JP3563199B2 - 記録体およびその製造方法 - Google Patents

記録体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録体およびその製造方法に関し、より詳しくはインクジェット用の記録体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子スチルカメラあるいはコンピューターの普及とともに、それらの画像を紙面等に記録するためのハードコピー技術が急速に発達した。これらハードコピーの究極の目標は銀塩写真であり、特に、色再現性、画像密度、光沢、耐候性等を如何に銀塩写真に近づけるかが、開発の課題となっている。ハードコピーの記録方法には、銀塩写真によって画像を表示したディスプレーを直接撮影する方式のほか、昇華型熱転写方式、インクジェット方式、静電転写型方式等多種多様の方式が知られている。
【0003】
インクジェット方式によるプリンターは、フルカラー化が容易なことや印字騒音が低いこと等から近年急速に普及しつつある。インクジェット方式はノズルから被記録材に向けてインク液滴を高速で射出するものであり、インク中に多量の溶媒を含む。このため、インクジェット用の記録用媒体は、速やかにインクを吸収し、しかも優れた発色性を有することが要求される。
【0004】
しかし、従来のインクジェット用の記録用媒体では、そのプリント物は、耐水性が悪いため、インク受容層がインクを吸収した後に水をかけるとインクがとれやすく、また速やかにインクを吸収しないため連続プリントでは裏写りがあり、さらに表面の光沢度が劣り銀塩写真のような高品質、高品位のものではないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点を解決しようとするもので、その目的は、耐水性に優れ、表面の光沢度が高く、かつカラープリンターでの記録ができ、銀塩写真のような光沢度が高く高品質、高品位の記録ができる記録体およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
(1) 基材層と、この基材層上に設けられたインク受容層とを含み、インク受容層の浸水濃度保持率が30%以上、かつインク受容層の表面グロスが55%以上であることを特徴とする記録体に関する。
好適な実施態様は以下の通りである。
(2) インク受容層の0.1〜1.0μl/cmのインク量におけるインク吸収時間が50秒以下である (1)の記録体。
(3) インク受容層が、インク吸収性樹脂、硬化剤および界面活性剤を含有する(1)の記録体。
(4) インク受容層が、さらにカチオン基を有する化合物を含有する (3)の記録体。
(5) インク吸収性樹脂が、ポリビニルアルコールである (3)の記録体。
(6) 硬化剤が、水溶性メラミン樹脂である (3)の記録体。
(7) インク吸収性樹脂の含有量が、インク受容層を構成する全成分に対して10〜99重量%である (3)の記録体。
(8) 硬化剤の含有量が、インク吸収性樹脂に対して0.1〜20重量%である(3)の記録体。
(9) 界面活性剤の含有量が、インク受容層を構成する全成分に対して0.5〜20重量%である (3)の記録体。
(10) 基材層が、ポリエステルフィルムである (1)の記録体。
また本発明は、インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤および溶媒を含有する組成物を基材層上に塗布すること、この塗布層を該溶媒の沸点以上でかつ沸点+30℃以下の温度に加熱すること、さらに当該温度より高い温度で加熱してインク受容層を形成することを包含する記録体の製造方法に関する。
好適には、インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤および水を含有する組成物を基材層上に塗布すること、この塗布層を100〜130℃の温度に加熱すること、さらに130〜180℃で加熱してインク受容層を形成する記録体の製造方法である。
【0007】
本発明の記録体は、基材層と、この基材上に設けられたインク受容層とを含む。基材層としては、特に限定されないが、例えば天然紙、合成紙、布、不織布、木材、金属、プラスチックフィルム、ガラス、人工皮革、天然皮革およびこれらの任意の2種類以上のものを貼り合わせたものが挙げられる。基材層は、単層であっても、2層以上の複合体であってもよい。
【0008】
基材層がプラスチックフィルムである場合には、その材料は特に限定されるものではなく、例えばポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられるが、これらの中でも特に好ましいのは、以下に述べるポリエステル系樹脂である。
【0009】
好ましいポリエステル系樹脂とは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる方法等によっても製造することができる。
【0010】
上記ポリエステルとして具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。当該ポリエステルはホモポリマーであってもよく、また酸成分および/またはグリコール成分を2種以上用いて共重合させたものであってもよい。
本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が、ポリエステル全体の70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
【0011】
また、基材フィルム中には、無機粒子または有機粒子を必要に応じて添加してもよい。添加可能な粒子としては、例えばシリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等が挙げられるが、特に限定されるものではない。このような粒子を含有することにより、得られる記録体の滑り性が良好となって取り扱い易くなり、プリンターでの搬送性が良好となる。また粒子を添加する代わりに、粒子を含有しないフィルムの少なくとも片面に、取り扱い性を良好とするための極薄い層を設けてもよい。
【0012】
上記の基材フィルムは透明であり、従ってこのような基材フィルムを用いた記録体は、OHP、電飾広告等の透かして見る用途に好適に使用される。
本発明の記録体が、不透明性を要求される場合には、内部に微細な空洞を多数有する基材フィルムを用いることが好ましい。その方法は特に限定されるものではないが、特に好ましいのは後述するような方法であり、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂及び/または粒子を多数添加し、少なくとも1軸に配向することにより、内部に微細な空洞を多数形成する方法である。このような不透明な記録体は、裏が透けることがなく、プリント物の外観も良好となる。
【0013】
ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂は、ポリエステルに非相溶であれば特に制限されないが、具体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられる。特にポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、ポリプロピレン、環状オレフィン等のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0014】
ポリエステルに添加される非相溶性樹脂の量は、目的とする空洞量によって異なってくるが、基材フィルム中3〜39重量%が好ましく、特に5〜15重量%が好ましい。3重量%未満では、空洞の生成量を多くするのに限界があり、空洞形成によって与えられる柔軟性や軽量性あるいは描画性が得にくくなる傾向がある。逆に、39重量%を超えると、フィルムの延伸性が損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損なわれる傾向にある。尚、上記非相溶性樹脂は単独で使用し得るほか、2種類以上を併用してもかまわない。また使用される粒子は、前述の無機および/または有機粒子が挙げられる。このような粒子の量は、上記非相溶性樹脂と同様の理由により、基材フィルム中、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%であり、また粒子の平均粒子径は好ましくは0.1〜10μmである。
【0015】
このような基材フィルムは、見かけ比重が好ましくは0.7以上1.32未満、より好ましくは1.0以上1.25未満、さらにより好ましくは1.05以上1.25未満の範囲である。見かけ比重が0.7未満では空洞含有率が大きすぎ、フィルムの強度が著しく損なわれたり、縦、横のバランスにかかわらずフィルムの表面のわれやしわが生じやすくなり好ましくない。逆に、見かけ比重が1.32以上では、空洞含有率が小さくなりすぎ、クッション性が劣り、得られる記録体の鉛筆での描画性が劣り好ましくない。
【0016】
また、このようなフィルムは、面内複屈折率が好ましくは−0.02〜+0.04であり、より好ましくは0〜+0.03である。面内複屈折率を−0.02以上、好ましくは0以上とすることによって、初めて、実質的な等方性を有する基材フィルムが得られる。ここで、面内複屈折率が+(−)であるとは、縦延伸の履歴を横延伸の履歴よりも大きく(小さく)残しているという意味であって、横延伸時のいわゆるボーイング現象によって生じる若干の屈折率主軸の歪みを伴っていても構わない。そして、面内複屈折率を−0.02以上、好ましくは0以上とすることによって、フィルムを横方向に裂けにくくすることができる。一方、面内複屈折率が+0.04を超えると、逆にフィルムの縦裂けが生じやすくなり、フィルムのスリット時に破断が生じたり、シートへの裁断時にフィルムの縦方向へのワレが生じやすくなり好ましくない。また、面内複屈折率が−0.02未満あるいは+0.04を超えると得られる記録体のプリンターでのしわやカールの原因となり好ましくない。
【0017】
このような基材フィルムの製造方法は、特に制限されるものではないが、最も好ましい製造方法は、未延伸フィルムを縦方向に1段または多段で3.0倍以上延伸した後、縦方向に3%以上の緩和処理を施し、次いで緩和処理後の縦延伸倍率以上の倍率で横延伸・熱処理を行う方法である。
【0018】
まず、最初の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。ただし、非相溶樹脂界面に空洞を多数発現させるためには、延伸温度をポリエステルの2次転移温度Tg+10℃〜Tg+50℃以下で、3.0倍以上、好ましくは3.2〜5.0倍の範囲で延伸する。延伸倍率が3.0未満では、基材フィルム内部に微細空洞を十分に発現させ、見かけ比重を1.32未満とすることが困難となり好ましくない。また、縦倍率が5.0倍を越えると、その後の緩和処理を十分に行うことが困難になり、基材フィルムの面内複屈折率を+0.04以下とすることが実質的に困難となり好ましくない。
【0019】
次いで、縦方向に3%以上、好ましくは5%以上の緩和処理を施す。より好ましい緩和率は、緩和に先立って行われた縦延伸倍率によって異なるが、緩和後の縦延伸倍率が2.8〜3.5倍となるように決定することが好ましい。そして、3%以上の緩和処理を施すことによって初めて、面内複屈折率が−0.02〜+0.04の基材フィルムを工業的に安定して製造することが可能となる。逆に、3%以上の緩和処理を施さない場合には、次工程での横延伸性が著しく不良となり、面内複屈折率が−0.02〜+0.04のフィルムを作成することはできない。しかも、見かけ比重が1.32以上のフィルム(微細空洞含有量が乏しいフィルム)を製造する場合には、緩和処理を行わずとも、等方性を有するフィルムの製造は可能である。ただし、この場合には、好ましい見かけ比重を有する基材フィルムを製造することはできない。
【0020】
また、縦緩和後の好ましい延伸倍率は2.8〜3.5倍である。緩和後の縦延伸倍率が2.8倍未満の場合には、緩和が均一に行われず不均一な基材フィルムとなったり、2軸延伸後の面内複屈折率が−0.02未満となる場合が生じることがあるため、好ましくない。逆に緩和後の縦延伸倍率が3.5を越える場合には、横延伸時の延伸性が不良となったり、2軸延伸後の面内複屈折率が+0.04を越える場合があるため、好ましくない。
【0021】
緩和処理を行う方法としては、一旦フィルムを冷却した後オーブン中で80℃〜150℃に再加熱して実施する方法や、縦延伸直後に冷却することなくロール間で緩和処理を施す方法、あるいは60℃〜100℃に加熱した駆動ロール群あるいはフリーロール群の間で緩和処理を施す方法。あるいはこれらを適当に組み合わせた方法等を採用することができる。ただし、縦延伸直後に冷却することなく緩和処理を施す方法を主体として緩和処理を行う方法が好ましく、均一な緩和処理を効率よく行うことができる。
【0022】
次いで、縦緩和処理後のフィルムをテンターに導入し、緩和処理後の縦延伸倍率以上の倍率で横延伸・熱処理を行う。好ましい横延伸温度は、縦延伸・緩和処理の最高温度以上、ポリエステルの融点Tm−10℃以下である。横延伸倍率が緩和処理後の縦延伸倍率より小さいと、面内複屈折率を+0.04以下とすることが困難である。横延伸倍率の上限は特に限定されないが、緩和処理後の縦延伸倍率を1.0倍以下の倍率で行うことが、延伸性を確保し、面内複屈折率を−0.02以上とするためには好ましい。
【0023】
このようにして得られた2軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター内で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。また、熱処理と並行して、再横延伸や横方向の緩和を実施してもかまわない。
【0024】
インク受容層は、インク吸収性樹脂、硬化剤および界面活性剤を含有する層であることが好ましい。インク吸収性樹脂としては、インク吸収性を有する樹脂ならば、公知のものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル重合体、エチレン−酢酸ビニル重合体、デンプン、ポリビニルブチラール、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー(例えば、ポリエステル、ポリオレフィン等のアイオノマー)、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等の樹脂のうち、1種以上が所望により使用できる。中でもポリビニルアルコールが好ましく、重合度1400〜2500、ケン化度85〜90のものが最も好ましい。インク吸収性樹脂の含有量は、インク受容層を構成する全成分に対して、好ましくは10〜99重量%、より好ましくは50〜99重量%である。含有量が10重量%未満の場合、インク受容層の0.1〜1.0μl/cmのインク量におけるインク吸収時間が50秒を超える場合があり、インクを速やかに吸収せず、連続プリント物の裏写りが生じる場合があり好ましくない。一方、含有量が99重量%を超える場合、インク受容層の硬化剤の含有率が低くなって浸水濃度保持率が30%未満となる場合があり、耐水性が不充分となり好ましくない。
【0025】
硬化剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、イソシアネート化合物、無水マレイン酸−イソブチレン共重合体等の架橋性官能基を有し、上述のインク吸収性樹脂を架橋し得る化合物が挙げられ、中でも水溶性メラミン樹脂が好ましい。このような硬化剤を含有することによりインク受容層の硬化度が上がり、耐水性が良好になる。硬化剤の含有量は、インク吸収性樹脂に対して好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。含有量が0.1重量%未満の場合、インク受容層の浸水濃度保持率が30%未満となる場合があり、耐水性が不充分となって、インク受容層がインクを吸収した後に水をかけるとインクがとれるので好ましくない。一方、含有量が20重量%を超える場合、インク受容層のインク吸収性樹脂の含有率が低くなって0.1〜1.0μl/cmのインク量におけるインク吸収時間が50秒を超える場合があり、インク吸収性が不充分となり好ましくない。また必要に応じて、反応促進のために触媒を含有してもよい。
【0026】
界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系および非イオン性等いずれのものでも構わないが、シリコン系またはフッ素系界面活性剤が好ましい。シリコン系界面活性剤としては、例えばジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ヒドロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサン等が挙げられる。フッ素系界面活性剤としては、例えば4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物等が挙げられる。これらの界面活性剤の含有量は、インク受容層を構成する全成分に対して、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。含有量が20重量%を超える場合や0.5重量%未満の場合、インク受容層のインク吸収性および耐水性両立が困難となり好ましくない。
【0027】
上記量の界面活性剤を含有することにより、インク受容層の優れたインク吸収性および耐水性を維持したままで、表面グロスの高いものとすることが可能となる。
【0028】
インク受容層は、カチオン基を有する化合物をさらに含有することが好ましく、中でもカチオン基を有するポリビニルアルコール、カチオン基を有する染着剤を含有することがより好ましい。これによりインク吸収性をさらに良好とすることができる。また上記カチオン性基を有する化合物に代えて、前述のインク吸収性樹脂をカチオン変性したものを用いてもよく、例えばカチオン基を有するポリビニルアルコールや下記の化合物が好適に用いられる。
【0029】
【化1】
Figure 0003563199
【0030】
このような化合物の含有量は、上記インク吸収性樹脂と併用する場合、インク受容層を構成する全成分に対して、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%である。
【0031】
インク受容層に、必要に応じて、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、有機白色顔料、ベンゾグアナミン粒子、架橋ポリスチレン、架橋アクリル粒子、水酸化アルミニウム等の粒子を表面光沢で損なわれない程度に添加してもよく、本発明の記録体が透明性が要求される場合や不透明性が要求される場合に応じてその添加量を適宜選択する。この粒子の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上である。このような粒子を添加することにより、記録体の滑り性が良好となってプリンターでの搬送性が良好となる。また鉛筆での描画性が良好となる。
【0032】
インク受容層は、一層からなるものでもまた2層以上の構成をとっても構わない。
【0033】
インク受容層は例えば以下のように製造される。まず、インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤および溶剤を含有するインク受容層塗布液を調製する。ここで溶剤としては、水や、アルコール、グリコール、アセトン等の水と混和する極性溶剤が挙げられる。次いでこの塗布液を基材層上に塗布する。この塗布方法は、特に限定されないが、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式等通常用いられる方法が適用できる。この時の塗布量は、乾燥後にインク受容層が8〜50g/mとなるような量であることが好ましい。塗布量が8g/m未満の場合、インク受容層が薄くインクを完全に吸収することができず好ましくない。一方、塗布量が50g/m未満を超える場合、インクが深く吸収されて印字濃度が低下するため好ましくない。
【0034】
次いで、この塗布層を加熱することにより乾燥および硬化させる。この加熱工程においては、硬化を十分に行うとインク受容層のインク吸収性が不良となり、逆にインク受容層のインク吸収性が十分となる程度に硬化を止めるとインク受容層の耐水性が不良になる。従って、インク受容層のインク吸収性および耐水性を両立させるような加熱条件を採用することが必要である。
【0035】
本発明では、好ましくは2段階に分けて溶媒の沸点以上で順次上昇せしめる温度で加熱される。第1段階は乾燥開始直後に好ましくは溶媒の沸点を基準として+30℃以下で加熱されて主に溶媒が除去される。またこの時の時間は1〜10分の範囲が好ましい。第2段階は、好ましくは当該温度より高い温度で行われて溶媒の除去が完全に行われ、所望の程度までインク受容層が熱硬化され、同時に界面活性剤を表面に移動して局在化する。またこの時の時間は0.5〜10分の範囲が好ましい。このような加熱方法は、水溶性メラミン樹脂を硬化剤として含有した記録体の製造では特に有効である。このような加熱条件を採用することにより、インク吸収性と耐水性が両立し、かつ表面光沢に優れたインク受容層を形成することができる。
【0036】
基材層と受容層の間に中間層を設けることにより、基材層と受容層の接着性を向上させることもできる。中間層を構成する化合物としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂などの通常のポリエステルフィルムの接着性を向上させる手段として開示されている化合物等が適用可能である。これらの樹脂は単独でも混合しても使用できる。
【0037】
中間層のポリエステル系樹脂は二塩基酸とグリコールからなり、水に可溶、乳化または分散できるポリエステル樹脂である。例えば二塩基酸は全ジカルボン酸の50〜0.5モル%がスルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸であり、これら2層のジカルボン酸成分とグリコール成分が共重合されたポリエステル共重合体である。上記スルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩が挙げられ、特に好ましいのは5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸である。これらのスルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分に対して50〜0.5モル%、好ましくは20〜1モル%である。50モル%を超えると水に対する分散性は良くなるとしても共重合体の耐水性が低下し、好ましくない。ポリエステル共重合体の水に対する分散性は、共重合組成、水溶性有機化合物の種類及び量などによって異なるが、上記スルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸成分の量は水に対する分散性を損なわない限り、少ない方がよい。
【0038】
スルホン酸金属塩基を有しない通常のジカルボン酸としては、芳香族、脂肪族、脂環族のそれぞれのジカルボン酸が用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は全ジカルボン酸成分の40モル%以上であることが好ましい。40モル%未満であるとポリエステル共重合体の機械的強度や耐水性が低下し、好ましくない。脂肪族、脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。これらの脂肪族、脂環族ジカルボン酸成分を加えると接着性が高められる場合もあるが、一般にはポリエステル共重合体の機械的強度や耐水性は悪くなる。
【0039】
上記ジカルボン酸混合物に反応させるグリコール成分としては、炭素数2〜8個の脂肪族グリコール、及び6〜12個の脂環族グリコール、及び両者の混合物であり、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコールなどが挙げられる。炭素数4個以上の脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられ、またポリエーテルとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0040】
上記のポリエチレン共重合体は、通常の溶融重縮合によって得られる。すなわち前述のジカルボン酸成分及びグリコール成分を直接反応させ、水を留去してエステル化したのち重縮合を行う直接エステル化法、あるいはジカルボン酸成分のジメチルエステルとグリコール成分を反応させ、メチルアルコールを留去してエステル交換を行ったのち重縮合を行うエステル交換法によって得られる。このほかに溶液重縮合や界面重縮合などによっても重合体が得られる。但し本発明は上記いずれかの方法に限定されるものではない。溶融重縮合の際には、必要に応じて酸化防止剤、滑り剤、無機微粒子、帯電防止剤を加えることができる。前述したポリエチレングリコールなどのポリエーテルは、溶融重縮合の際あるいは重合後に溶融ブレンドして添加することができる。
【0041】
中間層のポリウレタン樹脂としては、(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート、あるいは必要に応じて(3)分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンが使用できる。
【0042】
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子内に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を有するものであり、特に好ましいものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、あるいはスチレンオキサイド、エピクロルヒドリンなどを重合した化合物、あるいはそれらのランダム共重合、ブロック共重合あるいは多価アルコールへの付加重合によって得られた化合物などがある。ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分枝状の化合物が挙げられ、コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸などの多価の飽和及び不飽和カルボン酸無水物などと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパンなどの多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより生成することができる。さらにポリエステルポリオールとしては、ラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類が挙げられ、ポリエーテルエステルポリオールとしては予め製造されたポリエステル類に、エチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどを付加したポリエーテルエステル類が挙げられる。
【0043】
上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、あるいはそれら化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパンなどと予め付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0044】
上記(3)の少なくとも2個の活性水素原子を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールなどのグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどの多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びピペラジンなどのジアミン類、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンなどのアミノアルコール類、チオジエチレングリコールなどのチオジグリコール類あるいは水などが挙げられる。
【0045】
また中間層のポリアクリル系樹脂はアクリル酸もしくはその誘導体及び必要に応じてビニル基を有するアクリル酸(誘導体)以外の単量体を重合させて得られる。使用される単量体として、アクリル酸、メタクリル酸(以下、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸とする)(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシルエステル)、メチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、スチレン、グリシジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどを用いて調製される。
【0046】
また必要に応じて、平均粒径0.1μm以上の粒子、好ましくは0.3μm以上の粒子を中間層に配合しても構わない。添加可能な粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、有機白色顔料(架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子)等が例示されるが、これらに限定されるものではない。粒子の平均粒径が0.1μm未満では鉛筆での描画性が不足し、好ましくない。
【0047】
また中間層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0048】
本発明において、基材層上のインク受容層との反対面に易滑層を設けることもできる。この易滑層は前述した中間層を設ける技術がそのまま適用できる。またこの易滑層は内部に帯電防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などを含有しても構わない。これらは通常使用されているものが用いられる。この場合、この易滑層の中心線2次元表面粗さはインク受容層のそれよりも大きい方が好ましい。そのため前述したような粒子を含有することが好ましい。前記粗さが小さいとインク受容層と易滑層の滑りが劣り、プリンター内部での用紙の搬送性が劣り、好ましくない。
【0049】
かくして得られた記録媒体は、インクを速やかに吸収し、インク受容層にインクが吸収した後に水をかけてもインクがとれにくく、カラーインクジェットプリンターでの記録ができ、銀塩写真のような光沢度の高い、高品質、高品位の記録ができるものとなる。
【0050】
本発明の記録体のインク受容層の浸水濃度保持率は、30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。浸水濃度保持率が30%未満の場合、インク受容層の耐水性が悪く、プリント物に水がかかったときにインクが流れ出すか、またはインク受容層が基材から剥離し、もとのプリント物が見えなくなる。浸水濃度保持率を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、上述したように、インク受容層に特定量の硬化剤を含有させる方法、インク受容層形成工程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用される。ここで浸水保持率とは、記録体にプリントした後、そのプリント面を水に浸し、浸水前後のインク濃度を求めたものである。
【0051】
また本発明の記録体のインク受容層の表面グロスは、55%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。表面グロスが55%未満の場合、プリント物が銀塩写真に類似した光沢度の高く、高品質、高画質のものとならない。表面グロスを上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、上述したように、インク受容層に特定量の界面活性剤を含有させる方法、インク受容層形成工程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用される。
【0052】
本発明の記録体のインク受容層のインク吸収性は、記録媒体にインクジェットプリンターにてプリントしたときの乾燥時間、すなわち、0.1〜1.0μl/cmのインク量のインク吸収時間が、好ましくは50秒以下、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは15秒以下、特に好ましくは5秒以下である。このインク吸収時間が50秒を超える場合、インク吸収性が悪く複数枚プリントした時に裏写りする場合がある。インク吸収時間を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、上述したように、インク受容層に特定量のインク吸収性樹脂を含有させる方法、インク受容層形成工程で特定の加熱条件を採用する方法等が好適に採用される。
【0053】
本発明の記録体は、OHP等の透明性が要求される用途に使用される場合には、その光線透過率が、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。光線透過率が60%未満の場合、プリント物を透かして見た時に見づらいのでOHP等の用途には適さない。光線透過率を上記範囲とする方法としては、ベースフィルムの取り扱いのために添加する粒子量を少なくする方法等が挙げられる。また本発明の記録体が、不透明性が要求される場合には、その光線透過率が、好ましくは60%を超えない、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。光線透過率が60%以上の場合、裏が透けてみえるため、プリント物の外観が不良となり好ましくない。光線透過率を上記範囲とする方法としては、上述のように、基材層を微細な空洞を含有するフィルムとする方法等があり、その際に非相溶樹脂や粒子の添加量を適宜選択し、製造工程での特定の延伸・緩和条件を採用する。
【0054】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、本発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。
【0055】
1)インク吸収時間
インクジェット用プリンター(セイコーエプソン製 MJ−700V2C)にて幅3mm、長さ15cmの線をシアンおよびブラックにて記録体にプリントする。プリント終了後からその線を指でこすり、線がこすれなくなった時間を求めた。なおこのときのインク量は約0.4μl/cmとした。
【0056】
2)裏写り
1)と同様のプリントをシアン、マゼンタ、イエローおよびブラック(B)インクにて記録体に行ない、プリント終了後に紙(リコー(株)製 PPC用紙 TYPE6000)を上にのせ、その紙にインクが写らなければ○、写れば×とした。
【0057】
3)浸水濃度保持率
1)のプリンターで記録体にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(B)インクを5×5cmプリントし、そのプリント面を3分間流水につける。その流水につける前後の各色の濃度をマクベス濃度計(TR−927)で反射濃度を測定し、
浸水濃度保持率=(浸水後の濃度/浸水前の濃度)×100(%)
で求めた。
【0058】
4)表面グロス
日本電色工業(株) VGS−1001DPを用いて、記録体について、入射光、反射光60度での反射率を求めた。
【0059】
5)光線透過率
JIS−K6714に準じ、ポイック積分球式H.T.Rメーター(日本精密光学製)を用い、記録体の光線透過率を測定した。この値が小さいほど隠ぺい性が高い。
【0060】
6)見かけ比重
基材フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確に切り出し、その厚みを50点測定して平均厚みをtμmとし、その重さを0.1mg単位まで測定してwgとし、下記式によって計算した。
見かけ比重(−)= w×10000/(5×5×t)
【0061】
7)ESCAによるフッ素原子表面被覆率
島津(株)製ESCA(850)により、光源にMg−Kα線(1254eV)を用い、出力9kV×30mAで、インク受容層のフッ素、炭素、酸素、窒素、水素に由来するピークの面積を求め、この面積に各元素の検出感度による係数をかけ、原子数に換算してその比率を求めた。これにより、界面活性剤として使用したフッ素化合物のインク受容層表面の局在化の程度がわかる。
【0062】
実施例1
インク受容層塗布液を構成する全成分に対して、ポリビニルアルコール(カチオン性、クラレ(株)製 CM−318)9.2重量%、水溶性メラミン樹脂(住友化学工業(株)製 スミマール)0.6重量%、界面活性剤(パーフルオロ化合物、住友3M社製 フロラッド FC−430)0.2重量%、および水90重量%を混合してインク受容層塗布液を調製した。一方、基材フィルム(東洋紡績(株)製 クリスパーG2312 125μm)の光沢の高い面に、予めポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製 バイロンMD−16)を0.2g/m塗布し、中間層を形成した。この基材フィルムの中間層上に、乾燥後の塗布量が18g/mとなるように上記のインク受容層塗布液を塗布し、120℃で1分間、150℃で3分間乾燥することにより記録体を得た。この媒体について、インク受容層のインク吸収時間、裏写り、浸水濃度保持率および表面グロスを評価した。その結果を表1に示す。
【0063】
比較例1
実施例1において、乾燥が120℃で4分間のみとしたこと以外は実施例1と同様の方法により記録体を得た。
【0064】
実施例2
実施例1において、インク受容層塗布液を構成する全成分に対して、ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製 GH−20)9.0重量%、水溶性メラミン樹脂(住友化学工業(株)製 スミマール)0.7重量%、カチオン性化合物(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、日本化薬(株)製 カヤフィックスUR)0.1重量%、界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、大日本インキ化学(株)製 メガファック F−142D)0.2重量%および水89重量%を混合してインク受容層塗布液としたこと以外は、実施例1と同様の方法により記録体を得た。
【0065】
実施例3
実施例2において、インク受容層の界面活性剤をシリコン系(ダウ・コーニング・アジア(株)製、ペインタッドPT−32)としたこと以外は、実施例2と同様の方法により記録体を得た。
【0066】
実施例1〜3および比較例1で得られた記録体およびセイコーエプソン(株)製の専用光沢フィルム(比較例2)について評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 0003563199
【0068】
実施例1〜3の記録体は、インク吸収時間が短く、裏写りがなく、かつ浸水濃度保持率および表面グロスが高いものであり、インクジェット用プリンター(セイコーエプソン製 MJ−700V2C)でプリントしたものは、銀塩写真に類似した光沢度の高く、高品質、高品位で美観の良好なものであった。
しかし、比較例1の記録体は、浸水濃度保持率が低く、比較例2の記録体は、表面グロスが低く、品位が不足していた。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、インクを速やかに吸収し、インク受容層にインクが吸収した後に水をかけてもインクがとれにくく、表面の光沢度が高い、カラープリンターでの記録ができるインクジェット記録に好適な記録体を提供することができ、銀塩写真のような光沢度の高い、高品質、高品位の記録ができる。

Claims (10)

  1. 基材層と、この基材層上に設けられたインク吸収性樹脂、硬化剤およびシリコン系又はフッ素系界面活性剤を含有するインク受容層とを含み、前記界面活性剤をインク受容層表面に局在化せしめた記録体であって
    インク受容層の浸水濃度保持率が30%以上、インク受容層の表面グロスが55%以上、かつインク受容層の0.1〜1.0μl/cm2のインク量におけるインク吸収時間が50秒以下であることを特徴とする記録体。
  2. インク受容層が、さらにカチオン基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  3. インク吸収性樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  4. 硬化剤が、水溶性メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  5. インク吸収性樹脂の含有量が、インク受容層を構成する全成分に対して10〜99重量%であることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  6. 硬化剤の含有量が、インク吸収性樹脂に対して0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  7. 界面活性剤の含有量が、インク受容層を構成する全成分に対して0.5〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  8. 基材層が、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の記録体。
  9. インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤および溶媒を含有する組成物を基材層上に塗布すること、この塗布層を該溶媒の沸点以上でかつ沸点+30℃以下の温度に加熱すること、さらに当該温度より高い温度で加熱してインク受容層を形成することを包含する記録体の製造方法。
  10. インク吸収性樹脂、硬化剤、界面活性剤および水を含有する組成物を基材層上に塗布すること、この塗布層を100〜130℃の温度に加熱すること、さらに130〜180℃で加熱してインク受容層を形成することを包含する請求項9に記載の記録体の製造方法。
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