JP3560692B2 - 光学式エンコーダ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、装置の可動部分の移動量検出に用いられる光学式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光学式エンコーダは、半導体レーザ等の光源、光検出器(または受光素子)、回折格子、コリメータレンズ(または集光レンズ)等の部品から構成されており、小型化が困難な構造となっていた。このような例としては、例えば、特開昭61−42677号や「日経メカニカル、1988.7.25 、p.54」があり、各々を図1,図2に示す。
【0003】
(1) 特願昭61−42677号(図1参照)
レーザ1から出射した光はコリメータレンズ2で平行光になり、ビームスプリッタ3を透過して移動する回折格子4に入射する。回折格子4によって回折された光はミラー5,5’で反射され、ビームスプリッタ3で再び重ねあわされて光検出器6で検出され、その強度変化によって回折格子4の移動量を知ることができる。しかし、この構成においては、図1のようにレーザ1、コリメータレンズ2、ビームスプリッタ3等多くの部材を必要とし、エンコーダ全体はかなり大きなサイズとなり、小型の装置などに組み込むには適さない。
【0004】
また、図1ではスケールに回折格子が使われているが、回折効果を使わず高反射率部と低反射率部を交互に配置したスケールを用いてスケールの明暗のみを検知するエンコーダも公知技術として知られている。この場合は、スケールのピッチをあまり小さくすることができないため、エンコーダとしての分解能は低下するが干渉用のミラー5,5’が不要となり小型化が可能となる。しかしながら、この場合にも光源に通常のストライプ型半導体レーザを用いる場合はコリメータレンズは必須の部材であり従来省略することはできなかった。
【0005】
(2) 「日経メカニカル、1988.7.25 、p.54」(図2参照)
光源21から出射した光ビームがコリメータレンズ2により平行ビームに整形され、固定スケール22、これと同じスケールピッチを有する移動スケール23を透過し、受光部24に達する。移動スケールが変位すると、固定スケールと移動スケールの透過可能な部分の重なりの程度が変化する。従って、受光部では移動量に応じて出力信号が変化することを利用して、変位量を計測することができる。
【0006】
以上、図1に示す構成では、ビームスプリッタやレンズ、ミラーなどを、また図2に示す構成ではレンズや二つのスケールを空間的に高精度で配置する必要がある。従って、製作が難しく、またサイズが大きいものとならざるを得ず、更にはコストも高いものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来技術によるエンコーダは、端面出射型の一般的な半導体レーザ光源を用いているために小型化が困難という問題点がある。
この発明はこうした事情を考慮してなされたもので、小型化が可能な光学式エンコーダを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、スケールピッチをp、前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をベクトルP(以下、ベクトルPを単にPと表記する。)、レーザ光出射方向に垂直な平面と前記方向Pのなす角をθ、スケールのピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向の前記光源の開口長をaとしたとき、
L≧a 2 /λの場合に、
p・cosθ≧λ・L/a
L<a 2 /λの場合に、
p・cosθ≧a
(但し、−π/2<θ<π/2、−π/2<ψ<π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダである(以下は、光検出器と受光素子は同義語として記述する)。
【0009】
また、前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々p x ,p y 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθ x ,θ y 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々a x ,a y としたとき、
L≧a x 2 /λの場合に、
p・cosθ x ≧λ・L/a x
L≧a y 2 /λの場合に、
p・cosθ y ≧λ・L/a y
(但し、−π/2<θ x <π/2、−π/2<θ y <π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダである。
【0010】
さらに、前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々p x ,p y 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθ x ,θ y 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々a x ,a y としたとき、
L<a x 2 /λの場合に、
p・cosθ x ≧a x
L<a y 2 /λの場合に、
p・cosθ y ≧a y
(但し、−π/2<θ x <π/2、−π/2<θ y <π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダである。
【0011】
【作用】
この発明においては、薄膜表面から光が放射される構造の半導体光源から放射した光をスケールにおいて反射(または透過)させ、その反射光(又は透過光)を受光素子により受光する(光源の開口形状が持つべき条件については実施例の項で詳述する)。ここで、「基板」とは、誘電体基板、半導体基板のいずれかでもよい。
【0012】
光源として面発光レーザ光源を用いることにより、数μmないしは数百μm程度のビーム出射窓の大きさや形状を適切に設計することができる。従って、ビーム広がり角を制御して、数μmないしは数百μm程度のビーム出射窓から鋭いビームを出射することができるため、図1や図2の例のようなコリメータレンズを省略することができる。また、面発光レーザ光源の細く鋭いビームを利用することにより、ビームを移動スケールに対して空間的に絞ることができるため、図2の例のように固定スケールが必ずしも必要でなく、固定スケールと移動スケールの高精度な配置や保持技術も必要とされない。更に、面発光レーザ光源の細く鋭いビームを利用してスケールからの反射光または透過光の明暗を検出することにより、高分解能なエンコーダを実現できる。
【0013】
その結果、極めて小形、薄型で、かつシンプルな構成により高分解能なエンコーダを実現できる。また、レンズやそのほか多数の光学部品が必要でないので、光源から受光素子に至る光学部品の光学的な調整の手間が簡略化され、極めて低コストなエンコーダが実現できる。
【0014】
【実施例】
以下実施例について説明するが、その前に各実施例に共通する発明の原理について述べる。図3は、この実施例で光源として用いられる面発光レーザの構造の1例を示した図である。図のように活性層(発光層)31を挟んで両端に多層薄膜ミラー32が形成され、さらにこれを上部電極33及び下部電極34が挟みこむ構成となっている。前記上部電極33,下部電極34間に電圧を印加すると活性層31に電流が注入され、活性層31が発光する。活性層31と多層薄膜ミラー32により膜厚方向に共振器が形成されているため、この方向に発振が起こり、光は図のように膜平面に対して垂直な方向に出射する(光が出射する部分のみ上部電極を除去してある)。これらの構造を実現する材料としては、例えば活性層31にGaAs、多層薄膜ミラー32にp型またはn型のGaAs/AlGaAs積層膜などが挙げられる。
【0015】
この構造のレーザの利点として、上部電極のパターニングにより開口(光の放射口)の形状を自由に設計できる点がある。放射光のビーム広がりは開口の形状及び大きさによって規定される(開口により回折が発生しビーム広がりが生ずる)ので、開口を適当に設計することによりビーム広がりを比較的小さく抑えることができる。従って、適切に設計された面発光レーザを光源としてエンコーダを構成すれば、従来例に用いられているコリメータレンズ(または集光レンズ)が不要となり極めて小型のエンコーダを実現できる。
【0016】
こうした構成のエンコーダについて、以下具体的な計算例をもとに説明する。面発光レーザを用い、コリメータレンズを省略してエンコーダを構成した場合の構成図を示す。図4のように、面発光レーザ41から出射したビームをリニアスケール42で反射(または透過)させ、反射(または透過)光を光検出器431 (または432 )の受光素子で受光する。ここで、「スケール」とは、反射率(または透過率)の大きな部分と、反射率(または透過率)の小さな部分が交互に規則的に配置された部材を指す。このような部材は、例えばガラス基板にAlなどの高反射率の薄膜を蒸着し、これをリソグラフィー技術を用いてパターニングすることで容易に実現できる。
【0017】
なお、上記の構成において、スケールからの反射光を検出する光検出器431 とスケールからの透過光を検出する光検出器432 は少なくともどちらか一つあればエンコーダとして動作するので、以下の実施例においては、反射型の場合に対して記載することとするが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様な構成で透過型の場合もエンコーダが構成可能である。
【0018】
また、図4ではスケールとしてリニアスケールを用いた場合を示すが、図5に示す如く光源に対して相対的に回転するロータリースケール51を用いて対象の回転を測定することも可能である。以下の実施例においては、リニアスケールを用いた場合に対して記載することとするが、本発明はこれに限定されるものではなく、同様な構成でロータリースケールを用いた構成も可能である。
【0019】
また、図4,図5では、光検出器431 ,432 の受光面を光ビームの入射方向に垂直な面に対して、各々、θ1 ,θ2 だけ傾斜して配置しているが、これは光検出器の受光面からの反射光が面発光レーザに帰還することによるセンサ出力の変動、即ち、戻り光による出力変動を抑制するためである。従って、受光面からの戻り光の影響がセンサ出力に対して小さい場合、例えば、受光面に無反射膜(または低反射膜)を形成した場合などでは、必ずしもθ1 ≠0,θ2 ≠0とする必要はない。
【0020】
以上、図4においては、θ≠0かつψ=0の場合について示しているが、図6にθ=0かつψ≠0の場合について示す。本図はリニアスケール42の面発光レーザ41に対する姿勢(前記θ,ψで表される)が異なること、及び光検出器431 、432 の受光面と光ビーム入射方向に垂直な面との傾斜角をψ1 、ψ2 と定義していること以外は、図4と同一であり、構成等の説明は省略する。
【0021】
一方、リニアスケールに照射される光の強度分布は先述したように面発光レーザの開口の形状と、リニアスケールと開口の距離で規定される。図7に示すように前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をP、前記移動スケール面上でピッチ方向Pと垂直な方向をQ、レーザ光出射方向に垂直な平面と前記方向P,Qのなす角をそれぞれθ,ψ(但し、ψ=0)、リニアスケール42のピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向のレーザ開口長をa、レーザとリニアスケール42の間のレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、レーザ波長をλとすると、Lがaに対して十分に大きい場合(望ましくは、L≧a2 /λの範囲)、スケール上のレーザビームのP方向のビーム径W(半値全幅)はおよそ下記数1に示す(1)式で与えられる。
【0022】
【数1】
一方、L<a2 /λの場合は、おおよそ下記数2に示す(2)式で与えられる。
【0023】
【数2】
スケールにおける光ビームの反射(または透過)の明暗を良好な信号振幅(受光量を示す出力信号波形において極大値と極小値の差を信号振幅と定義する。)で検出するためには、スケールのピッチpはP方向のビーム径Wより大きい方が望ましい。従って、信号振幅の大きな出力信号を得るためには、
L≧a2 /λの場合には、下記(3)式
p・cosθ≧λ・L/a …(3)
(但し、−π/2<θ<π/2,ψ=0)
L<a2 /λの場合には、下記(4)式
p・cosθ≧a …(4)
(但し、−π/2<θ<π/2,ψ=0)
とすることが望ましい。
【0024】
以上、図7においては、θ≠0かつψ=0の場合について示しているが、図8にθ=0かつψ≠0の場合について示す。これ以外の各種定義は図7に対するものと同一であるため、ここでは省略する。本図の場合、スケール上のレーザビームのP方向のビーム径W(半値全幅)は、ψによらず一定であるため(図8(A)の正面図参照)、Lがaに対して十分に大きい場合(望ましくは、L≧a2 /λの範囲)は、Wはおおよそ下記数3に示す(5)式で与えられる。
【0025】
【数3】
一方、L<a2 /λの場合は、おおよそ下記数4に示す(6)式で与えられる。
【0026】
【数4】
【0027】
図7の場合と同様に、信号振幅の大きな出力信号を得るためには、スケールのピッチpはP方向のビーム径Wより大きい方が望ましい。従って、L≧a2 /λの場合には、下記(7)式とし、
p≧λ・L/a(但し、θ=0,−π/2<ψ,π/2) …(7)
L<a2 /λの場合には下記(8)式とすることが望ましい。
【0028】
p≧a(但し、θ=0,−π/2<ψ,π/2) …(8)
以上のように、θ=0,ψ≠0の場合は、ψの値によらず、式(5)〜(8)が成り立つことがわかる。
【0029】
また、図示しないが、θ≠0,ψ≠0の場合については、図8の例で示すようにψの値に依存しないため、式(1)〜(4)がθ,ψの値によらず成り立つといってよい。
【0030】
以上は極めて粗い概算であるが、以下に回折積分を用いたスケール面上の光強度分布の厳密な計算例を図9に示す。開口長aの光源の出射窓から出射される平面波の距離Lにおける光強度分布|A|2 は、Lが大きい時(L≧a2 /λ)には、出射窓に対応した瞳関数を空間的にフーリエ変換することにより下記数5に示す(9)式で表される。
【0031】
【数5】
但し、出射ビームの中心をxの原点とし、この出射面に平行にx軸を考える。また、Cはxに依存しない定数である。
【0032】
図9は波長λ=1μm、開口幅a=10μm、スケールと開口の距離L=100μmで計算したものであるが(縦軸はC=1として正規化されている)、スポット系は半値全幅で約10μmとなり、光量プロファイルは図のようになる(リニアスケールと開口のなす角θは小さいと仮定し計算上無視している。また、これ以後の計算でもθ=0の場合については記載するが、θ≠0の場合のピッチpをp・cosθと置きかえて考えればよい。)
このスポットがリニアスケールに当った場合の反射光の光量は、リニアスケールの反射率分布とスポット強度分布の積をx軸上で積分すれば得られる(光検出器は反射光量すべてを受光できるほど十分大きいとする)。リニアスケールの反射率分布を計算上フーリエ級数で表現し、このスケールが矢印の方向に10μm/sで移動した場合の光検出器で得られる信号光量を求めたものを図10、図11に示す。ここで、図10はスケール反射率分布、図11は検出器の受光量を示す。
【0033】
これはスケールピッチp=20,15,10μmについて計算した結果であるが、ピッチに対応した周期的な信号が得られ、この信号波形と変位量の関係を用いて、(例えば、この信号の周期をカウントしたり、あるいは、信号を変位の信号に電子的に変換すること等により)スケールの変位量を計測できる。
【0034】
ピッチが細かくなるにつれ信号振幅(スケールから100%反射する場合と無反射の場合の出力信号の差を1として正規化している)は小さくなる。図10、図11条件では、(1)式、(2)式よりビーム径Wはスケール上で、およそW=10μmであるが、図10、図11の結果よりおよそこれと同じピッチ、即ちp≧Wの範囲であれば信号振幅が0.1程度以上が得られることがわかり、これがエンコーダの出力信号の信号振幅を一定以上に設計するための指針になると考えられる。
【0035】
図12にスケールピッチpに対する信号振幅の変化を示す。図中の○印は図10のそれぞれのpに対応する。p=10の場合は条件式(3)の条件の下限となる(p=Lλ/aが成立する)。この場合には図よりわかるように信号振幅は全体光量の1/10程度となり、以下の説明ではこの(信号振幅が0.1になる)状態を実用的な信号振幅の下限とみなすことにする。なお、光検出器のS/Nが高い場合には、さらに、信号振幅が0.01でも使用可能である。この結果より先の概算による(3)式の条件が極めて妥当なものであることがわかる。
【0036】
さらに、L<a2 /λの場合にはビーム径Wがおよそaであることもあわせて考慮することにより、エンコーダの仕様が与えられたときに、出力信号が良好なS/Nを持つための設計条件が上記(3),(4)式により与えられる。図13では、仮にλ=1μm,L=100μmの条件下でスケールピッチp≦30μmとして、信号振幅が0.1以上になるための開口長aの範囲を示す。図14では一例として、λ=1μm,a=5μm,10μm,15μmが与えられた時に、スケールのピッチpを30μm以下で使用することを前提とした、(信号振幅が0.1以上となる)望ましいpとLの範囲を各々のaに対して斜線で示す。このように、面発光半導体レーザを光源に用いることにより、レーザ光の出射窓の径aを広範に設計できるので、上記のようにして適切なL,λ,p,aの構造パラメータを決定することにより、所定の分解能をもったエンコーダが実現できる。特に、スケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化が可能となる。
【0037】
(実施例1)
図15(A),(B)を参照する。ここで、図15(A)は光学式エンコーダの側面図、図15(B)は斜視図を示す。図15のように部分的に凹部131 を形成した誘電体基板132 上に面発光レーザ(発光素子)133 及び受光素子134 がそれぞれ別個に接着されており、特に面発光レーザ133 は凹部131 の斜面上に置かれている。なお、図中の符番135 はリニアスケールである。
【0038】
次に、この実施例1に係る光学式エンコーダの作用を説明する。面発光レーザ133 を出射した光はリニアスケール135 で反射され、0次回折光(すなわち反射光)が受光素子134 で受光される。面発光レーザは、先に述べたように開口の大きさその他を適切に選ぶことによりスポット広がりをある程度抑えることができ、このため従来のようなビーム整形のためのコリメータレンズなしで高分解能なエンコーダを構成することができる。なお、図15ではスケールの移動方向とピッチの方向は紙面に平行な方向で示されているが、これらを紙面に垂直な方向としてもよい。このスケールの移動方向,ピッチ方向に関する自由度は本特許の他の実施例においても同様である。
【0039】
従って、次のような効果がある。
部品点数が減り低コストかつ小型、薄型のエンコーダが実現できる。また、基板とスケールを平行に配置することができエンコーダ全体を小型にすることができる。更に、0次回折光を受光することにより、高次回折光を受光する場合に較べて、スケールのピッチ精度、反射率精度などに依存しにくい許容度の大きい信号検出ができる。なお、この実施例1においては、誘電体基板上に受光素子、発光素子を配置しているが、基板は誘電体に限られるわけではなく、半導体を用いてもよい。
【0040】
半導体基板を用いる場合には受光素子または発光素子を基板上に一体形成することができるため、素子を新たに基板に接合する手間が省け製作プロセスが簡略化できるという効果がある。また、半導体基板中に信号処理回路を形成すれば、回路系も含めたより一層の小型化が可能になる。
【0041】
以上、実施例1については、基板の一部に凹部を設けその斜面に斜めに発光素子を配置する構成をとっているが、平坦な基板を用いてもよい。
(実施例2)
図16(A),(B)を用いて説明する。
【0042】
この実施例2は実施例1と同様の構成において、凹部を形成しない平坦な誘電体基板132 を用い、発光素子133 及び受光素子134 を該基板表面に形成したものである。この基板は図16のように傾斜台座141 上に取付けられ、リニアスケール135 に対して斜めに配置される。発光素子133 から出射した光はリニアスケール135 で反射され、受光素子134 で受光される。この実施例2の場合は平坦な基板を使用するため、実施例1に比べて基板に凹部を形成する工程を省略できるという効果がある。
【0043】
この場合にも、むろん実施例1と同様に、半導体基板を用いてもよい。また、この構成の場合には基板として化合物半導体を用い、表面上に気相成長法により結晶成長を行い受光素子および発光素子を一体形成してもよい。
【0044】
なお、上記実施例1,2の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。実施例1,2に共通して可能な変形例を図17に実施例3として示す。
(実施例3)
図17は面発光レーザ光源133 の開口133 aを楕円形状にした例である。円形開口では十分なS/N比の信号が期待できない場合は、このような方法でスケールの分解能を落すことなく信号光量を増やし、S/N比を向上させることができる。なお、この実施例3では楕円形状の開口となっているが長方形の開口でも同様の効果を期待できる。図17は実施例1に対応した図であるが、実施例2についても無論同様の変形が可能である。
【0045】
また、これまでの実施例ではスケール移動量のみが検知され移動している向きは判別できなかったが、構成の若干の変形で簡単に移動の向き判別の機能を付け加えることができる。そのような例を以下実施例4として図18に示す。
【0046】
(実施例4)
実施例4の構成を図18に示す。この実施例4は実施例1と同様の構成において、受光素子134 を134 a,134 bに2分割したものである。一定の間隙を有してこのように受光素子を2分割することにより、受光素子に入射する信号光の位相を図19に示すようにπ/2だけずらすことができる。受光素子134 aに入射する信号に対して受光素子134 bに入射する信号の位相は、スケールが図中右方向に移動する場合はπ/2進み、左方向に移動する場合はπ/2遅れるので、信号処理により両者の位相関係を判別することにより移動の向きの判別ができる。なお、この2つの信号の位相差は必ずしもπ/2に設定する必要はなく、位相差がnπ(ここで、n=0,±1,±2…)とならないような一定の値であれば移動の向きの判別が可能である。
【0047】
また、このような向き判別機能は1次元に限られるわけではなく、受光素子を4分割することにより容易に2次元に拡張できる。なお、実施例4についても、当然ながら基板材料、スポット形状等については実施例1〜3と同様の変形が可能である。
【0048】
これまでの実施例ではスケールの1次元的な変位量しか検出できなかったが、若干の構成変更により2次元的な変位検出を可能にすることができる。これを以下の実施例5として図20に示す。
【0049】
(実施例5)
反射率または透過率の異なる2次元的なパターンを形成したスケール181 に対して、面発光半導体レーザ光源からのビームを照射し、この時の反射光または透過光を受光素子431 ,または受光素子432 で受光する。前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面との距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々px ,py 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθx ,θy 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々ax ,ay としたとき、
L≧ax 2 /λの場合に、px ・cosθx ≧λ・L/ax 、
L≧ay 2 /λの場合に、py ・cosθy ≧λ・L/ay 、
L<ax 2 /λの場合に、px ・cosθx ≧ax 、
L<ay 2 /λの場合に、py ・cosθy ≧ay
(但し、−π/2<θx <π/2、−π/2<θy <π/2)
の関係を満たすように設計することによりエンコーダからの出力の信号振幅を適正なレベルに設計できる。面発光半導体レーザ光源を用いることにより、レーザ光の出射窓の径や形状を広範に設計できるので、レンズを必ずしも必要とせずに互いに異なる特定方向の所定の分解能をもったエンコーダが実現できる。また、特定方向のスケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0050】
以下、この発明に係る光学式エンコーダについてまとめると、次に示す構成,作用,効果を有する。
1.
(構成)光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備することを特徴とする光学式エンコーダ。
【0051】
(作用)この発明においては、面発光半導体レーザ光源から放射された光をスケールに照射し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールの変位量を計測する。
【0052】
(効果)面発光半導体レーザ光源に用いることにより、レーザ光の出射窓の径を広範に設計できるので、レンズや固定スリットを必ずしも必要とせずに所定の分解能をもったエンコーダを実現できる。特に、スケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0053】
2.
(構成)前記面発光半導体レーザ光源と前記移動スケールは、前記面発光半導体レーザ光源から出射するレーザビームが、レンズや固定スリット等のビーム成形のための光学部品を介さないで、直接、移動スケールを照射するように配置されている前記1.記載の光学式エンコーダ。
【0054】
(作用)この発明においては、面発光半導体レーザ光源から放射された光をスケールに照射し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールで反射又は透過された光を受光素子により受光し、スケールの変位量を計測する。
【0055】
(効果)レンズや固定スリットを必要とせずに所定の分解能をもったエンコーダを実現できるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0056】
3.
(構成)光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、スケールピッチをp、前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をP、前記移動スケール面上でピッチ方向Pと垂直な方向をQ、レーザ光出射方向に垂直な平面と前記方向P,Qのなす角をそれぞれθ,ψ、スケールのピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向の前記光源の開口長をaとしたとき、L≧a2 /λの場合に、
p・cosθ≧λ・L/a
(但し、−π/2<θ<π/2、−π/2<ψ<π/2)
の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
【0057】
(作用)この発明においては、面発光半導体レーザ光源から放射された光をスケールに照射し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールの変位量を計測する。
【0058】
(効果)L≧a2 /λの場合に、面発光半導体レーザ光源を用いることにより、レーザ光の出射窓の径を広範に設計できるので、レンズや固定スリットを必ずしも必要とせずに所定の分解能をもったエンコーダを実現できる。特に、スケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0059】
4.
(構成)光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、スケールピッチをp、前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をP、前記移動スケール面上でピッチ方向Pと垂直な方向をQ、レーザ光出射方向に垂直な平面と前記方向P,Qのなす角をそれぞれθ,ψ、スケールのピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向の前記光源の開口長をaとしたとき、L<a2 /λの場合に、
p・cosθ≧a
(但し、−π/2<θ<π/2、−π/2<ψ<π/2)
の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
【0060】
(作用)この発明においては、面発光半導体レーザから放射された光をスケールに照射し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールの変位量を計測する。
【0061】
(効果)L<a2 /λの場合に、面発光半導体レーザ光源を用いることにより、レーザ光の出射窓の径を広範に設計できるので、レンズや固定スリットを必ずしも必要とせずに所定の分解能をもったエンコーダを実現できる。特に、スケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0062】
5.
(構成)光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々px ,py 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθx ,θy 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々ax ,ay としたとき、
L≧ax 2 /λの場合に、px ・cosθx ≧λ・L/ax 、
L≧ay 2 /λの場合に、py ・cosθy ≧λ・L/ay 、
L<ax 2 /λの場合に、px ・cosθx ≧ax 、
L<ay 2 /λの場合に、py ・cosθy ≧ay
(但し、−π/2<θx <π/2、−π/2<θy <π/2)
の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。
【0063】
(作用)この発明においては、面発光半導体レーザ光源から放射された光を、反射率または透過率の異なる2次元的なパターンを形成したスケールに照射し、スケールで反射または透過された光を受光素子により受光し、スケールの変位量を2次元的に計測する。
【0064】
(効果)面発光半導体レーザ光源を用いることにより、レーザ光の出射窓の径を広範に設計できるので、レンズや固定スリットを必ずしも必要とせずに所定の分解能をもったエンコーダを実現できる。特に、スケールピッチの細かいエンコーダをレンズを省略して実現することができるため、高分解能な光学式エンコーダの小型化や製作の簡略化、低コスト化が可能となる。
【0065】
6.
(構成)前記面発光レーザ光源が基板上に部分的に形成された傾斜面上に配置されていることを特徴とする前記1.〜前記5.いずれか記載の光学式エンコーダ。但し、基板の傾斜面は、化学エッチング、機械的な切削加工など、どのような方法によって形成してもよい。
【0066】
(作用)こうした構成の光学式エンコーダにおいては、薄膜表面から光が放射される構造の半導体光源が基板上に部分的に形成された傾斜面に設置されており、この光源から放射した光をスケールに反射させ、その反射光を、受光素子により受光する。
【0067】
(効果)従って、基板をスケールに対して平行に配置することができ、エンコーダ全体の厚さを薄くすることができる。
7.
(構成)前記受光素子が光源から放射された光のスケールによる反射光の0次回折光を受光する位置に配置されていることを特徴とする前記1.〜前記6.いずれか記載の光学式エンコーダ。
【0068】
(作用)こうした構成の光学式エンコーダにおいては、薄膜表面から光が放射される構造の半導体光源が基板上に部分的に形成された傾斜面に設置されており、この光源から放射した光をスケールに反射させ、その0次回折光を受光素子により受光する。
【0069】
(効果)従って、0次回折光を受光することにより、スケールのピッチ精度、反射率精度などに依存しない許容度の大きい信号検出ができる。
8.
(構成)光源からの出射光のビーム形状がスケールの移動方向に対して垂直な方向に主軸を持つ楕円形または長方形となっていることを特徴とする前記1.〜前記7.いずれか記載の光学式エンコーダ。
【0070】
(作用)こうした構成の光学式エンコーダにおいては、光源から放射した楕円形の放射光をスケールに反射させ、その反射光を、受光素子により受光する。
(効果)従って、スケールの分解能を落とすことなく信号光量を増やすことができ、S/N比の良い信号検出ができる。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述した如くこの発明によれば、従来必要としたレンズや固定スリットを省略して極めて小形,薄型で部品点数を少なくできるとともに、光源とレンズの光学的な調整の手間がなく極めて低コストで生産でき、更には構成の若干の変形で簡単に移動方向の判別機能を付け加えることができる信頼性の高い光学式エンコーダを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光学式エンコーダの説明図。
【図2】従来の他の光学式エンコーダの説明図。
【図3】面発光レーザの構造を示す模式図。
【図4】リニアスケールを用いた場合の光学式エンコーダの説明図。
【図5】ロータリースケールを用いた場合の光学式エンコーダの説明図。
【図6】リニアスケールを用いた、図4のエンコーダとは異なる他の光学式エンコーダの説明図。
【図7】この発明の光学式エンコーダの構造を示す模式図。
【図8】本発明に係る、図7の光学式エンコーダとは異なる他の光学式エンコーダの構造を示す模式図を示し、図8(A)は正面図、図8(B)は側面図。
【図9】リニアスケール上の光強度分布図。
【図10】スケールピッチに対するスケール反射率の特性図で、図10(A)はスケールピッチ(p)が20μmの場合、図10(B)はp=15μmの場合、図10(C)はp=10μmの場合。
【図11】スケールピッチに対する受光量の特性図で、図11(A)はp=が20μmの場合、図11(B)はp=15μmの場合、図11(C)はp=10μmの場合。
【図12】スケールピッチpと信号振幅の関係を示す図。
【図13】エンコーダの成立する範囲を示す図。
【図14】移動スケールと面発光半導体レーザの光ビーム出射面との距離Lとスケールピッチとの関係を示す特性図であり、図14(A)は光ビームの波長λ:1μm,光源の開口長a:5μmの場合、図14(B)はλ:1μm,a:10μmの場合、図14(C)はλ:1μm,a:15μmの場合。
【図15】この発明の実施例1に係る光学式エンコーダの説明図であり、図15(A)は側面図、図15(B)は斜視図。
【図16】この発明の実施例2に係る光学式エンコーダの説明図であり、図16(A)は側面図、図16(B)は斜視図。
【図17】この発明の実施例3に係る光学式エンコーダの斜視図。
【図18】この発明の実施例4に係る光学式エンコーダの斜視図。
【図19】受光される信号を計算したグラフ。
【図20】この発明の実施例5に係る光学式エンコーダの説明図。
【符号の説明】
31…活性層(発光層)、
32…多層薄膜ミラー、
33…上部電極、
34…下部電極、
41…面発光レーザ、
42,51,135 ,181 …スケール、
43,431 ,432 …光検出器、
131 …凹部、
132 …誘電体基板、
133 …面発光レーザ、
134 ,134a,134b…受光素子、
135 …リニアスケール、
141 …傾斜台座。
Claims (16)
- 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、スケールピッチをp、前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をベクトルP(以下、ベクトルPを単にPと表記する。)、レーザ光出射方向に垂直な平面と前記方向Pのなす角をθ、スケールのピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向の前記光源の開口長をaとしたとき、L≧a 2 /λの場合に、
p・cosθ≧λ・L/a
(但し、−π/2<θ<π/2、−π/2<ψ<π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、スケールピッチをp、前記移動スケール面上でスケールのピッチ方向をベクトルP(以下、ベクトルPを単にPと表記する。)、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記方向Pのなす角をθ、スケールのピッチ方向Pをレーザ光出射方向に垂直な平面に投影した方向の前記光源の開口長をaとしたとき、L<a 2 /λの場合に、
p・cosθ≧a
(但し、−π/2<θ<π/2、−π/2<ψ<π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々p x ,p y 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθ x ,θ y 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々a x ,a y としたとき、L≧a x 2 /λの場合に、
p・cosθ x ≧λ・L/a x
(但し、−π/2<θ x <π/2、−π/2<θ y <π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々p x ,p y 、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθ x ,θ y 、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々a x ,a y としたとき、L≧a y 2 /λの場合に、
p・cosθ y ≧λ・L/a y
(但し、−π/2<θ x <π/2、−π/2<θ y <π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々px,py、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθx,θy、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々ax,ayとしたとき、L<a x 2 /λの場合に、
p・cosθ x ≧a x
(但し、−π/2<θx<π/2、−π/2<θy<π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 光源に対して相対的に移動し、反射率または透過率の異なる領域が規則的に形成された移動スケールと、この移動スケールの一部を照射するための面発光半導体レーザ光源と、前記移動スケールからの反射光または透過光を受光するための受光素子を具備する光学式エンコーダにおいて、
前記移動スケールと面発光半導体レーザ光源の光ビーム出射面とのレーザ光の出射の中心軸上における距離をL、光ビームの波長をλ、互いに異なる特定方向のスケールピッチを各々px,py、レーザ光の出射方向に垂直な平面と前記2つの特定方向のなす角をθx,θy、前記移動スケールの各々のピッチ方向に対する前記光源の開口長を各々ax,ayとしたとき、L<a y 2 /λの場合に、
p・cosθ y ≧a y
(但し、−π/2<θx<π/2、−π/2<θy<π/2)の関係を満たすことを特徴とする光学式エンコーダ。 - 前記面発光レーザ光源が基板上に部分的に形成された傾斜面上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記受光素子が前記面発光レーザ光源から放射された光の前記移動スケールによる反射光の0次回折光を受光する位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記面発光レーザ光源からの出射光のビーム形状が前記移動スケールの移動方向に対して垂直な主軸を持つ楕円形または長方形となっていることを特徴とする請求項1,2,7,8いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記面発光レーザ光源の開口の形状が、楕円形または長方形となっていることを特徴とする請求項1,2,7,8いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記面発光レーザ光源の開口の形状が、前記面発光レーザ光源が基板上に部分的に形成された傾斜面の傾斜方向に対して垂直な方向に主軸を持つ楕円形または長方形となっていることを特徴とする請求項7に記載の光学式エンコーダ。
- 前記面発光レーザ光源の開口の形状が、前記移動スケールの移動方向に対して垂直な方向に主軸を持つ楕円形または長方形となるように面発光レーザを配置したことを特徴とする請求項9または10記載の光学式エンコーダ。
- 前記面発光レーザ光源を有する基板が傾斜台座の傾斜面上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記受光素子の受光面に無反射膜あるいは低反射膜を備えたことを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の光学式エンコーダ。
- 前記受光素子が少なくとも2つに分割されて配置され、それぞれがπ/2だけ異なる位相の入射信号光を検出することを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
- 前記受光素子が少なくとも4つに分割されて2次元的に配置され、それぞれがπ/2だけ異なる位相の入射信号光を検出することを特徴とする請求項1記載の光学式エンコーダ。
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