JP3946893B2 - ディジタル通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信システムや無線LANシステム等に適用されるディジタル通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、音声や映像又はデータ等のディジタル情報を伝送するディジタル通信システムの開発が進められており、移動体においてディジタル通信を行なうシステムも開発されている。移動体通信では、ビル等の建築物やその他の反射物による複数の反射波(マルチパス)の影響を考慮する必要がある。つまり受信点では、複数の送信局からの電波が到達することになる。このマルチパスの現象は、信号に歪みを生じさせ、受信品質を劣化させる大きな原因となる。
【0003】
また、マルチメディア情報等を扱うディジタル通信システムでは、多様な要求品質への対応が求められる。たとえば、小型な携帯情報端末を用いたマルチメディアディジタル通信では、任意の地点から網等に接続する移動通信の利便性を有しつつ、高信頼な信号伝送が必要となる。
【0004】
移動体通信に限らず、ディジタル通信では、送信機から伝送される情報を復元するために、周波数同期やタイミング同期を達成する必要がある。特に、移動体通信においては、受信状態が時々刻々変化する。また、同期を確立するには、ある程度の時間を要する。同期がはずれた状態では、情報の復元は、不可能であるので、同期がはずれた場合の回復のためにも、高速な周波数同期及びタイミング同期が必要となる。
【0005】
マルチメディア情報等の伝送にはパケット通信が適している。パケット通信では、時分割多元接続(TDMA)のように一定の周期ではなくランダムにパケットが送信される。このように、マルチメディア情報等を扱うディジタル通信システムでは、伝送される信号がバースト的に発生する。このため、同期の確立はパケット毎に行う必要があり、短い時間で同期を確立する必要がある。
【0006】
ところで、マルチパス伝搬路における遅延波の影響の低減に有効な方法として、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)がある。OFDMは、伝送情報を分割して複数の低速なディジタル信号を生成し、その複数信号で直交関係にあるサブキャリアを独立に変調する方式である。マルチキャリアを用いた並列伝送によって、信号伝送速度を低くでき、更に、OFDM特有のガード区間を設けることによって、単一キャリア変調方式と比べて遅延波の影響を低減することができる。
【0007】
以下にOFDM方式の概要について説明する。
【0008】
図12は、送信側に用いられるOFDM変調装置の構成を示すブロック図である。OFDM変調装置には、送信データが入力される。この送信データは、シリアル/パラレル変換部31に供給されて、低速な複数の伝送シンボルからなるデータに変換される。つまり、伝送情報を分割して、複数の低速なディジタル信号を生成する。このパラレルデータは、逆高速フーリエ変換(IFFT)部32に供給される。
【0009】
パラレルデータは、OFDMを構成する各サブキャリアに割り当てられ、周波数領域においてマッピングされる。ここで、各サブキャリアに対してBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調が施される。マッピングデータは、IFFT演算を施すことによって、周波数領域の送信データから時間領域の送信データに変換される。これにより、互いに直交する関係にある複数のサブキャリアが夫々独立に変調されたマルチキャリア変調信号が生成される。IFFT部32の出力は、ガードインターバル付加部33に供給される。
【0010】
ガードインターバル付加部33では、図13に示すように、伝送データの有効シンボルの後部をガードインターバルとして、伝送シンボル毎に有効シンボル期間の前部にコピー付加する。ガードインターバル付加部33で得られたベースバンド信号は、直交変調部34に供給される。
【0011】
直交変調部34は、ガードインターバル付加部33から供給されるベースバンドOFDM信号に対して、OFDM変調装置の局部発振器35から供給されるキャリア信号を用いて、直交変調を施し、中間周波数(IF)又は無線周波数(RF)に周波数変換し、所望の伝送周波数帯域に周波数変換した後に伝送路に出力する。
【0012】
図14は、受信側に用いられるOFDM復調装置の構成を示すブロック図である。OFDM復調装置には、図12のOFDM変調装置によって生成されたOFDM信号が所定の伝送路を介して入力される。
【0013】
このOFDM復調装置に入力されたOFDM受信信号は、直交復調部41に供給される。直交復調部41は、OFDM受信信号に対して、OFDM復調装置の局部発振器42から供給されるキャリア信号を用いて、直交復調を施し、RF又はIFからベースバンドに周波数変換し、ベースバンドOFDM信号を得る。このOFDM信号は、ガードインターバル除去部43に供給される。
【0014】
ガードインターバル除去部43は、OFDM変調装置のガードインターバル付加部33で付加された信号を、図示しないシンボルタイミング同期部から供給されるタイミング信号に従って除去する。ガードインターバル除去部43で得られた信号は、高速フーリエ変換(FFT)部44に供給される。
【0015】
FFT部44は、入力される時間領域の受信データにFFT演算を施すことによって周波数領域の受信データに変換する。更にサブキャリア信号は周波数領域においてデマッピングされ、各サブキャリア毎にパラレルデータが生成される。ここで、各サブキャリアに施されたBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の変調に対する復調がなされたことになる。FFT部44で得られたパラレルデータは、パラレル/シリアル変換部45に供給されて、受信データとして出力される。
【0016】
以上説明したように、OFDM復調装置では、変調装置から伝送される情報を復元するために、キャリア周波数同期やタイミング周波数同期を達成する必要がある。
【0017】
OFDMでは、サブキャリア間隔が狭く、各サブキャリアが直交配置されているため、OFDM復調装置の局部発振器から供給されるキャリア周波数とOFDM変調装置のキャリア周波数とがずれて周波数オフセットが存在すると、サブキャリア間の直交性が崩れ、受信特性が著しく劣化する。従って、OFDMではキャリア周波数同期の達成が極めて重要である。
【0018】
OFDMの周波数同期法に関しては、電子情報通信学会技術研究報告書RCS97−210(1998−01)の「高速無線LAN用OFDM変調方式の同期系に関する検討」や同RCS94−152(1995−02)の「OFDMにおける周波数及びタイミングオフセットの高速同期捕捉の検討」等に示されている。
【0019】
以下、上記報告書に記載されている従来のOFDMの周波数同期法に関して説明する。
【0020】
OFDMの周波数同期法は、大まかに、周波数領域での処理によるものと、時間領域での処理によるものに分類される。時間領域での処理としては、ガードインターバルが有効シンボル期間の後部のコピーであることを利用し、このガードインターバルと有効シンボル期間の後部との相関演算から、キャリア周波数誤差を推定する方式、OFDM有効シンボル内を2分割し、2分割した内の前部と後部に同一の信号を配置し、両者の相関演算からキャリア周波数誤差を推定する方式、同一シンボルを2回以上繰り返し送信し、両者の相関演算からキャリア周波数誤差を推定する方式等が挙げられる。前述したRCS97−210は、時間領域での処理を行なっている。
【0021】
周波数領域での処理としては、パイロットシンボルを送信する方式が挙げられる。適当なパイロット信号を送信し、パイロット信号のフーリエ変換の出力結果を基に、送信されるパイロット信号の周波数を推定するのである。パイロット信号の周波数等が既知であれば、キャリア周波数誤差を推定することができる。前述したRCS94−152は、周波数領域での処理を行なっている。
【0022】
ところで、上述したように、パイロット信号を用いた方式では、フーリエ変換結果からパイロット信号の周波数を算出する必要がある。この算出に有効な提案として、電子情報通信学会論文誌A,Vol.J70−A,No.5,1997の「FFTを用いた高精度周波数決定法」がある。この提案は上述したRSC94−152においても、パイロットシンボルの周波数を高精度で計算する方法として利用されている。
【0023】
J70−Aに示されている計算式は、周波数を推定する信号列、つまりFFT演算を施す系列に複数の周波数成分が含まれていても、夫々が十分離れていればお互いに影響を与えないことを利用している。これにより、個別に周波数を推定することができるようになっている。
【0024】
J70−Aによれば、雑音の無い条件下では、FFT演算を施す系列に含まれる複数の周波数、つまり離散スペクトルの間隔が4以上離れていれば(離散スペクトルの間は、ヌル)、2つの周波数の干渉はほとんど起こらないことを開示している。
【0025】
RCS94−152のOFDMの周波数同期法は、パイロットシンボルに対しJ70−Aの周波数推定法を適用し、キャリア周波数誤差を推定する。従って、パイロットシンボルにおいて設定されるパイロットキャリアの間隔は、4以上離す必要がある。
【0026】
ところが、このような周波数誤差推定方法では、パイロットシンボルを頻繁に伝送することによって伝送効率が低下する。一方、伝送効率を低下させないためにパイロットシンボルを送信する頻度を抑えてしまうと、周波数誤差推定精度が劣化してしまうという問題がある。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
このように、マルチメディア情報を取り扱ったディジタル通信システムにおいては、高信頼な信号伝送が必要であり、このため、短い時間で同期を確立する必要がある。更に、OFDMでは、サブキャリア間隔が狭く、各サブキャリアが直交配置されていることから、周波数オフセットが存在すると、サブキャリア間の直交性が崩れ、受信特性が著しく劣化するので、キャリア周波数同期は極めて重要である。
【0028】
しかしながら、従来、パイロットシンボルを用いたキャリア周波数誤差推定法では、パイロットキャリア同士がお互いに影響を与えないようにするために、パイロットシンボルにおいて設定されるパイロットキャリアの間隔は、4以上離す必要がある。即ち、パイロットキャリア相互間に情報の伝送に直接寄与しない多くのヌルサブキャリアを設ける必要がある。このため、伝送効率が低下してしまうという問題点があった。
【0029】
また、差動符号化を採用した場合には、データシンボル前に初期位相を決定するスタートシンボルを別途送信する必要がある。伝送効率を向上させるために、このスタートシンボルをパイロットシンボル中に含ませて伝送することが考えられるが、パイロットキャリア間に多くのヌルサブキャリアを設ける必要があることから、パイロットシンボルを自由に用いることができず、スタートシンボルの割り当てが困難であるという問題点もあった。
【0030】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ヌルサブキャリアを設けないパイロットシンボルを用いた場合でも、短時間で且つ確実に周波数同期を確立することを可能にすることができるディジタル通信装置を提供することを目的とする。
【0031】
また、本発明は、パイロットシンボルの設定の自由度を大きくして伝送効率を向上させることができるディジタル通信装置を提供することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るディジタル通信装置は、所定の既知系列のパイロット信号を含むパイロット信号が挿入されたOFDM信号が入力され、再生キャリアによってベースバンド信号を得る周波数変換手段と、再生タイミングクロックによって前記ベースバンド信号を標本化する標本化手段と、前記標本化されたベースバンド信号に窓関数を乗じて出力する窓関数演算手段と、前記窓関数演算手段の出力を周波数領域の出力に変換する復号手段と、前記所定の既知系列及び前記窓関数に基づく系列をキャリア周波数毎に生成する既知系列生成手段と、前記復号手段からの出力と前記既知系列生成手段が生成した系列との相関に基づいて前記周波数変換手段が用いる再生キャリアの周波数誤差を推定して前記再生キャリア周波数を制御する周波数誤差推定手段と、前記復号手段からの出力に基づいて前記標本化手段が用いる再生タイミングクロックのタイミング誤差を推定して前記再生タイミングクロックのタイミングを制御するサンプルタイミング誤差推定部とを具備したものである。
【0033】
本発明の請求項1において、OFDM信号は周波数変換手段によってベースバンド信号に変換され、標本化手段によって再生タイミングクロックによって標本化される。標本化されたベースバンド信号は、窓関数演算手段によって矩形窓以外の窓関数が乗じられた後、復号手段によって周波数領域の出力に変換される。復号手段の出力は、サブキャリア毎に既知系列及び窓関数に基づく大きさを有する。サンプルタイミング誤差推定部は復号手段からの出力に基づいて前記標本化手段が用いる再生タイミングクロックのタイミング誤差を推定して再生タイミングクロックのタイミングを制御する。これにより、再生タイミングクロックを制御する。
【0034】
本発明の請求項2において、復号手段の出力は、サブキャリア毎に既知系列及び窓関数に基づく大きさを有する。この大きさは既知系列及び窓関数に応じてキャリア周波数毎に既知であり、既知系列生成手段は、キャリア周波数毎にこの既知の系列を生成する。周波数誤差推定手段は、既知系列生成手段からの既知系列と復号手段の出力との相関によって、キャリア周波数誤差を推定し、これにより、再生キャリアの周波数を制御する。また、サンプルタイミング誤差推定部は復号手段からの出力に基づいて前記標本化手段が用いる再生タイミングクロックのタイミング誤差を推定して再生タイミングクロックのタイミングを制御する。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明に係るディジタル通信装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【0036】
図1において、受信機は、アンテナ10、図示しない高周波低雑音増幅器を有するRF部11、局部発振器12、RF部11の出力に対して局部発振器12の出力を用いて周波数変換を行なう周波数変換部13、低域通過フィルタ(LPF)14、サンプリングタイミングクロック生成部15、LPF14の出力に対してサンプリングタイミングクロック生成部15から出力される信号で標本化及び量子化を行なうアナログ/ディジタル変換器(以下、A/Dという)16、ガードインターバル除去部17、シリアル/パラレル変換部18、FFT部19、パラレル/シリアル変換部20、キャリア周波数誤差推定部21、既知系列生成器22、窓関数演算部23、窓関数生成部24、切換器25及びサンプリングタイミング誤差推定部26によって構成されている。
【0037】
アンテナ10にはOFDM信号が誘起する。このOFDM信号は図示しないOFDM送信装置によって生成されて伝送されたものである。OFDM信号はパイロットシンボルを含んでいる。本実施の形態においては、パイロットシンボルは、パイロットサブキャリア系列が既知であればよく、自由に設定可能である。
【0038】
図2はこのようなOFDM送信信号のフレーム構成を示す説明図である。
【0039】
送信信号は、フレーム単位で伝送される。フレームは、例えば図2に示す構成を有する。図2において、フレームの第1シンボルは、無変調のヌルシンボルである。ヌルシンボルは、ガードフレームの一部を兼ねる。受信機は、ヌルシンボルを用いることによって、受信信号振幅をモニタし、フレームの開始タイミングを検出し、これによって、パイロットシンボルが伝送されるタイミングを把握する。図2では、ヌルシンボルは、1シンボル長であるが、複数シンボルであっても1シンボル長以下であっても構わない。なお、このヌルシンボルは本実施の形態に特有のシンボルではなく、従来から用いられているものである。
【0040】
パイロットシンボルは、各サブキャリア対して既知系列が割り当てられている。また、パイロットシンボルは、パイロットサブキャリアのみで構成することが可能であるし、パイロットサブキャリアとデータサブキャリアとで構成することも可能である。
【0041】
直交変調信号に対して同期検波を行なう場合には、受信機が絶対位相を把握できるように、既知信号が送信されなければならない。また、差動符号化を行なう場合には、スタートシンボルが送信されなければならない。本実施の形態においては、後述するように、パイロットシンボルを用いた周波数誤差の推定の際に、パイロットサブキャリアの間隔を離す必要がないことから、パイロットシンボルにヌルサブキャリアを設ける必要がなく、従って、全てのサブキャリアを用いて情報を送信することができる。
【0042】
このため、周波数同期用のパイロットシンボルをパイロット信号の伝送用だけでなく、通常のデータの伝送用又はスタートシンボルの伝送用として兼用することができ、伝送効率の劣化を防ぐことができる。
【0043】
本実施の形態は、受信したOFDM信号系列に所定の窓関数を乗ずることによって、複数のキャリア相互間で干渉を生じさせ、パイロット既知系列とキャリア周波数ずれとに基づいてキャリア周波数ずれを推定すると共に、サブキャリア間の位相差に基づいてサンプリングタイミングのずれを推定するものである。
【0044】
図1において、アンテナ10からのOFDM信号はRF部11に供給される。RF部11は、入力された信号を高周波低雑音増幅器によって増幅した後に周波数変換部13に供給する。周波数変換部13は、RF部11からのOFDM信号をIF帯の信号に変換する。更に、周波数変換部13は、局部発振器12から同相軸キャリア及び直交軸キャリアが与えられており、これらの同相軸及び直交軸キャリアを用いてIF帯のOFDM信号を直交復調して、ベースバンドのOFDM信号を生成するようになっている。局部発振器12は後述するキャリア周波数誤差推定部21から制御信号が与えられて、発振周波数が制御されるようになっている。
【0045】
周波数変換部13からのベースバンドOFDM信号は、同相軸検波(I軸)信号と直交軸検波(Q軸)信号とから構成される複素信号である。ベースバンドOFDM信号は、IF帯を経ることなく直接RF帯の信号から生成することも可能である。
【0046】
ベースバンドOFDM信号は、LPF14に供給される。LPF14はベースバンドOFDM信号を帯域制限してA/D16に出力する。A/D16は、サンプリングタイミングクロック生成部15からタイミングクロックが与えられ、このタイミングクロックを用いてLPF14の出力を標本化すると共に量子化する。
【0047】
サンプリングタイミングクロック生成部15は、サンプリングタイミング誤差推定部26から出力されるタイミングクロック制御信号によって制御されて、サンプリングタイミングクロックを生成するようになっている。
【0048】
A/D16からのOFDM信号はガードインターバル除去部17に供給される。ガードインターバル除去部17は、OFDMシンボルに付加されているガードインターバルを除去して切換器25に出力するようになっている。切換器25は、入力されたOFDMシンボルのうちパイロットシンボルについては後述する窓関数演算部23を介してシリアル/パラレル変換部18に与え、その他のシンボルについては直接シリアル/パラレル変換部18に供給するにようなっている。
【0049】
シリアル/パラレル変換部18は、入力されたOFDMシンボルをパラレルデータに変換してFFT部19に出力する。FFT部19は、入力系列に対してFFT演算を行ない、周波数領域の複素データ系列(サブキャリア信号)を得る。更に、FFT部19は、サブキャリア信号を周波数領域においてデマッピングして、各サブキャリア毎にパラレルデータを生成する。
【0050】
このパラレルデータはパラレル/シリアル変換部20に供給されると共に、キャリア周波数誤差推定部21及びサンプリングタイミング誤差推定部26にも供給される。パラレル/シリアル変換部20は、入力されたパラレルデータをシリアルデータに変換して受信データとして出力するようになっている。
【0051】
本実施の形態においては、窓関数演算部23、窓関数生成部24、キャリア周波数誤差推定部21、既知系列生成部22及びサンプリングタイミング誤差推定部26によって、周波数ずれ及びサンプリングタイミングのずれを推定するようになっている。
【0052】
次に、これらの回路部によるキャリア周波数ずれの推定方法について説明する。先ず、受信信号の周波数領域系列について説明する。説明を簡単にするため、等価低域におけるOFDM受信信号を取り扱う。また、時間領域から周波数領域への変換に、DFT(Discrete Fourier transfom)を用いるものとして説明する。等価低域におけるOFDM受信信号r(t)は、下記(1)式によって表すことができる。
【0053】
但し、Ns はOFDM信号を構成するサブキャリアの数を示し、NはFFTのポイント数を示し、Δω0 はキャリア角周波数オフセットを示し、Δθ0 は位相オフセットを示し、n(t)は白色ガウス雑音を示し、Ts は有効シンボル長を示している。また、uはOFDMシンボル番号であり、vはサブキャリア番号である。そして、duvは送信する符号を示し、QPSKの場合には、
duv∈{Auvexp(j2πk/4),(k=0,1,2,3)}である。また、Auvは振幅を示し、ヌルサブキャリアの場合にはAuv=0である。
【0054】
xuv(t)は第uOFDMシンボル、第vサブキャリアにおけるOFDMの孤立パルス応答であり、下記(2),(3)式で与えられる。
【0055】
但し、h(t)はチャネルのインパルス応答であり、fv は第vサブキャリア周波数である。TはOFDMシンボル長である。
【0056】
ここで、有効シンボル当たりNサンプルで標本化した場合の第k番目のサンプリングタイミングをtk とする。上述したように、パイロットシンボル以外のシンボルは、ディジタル信号に変換された後、ガードインターバル除去部17から切換器25及びシリアル/パラレル変換部18を介してFFT部19に供給されてFFT処理される。パイロットシンボル以外のシンボルについては、DFTの入力系列は、r(tk )となる。但し、k=0,1,…,(N−1)である。
【0057】
なお、上記(2),(3)式に示すように、DFTは、それ自体、矩形窓の窓関数演算を行なっているのと等価である。つまり、受信信号をそのままDFTの入力系列とすることは、受信信号に対して矩形窓の窓関数演算を行なっているのと等価である。以下、説明を簡略化するために、窓関数演算とは矩形窓以外の窓関数を時間領域信号に対して乗ずることを示すものとする。なお、矩形窓による窓関数演算を指す場合には、その旨を明記する。
【0058】
周波数ずれがない場合、つまりサブキャリア周波数とDFT系列が表現できる離散周波数とが合致する場合においては、所定のサブキャリア周波数のみにスペクトルが存在し、隣接するサブキャリア周波数に現れる電力は0である。即ち、この場合にはサブキャリア干渉は発生しない。これは、OFDMでは、サブキャリアは、直交配置されているためである。
【0059】
逆に、周波数ずれがある場合、つまりサブキャリア周波数とDFT系列が表現できる離散周波数とが合致しない場合には、スペクトル広がりによって、サブキャリア間干渉が発生する。周波数ずれが無い場合には、サブキャリア番号kの周波数においてのみスペクトルが存在したが、周波数ずれがある場合には、隣接するサブキャリア周波数においても電力値が観測される。このスペクトルの広がりの現象は、窓関数に依存する。各サブキャリアに対して信号が割り当てられる場合、つまり、離散スペクトルが複数の場合には、サブキャリア間干渉電力は夫々の線形和で表される。
【0060】
ここで、すべてのサブキャリアにパイロット信号が等電力で配置された場合について考える。仮に、このパイロット信号に対して、窓関数を乗ずることなくDFT演算のみを施すものとする。また伝搬路は、無歪みであり理想的であるとする。パイロットシンボルにはヌルキャリアを設けていないことから、従来技術で述べた周波数推定法は、適用できない。いま、周波数ずれが無いものとすると、送信系列がそのままDFTの出力系列として再生される。つまり、送信系列は、送信時と同一の周波数位置で観測される。更に、DFTの出力系列は、等電力である。逆に、周波数ずれがあるとすると、前述した理由により、サブキャリア間干渉が発生する。そして、窓関数を乗ずることなくDFT演算のみを施す場合には、DFTの出力系列は、サブキャリア間干渉の大きさによらず等電力となってしまう。
【0061】
この理由から、本実施の形態においては、周波数間隔をあけずに配置されたパイロットキャリアに対して窓関数演算を行なうことにより周波数ずれを検出可能にしている。即ち、A/D16の出力のうちパイロットシンボルについては、切換器25によって窓関数演算部23に供給するようになっている。
【0062】
窓関数生成部24は、例えばハニング窓の窓関数を生成して窓関数演算部23に供給するようになっている。例えば、長さがNのハニング窓wH (k)は下記(4)式によって示される。
【0063】
そして、本実施の形態においては、FFT部19において、窓関数演算の出力系列に対してDFT処理を施すようになっている。FFT部19からの周波数領域系列R(k)は下記(5)式によって与えられる。
【0064】
送信器のキャリア周波数と受信器のキャリア周波数とが合致しない場合、つまり、キャリア周波数ずれがある場合、サブキャリア間干渉が生じる。サブキャリア間干渉は、窓関数、キャリア周波数誤差、パイロットして配置された既知シンボルの位相関係に依存する。ハニング窓においては、サイドローブの極大値は急激に減少するが、メインローブが広がることから、サブキャリア間の直交性は失われる。
【0065】
つまり、メインローブに広がりが生じる窓関数を用いれば、すべてのサブキャリアにパイロット信号が等電力で配置されたパイロットシンボルにおいても、窓関数演算を行なった系列に対するDFTの出力系列R(k)の大きさ
[|R(k)|={R(k)R*(k)}の平方根]は、サブキャリア間干渉の影響を受けてサブキャリア毎に変化する。
【0066】
ここで、R*(k)はR(k)の複素共役である。
【0067】
つまり、サブキャリア干渉は、キャリア周波数誤差に従って変化するため、逆に各サブキャリア毎の電力差によって、周波数ずれの量xが検出できる。xは、受信信号から算出したDFTの出力系列と、基準となる参照系列の電力値のとの相関を求め、相関がもっとも高くなるxを検出することによって推定される。参照系列は、周波数のずれxがある場合に理想的に得られるDFTの出力系列である。なお、周波数ずれxが異なる条件においてあらかじめ計算しておいた参照系列を複数有しておくことよって、相関演算に要する計算量を削減することが出来る。
【0068】
周波数ずれ量の推定は、キャリア周波数誤差推定部21によって行う。キャリア周波数誤差推定部21には既知系列生成器22から既知系列の情報も与えられている。キャリア周波数誤差推定部21は、FFT部19の出力と既知系列の情報とに基づいてずれ量を求める。
【0069】
キャリア周波数誤差推定部21は、窓関数演算されFFT復調されて得られた周波数領域の受信信号系列を、周波数誤差推定のための信号系列|L(k)|を算出する。この|L(k)|と既知系列生成器22からの|F(k)|との相関から、周波数オフセットxを推定する。周波数オフセットxは、例えば、両者の2乗誤差(|L(k)|−|F(k)|)の2乗が最少となるようなxを検索することによっても得られる。また、|L(k)|を算出する際、受信信号系列に対して、位相に関する繰り返し周期毎に平均演算を行なえば、雑音の影響の低減が可能となる。キャリア周波数誤差推定部21は、推定した周波数オフセットxを0にするように、局部発振周波数を制御するようになっている。
【0070】
R(k)の大きさが周期的に変化する系列として、例えば有効サブキャリア数64(k=0,1,…,63)で、各サブキャリアの変調方式がQPSKの場合には、下記(6)式に示す符号系列ξ(k)が挙げられる。
【0071】
各サブキャリアの電力が周期的に変化するような系列をパイロット信号として用いることにより、一周期分に縮退して平均化したのちに、相関を計算することが可能となる。このため、キャリア周波数誤差を検出するために要する計算量を大幅に削減することができる。
【0072】
次に、サンプリングタイミング誤差の推定方法について説明する。
【0073】
図3は、パイロットシンボルにおける受信信号系列の大きさ|R(k)|の例を示している。符号系列ξ(k )は、前述の(6)式であり、窓関数はハニング窓である。またサンプリングタイミングは、最適点である。|R(k)|の大きさは、4サブキャリア毎に繰り返される。Ig は、繰り返し周期を示し、図3では、Ig =4である。|R(k)|は、周波数オフセットにより変化する。周波数ずれは、この|R(k)|の変化を観測することによって、達成される。
【0074】
図4は、パイロットシンボルにおける受信信号系列R(k)の複素表示である。つまり、図4をスカラ表示したものが図3である。パイロットシンボルにおいて伝送される既知符号系列ξ(k )の位相関係は、窓関数演算によって生じるサブキャリア間干渉によって変化する。なお、図4は、符号系列ξ(k )として(6)式を用いた場合の例である。
【0075】
ここで、繰り返し周期毎の受信信号系列R(k)に着目する。つまり、(k modulo Ig )=iを満たすサブキャリアについて着目する。例えばi=3の場合、R(3)、R(7)、R(11)…に着目する。これらの位相は、無線伝搬路の伝達特性がフラットであれば、同一の値を有している。
【0076】
図5は、サンプリングタイミングが最適点からずれた場合の受信信号系列の複素表示である。R(k)は、サンプリングタイミングが最適な場合、R’(k)は、最適点からずれた場合である。R(k)とR’(k)の位相差は、サブキャリア番号が大きくなるにしたがって増加していることが分かる。
【0077】
ここで、前述したように、繰り返し周期毎の受信信号系列R(k)に着目する。(k modulo Ig )=iを満たすサブキャリアの位相は、サンプリングタイミングが最適点である場合、同一の値を有している。つまり、R(3)、R(7)、R(11)…は、同一の値を有している。したがって、
R(n×Ig +i)・R((n+1)×Ig +i)=0である(nは自然数)。
【0078】
ところが、サンプリングタイミングが最適点からずれている場合、R’(3)、R’(7)、R’(11)、…は、同値ではない。つまり、
R’(n×Ig +i)・R’((n+1)×Ig +i)=0である。
【0079】
このことから、R’(k)を観測することによってサンプリングタイミングのずれが推定できることになる。
【0080】
図6は、サンプリングタイミングがずれている場合の受信信号系列R’(k)の位相を示している。R’(k)を結ぶ直線の傾きは、サンプリングタイミングのずれΔτによって変化する。つまり、サンプリングタイミングのずれの推定には、受信信号系列間の位相差Δθ、もしくは直線の傾きを得る必要がある。
【0081】
理想的な条件下では、R’(k)は、図6のような分布となる。しかし実際には、雑音等により受信信号系列R(k)の分布には、バラツキが生じる。この様子を図7に示す。低CNR時の推定程度の劣化は、加算平均演算によって解消される。サブキャリア間の位相差Δθは、下記(7)式によって得られる。
【0082】
またサブキャリア間の位相差は、各受信信号系列R’(k)との2乗誤差が最小となる直線(下記(8)式)を算出することによっても得られる。直線の傾き、つまり式Bのa1は、下記(9)式によっても得ることが出来る。
【0083】
なおFFTを実行する際、FFTの端に存在するサンプルは、特性上誤差が大きい。このため、受信信号系列間の位相差もしくは直線の傾きの算出時には、これらのサンプルを除外することによって、サンプリングタイミングのずれの推定精度を向上させることが出来る。FFTの端に存在するサンプルとは、NポイントのFFTの場合には、k=1、及びN近傍を指す。
【0084】
こうして得られたサブキャリア間の位相差Δθ、もしくは直線の傾きa1から、OFDMシンボル長で正規化したサンプリングタイミングのずれΔτは、
Δτ=a1/(2π)=Δθ/(2πIg ) …(10)
によって求められる。
【0085】
サンプリングタイミング誤差推定部26は上記(10)式に基づいて、サンプリングタイミングクロック生成部15に供給する制御信号を生成している。
【0086】
図8は図1中のサンプリングタイミング誤差推定部26の具体的な構成を示すブロック図である。
【0087】
シリアル/パラレル変換部18の出力は、FFT部19に入力される。なお、FFT部19のポイント数は、Nとする。FFT部19では、入力された時間領域信号を周波数領域信号に変換して出力する。FFT部19の出力の一部は、サンプリングタイミング誤差推定部26に入力される。サンプリングタイミング誤差推定部26は、位相差検出部50、平均化部51及びサンプリングタイミング誤差計算部52によって構成されている。これらのブロックでは、前述した位相誤差推定方式に基づいて動作する。
【0088】
位相差検出部50には、FFT部19の出力が入力される。FFT部19の出力をR(k)とする。R(k)は複素信号であり、またk=0,1,…,N−1である。位相差検出部50は、R(k)を用いて、繰り返し周期Ig 毎の受信信号系列の位相差Δθiを算出する。Δθiは、次式(11)で計算される。
【0089】
但し、i=0、1、…、Ig −1である。
【0090】
位相差検出部50は、Δθiを計算し、平均化部51に出力する。つまり、位相差検出部50からは、Ig 通りの信号が出力される。平均化部51は、入力信号の平均を算出する。平均化部52の出力は、x1、x2、…、x_(Ig −1)が入力された場合には、下記(12)式となる。
【0091】
平均化部51の出力は、サンプリングタイミング誤差計算部52に入力される。サンプリングタイミング誤差計算部52は、入力された信号を元にサンプリングタイミング誤差を計算する。なおこの操作はあらかじめ計算されたデータ変換テーブルを参照することで代用が可能である。更に、このサンプリングタイミング誤差情報を元に、サンプリングタイミングクロック生成部15に供給される制御信号が生成される。
【0092】
なお、位相差推定部50において、位相差Δθiを計算する際に、|R(k)|が大きい、つまり大きな振幅の信号から得られた信号を用いて位相差を推定することによって、サンプリングタイミング誤差の推定精度の向上が可能となる。
【0093】
図9は図8に示したサンプリングタイミング誤差推定部の変形例を示したものである。サンプリングタイミング誤差推定部54は、位相差検出部50、重み付き平均化部55及びサンプリングタイミング誤差計算部52から構成される。位相差検出部50、及びサンプリングタイミング誤差計算部52の構成は、図8と同様である。重み付き平均化部55には、位相差検出部50の出力と共にFFT部51からの出力が入力される。
【0094】
図10は図9中の重み付き平均化部55の具体的な構成を示す回路図である。重み付き平均化部55は、重み計算部56、定係数乗算器57及び加算器58によって構成される。重み計算部56は、FFT部51からの出力r(k)を用いて、位相差検出器50から出力された信号Δθ0、Δθ1、…、Δθ_Ig に対して掛け合わせる重み信号wiを算出する。重み信号wiと位相差検出器50から出力された信号Δθiとの乗算は、乗算器57により行う。乗算器57の出力は、夫々加算器58に入力される。加算器58は、入力信号の加算演算を行ない、結果を出力する。
【0095】
重み信号wiは、FFT部19からの出力されたR(k)を用いて決定される。例えばwiは、|R(k)|の大きさ、つまり信号振幅の大きさを用いて決定される。例えば、重み信号wiは、信号振幅の大きさ|R(k)|に従って順位を付け、大きい方より、あらかじめ定められた数分だけ選択することによって決定される。例えば、Σ_n|R(n・Ig +i)|をi=0、…、Ig −1について計算し、総数Ig の内の信号振幅の大きい上位Ig −2を選択し、選択された場合の重みとして1/(Ig −2)を、選択されなかった場合の重みを0とする。また、別の例として、もっとも簡便な重み信号wiとして、例えば、wi=1/Ig (Ig =0、…、Ig −1)が挙げられる。本方式によれば、信頼度の高い信号を元にサンプリングタイミング誤差の推定が出来るため、サンプリングタイミング誤差の推定精度の向上が可能となる。
【0096】
次に、このように構成された実施の形態の動作について説明する。
【0097】
送信側においては、例えば図2に示すフレームのOFDM信号を伝送するものとし、図2中のパイロットシンボルは、(6)式に示す系列ξ(k)をパイロットサブキャリア系列とする信号であるものとする。なお、パイロットシンボルとしてヌルサブキャリアを含まないこのような特殊な系列を用いることができ、このパイロットシンボルをスタートシンボルとしても兼用することができる。
【0098】
アンテナ10は受信したOFDM信号をRF部11に供給する。RF部11によって、OFDM信号は周波数変換される。更に、RF部11は、局部発振器12からの同相軸及び直交軸キャリアを用いてOFDM信号を直交復調して、ベースバンドのOFDM信号をLPF14に供給する。
【0099】
ベースバンドOFDM信号は、LPF14によって帯域制限され、A/D16によってディジタル信号に変換されてガードインターバル除去部17に供給される。A/D16の出力は上記(2),(3)式によって示される。ガードインターバル除去部17は、OFDMシンボルに付加されているガードインターバルを除去して切換器25に出力する。
【0100】
切換器25は、図示しない制御部によって制御されて、パイロットシンボル以外のシンボルについては、直接シリアル/パラレル変換部18に与え、パイロットシンボルについては窓関数演算部23を介してシリアル/パラレル変換部18に与える。
【0101】
いま、パイロットシンボルが切換器25に入力されるものとする。切換器25によって窓関数演算部23に供給されたパイロットシンボルは、窓関数生成部24からの窓関数と乗算される。窓関数演算部23の出力はシリアル/パラレル変換部18において、FFT部19のポイント数にパラレル変換されてFFT部19に供給される。FFT部19は入力されたパラレルデータをFFT処理する。
【0102】
窓関数生成部24が(4)式に示すハニング窓wH(k) を出力するものとすると、FFT部19からの周波数領域系列R(k)は、上記(5)式によって与えられる。
【0103】
キャリア周波数誤差推定部21は、FFT部19の出力が与えられており、系列R(k)の大きさ[|R(k)|={R(k)R*(k)}の平方根]を算出する。上述したように、(6)式では、R(k)の大きさが4サブキャリア周期で周期的に変化するパイロットサブキャリア系列を用いており、キャリア周波数誤差推定部21は、FFT部21の出力を縮退して平均化する。
【0104】
キャリア周波数誤差推定部21は、電力値の変化のパターンと既知系列生成器22で発生したパターンとの相関によって、周波数ずれxを推定する。そして、キャリア周波数誤差推定部21は、周波数ずれxを0にするように局部発振器12を制御する。こうして、キャリア同期が達成される。
【0105】
一方、サンプリングタイミング誤差推定部26は、FFT部19の出力から上記(7)式に示す演算を行って、サブキャリア間の位相差θを求め、上記(10)式によって、タイミングタイミングのずれΔτを算出する。サンプリングタイミング誤差推定部26は、このΔτを0にするように、サンプリングタイミングクロック生成部15を制御する。こうして、タイミング同期が達成される。
【0106】
このように本実施の形態においては、受信信号のフーリエ変換出力を利用して、受信機におけるキャリア周波数のずれの推定及びサンプリングのタイミングのずれの推定を行ない、キャリア周波数の同期捕捉、及び、サンプリングタイミングの同期捕捉を行う。このため、パイロットシンボルにヌルサブキャリアを設ける必要はなく、パイロットシンボルを自由に設定可能であり、伝送効率を向上させることができる。
【0107】
図11は本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。図11において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0108】
図1の実施の形態においては、キャリア周波数誤差推定部21とサンプリングタイミング誤差推定部26とは相互に独立して動作する。これに対し、本実施の形態は、サンプリングタイミング誤差推定部26から得られる情報を用いてキャリア周波数誤差推定を行うものである。
【0109】
本実施の形態は、既知系列生成部22に代えてタイミング情報を用いた既知系列生成部60を設けた点が図1の実施の形態と異なる。既知系列生成部60にはサンプリングタイミング誤差推定部26において推定されたサンプリングタイミング誤差情報が入力される。
【0110】
タイミング情報を用いた既知系列生成部60は、キャリア周波数誤差推定の際の基準となる参照系列を出力する。参照系列は、無歪みの理想的な条件において、パイロット信号を受信し、その受信信号に対して窓関数演算を行なった後にDFTを施して得られる周波数領域信号である。図1に示した既知系列生成部22は、周波数ずれがある場合に理想的に得られた参照系列を生成する。これに対し、本実施の形態におけるタイミング情報を用いた既知系列生成部60は、サンプリングタイミング誤差推定部26において推定されたサンプリングタイミング誤差情報を用いて、周波数ずれ及びサンプリングタイミングずれがある場合に理想的に得られた参照系列を生成する。生成された参照系列は、キャリアキャリア周波数誤差推定部21に供給される。
【0111】
このように構成された実施の形態においては、サンプリングタイミング誤差推定部26において推定されたサンプリングタイミング誤差情報が既知系列生成部60に供給される。既知系列生成部60は、周波数ずれ及びサンプリングタイミングずれがある場合に理想的に得られた参照系列を生成する。キャリアキャリア周波数誤差推定部21は既知系列生成部60からの参照系列を用いてキャリア周波数誤差を推定する。これにより、キャリア周波数誤差推定部21において、サンプリングタイミング誤差による劣化が少ない高信頼なキャリア周波数誤差の推定が可能となる。
【0112】
他の作用は図1の実施の形態と同様である。
【0113】
このように、本実施の形態においては、図1の実施の形態と同様の効果が得られると共に、キャリア周波数誤差の推定精度を一層向上させることができるという効果を有する。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ヌルサブキャリアを設けないパイロットシンボルを用いた場合でも、短時間で且つ確実に周波数同期を確立することを可能にすることができると共に、パイロットシンボルの設定の自由度を大きくして伝送効率を向上させることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディジタル通信装置の一実施の形態を示すブロック図。
【図2】図1の実施の形態におけるフレーム構成を示す説明図。
【図3】図1の実施の形態を説明するためのグラフ。
【図4】図1の実施の形態を説明するためのグラフ。
【図5】図1の実施の形態を説明するためのグラフ。
【図6】図1の実施の形態を説明するためのグラフ。
【図7】図1の実施の形態を説明するためのグラフ。
【図8】図1中のサンプリングタイミング誤差推定部26の具体的な構成を示すブロック図。
【図9】図8の変形例を示すブロック図。
【図10】図9中の重み付き平均化部55の具体的な構成を示す回路図。
【図11】本発明の他の実施の形態を示すブロック図。
【図12】OFDM変調装置を示すブロック図。
【図13】OFDMのシンボルの構成を示す説明図。
【図14】OFDM復調装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
12…局部発振器、13…周波数変換部、19…FFT部、21…キャリア周波数誤差推定部、22…既知系列生成部、23…窓関数演算部、24…窓関数生成部、26…サンプリングタイミング誤差推定部
Claims (4)
- 所定の既知系列のパイロット信号を含むパイロット信号が挿入されたOFDM信号が入力され、再生キャリアによってベースバンド信号を得る周波数変換手段と、
再生タイミングクロックによって前記ベースバンド信号を標本化する標本化手段と、
前記標本化されたベースバンド信号に窓関数を乗じて出力する窓関数演算手段と、
前記窓関数演算手段の出力を周波数領域の出力に変換する復号手段と、
前記所定の既知系列及び前記窓関数に基づく系列をキャリア周波数毎に生成する既知系列生成手段と、
前記復号手段からの出力と前記既知系列生成手段が生成した系列との相関に基づいて前記周波数変換手段が用いる再生キャリアの周波数誤差を推定して前記再生キャリア周波数を制御する周波数誤差推定手段と、
前記復号手段からの出力に基づいて前記標本化手段が用いる再生タイミングクロックのタイミング誤差を推定して前記再生タイミングクロックのタイミングを制御するサンプルタイミング誤差推定部とを具備したことを特徴とするディジタル通信装置。 - 前記既知系列生成手段は、前記サンプルタイミング誤差推定部が推定した前記タイミング誤差の情報を用いて、前記所定の既知系列及び前記窓関数に基づく系列をキャリア周波数毎に生成することを特徴とする請求項1に記載のディジタル通信装置。
- 前記サンプルタイミング誤差推定部は、前記周波数領域に変換する復号手段の出力の一部が入力されることを特徴とする請求項1に記載のディジタル通信装置。
- 前記所定の既知系列は、等電力であり且つヌルサブキリャアを有しておらず、サブキャリア番号に対して同様の既知信号が繰り返し配置されて構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のディジタル通信装置。
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