JP3567248B2 - 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 - Google Patents
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3567248B2 JP3567248B2 JP2001017056A JP2001017056A JP3567248B2 JP 3567248 B2 JP3567248 B2 JP 3567248B2 JP 2001017056 A JP2001017056 A JP 2001017056A JP 2001017056 A JP2001017056 A JP 2001017056A JP 3567248 B2 JP3567248 B2 JP 3567248B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- compound
- benzisothiazolin
- carbon atoms
- alkyl group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
- 0 OC1c2ccccc2S*1 Chemical compound OC1c2ccccc2S*1 0.000 description 2
- WRUDAMUPDWDCCN-UHFFFAOYSA-N OC1N(C2CC2)SC2C1C=CCC2 Chemical compound OC1N(C2CC2)SC2C1C=CCC2 WRUDAMUPDWDCCN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Landscapes
- Thiazole And Isothizaole Compounds (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物をS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類を反応することにより、効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は種々の生理活性を持つ事が知られており、たとえば5−クロロおよび6−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは抗菌・抗バクテリア活性があることが報告されている(Adv. Heterocycl. Chem., 14, 58 (1972))。さらに、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンから誘導されるさまざまな1,2−ベンゾイソチアゾール化合物のうち、イソチアゾール環部分に置換基を有する化合物も、種々の薬理作用を示す化合物が存在することが報告されているという重要な化合物である(Adv. Heterocycl. Chem., 14, 58 (1972);J. Med. Chem., 29, 359 (1986))。特に、2位の窒素原子上に置換基を有する1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は、抗菌・抗バクテリア作用(Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183 (1982);J. Med. Chem., 28, 1772 (1985))や血小板凝結防止作用(J. Med. Chem., 28, 1661 (1985))を示す化合物があることが報告されている。
【0003】
従来、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は、ジチオサリチル酸やチオサリチル酸を塩素あるいは臭素と処理をした後、アミンと反応させる方法(米国特許第2870015号,ベルギー国特許第565380号,第617384号,ドイツ国特許第1135468号,J. Org. Chem.,40, 2029 (1975))、あるいはチオサリチル酸アミド類と塩素を反応させる方法(Farmaco, Ed. Sci., 16, 509 (1961), 18, 732 (1963), 19, 254 (1964), 22, 935, 989, 999 (1967), 23, 468 (1968), 英国特許第848130号,米国特許第3761489号)により製造されていたが、有毒な塩素や臭素を用いなければならず、また製造装置の腐食の問題もあるので、安全な製造法の開発が望まれている。また、1,2−ベンゾジチオール−3−オンや1,2−ベンゾジチオール−3−オン 1−オキシドより製造する方法も知られているが(J. Chem. Soc., 123, 170 (1923), Tetrahedron Lett., 37, 5337 (1996))、これらの化合物はいずれも特殊な試薬であって、入手が容易ではなく工業的に実施する方法としては不適当である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造するにあたり、通常の方法である有毒な塩素ガスを用いるという欠点を克服し、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造するための工業的に有利な方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、S−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類を反応させることにより環化反応を起こさせれば、安全かつ容易に1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物が得られることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、下記一般式(イ)
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。R2は、炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜4の整数である)
で表される1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造する方法において、下記一般式(ロ)
【化5】
(式中、R2は、炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜4の整数である。R3は炭素数1〜6のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す)
で表されるS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−チオ安息香酸エステル化合物と、下記一般式(ハ)
【化6】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。)で表されるアミン類を反応させることを特徴とする1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法が提供される。
【0007】
【発明実施の形態】
本発明の製造目的化合物である1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を示す前記一般式(イ)において、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。これらのアルキル基は、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基等の置換基を有していてもよい。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ヒドロキシエチル基、エトキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
また、R2は炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示す。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ペンチル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。前記アルコキシル基の具体例を示すと、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ヘキシロキシ基等が挙げられる。nは0または1〜4の整数を示す。
【0008】
また、反応基質として用いるS−2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)−2−チオ安息香酸エステルを示す前記一般式(ロ)において、R3は炭素数1〜6のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、エトキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0009】
本発明の新規な合成反応は次のような反応式によって表すことができる。
【化7】
【0010】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施されるが、この場合の反応溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール等の溶媒中で行われる。また、これらの溶媒は単独または混合溶媒の形で使用される。
【0011】
前記製造方法における温度は20度〜150度付近の温度で行うことができるが、あまり低温すぎると反応時間が遅くなり、高すぎると分解反応や副反応が多くなるので、50度〜100度の範囲で実施するのが好ましい。反応時間は反応温度により左右され、一概に定めることはできないが、通常は2〜8時間で十分である。
【0012】
このようにして、本発明の反応によって例えば化学式(1)〜(3)で示される1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造することができる。
【化8】
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明の実施例は本発明の理解を容易にするために代表的な物をあげたものであり、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0014】
実施例1
内容積50mlのガラス製容器中にS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチル(127mg,0.4mmol)と2−ヒドロキシエチルアミン(31mg,0.5mmol)をメタノール(10ml)に溶解させ、5時間加熱還流した。メタノールを減圧下留去させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒 塩化メチレン:アセトン:メタノール=100:20:4)で精製することにより前記化合物(1)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを収量45mgで得た。
収率:58%;融点 112−112.5℃(再結晶溶媒:酢酸エチル)(文献値 112−114℃);1H−NMR (CDCl3) 3.97 (2H, td, J=4.9, 1.1 Hz), 4.05 (2H, td, J=4.9, 1.1 Hz), 7.40 (1H, td, J=6.9, 1.1 Hz), 7.54 (1H, dt, J=7.7, 0.8 Hz),7.62 (1H, td, J=6.9, 1.1 Hz), 8.03 (1H, dt, J=8.0, 1.1 Hz);IR (KBr) 3331, 1632, 1454, 1345, 1080, 748 cm−1。
【0015】
実施例2
実施例1において、2−ヒドロキシエチルアミンの代わりに3−ヒドロキシプロピルアミンを用いて、前記化合物(2)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを得た。
収率:69%;融点 76.6−77.4 ℃ (再結晶溶媒:酢酸エチル) (文献値 71−75 ℃);1H−NMR (CDCl3)δ1.92 (2H, tt, J=6.2, 5.5Hz), 3.58 (2H, t, J=5.6Hz), 4.08 (2H, t, J=6.2Hz), 7.44 (1H, td, J=7.4, 1.2Hz), 7.58 (1H, dt, J=8.0, 1.0Hz), 7.65 (1H, td, J=7.4, 1.2Hz), 8.05 (1H, dt, J=7.8, 1.0Hz);IR (KBr)νmax 3364, 2944, 1632, 1445, 1350, 1192, 1065, 937, 743 cm−1。
【0016】
実施例3
実施例2においてS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチルの代わりにS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エチルを用いて同様な反応を行い、前記化合物(2)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを収率41%で得た。
【0017】
実施例4
内容積50mlの封管中にS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチル(0.4mmol)とシクロプロピルアミン(1.0mmol)をメタノール(10ml)に溶解させ、封管中で80℃で5時間攪拌した。反応終了後メタノールを減圧下留去させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒 塩化メチレン:アセトン:メタノール=100:5:1)で精製することにより前記化合物(3)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを得た。
収率:24%;1H−NMR (CDCl3) 1.05−1.12 (4H, m), 3.10−3.17 (1H, m), 7.38 (1H, td, J=7.4, 1.1 Hz), 7.50 (1H, dt, J=8.0, 0.8 Hz), 7.60 (1H, td, J=7.6, 1.1 Hz), 8.01 (1H, dt, J=8.0, 0.8 Hz);IR (neat)νmax 1654, 1449, 1333, 741, 673 cm−1;高分解能MS,C10H9NOS:計算値 191.0405; 実測値 191.0363。
【0018】
【発明の効果】
本発明におけるS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類の反応により、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を収率よく製造することができる。しかも、有毒な塩素ガスを用いることなく安全に製造できるので、工業的な1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の合成法として最適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物をS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類を反応することにより、効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は種々の生理活性を持つ事が知られており、たとえば5−クロロおよび6−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは抗菌・抗バクテリア活性があることが報告されている(Adv. Heterocycl. Chem., 14, 58 (1972))。さらに、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンから誘導されるさまざまな1,2−ベンゾイソチアゾール化合物のうち、イソチアゾール環部分に置換基を有する化合物も、種々の薬理作用を示す化合物が存在することが報告されているという重要な化合物である(Adv. Heterocycl. Chem., 14, 58 (1972);J. Med. Chem., 29, 359 (1986))。特に、2位の窒素原子上に置換基を有する1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は、抗菌・抗バクテリア作用(Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183 (1982);J. Med. Chem., 28, 1772 (1985))や血小板凝結防止作用(J. Med. Chem., 28, 1661 (1985))を示す化合物があることが報告されている。
【0003】
従来、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物は、ジチオサリチル酸やチオサリチル酸を塩素あるいは臭素と処理をした後、アミンと反応させる方法(米国特許第2870015号,ベルギー国特許第565380号,第617384号,ドイツ国特許第1135468号,J. Org. Chem.,40, 2029 (1975))、あるいはチオサリチル酸アミド類と塩素を反応させる方法(Farmaco, Ed. Sci., 16, 509 (1961), 18, 732 (1963), 19, 254 (1964), 22, 935, 989, 999 (1967), 23, 468 (1968), 英国特許第848130号,米国特許第3761489号)により製造されていたが、有毒な塩素や臭素を用いなければならず、また製造装置の腐食の問題もあるので、安全な製造法の開発が望まれている。また、1,2−ベンゾジチオール−3−オンや1,2−ベンゾジチオール−3−オン 1−オキシドより製造する方法も知られているが(J. Chem. Soc., 123, 170 (1923), Tetrahedron Lett., 37, 5337 (1996))、これらの化合物はいずれも特殊な試薬であって、入手が容易ではなく工業的に実施する方法としては不適当である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造するにあたり、通常の方法である有毒な塩素ガスを用いるという欠点を克服し、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造するための工業的に有利な方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、S−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類を反応させることにより環化反応を起こさせれば、安全かつ容易に1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物が得られることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、下記一般式(イ)
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。R2は、炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜4の整数である)
で表される1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造する方法において、下記一般式(ロ)
【化5】
(式中、R2は、炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示し、R2が複数ある場合は、各R2は互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1〜4の整数である。R3は炭素数1〜6のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す)
で表されるS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−チオ安息香酸エステル化合物と、下記一般式(ハ)
【化6】
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。)で表されるアミン類を反応させることを特徴とする1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法が提供される。
【0007】
【発明実施の形態】
本発明の製造目的化合物である1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を示す前記一般式(イ)において、R1は炭素数1〜3のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。これらのアルキル基は、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ジアルキルアミノ基等の置換基を有していてもよい。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ヒドロキシエチル基、エトキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
また、R2は炭素数1〜8のアルキル基若しくはシクロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基を示す。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ペンチル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。前記アルコキシル基の具体例を示すと、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ヘキシロキシ基等が挙げられる。nは0または1〜4の整数を示す。
【0008】
また、反応基質として用いるS−2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)−2−チオ安息香酸エステルを示す前記一般式(ロ)において、R3は炭素数1〜6のアルキル基若しくはシクロアルキル基を示す。前記アルキル基若しくはシクロアルキル基の具体例を示すと、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、エトキシエチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0009】
本発明の新規な合成反応は次のような反応式によって表すことができる。
【化7】
【0010】
1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造は、好ましくは反応溶媒の存在下で実施されるが、この場合の反応溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール等の溶媒中で行われる。また、これらの溶媒は単独または混合溶媒の形で使用される。
【0011】
前記製造方法における温度は20度〜150度付近の温度で行うことができるが、あまり低温すぎると反応時間が遅くなり、高すぎると分解反応や副反応が多くなるので、50度〜100度の範囲で実施するのが好ましい。反応時間は反応温度により左右され、一概に定めることはできないが、通常は2〜8時間で十分である。
【0012】
このようにして、本発明の反応によって例えば化学式(1)〜(3)で示される1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造することができる。
【化8】
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、本発明の実施例は本発明の理解を容易にするために代表的な物をあげたものであり、本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0014】
実施例1
内容積50mlのガラス製容器中にS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチル(127mg,0.4mmol)と2−ヒドロキシエチルアミン(31mg,0.5mmol)をメタノール(10ml)に溶解させ、5時間加熱還流した。メタノールを減圧下留去させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒 塩化メチレン:アセトン:メタノール=100:20:4)で精製することにより前記化合物(1)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを収量45mgで得た。
収率:58%;融点 112−112.5℃(再結晶溶媒:酢酸エチル)(文献値 112−114℃);1H−NMR (CDCl3) 3.97 (2H, td, J=4.9, 1.1 Hz), 4.05 (2H, td, J=4.9, 1.1 Hz), 7.40 (1H, td, J=6.9, 1.1 Hz), 7.54 (1H, dt, J=7.7, 0.8 Hz),7.62 (1H, td, J=6.9, 1.1 Hz), 8.03 (1H, dt, J=8.0, 1.1 Hz);IR (KBr) 3331, 1632, 1454, 1345, 1080, 748 cm−1。
【0015】
実施例2
実施例1において、2−ヒドロキシエチルアミンの代わりに3−ヒドロキシプロピルアミンを用いて、前記化合物(2)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを得た。
収率:69%;融点 76.6−77.4 ℃ (再結晶溶媒:酢酸エチル) (文献値 71−75 ℃);1H−NMR (CDCl3)δ1.92 (2H, tt, J=6.2, 5.5Hz), 3.58 (2H, t, J=5.6Hz), 4.08 (2H, t, J=6.2Hz), 7.44 (1H, td, J=7.4, 1.2Hz), 7.58 (1H, dt, J=8.0, 1.0Hz), 7.65 (1H, td, J=7.4, 1.2Hz), 8.05 (1H, dt, J=7.8, 1.0Hz);IR (KBr)νmax 3364, 2944, 1632, 1445, 1350, 1192, 1065, 937, 743 cm−1。
【0016】
実施例3
実施例2においてS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチルの代わりにS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エチルを用いて同様な反応を行い、前記化合物(2)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを収率41%で得た。
【0017】
実施例4
内容積50mlの封管中にS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸メチル(0.4mmol)とシクロプロピルアミン(1.0mmol)をメタノール(10ml)に溶解させ、封管中で80℃で5時間攪拌した。反応終了後メタノールを減圧下留去させ、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒 塩化メチレン:アセトン:メタノール=100:5:1)で精製することにより前記化合物(3)の1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを得た。
収率:24%;1H−NMR (CDCl3) 1.05−1.12 (4H, m), 3.10−3.17 (1H, m), 7.38 (1H, td, J=7.4, 1.1 Hz), 7.50 (1H, dt, J=8.0, 0.8 Hz), 7.60 (1H, td, J=7.6, 1.1 Hz), 8.01 (1H, dt, J=8.0, 0.8 Hz);IR (neat)νmax 1654, 1449, 1333, 741, 673 cm−1;高分解能MS,C10H9NOS:計算値 191.0405; 実測値 191.0363。
【0018】
【発明の効果】
本発明におけるS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物とアミン類の反応により、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を収率よく製造することができる。しかも、有毒な塩素ガスを用いることなく安全に製造できるので、工業的な1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の合成法として最適である。
Claims (1)
- 下記一般式(イ)
で表される1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物を製造する方法において、下記一般式(ロ)
で表されるS−[2−(3−オキソ−1,2−ベンゾイソチアゾリニル)]−2−メルカプト安息香酸エステル化合物と、下記一般式(ハ)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001017056A JP3567248B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001017056A JP3567248B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002220379A JP2002220379A (ja) | 2002-08-09 |
JP3567248B2 true JP3567248B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=18883318
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001017056A Expired - Lifetime JP3567248B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3567248B2 (ja) |
-
2001
- 2001-01-25 JP JP2001017056A patent/JP3567248B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002220379A (ja) | 2002-08-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2000501413A (ja) | 2―クロロチアゾール化合物の製法 | |
SK286143B6 (sk) | Spôsob prípravy mesylátov piperazínových derivátov a zlúčeniny týmto spôsobom pripravené | |
CS198297B2 (en) | Method of producing derivatives of urea | |
US20070185323A1 (en) | Method of preparing benzazepines and derivatives thereof | |
JP3567248B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 | |
JP5327794B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 | |
JP2000502661A (ja) | 2―クロロ―5―クロロメチルチアゾールの合成方法 | |
JP3887682B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 | |
KR100302346B1 (ko) | 6-히드록시-2-옥소-1,2,3,4-테트라히드로퀴놀린의 제조방법 | |
Ma̧kosza et al. | Vicarious nucleophilic substitution of hydrogen proceeding via heterocyclic ring opening | |
JP3268448B2 (ja) | 新規な1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物誘導体およびその製造方法 | |
JP4469969B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 | |
US5539107A (en) | Method for the production of azaphenothiazines | |
JP4041881B2 (ja) | 新規なn−チオ置換複素環化合物およびその製造方法 | |
JP4214220B2 (ja) | 新規なn−スルフェニルピロール化合物およびその製造方法 | |
JP3940791B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物の製造方法 | |
JP3706904B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
JP3896450B2 (ja) | N−置換あるいはn,n−ジ置換スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
JP3323913B2 (ja) | 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン化合物誘導体の製造方法 | |
JP3448635B2 (ja) | スルフェンアミド化合物及びその製造方法 | |
JP4352129B2 (ja) | 新規な1,3−ベンゾチアジン化合物とその製造方法 | |
JP4006520B2 (ja) | スルフェンアミド化合物の製造方法 | |
KR0159511B1 (ko) | 신규의 퀴놀린유도체 및 그 제조방법 | |
US20100292487A1 (en) | Chemical process for the preparation of benzoxazole derivatives used as pesticides | |
US20100222601A1 (en) | Synthesis of cyclopentadiene derivatives |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040518 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3567248 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |