JP3566936B2 - 光信号電界の時間波形測定方法及び装置 - Google Patents

光信号電界の時間波形測定方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
現在の高速光検出器あるいは高速電子回路の応答時間よりも遥かに高速に変化し、それらを用いる通常手段によっては時間波形を測定できないような、高速の光信号の強度及び位相の時間変化を、正確に測定する手段を提供する。一般に、強度と位相とを同時に測定できれば、古典的電磁波としての光信号の特性を余すところなく決定できる。従って、この種の測定方法は、光信号電界の時間波形測定方法と呼ぶことができる。
【0002】
本発明は、光信号電界の時間波形測定方法及び装置に関し、特に、被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成し、前記被測定光と前記位相共役光とを合波して混合光を生成し、この混合光のスペクトルを観測して、前記被測定光信号の電界の周波数領域での位相を測定する光信号電界の時間波形測定方法及び装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
ピコ秒からフェムト秒領域の超高速光信号に対しては、十分な時間分解能を有する光検出器が存在しないので、その強度波形を直接観測することは困難である。
【0004】
そこで、いきおい間接的な測定法によらざるを得ず、光信号の自己相関データを採取し、それから繰返し演算によって、被測定信号光の強度と位相とを算出する方法が行われてきた。しかしながら、繰返し演算に依拠する光信号電界の時間波形測定方法には、複雑な波形を有する光信号に対応できず、また、繰返し演算に関わる本質的な曖昧さ故に、測定器の品質・精度を保証し難いという問題がある。
【0005】
そこで、光信号のスペクトル位相を直接観測することで、繰返し演算にたよることなしに、光信号電界の時間波形を求める、所謂、スペクトル位相の直接測定法への関心が高まっている。これには、周波数シアリング干渉計と周波数フォールディング干渉計の2つの種類が知られている。特に、後者は、著しく薄い非線形媒質を要求しないので実質的に感度の低下を免れることができ、また、パラメトリック混合に基づく構成と、4光波混合に基づく構成があり、このそれぞれに、さらに、適宜、光増幅器を導入することで、感度を高めることができ、構成の自由度が高いといった特長を有している。この周波数フォールディング干渉計は、特願平11−139087号として提案されている。
【0006】
図6は、この従来例の光信号電界の時間波形測定方法を説明するための図であり、図6(a)は、パラメトリック混合を用いる場合の装置の構成を示し、被測定光信号は、被測定光信号入力601として本従来例装置に入射する。この入力は、分岐鏡602により2分され、うち一方は濾波器642及び光増幅器643を通過し、2次の非線形媒質604に入射・結焦される。この非線形媒質604において第二高調波が発生され、局発光が得られる。発生した局発光は、濾波器620及び光増幅器644を通過し、反射鏡607を経て、合波鏡625に達する。2分されたうち他方は、反射器645を通過し、反射鏡624を経て、合波鏡625に達する。
【0007】
以上、合波鏡625に達した局発光と光信号は、合波され、位相調整器646を経た後に、2次の非線形媒質628に入射・結焦される。この第2の非線形媒質中で、パラメトリック混合が生じる。前記非線形媒質628からの出射光のパワースペクトルが、光スペクトル観測器641によって観測される。
【0008】
前記濾波器642としては、被測定光信号のスペクトルの一部を抽出する帯域透過濾波器を用いる。続く光増幅器643は、この抽出された光のパワーを増し、2次の非線形媒質604中での第二高調波発生の効率を高める目的で挿入される。
【0009】
一方、非線形媒質604の後段の濾波器620は、第二高調波光に変換されずに残った抽出光を除去するとともに、必要に応じて、発生された局発光の帯域を制限するために設けられる。続く光増幅器644は、発生された局発光のパワーを増し、2次の非線形媒質628中でのパラメトリック混合の効率を高める目的で挿入される。
【0010】
前記光増幅器643、光増幅器644については、入射被測定光が強力で、それ自体ですでに十分なパワーの局発光を発生し得る場合には、当然、これらの一方または両方を省略できる。また、2次の非線形媒質604中での第二高調波発生自体の位相整合帯域幅制限により、被測定光信号のスペクトル幅に比して、十分狭い線幅の局発光が得られる場合には、前段の濾波器642を省略でき、かつ、後段の濾波器620も、高域(短波長)透過濾波器で十分となる。ここにおいて、合波鏡625に高域(短波長)反射特性を持たせることで、本機能を担務させ、濾波器620を完全に省略することも可能である。
【0011】
前記位相調整器646は、2次の非線形媒質628に入射する時点での、局発光と光信号の間の相対位相を調整する目的で挿入される。この場合、局発光と光信号の波長(周波数)が2倍も離れているため、厚みを変化できる任意の分散媒質をこれにあてることができる。このような位相調整が意味を持つためには、合波鏡625を出射した局発光と光信号の相対位相が安定していることが必要である。このためには、2つの光路の光路長差が、波長精度で安定していなければならない。これは、通常の干渉計構築手段によって達成し得る。必要ならば、光路長差監視機構を付加し、反射鏡607の位置に帰還をかけて動的な安定化を図ることもできる。これらは全て、標準的な干渉計安定化手段に属する。
【0012】
図6(b)は、前記光スペクトル観測器641によって観測される混合スペクトルの容態を示す図である。光周波数νの関数として通常観測されるパワースペクトルS(ν)に対して、光子流スペクトルs(ν)=S(ν)/(hν)を導入するとき、得られる混合スペクトルは、数1の式で表される。
【0013】
【数1】
s(ν)=s+m+m+2m√(1+m)√(s)sin(φ+φ−2φ2+δ)
ここで、s、sはそれぞれ周波数ν、νにおける被測定光信号の光子流スペクトル、φ、φは同スペクトル位相であり、これら周波数は縮退周波数νに対し、関係ν+ν=2νを満たすとする。前記パラメトリック混合による構成では、縮退周波数は局発光周波数の2分の1(ν=2ν)となり、また、位相φは、局発光位相の半分(φ=2φ)に等しくなる。
【0014】
このように混合スペクトルには、光信号のスペクトル位相が、縮退周波数νに関して対称化された形、φ+φで含まれている。この対称化位相φ+φは、干渉位相φ=φ+φ−2φ+δを求めることができれば、定数を除いて得ることができる。
【0015】
しかしながら、一般に、1つの混合スペクトルだけからでは、干渉位相φを求めることはできない。干渉位相φを、混合係数mの値如何に拘わらず、混合スペクトルから正確に求めるには、位相2φを変えて、複数回、混合スペクトルを採取する。前述した位相調整器646は、かかる位相調整に用い、このとき、位相2φを90°刻みで変えて測定を行うのがよい。
【0016】
まず、基準となる位相2φについて、混合スペクトルsを採取する。次に、位相2φが90°減じるように位相調整器を操作した後、混合スペクトルsを採取し、さらに、位相2φが最初の基準値から180°減じるところまで位相調整器を操作し、再び混合スペクトルsを採取する。これら3つの混合スペクトルから、干渉位相φを数2の式に従って求めることができる。
【0017】
【数2】φ=tan−1[(s−s)/(2s−s−s)]
図6(b)に示したのは、実は、このような90°法求位相計算に用いる3つの混合スペクトルの例である。
【0018】
前述したように、対称化位相中に、スペクトル位相部分は、常に対称化位相φ+φによる対称化を受けた形で含まれている。従って、対称化位相を得ただけでは、一般の非対称なスペクトル位相を求めることはできない。この問題は、縮退周波数ν、すなわち、対称化の中心を異にする条件で測定して得る2つの対称化位相を用いることで解決できる。
【0019】
縮退周波数を変えた混合スペクトルを採取のためには、図6(a)の構成では、濾波器642及び濾波器620の透過帯域をずらし、必要に応じて、2次の非線形媒質604の位相整合波長を同調すればよい。後段の2次の非線形媒質628は、十分高帯域なので、位相整合波長の再同調は通常要しない。
【0020】
こうしてスペクトル位相が求まれば、後は極く標準的な処理を残すのみである。すなわち、局発光を遮った状態で、通常にスペクトルを採取し、被測定光信号のパワースペクトルを得る。このスペクトルデータに平方根演算を施してスペクトル振幅データを得る。これに前のスペクトル位相を付与して複素化した上で、逆フーリエ変換を行えば、光信号電界の時間波形が算出される。かくして、前記従来例により、繰返し演算によることなしに、超高速光信号電界の時間波形が測定できるのである。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来の光信号電界の時間波形測定方法には、以下のような問題がある。
【0022】
前記数2の式による90°法求位相計算のためには、3つの混合スペクトルs、s、sを、相対的大きさを厳密に保って、採取することが必要である。これは、事実上、繰返し周波数の低いあまたの光源に由来する光信号の測定を、不可能とする要求である。
【0023】
本発明の測定方法が対象とするところのピコ秒からフェムト秒領域の超高速光信号には、様々な工業的応用が創案されている。その重要な一翼を担うのは、加工ないしは核融合炉の点火への応用である。これらは何れも、1パルス当たりに高いエネルギが要求される応用分野であり、比較的穏健な前者においてすら、必要なエネルギは、通例0.1mJ/パルス以上である。
【0024】
また、超高速光の理化学的な応用に至っては、甚大な光非線形効果、あるいは更に甚だしく、光解離電子の相対論的な挙動に負うような、非常に多くの現象が取り上げられている。白色フェムト秒光、X線レーザ、あるいは、高高次高調波光発生は、それらの例であり、かかる極限的な光自身の性質、さらにそれらを用いた物質あるいは生体現象の科学的探求には、人類の視野を更に拡げるものとして、大きな期待が寄せられている。ここでも、通常、前記と同様に、高いパルスエネルギが要求される。
【0025】
このように、パルスエネルギの比較的大きい超高速光の発生においては、発振器と増幅器の構成が用いられる。ピコ秒からフェムト秒領域の光の生成には、モード同期技術が欠かせず、その結果、かかる光信号の繰返し周波数は、通例、発振器の共振器縦モード間隔に等しい。通常見られる共振器長1m前後の発振器から直接出力されるパルス列においては、パルス列の繰返し周波数は、100MHz程度で、これに伴うパルスエネルギは、高々数10nJ/パルス程度である。
【0026】
非常に長い共振器を持つ発振器を構築して、繰返し周波数を低め、その分パルスエネルギを増す手法によっても、この100倍程度の、1μJ/パルスが現在の技術の限界に近い。それ故、前記応用のためには、このパルス列を、さらに光増幅することが必要となる。
【0027】
増幅段において、仮にパルス列の繰返しが保たれ、例えば0.1mJ/パルスが100MHzの繰返しで出力されたとすると、その平均パワーは、実に10kWとなる。このような大出力の増幅器は、未だ実用化されておらず、現状、実用に供されている増幅器の、出力平均パワーは、1Wオーダである。これは、パルス列が増幅段において必然的に間引かれ、繰返し周波数が減じることを意味する。実際、0.1mJ/パルス級のパルスを得る場合、1kHz台の出力パルス繰返しを持つ再生増幅器を用いることが、現在最も普及している。さらに、10mJ/パルスを越えるパルスエネルギを得る場合、増幅器の出力パルス繰返しは、通常、10Hz台となってしまう。
【0028】
このように繰返し周波数の低いパルス列においては、隣り合うパルス間の強度の揺らぎが、無視できなくなる。ここで、前記従来例により混合スペクトルを観測しようとすると、先ず、光スペクトル観測器641が、掃引型の分光器であっては、1つの混合スペクトル形状すら、正確な測定は覚束ない。波長掃引に際し、異なる波長のスペクトル強度が、異なるショットについて採取されるからである。
【0029】
従って、このような場合、必要な波長範囲のスペクトルを、単一のパルスについて一挙に採取すべく、光スペクトル観測器641には、必然的に、スペクトログラフと線型光検出器列をあてる必要がある。
【0030】
ところが、問題はこれに留まらない。従来例では、少なくとも3つの混合スペクトルを、大きさを正しく保って採取することが必要だからである。各混合スペクトルを個別のパルスについて採取する場合、被測定光パルスの強度がショット毎に変動すると、3つの混合スペクトルの間での相対的大きさの関係が損なわれてしまう。ここで、許容される強度変動は、前記の混合係数mとの兼合いとなるが、通例の値m=0.1〜0.05に対しては、1%の強度変動ですら、はなはだ大きな誤差に通ずる。ところが、ショット毎の強度変動が1%といった増幅器は、現状、変動の少ない部類に属し、これ以下の強度変動は到底期待し難いのである。
【0031】
では、仮に、光スペクトル観測器641を前記のように差配した従来例装置を3組用意して、単一の被測定光パルスを3分して、各々に入力する構成としたらどうであろうか。この構成は、装置間の感度差の校正といった一見して存する問題とは別に、より解決し難い困難によって、実の所、全然機能し得ない。
【0032】
何となれば、3つの混合スペクトルは、局発光と被測定光信号との相対位相を、90°刻みで変化させた組合わせでなければならないからである。個別に構成した装置間で、かかる相対位相の関係が、自然に保たれることは、全く期待できない。また、これを実現する手段も、到底、容易には想到し難いのである。
この結果、従来例方法では、加工等重要な応用を持つ、比較的パルスエネルギの大きい低繰返し光信号の、干渉位相の測定が行えなかった。
【0033】
かかる従来例の改良としては、特願平11−260816号に、被測定光信号の強度変動の影響に配慮した、光信号電界時間波形測定方法と装置が提案されている。この改良例は、局発光と被測定光信号との相対位相を変化させる手段を備え、前記相対位相の変化に伴う混合スペクトル上の2つ以上のスペクトル成分の強度の変化を比較して、前記2つ以上のスペクトル成分の間の相対的位相が測定される。
【0034】
しかるに、この改良例においては、局発光と被測定光信号との相対位相を、徐々に変化させることに伴う、混合スペクトルの変化を逐一追跡することが、意図されている。すなわち、測定過程で必要な被測定光パルスのショット数は、前記の従来例技術よりもむしろ多くなる。そもそもこの改良例では、微弱であるものの、十分高い繰返しを持つような、主に、光通信・情報処理分野で用いられる光信号列の測定に注目している。その結果、相対位相を変化させる間、被測定光信号は、間断なく連続的に装置に入射することが、前提とされている。
【0035】
これに対し、前記加工用等に供給される光の測定に際しては、パルスエネルギはショット毎の信号を十分孤立して得るに十分な一方で、繰返しは、ショット間が無信号となってしまうほど低い。このように見ると、前記の改良例は、パルスエネルギの大きい低繰返し光信号の測定とは、むしろ逆の方向を志向していることが明らかであり、いきおいその解決とならないことは、言うまでもない。
【0036】
このように、従来、パルスエネルギの大きい低繰返し光信号については、パルスショット毎の強度のばらつきにより、干渉位相の測定が困難であり、すなわち、対称化位相すら得難かった。ところで、前述したように、対称化位相を1つ得たとしても、一般の非対称なスペクトル位相を求めることはできない。縮退周波数、換言すれば、局発光波長を異にする2つの対称化位相を得て、初めてスペクトル位相が求まり、これを通常に採取した(パワー)スペクトルと結合して、光信号電界の時間波形が算出される。
【0037】
このような事情を勘案すると、仮に1ショットで干渉位相、すなわち対称化位相を得たとしても、パルスの光信号電界の時間波形に至るまでには、別の局発光波長についての対称化位相の測定に、もう1ショット、さらに通常のスペクトル測定に1ショットと、都合3ショットが必要となる。混合スペクトル間の相対的な強度の保持は、各干渉位相の抽出にのみ、要求されるので、パルスショット毎の強度のばらつきが、ショット毎の電界波形の変化を伴わなければ、以上のように3ショットを要する測定でも、精度が損なわれることはない。
【0038】
勿論、後にも先にも1回きりといった純然たる単発パルス、あるいは、核融合炉の点火パルスのように1時間当たり1発あるかないかといった極低繰返しの場合には、複数ショットを要すること自体により、測定法が全く実用にならない。
【0039】
さらに、パルス毎のエネルギが高いことは、一般に、増幅段における由々しい光非線形効果の介在の可能性に通じる。こうした非線形効果が作用すると、強度のばらつきが、電界波形のばらつきに転化される。例えば、自己位相変調効果によれば、瞬時強度の変動が、スペクトルの形状すら変化させ得ることは良く知られているが、かかる自己位相変調効果は、大きさの差こそあれ、あらゆる媒質に普遍的に見られるのである。このような事情から、パルスショット毎の強度のばらつきが、電界波形の変化を伴わないという仮定は、楽観的に過ぎる。
【0040】
すなわち、頻度の低いパルスの取り扱い、または、精密を期する測定のためには、1ショットで必要なデータの全てを採取する、より完全な単発測定の実現が望まれるのである。
【0041】
以上述べたように、従来の光信号電界波形測定方法では、(1)低繰返し被測定信号光のショット毎の強度の変動が、大きな誤差を招き、ひいては、(2)単発の信号光の測定が、不可能であるという解決すべき問題があった。
【0042】
本発明の目的は、被測定光信号の一発毎に対称化位相を得ることでショット毎の強度の変動に高い耐性を有し、さらに、完全な単発の信号光の測定を実現することが可能な技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明の概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0044】
第1の発明は、被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成し、前記被測定光と前記位相共役光とを合波して混合光を生成し、この混合光のスペクトルを観測して、前記被測定光信号の電界の周波数領域での位相を測定する光信号電界の時間波形測定方法であって、前記局発光と被測定光信号との相対位相が、光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成し、この生成された位相共役光と前記被測定光とを合波して混合光を生成し、この混合光のスペクトル強度を、前記位置毎に分解された2次元像として観測記録し、前記位置の変化に伴うスペクトル成分毎の強度の変化を比較してスペクトル成分の間の相対的位相を測定するものである。
【0045】
第2の発明は、前記第1の発明の光信号電界の時間波形測定方法において、前記局発光と前記被測定光信号のビーム断面内に、それら両光の相対位相を異にする3つの部分を生成し、それらを非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成し、前記部分毎のスペクトル強度を連立して解きペクトル成分の間の相対的位相を測定するものである。
【0046】
第3の発明は、前記第1の発明の光信号電界の時間波形測定方法において、前記局発光と前記被測定光信号の波面に傾きを設け、それら両光の相対位相を、光線断面内の位置に直線的に依存させて、非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成し、前記位置に伴うスペクトル強度の変化の位相からスペクトル成分の間の相対的位相を測定するものである。
【0047】
第4の発明は、前記第1乃至3の発明のうちいずれか1つ光信号電界の時間波形測定方法において、前記被測定信号を3分し、この3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記局発光の波長を異にする第2または第3の発明の2つの手段に供給し、前記3者(第3の信号)をスペクトルを観測する手段に供給するものである。
【0048】
第5の発明は、前記第1乃至3の発明のうちいずれか1つ光信号電界の時間波形測定方法において、被測定光信号に対し、波長を互いに異にする2つの局発光を作用させ、前記2つの局発光のそれぞれについての前記2次元像、及び前記局発光の作用を受けないスペクトル像の3つの像を、全て重畳して観測記録するものである。
【0049】
第6の発明は、前記第5の発明の光信号電界の時間波形測定方法において、被測定光信号を2分し、この2分して得られた1者(第1の信号)を、前記2つの局発光のうち1者の生成にあて、前記局発光に変換されなかった前記2分して得られた1者(第1の信号)の残余を、前記2つ局発光のうち他者の生成にあて、前記2分して得られた他者(第2の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させるものである。
【0050】
第7の発明は、前記第5の発明の光信号電界の時間波形測定方法において、被測定光信号を3分し、この3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記2つの局発光の生成にあて、前記3分して得られた3者(第3の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させるものである。
【0051】
第8の発明は、被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記被測定光と前記位相共役光とを合波した混合光のスペクトルを観測するスペクトル観測手段と、前記被測定光信号の電界の周波数領域での位相を算出する位相算出手段を有する光信号電界の時間波形測装置であって、前記局発光と被測定光信号との相対位相が、光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、該位相共役光生成手段で得られた位相共役光と前記被測定光とを混合する混合光生成手段と、該混合光生成手段で生成された混合光のスペクトル強度を、前記位置毎に分解された2次元像として観測記録する観測記録手段と、前記位置の変化に伴うスペクトル成分毎の強度の変化を比較して、スペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備するものである。
【0052】
第9の発明は、前記第8の発明の光信号電界の時間波形測定装置において、前記局発光と前記被測定光信号のビーム断面内に、それら両光の相対位相を異にする3つの部分を生成する光束分割手段と、該光束分割手段で生成された3つの部分を非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記3つの部分毎のスペクトル強度を連立して解きスペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備するものである。
【0053】
第10の発明は、前記第8の発明の光信号電界の時間波形測定装置において、前記局発光と前記被測定光信号の波面に傾きを設け、それら両光の相対位相を、光線断面内の位置に直線的に依存させて、非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記位置に伴うスペクトル強度の変化の位相からスペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備するものである。
【0054】
第11の発明は、前記第8乃至10の発明のうちいずれか1つの光信号電界の時間波形測定装置において、前記被測定信号を3分する被測定信号3分手段と、該被測定信号3分手段で得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)を、前記局発光の波長を異にする第9または第10の発明の2つの手段に供給し、前記3者(第3の信号)をスペクトルを観測する手段に供給する手段とを具備するものである。
【0055】
第12の発明は、前記第8乃至10の発明のうちいずれか1つの光信号電界の時間波形測定装置において、前記被測定光信号に対し、波長が互いに異なる2つの局発光を作用させ、前記2つの局発光のそれぞれについての前記2次元像、及び該局発光の作用を受けないスペクトル像の3つの像を、全て重畳して観測記録する観測記録手段を具備するものである。
【0056】
第13の発明は、前記第12の発明の光信号電界の時間波形測定装置において、前記被測定光信号を2分する被測定光信号2分手段と、該被測定光信号2分手段で得られた1者(第1の信号)を、2つの局発光のうち1者の生成にあて、該局発光に変換されなかった該2分して得られた1者(第1の信号)の残余を、前記2つの局発光のうち他者の生成にあて、前記2分して得られた他者(第2の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させる手段を具備するものである。
【0057】
第14の発明は、前記第12の発明の光信号電界の時間波形測定装置において、前記被測定光信号を3分する被測定光信号3分手段と、該被測定光信号3分手段で得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記2つの局発光の生成にあて、前記被測定光信号3分手段で得られた3者(第3の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させる手段を具備するものである。
【0058】
本願において開示される発明のポイントは、被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成し、前記被測定光と前記位相共役光の合波の結果生ずる混合光のスペクトルを観測して、光信号電界の周波数領域での位相を測定する方法及び装置であって、前記局発光と被測定光信号との相対位相が、光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、得られた混合光のスペクトル強度を、前記位置毎に分解された2次元像として観測記録する観測記録手段と、前記位置の変化に伴うスペクトル成分毎の強度の変化を比較して、スペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段を具備することである。
【0059】
ここで、局発光と被測定光信号との相対位相が光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成する位相共役光生成手段としては、それら両光の相対位相を異にする3つの部分を生成して、非線形媒質に入射・結焦する方法がある。この場合、前記部分毎のスペクトル強度を連立して解いて、スペクトル成分の間の相対的位相を求める。
【0060】
さらに、前記の他の手段として、局発光と被測定光信号の波面に、傾きを設け、それら両光の相対位相を、光線断面内の位置に直線的に依存させて、非線形媒質に入射・結焦する方法があり、特に有用である。この時には、前記位置に伴うスペクトル強度の変化の位相から、スペクトル成分の間の相対的位相が、精度良く求められる。
【0061】
以上により、1つの対称化位相の測定が1ショットで行えるが、さらに歩を進めて、単発の信号光の測定を実現するためには、局発光の波長の設定を異にした前記の光信号電界の時間波形測定装置を2つ用意し、被測定信号を3分し、得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)を、これら装置にそれぞれ供給し、さらに前記3分して得られた3者(第3の信号)を、通常にスペクトル観測する手段に供給すればよい。
【0062】
単発の信号光の測定を実現する他の方法として、被測定光信号に対し、波長を互いに異にする2つの局発光を作用させ、前記2つの局発光のそれぞれについての前記2次元像、及び前記局発光の作用を受けない通常のスペクトル像の3つの像全てを、重畳して観測記録してもよい。
【0063】
ここで、一般に、被測定光自身の一部から局発光を生成する自己参照型の構成において、前記の2つの局発光を得る手段として、2つの方法が考えられる。
【0064】
その1は逐次型であり、被測定光信号を2分する手段を備え、この2分して得られた1者を、前記2つ局発光のうち1者の生成にあて、そのうち局発光に変換されなかった残余を、次いで前記2つ局発光のうち他者の生成にあて、得られた2つの局発光を、前記2分して得られた他者(第2の信号)に対し作用させる。
【0065】
その2は並列型であり、被測定光信号を3分する手段を備え、前記3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記2つの局発光の生成にあて、得られた2つの局発光を、前記3分した残り(第3の信号)に対し作用させる。
【0066】
ここで、本願発明の原理について説明する。
従来の光信号電界の時間波形測定方法では、混合光のスペクトルsを観測・採取し、次に、位相2φが90°減じるように位相調整器を操作した後、混合光のスペクトルsを観測・採取し、さらに、位相2φがさらに90°減じるところまで位相調整器を操作し、再び混合光のスペクトルsを観測・採取する。これを行うためには、少なくとも被測定信号光の3ショットを要し、各々のスペクトルの観測・採取にかかるショット間に強度変化が生じると、前記数2の式による干渉位相φの計算に誤差が生じた。
【0067】
ここにおいて、位相2φが90°ずつ異なる条件で生成した3つの混合光を、同時にスペクトル分解して観測する対策が想起される。しかし、このために、独立な装置を3組用意して、被測定光パルスを各々に入力するような構成では、一定の位相関係を到底期待できないことは、既に述べた。故に、1つの装置の中で、位相2φが90°ステップで異なる3つの混合光を同時に生成し、それらのスペクトルを一挙に観測・採取することが不可欠である。
【0068】
このような方法を行うには、そもそも、一般に複数の光のスペクトルを一挙に観測・採取できる分光手段の存在が前提となる。幸いにして昨今では、このような手段として、入射スリットに沿う方向に結像性を持つ分光器の出射側に、2次元光検出器を装着して行う、イメージング分光と称する手法が良く知られている。ここで、2次元光検出器としては、撮像管ないしCCD(電荷結合素子)など、いわゆるカメラとして用いられる機器から、波長域あるいは感度を考慮して選択して用いればよい。
【0069】
このイメージング分光によれば、例えば、入射スリットに沿って垂直方向に、複数本の光ファイバを並べて装着すれば、出射側の検出器上には、水平方向に分散されたライン状のスペクトルが、上下方向に平行に並んだ像が得られる。ここで、縦に並んだラインの各々が、それぞれ個別の光ファイバを経て入射した光のスペクトルを与えるのである。すなわち、一般に、水平方向にスペクトル成分が、垂直方向に入射スリットに沿った位置が、張られた2次元像が、出射側に現れる。
【0070】
次に、位相2φが90°ステップで異なる3つの混合光を、同時に生成するために、従来例装置の構成において、位相調整器646に、段差を有する階段状のガラス板を用いる方法につき、考察を加えよう。一般に、位相調整器を通過する光のビーム径は有限であるから、このような板の段の幅を、ビームの断面内に丁度2回の段差が含まれるように、設計・製作することが、常に可能である。さらに、段差△が、数3の式を満たせば、隣接する段を通過したビームの部分には、互いに90°だけ異なる位相2φが付与される。
【0071】
【数3】
Figure 0003566936
ここで、λ、λ(=2λ)はそれぞれ局発光波長、縮退波長であり、n(λ)及びn(λ)は、階段状のガラス板のそれら波長における屈折率である。
【0072】
このように、2次の非線形媒質628に入射・結焦されるビームの断面にわたり、位相2φの異なる複数の部分を作ることで、1つの装置の中で、位相2φが異なる混合光を同時に生成することができる。すなわち、2次の非線形媒質を出射するビームの断面内には、前記媒質に入射したビーム上の分布に対応して、異なる位相2φの下に生成された混合光が分布する。
【0073】
ここで、この混合光を前述したイメージング分光によって観測すれば、前記数2の式の90°法求位相計算に必要なデータを、一発の被測定光信号に対して、得ることができる。例えば、入射スリットに沿って並べた3本の光ファイバのそれぞれに、階段状の位相調整器を用いて得た、互いに90°だけ異なる位相2φを持つ混合光を、結合・入射し、3種の混合光のスペクトルを一挙に観測・採取すればよい。
【0074】
ここで、混合光のビームを、位相2φが異なる部分に分割し、それぞれを光ファイバに結合するのは、いささか繁雑の感を免れない。実は幸いにして、今のように、位相2φが異なる部分が、元々1つのビームに束ねられている場合には、イメージング分光器への入射に、光ファイバを介する必要は全然ない。すなわち、混合光のビームを、円筒レンズ等により、スリットの幅方向にのみ集束して、イメージング分光器へ入射すれば事足りる。この際、位相2φが異なる部分を分割して観測するためには、それら部分は、入射スリットに沿う方向に並んでいる必要がある。
【0075】
ところで、円筒レンズ等により混合光を、分光器のスリットに直接集光するならば、混合光ビームはスリットに沿う方向には、拡がらずに平行に進んで行く。このような場合、分光器に、入射スリットに沿う方向への結像性は要求されない。すなわち、あえてイメージング分光器を用いなくとも、2次元光検出器を出射側に装着した通常の分光器で事足りるのである。
【0076】
以上、段差を有する階段状のガラス板を位相調整器とし、得られた混合光を円筒レンズ等により、2次元光検出器を装着した一般の分光器のスリットに入射すれば、一発の被測定光信号に対して対称化位相を求めるという本発明の目的は、原理的には達成できることが分かった。しかし、この方法は、以下の2つの理由により、未だ十分実用的とは言い難い。
【0077】
その1つの理由は、位相調整器として用いる階段状のガラス板に係る問題がある。前記数3の式の与える、板に必要な段差は、局発光波長λに依存する。それ故、局発光波長λを変える毎に、位相調整器を取替える必要がある。1つの被測定光信号のスペクトル位相の測定には、局発光波長を変えた2つの対称化位相の測定が必要なことを想起すれば、最低2個の位相調整器を用意し、差替えて用いなければならない。さらに、局発光波長λの2倍は縮退波長λであり、後者は被測定光信号のスペクトルの中心付近に設定するのが良いことを考え合わせると、被測定光信号の波長が変わる度に、新たな位相調整器の対の準備を強いられることとなる。これは、汎用的な測定器を工業的に生産・供給しようとする際、甚だしい問題と言わざるを得ない。
【0078】
その2つめの理由は、2次の非線形媒質に入射・結焦されるビームの断面内の強度分布に起因する問題である。90°法求位相計算に依拠する限り、位相2φを変えた3系列のスペクトルの、相互の大きさの関係が保たれている必要がある。これは今の場合、観測する混合光の3つの部分について、局発光が無い状態での光量が正確に等しく、かつ、混合係数m、換言すれば局発光の作用も正確に等しいことを要求する。一般に、ビーム断面内での光強度分布は、均一ではない。さらに、現実には、2次元光検出器においては、画素による感度のばらつきが避け難い。要求の前段だけならば、標準的なスペクトルの補正手段によって対処可能であるが、要求の後段を保証することは容易でない。いきおい、位相2φを変えた3つの部分を、ビームの中心部分に配置することとなるが、これはビームの利用効率の低下を招く。加えて、測定法の精度が、入射する被測定光信号のビーム品質に強く依存する結果ともなる。
【0079】
ここにおいて、本発明者は、より実用性及び信頼性の高い構成を、鋭意考究し、局発光と被測定光信号の波面に傾きを設けて非線形媒質に入射・結焦する構成に想到した。以下、これについて述べる。
【0080】
前記分光器に装着された2次元光検出器は、いわゆるカメラであるから、スペクトルが分散される方向(以下、横方向と呼ぶ)の画素数と比較して、スリットに沿う方向(縦方向と呼ぶ)にも、通例同程度の画素数を持つ。すなわち、縦方向の画素数は、例外的に少ない場合でも50、通常は100〜200以上あるのである。ところが、前述した90°法に依拠する方法においては、要するに、このうちの3画素を利用しているに過ぎず、非常に効率が悪い。
【0081】
縦方向の画素数の多さをより有効に利用するには、より多数の相対位相2φについて、混合光のスペクトルを観測するのが良い。特に、より細かい刻みで、(準)連続的な位相2φについて、混合光の強度変化を観測するならば、位相調整器として校正された形で、ビーム内に90°ステップの2φの変化を作る必然性はなくなる。なんとなれば、位相2φの変化量は、観測される強度変化から原理的に検知できるからである。それ故、ここで、前記局発光波長に応じて交換を迫られていた位相調整器を不要とすることができる。
【0082】
ビーム断面内で、最も簡単に、連続的に位相2φを変化させるには、局発光と被測定光信号の波面に傾きを設けて非線形媒質に入射・結焦すれば良い。この場合、以下に示すように、局発光と被測定光信号のなす角の方向に、位相2φが直線的(リニアー)に変化する混合光ビームが、非線形媒質から出射される。
【0083】
非線形媒質内で、被測定光信号の周波数ν成分の伝搬ベクトルを 、局発光の伝搬ベクトルを とする。これらの相互作用の結果、周波数ν の位相共役光は、その伝搬ベクトル (c)が、関係 (c) を満たす方向に発生する。被測定光信号と局発光の伝搬ベクトルのなす角、すなわち、被測定光信号と局発光の波面の傾きをαとする。前記位相共役光の伝搬ベクトル (c)が局発光に対してなす角α’とし、上の関係から3つのベクトル、 (c) 及び が三角形を成すことに留意すれば、幾何学的に数4の式を得る。
【0084】
【数4】
Figure 0003566936
混合光は、伝搬ベクトル (c)の位相共役光と、伝搬ベクトル を持つ被測定光信号の周波数ν成分の干渉の結果生じる。ここで、被測定光信号中で は当然 と平行であるから、 (c) のなす角はα+α’となる。一般に伝搬方向の異なる光が干渉する時、空間的な干渉縞が現れることはよく知られている。それとの類推によって、今の場合、混合光のスペクトルを与える前記数1の式中、干渉位相に、位置に依存する項が加わり、φ=φ+φ−2φ−KY+δとなることが、容易に分かる。ここで、Yは、被測定光信号の伝搬方向に垂直な平面上で、局発光伝搬ベクトル の射影方向にとった座標、また、Kはベクトル (c) のY軸上への射影の大きさである。
【0085】
ベクトル (c) の作る三角形についての初等的考察から、K=ksin(α+α’)である。これに、前記数4の式の関係を代入すれば、次式の数5の式が得られる。
【0086】
【数5】K=ksinα
このように導出された干渉位相の空間(角)周波数Kは、被測定光信号の成分の周波数ν、νの組合わせに全然依存しない。前記角α’は、周波数νに強く依存するにも拘わらず、Kの中では、kのν依存性が丁度これを打ち消しているからである。
【0087】
かくして、混合光の全スペクトル成分にわたって、等しい空間周波数K⊥が得られるならば、その空間周波数を局発光に付随しているものと解釈することが許される。すなわち、局発光の位相が、φ=2φ+KYの形で、位置Yに依存すると考え得る。このY軸方向を、2次元光検出器を装着した分光器のスリットに沿う方向と一致させ、位置により分解して混合光スペクトルを採取・記録すれば、連続的な位相2φについてのデータが一挙に得られる。
【0088】
これを陽に表現して、混合光スペクトルを与える式を書き直すと、数6の式が得られる。
【0089】
【数6】
s(ν)=s+m+m+2m√(1+m)×√(s)×sin[φ+φ−(2φ+kYsinα)+δ)]
これが、局発光と被測定光信号の波面に傾きを設けて非線形媒質に入射・結焦する本発明につき、その原理を表す基本的な式である。
【0090】
次に、波面に傾きを設けて重ねた局発光と被測定光信号を、非線形媒質に結焦する仕方につき、考察を加える。非線形媒質上のビーム径をwと書くとき、ビームをよぎる際の、位相2φの変化量は、Aφ=kw sinαの程度である。
【0091】
一方、同時に、局発光と被測定光信号は伝搬方向に角度αだけの差を持つために、長さLの非線形媒質を通過する間に、それらビームの中心は、H=Ltanαだけの、乖離を蒙らざるを得ない。この乖離は、性質(:Ltanα>Lsinα)を使って、以下の数7の式のように書き表すことができる。
【0092】
【数7】
Figure 0003566936
ここで、括弧内の分母に現れた表式は、共焦点パラメータbと呼び慣わされている量の、縮退波長における値に他ならない。媒質中での非線形効果の効率の観点からは、媒質長Lとbの比ξを、1〜6にとるのが良いことが知られている。
【0093】
一方、光強度分布、ないしは、混合係数mが均一ではない混合光ビームから、干渉位相を求めるためには、最低でも、混合光スペクトルの正弦的変化の1周期以上にわたって測定を行う必要がある。すなわち、位相2φの変化量Aφは、少なくとも2πである。
【0094】
以上を斟酌すると、ビーム乖離量は、H>πWとなり、ビーム径を遥かに超越してしまう。位相の変化量Aφ全域で正しく混合スペクトルを得るには、ビーム乖離量は、ビーム径に比して十分小さく留める必要があるので、ここで矛盾が生じてしまうこととなる。かくして帰謬法により、Y方向のビーム径w、と、それと直交するX方向のビーム径wの間に、差を設けるべきことが示唆される。
【0095】
許容するビーム乖離量のビーム径に対する比をεとすると、角度αは通常小さいことにより、cosαを1と置くと、最適のwは、w=√(AφL/(εk))である。一方、X方向については、効率の観点から、w=√(L/(ξk))が最適である。これらの比をとると、次式の数8の式が得られる。
【0096】
【数8】
Figure 0003566936
変化量Aφに6π、ビーム乖離比εに0.05、さらに共焦点パラメータに対する媒質長ξとしては3を用いると、望ましいビーム径の比は7.9、すなわち10程度と算出される。この最適比は、媒質長あるいは局発光波長に依存しない、普遍的な目安となっている。
【0097】
現在、加工等、工業的に応用されているパルス光の時間幅は、概ね100fs前後である。このように比較的、時間幅の長い被測定信号の場合、パラメトリック混合を行う非線形媒質としては、長さ5mm程度以上のものが用いられる。この時、局発光波長を0.4μmとしてY方向の最適ビーム径を算定すると、wとして350μmが得られる。これは、測定器内を通常に伝搬するビームの直径2w=1mmに、近似する値である。すなわち、このような場合、Y方向には、通常に伝搬するビームを、集束させることなく、そのまま非線形媒質に入射して良いことになる。一方、X方向には効率を高めるために、ビームを100μm以下の直径に集束するのが望ましい。このように、一方向にのみ光線を結焦する方法としては、円筒鏡あるいは円筒レンズといった既知の方法を用いることができる。
【0098】
これに対して、時間幅が極限的に狭い白色フェムト秒光などの測定では、用いる非線形媒質の長さが50μm程度となる。これは、媒質におけるパラメトリック混合の周波数帯域が、長さの2乗に反比例し、広帯域の極限短光パルスを扱うには、その分、薄い非線形媒質が必要となるからである。このときには、Y方向ですら、最適のビーム径wが35μmと小さくなる。X方向のビームの直径に至っては、10μm以下に絞るのが望ましい。このような楕円形のビームウエストを得るには、X方向とY方向に、別個の円筒鏡あるいは円筒レンズを作用させる。それら円筒光学系の焦点距離の比を、前記数8の式の与えるビーム径比にとり、さらに互いの焦点が一致するように、配置すれば良い。
【0099】
以下に、本発明について、本発明による実施形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0100】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための図であり、図1(a)は、その光信号電界の時間波形測定装置単体の概略構成を示す模式図、図1(b)は、図1(a)の光信号電界の時間波形測定装置を複数用いる装置の概略構成を示す模式図である。図1において、101は被測定光信号入力、102は分岐鏡、103はレンズ、104は2次の非線形媒質、106はレンズ、107は反射鏡、108は光学楔、120は濾波器、121、122、123、124は反射鏡、125は合波鏡、127は円筒鏡、128は2次の非線形媒質、129は円筒鏡、132はスペクトログラフ、133は2次元光検出器、134、135は分岐鏡、136は3分手段、137、138は反射鏡、139、140は本実施形態1の光信号電界の時間波形測定装置単体、141は光スペクトル観測器である。
本実施形態1の光信号電界の時間波形測定装置では、Y方向に集束せずに非線形媒質に入射・結焦できる場合の構成を与えている。
【0101】
図1(a)に示す被測定光信号は、被測定光信号入力101として本実施形態1の光信号電界の時間波形測定装置に入射する。前記該入力被測定光信号入力101は、分岐鏡102により2分され、その一方はレンズ103によって、2次の非線形媒質104に入射・結焦される。本媒質104において第2高調波が発生され、局発光が得られる。発生した局発光は、レンズ106により平行光線とされ、反射鏡107を経、光学楔108および濾波器120を通過して、合波鏡125に達する。ここで、濾波器120は、2次の非線形媒質104で局発光に変換されずに残った被測定光信号を、除去するために、挿入されている。
【0102】
分岐鏡102によって2分されたうち他方は、反射鏡121、122、123、及び124からなる光学遅延線を通過し、合波鏡125に達する。該光学遅延線は、合波鏡125上で、被測定光信号と局発光が時間的に同期するように、調整・固定される。
【0103】
以上、合波鏡125に達した局発光と光信号は、合波された後、円筒鏡127により、2次の非線形媒質128に入射・結焦される。この非線形媒質128から出射する混合光は、円筒鏡129により、スペクトログラフ132のスリットに集光される。このスペクトログラフ132に装着された2次元光検出器133により、混合光のスペクトルが、図1(a)の紙面に垂直な方向に位置分解されて、観測・採取される。
【0104】
本実施形態1の構成により測定されるのは、2次の非線形媒質128に入射した時点でのスペクトル位相である故、前記非線形媒質に至るまでに装置固有の分散を受けると、被測定光信号入力101に入射した被測定光信号のスペクトル位相と、測定結果の間に、装置分散分の系統誤差を生じる。このような被測定光信号に関る装置分散は、測定後に容易に補正することができるものの、小さく抑えるべく装置を設計することが、一般に推奨される。
【0105】
本実施形態1の構成においては、被測定光信号入力101から2次の非線形媒質128に至るまで、被測定光信号は、全て反射光学系のみを経由している。これは、前記装置分散を最小に留める設計の結果である。本実施形態1の装置は、現状で工業応用を見ている、00fs 前後の時間幅の光信号を対象としている。その結果、非線形媒質128にY方向への集束を伴わず入射・結焦している構成となっている。
【0106】
一方、この程度の時間幅の信号では、スペクトル幅が甚だしく広くはないので、光信号のスペクトル全域を反射し、かつ局発光を透過するような、誘電体多層膜鏡を容易に入手でき、これを合波鏡125として用いることができる。その結果、被測定光信号を、反射光学系のみを使って、2次の非線形媒質128まで導くことができるのである。
【0107】
光学楔108の頂角をθ(<<1)、局発光波長における屈折率をnとすると、この光学楔を通過することにより、局発光の光軸は、α=(n−1)θだけ偏向する。光学楔の稜を、紙面上向きに配置することで、局発光は仰角を持って、2次の非線形媒質128に入射する。この時、前述したY方向は紙面上向きとなり、被測定光信号と局発光の波面の傾きαとしては、sinα=sinα/nが得られる。ただし、非線形媒質の局発光波長における屈折率をnとした。
【0108】
ここで、現実には、局発光の光軸を偏向するために、あえて光学楔を用いる必要はない。反射鏡107、または、合波鏡125のあおりを調節すれば、必要な仰角を与えることができるからである。図1の構成において、光学楔108を書き入れてあるのは、本発明の要件である波面の傾きを与えていることを、陽に示すために他ならない。
【0109】
図2は、本実施形態1の位相差検出の例を示しており、図2(a)は、2次元光検出器133上に現れる像の輝度分布の例を示す図(ディスプレイ画面の写真)であって、横軸方向には、スペクトル成分の強度が、波長ないしは光周波数に分解されて得られる。これに対し、縦軸方向には、スペクトログラフ132のスリットに沿う位置が分解されている。前述したように、本実施形態1の構成では、このスリットに沿う方向は、前記Y軸方向と一致しており、その結果、縦軸方向は、局発光の位相φ=2φに対応することになる。
【0110】
このような像には、対称化位相の形が、直接的な形で可視化されている。すなわち、各光周波数について、輝度を縦方向に辿って行き、極値を与える局発光位相を見い出す。このような局発光位相を結んだ曲線が、光周波数の関数としての対称化位相に他ならない。なんとなれば、この操作により、前記数1の式中の干渉項の正弦関数の引数が一定、すなわち、移項により変形すれば、曲線:φ+φ+δ=2φ+const(一定)が求まるからである。
【0111】
像のこのような性質は、採取された輝度像から対称化位相を導き出す、最も初等的な方法を与える。しかし、ビーム断面内での光強度分布の不均一、あるいは、2次元光検出器の画素による感度のばらつきの存在下では、このようなデータ解析は誤差を生じ易い。利用している輝度データが、極値付近に限定・局在しているからである。それ故、以下に述べるような、よりデータ全体を利用するデータ解析法が、推奨される。この解析法は、特願平11−260816号に提案されている相対位相の計算法を、本発明に即して適用したものである。
【0112】
まず、基準となる光周波数νを適当に定め、νについて輝度を縦方向に辿って、輝度データ列L(ν)を得る。ここで、νは光信号のスペクトル強度が大きい、スペクトルの中央付近に設定する。縮退周波数νは、同一の条件を満足するように選ばれているのが通例なので、一般に、ν=νに選べば良い。
【0113】
データ列L(ν)を複素化した後、複素数データ列についてのフーリエ変換を施す。こうして得られる周波数領域で、負の周波数成分を全てゼロに置きかえる。これを逆フーリエ変換すると、その実部は、元の実数データ列L(ν)を与えるが、同時にその虚部から90°位相の異なるデータ列L’(ν)が得られる。以上は、フーリエ変換を用いたHilbert変換の計算法となっている。
【0114】
上で得た周波数領域で、零周波数近傍を除去する帯域濾波を行えば、データ列L(ν)内のDC成分の除去が同時に行え、効率的である。光強度分布の不均一に起因する、緩やかに変化する成分も、これにより取り除くことができる。こうして得られた局発光位相φによる振動成分のみを含むデータ列L(ν)の零点を検索して、振動の周期を求める。データ列L(ν)に含まれる周期の整数倍の区間のうち、最長の区間を以下の積分区間とする。
【0115】
次に、一般の光周波数νに対して、前記同様、輝度を縦方向に辿って、輝度データ列L(ν)を得る。データ列L(ν)をフーリエ変換し、周波数領域で、上と同一の帯域濾波を行なった後、逆フーリエ変換する。これにより、データ列L(ν)から、緩やかに変化するDC近傍成分を取り除くことができる。こうして得たデータ列L(ν)にL(ν)を掛けた後、前記で決めた積分区間に対して積分を実行して、Iを得る。同様に、L’(ν)を掛けた後、積分を実行してIを得る。これらの比から、位相差φ−φが、次式の数9の式に従って計算される。
【0116】
【数9】
Figure 0003566936
図2(b)は、前述した位相差計算法を、図2(a)の輝度分布に対して行った例を示す図である。図中、下側のデータ列が、基準となる輝度データ列L(ν)であって、基準周波数νは縮退周波数νに選んでいる。上側のデータ列は、縮退周波数νから1.0THzだけ長波長に寄った光周波数における輝度データ列L(ν)である。
【0117】
両データ列の何れにおいても、振動の重畳以前の平均的な輝度が、画素番号中央付近で持ち上がりを呈している。さらに詳細に見ると、振動の平均的輝度に対する相対振幅も中央部で最も大きく、周辺では減少していることが分かる。前者は、被測定光自体が持つ、Y方向の光強度分布に起因している。かかる分布は、理想的なガウシアンビームの場合、関数形:exp[−(Y/w]に従うことが良く知られている。後者は、局発光の光強度分布が転化された混合係数mの不均一の現れであって、ガウシアンビームの局発光では、exp[−(1/2)(Y/w]に従う。前記述した位相差計算法は、輝度データ列に対するこれら2様の緩やかな変調の何れに対しても、高い耐性を有し、精度の良い結果を与えることができる。実際、この場合、算定された位相差φ−φは、図中に示した如く、Aφ=57.1°であり、この値は、両変調が全く無い理想的な場合の値57.2°に対して、殆ど狂いが生じていないのである。
【0118】
2様の変調のうち、前記位相差計算法にとってより有害なのは、前者の、被測定光の光強度分布によるものである。前記数9の式に従う求位相計算では、振動が重畳されていない(混合係数mが0の)L(ν)は、L(ν)、L’(ν)の何れを掛けて積分しても、0を与えることが、前提とされている。被測定光の光強度分布による緩やかなL(ν)の変化は、この前提を覆すからである。しかしながら、幸いなことに、被測定光の光強度分布は、前記2様の変調のうちでは、より容易に校正が可能である。
【0119】
この校正のためには、局発光を遮った状態で、2次元光検出器133上に現れる像の輝度分布を記録しておく。任意の光周波数に対して、前同様に輝度を縦方向に辿ることで、Y方向の光強度分布の校正データ列L0を得ることができる。その後は、測定輝度データ列L(ν)、あるいは、L(ν)を、枚正データ列L0で除して規格化した後、前記位相差計算法に用いれば良いのである。
【0120】
以上に説明した位相計算法を、全ての光周波数νに対して行えば、全光周波数測定点に対する干渉位相データを得る。この場合、L(ν)、L’(ν)を求める計算法の前段は、いちいち繰返す必要の無いことは、言うまでもない。
【0121】
次に、縮退周波数をν’に変えて、同様に干渉位相の測定を実行する。この際、基準とする光周波数ν’は、先回のνと等しくても良いし、異なっていても構わない。縮退周波数を変えるためには、2次の非線形媒質104の位相整合波長を同調すればよい。後段の2次の非線形媒質128は、十分高帯域なので、位相整合波長の再同調は通常要しない。
【0122】
上で得られた2つの干渉位相データの各々に、位相アンラップと呼ばれる標準的な操作を施して、2つの対称化位相データを得る。これらを連立すれば、スペクトル位相が求まる。かくしてスペクトル位相が求まれば、後はごく簡単な操作を残すのみである。すなわち、局発光を遮った状態で、2次元光検出器133上の像として、被測定光信号のパワースペクトルを得る。このスペクトルデータに、平方根演算を施してスペクトル振幅データを得、これに前に得たスペクトル位相を付与して複素化した上で、逆フーリエ変換を行えば、光信号電界の時間波形が算出されるのである。
【0123】
かくして、本実施形態1の構成により、パルスショット毎の強度のばらつきの影響を免れた、干渉位相の測定が行え、かかる2回の干渉位相の測定と、別途測定したパワースペクトルを組合わせて、光信号電界の時間波形が求められる。
【0124】
以上の手順では、電界の時間波形を得るのに、被測定光信号が、つごう3ショット必要なのは明らかである。以下では、さらに歩を進めて、信号光単発での、電界の時間波形測定を実現する本実施形態1の構成について説明する。
【0125】
単一パルス測定のための自明な構成として、前記本実施形態1の装置
(構成)を2つ、通常のスペクトルの観測器と併せて、用意する方法がある。
【0126】
ここで、前記2つの装置
(構成)を、予め、異なる縮退周波数ν、ν’に、設定しておく。被測定信号を3分し、得られた第1の信号(1者)と第2の信号(2者)を、これら2つの装置
(構成)にそれぞれ供給し、さらに残余をスペクトル観測器に供給する。
【0127】
図1(b)は、かかる装置の構成を示す図であり、図1(b)中、被測定光信号は、被測定光信号入力101として本実施形態1の装置に入射する。この入射された入力は、分岐鏡134により2分され、うち一方は更に分岐鏡135により、概略均等に2分される。以上2つの分岐鏡により、被測定光信号は3分されるので、これら総体としては3分手段136を形成している。分岐鏡135を透過した被測定光信号は、本実施形態1の単体装置(第1の構成)139に供給される。一方、分岐鏡135で反射された被測定光信号は、別個の本実施形態1の単体装置(第1の構成)140に入射する。ここで、これら2つの本実施形態1の単体装置(第1の構成)は、その縮退周波数ν、ν’を互いに異にするよう設定される。ひるがえって当初、分岐鏡134により2分された他方の被測定光信号は、反射鏡138を経て、スペクトル観測器141に導かれる。
【0128】
かくすれば、ただ1発の被測定信号に対して、光信号電界の時間波形の算出に必要なデータの全てを採取することができ、単一パルス測定が実現する。
【0129】
本実施例1の単体装置(第1の構成)を見るとき、最も高価な構成要素は、スペクトログラフ132及び2次元光検出器133であり、これらは通常のスペクトルの観測器の構成要素でもある。特に、前者は最もかさ高い構成要素ともなっている。しかして、図1(b)に示した単一パルス測定構成では、これら最も高価かつ大きな構成要素を、総体として3対を要することになる。その結果、構成が高価かつ長大とならざるを得ない。
【0130】
核融合炉の点火パルス、あるいは最先端科学を追求する極限的な短パルスを発生する光源に関る場合、測定装置がいささか高価で長大となったとしても、問題とするには当たらないかもしれない。この場合、光源自体が極めて複雑・高価なので、その維持・管理に要する測定装置にも、多くの費用を割り当て得るからである。
【0131】
しかしながら、加工等、より広く工業的に用いられる短パルス光源にあっては、付随する測定装置にも、高い費用対効用比が要求される。ここにおいて、本発明者は、より低廉な構成につき、鋭意考究を加え、単一のスペクトログラフ及び2次元光検出器を用いて、光信号電界の時間波形の算出に必要なデータを全て採取することのできる単一パルス測定構成を案出するに至った。以下では、これにつき述べる。
【0132】
2次元光検出器において、前記述したY方向、すなわち縦方向の画素数には、前記の本発明の実施形態1の構成を行っても、通常なお余裕がある。これを利用することを考える。すなわち、2種類の局発光による混合光の各々と、通常のスペクトルを、縦方向の領域に分けて、一挙に観測する。このうち、各混合光の観測にあてる領域では、異なる位相2φの下で生成した混合光を、Y方向に位置分解して測定する。これを行うために、各々の局発光と被測定光信号は、前述したように波面に傾きを設けて、非線形媒質に入射・結焦するのが良い。
【0133】
ここで、各々の局発光と被測定光信号を、別個の非線形媒質に入射・結焦して、それぞれから混合光を生成し、その後で、2つの混合光を、縦方向にずらした上でまとめてスペクトログラフに入射する構成も、勿論可能である。しかしながら、単一の非線形媒質上に、2種の局発光と被測定光信号を入射・結焦する構成の方が、簡便性に優れ望ましい。この際、2つの局発光相互は、非線形媒質上で重なりが生じないように、注意すべきである。何故なら、被測定光信号に同時に2つの局発光が作用する場合、前記数6の式と異なる混合光が生成されるからである。
【0134】
前記本発明の実施形態1では、被測定光自身を2分した一方から局発光を生成している。このような構成を、自己参照型の構成と呼ぶことができる。この自己参照型の構成においては、必要な2つの局発光を得る手段として、一般に、2つの方法が考えられる。その1は並列型であり、被測定光信号を3分し、3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、2つの局発光の生成にあて、得られた2つの局発光を、3分した残余の被測定光信号に作用させる。
【0135】
その2は逐次型であり、被測定光信号を2分し、2分して得られた一方を、先ず1つの局発光の生成にあてる。ここで、局発光に変換されずに残余を、次いで他の局発光の生成にあてる。得られた2つの局発光を、最初2分して得た他方に対し作用させる。
【0136】
以上で、単発信号光の測定構成の原理の説明を終え、以下では、それに立脚した本発明の実施形態2(第2の構成)について、図面を参照して説明する。
【0137】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための図であり、図3(a)は、その概略構成を模式的に示す上面図であり、図3(b)は、本実施形態2の反射鏡318より2次の非線形媒質328に至る光路に沿った側面図である。
【0138】
本実施形態2の光信号電界の時間波形測定装置は、Y方向にも集束して非線形媒質に入射・結焦することが望ましい、時間幅が極限的に狭い白色フェムト秒光を測定する場合の構成を与えている。また、2つの局発光を得る方法としては、前述した逐次型を用いている。
【0139】
図3(a)において、被測定光信号は、被測定光信号入力301として本実施形態2の光信号電界の時間波形測定装置の構成に入射する。この入射された入力は、分岐鏡302により2分され、うち一方はレンズ303によって、2次の非線形媒質304に入射・結焦される。本実施形態2の非線形媒質304において第2高調波が発生され、光周波数νを持つ第1の局発光が得られる。
【0140】
発生した第1の局発光は、エッジ305によりビーム上端が掩蔽された後、レンズ306により平行光線とされ、高調波分離鏡309を通過し、反射鏡321、322、323、及び324からなる光学遅延線を経て、光学楔308及び濾波器320を通過して、合波鏡325位置に達する。2次の非線形媒質304に入射したものの、局発光に変換されずに残った被測定光信号は、レンズ306により平行光線とされ、高調波分離鏡309で反射され、レンズ310によって、2次の非線形媒質311に入射・結焦される。
【0141】
前記非線形媒質媒質311においても第2高調波が発生され、光周波数ν’を持つ第2の局発光が得られる。この第2の局発光は、エッジ312によりビーム下端が掩蔽された後、レンズ313により平行光線とされ、反射鏡314、315、316、及び317からなる光学遅延線を経て、反射鏡318で反射され、光学楔319及び濾波器320を通過して、合波鏡325位置に達する。ここで、濾波器320は、2次の非線形媒質304、311で局発光に変換されずに残った被測定光信号を、除去するために、挿入されている。分岐鏡302によって2分されたうち他方は、反射鏡307を通過し、合波鏡325に達する。
【0142】
前記反射鏡321、322、323、及び324からなる光学遅延線は、合波鏡325位置で、被測定光信号と第1の局発光が時間的に同期するように、調整・固定される。同様に前記反射鏡314、315、316、及び317からなる光学遅延線は、合波鏡325位置で、被測定光信号と第2の局発光が時間的に同期するように、調整・固定される。
【0143】
以上、合波鏡325の位置に達した2つの局発光と光信号は、円筒鏡326及び円筒鏡327により、2次の非線形媒質328に入射・結焦される。このうち、円筒鏡326はY方向(図で紙面に垂直方向)への集束、円筒鏡327はX方向(図で紙面に平行方向)への集束を、各々担務している。前記非線形媒質328から出射する混合光は、円筒鏡329、330及び331により、スペクトログラフ332に導かれる。うち、円筒鏡330はY方向への結像に用いられ、スペクトログラフ332がイメージング機能を有する場合、スリット上に、然らざる場合、2次元光検出器333上に、Y方向の像が結ばれるよう配置するのが良い。残余の円筒鏡329と331はX方向への集光を担務している。これらは、通例、混合光が、円筒鏡329によりX方向の平行光束とされ、続く円筒鏡331によって、スリットに集光されるように配置する。前記スペクトログラフ332に装着された2次元光検出器333により、混合光のスペクトルが、図3(a)の紙面に垂直な方向に位置分解されて、観測・採取される。
【0144】
既に述べたように、被測定光信号に関る装置分散を小さく抑えるべく、被測定光信号は反射光学系のみを経由するような装置設計が推奨される。本実施形態2の構成においては、これに加えて、時間幅が極限的に狭い白色フェムト秒光を扱うために、被測定光信号に関る鏡の反射回数自体を、極力減らす設計を採っている。非線形媒質328に至るまでに、被測定光信号を反射する5つの鏡、すなわち、分岐鏡302、反射鏡307、合波鏡325、円筒鏡326及び円筒鏡327のうち、反射鏡307と2つの円筒鏡326、327には広帯域の金属鏡を用いるのが良い。分岐鏡302は、金属鏡を採用できないためより困難であるが、反射率10%程度のものは、ガラス表面のフレネル反射に基づいて構成することができる。
【0145】
しかして、最たる困難が生じるのは、合波鏡325である。何故ならば、金属鏡を用いた場合には、裏手から合波されるべき2つの局発光が透過しない。かといって、分岐鏡302同様に、ガラス表面のフレネル反射により構成すると、被測定光信号に対する反射率が、分岐鏡302と合波鏡325だけの積算で、既に1%未満となり損失が大き過ぎるからである。
【0146】
ところが、Y方向にも集束して非線形媒質328に入射・結焦するという、白色フェムト秒光の測定に伴って必要となった構成が、幸いなことに、この合波鏡325に係る問題の解消に益するという事情が存する。図3(b)を参照してこれについて説明する。
【0147】
図3(b)に示すように、本実施形態2の構成のように、円筒鏡326を用い、Y方向にも集束して非線形媒質328に入射・結晶する場合、被測定光信号と局発光の光軸に、傾きα’を持たせて円筒鏡326に入射しても、非線形媒質328上での、波面の傾きを生ずることにはならず、むしろ両光の焦点面上でのずれに転化される。しかして、被測定光信号と局発光の波面に必要な傾き角αを与えるには、両光を円筒鏡326上で、ずらして反射させる必要がある。
【0148】
ここで、両光の円筒鏡326上での間隔hは、以下にして求まる。まず、被測定光信号と局発光の波面の傾き角αは、位相2φの変化量Aφ、Y方向のビーム径w、さらに局発光波数kを用いて、sinα=Aφ/(k)と表せる。屈折の法則を用いて、これを非線形媒質328への局発光の入射角αeに直すと、sinα=Aφλ/(2πw)である。円筒鏡326の焦点距離をfとすると、h=ftanαであるから、αが小さいとして、これに代入すると、数10の式を得る。
【0149】
【数10】
Figure 0003566936
ところで、焦点距離fの円筒鏡326により得られるビームウエストwは、円筒鏡326に入射する(平行)ビームの直径Dを用いて、2w=f(1.22λ/D)で与えられることは、よく知られている。これを用いて、間隔hとビーム直径Dの比を求めると、h/D=Aφ/(1.22π)である。ここで、干渉位相を求めるために、Aφ>2πだったことを思い起こせば、h>Dが常に成り立つ。況や、Aφの典型値であった6πに対しては、h≒5Dとなり、円筒鏡326上で、被測定光信号と局発光の2つのビームは、完全に分離していると見なせるのである。
【0150】
すなわち、円筒鏡326の使用下で、本発明で推奨される大きさの波面の傾きαを与えた場合、被測定光信号と局発光のビームは、円筒鏡326上で、常に十分に分離している。この必然的性質を利用すれば、前記の合波鏡325に係る困難は解消される。すなわち、図3(b)に示したように、上下の幅が数10の式の与える間隔hに概ね等しいような、短冊状の金属鏡を合波鏡325として用いれば良い。被測定光信号を短冊状の金属鏡にて反射させる一方、2つの局発光は、かかる短冊の上下を通過させれば、被測定光信号と2つの局発光、何れに対しても損失が生じないのである。言うまでもなく、金属膜を短冊状に蒸着した鏡を合波鏡325としても、同等の効果を得ることができる。
【0151】
同様の事情は、光周波数νを持つ第1の局発光と、光周波数ν’を持つ第2の局発光が交差する箇所に位置する反射鏡318についても成り立つ。すなわち、反射鏡318における2つの局発光の間隔は2hであり、合波鏡325におけるよりもさらに十分離れている。従って、図3(b)に示すように、反射鏡317を発した第2の局発光のみを反射鏡318で反射する一方で、反射鏡323からの第1の局発光は、反射鏡318の下側を通過させることは、至極容易に行える。
【0152】
既に述べたように、2つの局発光は、非線形媒質上で相互に重なりが生じないよう注意が必要である。このために、本実施形態2の構成では、前述した円筒鏡326に入射する被測定光信号と局発光の間の光軸の傾きα’によって生ずる両光の焦点面上でのずれを利用する。図3(b)に示したように、光周波数ν’を持つ第2の局発光に、α’だけの伏角をつけて、円筒鏡326に入射する。このとき、非線形媒質328上で、第2の局発光のビームウエストの中心は、被測定光信号の中心から、Y’ν=−fα’だけずれる。ここで、負号は下へのずれを表す。
【0153】
他方、円筒鏡326に入射する光周波数ν3を持つ第1の局発光に、α’だけの仰角をつければ、非線形媒質328上で、第1の局発光のビームウエストの中心は、Yν=fα’だけ上にずれる。これらずれ量Yν、Y’νの大きさは、非線形媒質328上での局発光のY方向のビーム径w程度に設定するのが良い。
【0154】
これに必要な局発光の光軸の傾きα’は、円筒鏡326に入射する(平行)ビームの拡がり角程度となり、極く小さい角となる。図3(a)の構成に現れた2つの光学楔308及び319は、それぞれ、第1及び第2の局発光の光軸を偏向し、光軸の傾きα’を与えるために用いられる。ここでも、前記実施形態1の構成におけると同様、現実には、局発光の光軸を偏向するために、あえて光学楔を用いる必要はない。第1の局発光に対しては、反射鏡324のあおりを調節すれば必要な仰角を与えることができ、また、第2の局発光に対しては、反射鏡317または反射鏡318のあおりを調節すれば、必要な伏角を与えることができるからである。
【0155】
図3(a)の構成に、光学楔308及び319をあえて書き入れてあるのは、前同様、局発光の光軸に傾きを与えて円筒鏡326に入射すべきことを、陽に示すためである。
【0156】
前記ずれ量Yν及びY’νの大きさを、ビーム径程度にとれば、非線形媒質328上での2つの局発光の重なりはかなり小さくできるが、依然として完全なゼロとはならない。ビーム断面内の強度分布が、ビーム径の外側で突然ゼロとなる訳ではないからである。この問題に対処するために、図3(a)の構成には、2つの遮光エッジ305及び312が挿入されている。エッジ305のレンズ306による虚像は、円筒鏡326により、非線形媒質328の極く近傍に、実像として結像される。すなわち、エッジ305の開口を下側にとり、エッジ305の位置でビーム上端を掩蔽しておけば、第1の局発光は、非線形媒質328上には、下端が欠けた形状を以って結焦される。
【0157】
他方、エッジ312のレンズ313による虚像も、円筒鏡326により、非線形媒質328の極く近傍に、実像として結像される。従って、エッジ312の開口を上側にとり、エッジ312の位置でビーム下端を掩蔽すれば、非線形媒質328上に結焦された第2の局発光は、上端が欠けた形状を呈する。非線形媒質328上で、上側に位置する第1の局発光は下端を欠き、また、下側に位置する第2の局発光は上端を欠くのであるから、両者の重なりはゼロとなる。
【0158】
図4は、以上の本実施形態2の装置の動作を説明するための図であり、図4(a)は、2次の非線形媒質328上のビーム配置を示す図である。既に述べた通り、光周波数νを持つ第1の局発光は、下端を欠きつつ上側にずれて結焦され、一方、光周波数ν’を持つ第2の局発光は、上端を欠きつつ下側にずれて結焦されている。この結果、非線形媒質328上での2つの局発光の重なりは生じない。
【0159】
以上のように、局発光の結焦形状に意図的な整形を加えた結果、非線形媒質328上で2つの局発光の中間には、何れの局発光も照射しない非励起領域が作られる。かかる非励起領域を通過した被測定光信号は、単に非線形媒質328を透過したに過ぎず、それをスペクトルグラフ332により光周波数(波長)に分解することは、まさに通常のパワースペクトルの観測を行うことに当たっている。
【0160】
図4(b)は、2次元光検出器333上に現れる像の輝度分布の例を示す図であって、横軸方向には、スペクトル成分の強度が、波長ないしは光周波数に分解されて得られる。これに対し、縦軸方向には、スペクトログラフ332のスリットに沿う位置、すなわち、2次の非線形媒質328上のY方向位置が結像・分解されている。ここで、この2次の非線形媒質328上での、ビーム配置は図4(a)に示すように、3つの領域に分かれていた。これに対応して、2次元光検出器333上に現れる像も、上下に3つの領域に分けることができる。
【0161】
まず、被測定光信号と第1の局発光の重なる領域が、図4(b)に示す像の上部に現れる。この第1の局発光は、非線形媒質328内で、被測定光信号に対し仰角αを持っていた結果、この領域で縦軸方向は、第1の局発光の位相φ=2φに対応することになる。従って、前述の実施形態1の構成同様、像のこの領域には、光周波数νを持つ第1の局発光についての対称化位相の形が、直接的な形で可視化されている。当然、この領域の輝度分布に村し、前述した位相差計算法を行えば、縮退周波数ν=ν/2についての対称化位相を、精度良く求めることができる。
【0162】
続いて、被測定光信号に何れの局発光もあたらない非励起領域が、図4(b)に示す像の上下中央部に現れる。この領域の輝度分布は、通常のパワースペクトルを与える。この領域の、縦方向の画素数が、図4(b)のように複数にわたる時に、それら画素の輝度の和を採ることで、スペクトルの測定精度の向上を図ることは、常套的な手法に属する。
【0163】
最後に、被測定光信号と第2の局発光の重なる領域が、図4(b)に示す像の下部に現れる。第2の局発光は、非線形媒質328内で、被測定光信号に対し伏角αを有したので、本領域の縦軸方向は、第2の局発光の位相φ’=2φ’に対応する。その結果、本領域には、光周波数ν’を持つ第2の局発光についての対称化位相が、可視化されており、その輝度分布に対し、前述の位相差計算法を行なって、縮退周波数ν’=ν’/2についての対称化位相を、求めることができる。
【0164】
以上、像の上部と下部それぞれの領域に対する位相差計算に当たっては、前述した被測定光の光強度分布の校正を行うのが望ましい。この校正は、図4(b)に示す像を上下3つの領域に分割するに先立って、像全体に対して一挙に行うことができる。すなわち、2つの局発光を両者とも遮った状態で、2次元光検出器333上に現れる像の輝度分布を記録しておく。任意の光周波数に対して、輝度を縦方向に辿ることで、Y方向の光強度分布の校正データ列Lを得ることができる。その後は、測定輝度分布を、校正データ列Lで除して規格化し、校正された輝度分布を得た後、前記3つの領域に分割し、それぞれの領域での解析を行なえば良いのである。
【0165】
ここで、この被測定光の光強度分布の校正データを得るために、余分な1ショットを要することになり、厳密な単発信号光の測定とならないとの見方が生じる。しかし、これは実際上は問題とするにはあたらない。信号光のショット毎の、ビームの形状変化は、通常無視し得る上に、必要に応じて、本発明の測定装置への入射以前に、ビームの形状を一定化する光学系を設置することもできる。
【0166】
このような光学系としては、レンズ(または球面鏡)対と、それらの共焦点に配置したピンホールの組合わせがよく知られている。これに加えて、校正データの光強度分布が、実際の被測定光の光強度分布と若干ずれていたとしても、前記の位相差計算の精度が急激に低下する訳ではない。この観点からは、実際に信号光を入射して枚正データを採取せずとも、測定装置内の光伝搬設計に際して、計算上のビームに想定した光強度分布を、校正データとして代用することすら、許されるのである。
【0167】
以上の手順により図4(b)に示す像から、2つの干渉位相データとスペクトルデータが一挙に得られる。前記2者から、スペクトル位相が求まり、一方、スペクトルデータに平方根演算を施してスペクトル振幅データを得る。このスペクトル振幅データにスペクトル位相を付与して複素化した上で、逆フーリエ変換を行うことで、光信号電界の時間波形が算出される。かくして、本実施形態2の構成により、単一ショットの光信号に対し、光信号電界の時間波形が測定されるのである。
【0168】
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための図である。
本実施形態3の光信号電界の時間波形測定装置は、前記図3と同様、時間幅が極限的に狭い白色フェムト秒光を測定する場合であるが、2つの局発光を得る方式として、前述した並列型を採用した構成となっている。
【0169】
図5において、被測定光信号は、被測定光信号入力501として本実施形態3の光信号電界の時間波形測定装置に入射する。この入射された入力は、分岐鏡502により2分される。うち一方は更に分岐鏡509により、概略均等に2分される。以上2つの分岐鏡により、被測定光信号は3分されるので、これら総体としては3分手段を形成している。分岐鏡509を透過した被測定光信号は、レンズ503によって、2次の非線形媒質504に入射・結焦される。この非線形媒質504において第2高調波が発生され、光周波数νを持つ第1の局発光が得られる。
【0170】
発生した第1の局発光は、エッジ505によりビーム上端が掩蔽された後、レンズ506により平行光線とされ、反射鏡521、522、523、及び524からなる光学遅延線を経て、光学楔508及び濾波器520を通過して、合波鏡525位置に達する。
【0171】
前記分岐鏡509で反射された被測定光信号は、レンズ510によって、2次の非線形媒質511に入射・結焦される。この非線形媒質511においても第2高調波が発生され、光周波数ν’を持つ第2の局発光が得られる。この第2の局発光は、エッジ512によりビーム下端が掩蔽された後、レンズ513により平行光線とされ、反射鏡514、515、516、及び517からなる光学遅延線を経て、反射鏡518で反射され、光学楔519及び濾波器520を通過して、合波鏡525位置に達する。
【0172】
ここで、濾波器520は、2次の非線形媒質504、511で局発光に変換されずに残った被測定光信号を、除去するために、挿入されている。当初の分岐鏡502によって2分されたうち他方は、反射鏡507を経て、合波鏡525に達する。前記反射鏡521、522、523、及び524からなる光学遅延線は、合波鏡525位置で、被測定光信号と第1の局発光が時間的に同期するように、調整・固定され、同様に、前記反射鏡514、515、516、及び517からなる光学遅延線は、合波鏡525位置で、被測定光信号と第2の局発光が時間的に同期するように、調整・固定される。以上、合波鏡525位置に達した2つの局発光と光信号は、円筒鏡526及び円筒鏡527により、2次の非線形媒質528に入射・結焦される。このうち、円筒鏡526はY方向(図で紙面に垂直方向)への集束、円筒鏡527はX方向(図で紙面に平行方向)への集束を、各々担務している。上記非線形媒質528から出射する混合光は、円筒鏡529、530及び531により、スペクトログラフ532に導かれる。うち、円筒鏡530はY方向への結像に用いられ、一方、残余の円筒鏡529と531はX方向への集光を担務している。前記スペクトログラフ532に装着された2次元光検出器533により、混合光のスペクトルが、図5の紙面に垂直な方向に位置分解されて、観測・採取される。
【0173】
被測定光信号に関る装置分散を小さく抑える処方、円筒鏡526上で被測定光信号と局発光の光軸の間隔h及び傾きα’、その傾きα’を2つの光学楔508及び519に依らず与え得ること、さらに、2次の非線形媒質528上のビーム配置、2次元光検出器533上に現れる像の解析手順については、前記実施形態2の構成に準ずる。かくして、本実施形態3の構成によっても、単一ショットの光信号に対し、光信号電界の時間波形が測定されるのである。
【0174】
本発明方法及び装置の動作については、既に前記において十分に述べた。それ故、以下では、本発明の実施例について、その動作条件を数値的に示すに留める。
【0175】
(実施例1)
現在、実用されているフェムト秒Ti:サファイアレーザは、0.8μm帯で、100fsのパルスを生成できる。これを再生増幅器により増幅し0.1mJ/パルス、繰返し1kHzのパルス列を得るシステムは、加工等に広く用いられている光源である。このパルスの測定のために、前記実施形態1の構成を実施する。
【0176】
パルス幅が極端に短くないこのような場合、装置を構成する鏡、すなわち、分岐鏡102、反射鏡107、反射鏡121乃至124、合波鏡125、及び円筒鏡127、129全てに、誘電体多層膜鏡を用いることができる。
【0177】
波長0.8μmのパルス列の一部(0.1%)、0.1μJ/パルスを被測定光入力101として入射する。分岐鏡102は、このうち10%を反射鏡121に向けて反射する。残りの90%は、焦点距離125mmのレンズ103によって、2次の非線形媒質104に入射・結焦する。この非線形媒質104としては、5mm厚のBBO結晶を選び、結晶(c)軸に対し29.2°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。このとき、0.05μJ/パルスの局発光が得られ、そのスペクトル幅は、0.5nm(1THz)である。
【0178】
前記角度位相整合BBO結晶には、結晶中で第2高調波光のパワーの伝搬方向がずれること(ウォークオフ効果)があるが、それにも拘わらず50%の変換効率が得られているのは、入射パルスのピークパワーが1MWと極めて高いからである。得られた局発光のピークパワーとしては、0.16MWが見積もられる。得られた局発光は、入射した被測定光信号と直交する偏光を持つため、濾波器120に偏光子を用いて、未変換の被測定光信号を除去することができる。
【0179】
後段の2次の非線形媒質128にも、5mm厚のBBO結晶を選び、前記同様の角度位相整合を行う。直径mmのビームを、Y方向にはそのまま、X方向には焦点距離100mmの円筒鏡127を用いて、2次の非線形媒質128に入射・結焦する。この円筒鏡127は、被測定光信号と局発光の両方に、高い反射率を持つ必要がある。これは、局発光用の高反射多層膜の上部に、被測定光信号用の高反射多層膜を重ねた誘電体多層膜鏡により、被測定光信号に対する分散を低く保って実現することができる。局発光と被測定光信号のなす角αとして0.14°を選んだとき、ビームに跨がる位相の変化量Aφが、概略6πとなる。
【0180】
このような偏向角αは、合波鏡107のあおりを調整することで付与できるので、光学楔108はあえて用いなくて良い。厚さ5mmのこのBBO結晶において、2次分散は、374fsであり、41THzのバンド幅が期待できる。これは、25fsのパルスの測定にも十分なバンド幅である。以上の構成において、混合スペクトル上で、混合係数mとして、0.5程度が観測でき、パルス1ショットに対し容易に干渉位相(対称化位相)の観測が行える。次いで、2次の非線形媒質104を僅か(0.08°)回転し局発光の波長を、1.1nm(2.0THz)だけずらして、前記と同様に、対称化位相の観測を行う。以上2つの対称化位相から、周波数刻み1.0THzをもってスペクトル位相が得られる。この周波数刻みは、100fsのパルスに対して十分高分解能である。このスペクトル位相を通常のスペクトル観測データと組合わせて、被測定光信号電界の時間波形が測定できる。
【0181】
(実施例2)
前記実施例1では、被測定光信号自体から、2次の非線形媒質104を介して、局発光を得ていた。このような自己参照型の構成に対し、本発明では、独立した光源を用いて局発光を充当する独立局発型の構成も可能である。被測定光信号が繰返し発生する場合、一般に、独立な局発光源と被測定信号の間の位相φ=2φは、ショット毎にランダムに変化するために、複数のショットについて混合スペクトルを積算して測定する限り、独立局発型では干渉位相が均されてしまって観測できない。これに対し、単一のショットについて観測を行う本発明では、独立局発型の構成が容易に採り得るのである。
【0182】
前記実施例1と同様に、0.8μm帯で、100fsのパルスを被測定光入力101として入射する。前記実施例1で得たのに匹敵する局発光を得るために、倍波発生器を内蔵したQスイッチYAGレーザ励起パルスTi:サファイアレーザを用意する。このパルスレーザからは、倍波として、パルス幅50ns、波長0.4μm、ライン幅0.5nm(1THz)の局発光が、5mJ/パルス、繰返し10Hzで得られる。この局発光のピークパワーとしては、0.1MWが見積もられる。これを合波鏡125に直接入射する。このような独立局発型構成では、前記実施形態1の構成にあった局発光生成部分、すなわち、レンズ103、2次の非線形媒質104、レンズ106、反射鏡107、光学楔108、及び濾波器120が不要なことは、言うまでもない。また、被測定光信号を局発光生成部分に割り振る必要もないので、分岐鏡102を全反射鏡に替えるのが良い。パルス幅50nsの局発光と、被測定信号の時間的一致は、YAGレーザのQスイッチトリガを介した電子的手段により十分達成可能なので、反射鏡121乃至124からなる光学遅延線も不要となる。従って、この光学遅延線を単一の反射鏡で置き換えて良い。
【0183】
2次の非線形媒質128及びそれへの入射・結焦条件を前記実施例1同様としたとき、混合スペクトル上で、混合係数mとして、0.4程度が観測される。この際、非線形媒質128であるBBO結晶には、波長0.4μmのナノ秒局発光パルスが、0.1GW/cmのピーク強度で結焦される。幸い、この強度は、この結晶の該波長帯における破壊強度よりも1桁小さいので、破壊の懸念を免れている。
【0184】
独立局発型構成では、被測定光信号に対する感度は、単一のショットについての、2次元光検出器133上のスペクトル観測限界によってのみ決まる。今の100fsのパルスを、逆分散能3nm/mmのスペクトログラフ132に、Y方向に直径1mmのビーム高さを保ったまま入射し、2次元光検出器133としてCCD検出器を用いた時、信号対雑音比1000のスペクトル観測を行うためには、6pJのパルスエネルギで十分である。すなわち、非常に高感度の干渉位相(対称化位相)の観測が実現される。このエネルギ感度をもってすれば、発振器から直接出力されるパルス列の一発をとっても、十分に観測可能である。
【0185】
ここで、局発光源として用いたパルスTi:サファイアレーザは、波長可変性を有するので、局発光波長を1.1nm(2.0THz)だけずらして、前記同様に、対称化位相の観測を行うこともた易い。以降は、前記実施例1と同様にして、微弱な被測定光信号電界の時間波形が測定できる。
【0186】
(実施例3)
より長波長の光信号に対する例として、前記実施例2に対応する1.5μm帯での実施例を示す。この波長帯のフェムト秒光源としては、Cr:YAGレーザが知られている。但しこの波長帯での再生増幅器は未開発なので、再生増幅された、0.1mJ/パルス、繰返し1kHzといったパルス列を得るシステムは、現存しない。従って、この波長帯では、前記実施例1のように自己参照型の構成は実施対象を欠いており、独立局発型構成での実施とならざるを得ない。
【0187】
この波長帯の被測定光信号の測定には、0.77μmの局発光が必要である。幸いなことに、これも、前記の倍波発生器を内蔵したQスイッチYAGレーザ励起パルスTi:サファイアレーザによって得られる。このパルスレーザからは、基本波として、パルス幅50ns、波長0.77μm、ライン幅0.5nm(0.25THz)の局発光が、最大50mJ/パルス、繰返し10Hzで得られる。このような最大パルスエネルギは大き過ぎ、2次の非線形媒質128の破壊を招き兼ねない。そこでパルスエネルギを10mJ/パルス(ピークパワーは、0.2MW)に設定して動作させ、局発光とする。
【0188】
今の場合、2次の非線形媒質128に、5mm厚のBBO結晶を選び、結晶軸に対し19.4°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。より非線形定数の大きい非線形媒質として、ニオブ酸リチウム(LN)結晶が知られているが、今の独立局発型構成に用いるのは、破壊強度(BBO結晶の1/50)の点で好ましくない。直径mmのビームを、Y方向にはそのまま、X方向には焦点距離100mmの円筒鏡127を用いて、2次の非線形媒質128に入射・結焦する。
【0189】
局発光と被測定光信号のなす角αとして0.27°を選んだとき、ビームに跨がる位相の変化量Aφが、概略6πとなる。厚さ5mmのこのBBO結晶において、2次分散は、−76fsであり、92THzと、11fsのパルスの測定にも十分なバンド幅が期待できる。以上の構成において、混合スペクトル上で、混合係数mとして、0.4程度が観測され、パルス1ショットに対し容易に干渉位相(対称化位相)の観測が行える。
【0190】
この際、非線形媒質128であるBBO結晶には、波長0.77μmのナノ秒局発光パルスが、0.2GW/cmのピーク強度で結焦されるが、これは、該結晶のこの波長帯における破壊強度よりも1桁以上小さいので、破壊の心配には及ばない。スペクトログラフ132として、線刻数600/mmの回折格子を備えた12cmチェルニターナ型のものを(逆分散能13nm/mm)用い、これに、2次元光検出器133として赤外ビジコンカメラを装着した。
【0191】
この分光検出システムを用い、Y方向に直径1mmのビーム高さを保って入射する100fsのパルスについて、単一ショットで信号対雑音比1000のスペクトル観測を行うためには、12pJのパルスエネルギを要する。これが、今の独立局発型構成による、被測定光信号に対する測定感度となり、これをもってすれば、Cr:YAGレーザ発振器から直接出力されるパルス列の一発をとっても、十分に観測可能である。この他に、フェムト秒ファイバーレーザの出力、あるいは、ファイバ光増幅器で増幅した直接変調半導体レーザパルスについても、パルスー発について対称化位相の観測が行える。より高感度の分光検出システムを用いれば、より微弱な光信号が観測可能となることは、言うまでもない。
【0192】
前記実施例2と同様、局発光源の波長可変性を利用して、局発光波長を変えた対称化位相の観測を行い、得られたスペクトル位相を、通常のスペクトル観測データと組合わせて、微弱な被測定光信号につき、電界の時間波形の測定が実現する。
【0193】
(実施例4)
前記実施例1、2、3では、1つの測定装置について、設定を変えて3回動作させ、2つの対称化位相の観測、及び通常のスペクトル観測を行い、これらデータを組合わせて被測定光信号電界の時間波形を求めた。当然、こうした手順の遂行には、最低3ショットの被測定光信号が必要であった。
【0194】
これに対して、前記実施例に述べた測定装置を、2台用意し、同時に動作させる。これら2台の構成は、異なる局発光波長に予め設定・固定しておく。さらに、少なくとも線型光検出器列を装着したスペクトログラフを、通常のスペクトル観測手段として用意する。このスペクトル観測には、2次元的な光検出器を必ずしも要さないので、1次元的な線型光検出器を装着すれば十分である。被測定光信号を3分し、2台の本発明装置及びスペクトル観測手段に同時に供給する。
【0195】
これによれば、当然のことながら、単一ショットの被測定光信号電界の時間波形が測定できる。この場合、3つの構成装置の何れもが、測定動作中に機械的な運動を行う、いわゆる可動部分を持たず、その結果、性能が長期間維持され、信頼性の高いシステムが構築される。独立局発型の前記実施例2及び3に即して本実施例4を行う際には、2台の装置内のパルスTi:サファイアレーザが、1台の励起用QスイッチYAGレーザを共有する構成とすれば、費用の低減を図れる。
【0196】
(実施例5)
前記4つの実施例よりも低廉に、単一ショット測定を行なうために、本発明の実施形態2の構成を実施する。被測定光信号は、前記実施例1と同様、再生増幅されたフェムト秒Ti:サファイアレーザ光とする。パルス幅が極端に短くないこのような場合、Y方向に集束して2次の非線形媒質328に入射・結焦する必要は生ぜず、従って、図3(a)に示したよりも、若干簡易化された構成となる。また、前記実施例1乃至4と同様、装置内の全ての鏡に、誘電体多層膜鏡を用いることができる。
【0197】
波長0.8μmのパルス列の一部(0.1%)、0.1μJ/パルスを被測定光入力301として入射する。分岐鏡302は、このうち10%を反射鏡307に向けて反射する。残りの90%は、焦点距離125mmのレンズ303によって、2次の非線形媒質304に入射・結焦する。該非線形媒質304としては、5mm厚のBBO結晶を選び、結晶(c)軸に対し29.2°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。このとき、0.03μJ/パルスの第1の局発光が得られ、そのスペクトル幅は、0.5nm(1THz)である。この場合、前記実施例1よりも変換効率が低いのは、以下の、第2の局発光とバランスを取るために、非線形媒質304を意図的にレンズ303の焦点位置からずらして、変換効率を低めに設定しているからである。
【0198】
この第1の局発光は、高調波分離鏡309を透過し、反射鏡321に向かう。変換されずに残った0.07μJ/パルスは、焦点距離125mmのレンズ310によって、2次の非線形媒質311に入射・結焦する。この非線形媒質311としても、5mm厚のBBO結晶を選び、結晶軸に対し29.1°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。このとき、0.03μJ/パルスの第2の局発光が得られ、このスペクトル幅は第1の局発光に等しい一方、波長は1.1nm(2.0THz)だけずれている。これら2つの局発光のピークパワーとしては、0.10MWが見積もられる。これら局発光は、入射した被測定光信号と直交する偏光を持つため、濾波器320に偏光子を用いて、未変換の被測定光信号を除去することができる。
【0199】
後段の2次の非線形媒質328にも、5mm厚のBBO結晶を選び、上2つの中間の角度位相整合を行う。直径1mmのビームを、Y方向にはそのまま、X方向には焦点距離100mmの円筒鏡327を用いて、2次の非線形媒質328に入射・結焦する。Y方向に集束を行わない結果、円筒鏡326は不要である。
【0200】
第1の局発光が被測定光信号に対し、0.14°の仰角αを持つとき、ビームに跨がる位相の変化量Aφが、概略6πとなる。同様に、第2の局発光には、被測定光信号に対し0.14°の伏角αを持たせる。このような偏向角αは、第1の局発光には反射鏡324の第2の局発光には反射鏡318のあおりを調整することで付与できるので、光学楔308、319はあえて用いなくて良い。2つの局発光は、水平に対し逆方向の偏向角を有する結果、2次の非線形媒質328より50cm手前の反射鏡318位置では、上下に2.5mmずれている。この性質に立って、反射鏡318を上側の第2の局発光のみに作用させ、第1の局発光は反射鏡318の下を通過させることで、両局発光への損失を回避できる。
【0201】
局発光のビームを整形する遮光エッジ305、312は、Y方向に集束を行なわない場合、局発光ビームが平行となる位置で作用させるのが良い。故に、この場合、第1の局発光に対しては、反射鏡323と反射鏡318との間で、上側に開口をもつ遮光エッジ305を、第2の局発光には、反射鏡317と反射鏡318との間で、下側に開口をもつ遮光エッジ312を挿入する。
【0202】
2次の非線形媒質328として用いた厚さ5mmのBBO結晶において、2次分散は、373fsであり、41THzのバンド幅が期待できる。これは、25fsのパルスの測定にも十分なバンド幅である。Y方向に集束を行わないので、スペクトログラフに混合光を結像する円筒鏡328は不要で、また、スリットにX方向の再結焦を行う円筒鏡331も省略できる。前段の円筒鏡329にその役を負わせ得るからである。以上の構成において、混合スペクトル上で、混合係数mとして、0.4程度が観測でき、パルス1ショットに対し容易に、2つの干渉位相(対称化位相)と通常のスペクトルの観測が行える。
【0203】
2つの対称化位相から、周波数刻み1.0THzをもってスペクトル位相が得られ、これをスペクトル観測データと組合わせて、単一ショットで被測定光信号電界の時間波形が測定できる。この構成は、測定動作中の可動部分を持たないので、性能が長期間維持され、安価で信頼性の高い測定システムである。
【0204】
(実施例6)
前記実施例2及び3に示した独立局発型の構成を、前記実施例5に即して組み直すことにより、それぞれを容易に単一ショット測定装置に変更できる。この際、前記実施例4で述べたように、2台のパルスTi:サファイアレーザの励起に、1台のQスイッチYAGレーザを共有して用いれば、費用を低減できる。
【0205】
(実施例7)
以上の実施例に示した通り、現状で実用されている光源の測定に限れば、図3に示したようなY方向にもビームを集束する構成は必要とされない。しかしながら、時間幅が極限的に狭い白色フェムト秒光(ないしその候補)も実際に得られるようになっている技術の現状に鑑みれば、それの測定につき考究することも、あながち机上の空論ではない。
【0206】
かかる極限光の発生は、大量の非線形効果の積み重ねの末に生じるため、その電界波形がショット毎に変動する可能性が極めて高い。いきおい、単一ショット測定を迫られることになる。このように1オクターブに近いスペクトル成分を持つ膨大な帯域を有する光信号に対し、単一ショット測定を行うために、本発明の実施形態2の構成を実施する。
【0207】
スペクトルが0.55μmから1.10μmにかけて拡がった白色フェムト秒信号、1μJ/パルスを被測定光入力301として入射する。このような白色光になると、装置内の鏡の各々を、慎重に選定する必要が生じる。まず、分岐鏡302であるが、超広帯域な分岐鏡を誘電体と金属の多層膜鏡として設計するのは、容易でない。幸い、本装置の構成では1:1の分岐比を要求されないので、ガラス表面のフレネル反射(屈折率1.5、45°S偏光入射に対し、反射率9.2%)を、理想的な分岐鏡302として用いることができる。このガラスの裏面には、減反射(AR)コートを施すのがよい。このコートによる光信号の変形は、局発光の発生に当てる分にのみ作用するので、光信号電界の時間波形測定への誤差は生じない。
【0208】
反射鏡307及び短冊状の合波鏡325には、広帯域の金属鏡、特に、反射率の観点から、銀鏡が推奨される。続く円筒鏡326及び円筒鏡327は、光信号のみならず2つの局発光にも高い反射率が必要なため、要求条件がより厳しくなる。これらには、紫外増強アルミ鏡をあてる。
【0209】
2次の非線形媒質328以降の円筒鏡329乃至331には、局発光への要求が無くなるので、銀鏡が使える。ただ、先頭の円筒鏡329は、局発光ビームが、Y方向に依然集束されて入射する故、熱歪みによる破損を避けるために、紫外増強アルミ鏡とする方が無難である。残余の高調波分離鏡309、反射鏡314乃至317、反射鏡321乃至324、及び反射鏡318は、局発光側にあり狭線幅の局発光のみを反射すれば事足りるため、誘電体多層膜鏡が問題なく適用できる。
【0210】
分岐鏡302により、反射鏡307に向けて反射された残りの91%の被測定光信号は、焦点距離80mmのレンズ303によって、2次の非線形媒質304に入射・結焦する。該非線形媒質304としては、2mm厚のBBO結晶を選び、結晶(c)軸に対し34.3°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。このとき、波長0.34μm、0.3μJ/パルスの第1の局発光が得られ、そのスペクトル幅は、0.6nm(1.6THz)である。
【0211】
この第1の局発光は、下側に開口を持つ遮光エッジ305を通過した後、レンズ306により平行光束とされ、高調波分離鏡309を透過し、反射鏡321に向かう。変換されずに残った0.7μJ/パルスは、焦点距離80mmのレンズ310によって、2次の非線形媒質311に入射・結焦する。この非線形媒質311としても、2mm厚のBBO結晶を選び、結晶(c)軸に対し34.2°の方向から光を入射する角度位相整合を行う。このとき、0.3μJ/パルスの第2の局発光が得られ、そのスペクトル幅は第1の局発光に等しい一方、波長は1.7nm(4.4THz)だけずれている。この第2の局発光は、上側に開口を持つ遮光エッジ312を通過した後、レンズ313により平行光束とされ、反射鏡314に向かう。これら2つの局発光のピークパワーとしては、1.5MWが見積もられる。これら局発光は、入射した被測定光信号と直交する偏光を持つため、濾波器320に偏光子を用いて、未変換の被測定光信号を除去することができる。
【0212】
後段の2次の非線形媒質328には、0.05mm厚の薄いBBO結晶を選び、上2つの中間の角度位相整合を行う。直径1mmのビームを、Y方向には焦点距離100mmの円筒鏡326、X方向には焦点距離10mmの円筒鏡327を用いて、2次の非線形媒質328に入射・結焦する。第1の局発光が被測定光信号に対し、1.2°の仰角αを持って結焦するとき、ビームに跨がる位相の変化量Aφが、概略6πとなる。同様に、第2の局発光には、被測定光信号に対し1・2°の伏角αを持たせて結焦する。このような偏向角αは、円筒鏡326に、上から下に第2の局発光、被測定光、さらに第1の局発光と、互いにh=2mmずつずらして入射することにより、付与できる。このずれは、合波鏡325位置でも同様なので、合波鏡325を幅2mmの短冊状として、被測定光のみを反射させることができる。また、反射鏡318位置で、2つの局発光は、上下に4mmずれる結果、反射鏡318を上側の第2の局発光のみに作用させ、第1の局発光は反射鏡318の下を通過させることで、両局発光への損失を回避できる。
【0213】
また、第1の局発光に0.03°の仰角α’、第2の局発光に0.03°の伏角α’を持たせて、円筒鏡326に入射することで、2次の非線形媒質328上で、図4(a)に示したようにビーム配置が実現する。これら僅かな偏向角は、第1の局発光には反射鏡324の、第2の局発光には反射鏡318のあおりを調整することで付与できるので、光学楔308、319はあえて用いなくて良い。2次の非線形媒質328として用いた厚さ0.05mmのBBO結晶において、2次分散は、4.7fsであり、368THzのバンド幅が期待できる。これは、0.49μmから1.19μmに至るスペクトル範囲をカバーするバンド幅である。以上の構成において、混合スペクトル上で、混合係数mとして、0.3程度が観測でき、パルス1ショットに対し容易に、2つの干渉位相(対称化位相)と通常のスペクトルの観測が行える。2つの対称化位相から、周波数刻み2.2THzをもってスペクトル位相が得られ、これをスペクトル観測データと組合わせて、単一ショットで被測定光信号電界の時間波形が測定できる。この装置の構成も、測定動作中の可動部分を持たないので、性能が長期間維持され、白色フェムト秒光の評価に有効な測定装置である。
【0214】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被測定光信号の一発毎に対称化位相を得るので、ショット毎の強度の変動に高い耐性を以って、繰返し周波数の低い加工用等の超短光パルス信号を正確に測定できる。
また、強力な局発光源を内蔵した独立局発型の構成を採ることで、高い感度を得ることができる。
また、信号光単発での測定が実現されるので、測定精度が向上でき、かつ、頻度の非常に低いパルス光の取り扱いも可能となる。
また、可動部分無しに動作するので性能が長期間維持され、かつ低廉に構成できる。
また、測定対象の光信号電界の時間幅に応じて、構成を使い分けることにより、広い測定ニーズに対応できるので、工業的に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための模式図である。
【図2】本実施形態1の2次元光検出器上に現れる像の輝度分布の例及び位相差計算手順を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための模式図である。
【図4】本実施形態2の光信号電界の時間波形測定装置の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態3の光信号電界の時間波形測定方法及び装置を説明するための模式図である。
【図6】従来例の光信号電界の時間波形測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
101…被測定光信号入力 102…分岐鏡
103…レンズ 104…2次の非線形媒質
106…レンズ 107…反射鏡
108…光学楔 120…濾波器
121、122、123、124…反射鏡
125…合波鏡 127…円筒鏡
128…2次の非線形媒質 129…円筒鏡
132…スペクトログラフ 133…2次元光検出器
134、135…分岐鏡 136…3分手段
137、138…反射鏡 139、140…第1の構成
141…光スペクトル観測器 301…被測定光信号入力
302…分岐鏡 303…レンズ
304…2次の非線形媒質 305…エッジ
306…レンズ 307…反射鏡
308…光学楔 309…高調波分離鏡
310…レンズ 311…2次の非線形媒質
312…エッジ 313…レンズ
314、315、316、317、318…反射鏡
319…光学楔 320…濾波器
321、322、323、324…反射鏡
325…合波鏡 326、327…円筒鏡
328…2次の非線形媒質 329、330、331…円筒鏡
332…スペクトログラフ 333…2次元光検出器
501…被測定光信号入力 502…分岐鏡
503…レンズ 504…2次の非線形媒質
505…エッジ 506…レンズ
507…反射鏡 508…光学楔
509…分岐鏡 510…レンズ
511…2次の非線形媒質 512…エッジ
513…レンズ
514、515、516、517、518…反射鏡
519…光学楔 520…濾波器
521、522、523、524…反射鏡
525…合波鏡 526、527…円筒鏡
528…2次の非線形媒質 529、530、531…円筒鏡
532…スペクトログラフ 533…2次元光検出器
601…被測定光信号入力 602…分岐鏡
604…2次の被線形媒質 607…反射鏡
620…濾波器 624…反射鏡
625…合波鏡 628…2次の非線形媒質
641…光スペクトル観測器 642…濾波器
643…光増幅器 644…光増幅器
645…反射器 646…位相調整器

Claims (14)

  1. 被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成し、前記被測定光と前記位相共役光とを合波して混合光を生成し、この混合光のスペクトルを観測して、前記被測定光信号の電界の周波数領域での位相を測定する光信号電界の時間波形測定方法であって、
    前記局発光と被測定光信号との相対位相が、光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成し、この生成された位相共役光と前記被測定光とを合波して混合光を生成し、この混合光のスペクトル強度を、前記位置毎に分解された2次元像として観測記録し、前記位置の変化に伴うスペクトル成分毎の強度の変化を比較してスペクトル成分の間の相対的位相を測定することを特徴とする光信号電界の時間波形測定方法。
  2. 前記局発光と前記被測定光信号のビーム断面内に、それら両光の相対位相を異にする3つの部分を生成し、それらを非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成し、前記部分毎のスペクトル強度を連立して解きスペクトル成分の間の相対的位相を測定することを特徴とする請求項1に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  3. 前記局発光と前記被測定光信号の波面に傾きを設け、それら両光の相対位相を、光線断面内の位置に直線的に依存させて、非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成し、前記位置に伴うスペクトル強度の変化の位相からスペクトル成分の間の相対的位相を測定することを特徴とする請求項1に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  4. 前記被測定信号を3分し、この3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記局発光の波長を異にする請求項2または3に記載の2つの手段に供給し、前記3者(第3の信号)をスペクトルを観測する手段に供給することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  5. 被測定光信号に対し、波長を互いに異にする2つの局発光を作用させ、前記2つの局発光のそれぞれについての前記2次元像、及び前記局発光の作用を受けないスペクトル像の3つの像を、全て重畳して観測記録することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  6. 被測定光信号を2分し、この2分して得られた1者(第1の信号)を、前記2つの局発光のうち1者の生成にあて、前記局発光に変換されなかった前記2分して得られた1者(第1の信号)の残余を、前記2つ局発光のうち他者の生成にあて、前記2分して得られた他者(第2の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させることを特徴とする請求項5に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  7. 被測定光信号を3分し、この3分して得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記2つの局発光の生成にあて、前記3分して得られた3者(第3の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させることを特徴とする請求項5に記載の光信号電界の時間波形測定方法。
  8. 被測定光信号に対し、局発光を作用させて位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記被測定光と前記位相共役光とを合波した混合光のスペクトルを観測するスペクトル観測手段と、前記被測定光信号の電界の周波数領域での位相を算出する位相算出手段を有する光信号電界の時間波形測装置であって、
    前記局発光と被測定光信号との相対位相が、光線断面内の位置に依存するようにして、位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、該位相共役光生成手段で得られた位相共役光と前記被測定光とを混合する混合光生成手段と、該混合光生成手段で生成された混合光のスペクトル強度を、前記位置毎に分解された2次元像として観測記録する観測記録手段と、前記位置の変化に伴うスペクトル成分毎の強度の変化を比較して、スペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備することを特徴とする光信号電界の時間波形側定装置。
  9. 前記局発光と前記被測定光信号のビーム断面内に、それら両光の相対位相を異にする3つの部分を生成する光束分割手段と、該光束分割手段で生成された3つの部分を非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記3つの部分毎のスペクトル強度を連立して解きスペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備することを特徴とする請求項8に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
  10. 前記局発光と前記被測定光信号の波面に傾きを設け、それら両光の相対位相を、光線断面内の位置に直線的に依存させて、非線形媒質に入射・結焦して位相共役光を生成する位相共役光生成手段と、前記位置に伴うスペクトル強度の変化の位相からスペクトル成分の間の相対的位相を算出する相対的位相算出手段とを具備することを特徴とする請求項8に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
  11. 前記被測定信号を3分する被測定信号3分手段と、該被測定信号3分手段で得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)を、前記局発光の波長を異にする請求項9または10に記載の2つの手段に供給し、前記3者(第3の信号)をスペクトルを観測する手段に供給する手段とを具備することを特徴とする請求項8乃至10のうちいずれか1項に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
  12. 前記被測定光信号に対し、波長が互いに異なる2つの局発光を作用させ、前記2つの局発光のそれぞれについての前記2次元像、及び該局発光の作用を受けないスペクトル像の3つの像を、全て重畳して観測記録する観測記録手段を具備することを特徴とする請求項8乃至10のうちいずれか1項に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
  13. 前記被測定光信号を2分する被測定光信号2分手段と、該被測定光信号2分手段で得られた1者(第1の信号)を、2つの局発光のうち1者の生成にあて、該局発光に変換されなかった該2分して得られた1者(第1の信号)の残余を、前記2つの局発光のうち他者の生成にあて、前記2分して得られた他者(第2の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させる手段を具備することを特徴とする請求項12に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
  14. 前記被測定光信号を3分する被測定光信号3分手段と、該被測定光信号3分手段で得られた1者(第1の信号)と2者(第2の信号)をそれぞれ、前記2つの局発光の生成にあて、前記被測定光信号3分手段で得られた3者(第3の信号)に対し、前記2つの局発光を作用させる手段を具備することを特徴とする請求項12に記載の光信号電界の時間波形測定装置。
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