JP3567830B2 - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の点火制御装置、特に、エンジンの運転状態に応じて点火プラグの放電エネルギーを増減して失火を防止すると共にバッテリ消費電力を抑えるようにした内燃機関の点火制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
火花点火式の内燃機関は筒内の加圧混合気を適正タイミングで点火プラグが発生する火花で点火し、出力を発生させる。この内燃機関の点火装置は燃焼安定性を確保する上では点火プラグの放電エネルギを高める必要があるが、バッテリ消費電力を抑える観点より燃焼安定性の良い運転域では放電エネルギーを抑えるようにしている。例えば、筒内噴射式エンジンでは、図7に示すように、エンジン運転域を空燃比によって、圧縮リーン域、吸気リーン域、リーン以外のストイキオ及びリッチ域(以後、W/Oリーン域と記す)との3つの燃焼モードに区分し、これら各運転域で最適な燃料供給や点火処理を行うべく燃料噴射装置や点火装置を駆動している。ところで、図7に示す各空燃比領域はそれぞれ燃焼安定する領域が相違し、即ち、圧縮リーン域では筒内の一部に層状の希薄混合気が生成され、安定した燃焼を制御することが難しく、吸気リーン域では筒内に均一に比較的希薄な混合気が生成され、圧縮リーンよりも比較的燃焼を安定して制御しやすく、W/Oリーン域では十分な燃焼安定性を保持できる。このため、圧縮リーン域では燃焼安定性確保のため、高レベルの放電エネルギーのスパークで点火を行う必要があり、点火コイル通電時間をW/Oリーン域よりも長く設定することが行われる。
【0003】
例えば、特開平4−179860号公報には、層状燃焼運転域と均一燃焼運転域とで放電エネルギーを切り換える点火装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平4−179860号公報開示の点火装置や図7で説明した点火装置では、層状燃焼運転か均一燃焼運転かで放電エネルギー相当の一次電圧値等の一定値を一義的に決定しており、この値の大きさによっては放電点火エネルギーが高エンジン回転域で不足したり、低エンジン回転域側で過剰となる。
ところが、筒内噴射式エンジン等のように空燃比が圧縮リーン域、吸気リーン域、W/Oリーン域とに切り換えられ、各燃焼モード毎の燃焼安定性が大きく相違する場合は、燃焼モード切換え状況に応じて放電エネルギーの設定値を代えて、燃焼安定性の向上を図ると共に失火の危険性の少ない運転域ではバッテリ消費電力を抑えることが望ましい。しかも、これに加えて、同一燃焼モードであってもその時のエンジン回転速度に応じて、或いは、これに加えてエンジンの暖気状態に応じて放電エネルギーの設定値を代えることが、燃焼安定性や無駄なバッテリ消費電力を抑える上でより好ましいことが推定される。
【0005】
本発明は上述の課題に基づき、無駄なバッテリ消費電力を抑えながら、燃焼安定性を確保し、ドライバビリティも確保できる内燃機関の点火制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明では、第1の所定空燃比で運転する第1燃焼モードと該第1の所定空燃比よりも希薄側の空燃比で運転する第2燃焼モードを備えた内燃機関の点火制御装置であって、上記内燃機関に設けられた点火プラグの放電エネルギーをエンジン回転速度に応じて増大させると共に上記第1燃焼モードに比べて第2燃焼モードでの放電エネルギーを増大するよう切換え制御を行う放電エネルギー制御手段を備え、同放電エネルギー制御手段は上記第1燃焼モードでのエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率と上記第2燃焼モードでのエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率を各々の燃焼モードで別設定して制御を行っている。
このように、第1燃焼モードと第2燃焼モード域とでエンジン回転速度の変化に対する燃焼安定性がそれぞれ異なるものであっても、各々の燃焼モードで放電エネルギーの増加率を異ならせている。このため、放電エネルギーの過度な増加を抑制しながら燃焼安定性を確保し、バッテリ消費電力を低減でき、ドライバビリティを確保できる。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1記載の内燃機関の点火制御装置において、上記放電エネルギー制御手段は機関温度が所定温度以下のエンジン冷態時に上記燃焼モードに係わらず点火プラグの放電エネルギーを増大するよう制御することを特徴とする。
ここで、エンジン冷態時はその時のエンジン回転速度に応じた最大の放電エネルギーを選択することとなり、エンジン冷態時における失火を燃焼モードやエンジン回転速度に影響されずに防止することができる。
【0008】
請求項3の発明では、請求項1記載の内燃機関の点火制御装置において、上記放電エネルギー制御手段はエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率が第1燃焼モードよりも第2燃焼モードの方が小さくなるように制御することを特徴とする。
この場合、第2燃焼モードでは既に放電エネルギーが第1燃焼モードよりも増大されており、第2燃焼モードでの放電エネルギーを第1燃焼モードと同様の増大率で増加させると、第2燃焼モードでの高回転側で放電エネルギーが過剰となることより、ここでは第2燃焼モードにおける高回転側での放電エネルギーの増加を抑制しながら、燃焼安走性を確保し、バッテリ消費電力を低滅できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1には、本発明による内燃機関の点火制御装置としてのエンジンの点火制御装置を示した。ここでのエンジンEは、4気筒の筒内噴射式エンジンであり、エンジンEの各シリンダSの上部には燃焼室Cが形成される。また、クランクシャフト7の一端には単位クランク角信号θc、基準信号θ及びこれらに基づくエンジン回転速度Ne情報を検出するクランク角センサ8が対設され、これは後述のエンジンコントロールユニット(ECU)9に検出信号を出力する。
更に、各シリンダSの上側内壁面のほぼ中央位置には、点火プラグ13が装着されると共に、燃料噴射用のインジェクタ14が配備される。
【0010】
燃焼室Cに接続された吸気ポートには、インテークマニホールド15、サージタンク16、サージタンク16に続く延長管17及びエアクリーナ18がこの順で接続される。エアクリーナ18内には、吸気量Qa情報を得るエアフローセンサ19と、吸気温度Ta情報を出力する大気温センサ20及び大気圧Pa情報を出力する大気圧センサ21が装着され、これら各情報はECU9に出力される。さらに、延長管17内にはスロットル弁22が配備され、同弁のスロットル開度θs情報がスロットル開度センサ23によりECU9に出力される。またエンジンEの水温Tw情報を検出する水温センサ24が配備され、その検出信号はECU9に出力されている。
【0011】
排気ポートに連結されたエキゾーストマニホールドには、排気路の排ガス中の酸素濃度、即ち、空燃比A/F情報をECU9に出力するO<SUB>2</SUB>センサ26が配備されている。
なお、各インジェクタ14は、ECU9の噴射信号に応じて燃料噴射を行うように構成される。なお、ECU9にはバッテリー電圧VBの検出機構31及びノック信号n情報を出力するノックセンサ32が接続されている。点火プラグ13は点火ユニット33に接続される。
ここでの点火ユニット33は、タイミング制御回路と高圧電源回路と点火コイルとで構成される。ここで、高圧電源回路による充電電圧が高いほど点火コイルに高電圧が発生し放電エネルギーが大きくなるよう構成される。
【0012】
ECU9はエンジンEの燃料噴射量制御、スロットル弁駆動制御等の周知の制御処理に加え、運転域判定処理や点火制御処理を行う。運転域判定処理において、ECU9はあらかじめ設定された燃焼モードマップm1(図2(a)参照)を用いる。ここではエンジンの運転域を、空燃比がストイキオ或いはリッチのW/Oリーンで、噴射時期が吸入行程側に設定されたモード(以後第1燃焼モードA1と記す)と、燃料が最も希薄となる空燃比である圧縮リーンで、噴射時期が圧縮行程に設定されたモード(以後第2燃焼モードA2と記す)と、空燃比がリーン域だが、噴射時期が吸入行程側に設定され混合気が筒内に均一に生成されるモード(以後第2’燃焼モードA2’と記す)とに区分して設定されている。このためECU9は、クランク角センサ8とエアフローセンサ19よりエンジン回転速度Neと軸出力Pe(ここでは、吸入空気量Qaをエンジン回転速度Neで除算した値Qa/Ne)とを算出し、これより運転域マップm1(図2(a)参照)を用いて、現在の運転域が第1燃焼モードA1か第2燃焼モードA2か、或いは、第2’燃焼モードA2’かを判定できる。
【0013】
なお、ECU9は基本点火時期算出手段として軸出力Peとエンジン回転速度Neに応じた基本点火時期θbを第1燃焼モードA1,第2燃焼モードA2及び第2’燃焼モードA2’の相違に応じて各々設定された図示しない基本点火時期算出マップに基づき算出する。点火時期算出手段として基本点火時期θbを内燃機関の運転情報に基づき補正して目標点火時期θadvを算出するという機能を有する。特に、このECU9は放電エネルギー制御手段として、点火プラグ13の放電エネルギーをエンジン回転速度Neに応じて増大させると共に第1燃焼モードA1に比べて第2燃焼モードA2(A2’)での放電エネルギーを増大するよう切換え、かつ、第1燃焼モードA1でのエンジン回転速度Neの増大に対する放電エネルギーの増大率(図2(b)のb1/aの比率参照)と第2燃焼モードA2でのエンジン回転速度Neの増大に対する放電エネルギーの増大率(図2(b)のb2/a,b2’/aの比率参照)を各々の燃焼モードで別設定して制御するという機能を備える。
【0014】
ここでは、図2(b)の放電エネルギー設定マップm2をあらかじめ設定する。このマップでは点火プラグ13の放電エネルギーは点火コイルの要求点火コイル通電時間をエンジン回転速度Neで乗算した値として表示されている。特に、全エンジン回転速度域において、第1燃焼モードA1、第2’燃焼モードA2’、第2燃焼モードA2の順に各放電エネルギーが増大するよう設定される。しかも、第1燃焼モードA1のエンジン回転速度Neの増大に対する放電エネルギーの増大率b1/aは最も大きく、第2’燃焼モードA2’の増大率b2’/aが中間値で、第2燃焼モードA2の増大率b2/aが最も小さく設定される。
【0015】
このマップの設定にあたっては、次の点が考慮された。即ち、第2燃焼モードA2(A2’)では、既に放電エネルギーが第1燃焼モードA1よりも、増大されており、且つ、第2燃焼モードA2ではエンジン回転速度Neの増大に伴って燃焼速度が増加し、燃焼速度の増加が少ない第1燃焼モードA1よりも放電エネルギーを増加させる必要がない。これ故、第2燃焼モードA2での放電エネルギーを第1燃焼モードA1と同様の増大率で増加させると、高回転側で放電エネルギーが過剰となってしまう。このような状況下にあるので、ここでは、第2燃焼モードA2における高回転側での放電エネルギーの増加を抑制し、しかも、第1燃焼モードA1ではバッテリ消費電力を低滅するようにしている。
【0016】
ここで本実施形態のエンジンの点火制御装置を図4乃至図6の制御プログラムに沿って説明する。
ECU9は、図示しないメインスイッチのキーオンによりメインルーチンでの制御に入る。まず、ステップs1では、現在のエンジン回転速度Ne毎に設定される全燃焼モード(A1,A2,A2’)の各要求放電エネルギーを放電エネルギー設定マップm2より読み取る。この要求放電エネルギーより、現在のエンジン回転速度Neに応じた要求点火コイル通電時間を各燃焼モードの特性値に沿って求める。
【0017】
ステップs2では、エンジン回転速度Neと軸出力Peとより燃焼モードマップm1を用い、現在の燃焼モード判定を行う。ステップs3では現燃焼モードがストイキオ側のW/Oリーンの第1燃焼モードA1ではステップs4に進んでECU9内の行程数カウンタ(図示せず)をクリアし、そうでない第2燃焼モードA2(或いはA2’)ではステップs5で同燃焼モードから他のW/Oリーンへの切換え時のディレータイムαを行程数カウンタ(図示せず)にセットし、ステップs6に進む。ステップs6では点火時期算出に用いる水温低下に応じて進角させる水温補正値θTw、吸気温低下に応じて進角させる吸気温補正値θTa、ノック信号nの増加に応じてノックリタード−θk値が算出される。更に、図示しないバッテリー電圧VBの低下に応じて放電エネルギーを一定に保つバッテリー補正値tbも算出され、その他の燃料噴射パルス幅補正係数KDTや、燃料噴射弁のデッドタイムの補正値TDを運転条件に応じて設定し、次いで、ステップs7のその他のエンジン制御処理を行って1制御周期を終え、リターンする。
【0018】
このメインルーチンの途中の所定クランク角(例えば、TDC180°)位置で、周知のインジェクタの噴射処理や、点火処理が実行されている。
図示しないインジェクタの噴射量算出ルーチンでは、吸入空気量A/Nを算出し、同吸入空気量A/Nより基本燃料パルス幅Tfを算出し、メインルーチン側より取り込んだ現空燃比A/F相当の補正係数KAF、大気温Ta及び大気圧Paに応じた補正係数KDT等により目標インジェクタ駆動時間を算出する。
次にメインルーチンの途中での点火処理を図5、図6に沿って説明する。
【0019】
図5の放電エネルギー制御ルーチンのステップa1に達すると、現燃焼モード域が読み込まれ、現燃焼モードがストイキオ側のW/Oリーンの第1燃焼モードA1ではステップa4にそのまま進み、そうでないリーンではステップa2で圧縮リーンである第2燃焼モードA2か否か判断する。第2燃焼モードA2で無いとステップa5に、圧縮リーンの第2燃焼モードA2では、ステップa3に達する。このステップa3では、圧縮リーンの第2燃焼モードA2であり、読み込み済である要求放電エネルギーにより現在のエンジン回転速度Neに応じた要求点火コイル通電時間を高圧電源回路にセットし、要求点火コイル通電時間中に確保する一次電圧(例えば250V)を指示すべく高電圧指令を高圧電源回路に出力し、これにより点火駆動回路に一次電圧V2をセットし、リターンする。これにより放電エネルギーを高レベルに保持した点火コイル13のスパークを得て、着火性優先の制御をしている。
【0020】
吸気リーンの第2’燃焼モードA2’でステップa5に達すると、ここでは
前回が圧縮リーンの第2燃焼モードA2で、その切換え時(例えば時点t4)にあると、ステップa4に、吸気リーンが継続していると、ステップa6に達する。ステップa6では、吸気リーンの第2’燃焼モードA2’であり、読み込み済である現在のエンジン回転速度Neに応じた要求点火コイル通電時間(図3の2点鎖線参照)を高圧電源回路にセットし、要求点火コイル通電時間中に確保する一次電圧(例えば200V)を指示すべく高電圧指令を高圧電源回路に出力し、これにより点火駆動回路に一次電圧をセットしステップa12に進む。
ステップa1或いはa5よりステップa4に達するとする。ここでは、前回と異なる燃焼モードに切り替わり、前回圧縮リーンから吸気リーンの燃焼モードA2’への切換え時、或いは前回圧縮リーンや吸気リーンからW/Oリーンの燃焼モードA1への切換え時であると、ステップa11に進む。
【0021】
ステップa4より噴射時期の変化がないとしてステップa7に達すると、ここでは、ECU9内の行程数カウンタのディレータイムがカウントアップ(α=0)されるまで(例えば、図3の時点t4からt5の間)は、ステップa8,a9に進み、ここでカウント値を「1」づつ減算し、その間はステップa11に進む。ステップa11では、前回の燃焼モード、例えば圧縮リーンの第2燃焼モードA2が継続であり、一次電圧(例えば図3の時点t4からt5の間)を保持し、読み込み済である要求放電エネルギーより現在のエンジン回転速度Neに応じた要求点火コイル通電時間を高圧電源回路にセットし続け、要求点火コイル通電時間中に確保する一次電圧(例えば250V)を指示すべく高電圧指令を高圧電源回路に出力し続け、ステップa12に進む。
【0022】
ECU9内の行程数カウンタがカウントアップ(α=0)すると、ステップa10に達し、ここでは現在の燃焼モードが燃焼安定域に入ったことより、即ち、W/Oリーンが継続中で、図3の時点t5以降の運転状態であり、ここでは一次電圧(例えば150V)をセットし、ステップa12に進む。
ステップa12では、現在の水温Twがエンジン冷態時の判定値Tw1を上回ると、そのままリターンする。一方、下回ると、暖気前と判定してステップa13に進み、ここでは最も高レベルの放電エネルギーを確保できる一次電圧を設定する最大電圧指令を高圧電源回路に出力する。このエンジン冷態時はその時のエンジン回転速度に応じた最大の放電エネルギーを選択することとなり、エンジン冷態時における失火を燃焼モードやエンジン回転速度に影響されずに防止する制御を行い、メインルーチンに戻る。
【0023】
メインルーチンの途中で上死点前75°(75°BTDC)に達する毎(クランク角180°)にオフよりオンに基準信号θoが変化するのに基づきメインルーチンに割込みをかけ、図6の点火制御ルーチンが実行される。ここでのステップb1では所定のデータが取り込まれ、ステップb2,b3では最新の目標点火時期θb及び最新の要求点火コイル通電時間をタイミング制御回路にセットし、メインルーチンにリターンする。
【0024】
これにより、点火が点火ユニット33により実行される。この場合、第1燃焼モードA1で点火ユニット33は比較的低レベルの一次電圧を受け、比較的低レベルの点火パルスを発生し、バッテリ消費電力の無駄を省く。さらに、第2燃焼モードA2や第2’燃焼モードA2’においては点火ユニット33は比較的高レベルの一次電圧を受け、比較的高レベルの点火パルスを発生し、燃焼安定性優先の制御を行う。このように、無駄なバッテリ消費電力を抑えながら、確実に失火をなくし、ドライバビリティを確保できる。
図1の内燃機関の点火制御装置に代えて、コンデンサ使用の点火駆動回路等を用いても良い。
なお、上述の実施形態において、放電エネルギー設定マップにより点火コイル通電時間を算出していたが、放電エネルギーが各々の燃焼モードで異なる増大率となるように点火コイル通電時間をマップ化しても良い。つまり結果的に放電エネルギーの増大率が各々の燃焼モードで異なっておれば、どのような方法を用いても良い。なお、上述の点火コイル通電時間をクランク角度等で設定しても良いことは言うまでもない。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明では、各々の燃焼モードで放電エネルギーの増加率を異ならせているため、放電エネルギーの過度な増加を抑制しながら燃焼安定性を確保し、バッテリ消費電力を低減でき、ドライバビリティを確保できる。
【0026】
請求項2の発明では、エンジン冷態時はその時のエンジン回転速度に応じた最大の放電エネルギーを選択することとなり、エンジン冷態時における失火を燃焼モードやエンジン回転速度に影響されずに防止することができる。
【0027】
請求項3の発明では、第2燃焼モードでの高回転側で放電エネルギーが過剰となることが無いように、ここでは第2燃焼モードにおける高回転側での放電エネルギーの増加を抑制しながら、燃焼安走性を確保し、バッテリ消費電力を低滅できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例としての内燃機関の点火制御装置の適用されたエンジンの概略構成図である。
【図2】図1の内燃機関の点火制御装置で用いるマップの特性線図であり、(a)は運転域設定用のマップを、(b)は放電エネルギー設定マップを示す。
【図3】図1の内燃機関の点火制御装置における燃焼モード切換え作動説明のための波形線図である。
【図4】図1の内燃機関の点火制御装置が用いるメインルーチンのフローチャートである。
【図5】図1の内燃機関の点火制御装置が用いる放電エネルギー制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】図1の内燃機関の点火制御装置が用いる点火制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】従来の点火制御装置の制御特性線図であり、運転域設定マップを示す。
【符号の説明】
1 内燃機関の点火制御装置
9 ECU
13 点火プラグ
33 点火ユニット
t4 燃焼モード切換え時点
t5 運転域切換え判定時
b1/a, b2/a,b2’/a
放電エネルギーの増大率
A1 第1燃焼モード
A2 第2燃焼モード
A2’ 第2’燃焼モード
E エンジン
Claims (3)
- 第1の所定空燃比で運転する第1燃焼モードと該第1の所定空燃比よりも希薄側の空燃比で運転する第2燃焼モードを備えた内燃機関の点火制御装置において、
上記内燃機関に設けられた点火プラグの放電エネルギーをエンジン回転速度に応じて増大させると共に上記第1燃焼モードに比べて第2燃焼モードでの放電エネルギーを増大するよう切換え、かつ、上記第1燃焼モードでのエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率と上記第2燃焼モードでのエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率を各々の燃焼モードで別設定して制御を行う放電エネルギー制御手段を備えたことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 請求項1記載の内燃機関の点火制御装置において、
上記放電エネルギー制御手段は機関温度が所定温度以下のエンジン冷態時に上記燃焼モードに係わらず点火プラグの放電エネルギーを増大するよう制御することを特徴とする内燃機関の点火制御装置。 - 請求項1記載の内燃機関の点火制御装置において、
上記放電エネルギー制御手段はエンジン回転速度の増大に対する放電エネルギーの増大率が第1燃焼モードよりも第2燃焼モードの方が小さくなるように制御することを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
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