JP3558082B2 - ニッケル−カドミウム系二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1C以上の急速充電をおこなうために必要な電池構成を検討した結果、最適な正極板,負極板および電解液組成を見いだし、信頼性の高い超急速充電用ニッケル−カドミウム電池などのニッケル系二次電池を提供するものである。これによって、ポータブル機器等の簡便さが一層よくなり、用途の拡大が期待できる。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発展によって新しい高性能の二次電池の出現が期待されている。現在、電子機器の電源としては、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・亜鉛電池、ニッケル・水素化物電池のニッケル系電池および鉛電池が使用されている。これらの二次電池は、高容量化とならんで急速充電性能の向上が求められている。そのうち、ニッケル系二次電池は、正極板として水酸化ニッケル電極が使用されている。この正極板の電極反応は H イオンの拡散であり、鉛電池の正極の電極反応のように溶解・析出機構でないことから、長寿命の高性能電極として使用されている。
【0003】
この電極を充電すると水酸化ニッケルはオキシ水酸化ニッケル(NiOOH) となる。このオキシ水酸化ニッケルはβ形とγ形があるが、充電時にγ−NiOOHが生成すると31% の体積膨張がおこり、さらにγ−NiOOHの放電生成物であるα−NiOOHになると59% の膨張となる。
【0004】
近年、電池の高エネルギ−密度化をはかるために、活物質を多く充填すると、電極の残留多孔度が小さくなり、活物質が膨張すると電極が厚くなり、セパレ−タの電解液が電極に移動して内部抵抗が増大するいわゆる“ドライアップ”現象が生じたり、電極が崩壊して短絡が発生することもある。さらに、充電時間の短縮が要求される用途、すなわち、急速充電をおこなう場合には、γ−NiOOHの生成がとくにおこりやすくなるために、その対策が必要になってきた。
【0005】
従来より、水酸化ニッケル活物質の利用率を向上させる目的で、活物質に水酸化コバルトを添加する方法( 例えば電気化学31,47(1936),特許公開公報50−132441)、また活物質をニッケル基板に充填したのちCo(OH) を形成させる方法( 例えば特許公報昭和57−005018)・Cd(OH) −Ni(OH) の二元系を形成させる方法( 例えば特許公報平2−39063,USP4603094(1984),特許公報昭56−36796) ・Ni(OH) −Co(OH) −Cd(OH) の三元系を形成させる方法(例えば特許公報平3−20860,USP395686(1976))等が提案されている。さらに、活物質の保持体である焼結ニッケル基板に金属コバルトを含有させる方法も提案されている(例えば特許公報昭54−1010)。しかしながらγ−NiOOHの生成の抑制の観点からは不充分であった。
【0006】
さらに、急速充電用密閉形電池を開発するためには、ガス吸収性能を向上させる必要があるが、1C以上のガス吸収性能を達成することは、原理的にも、また、ガス吸収による発熱による電池の劣化等によって極めて困難であった。さらに、急速充放電をおこなうと、温度上昇や過電圧の増大によって、水酸化カドミウムのマイグレーションやカドミウムのデンドライド成長による内部短絡によって、あるいはガス吸収反応による充電時の異常発熱がおこる。電池の内部短絡を抑制し、長寿命化をはかる手段として微孔性セパレータを使用する提案(例えば特許公開公報,平−1−264167)があるが、正極ニッケル基体や電解液濃度と関連づけて、さらに最適化をはかる必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
例えばニッケル・カドミウム電池は、高エネルギー密度化と急速充電性能の向上が求められている。しかしながら、高エネルギー密度電池や急速充電用電池に使用される水酸化ニッケル正極板は充放電サイクルが進むと膨潤して厚くなり、セパレ−タの電解液が電極に移動して内部抵抗が増大する、いわゆるドライアップ現象が生じて、電池寿命が短くなるという欠点があった。とくに、活物質保持体であるニッケル基体の多孔度が8O% 、とくに85% 以上のものを使用すると、基板の強度が弱いために、正極板の膨潤が大きくなるという課題がある。
【0008】
また、1C以上の急速充電をおこなうと、ガス吸収による急激な熱の発生によって、セパレ−タの材質が劣化して内部抵抗が増大したり、電解液のカドミウムの溶解度が高くなってカドミウムのマイグレーションによる内部短絡が発生しやすくなるという課題があった。さらに、この短絡の程度が微少である場合には、急速充電すなわち大きな電流を流すと、ジュール熱によって電池が高温になるという新たな課題が発生し、その対策が望まれている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活物質に金属ニッケルを含まないプラスチックボンデッド電極の負極とモル濃度が7Mを越え14M以下のアルカリ水溶液の電解液とを備えた1C以上の急速充電をおこない、負極の分極に基づく電圧の変化を検出して充電を制御するニッケル−カドミウム系二次電池である。
【0010】
【発明の実施の形態】
水酸化ニッケル正極板の活物質が充電によってγ−NiOOHに変化するのを抑制して利用率を向上させるために、水酸化コバルトを活物質に添加して水酸化ニッケルと固溶体を形成させたり、あるいは水酸化カドミウムを添加して、同様に固溶体を形成させる手段は普遍的な技術として知られている。
【0011】
本発明は、高エネルギー密度電池や急速充電用電池に使用される水酸化ニッケル正極板は充放電サイクルが進むと膨潤して厚くなり、セパレータの電解液が電極に移動して内部抵抗が増大してドライアップ現象が生じ、電池寿命が短くなるという欠点の原因が、水酸化ニッケル活物質の充電生成物としてγ−NiOOHが生成することにあるという従来から公知の現象のほかに、活物質保持体として使用するニッケル多孔体が充放電によって酸化をうけて、水酸化ニッケルとなり、それがγ−NiOOHになるために、正極板が膨潤して厚くなり、それによってセパレータの電解液が極板に移動することが大きな原因であることを見いだしたことに基づくものである。
【0012】
そして、その対策として活物質保持体のニッケルにコバルトを含有させ、基板の酸化で生成する水酸化ニッケルがさらに酸化されてγ−NiOOHになることを抑制する手段を提供するものである。また、ニッケル多孔体が充放電によって酸化をうけて、水酸化ニッケルとなり、それがγ−NiOOHになるために必要な余分の水酸化カリウムをあらかじめ補償した電解液、すなわち高濃度の電解液を使用すれば、サイクル経過にともなう内部抵抗の増大を抑制できる。
【0013】
さらに、高濃度の電解液を使用すると、カドミウムの溶解度が増大して、超急速充電した場合におこる初期の異常な充電電圧の上昇による負極からの水素発生およびそれにともなって正極からの酸素ガスの発生を抑制できる。さらに加えて超急速充電用電池は、充電時に電流密度が集中するために、微少短絡が生じやすく、そのために、大きな電流が流れ電池が発熱するという新たな課題があるので、その対策を付与する必要がある。その対策として、微孔性フィルムセパレータとくに多孔度が30% 以上のものを採用するとガス吸収性能を阻害することなく、微少短絡の発生が抑制でき、電池の異常な発熱もおこらない。
【0014】
また、プラスチックボンデッド電極の負極を使用すると、焼結式カドミウム負極板を使用した場合に比較して充電時の終期電圧の変化が大きくおこるために、その電圧変化を検出して、酸素ガスが発生する過充電領域の電流を制限する充電方法すなわち定電圧法や小さな電流で充電する方法が適用できる。この方法を適用すると必要以上の過充電をしないので、急速充電にともなう上述した種々の問題を軽減できる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を用いて説明する。
[実施例1]カーボニルニッケル粉末と2wt%の金属コバルト粉末とを混合したのち、0.1wt%のメチルセルローズ水溶液と混練してスラリーにする。このスラリーをニッケルメツキした0.1mm の穿孔板に塗布したのち、ヒーターで乾燥してから水素の還元雰囲気中950 ℃で焼結して多孔度が87% の焼結ニッケル基板を製作した。つぎに、この焼結式ニッケル基板に硝酸コバルト2mol% を含む5Mの硝酸ニッケル水溶液を80℃で含浸したのち、80 ℃の5 Mの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する。その後、湯洗・乾燥するという操作を8 回おこなった。その後、湯洗・乾燥して、理論容量が350 mAh、寸法が0.8×14×52(mm)の正極板を製作した。
【0016】
実施例1で金属コバルト粉末の含有率を0,1,3,5wt%と変えた正極板2 枚と従来から公知の理論容量が500 mAhで、寸法が0.7×15×52(mm)の焼結式カドミウム負極板3 枚を製作した。つぎに、この正極板を0.12mmのポリアミド不織布セパレータで包んだのち、ヒートシールした。つづいて、正極板と負極板とを交互に積み重ねて極板群とした。
【0017】
この極板群と電解液として5 〜14M の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液2.5ml を用いて公称容量が650mAhのニッケルメッキした鉄電槽を使用した角形ニッケル・カドミウム電池を製作した。外形寸法は67×16.5×8(mm)であり、電池には0.5kg/cm で作動する安全弁を付けている。金属コバルトの含有率が0,1,3,5wt%の電池の符号をA,B,C,D する。
【0018】
これらの電池を25℃,5Cという大きな電流で電圧が1.65V に到るまで充電したのち、その検出電圧よりも低い設定電圧が1.50V の定電圧をおこない( 合計時間は15分間とした) 、その後0.5Cの電流で1.0 vまで放電するというサイクル試験をおこなった。サイクル経過にともなう放電容量の保持率の変化を図1に示す。同図より、ニッケル基板に含まれるコバルトの含有率が0wt%(A) のものは, 充放電サイクル数が400 回を越えると放電容量が低下するが、1wt%(B),3wt%(C) および5wt%(D) のものの容量は安定して良好であることがわかる。
【0019】
これらの電池の500 サイクル目の内部抵抗の値と使用した電解液濃度との関係を図2に示す。金属コバルトの含有率が1wt%(B),3wt%(C) および,5wt%(D)のものの内部抵抗の値は、コバルトの含有率が0wt%(A) のものよりも低いことがわかる。また、内部抵抗の値は電解液の濃度によって大きな影響をうけ、濃度が濃くなると低くなることがわかる。また、内部抵抗の値が急上昇すると電池の放電容量も減少するとともに、充電電圧が高くなり、放電電圧は低くなった。金属コバルトの含有率が0%の電池A を解体して、電池のエレメントを調査したところ、セパレータの電解液は枯渇しており、正極板は厚く膨れていた。電池の重量減少は、ほとんどなかったことから、金属コバルトの含有率が0%のものはニッケル基板が酸化をうけてγ−NiOOHの生成がおこっていることを意味するものと考えられる。このγ−NiOOHの示性式は K0.33 NiO ・0.67H O であり、電解液が正極に吸収されることを意味する。
【0020】
一方、金属コバルトを含有するニッケル基板を使用した電池を解体して調査したところ、金属コバルトの含有率が0%の電池A の場合に比較して、正極板の膨潤は少なく、セパレータは電解液で濡れていた。このことは、金属コバルトを含有するニッケル基板を使用した正極板は、そのニッケル基板のニッケルが酸化をうけて生成する水酸化ニッケルにコバルトが含まれるために、充電時にγ−NiOOHになりにくく、膨潤が少なくなるものと考えられる。
【0021】
一般に電極が膨潤すると、セパレータの電解液は電極に移動して、電池の内部抵抗の値が上昇する。この内部抵抗の値が上昇して70mΩを越えるようになると、放電容量が著しく低下することが経験的に判明している。内部抵抗の値を70mΩ以下に設定するためには、図2から、ニッケル基板の金属コバルトの含有率の値を1wt%(B) の場合は8.5M,3wt%(C) の場合には7.6M,5wt%(D)の場合には6.5M以上の電解液濃度が必要となることがわかる。すなわち、電解液としては、基板に含まれる金属コバルトの含有率によって必要なOH イオン濃度が決められる。金属コバルトの含有率が3wt%以下の場合にはOH イオン濃度が6.5 〜14M のアルカリ水溶液の電解液が好ましい。なお、電解液として水酸化カリウムと水酸化ナリウムトとの混合水溶液について検討したが、性能はほぼ使用するOH イオン濃度の合計の濃度によって大きな影響を受けることがわかった。
【0022】
以上のように、金属コバルトを含有するニッケル基板を使用したし水酸化ニッケル正極板と濃い濃度の電解液を使用すると、10Cという極めて大きな電流で充電することができるが、この場合、一定電圧を検出したあと定電圧法やガス吸収が可能な条件で定電流法で充電することが必要である。一般的なニッケル・カドミウム電池の充電方法には、定電流で充電し、ガス吸収反応による温度上昇あるいは電圧降下を検出して充電を制御する方式(−ΔV方式)が採用されているが、この方法では、1Cを越える急速充電は困難であった。例えば、2C充電をおこなうと、その電流に相当するガス吸収性能は困難で、6 〜15kg/cm に設定されている安全弁から吸収されない酸素ガスが散逸して、電解液の減少となり、内部抵抗が増大して充電不能となつたり、放電容量が著しく低下する。また、ガス吸収による発熱が大きくセパレータの劣化による電解液の炭酸根の増大によっても性能が劣化することになる。
【0023】
このような電圧を検出して、充電を制御する方法には、特許公開公報,平−309265 やUSP,No5,077,151 等で提案があるような、鉛電池の場合のように負極の電位変化を検出して充電を制御する方式が望ましい。このような機能は、前述したような水素過電圧の小さい焼結式ニッケル基板を使用した負極板よりも、水素過電圧が大きいプラスチックボンデッド負極板を適用することが望ましい。この場合負極活物質中のリザーブにCd(OH) の量を少なくすると、この負極の分極に基づく電位変化は大きく現れる。
【0024】
つぎに、プラスチックボンデッド負極板を適用した場合の実施例について詳述する。水酸化カドミウム粉末100 部と金属カドミウム粉末20部と長さ1mm のポリプロピレンの短繊維0.1 部とを0.1wt%のポリビニルアルコ−ルを含むエチレングリコ−ルで混合してペ−スト状にする。このペ−ストを0.5μm のニッケルメッキした厚さ0.1mm の穿孔鋼板に塗着したのち、150 ℃で乾燥したのち、加圧して理論容量が500mAhで寸法が0.7×15×52(mm)のプラスチックボンデッドカドミウム負極板を製作した。つぎに、活物質保持体のニッケルに含有させる金属コバルト粉末の含有率を0,1wt%と変えた多孔度90% の発泡式ニッケル基体に水酸化コバルトを2wt%含む直径が5μm の球状の水酸化ニッケル粉末100 部と金属コバルト10部とを混合したのち、0.1wt%のメチルセルロ−ズ水溶液50mlを加えて、混合してペ−スト状にしたものを充填する。その後、100 ℃で熱風乾燥してから、ポリテトラフルオロエチレン粉末の40wt%のディスパ−ジョン溶液に浸漬してから同じ温度で再乾燥する。その後、5Mの水酸化ナトリウム水溶液中で、対極に平滑ニッケル板を使用し0.1C( 充放電反応が1 電子反応とした場合の理論容量を基準とした) で15時間充電後、0.2Cで0V(Hg/HgO)まで放電した。この極板をさらに、100 ℃で熱風乾燥してから、加圧プレスをおこない、理論容量が350 mAh、寸法が0.8×14×52( mm) の正極板を製作した。この正極板2 枚を0.12mmのポリアミド不織布セパレータで包んだのち、ヒ−トシ−ルした。つづいて、正極板と負極板とを交互に積み重ねて極板群とした。この極板群と電解液として5 〜14M の濃度の異なる水酸化カリウム水溶液2.5ml を用いて公称容量が650mAhのニッケルメッキした鉄電槽を使用した角形ニッケル・カドミウム電池を製作した。外形寸法は67×16.5×8(mm) であり、電池には0.5kg/cm で作動する安全弁を付けている。金属コバルトの含有率が0,1wt%の電池の符号をそれぞれE,F とする。
【0025】
これらの電池を25℃,10 Cという極めて大きな電流で電圧が1.65V に到るまで充電したのち、今度は設定電圧を変えることなく1.65V の定電圧をおこない( 合計時間は10分間とした) 、その後0.5Cの電流で1.0 vまで放電するというサイクル試験をおこなった。これらの電池の300 サイクル目の内部抵抗の値と電解液濃度との関係を図3に示す。
【0026】
プラスチックボンデッドカドミウム負極板を使用した電池の場合も、金属コバルトの含有率が1wt%(F) のものの内部抵抗の値は、コバルトの含有率が0wt%(E)のものよりも低いことがわかる。また、内部抵抗の値は電解液の濃度によって大きな影響をうけ、濃度が濃くなると低くなることがわかる。とくに、プラスチックボンデッドカドミウム負極板を使用すると10Cという超急速充電でも、電解液の濃度が8.5M以上になると電池の内部抵抗の値を実用的な充放電サイクル数が300 回まで70mΩ以下に抑制することができる。このように、プラスチックボンデッドカドミウム負極板を使用すると良好なサイクル特性が得られるのは、前述したように、この負極板の水素過電圧が焼結式ニッケル基板よりも、はるかに大きいために定電圧領域で局部的な水素の発生が抑制され、電解液の枯渇の程度が小さいことに起因するものと考えらる。
【0027】
また、電解液の濃度が8.5M以上になると内部抵抗の増大が抑制されるのは、前述したニッケル基板のニッケルが酸化をうけて水酸化ニッケルが生成する際に、OH イオンが消費されることに基づくもののほかに、高濃度の電解液を使用すると、カドミウムの溶解度が増大して、超急速充電した場合におこる初期の異常な充電電圧の上昇による負極からの水素発生およびそれにともなって正極からの酸素ガスの発生を抑制できる点がある。その一例として、電池E すなわち金属コバルトの含有率が0wt%の正極板で、電解液濃度を7Mおよび10M とした場合の電池それぞれG,H の5Cおよび10C 充電特性を図4に示す。
【0028】
通常使用される濃度の電解液を使用した電池G を5Cや10C 充電した場合には、充電初期から1.6V以上の電圧に達したのち、徐々に低下してから再び上昇するという現象が現れる。ガスクロマトグラフィーによって、電池内部のガス組成を分析したところ、充電初期には、小量の水素ガスと酸素ガスの発生が検出された。このような現象が認められる濃度8.5M以下であった。また、電解液量を3ml と多くしても、わずかな分極の減少が観察されるが、同様な現象が認められたので、液量を多くする手段では効果が少ない。一方、10M とした場合には、10C 充電した場合にも水素ガスや酸素ガスの発生は認められなかった。したがって、電解液の濃度が薄い場合には、電解液に溶解するカドミウムイオンが少なくなるために溶解・析出反応である負極板の充電反応が進行しにくくなり、負極の分極が大きくなると共に、正極の分極も同時に大きくなり、正極から酸素ガスが発生するものと考えられる。そして負極から水素ガスが発生すると負極上でのガス吸収能力が低下するために、発生した酸素ガスが弁を通して逸散し、電解液が減少するようになり、セパレータに含まれている電解液の枯渇がおこり内部抵抗が増大するものと考えられる。電解液の濃度が濃い場合には、電解液のカドミウムイオンの溶解度が高くなるために溶解・析出反応である負極板の充電反応が容易になり、負極の分極が小さくなるので、正極の分極も低下して、正極からの酸素ガスの発生も抑制されるものと考えられる。
【0029】
実施例では、ニッケル基体の多孔度が87% および90% と高い基体を使用したが、これらの傾向は多孔度80% とくに85% 以上の場合に顕著に現れることがわかった。
【0030】
電池の寿命モードとしては、電解液の枯渇による内部抵抗の増大と短絡の発生がある。短絡モードのうち、微少短絡が発生する場合において急速充電をした場合には、電流が大きいために、ジュール熱によって電池が高温になるという新たな課題が発生するために、微少短絡の発生を抑制することが必要である。とくに充電制御方式で定電圧法を適用した場合に、定電圧時に充電器の最大電流が流れることになる。
【0031】
このような、微少短絡を抑制するためには、セパレータに微孔性フィルムセパレータを使用すると著しい効果が生ずる。電池F と同様な構成の電池で、電解液に10M の水酸化カリウム水溶液2.5ml 、セパレータとして新たに多孔度が60% のポリプロピレン製の厚さ20μm の微孔性フィルムセパレータを不織布と併せて適用した電池J’、また、微孔性フィルムセパレータを適用しない電池J をそれぞれ10セル製作し、25℃,10 Cの電流で電圧が1.65V に到るまで充電したのち、さらに引き続いて1.65V の定電圧をおこない( 合計時間は10分間とした) 、その後0.5Cの電流で1.0 vまで放電するというサイクル試験をおこなった。
【0032】
500 サイクルを越えると、微孔性フィルムセパレータを備えない電池の3 セルに、定電圧領域で電流が一旦、減衰したのち増加するという現象が現れるとともに電池温度が上昇して100 ℃付近に達するようになった。電池を解体して、調査したところセパレータには電解液量が少なくなり、水酸化カドミウムのマイグレーションが生じて微少短絡が認められた。
【0033】
一方、また微孔性フィルムセパレータを備えた電池には、このような温度上昇はなく、1,000 サイクルに達しても異常な現象はおこらなかった。代表的な充電時の電圧、電流および温度変化を図5に示す。このように、微孔性フィルムセパレータを備えた電池に定電圧領域で異常な発熱が生じないのは、この微孔性フィルムセパレータによって水酸化カドミウムのマイグレーションによる微少短絡の発生が抑制されるとともに、正極から発生する酸素の透過が抑制されてガス吸収性能による異常な発熱が制限されることによるものと考えられる。
【0034】
この微孔性フィルムセパレータの機能としては、水酸化カドミウムのマイグレーションによる微少短絡の発生を抑制することが必要であり、その孔径は0.1 〜20μm 、多孔度は20〜90% であればよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、活物質に金属ニッケルを含まないプラスチックボンデッド電極の負極とモル濃度が7Mを越え14M以下のアルカリ水溶液の電解液とを備えた1C以上の急速充電をおこない、負極の分極に基づく電圧の変化を検出して充電を制御するニッケル−カドミウム系二次電池に関するものであり、急速充電が可能なニッケル−カドミウム系二次電池とすることができる。
【0036】
とくに、プラスチックボンデッド電極の負極板・微孔性フィルムセパレ−タ等を使用することにより信頼性がより向上する。また、ニッケル基体の多孔度が85〜98% のものを使用した高エネルギー密度の正極板の長寿命化がはかれることから、高エネルギー密度の急速充電用電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による構成の密閉形ニッケル・カドミウム電池と従来の電池の充放電サイクル経過にともなう電池の容量保持率を比較した図。
【図2】コバルトの含有率の異なる基板を使用した正極板と濃度の異なる電解液を使用した電池の内部抵抗の変化を比較した図。
【図3】プラスチックボンデッドカドミウム負極板を使用した電池で、金属コバルトの含有する基板と含まない正極板を使用し、さらに濃度の異なる電解液を使用した電池の内部抵抗の変化を比較した図。
【図4】金属コバルトを含まない基板を使用した正極板で、電解液濃度が異なる電池の5Cおよび10C 充電特性を示した図。
【図5】微孔性フィルムセパレ−タを備えた電池と備えない電池の500 サイクルを越えた場合の代表的な充電時の電圧、電流および温度変化を示した図。

Claims (1)

  1. 活物質に金属ニッケルを含まないプラスチックボンデッド電極の負極とモル濃度が7Mを越え14M以下のアルカリ水溶液の電解液とを備えた1C以上の急速充電をおこない、負極の分極に基づく電圧の変化を検出して充電を制御するニッケル−カドミウム系二次電池。
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JP2007109501A (ja) * 2005-10-13 2007-04-26 Furukawa Battery Co Ltd:The アルカリ蓄電池

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