JP3565033B2 - チルト式ステアリングコラムのチルト固定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装備されるステアリング装置において採用されるチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
チルト式ステアリングコラムのチルト固定装置は、例えば実開昭62−102767号公報に示されていて、ステアリングコラムに一体的に固着されるコラム側ブラケット及び車体の一部に一体的に組付けられるサポートブラケットの何れか一方に前記ステアリングコラムのチルト中心を中心とする円弧状長孔を形成し、他方には前記ステアリングコラムのチルトに伴って前記円弧状長孔を長手方向に相対移動する回転不能なボルトを設け、このボルトに螺合するナットを操作レバーにより回転することにより、前記ナットと一体的に回転する回転側カム部材と前記円弧状長孔に沿って移動する回転不能の固定側カム部材を相対回転させて、前記ナットの回転を前記ボルトの軸方向ストロークに変換し、ロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットをチルト不能に固定し、アンロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットをチルト可能(ボルトが円弧状長孔の長手方向に移動可能)に支持するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報のチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置においては、回転側カム部材及び固定側カム部材を異なる形状にて2個一組で専用品として製作しているため生産性が悪い。また、ボルトとナットの相対回転量を規定するストッパが設けられていないため操作性が悪い。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するため、ステアリングコラムを支持するコラム側ブラケット又は車体側に固定されるサポートブラケットの何れか一方に前記ステアリングコラムの傾動中心を中心とする長孔を形成し、他方には前記ステアリングコラムの傾動に伴って前記長孔の長手方向に沿って相対移動する回転不能なボルトを設け、このボルトに螺合するナットを操作レバーによって回転させることにより、前記ナットと一体的に回転する回転側カム部材と前記長孔に沿って移動する回転不能な固定側カム部材を相対回転させて、前記ナットの回転を前記ボルトの軸方向ストロークに変換し、ロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットを傾動不能に固定し、アンロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットを傾動可能に支持するようにしたチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置において、前記回転側カム部材及び前記固定側カム部材として、組付け後に対向する対向面側に前記ボルトと前記ナットの相対回転を前記ボルトの軸方向ストロークに変換する同一形状のカム突起を有すると共に背面側に前記長孔または前記操作レバーに係合する同一形状の回り止め突起を有して同一形状に形成されたカム部材を採用したことを特徴とするチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置を提供するものである。このチルト固定装置においては、同一形状に形成したカム部材の対向面側に前記ボルトと前記ナットの相対回転量を規定するストッパ突起を一体的に設けるのが望ましい。
【0005】
【発明の作用・効果】
上記のように構成した本発明によるチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置においては、回転側カム部材及び固定側カム部材として、組付け後に対向する対向面側にボルトとナットの相対回転をボルトの軸方向ストロークに変換する同一形状のカム突起を有すると共に背面側に前記長孔または前記操作レバーに係合する同一形状の回り止め突起を有して同一形状に形成されたカム部材を採用したことより、量産部品であるこの種のカム部材の共通化を図って生産性の向上を図ることができ、生産コストを低減することができる。
【0006】
また、本発明の実施に際して、同一形状に形成されたカム部材の対向面側にボルトとナットの相対回転量を規定するストッパ突起を一体的に設けた場合には、サポートブラケットに対してコラム側ブラケットをチルト不能に固定するロック回転位置を的確に規定することができるとともに、サポートブラケットに対してコラム側ブラケットをチルト可能に支持するアンロック回転位置を的確に規定することができて、安価な構成で安定した性能を確保することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示した車両用ステアリング装置においては、ステアリングシャフト11を回転自在に支持するステアリングコラム12が上方支持機構Aと下方支持機構Bによって所定の傾斜角にて車体の一部であるインパネ補強部材20にチルト可能及び前方へ所定量移動可能に支持されている。ステアリングシャフト11は、その下方端にて自在継手(図示省略)を介して伸縮可能かつトルク伝達可能な中間軸(図示省略)に連結されるようになっていて、この中間軸は自在継手(図示省略)を介してステアリングギヤボックス(図示省略)に連結されるようになっている。また、ステアリングシャフト11の上方端にはエアーバッグを装着したステアリングホイール13が一体回転可能に組付けられるようになっている。
【0008】
上方支持機構Aは、ステアリングコラム12の上方部位を上下方向へ移動可能かつ前方へ離脱可能に支持するものであり、図1及び図2に示したように、下方に延びる左右一対のアーム31a,31bを有してインパネ補強部材20に左右一対の取付ボルト39を用いて一体的に固定された鉄板製のサポートブラケット(ブレイクアウェイブラケットということもある)31と、上方に延びる左右一対のアーム32a,32bを有してステアリングコラム12に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット(チルトアタッチメントということもある)32と、このコラム側ブラケット32の両アーム32a,32bをサポートブラケット31の両アーム31a,31bに対して摩擦係合により固定または解除させる係脱手段40と、この係脱手段40を操作する操作レバー50を備えている。
【0009】
インパネ補強部材20は、図1〜図3に示したように、上方部位(図1及び図3の右方部位)に上方支持機構Aの取付部21を有し下方部位(図1及び図3の左方部位)に下方支持機構Bの取付部22を有している。上方支持機構Aの取付部21は、図2に示したように断面略U字状に形成されていて、下端にV字状凸面S1を有している。また、この取付部21には、バネクリップ33の係止孔21aが形成されるとともに、左右一対のボルト挿通孔21b,21c(各取付ボルト39が挿通される)が形成されていて、これら各ボルト挿通孔21b,21cに対応して左右一対のナット23,24(各取付ボルト39が螺着される)が溶接によって一体的に固着されている。
【0010】
サポートブラケット31は、図4〜図8にて詳細に示したように、断面略M字状に形成されて頂部にインパネ補強部材20のV字状凸面S1に密に接合されるV字状凹面S2を有する基板31Aと、この基板31Aの上方部位に溶接によって固着されて基板31Aを補強する補強板31Bによって構成されていて、基板31Aには下方に延びる左右一対のアーム31a,31bが形成されている。また、基板31Aには、バネクリップ33の取付孔31c,31d,31e,31fが設けられるとともに、左右一対のボルト挿通孔31g,31h(各取付ボルト39が挿通される)が設けられている。また、各アーム31a,31bには、前方に向けて開口する切欠31a1,31b1が形成されている。
【0011】
コラム側ブラケット32は、図1、図2及び図9にて示したように、上方に延びてサポートブラケット31の各アーム31a,31bに外側から摺動可能に係合する左右一対のアーム32a,32bを有していて、各アーム32a,32bには下方支持機構Bの支持中心(チルト中心)O1を中心とする円弧状長孔32a1,32b1が形成されている。
【0012】
バネクリップ33は、コラム側ブラケット32にチルト機能部品である係脱手段40等を用いてチルト可能に予め組付けたサポートブラケット31をインパネ補強部材20に仮組する際に使用するものであり、図2及び図10〜図12に示したように、サポートブラケット31の左右一対の取付孔31c,31dに嵌合する左右一対の取付脚33a,33bと、仮組前にはサポートブラケット31の下方側取付孔31eに嵌合し仮組後にはインパネ補強部材20の係止孔21aに弾撥的に係合する係止舌片33cと、サポートブラケット31の上方側取付孔31fに嵌合する係合舌片33dを備えており、各取付脚33a,33bにはサポートブラケット31との係合により抜け止めする係止爪33a1,33b1が設けられていて、サポートブラケット31にワンタッチにて組付けることができるようになっている。
【0013】
係脱手段40は、操作レバー50とによりチルト式ステアリングコラム12のチルト固定装置を構成するものであり、図1、図2及び図13に示したように、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32bに形成した円弧状長孔32a1,32b1及びサポートブラケット31の両アーム31a,31bに形成した切欠31a1,31b1をそれぞれ貫通する回転不能のロックボルト41と、コラム側ブラケット32の両アーム32a,32b間にてロックボルト41の外周に嵌合されて左右両端部にて各切欠31a1,31b1に開口側から嵌合するカラー42と、ロックボルト41のねじ部に螺着されて操作レバー50によって回転されるナット43と、コラム側ブラケット32の左方のアーム32aと操作レバー50間にてロックボルト41上に対向して組付けられた左右一対のカム部材44によって構成されている。
【0014】
この係脱手段40においては、操作レバー50が図1の反時計方向へ回動されることによりナット43がロックボルト41に締め付けられるとともに両カム部材44によって操作レバー50の回転がロックボルト41の軸方向ストロークに変換されて、両ブラケット31,32の各アーム31a,32a間にそれぞれ所定の摩擦係合が得られ、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32が固定(ロック)されるように、また操作レバー50が図1の時計方向へ回動されることによりナット43が緩められるとともに、上記した各摩擦係合が解除され、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32がチルト可能に支持されるようになっている。
【0015】
両カム部材44は、同一形状に形成されていて、操作レバー50の回転をロックボルト41の軸方向ストロークに変換する機能を有しており、図2及び図14〜図16に示したように、一側(組付後に対向する対向面側)に4個のストッパ突起44aが周方向にて等間隔に設けられるとともに4個のカム突起44bがストッパ突起44aに対して所定量周方向に変位した位置で周方向にて等間隔に設けられ、他側(背面側)に回り止め突起44cが設けられている。
【0016】
ストッパ突起44aは、ロックボルト41とナット43の相対回転量を規定してロック回転位置とアンロック回転位置を規定するものであり、ロック位置では対向する両カム突起44bの両山部44b1が図17にて示したように係合し、またアンロック位置では対向する両カム突起44bの各山部44b1と各谷部44b2が係合するようになっている。カム突起44bは、扇状の山部44b1と谷部44b2を有するとともに、山部44b1と谷部44b2を連続的に接続する傾斜部44b3を有している。回り止め突起44cは、コラム側ブラケット32の円弧状長孔32a1または操作レバー50のレバー本体51に設けた非円形孔51aに回転不能に嵌合するものであり、コラム側ブラケット32に組み付けられるカム部材(固定側カム部材)44は円弧状長孔32a1に沿って移動可能であるもののコラム側ブラケット32と一体で回転せず、操作レバー50に組付けられるカム部材(回転側カム部材)44は操作レバー50と一体的に回転する。なお、図14に示した角度でカム作動角(操作レバー50の回転許容量でもある)を示すと(θ1−θ2)となり、またロック時のカムラップ代を示すと2×θ3となる。
【0017】
操作レバー50は、図1、図2及び図13にて示したように、非円形孔51aを有するレバー本体51と、ナット43に係合する多角形(12角形)の係合孔52aとこの係合孔52aを中心とする円弧状長孔52bを有してレバー本体51に取付ボルト53を用いて位置調整可能に組付けられるレンチ52によって構成されていて、取付ボルト53を緩めた状態にてレバー本体51に対してレンチ52を回転させることにより、ロックボルト41に螺合したナット43の螺合量を調整できるようになっている。
【0018】
下方支持機構Bは、ステアリングコラム12の下方部位をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動(回動)可能に支持するものであり、図1、図9、図18及び図19に示したように、下方に延びる左右一対のアーム61aを有してインパネ補強部材20に取付ボルト(図示省略)を用いて一体的に固定された鉄板製の車体側ブラケット61と、山形コ字状に形成されてステアリングコラム12の下方部外周に溶接によって一体的に固着された鉄板製のコラム側ブラケット62と、車体側ブラケット61に対してコラム側ブラケット62をコラム軸方向へ移動可能かつ傾動可能に連結する連結手段70によって構成されている。
【0019】
連結手段70は、図19に示したように、コラム側ブラケット62に形成したコラム軸方向に長い左右一対の長孔62aに嵌合によって組付けられる左右一対の樹脂製ブッシュ71,72と、これら両樹脂製ブッシュ71,72に嵌合されて両端面にて車体側ブラケット61の各アーム61aに係合するカラー73と、このカラー73及び車体側ブラケット61の各アーム61aに形成した取付丸孔61a1(図1参照)を貫通して両樹脂製ブッシュ71,72及びカラー73を車体側ブラケット61に一体的に連結するボルト74と、このボルト74が螺着固定されるナット75(車体側ブラケット61の右方のアームに溶接によって予め固着しておくのが望ましい)によって構成されている。
【0020】
コラム側ブラケット62に形成した各長孔62aは、コラム側ブラケット62にプレスの打ち抜き加工によって形成されていて、その配設方向(ステアリングコラム12の下方部位移動方向)はステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに下方支持機構Bの支持部に発生する力Fbの方向に向けてコラム軸方向に対して下方へ所定量β偏向させてある。また、各長孔62aの下側面、すなわちステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに各樹脂製ブッシュ71,72が離れる側の長孔面には凸部62a1が一体的に設けられている。各凸部62a1は、各長孔62aの一部を幅狭として各樹脂製ブッシュ71,72の位置決めとステアリングコラム12の前方への離脱荷重を設定する機能を有している。
【0021】
各樹脂製ブッシュ71,72は、図19〜図22にて詳細に示したように、C形形状とされていて縮径可能であり、各長孔62aに嵌合して回り止めするガイド71a,72aが一体的に設けられるとともに、各長孔62aへの外側からの嵌合時にストッパとして機能するフランジ71b,72bと嵌合後に抜け止めするフランジ71c,72cが一体的に設けられている。
【0022】
また、本実施形態においては、コラム側ブラケット62内にカラー73に対応して衝撃吸収板80が組付けられている。衝撃吸収板80は、車両の正面衝突時における二次衝突時において生じ得る両ブラケット61,62の設定値以上の相対移動時に塑性変形して衝撃エネルギーを吸収する細幅長板であり、カラー73を囲むようにU字状に湾曲形成されていて、図示下方部位にてステアリングコラム12に一体的に固定されている。
【0023】
上記のように構成した本実施形態においては、上方支持機構Aにおいて操作レバー50を操作して係脱手段40による固定を解除すれば、ステアリングコラム12がコラム側ブラケット32の長孔32a1に沿って所定量移動可能(チルト可能)となるため、また下方支持機構Bにおいてコラム側ブラケット62が車体側ブラケット61に対して常に傾動可能であるため、ステアリングコラム12を移動可能範囲にて移動してステアリングホイール13の位置を適宜にチルト調節することが可能である。
【0024】
ところで、本実施形態においては、コラム側ブラケット32に組み付けられる固定側カム部材44及び操作レバー50に組付けられる回転側カム部材44として、組付後に対向する対向面側にロックボルト41とナット43の相対回転をボルトの軸方向ストロークに変換するカム突起44bを有するとともに、背面側に円弧状長孔32a1または操作レバー51の非円形孔51aに係合する回り止め突起44cを有して、同一形状に形成されたカム部材44を採用したため、部品の共通化を図って生産性の向上を図ることができ、コスト低減を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態においては、同一形状に形成されたカム部材44の対向面側にロックボルト41とナット43の相対回転量を規定するストッパ突起44aを一体的に設けたため、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32をチルト不能に固定するロック回転位置を的確に規定することができるとともに、サポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32をチルト可能に支持するアンロック回転位置を的確に規定することができて、安価な構成で安定した性能を確保することができる。
【0026】
また、本実施形態においては、インパネ補強部材20に左右一対の取付ボルト39を用いて一体的に組付けられるサポートブラケット31の基板31Aが断面略M字状に形成されていて、その頂部に設けたV字状凹面S2にてインパネ補強部材20に形成したV字状凸面S1に接合されるようになっているため、サポートブラケット31自体の剛性を十分に高めることができ、サポートブラケット31の小型軽量化を図りながら、所期のステアリング振動特性を得ることができる。なお、サポートブラケット31自体の剛性は、補強板31Bによっても高められている。
【0027】
また、本実施形態においては、サポートブラケット31に対するコラム側ブラケット32の組付部位よりコラム軸方向に所定量下方へ変位した部位にて、インパネ補強部材20に対してサポートブラケット31がV字状凸面S1とV字状凹面S2の接合部を下方から貫通する左右一対の取付ボルト39にて一体的に組付けられるようになっていて、図2に示したように各取付ボルト39の軸線上にステアリングコラム12が配置されない構成とすることができるため、各取付ボルト39の脱着作業に際してステアリングコラム12が全く邪魔にならず、各取付ボルト39の脱着作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態においては、車両の正面衝突時における二次衝突時においてステアリングホイール13に車両前方への荷重F1が作用し、上方のサポートブラケット31に対してコラム側ブラケット32が前方へ離脱するとともに、下方の車体側ブラケット61に対してコラム側ブラケット62が前方へ移動すると、衝撃吸収板80がカラー73によって塑性変形されて衝撃エネルギーが吸収される。また、このときには、ステアリングホイール13に装着したエアーバッグが展開してステアリングホイール13への衝突を緩衝する。
【0029】
ところで、本実施形態においては、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときに各樹脂製ブッシュ71,72が離れる側の各長孔面に、各長孔62aの一部を幅狭として各樹脂製ブッシュ71,72の位置決めとステアリングコラム12の前方への離脱荷重を設定する凸部62a1を設けたため、ステアリングコラム12にコラム軸に沿った前方への荷重F2が入力してステアリングコラム12がコラム軸方向に移動するとき(軸方向入力時)の各凸部62a1による各樹脂製ブッシュ71,72の削り代L1に比して、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力してステアリングコラム12が前方へ移動するとき(水平方向入力時)の各凸部62a1による各樹脂製ブッシュ71,72の削り代L2を少なくすることができて、軸方向入力時の軸方向離脱荷重に比して、水平方向入力時のコラム離脱荷重を小さくすることができる。
【0030】
したがって、ステアリングホイール13に装着されるエアーバッグの展開時に必要な軸方向離脱荷重(エアーバッグの機能に関連する荷重)を確保した上で、ステアリングコラム12の上端部に前方への略水平方向の荷重F1が入力したときのコラム離脱荷重(車両正面衝突時における二次衝突時の緩衝作用に関連する荷重)を十分に下げることができて、当該ステアリング装置において必要な所期の性能を的確に確保することができる。
【0031】
また、本実施形態においては、下方支持機構Bの各樹脂製ブッシュ71,72をC形形状として縮径可能とし、同樹脂製ブッシュ71,72に各長孔62aに嵌合して回り止めするガイド71a,72aを設けるとともに各長孔62aへの嵌合後に抜け止めするフランジ71c,72cを設けたため、各樹脂製ブッシュ71,72の各長孔62aへの嵌合組付に際して、各樹脂製ブッシュ71,72を縮径して各長孔62aに容易に組付けることができるとともに、その後の各樹脂製ブッシュ71,72へのカラー73の貫通組付に際して各樹脂製ブッシュ71,72に設けたフランジ71c,72cによる抜け止め機能によりカラー73を各樹脂製ブッシュ71,72に容易に組付けることができる。
【0032】
また、各樹脂製ブッシュ71,72、カラー73及びボルト(連結軸)74等の組付後においては、各樹脂製ブッシュ71,72に設けたガイド71a,72aによる回転止め機能により、下方支持機構Bでの回転許容部位を各樹脂製ブッシュ71,72の内周面とカラー73の外周面(長孔加工面より容易に加工精度を上げることができる部位)間のみとすることができて、各樹脂製ブッシュ71,72の耐久性を容易に向上させることができ、所期の性能を長期間安定して得ることができるとともに、各樹脂製ブッシュ71,72における合口位置(C形によって形成される周方向隙間の位置)を常に設定位置とすることができて、各樹脂製ブッシュ71,72が各長孔62aに設けた凸部62a1にて削られる場合のコラム離脱荷重を安定して得ることができる。
【0033】
上記実施形態においては、ステアリングコラム12に一体的に固着されるコラム側ブラケット32にステアリングコラム12のチルト中心O1を中心とする円弧状長孔32a1,32b1を形成し、また車体の一部に一体的に組付けられるサポートブラケット31にステアリングコラム12のチルトに伴って円弧状長孔32a1,32b1を長手方向に相対移動する回転不能なロックボルト41を設けたものに本発明を実施したが、サポートブラケット31に円弧状長孔を形成するとともに、コラム側ブラケット32にロックボルトを設けて本発明を実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用ステアリング装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図1及び図2に示したインパネ補強部材の平面図である。
【図4】図1及び図2に示したサポートブラケットの側面図である。
【図5】図1及び図2に示したサポートブラケットの前面図である。
【図6】図1及び図2に示したサポートブラケットの平面図である。
【図7】図1及び図2に示したサポートブラケットの後面図である。
【図8】図1及び図2に示したサポートブラケットの中央縦断側面図である。
【図9】図1に示したステアリングコラムの側面図である。
【図10】図2に示したバネクリップの側面図である。
【図11】図2に示したバネクリップの平面図である。
【図12】図2に示したバネクリップの後面図である。
【図13】図1及び図2に示した係脱手段と操作レバーの分解斜視図である。
【図14】図2に示したカム部材の一側面図である。
【図15】図2に示したカム部材の他側面図である。
【図16】図2に示したカム部材の縦断側面図である。
【図17】図2及び図13に示したカム部材におけるカム突起部分の展開断面図である。
【図18】図1に示した下方のコラム側ブラケットとこれに組付けられる樹脂製ブッシュとこれを貫通するカラーの関係を示す一部破断側面図である。
【図19】図18に示した下方のコラム側ブラケット、樹脂製ブッシュ及びカラーと樹脂製ブッシュ及びカラーを車体側ブラケットに固定するためのボルト及びナットの分解斜視図である。
【図20】図1、図18及び図19に示した樹脂製ブッシュ単体の正面図である。
【図21】図20に示した樹脂製ブッシュ単体の平面図である。
【図22】図20の22−22線に沿った断面図である。
【符号の説明】
11…ステアリングシャフト、12…ステアリングコラム、13…ステアリングホイール、20…インパネ補強部材(車体の一部)、A…上方支持機構、31…サポートブラケット、31a1…切欠、32…コラム側ブラケット、32a1…円弧状長孔、39…取付ボルト、40…係脱手段、41…ロックボルト、43…ナット、44…カム部材、44a…ストッパ突起、44b…カム突起、44c…回り止め突起、50…操作レバー、51a…非円形孔、B…下方支持機構。
Claims (2)
- ステアリングコラムを支持するコラム側ブラケット又は車体側に固定されるサポートブラケットの何れか一方に前記ステアリングコラムの傾動中心を中心とする長孔を形成し、他方には前記ステアリングコラムの傾動に伴って前記長孔の長手方向に沿って相対移動する回転不能なボルトを設け、このボルトに螺合するナットを操作レバーによって回転させることにより、前記ナットと一体的に回転する回転側カム部材と前記長孔に沿って移動する回転不能な固定側カム部材を相対回転させて、前記ナットの回転を前記ボルトの軸方向ストロークに変換し、ロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットを傾動不能に固定し、アンロック回転位置では前記サポートブラケットに対して前記コラム側ブラケットを傾動可能に支持するようにしたチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置において、前記回転側カム部材及び前記固定側カム部材として、組付け後に対向する対向面側に前記ボルトと前記ナットの相対回転を前記ボルトの軸方向ストロークに変換する同一形状のカム突起を有すると共に、背面側に前記長孔または前記操作レバーに係合する同一形状の回り止め突起を有して、同一形状に形成されたカム部材を採用したこと特徴とするチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置。
- 同一形状に形成した前記カム部材の対向面側に前記ボルトと前記ナットの相対回転量を規定するストッパ突起を一体的に設けたことを特徴とする請求項1に記載のチルト式ステアリングコラムのチルト固定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22714098A JP3565033B2 (ja) | 1998-08-11 | 1998-08-11 | チルト式ステアリングコラムのチルト固定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP22714098A JP3565033B2 (ja) | 1998-08-11 | 1998-08-11 | チルト式ステアリングコラムのチルト固定装置 |
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