JP3559412B2 - 塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フィルム、シートなどに成形したとき、フィッシュアイの発生の少ない塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニルは優れた機械的特性を有しており、塩化ビニル樹脂として広く用いられているが、ポリ塩化ビニルには熱可塑性が劣るという欠点がある。従来、ポリ塩化ビニルの熱可塑性を向上する目的で、ポリ塩化ビニルに少量の可塑剤を添加し、あるいは塩化ビニルにエチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどを共重合し、あるいはポリ塩化ビニルに軟質樹脂をブレンドする方法が知られている。
これらの方法によって、塩化ビニル樹脂組成物の成形加工性はある程度改良されるものの、決して十分ではなく、可塑剤の揮発又は移行による物性低下が問題となり、共重合系、ブレンド系はその改良効果が十分でなく、一つの欠点を改良すると、塩化ビニル樹脂の他の特性の低下を招くなどの問題がある。
他方、エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニルをグラフト重合させることにより、塩化ビニル系グラフト共重合体を製造する方法が知られている。この方法により得られた塩化ビニル系グラフト共重合体は、ブレンド系では見られない優れた耐衝撃性、加工性、内部可塑性、電気絶縁性を有し、包装用シート、建材、電線被覆材などの幅広い分野で使用されている。しかし、塩化ビニル系グラフト共重合体に見られる問題点として、重合系の均一化が不十分なまま重合し、あるいは、前の重合バッチの重合物粒子を残したまま重合することにより、部分的に塩化ビニル単量体組成の高い重合物粒子を生成し、加工時に未溶融のまま残って成形品表面にフィッシュアイを発生させる場合がある。
特公平5−54483号公報には、エチレン−ビニルエステル共重合体に塩化ビニルをグラフト重合する際に、ソルビタン高級脂肪酸エステル系又はポリビニルアルコール系分散剤の存在下に重合を開始し、さらに重合転化率が5〜40%である間に水溶性分散剤を添加することにより、製品表面にフィッシュアイの少ない塩化ビニル系グラフト共重合体を得る方法が提案されている。しかし、この方法は重合中の操作が煩雑である上に、エチレン−ビニルエステル共重合体と単量体の組成比により水溶性分散剤の添加時期、添加量の調整が必要である。
このため、エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニル又は塩化ビニルと他の単量体の混合物をグラフト重合し、フィッシュアイの少ない塩化ビニル系グラフト共重合体を容易に製造することができる方法の開発が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィルム、シートなどに成形したとき、フィッシュアイの発生の少ない塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレン−ビニルエステル共重合体に、塩化ビニル又は塩化ビニルと他の単量体の混合物をグラフト重合させる際に、エチレン−ビニルエステル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.1〜0.3重量部の分散安定剤を使用し、分散安定剤の半量以上を昇温前に仕込み、半量未満を重合転化率が0.5〜4重量%の間に仕込むことにより、塩化ビニル系グラフト共重合体成形品中のフィッシュアイを効果的に減少し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合させる塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法において、エチレン−ビニルエステル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.1〜0.3重量部の分散安定剤を使用し、分散安定剤の50〜85重量%を昇温前に仕込み、次いで昇温して重合反応を開始し、残余の分散安定剤15〜50重量%を重合転化率が0.5〜4重量%の間に仕込むことを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法、
(2)エチレン−ビニルエステル共重合体の量が40〜70重量%であり、塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物の量が30〜60重量%である第(1)項記載の塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法、及び、
(3)エチレン−ビニルエステル共重合体が、エチレン35〜85重量%及びビニルエステル15〜65重量%からなる共重合体である第(1)項又は第(2)項記載の塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物中の塩化ビニルの量が50重量%以上である第(1)項、第(2)項又は第(3)項記載の塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合する。エチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレン35〜85重量%及びビニルエステル15〜65重量%からなる共重合体であることが好ましい。エチレン−ビニルエステル共重合体のエチレン単位が35重量%未満であると、十分な衝撃強度を確保できないおそれがある。エチレン−ビニルエステル共重合体のエチレン単位が85重量%を超えると、グラフト重合点が不足し、グラフト重合していないポリ塩化ビニル又は塩化ビニルと他のエチレン系不飽和単量体の共重合体が多量に生成するおそれがある。
本発明方法において使用するエチレン−ビニルエステル共重合体に特に制限はなく、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニル共重合体などを使用することができるが、これらの中でエチレン−酢酸ビニル共重合体を特に好適に使用することができる。
本発明方法においては、エチレン−ビニルエステル共重合体に塩化ビニルを単独でグラフト重合し、あるいは、エチレン−ビニルエステル共重合体に塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合する。塩化ビニルと共重合し得るエチレン系不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどの炭素数1〜18のモノカルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの炭素数1〜18のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、さらに塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
【0006】
本発明方法において、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合する場合は、単量体混合物中の塩化ビニルの量が50重量%以上であることが好ましく、75重量%以上であることがより好ましい。単量体混合物中の塩化ビニルの量が50重量%未満であると、得られる共重合体が塩化ビニル系グラフト共重合体が本来有する優れた特性を十分に備えなくなるおそれがある。
本発明方法においては、エチレン−ビニルエステル共重合体と塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物の比は、エチレン−ビニルエステル共重合体が40〜70重量%であり、塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物が30〜60重量%であることが好ましい。エチレン−ビニルエステル共重合体の量が40重量%未満であると、十分な伸びや柔軟性が得難くなるおそれがある。エチレン−ビニルエステル共重合体の量が70重量%を超えると、抗張力が低下したり、粘着性が増す傾向が出て、物性面、作業面に問題を生ずるおそれがある。
本発明方法においては、エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合させる方法には特に制限はなく、例えば、懸濁重合法、微細懸濁重合法などを用いることができる。懸濁重合法においては、先ず撹拌機を備えた重合槽に水性媒体を仕込み、分散剤と、必要に応じて少量の界面活性剤などを溶解し、エチレン−ビニルエステル共重合体を仕込み、油溶性ラジカル重合開始剤を添加して撹拌する。
次いで、重合槽を脱気し、必要に応じて窒素などの不活性気体で雰囲気を置換する。次いで、塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物を仕込み、撹拌しつつ所定の重合温度まで昇温する。重合槽のジャケットの水温の変化から、重合の開始を把握することができる。重合を続けて、転化率が所定の値に達したとき、重合を停止し、未反応の塩化ビニルを回収する。粉末状ないし粒状の共重合体は、ろ過脱水し、乾燥して、塩化ビニル系グラフト共重合体を得ることができる。
懸濁重合で用いる上記分散剤としては、ポリビニルアルコール;ゼラチン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルオキシメチルセルロースなどの水溶性セルロース誘導体などが例示される。また、懸濁重合法において使用する上記油溶性ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセチルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ナフトイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;メチルエチルケトンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;クメンヒドロパーオキシド、p−シメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジエチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキシドなどのスルフォニルパーオキシドなどの有機過酸化物;これらの有機過酸化物とロンガリットなどの還元剤を組み合わせた酸化還元型重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などを挙げることができる。使用する油溶性ラジカル重合開始剤は、単量体に対して0.001〜0.5重量%を用いることが好ましい。これらの油溶性ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いることができ、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0007】
微細懸濁重合法においては、先ず水性媒体中に、単量体、エチレン−ビニルエステル共重合体、油溶性ラジカル重合開始剤、界面活性剤、必要に応じて高級脂肪酸などの重合助剤、その他の添加剤を加えてプレミックスし、ホモジナイザにより均質化処理して油滴の粒径調節を行う。使用する界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体などのノニオン性界面活性剤などを挙げることができる。油溶性ラジカル重合開始剤としては、前記懸濁重合法において用いられるものと同様のものが例示される。ホモジナイザとしては、例えば、コロイドミル、振動撹拌機などを用いることができる。均質化処理した液を重合装置に送り、緩やかに撹拌しつつ重合温度に昇温して、所定の転化率に達するまで重合を行う。
本発明方法においては、重合温度は使用する単量体、重合開始剤などに応じて適宜選択することができるが、通常は30〜80℃とすることが好ましい。重合温度が30℃未満であると、反応が遅く、重合が進まなかったり、あるいは重合に長時間を要するおそれがある。重合温度が80℃を超えると、重合反応の制御が困難になるおそれがある。
【0008】
本発明方法においては、エチレン−ビニルエステル共重合体と塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物の合計量100重量部当たり0.1〜0.3重量部の分散安定剤を使用し、より好ましくは0.15〜0.20重量部の分散安定剤を使用する。使用する分散安定剤の量が、エチレン−ビニルエステル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.1重量部未満であると、重合時における水系媒体中の粒子の分散安定性を保持することが困難になるおそれがある。使用する分散安定剤の量が、エチレン場合ビニルエステル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.3重量部を超えると、重合系が完全に均一化しにくく、フィッシュアイを多く発生する塩化ビニル系グラフト共重合体となるおそれがある。
本発明方法においては、使用する分散安定剤の50〜85重量%を昇温前に仕込み、次いで昇温して重合反応を開始し、残余の分散安定剤15〜50重量%を重合転化率が0.5〜4重量%の間に仕込む。さらに、使用する分散安定剤の60〜70重量%を昇温前に仕込み、残余の分散安定剤30〜40重量%を重合転化率が0.5〜4重量%の間に仕込むことがより好ましい。昇温する前の分散安定剤の仕込み量が50重量%未満であると、昇温までの液滴の分散安定性を保持することが難しく、重合とともに液滴の合一現象が激しくなって粗粒が多くなり、あるいは、重合系が固結するにいたるおそれがある。昇温する前の分散安定剤の仕込み量が85重量%を超えると、分散安定性は向上するが、重合系が完全に均一化しにくく、結果として部分的に塩化ビニル単量体組成の高い重合物粒子を生成し、フィッシュアイを多く発生する塩化ビニル系グラフト共重合体となるおそれがある。残余の分散安定剤15〜50重量%を重合転化率が0.5重量%に達する前に仕込むと、フィッシュアイを多く発生する塩化ビニル系グラフト共重合体となるおそれがある。残余の分散安定剤15〜50重量%を重合転化率が4重量%を超えた後に仕込むと、粗粒の多い塩化ビニル系グラフト共重合体となるおそれがある。
本発明方法においては、重合媒体となる水、エチレン−ビニルエステル共重合体、単量体、重合開始剤、分散剤、界面活性剤などのほかに、さらに必要に応じて、pH調整剤、連鎖移動剤、酸化防止剤などの改良剤を添加してグラフト重合を行うことができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
撹拌機付きの容量100リットルのオートクレーブに、イオン交換水35.0kg、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル9.3g、エチレン−酢酸ビニル共重合体[三井ポリケミカル(株)、エバフレックスEV40Y、エチレン59重量%、酢酸ビニル41重量%]16.0kgを仕込んだのち、撹拌しながらオートクレーブ内を真空脱気した。その後、ヒドロキシプロピルセルロース[信越化学工業(株)、メトローズ65SH−50]の1.0重量%水溶液3.6kgをオートクレーブ内に吸引させて仕込み、30分間撹拌した。次いで、オートクレーブに塩化ビニル18.0kgを仕込み、90分間で60℃に昇温した。オートクレーブ内の温度が60℃に達してから15分経過後、重合転化率測定のため、スラリーの一部をサンプリングしたのち、2段目のヒドロキシプロピルセルロースの1.0重量%水溶液2.4kgを加圧して仕込んだ。オートクレーブ内の温度を60℃に保持したまま重合を継続し、重合開始から5時間50分後にオートクレーブ内圧力が4.2kg/cmGに低下したとき、重合を終了し、未反応の塩化ビニルを回収した。ろ過脱水し、乾燥して、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.5kgを得た。サンプリングスラリーを用いて、2段目のヒドロキシプロピルセルロース1.0重量%水溶液2.4kgを加圧して仕込んだときの重合転化率を調べたところ、1.2重量%であった。
得られた塩化ビニル系グラフト共重合体100gに、ジブチル錫マレエート3g、ステアリン酸0.5g及びカーボンブラック20gを添加し、150℃で5分間ロール練りを行って、厚さ150μmのシートを作製した。シート裏面より光をあて、拡大鏡を用いて10cm四方内のフィッシュアイを数え、直径0.3mmより大きいフィッシュアイをフィッシュアイ(大)とし、直径0.1〜0.3mmのフィッシュアイをフィッシュアイ(小)として評価した。フィッシュアイ(大)は0個、フィッシュアイ(小)は8個であった。
実施例2
ヒドロキシプロピルセルロース水溶液の仕込み量を、昇温前に4.5kg、昇温完了15分後に1.5kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.6kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.2重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は0個、フィッシュアイ(小)は12個であった。
実施例3
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に4.8kg、昇温完了15分後に1.2kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.9kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.3重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は1個、フィッシュアイ(小)は20個であった。
実施例4
塩化ビニル18.0kgの代わりに塩化ビニル16.0kgと酢酸ビニル2.0kgを仕込んだ以外は、実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.0kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.1重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は1個、フィッシュアイ(小)は6個であった。
比較例1
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液6.0kgを昇温前に仕込み、昇温完了後にはヒドロキシプロピルセルロース水溶液の仕込みを行わないこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.5kgを得た。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は5個、フィッシュアイ(小)は43個であった。
比較例2
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に5.4kg、昇温完了15分後に0.6kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.9kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.1重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は4個、フィッシュアイ(小)は29個であった。
比較例3
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に2.4kg、昇温完了15分後に3.6kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、粗粒を多く含んだ白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体31.0kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.2重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は0個、フィッシュアイ(小)は3個であった。
比較例4
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に1.2kg、昇温完了15分後に4.8kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行った。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.3重量%であった。60℃への昇温が完了したのち2時間後にオートクレーブ内が固結し、撹拌が不可能になったので重合を中止した。
比較例5
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に1.0kg、昇温完了15分後に0.7kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行った。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.1重量%であった。60℃への昇温が完了したのち1.5時間後にオートクレーブ内が固結し、撹拌が不可能になったので重合を中止した。
比較例6
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に8.0kg、昇温完了15分後に4.0kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.6kgを得た。2段目のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を仕込んだときの重合転化率は1.1重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は5個、フィッシュアイ(小)は35個であった。
比較例7
ヒドロキシプロピルセルロース1重量%水溶液の仕込み量を、昇温前に3.6kg、昇温完了120分後に2.4kgとした以外は、実施例1と同様にして重合を行い、粗粒を多く含んだ白色粉末状の塩化ビニル系グラフト共重合体30.7kgを得た。昇温完了120分後のサンプリングスラリーを用いて、重合転化率を調べたところ、13重量%であった。
実施例1と同様にしてシートを作製し、フィッシュアイを評価した。フィッシュアイ(大)は0個、フィッシュアイ(小)は11個であった。
実施例1〜4及び比較例1〜7の結果を、第1表に示す。
【0010】
【表1】
Figure 0003559412
【0011】
エチレン−酢酸ビニル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.18重量部のヒドロキシプロピルセルロースを使用し、昇温前にその60〜80重量%を仕込み、重合温度まで昇温した後にその20〜40重量%を仕込んだ実施例1〜4においては、白色粉末状のグラフト共重合体が得られ、グラフト共重合体から作製したシートのフィッシュアイは少ない。
これに対して、同じ量のヒドロキシプロピルセルロースを使用しても、昇温前にその90重量%又は全量を仕込んだ比較例1〜2においては、得られたグラフト共重合体から作製したシートのフィッシュアイが多い。また、同じ量のヒドロキシプロピルセルロースを使用しても、昇温前の仕込み量が40重量%と少ない比較例3においては、共重合体粒子中に粗粒が多く、昇温前の仕込み量が20重量%とさらに少ない比較例4においては、固結を生じて重合を完結することができなかった。
使用するヒドロキシプロピルセルロースの量が少なすぎる比較例5においても、固結を生じて重合を完結することができず、一方、使用するヒドロキシプロピルセルロースの量が多すぎる比較例6においては、白色粉末状のグラフト共重合体が得られたが、グラフト共重合体から作製したシートのフィッシュアイが多い。
使用するヒドロキシプロピルセルロースの昇温前仕込み量が60重量%であっても、重合転化率が13重量%に達してから残りの40重量%を仕込んだ比較例7のグラフト共重合体は、共重合体粒子中に粗粒の多いものとなった。
【0012】
【発明の効果】
本発明方法によれば、重合に際して適当量の分散安定剤を使用し、昇温前と、重合温度まで昇温した後の2回に分割して仕込むという簡単かつ容易な操作により、フィルム、シートなどに成形したとき、フィッシュアイの発生の少ない塩化ビニル系グラフト共重合体を製造することができる。

Claims (3)

  1. エチレン−ビニルエステル共重合体に、ラジカル重合法により塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物をグラフト重合させる塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法において、エチレン−ビニルエステル共重合体と単量体の合計量100重量部当たり0.1〜0.3重量部の分散安定剤を使用し、分散安定剤の50〜85重量%を昇温前に仕込み、次いで昇温して重合反応を開始し、残余の分散安定剤15〜50重量%を重合転化率が0.5〜4重量%の間に仕込むことを特徴とする塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法。
  2. エチレン−ビニルエステル共重合体の量が40〜70重量%であり、塩化ビニル又は塩化ビニル及びこれと共重合し得るエチレン系不飽和単量体の混合物の量が30〜60重量%である請求項1記載の塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法。
  3. エチレン−ビニルエステル共重合体が、エチレン35〜85重量%及びビニルエステル15〜65重量%からなる共重合体である請求項1又は請求項2記載の塩化ビニル系グラフト共重合体の製造方法。
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