で接着していればいいが、本発明の効果をさらに得ようとすると、隣接する繊維層と多孔性フィルム層とのすべての対が特定の面積比率の範囲で接着していることが好ましい。耐揉み性の点から接着面積の下限としては3%以上、好ましくは5%以上であり、接着部分の増加は透湿性の低下や、生地が固くなり衣服としての着心地の低下につながるため、40%以下が好ましく、より好ましくは30%以下となるようにする。
接着パターンは耐揉み性の観点から、多数の非接着部分が独立して存在し、その周りを接着部分が取り囲むようなパターンを適用することが好ましい。このように接着部分が積層体上に連続的に存在するようなパターンとなることで、揉み試験時に接着部分にかかる負荷が分散され、揉み試験による接着部分の剥がれが抑制されることで揉み試験後の透湿防水シートの機械強度が保持される。
非接着部分一つ当りの平均面積は、パターンを形成する装置のスペック上、現実的には0.01mm以上であり、好ましくは0.05mm以上である。非接着部分が大きすぎると生地として用いた場合に非接着部分と接着部分の透湿性や機械強度などの性能差によるムラが問題となることから、10,000mm以下であることが好ましく、より好ましくは1,000mm以下であり、更に好ましくは500mm以下となるようにする。
多孔性フィルムと繊維層を接着する方法としては、接着剤法、ホットメルトコーティング法、熱融着法、超音波による接着ラミネート法等がある。接着剤法、ホットメルトコーティング法では、多孔性フィルムと繊維層の表面同士で接着されているため、揉み加工により接着部分が多孔性フィルムや繊維層の表層ごと剥離し、機械強度が低下してしまうことがある。よって、接着方法としては繊維層と多孔性フィルムの加熱した部分が厚み方向に対して完全に溶融、一体化し膜状となるような、熱融着法または超音波法による接着が好ましい。ただし、熱融着法、超音波法に対して、粒子を多量に添加した多孔性フィルム層を適用することは融着部の粒子が基点となり、耐もみ性が低下することがある。多孔性フィルム中の粒子含有割合は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
熱融着法としては、柄高さが1mm以上でかつ表面にフッ素系樹脂をコーティングした金属製、樹脂製、又はセラミック製の熱エンボスロールと、それを挟み込むニップロールを用いた熱接着加工を用いることが好ましい。フッ素系樹脂をロール表面へコーティングすると、ロールと材料との剥離性が良くなるほか、エンボスのエッジ部分でフィルムが傷つけられ、バリア性が損なわれることを防ぐことができる。
加工時の温度は、多孔性フィルムと繊維層が揉み試験により剥がれないよう融着させるためにも、エンボスロールを70℃以上とすることが好ましく、より好ましくは100℃以上となるようにする。接着パターンの周囲へ熱が伝わってしまうことで接着部分周囲も溶融し透湿性が低下してしまうことから、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下とする。
熱エンボスロールとそれを挟み込むニップロールの押し圧力は、0.5MPa以上が好ましく、より好ましくは1MPa以上である。一方、10MPa以下が好ましく、より好ましくは5MPa以下である。
一方受けロールの材質には金属製、樹脂製、セラミック製などが適用できるが、磨耗によるロールの劣化や圧着時の過度の変形を抑えるためにもJIS K 6253(2012)に準拠したタイプAゴム硬度計による硬度が50以上である材料を用いることが好ましい。一方、クッション性が悪いことで、圧着が不均一になる懸念からタイプAゴム硬度計による硬度が90以下のシリコーンゴム製のロールを用いることが好ましい。片面より熱をかけることにより、ロールに材料が取られて加工性が低下することを防ぐことができる。
超音波接着加工は、超音波振動するブレードと接着材料と特定のパターンを有するエンボスロールの間に0.01MPa〜1MPaの圧力で挟み込み、ブレードと呼ばれる振動子を超音波振動1〜5万Hzで振動させ、ブレードと接触するパターン部分を溶融接着させる方法が例示される。ブレードは、おもに摩擦に強いチタン製が用いられるが、その他、アルミ、ステンレス合金などが用いられる。また、ブレード幅は、10〜50cm幅のものが用いられる。
熱融着法、超音波接着法いずれの場合においても、多孔性フィルムと繊維層の一体化の加工条件は、多孔性フィルムのみをその条件で加工した場合に、多孔性フィルムは完全に無孔化することなく多孔構造が残存する条件であることが、高い透湿性を保持することから好ましい。
本発明の透湿防水シートは揉み試験後も優れた機械強度、透湿性を機能することから、生地としての加工性や使用環境に対する耐性に優れ、特に衣服用の生地として用いることに適している。また、防護服用途、カイロ用包材、おむつや生理用品、医療用途、油吸着シート、更には土木建材用途などにおいても好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)揉み試験
スコット形揉み試験機を用い、JIS K 6404−6(3.2):1999に記載の方法で試験を行った。試料から幅25mm,長さ100mmの試験片を採取し、試験機のつかみ具につかみ間隔30mmとして試験片1個を挟み、つかみ間隔を次第に狭め繊維層同士を軽く触れさせる。揉み速さは120回/分、つかみ具の移動距離は、50mmとする。揉み回数は1,000回とし、揉み試験を行った透湿防水シートについて、後述する透湿性試験、突刺強さ試験を行った。
(2)透湿度
JIS L 1099:2012(7.1.1 A−1法)に基づき、透湿防水シートの透湿度を測定した。40℃、90%RHに調節した恒温恒湿槽内における透湿度を評価し、単位:g/m・hで示した。
(3)突刺強さ
万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いてJIS Z 1707:1997(7.4 突刺し強さ試験)に準じて25℃で測定を行った。測定時にピン先端(直径1.0mmの球状)を試験片に対し50mm/minで突き刺した際のピンが貫通する際の最大応力を読み取り、各サンプル5回ずつ行いその平均値を算出した。
(4)単位面積当たりの質量(目付:g/m
JIS L 1913:2010(6.2)に基づいて測定した。試料から25cm×25cmの大きさの試験片を,打抜き形を用いて5枚採取し、その重さを測定し、平均値を求めた。その平均値を16倍し、単位面積当たりの質量(g/m)とした。
(5)膜厚
任意の場所の合計10箇所を接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(10.5mmφ超硬球面測定子、測定荷重0.06N)にて測定し、その平均値をサンプル(多孔性フィルムや透湿防水シート)の膜厚とした。
(6)揉み試験後の透湿度
上記(2)の方法で、揉み試験後の透湿防水シートの透湿度を測定し、下記基準にてその透湿性を評価した。
◎:透湿度が300g/m・h以上である。
○:透湿度が150g/m・h以上300g/m・h未満である。
×:透湿度が150g/m・h未満である。
(7)揉み試験後の突刺強さ
揉み試験による突刺強さ変化率を、突刺強さ変化率(%)=|((揉み試験前の生地の突刺強さ − 揉み試験後の生地の突刺強さ)/揉み試験前の生地の突刺強さ)| × 100、と定義し、揉み試験による突刺強さへの影響を、下記基準にて突刺強さ変化率から評価を行った。
○:突刺強さ変化率が5%未満である。
×:突刺強さ変化率が5%以上である。
(8)引張強さ
JIS L 1913:2010(6.3.1)に基づき測定した。サイズ5cm×30cmの試験片をつかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件でシート縦方向、横方向とも3個のサンプルについて定速伸長型引張試験機にて引張試験を行い、サンプルが破断するまで引っ張ったときの最大強力を引張強さとし、シート縦方向、横方向それぞれの平均値について算出した。
(9)破裂強さ
JIS L 1096:2010(8.18.1 A法)に基づき測定した。15cm×15cmの試験片を5枚採取しミューレン形破裂試験機を用い、試験片を上にして、しわ及びたるみを生じないように均一な張力を加えてクランプでつかみ圧力を加えてゴム膜が試験片を突き破る強さ及び破断時のゴム膜だけの強さを測り、次の式によって破裂強さを求め、その平均値を算出した。
=A−B
:破裂強さ(kPa)
A :ゴム膜が試験片を突き破る強さ
B :破断時のゴム膜だけの強さ
(10)摩耗強さ
JIS L 1913:2010(6.6.2)に基づき測定した。直径13cmの円形試験片を5枚採取し、各試験片の中心に直径約6mmの孔を開け、テーバー形摩耗試験機を用い、試験片の表面を上にして荷重2.45N、摩耗輪(CS−10)を用い、約70min−1で100回、回転摩擦し、外観を限度写真より級判定した。試験片5枚での平均値を、小数点以下の部分が0.33以下であれば切捨て、0.33を超え、0.67未満であれば0.5とし、0.67以上であれば切り上げて算出した。
(11)耐水圧
JIS L 1092:2009(7.1.1 B法)に基づき測定した。
試料から約150mm×150mmの試験片を5枚採取し、耐水度試験装置の表側に水があたるよう取り付け、シリンダに水を入れ、ピストンハンドルを回して1分間に100kPaの割合で水圧を加えて、試験片の裏側に3か所から水が出たときの水圧(kPa)を測定し、5回の平均値を耐水圧とした。
(実施例1)
多孔性フィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を99.5質量%、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100)を0.3質量%、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.1、0.1質量%をこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料Aとした。このチップ原料Aを単軸押出機に供給して200℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しキャストすることで未延伸シートを得た。ついで、125℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.4倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で幅方向へ延伸速度1500%/min、9.2倍に延伸した。そのまま、幅方向に15%のリラックスを掛けながら162℃で熱処理を行い、膜厚17μmの多孔性フィルムを得た。以下、この多孔性フィルムを多孔性フィルムAと表記する。
繊維層にはポリプロピレン製スパンボンド不織布(通気性160cm/cm/s、目付37g/m、引張強力:MD141.6/TD56.1N/50mm、破裂強さ:480kPa、摩耗強さ:4.5級)を用いた。以下、この不織布を不織布Aと表記する。
上記多孔性フィルムAと不織布Aを多孔性フィルムA/不織布Aの2層構成にて、接着面積を12%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、非接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が0.1mm〜5mm、その平均面積が3mmである。さらにその非接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンAと表記する。得られた透湿防水シートの物性測定結果を表4に示す。
(実施例2)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムA/不織布Aの2層構成にて接着面積を35%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、非接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が0.05mm〜3mm、その平均面積が1mmである。さらにその非接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンBと表記する。
(実施例3)
繊維層にポリプロピレン製スパンボンド不織布(通気性180cm/cm/s、目付30g/m、引張強力:MD115.4/TD45.4N/50mm、破裂強さ:380kPa、摩耗強さ:4.5級)を用いた。以下、この不織布を不織布Bと表記する。不織布B/多孔性フィルムA/不織布Bの3層構成にて、接着パターンをパターンBで貼り付けたことを除いて実施例1と同様に実施した。
(実施例4)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムA、不織布Aの2層構成にて接着面積を12%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、非接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が10mm〜50mm、その平均面積が30mmである。さらにその非接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンCと表記する。
(実施例5)
チップ原料Aを単軸押出機に供給して200℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出しキャストすることで未延伸シートを得た。ついで、125℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5.0倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、150℃で幅方向へ延伸速度2,500%/min、9.2倍に延伸した。そのまま、幅方向に15%のリラックスを掛けながら164℃で熱処理を行い、膜厚23μmの多孔性フィルムを得た。以下、この多孔性フィルムを多孔性フィルムBと表記する。
上記多孔性フィルムBと不織布Aを多孔性フィルムB/不織布Aの2層構成にて、実施例1と同様の条件で貼り合わせた。
(比較例1)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。ホットメルト型ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(DIC(株)製、タイフォースWT−004)を120℃で溶融し、接着部分以外はロール面が布帛に触れない、表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用いて不織布Aへ接着層の塗布を行った。多孔性フィルム上に形成される接着剤層のパターンはパターンBである。これを自然冷却の後、多孔性フィルムAとロール圧0.5MPaでロールプレスすることで貼り合わせた。得られた透湿防水シートの物性測定結果を表5に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムA/不織布Aの2層構成にて接着面積を35%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が0.1mm〜5mm、その平均面積が3mmである。さらにその接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように非接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンDと表記する。
(比較例3)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムAにはエレクトレット加工を施し、不織布A/多孔性フィルムA/不織布Aの3層構成にて、超音波接着機(ボブソン製8400)を用い、振動数2万Hz、圧力0.03MPaにて接着面積が12%となるよう相互の層を接着した。接着部分のパターンは、一つ当りの面積が約3mmのドット状の接着部分が、シート上にて格子状になるよう一定間隔で配置されているものである。以下、このようなパターンをパターンEと表記する。
(比較例4)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムA/不織布Aの2層構成にて接着面積を4%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、非接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が10mm〜50mm、その平均面積が30mmである。さらにその非接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンFと表記する。
(比較例5)
実施例1と同様に多孔性フィルムA、不織布Aを用いた。多孔性フィルムA/不織布Aの2層構成にて接着面積を65%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度147℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンは、非接着部分がドット状に形成されており、ドット一つの面積分布が0.05mm〜3mm、その平均面積が1mmである。さらにその非接着部分のひとつひとつは独立した状態でシート上にランダムに配置されており、その孤立したドットの周りを囲むように接着部分が形成される。以下、このようなパターンをパターンGと表記する。
(比較例6)
高密度ポリエチレン粉末(“ハイゼックス”340M、三井化学(株)製、)30質量%と、ポリエチレンワックス(“ハイワックス”110P、三井化学(株)製)20質量%と、炭酸カルシウム(商品名:“スターピゴット”15A、白石カルシウム(株)製、平均粒子径0.15μm)50質量%を混合した組成物を二軸押出機に供給して200℃で溶融混合した後、Tダイ口金内を通してシート状に押出成形し、表面温度30℃のキャストドラム上に密着させ、非ドラム面側より20℃の冷風を吹き付けて未延伸フィルムを作製した。次に、該未延伸フィルムを125℃に加熱保持されたオーブンに導いて予熱後、MD方向に3倍延伸し20℃のロールで冷却した。続いて、MD方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱した雰囲気中でTD方向に5倍延伸して(面積倍率:縦延伸倍率×横延伸倍率=15倍)、厚さ20μmの多孔性ポリエチレンフィルムを得た。以下、このような多孔性フィルムを多孔性フィルムCと表記する。
繊維層には芯部分がポリプロピレン、鞘部分がポリエチレンの芯鞘繊維から成るスパンボンド不織布(通気性180cm/cm/s、目付40g/m、引張強力:MD75.6/TD25.9N/50mm、破裂強さ:310kPa、摩耗強さ:4.5級)を用いた。以下、この不織布を不織布Cと表記する。上記多孔性フィルムCと不織布Cを多孔性フィルムC/不織布Cの2層構成にて、接着面積を12%、接着部分以外はロール面が布帛に触れない表面がフッ素樹脂(加工)樹脂にてコーティングされた柄高さ3mmのロールを用い、ロール温度125℃、受けロールは常温、ロール圧3MPa、加工速度3m/分で、接着加工を行った。この時の接着部分と非接着部分のパターンはパターンAである。
(比較例7)
不織布Dを用い、樹脂層(以下フィルムDと表記)をコーティングした市販の透湿防水シート(“タイケム”タイプC、デュポン(株)製)を用いた。
Figure 2015163464
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Figure 2015163464
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本発明の透湿防水シートは揉み試験後も高い透湿性と機械強度を両立しており、衣服、特にバリア性の要求される防護服に用いる生地として有効である。

Claims (6)

  1. 繊維層とポリオレフィン系多孔性フィルム層とから成り、揉み試験後の透湿度が150g/m・h以上であり、かつ以下の計算式により算出される揉み試験後の突刺強さ変化率が5%未満である透湿防水シート。
    突刺強さ変化率(%)=|((揉み試験前の生地の突刺強さ − 揉み試験後の生地の突刺強さ)/揉み試験前の生地の突刺強さ)| × 100
  2. 目付が50g/m未満である、請求項1に記載の透湿防水シート。
  3. 厚みが250μm未満である、請求項1または2に記載の透湿防水シート。
  4. 繊維層およびポリオレフィン系多孔性フィルム層の主成分がいずれもポリプロピレンである、請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水シート。
  5. 不織布がポリオレフィン系多孔性フィルム層に熱融着により接着されている、請求項1〜4のいずれかに記載の透湿防水シート。
  6. 衣服用として用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水シート。
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