JP3566851B2 - 直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体 - Google Patents
直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体に係り、特に、直交周波数分割多重された多重化信号に、複数のデータを独立に変調して伝送することに好適な、直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル通信の変調方式として、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing;OFDM。以下、OFDMという。)方式の実用化が進められている。
【0003】
OFDMが適用される方式として、例えば、EUREKA−147 SYSTEMが挙げられる。これは、一般に、DAB(Digital Audio Broadcasting)、ユーレカ147DABシステムなどと呼ばれている。以下、ユーレカ147DABシステムという。ユーレカ147DABシステムは、1994年11月にITU−RでSystem−Aとして認められ、国際規格になっている。この規格は、「ETS 300401」として発行されている。
【0004】
ユーレカ147DABシステムでは、OFDMの各サブキャリヤーは位相変調を施され、直前のOFDMシンボル期間の各サブキャリヤーとの位相差で、主たるデーターを伝送する、いわゆる差動QPSK方式を採用している。
【0005】
上述のように、ユーレカ147DABシステムでは、直前のOFDMシンボルの各サブキャリヤーとの位相差でデーターを伝送するため、受信装置における復調手段において、基準となる位相情報が必要となる。このため、周期的に各サブキャリヤーが予め定められた基準位相を持った位相基準シンボルが挿入されている。
【0006】
また、受信時の復調動作において、各OFDMシンボル期間を周波数軸上へ変換し、周波数軸上のサブキャリヤー成分を抽出するために、各OFDMシンボル期間を特定する必要がある。このために、ユーレカ147DABシステムでは、上述の位相基準シンボルの直前に、ヌルシンボルと呼ばれる粗同期用のシンボルが挿入されている。
【0007】
ヌルシンボルは、主たるデーターを伝送するためのサブキャリヤーが存在しない”無の”信号である。通常、受信側では、受信信号のエンベロープの変化等からこのヌルシンボル期間を特定し、おおまかな各OFDMシンボル期間を決定する。
【0008】
また、オプションとして、このヌルシンボル期間に、送信所の識別のためのTransmitter Identification Information(以下、TIIと呼ぶ)と呼ばれる信号が重畳されている。ヌルシンボル期間に重畳されるTII信号は、OFDMシンボルのサブキャリヤーのうち、予め定められたいくつかのサブキャリヤーのみを伝送することで実行される。従って、実際には、ヌルシンボル期間は、無の信号ではなく、僅かに振幅を持った波形となる。ただし、他の位相基準シンボルや主たるデーターを伝送するOFDMシンボル期間の波形の振幅に対して、相対的に小さな振幅に抑えられている。
【0009】
図2を参照して、TII信号が付加された場合の、ヌルシンボル期間における周波数軸上のサブキャリヤー配置について、モード2を例に挙げて説明する。モード2では、384本のサブキャリヤーによって情報が伝送される。
【0010】
図2に示すように、TII信号は、送信所毎に決められた識別コードに従い、予め定められた周波数の隣接するサブキャリヤーのいくつかのペアで構成され、他のOFDMに比べて、サブキャリヤーが極めて少ないため、信号波形を観測した場合、ヌルシンボル期間に比較的小振幅の信号が重畳された波形となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したTII信号をヌルシンボル期間に重畳させることは、受信装置におけるヌルシンボルの検出を困難にする可能性がある。例えば、受信状態の悪いところでは、ヌルシンボルとその他のOFDMシンボルとを判別することが困難となるためである。また、受信状態によっては、TII信号が示す送信所の判別も困難となることがある。
【0012】
また、このような状況下でもTII信号をより正確に識別するために、複数のヌルシンボル期間を周波数軸に変換した後に、記憶手段に記憶させ、これら複数のヌルシンボル期間におけるサブキャリヤーのパターンを平均化して、TII信号とする等の手段が考えられるが、この場合、複数のヌルシンボルを受信するまでTII信号を確定できないため、送信所を特定するために多くの時間を要するという問題がある。
【0013】
本発明者らの検討によれば、上述の状況は、TII信号の伝送に限らず、位相変調によって伝送されるデーターに加えて、さらにデーターを伝送しようとする場合にも同様の困難を生じうると考えられる。
【0014】
本発明は、各サブキャリヤーの位相によって伝送される第1のデーターに加えて、第1のデーターとは独立な第2のデーターを、ヌルシンボル期間を用いずに伝送することに好適な、直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成させるために、本発明の第1の様態によれば、
2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
伝送すべき第1のデーターを、周波数軸上の互いに直交した2以上のサブキャリヤーに対応して、予め定められた順序で配置させるためのデーター列変換手段と、
上記各サブキャリヤーのパワースペクトルを、上記第1のデーターと独立な、伝送すべき第2のデーターに応じて、予め定められたパワーの比率で変化させるためのパワー変換手段と、
上記パワー変換手段により予め定められたパワーの比率で変化された2以上のサブキャリヤーを合成して時間軸波形を生成するための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により発生された、互いに直交する実数軸信号および虚数軸信号を直交変調して合成するための直交変調手段とを有すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置が提供される。
【0016】
ここで、上記第2のデーターとして、ユーレカ147DABシステムで定められるTII信号を用い、ヌルシンボル期間には、TII信号を挿入することなく、上記パワー変換手段は、予め定められたヌルシンボル以外のOFDMシンボルにおいて、TII信号のサブキャリヤーが存在する周波数軸上の位置に対応したサブキャリヤーに対して、それ以外のサブキャリヤーよりもパワーを高くするように、パワースペクトルを変化させることによってTII信号を伝送することができる。
【0017】
また、上記第2のデーターとして、主たるデーターである番組内容に関連したデーターやその他のニュースや各種補助情報などを用い、上記パワー変換手段は、予め定められたヌルシンボル以外のOFDMシンボルにおいて、伝送すべき第2のデーターの伝送の最小単位をsビットとしたとき、2s個のレベルの変化に対応させて、上記第2のデーターを伝送する。
【0018】
また、上記パワー変換手段は、第2の伝送データーの伝送の最小単位をsビットとしたとき、1つのサブキャリヤーまたは予め定められた複数のサブキャリヤーを使ってsビットを伝送するようにして働く。
【0019】
また、上記パワー変換手段は、伝送すべき第2のデーター容量に応じてすべてのサブキャリヤーまたはその一部の期間に対して動作してもよい。
【0020】
また、上記パワー変換手段は、予め予想される受信状態に応じて、受信状態が悪い環境下では、特定周期の期間のすべてのOFDMシンボルで同一の第2のデーターを伝送すべく働いてもよい。この場合、受信側では、上記の同一内容の第2のデーターが伝送される期間で平均化することが可能となり、ノイズやフェージングなどの影響を取り除いた状態で、第2のデーターを確定することが容易になる。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、
2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
複数の変調方式で変調することができる変調手段を有し、
上記変調手段は、互いに独立な複数のデーターを変調方式毎に独立に変調すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置が提供される。
【0022】
本発明の第3の態様によれば、
2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生方法において、
互いに独立に与えられる複数のデーターを、複数の変調方式で、変調方式相互に独立して変調すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生方法が提供される。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、
直交周波数分割多重化信号を復調するための復調装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する2以上のメトリックスを求めるための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスの分布のエンベロープから、上記第2の伝送データーを抽出する補助データー抽出手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められた各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化から主たる伝送データーを抽出するための主復調手段とを有すること
を特徴とする復調装置が提供される。
【0024】
また、複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重された多重化信号の、予め定められたヌルシンボル以外のOFDMシンボルのパワーに、TII信号に応じてパワースペクトルが変化させられている多重化信号を受信するための受信装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する複数のメトリックスを求めるための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められた各サブキャリヤーのメトリックスから、主たるデーターを抽出する第1の復調手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスのパワースペクトル分布のエンベロープから第2のデーターを抽出する第2の復調手段と、
上記第2の復調手段から得られた結果のうち、予め定められたTII信号が挿入されているOFDMシンボル期間の結果のみを抽出して、送信所を特定するための送信所特定手段とを有し、
上記第2の復調手段は、予め定められたTII信号が挿入されているOFDMシンボル期間における上記離散フーリエ変換の結果から、パワースペクトルを計算し、エンベロープを抽出し、
上記送信所特定手段は、上記第2の復調手段によって検出されたパワースペクトルのエンベロープから、最も近いTIIパターンを選択することにより、送信所を確定する復調装置が提供される。
【0025】
この復調装置では、ヌルシンボルにTII信号が挿入されていないため、ヌルシンボルの検出が容易になり、受信状態の悪い場合においても、同期を安定して引き込むことができる。
【0026】
一方、上記のごとく、複数のサブキャリヤーに直交周波数分割多重された多重化信号の、予め定められたヌルシンボル以外のOFDMシンボルにおける、第2の伝送データーに応じてパワースペクトルが変化させられている多重化信号を受信する受信装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する複数のメトリックスを求めるための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められた各サブキャリヤーのメトリックスから、主たるデーターを抽出する第1の復調手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスのパワースペクトル分布のエンベロープから第2のデーターを抽出する第2の復調手段とを備え、
上記第2の復調手段は、予め定められた期間のパワースペクトルのエンベロープを抽出し、パワー軸方向における最大値と最小値の間を予め定められたレベル数に分割し、第2のデーターの最小伝送単位に相当するサブキャリヤー数毎に、どのレベルの窓にあるかを判定しながら、そのレベルを確定させることにより、伝送されてきた第2のデーターを復調する復調装置としてもよい。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、
直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて通信するための通信装置において、
入力される信号が示すデーターで、搬送波を直交周波数分割多重変調して多重化信号を送出するための送信部と、
受け付けた信号を直交周波数分割多重復調して変調データーを検出し、変調データーが示す信号を出力するための受信部とを有し、
上記送信部は、第1および第2のいずれかの態様における直交周波数分割多重信号発生装置を備えて構成され、
上記受信部は、第4の態様における復調装置を備えて構成されること
を特徴とする通信装置が提供される。
【0028】
また、直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて通信するための通信装置において、
入力される信号が示す主たるデーターで、搬送波を直交周波数分割多重変調して、第2のデーターで、ヌルシンボル以外の予め定められたOFDMシンボルの各サブキャリヤーのパワーを変化させた、多重化信号を送出するための送信部と、
受け付けた信号を直交周波数分割多重復調して主たる変調データーを検出し、変調データーが示す信号を出力するとともに、パワースペクトルのエンベロープから第2のデーターを検出し、このデーターが示す信号を出力するための受信部とを有し、
上記送信部は、第1および第2のいずれかの態様における直交周波数分割多重信号発生装置を備えて構成され、
上記受信部は、第4の態様における復調装置を備えて構成される通信装置であってもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
先ず、図1、図2、図3および図4を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0031】
図1において、直交周波数分割多重信号発生装置1000は、データー列変換部1100と、パワー変換部1200と、離散逆フーリエ変換部1300と、直交変調部1400とを有して構成される。
【0032】
上記データー列変換部1100は、伝送するデーターをシリアルにて入力した後、OFDMのサブキャリヤーの数と等しい並列データー列へと変換する。例えば、欧州DABのモード2では384データー列となる。また、通常、1つのサブキャリヤーは同相軸データーおよび直交軸データーで構成されるため、各サブキャリヤーには、2ビットのデーターを割り当てることができる。従って、384本のサブキャリヤーによるOFDMシンボルは768ビットのデーターを伝送することができる。また、通常、ヌルシンボルに重畳されるTII信号は、送信所を識別するためのコードであり、コム番号とパターン番号の組み合わせによって、予め定められた法則に従い発生される。例えば、モード2におけるTII信号は0〜23のコム番号と、0〜69のパターン番号によって決まり、コム番号=4で、パターン番号=16の場合、図2に示すように、4対の隣接するサブキャリヤーペアとなる。
【0033】
続いて、上記パワー変換部1200では、ヌルシンボル以外の予め定められたOFDMシンボルにおいて、上記384組の同相軸および直交軸データーからなる複素データーのパワーを、割り当てられているTII信号に応じて変化させる。例えば、上述のコム番号=4で、パターン番号=16の例では、図2のサブキャリヤーが存在する周波数でパワー比率を10%高くする。具体的には、図3に示すようなパワースペクトルになる。
【0034】
上記のようにして各サブキャリヤーのパワー分布を変化させたOFDM信号は、図4に示す復調装置にて復調することができる。
【0035】
図4において、復調装置2000は、直交検波部2100と、離散フーリエ変換部2200と、第1復調回路2300と、第2復調回路2400とを有して構成される。
【0036】
上記直交検波部2100は、OFDM信号を受け付け、再生キャリヤーを用いて、互いに直交する2つの検波軸信号を得るためのものである。2つの検波軸は、例えば、受け付けた信号と同相の同相軸(I相軸)、および、受け付けた信号に直交する直交軸(Q相軸)に選ぶことができる。なお、2つの検波軸は、互いに直交する関係にあれば、これらの位相に限らない。例えば、受けた信号に対して、+45度の位相の検波軸、および、−45度の位相の検波軸に選んでもよい。
【0037】
直交検波部2100は、例えば、受け付けた信号を2つに分配するための分配器2150と、90度の位相差がある2つの再生キャリヤーX,Yを発振するための再生キャリヤー生成部2190と、上記分配された2つの信号に、上記再生キャリヤーXおよびYをそれぞれ乗算するための2つの乗算器2130,2140とを用いて構成することができる。
【0038】
上記再生キャリヤー生成部2190は、例えば、発振周波数を変更可能な周波数可変発振器2110と、発振された信号を2つに分配するための分岐回路2115と、分配された信号の一方に90度の位相遅延を与えるための移相器2120とを用いて構成することができる。このように構成された再生キャリヤー生成部2190を用いて、再生キャリヤーを生成することができる。
【0039】
上記離散フーリエ変換部2200は、OFDM信号に含まれるサブキャリヤー数より多い数のサンプリングポイントで、上記I相信号およびQ相信号をそれぞれサンプリングし、これらを離散フーリエ変換するためのものである。上記離散フーリエ変換部2200は、例えば、2つのA/D(Analog to Digital)変換器2220,2240と、離散フーリエ変換処理を実行するためのDFT(Discrete Fourier Transform;離散フーリエ変換)回路2260とを有して構成される。DFT回路2260において、離散フーリエ変換を実行するための計算のアルゴリズムとしては、例えば、DFTの定義式に従って計算を実行してもよいし、高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)などを用いてもよい。FFTを用いて計算することにより、DFTの計算を高速に行うことができる。DFT回路2260は、例えば、専用のハードロジックで構成される。なお、DFT処理を実行するためのプログラムを搭載した汎用の演算装置を用いて構成してもよい。
【0040】
上記第1復調部2300は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスを、変調時と同様な順序でシリアルなデーター列に変換するためのデーター列変換部を備える構成とすることができる。この構成により、各サブキャリヤーに分散されていたデーターを元の並び順で復調することが可能となる。
【0041】
上記第2復調部2400は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスのパワーを計算するためのパワー計算部2420と、パワー計算部2420の結果から得られる各サブキャリヤーのパワー値に対して、第2のデーターについて予め定められたサブキャリヤー数で示される最小の伝送単位毎に、予め定められたレベル値のどのレベルにあるかを判定するためのレベル判定部2440と、各伝送単位毎に判定されたレベルを元のシリアルなデーター列に変換するためのデーター列変換部2480とを有する構成される。これによって、各サブキャリヤーのパワーの変化として伝送されてきた第2のデーターを、元の並び順で復調することができる。
【0042】
なお、第1の実施の形態において、パワー変化によるTII信号をヌルシンボル以外の複数のOFDMシンボルに重畳してもよい。この場合、例えば、ヌルシンボルから次のヌルシンボルまでの間で、ヌルシンボル以外のOFDMシンボルすべてに、パワー変化によるTII信号を重畳しておき、受信装置側では、この期間すべての各OFDMシンボル毎にパワーを算出し、それらすべての平均をとることにより、ノイズやフェージング等の妨害の影響を除いた判定が可能となるため、より正確なTII検出が高速に行うことができる。
【0043】
次に、図1、図3および図5を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0044】
本実施の形態における、直交周波数分割多重信号発生装置の構成要素は、上記第1の実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置と同様の構成要素とすることができる。例えば、図1示すように、データー列変換部1100と、パワー変換部1200と、離散逆フーリエ変換部1300と、直交変調部1400とを有して構成される。
【0045】
入力データーがパワー変換部1200に入力するまでは、上記第1の実施の形態と同様である。パワー変換部1200では、第2の伝送データーによって、各サブキャリヤーのパワーを変化させるように働く。本実施の形態では、図5に示すように、第2のデーターの最小伝送単位を、OFDM信号の4本のサブキャリヤーに割り当てることとし、また、最小単位を1ビットとすれば、モード2では、384本のサブキャリヤーがあるので、1OFDMシンボル期間で96ビットの第2のデーターを伝送できる。図5では、例として、第2のデーター列を、“01010101…”とした場合の各サブキャリヤーのパワー変換後の様子を示している。この例では、データー“1”に対して、データー“0”よりもパワー比率を10%高くしている。
【0046】
上記のようにして、第2のデーターに応じて、各サブキャリヤーのパワー分布を変化させたOFDM信号は、図4に示す復調装置で復調することができる。
【0047】
図4において、復調装置2000は、直交検波部2100と、離散フーリエ変換部2200と、第1復調回路2300と、第2復調回路2400とを有して構成される。
【0048】
上記直交検波部2100に入力した受信信号が離散フーリエ変換部2200にて、周波数軸上の各サブキャリヤーメトリックスに変換されるまでの過程は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0049】
上記第1復調部2300は、例えば、上記離散フーリエ変換部において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスを、変調時の手順に対応する手順でシリアルなデーター列に変換するデーター列変換部により構成させることができ、各サブキャリヤーに分散させていたデーターを元の並び順で復調する。
【0050】
上記第2復調部2400は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスのパワーを計算するためのパワー計算部2420と、パワー計算部2420の結果から得られる各サブキャリヤーのパワー値に対して、第2のデーターについて予め定められたサブキャリヤー数で示される最小の伝送単位毎に、予め定められたレベル値のどのレベルにあるかを判定するためのレベル判定部2440と、各伝送単位毎に判定されたレベルを元のシリアルなデーター列に変換するためのデーター列変換部2480とを有して構成される。このように構成される第2復調部2400により、各サブキャリヤーのパワーの変化として伝送されてきた第2のデーターは、元の並び順で復調される。
【0051】
パワー計算部2420では、上記離散フーリエ変換部2200で得られた各サブキャリヤーのメトリックスから、パワー値Pを算出する。離散フーリエ変換の結果得られるメトリックス分布が、例えば、モード2では、384個の有効メトリックスが連続して並び、虚数単位をj、メトリックスが得られる周波数スロットを示すサフィックスをiとすると、各メトリックスZiは、(ai+jbi)と表される。
【0052】
上記パワーPは、例えば、Zの複素共役をZ*として、
と定義することができる。すなわち、メトリックスZが、
Z=(a+jb)
であるとき、このメトリックスのパワーは、
と与えられる。
【0053】
上記レベル判定部2440では、例えば、各サブキャリヤーのパワー値Piを、第2のデーターの最小伝送単位である4キャリヤー毎に、平均化し、予め定められたしきい値レベルと比較し、その大小を持って、データー値“1”と“0”とを判定する。
【0054】
平均化方法は、例えば、任意の最小データー期間の各サブキャリヤーのパワーをPi,Pi+1,Pi+2,Pi+3とすれば、
MPi=[(Pi)+(Pi+1)+(Pi+2)+(Pi+3)]/4 …(103)
で与えられる。
【0055】
上記データー列変換部2480では、上記レベル判定部2440で得られた、各第2のデーター値を、送信された元の順序に変換して出力する。
【0056】
なお、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、同一の第2の伝送データーを複数のOFDMシンボルに重畳してもよい。この場合も、前述と同様、同一の第2のデーターが重畳されている期間で平均処理することにより、ノイズやフェージング等の妨害の影響を除いた判定が可能となるため、より正確な第2のデーター復調が可能である。
【0057】
次に、図1、図4、図6および図7を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。ここでは、第2の伝送データーの最小単位を4ビットとした場合を例にとって説明する。
【0058】
本実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置は、上記第1の実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置と同様の構成要素を有する構成とすることができ、例えば、図1に示すように、データー列変換部1100と、パワー変換部1200と、離散逆フーリエ変換部1300と、直交変調部1400とを有して構成される。
【0059】
入力データーがパワー変換部1200に入力するまでは、上記第1の実施の形態と同様である。パワー変換部1200では、第2の伝送データーによって、各サブキャリヤーのパワーを変化させるように働く。本実施の形態では、図6に示すように、第2のデーターの最小伝送単位を、OFDM信号の4本のサブキャリヤーに割り当てることとし、また、最小単位を4ビットすなわち、16レベル(24=16)とすれば、モード2では、384本のサブキャリヤーがあるので、1OFDMシンボル期間で384ビットの第2のデーターを伝送できる。図6では、例として、第2のデーター列を、“0123456789ABCDEF012345…0F”とした場合の各サブキャリヤーのパワー変換後の様子を示している。ここで、後述する第2のデーター復調部2400(図4参照)におけるレベル判定部2440(図4参照)のレベル基準キャリヤーとして、レベルの最小値および最大値を一部のキャリヤーに割り当てるようにすれば、第2のデーターの復調がより正確に行える。ただし、伝送可能なデーター量は、382ビットとなる。本実施の形態では、図6に示すように、最後の8本のキャリヤーの前4本と後4本とにそれぞれ第2のデーターの“0”と“F”とに相当するパワーでキャリヤーを生成するようにパワー変換部2420が働くようにする。また各第2のデーター値に対するキャリヤーレベルは、例えば、データー“0”のパワーを100%とした場合、データー“1”に対して、データー“0”よりもパワー比率を5%高く、データー“2”に対して、データー“1”よりもパワー比率を5%高く、というように第2のデーターの値の各レベル毎に5%のパワー変化をとるようにして構成することができる。
【0060】
上記のようにして、第2のデーターに応じて、各サブキャリヤーのパワー分布を変化させたOFDM信号は、図4に示す復調装置にて復調される。
【0061】
図4において、復調装置2000は、直交検波部2100と、離散フーリエ変換部2200と、第1復調回路2300と、第2復調回路2400とを有して構成される。
【0062】
上記直交検波部2100に入力した受信信号が離散フーリエ変換部2200にて、周波数軸上の各サブキャリヤーメトリックスに変換されるまでの過程は、上述の第1の実施の形態と同様である。
【0063】
上記第1復調部2300は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスを、変調時と同様な順序でシリアルなデーター列に変換するデーター列変換部を備える構成とすることができ、各サブキャリヤーに分散されていたデーターは、元の並び順で復調される。
【0064】
上記第2復調部2400は、各サブキャリヤーのパワーの変化として伝送されてきた第2のデーターを、元の並び順で復調するためのものである。第2復調部2400は、例えば、上記離散フーリエ変換部において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスのパワーを計算するためのパワー計算部2420と、パワー計算部2420の結果から得られる各サブキャリヤーのパワー値に対して、第2のデーターについて予め定められたサブキャリヤー数で示される最小の伝送単位毎に、予め定められたレベル値のどのレベルにあるかを判定するためのレベル判定部2440と、各伝送単位毎に判定されたレベルを元のシリアルなデーター列に変換するためのデーター列変換部2480とを有して構成される。
【0065】
パワー計算部2420では、上記離散フーリエ変換部2200で得られた各サブキャリヤーのメトリックスから、パワー値Pを算出する。パワー値の算出は、前述の第2の実施の形態と同様の算出方法を用いて実行することができる。
【0066】
レベル判定部2440では、上述のように各OFDMシンボルの最後の8本のキャリヤーのうち、前4本で第2のデーターの最低レベル“0”のキャリヤーパワーと、後4本で第2のデーターの最高レベル“F”のキャリヤーパワーとを確認できるため、この間を15等分して最小レベル差を求めた後に各レベルの判定用のしきい値を設定して、各キャリヤーのレベルを判定する。すなわち、最小レベル差Pdは、
Pd=[(最高レベル“F”のキャリヤーパワー)−(最低レベル“0”のキャリヤーパワー)]/15
で求まり、従って各しきい値は、最低レベル“0”のキャリヤーパワーにPdを順次加えていくことにより求まる。
【0067】
レベル“1”に対する下側のしきい値=(最低レベルのキャリヤーパワー)+Pd
レベル“2”に対する下側のしきい値=(レベル“1”に対する下側のしきい値)+Pd
レベル“3”に対する下側のしきい値=(レベル“2”に対する下側のしきい値)+Pd
レベル“F”に対する下側のしきい値=(レベル“E”に対する下側のしきい値)+Pd
すなわち、レベル判定部2440は、例えば、図7に示すような回路構成によって実現することができる。図7において、レベル判定部2440は、16のコンパレーター2441〜2456と、デコードロジック2460とを有して構成される。このレベル判定部2440では、上述のようにして求められたしきい値を元に、各キャリヤーのパワーを比較していき、そのパワーに一致した第2のデーターのレベル“0”〜“F”を決定することができる。また、各第2のデーターを伝送する4本のキャリヤーを平均することによって、ノイズや妨害の影響を低減することができることについては、前述の第2の実施に形態でも述べたとおりである。
【0068】
上記データー列変換部2480では、上記レベル判定部2440で得られた、各第2のデーター値を、送信された元の順序に変換して出力する。
【0069】
なお、第3の実施の形態において、レベル基準キャリヤーは、OFDMシンボル毎に挿入したが、レベル基準キャリヤーの挿入の態様はこれに限らず、例えば、1フレーム期間等の複数のOFDMシンボル期間に1度挿入するようにしてもよい。また、挿入場所は特に制限されないものであり、予め定められた位置に挿入するものである。また、第2の実施の形態では最後の8本の各4本づつのキャリヤーが最低レベルのキャリヤーパワーと最高レベルのキャリヤーになるよう挿入したが、例えば、一カ所に集めずに各4本を離して挿入してもよい。
【0070】
次に、図1、図4、図7および図8を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第2の伝送データーの最小単位を4ビットとした例であり、OFDMシンボル上に第2のデーターを繰り返して重畳する場合について説明する。
【0071】
本実施の形態における直交周波数分割多重信号発生装置は、上記第1の実施の形態と同様の構成要素を有する構成とすることができる。すなわち、図1に示すように、データー列変換部1100と、パワー変換部1200と、離散逆フーリエ変換部1300と、直交変調部1400とを有して構成される。
【0072】
入力データーがパワー変換部1200に入力するまでは、上記第1の実施の形態と同様である。本実施の形態におけるパワー変換部1200は、第2の伝送データーによって、各サブキャリヤーのパワーを変化させるように動作する。本実施の形態では、図8に示すように、第2のデーターの最小伝送単位を、OFDMの4本のサブキャリヤーに割り当て、最小単位を4ビットとし、OFDMシンボルの中心となる周波数に関して対称に、これを境に高周波数側と低周波数側と第2の伝送データーを重畳するようにし、中心周波数を挟んで第2の伝送データーを伝送する各キャリヤーの極性が反転するようにする。すなわち、低周波数側では各キャリヤーを第2のデーターのレベル値に比例して変化させ、高周波数側では各キャリヤーを第2のデーターのレベル値に反比例して変化させるようにする。このようにして変化させられたOFDMの平均パワーは一定に保つことが可能である。また、低周波数側での各第2のデーター値に対するキャリヤーレベルは、例えば、データー“8”のパワーを100%とした場合、データー“7”に対して、データー“8”よりもパワー比率を5%低く、データー“9”に対して、データー“8”よりもパワー比率を5%高く、というように第2のデーターの値の各レベル毎に5%のパワー変化をとるようにして構成し、高周波数側では各第2のデーター値に対するキャリヤーレベルは、データー“7”に対して、データー“8”よりもパワー比率を5%高く、データー“9”に対して、データー“8”よりもパワー比率を5%低く、というように第2のデーターの値の各レベル毎に5%のパワー変化をとるようにして構成することができる。また、前述の第3の実施の形態と同様に、レベル基準キャリヤーを図8に示すように挿入する。すなわち、中心周波数の前後4本に最低レベルに対応するパワーを持つキャリヤーと、さらにその前後4本に最高レベルに対応するパワーを持つキャリヤーとを挿入し、第2の伝送データーの復調時のレベル判定に用いることができる。従って、モード2では、384本のサブキャリヤーがあるので、1つのOFDMシンボル期間で382ビットの第2のデーターを伝送できる。図8では、例として、第2のデーター列を、“0123456789ABCDEF012345…CDE”とした場合の各サブキャリヤーのパワー変換後の様子を示している。すなわち、図8の最低周波数から中心周波数に向けて、中心周波数の手前4キャリヤーを除くキャリヤーまでに、第2のデーターを重畳している。さらに中心周波数に関して対称となるように、それより高い周波数側にも第2のデーターに反比例したパワーで同様に第2の伝送データーを重畳する。
【0073】
上述のようにして、第2のデーターに応じて、各サブキャリヤーのパワー分布を変化させたOFDM信号は、図4に示す復調装置にて復調することができる。
【0074】
図4において、復調装置2000は、直交検波部2100と、離散フーリエ変換部2200と、第1復調回路2300と、第2復調回路2400とを有して構成される。
【0075】
上記直交検波部2100に入力した受信信号が離散フーリエ変換部2200にて、周波数軸上の各サブキャリヤーメトリックスに変換されるまでの過程は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0076】
上記第1復調部2300は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスを、変調時と同様な順序でシリアルなデーター列に変換するデーター列変換部により構成させることができ、各サブキャリヤーに分散させていたデーターを元の並び順で復調する。
【0077】
上記第2復調部2400は、例えば、上記離散フーリエ変換部2200において得られた周波数軸上における各サブキャリヤーのメトリックスのパワーを計算するためのパワー計算部2420と、パワー計算部2420の結果から得られる各サブキャリヤーのパワー値に対して、第2のデーターについて予め定められたサブキャリヤー数で示される最小の伝送単位毎に、予め定められたレベル値のどのレベルにあるかを判定するためのレベル判定部2440と、各伝送単位毎に判定されたレベルを元のシリアルなデーター列に変換するためのデーター列変換部2480とを有する構成とすることができ、各サブキャリヤーのパワーの変化として伝送されてきた第2のデーターを、元の並び順で復調する。
【0078】
パワー計算部2420では、上記離散フーリエ変換部で得られた各サブキャリヤーのメトリックスから、パワー値Pを算出する。パワー値Pの算出は、前述の第2の実施の形態と同様の算出方法を適用することができる。
【0079】
レベル判定部2440では、上述のように各OFDMシンボルの中心前後に挿入された8本のレベル基準キャリヤーにより、第3の実施の形態と同様にして、各レベルの判定用のしきい値を計算して、図7に示した回路構成を用いて各キャリヤーのパワーを比較していき、そのパワーに一致した第2のデーターのレベル“0”〜“F”を決定することができる。
【0080】
またレベル判定の前に、中心周波数を挟んで低周波数側と高周波数側とに重畳された、各第2のデーターを伝送する4本のキャリヤーを平均し、レベル判定した後、さらに低周波数側と高周波数側の判定結果を平均することによって、ノイズや妨害の影響を低減することができる。
【0081】
上記データー列変換部2480では、上記レベル判定部2440で得られた、各第2のデーター値を、送信された元の順序に変換して出力する。
【0082】
なお、第4の実施の形態において、OFDMシンボル毎に第2の伝送データーを2重に重畳したが、それ以上に繰り返して伝送することもできる。例えば全キャリヤーを4分割してそれぞれに予め定められた極性で、第2の伝送データーを4重に重畳してもよい。このとき受信側において同一のデーターを示す各キャリヤーのレベル判定を行った後に多数決によってそのレベルを決定してもよい。
【0083】
第1から第4の実施の形態に述べた第2の伝送データーは、各OFDMシンボル毎に異なったデーターとしても、また同一のデーターとしてもよい。同一の場合は、それらを平均化することにより、高精度なデーター伝送が可能となる。さらに重畳の方法はすべて同一としても、またOFDMシンボル毎に変えてあってもよい。
【0084】
なお、上述の説明では、直交周波数分割多重信号発生装置におけるデータ列変換、パワー変換、および、逆離散フーリエ変換を実行する機能をハードロジックで実行する場合を中心に説明したが、これらの機能をコンピューターを用いて実現してもよい。すなわち、汎用のコンピューターに、記憶媒体に格納されている直交周波数分割多重信号発生プログラムをロードさせて実行させてもよいし、DSP(Digital Signal processor)にメモリ(例えば、ROMチップなど)に予め格納した直交周波数分割多重信号発生プログラムをロードして実行させてもよい。
【0085】
このような、直交周波数分割多重信号発生プログラムとしては、例えば、与えられた第1のデーターを周波数軸上の互いに直交した2以上のサブキャリヤーに対応して、予め定められた順序で配置させ、上記各サブキャリヤーのパワースペクトルを、上記第1のデーターと独立に与えられる第2の伝送データーに応じて、予め定められたパワーの比率で変化させ、パワースペクトルを変化させた2以上のサブキャリヤーを離散フーリエ変換して時間軸波形を生成することをコンピューターに実行させるための手順が記述された直交周波数分割多重信号発生プログラムを用いることができる。
【0086】
また、同様に上述した、復調装置における離散フーリエ変換、ならびに、第1および第2復調の機能を、復調プログラムをコンピューターにロードさせて実現してもよい。このためには、例えば、直交検波された2つの検波軸信号を受け付け、当該2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、上記それぞれ標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化、および、周波数領域に分布する2以上のメトリックスを求め、上記各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化から第1の伝送データーを抽出し、上記2以上のメトリックスの分布のエンベロープから、第2の伝送データーを抽出することをコンピューターに実行させるための手順が記述された復調プログラムを用いることができる。
【0087】
上記直交周波数分割多重信号発生プログラム、復調プログラムの供給は、例えば、直交周波数分割多重信号発生装置、復調装置に固定的に設けられるメモリに予め格納してもよいし、直交周波数分割多重信号発生装置、復調装置に着脱可能な可搬性を有する記憶媒体に予め格納し、これをコンピューターが読みとり可能に装着して供給してもよい。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、直交周波数分割多重された多重化信号に、複数のデーターを独立に変調して伝送することが可能となる。
【0089】
例えば、OFDM信号において位相変調により伝送される第1のデーターに加えて、第1のデーターと独立な第2のデーターを伝送することができる。
【0090】
そして、第2のデーターとしてTII信号を用いた場合、複数のOFDMシンボルに重畳させることができ、TII信号の検出を高速かつ確実とすることができる。さらに、ヌルシンボルにTII信号を重畳しないのでヌルシンボルの検出を容易にすることができる。
【0091】
本発明によれば、QPSKを用いたOFDM方式で伝送されている第1のデーターに加えて、さらに、振幅変調を用いて、第1のデーターと独立な第2の伝送データを伝送することができる。そして、このような変調が行われた信号からは、従来の復調装置を用いる場合であっても、QPSKで伝送される第1のデータを復調することが可能である。
【0092】
また、QAM変調のためのD/Aコンバータなどを用いることなく、位相および振幅が変調されたOFDM信号を発生することができる。
【0093】
本発明によれば、QPSK変調されたOFDM信号のスペクトラム上で、一部の期間を選択して、第2のデータを重畳させることができる。
【0094】
本発明において、各サブキャリヤーの振幅レベルとして重畳した第2のデータを復調する際に、予め付加された基準レベルを用いて復調することができる。従って、第2のデータの復調の精度を向上することが可能となる。
【0095】
さらに、本発明において、サブキャリヤーの対での振幅変調の極性を互いに逆にすることにより、OFDM信号のトータルパワーを一定に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した直交周波数分割多重信号発生装置を示すブロック図である。
【図2】TII信号の周波数軸上での配置例を説明するためのスペクトル図である。
【図3】本発明を適用したOFDM信号のメトリックスのパワー分布を模式的に示すスペクトル図である。
【図4】本発明を適用した、復調装置を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した第2の伝送データーが重畳されたOFDM信号のメトリックスのパワー分布を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明を適用した第2の伝送データーが重畳されたOFDM信号のメトリックスのパワー分布を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明を適用したレベル判定部の回路構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明を適用した第2の伝送データーが重畳されたOFDM信号のメトリックスのパワー分布を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1000…直交周波数分割多重信号発生装置、1100…データー列変換部、1200…パワー変換部、1300…逆離散フーリエ変換部、1320…IDFT(逆離散フーリエ変換)回路、1340,1360…D/A(ディジタル−アナログ)変換部、1400…直交変調部、1410…局部発振器、1420…移相器、1430,1440…乗算器、1450…合成器、1460…分配器、2000…復調装置、2100…直交検波部、2110…周波数可変発振器、2115…分岐回路、2120…移相器、2130,2140…乗算器、2150…分配器、2190…再生キャリヤー生成部、2200…離散フーリエ変換部、2220,2240…A/D(アナログ−ディジタル)変換部、2260…DFT(離散フーリエ変換)回路、2300…第1復調回路、2400…第2復調回路、2420…パワー計算部、2440…レベル判定部、2441〜2456…コンパレーター、2460…デコードロジック、2480…データー列変換部。
Claims (17)
- 2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
伝送すべき第1のデーターを、周波数軸上の互いに直交した2以上のサブキャリヤーに対応して、予め定められた順序で配置させるためのデーター列変換手段と、
上記各サブキャリヤーのパワースペクトルを、上記第1のデーターと独立な、伝送すべき第2のデーターに応じて、予め定められたパワーの比率で変化させるためのパワー変換手段と、
上記パワー変換手段により予め定められたパワーの比率で変化された2以上のサブキャリヤーを合成して時間軸波形を生成するための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により発生された、互いに直交する実数軸信号および虚数軸信号を直交変調して合成するための直交変調手段とを有すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項1に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、伝送すべき第2のデーターの伝送の最小単位をsビットとするとき、2s個のレベルに対応させて、パワースペクトルを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項2に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、第2のデーターの伝送の最小単位をsビットとしたとき、1つのサブキャリヤーまたは予め定められた2以上のサブキャリヤーを使ってsビットを伝送するようにパワースペクトルを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、上記2以上のサブキャリヤーのうち、予め定められたサブキャリヤーについてパワースペクトルを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記パワー変換手段は、予め定められた複数のOFDMシンボルの期間に、共通の第2のデーターに応じて、サブキャリヤーのパワースペクトルを変化させること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
複数の変調方式で変調することができ、互いに独立な複数データーを変調方式毎に独立に変調する変調手段と、
上記2以上のサブキャリヤーを周波数領域における成分とする時間領域波形を生成するための離散フーリエ変換手段と、を有すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
複数の変調方式で変調することができ、互いに独立な複数のデーターを変調方式毎に独立に変調する変調手段と、
上記2以上のサブキャリヤーを周波数領域における成分とする時間領域波形を生成するための離散フーリエ変換手段と、を有し、
上記データーは、第1および第2のデーターを含み、
上記変調手段は、
上記第1のデーターに従って、サブキャリヤーの位相を変調するための位相変調手段と、
上記第2のデーターに従って、サブキャリヤーの振幅を変調するための振幅変調手段と、を備えること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を発生するための直交周波数分割多重信号発生装置において、
複数の変調方式で変調することができ、互いに独立な複数のデーターを変調方式毎に独立に変調する変調手段を有し、
上記データーは、第1および第2のデーターを含み、
上記変調手段は、
上記第1のデーターに従って、サブキャリヤーの位相を変調するための位相変調手段と、
上記第2のデーターに従って、サブキャリヤーの振幅を変調するための振幅変調手段と、を備え、
上記振幅変調手段は、上記2以上のサブキャリヤーのうち、周波数中心から予め定められた範囲にあるサブキャリヤーについて変調すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項6および7のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記振幅変調手段は、上記2以上のサブキャリヤーのうち、周波数中心から予め定められた範囲にあるサブキャリヤーについて変調すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項6から9のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記振幅変調手段は、多重化信号が発生される時間のうちの予め定められた時間範囲について変調することを特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項6から10のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記振幅変調手段は、対となるサブキャリヤーに、互いに極性を反転して振幅変調を行うこと
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 請求項6から11のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置において、
上記振幅変調手段は、サブキャリヤー相互に相対的に定められた振幅レベルに従って、各サブキャリヤーの振幅を変調すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生装置。 - 直交周波数分割多重化信号を復調するための復調装置において、
上記多重化信号を直交検波して、互いに直交する第1の検波軸信号および第2の検波軸信号を得るための直交検波手段と、
上記2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、かつ、これら標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、周波数領域に分布する2以上のメトリックスを求めるための離散フーリエ変換手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められたメトリックスの分布のエンベロープから、上記第2の伝送データーを抽出する補助データー抽出手段と、
上記離散フーリエ変換手段により求められた各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化から主たる伝送データーを抽出するための主復調手段とを有すること
を特徴とする復調装置。 - 請求項11に記載の復調装置において、
上記補助データー抽出手段により抽出した補助データーを、予め定められた複数のOFDMシンボル期間相互に平均するための平均手段をさらに備えること、
を特徴とする復調装置。 - 直交周波数分割多重化された多重化信号を用いて通信するための通信装置において、
入力される信号が示すデーターで、搬送波を直交周波数分割多重変調して多重化信号を送出するための送信部と、
受け付けた信号を直交周波数分割多重復調して変調データーを検出し、変調データーが示す信号を出力するための受信部とを有し、
上記送信部は、請求項1から12のいずれか一項に記載の直交周波数分割多重信号発生装置を備えて構成され、
上記受信部は、請求項13および14のいずれか一項に記載の復調装置を備えて構成されることを特徴とする通信装置。 - 2以上のサブキャリヤーに直交周波数分割多重化された多重化信号を、コンピューターを用いて発生するための直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体において、
上記直交周波数分割多重信号発生プログラムは、コンピューターに実行されて、
与えられた第1のデーターを周波数軸上の互いに直交した2以上のサブキャリヤーに対応して、予め定められた順序で配置させ、
上記各サブキャリヤーのパワースペクトルを、上記第1のデーターと独立に与えられる第2の伝送データーに応じて、予め定められたパワーの比率で変化させ、
パワースペクトルを変化させた2以上のサブキャリヤーを離散フーリエ変換して時間軸波形を生成すること
を特徴とする直交周波数分割多重信号発生プログラムを格納した記憶媒体。 - 直交周波数分割多重化信号をコンピューターを用いて復調するための復調プログラムが格納された記憶媒体において、
上記復調プログラムは、コンピューターに実行されて、
直交検波された2つの検波軸信号を受け付け、当該2つの検波軸信号のそれぞれの時間軸波形を予め定められた標本化周波数でそれぞれ標本化し、
上記それぞれ標本化されたデーターを離散フーリエ変換して、各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化、および、周波数領域に分布する2以上のメトリックスを求め、
上記各サブキャリヤーのシンボル毎の位相変化から第1の伝送データーを抽出し、
上記2以上のメトリックスの分布のエンベロープから、第2の伝送データーを抽出すること
を特徴とする復調プログラムが格納された記憶媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08431398A JP3566851B2 (ja) | 1998-03-30 | 1998-03-30 | 直交周波数分割多重信号発生装置および方法、復調装置、通信装置、直交周波数分割多重信号発生プログラムが格納された記憶媒体および復調プログラムが格納された記憶媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
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