JP3558055B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機関排気通路内に燃焼室から排出された排気ガス中の微粒子を除去するためのパティキュレートフィルタを配置した内燃機関の排気浄化装置が知られている。この種の内燃機関の排気浄化装置の例としては、例えば特公平7−106290号公報に記載されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが特公平7−106290号公報には、パティキュレートフィルタに担持されている触媒が、周囲に過剰酸素が存在する時に酸素を取り込んで酸素を保持する点について開示されていない。また特公平7−106290号公報には、パティキュレートフィルタに担持されている触媒が、周囲の酸素濃度が低下した時にその保持した酸素を活性酸素の形で放出する点についても開示されていない。従って特公平7−106290号公報に記載された内燃機関の排気浄化装置の触媒では、周囲に過剰酸素が存在する時に酸素を取り込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下した時にその保持した酸素を活性酸素の形で放出することができない。それゆえ、特公平7−106290号公報に記載された内燃機関の排気浄化装置では、活性酸素を放出する触媒を必要に応じて再生することもできない。
【0004】
また従来よりディーゼル機関においては、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内にパティキュレートフィルタを配置してこのパティキュレートフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、パティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめることによりパティキュレートフィルタを再生するようにしている。ところがパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子は600℃程度以上の高温にならないと着火燃焼せず、これに対してディーゼル機関の排気ガス温は通常、600℃よりもかなり低い。従って排気ガス熱でもってパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼させるのは困難である。
【0005】
一方、パティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子にNOを反応させると比較的低温であっても微粒子を着火燃焼せしめることができる(NO+C→NO+CO,NO+CO→NO+CO,2NO+C→2NO+CO)。しかしながら排気ガス中に含まれる窒素酸化物の大部分はNOであり、従ってNOとの反応により微粒子を着火燃焼せしめるためにはNOをNOに変換しなければならない。この場合、パティキュレートフィルタ上流の機関排気通路内に酸化触媒を配置し、この酸化触媒によりNOを酸化させるようにすればNOをNOに変換することができ、斯くして比較的低温であってもパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめることができる。
【0006】
一方、排気ガス温が一定温度、例えば350℃よりも低い時には排気ガス中のNOを吸収し、排気ガス温が350℃を越えると吸収したNOをNOの形で放出するNO吸収剤が公知である。このNO吸収剤は例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とにより構成されている。このNO吸収剤を用いると排気ガス温が350℃よりも高くなった時にNO吸収剤からNOが放出され、NOが白金Ptにより酸化されてNOとなり、斯くしてパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を更に着火燃焼しやすくなる。
【0007】
ところが酸化触媒によるNOからNOへの変換作用は排気ガス温に依存しており、この変換作用は一定の排気ガス温範囲内においてのみ行われる。従って排気ガスがこの排気ガス温範囲外になった時にはもはやNOからNOへの変換作用は行われず、斯くしてパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめることができなくなる。また、NO吸収剤を用いた場合にもNO吸収剤からNOが放出されるのは350℃以上の限られた排気ガス温範囲内であり、しかもNO吸収剤から放出されるNOの量には限度がある。
【0008】
そこでパティキュレートフィルタ上流の排気通路内に酸化触媒を配置すると共にパティキュレートフィルタ上にNO吸収剤を担持させ、酸化触媒によるNOからNOへの変換作用が行われる中負荷運転状態及びNO吸収剤からNOが放出されてNOとなる中負荷運転状態になった時にはこれらNOによりパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめ、これらNOの発生が期待できない高負荷運転時には排気ガス温を600℃以上まで上昇させることによってパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼させ、これらNOの発生が期待できない低負荷運転時には電気ヒータにより排気ガス温を上昇させてNOを発生させ、更に排気ガス温が低くなる極めて負荷が低い時には排気通路内に軽油及び2次空気を供給して軽油の燃焼熱によりパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼させるようにしたディーゼル機関が公知である(特開平8−338229号公報参照)。
【0009】
このように従来よりパティキュレートフィルタは排気ガス中の微粒子を捕集するためのものであると考えられており、従って従来ではパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子、即ちパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積した微粒子をどのようにして着火燃焼せしめるかに全ての努力が払われていた。即ち、微粒子は一旦パティキュレートフィルタ上において積層状に堆積してしまうと着火燃焼しづらくなり、この場合、堆積した微粒子を着火燃焼せしめるには600℃以上の高温が必要となる。従って従来ではどのような方法によって600℃以上の高温を作るかが一つの焦点となっていた。
【0010】
一方、前述したようにパティキュレートフィルタ上に堆積した微粒子にNOを反応させると比較的低温であっても微粒子が着火燃焼せしめられ、従ってこの場合には600°以上の高温を作らなくてもパティキュレートフィルタ上に堆積した微粒子を着火燃焼せしめることができる。しかしながらNOを発生させることのできる運転領域は限られているのであらゆる運転領域において比較的低温でもって微粒子を着火燃焼することができない。いずれにしても従来ではパティキュレートフィルタは微粒子を捕集するためのものであることを前提とし、パティキュレートフィルタ上に積層状に堆積した微粒子をどのようにして着火燃焼せしめるかに焦点が絞られていた。
【0011】
しかしながらこのような従来の既成概念を捨て、微粒子の挙動を詳細に研究した結果、一定の条件を満たすと微粒子はパティキュレートフィルタ上に捕集されず、微粒子がパティキュレートフィルタに付着するや否や短時間のうちに酸化せしめられることが判明したのである。別の言い方をすると微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積する前に微粒子を酸化させることができればパティキュレートフィルタ上に微粒子が捕集されることなく、ほぼ100%排気ガス中の微粒子を除去することができることが判明したのである。
【0012】
また、微粒子の挙動を詳細に研究した結果、パティキュレートフィルタに、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を保持し、かつ周囲の過剰酸素が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出する酸素吸蔵・活性酸素放出剤を担持すると、放出される活性酸素によってパティキュレートを酸化除去する能力が格段に向上することが判明した。さらに研究を進めると、この酸素吸蔵・活性酸素放出剤は、排気ガス中に含まれる特定の成分によって、被毒を受けると、周囲の過剰酸素が低下しても活性酸素は放出されづらく、もってパティキュレートの酸化能力をさほど向上させることができないことが判明したのである。
【0013】
上記問題点に鑑み、本発明は、微粒子を活性酸素により酸化させると共に、パティキュレートフィルタを必要に応じて再生することにより内燃機関の燃費を向上させつつパティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを抑制することができる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、機関排気通路内に燃焼室から排出された排気ガス中の微粒子を除去するためのパティキュレートフィルタを配置した内燃機関の排気浄化装置において、前記パティキュレートフィルタ上では捕集微粒子が酸化させられ、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードと、前記パティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードとを具備し、第一の運転モードと第二の運転モードとを必要に応じて切り換えるようにした内燃機関の排気浄化装置において、前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量を更に増大していくと前記燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる内燃機関を用い、第一の運転モードが選択されている時であって機関低負荷運転時に煤の発生量がピークとなる不活性ガスの量よりも前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量が多く煤がほとんど発生しない低温燃焼が実行され、第一の運転モードが選択されている時であって機関中高負荷運転時に煤の発生量がピークとなる不活性ガスの量よりも前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量が少ない通常燃焼が実行され、第二の運転モードが選択されている時であって機関低負荷運転時に低温燃焼が実行され、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時に副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角され、第二の運転モードが選択されている時であって機関高負荷運転時に通常燃焼が実行されることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0015】
請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置では、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードとパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードとが必要に応じて切り換えられる。そのため、内燃機関の燃費を向上させつつパティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを抑制することができる。詳細には、原則的に内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードが選択され、パティキュレートフィルタを再生することが必要になった時にパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択される。そのため、パティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。また、パティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時に副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角される。そのため、低温燃焼を実行可能な機関低負荷運転時でなく、かつ、高温排気ガスを排出可能な機関高負荷運転時でない機関中負荷運転時であってもパティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度を高くすることができ、それゆえ、パティキュレートフィルタを再生することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記パティキュレートフィルタが酸素吸蔵・活性酸素放出剤を担持し、前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤から放出された活性酸素が前記パティキュレートフィルタ上で捕集微粒子を酸化することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0017】
請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置では、酸素吸蔵・活性酸素放出剤から放出された活性酸素が捕集微粒子を酸化させるために、従来の場合のように微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積した後にその微粒子が輝炎を発して除去されるのと異なり、微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積する前に、輝炎を発することなくその微粒子を酸化除去することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0019】
請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートの付着等によって周囲の酸素濃度が低下すれば、酸素吸蔵・活性酸素放出剤は自然に活性酸素を放出して捕集微粒子を酸化除去することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素が存在するとNOを酸素と結合させて保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると結合させたNO及び酸素をNOと活性酸素とに分解して放出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0021】
請求項4に記載の内燃機関の排気浄化装置では、酸素吸蔵・活性酸素放出剤は排気ガス中のNOも吸蔵し、パティキュレートの付着等によって周囲の酸素濃度が低下すれば、酸素吸蔵・活性酸素放出剤は自然に活性酸素を放出して捕集微粒子を酸化除去することができる。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、第二の運転モードが選択されている時であって前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時、低温燃焼が実行されている場合には空燃比をリーン化し、副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている場合には主燃料噴射時期を進角させ、通常燃焼が実行されている場合には燃料噴射時期を進角させるようにした請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0025】
請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択されて低温燃焼が実行されている時であっても、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には空燃比がリーン化される。そのため、パティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。更にパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択されて副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている時であっても、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には主燃料噴射時期が進角される。そのため、パティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。更にパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択されて通常燃焼が実行されている時であっても、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には燃料噴射時期が進角される。そのため、パティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。つまり、パティキュレートフィルタを再生している時にパティキュレートフィルタの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタが溶損してしまうのを回避することができる。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている場合に主燃料噴射時期を進角させる時には、副燃料噴射を中止するようにした請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0027】
請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置では、第二の運転モードが選択されている時であってパティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時、副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている場合に主燃料噴射時期を進角させる時には、副燃料噴射が中止される。そのため、そのような時に副燃料噴射を実行するのに伴ってHCが増大し、パティキュレートフィルタの床温上昇の低下度合いが小さくなってしまうのを回避することができる。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、第二の運転モードが選択されている時であって前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には、第一の運転モードが選択されている時に実行される燃焼を割り込み実行するようにした請求項1からのいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0029】
請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードが選択されている時であっても、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードが選択されている時に実行される燃焼であって、詳細にはパティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度が比較的低くなる燃焼が割り込み実行される。そのため、パティキュレートフィルタを再生している時にパティキュレートフィルタの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタが溶損してしまうのを回避することができる。
【0030】
請求項に記載の発明によれば、前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを、第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えを行った時からの経過時間に基づいて判定するようにした請求項5から7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0031】
請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かが、第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えを行った時からの経過時間に基づいて判定される。そのため、パティキュレートフィルタの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的容易に判定することができる。
【0032】
請求項に記載の発明によれば、前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを排気ガス温度に基づいて判定するようにした請求項5から7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0033】
請求項に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かが排気ガス温度に基づいて判定される。そのため、パティキュレートフィルタの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的正確に判定することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、前記パティキュレートフィルタに微粒子が所定量堆積したと推定された時に第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えを行うようにした請求項1からのいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0035】
請求項10に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタに微粒子が所定量堆積したと推定された時に内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードからパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードへの切り換えが行われる。そのため、パティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。
【0036】
請求項11に記載の発明によれば、前記パティキュレートフィルタの排気ガス流れ上流側に酸化機能を有する触媒を配置した請求項1から10のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
【0037】
請求項11に記載の内燃機関の排気浄化装置では、パティキュレートフィルタの排気ガス流れ上流側に酸化機能を有する触媒が配置される。そのため、排気ガスがその触媒を通過する際に酸化せしめられ、その酸化熱によりパティキュレートフィルタ内に流入する排気ガスの温度を上昇させることができ、パティキュレートフィルタの温度を比較的高い温度に維持することができる。また、微粒子のバインダとして作用するSOFがその触媒により酸化せしめられ、その結果、パティキュレートフィルタにおいて微粒子が堆積しづらくなるようにすることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
【0039】
図1は本発明の内燃機関の排気浄化装置を圧縮着火式内燃機関に適用した第一の実施形態を示している。なお、本発明は火花点火式内燃機関にも適用することもできる。図1を参照すると、1は機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートを夫々示す。吸気ポート8は対応する吸気マニホルド11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、更に吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。図1に示される実施形態では機関冷却水が冷却装置18内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。また吸気ダクト13内には、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ44、吸気管負圧を検出するための負圧センサ45、及び吸気温度を検出するための吸気温度センサ46が配置される。
【0040】
一方、排気ポート10は排気マニホルド19及び排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21に連結され、排気タービン21の出口はパティキュレートフィルタ22a及び酸化機能を有する吸蔵還元型NO触媒22bを内蔵したケーシング23に連結される。吸蔵還元型NO触媒22bはパティキュレートフィルタ22aの排気ガス流れ上流側に配置されている。尚、本実施形態の変形例では、吸蔵還元型NO触媒22bの代わりに、酸化機能を有する任意の酸化触媒を配置することが可能である。また、本実施形態の変形例では、パティキュレートフィルタ22a及び吸蔵還元型NO触媒22bを隣接して配置する代わりに、例えば吸蔵還元型NO触媒22bをパティキュレートフィルタ22aから離間させて配置することも可能である。排気マニホルド19内には空燃比センサ47が配置され、また、ケーシング23の上流側の排気管20内にはケーシング23内に流入する排気ガスの温度である入りガス温度を検出するための入りガス温度センサ39aが配置され、ケーシング23の下流側の排気管20内にはケーシング23から流出する排気ガスの温度である出ガス温度を検出するための出ガス温度センサ39bが配置される。
【0041】
排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24を介して互いに連結され、EGR通路24内には電気制御式EGR制御弁25が配置される。また、EGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。図1に示される実施形態では機関冷却水が冷却装置26内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。更に冷却装置26に対しEGRガス流れ上流側には冷却装置26内に流入するEGRガスを浄化するためのパイプ触媒22cが配置される。一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0042】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。燃料圧センサ29の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、入りガス温度センサ39a及び出ガス温度センサ39bの出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。エアフローメータ44の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力され、負圧センサ45の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力され、吸気温度センサ46の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。気筒内の燃焼圧を検出するための燃焼圧センサ43の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、及び燃料ポンプ28に接続される。
【0043】
図2にパティキュレートフィルタ22aの構造を示す。なお、図2において(A)はパティキュレートフィルタ22aの正面図を示しており、(B)はパティキュレートフィルタ22aの側面断面図を示している。図2(A)及び(B)に示されるようにパティキュレートフィルタ22aはハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路50,51を具備する。これら排気流通路は下流端が栓52により閉塞された排気ガス流入通路50と、上流端が栓53により閉塞された排気ガス流出通路51とにより構成される。なお、図2(A)においてハッチングを付した部分は栓53を示している。従って排気ガス流入通路50及び排気ガス流出通路51は薄肉の隔壁54を介して交互に配置される。云い換えると排気ガス流入通路50及び排気ガス流出通路51は各排気ガス流入通路50が4つの排気ガス流出通路51によって包囲され、各排気ガス流出通路51が4つの排気ガス流入通路50によって包囲されるように配置される。パティキュレートフィルタ22aは例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、従って排気ガス流入通路50内に流入した排気ガスは図2(B)において矢印で示されるように周囲の隔壁54内を通って隣接する排気ガス流出通路51内に流出する。
【0044】
本発明による実施形態では各排気ガス流入通路50及び各排気ガス流出通路51の周壁面、即ち各隔壁54の両側表面上、栓53の外端面及び栓52,53の内端面上には全面に亘って例えばアルミナからなる担体の層が形成されており、この担体上に貴金属触媒、及び周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出する酸素吸蔵・活性酸素放出剤が担持されている。この場合、本発明による実施形態では貴金属触媒として白金Ptが用いられており、酸素吸蔵・活性酸素放出剤としてカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRbのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCa、ストロンチウムSrのようなアルカリ土類金属、ランタンLa、イットリウムYのような希土類、及び遷移金属から選ばれた少なくとも一つが用いられている。なお、この場合酸素吸蔵・活性酸素放出剤としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましい。
【0045】
次にパティキュレートフィルタ22aによる排気ガス中の微粒子除去作用について担体上に白金Pt及びカリウムKを担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類、遷移金属を用いても同様な微粒子除去作用が行われる。図1に示されるような圧縮着火式内燃機関では空気過剰のもとで燃焼が行われ、従って排気ガスは多量の過剰空気を含んでいる。即ち、吸気通路及び燃焼室5内に供給された空気と燃料との比を排気ガスの空燃比と称すると図1に示されるような圧縮着火式内燃機関では排気ガスの空燃比はリーンとなっている。また、燃焼室5内ではNOが発生するので排気ガス中にはNOが含まれている。また、燃料中にはイオウSが含まれており、このイオウSは燃焼室5内で酸素と反応してSOとなる。従って排気ガス中にはSOが含まれている。従って過剰酸素、NO及びSOを含んだ排気ガスがパティキュレートフィルタ22aの排気ガス流入通路50内に流入することになる。
【0046】
図3(A)及び(B)は排気ガス流入通路50の内周面上に形成された担体層の表面の拡大図を模式的に表している。なお、図3(A)及び(B)において60は白金Ptの粒子を示しており、61はカリウムKを含んでいる酸素吸蔵・活性酸素放出剤を示している。上述したように排気ガス中には多量の過剰酸素が含まれているので排気ガスがパティキュレートフィルタ22aの排気ガス流入通路50内に流入すると図3(A)に示されるようにこれら酸素OがO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着する。一方、排気ガス中のNOは白金Ptの表面上でO 又はO2−と反応し、NOとなる(2NO+O→2NO)。次いで生成されたNOの一部は白金Pt上で酸化されつつ酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら図3(A)に示されるように硝酸イオンNO の形で酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に拡散し、硝酸カリウムKNOを生成する。
【0047】
一方、上述したように排気ガス中にはSOも含まれており、このSOもNOと同様なメカニズムによって酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に吸収される。即ち、上述したように酸素OがO 又はO2−の形で白金Ptの表面に付着しており、排気ガス中のSOは白金Ptの表面でO−又はO2−と反応してSOとなる。次いで生成されたSOの一部は白金Pt上で更に酸化されつつ酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に吸収され、カリウムKと結合しながら硫酸イオンSO 2−の形で酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に拡散し、硫酸カリウムKSOを生成する。このようにして酸素吸蔵・活性酸素放出触媒61内には硝酸カリウムKNO及び硫酸カリウムKSOが生成される。
【0048】
一方、燃焼室5内においては主にカーボンCからなる微粒子が生成され、従って排気ガス中にはこれら微粒子が含まれている。排気ガス中に含まれているこれら微粒子は排気ガスがパティキュレートフィルタ22aの排気ガス流入通路50内を流れている時に、或いは排気ガス流入通路50から排気ガス流出通路51に向かう時に図3(B)において62で示されるように担体層の表面、例えば酸素吸蔵・活性酸素放出剤61の表面上に接触し、付着する。
【0049】
このように微粒子62が酸素吸蔵・活性酸素放出剤61の表面上に付着すると微粒子62と酸素吸蔵・活性酸素放出剤61との接触面では酸素濃度が低下する。酸素濃度が低下すると酸素濃度の高い酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内との間で濃度差が生じ、斯くして酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内の酸素が微粒子62と酸素吸蔵・活性酸素放出剤61との接触面に向けて移動しようとする。その結果、酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に形成されている硝酸カリウムKNOがカリウムKと酸素OとNOとに分解され、酸素Oが微粒子62と酸素吸蔵・活性酸素放出剤61との接触面に向かい、NOが酸素吸蔵・活性酸素放出剤61から外部に放出される。外部に放出されたNOは下流側の白金Pt上において酸化され、再び酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に吸収される。
【0050】
一方、この時酸素吸蔵・活性酸素放出剤61に形成されている硫酸カリウムKSOは、強固に結びついているため、カリウムKと酸素OとSOとに分解されづらい。それゆえ、周囲の温度が低い時には、酸素濃度が低下しても活性酸素を放出しづらい。
【0051】
一方、微粒子62と酸素吸蔵・活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素Oは硝酸カリウムKNOのような化合物から分解された酸素である。化合物から分解された酸素Oは高いエネルギを有しており、極めて高い活性を有する。従って微粒子62と酸素吸蔵・活性酸素放出剤61との接触面に向かう酸素は活性酸素Oとなっている。これら活性酸素Oが微粒子62に接触すると微粒子62は数分から数十分の短時間で輝炎を発することなく酸化せしめられる。また、微粒子62を酸化する活性酸素Oは、酸素吸蔵・活性酸素放出剤61へNO及びSOが吸収されている時にも放出される。すなわち、NOは酸素原子の結合及び分離を繰り返しつつ酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内において硝酸イオンNO の型で拡散するものと考えられ、この間にも活性酸素が発生する。微粒子62はこの活性酸素によっても酸化せしめられる。また、パティキュレートフィルタ22a上に付着した微粒子62は活性酸素Oによって酸化せしめられるがこれら微粒子62は排気ガス中の酸素によっても酸化せしめられる。
【0052】
従来のようにパティキュレートフィルタ22a上に積層状に堆積した微粒子が燃焼せしめられる時にはパティキュレートフィルタ22aが赤熱し、火炎を伴って燃焼する。このような火炎を伴う燃焼は高温でないと持続せず、従ってこのような火炎を伴う燃焼を持続させるためにはパティキュレートフィルタ22aの温度を高温に維持しなければならない。
【0053】
これに対して本発明では微粒子62は上述したように輝炎を発することなく酸化せしめられ、この時パティキュレートフィルタ22aの表面が赤熱することもない。即ち、云い換えると本発明では従来に比べてかなり低い温度でもって微粒子62が酸化除去せしめられている。従って本発明による輝炎を発しない微粒子62の酸化による微粒子除去作用は火炎を伴う従来の燃焼による微粒子除去作用と全く異なっている。
【0054】
ところで白金Pt及び酸素吸蔵・活性酸素放出剤61はパティキュレートフィルタ22aの温度が高くなるほど活性化するので単位時間当りに酸素吸蔵・活性酸素放出剤61が放出する活性酸素Oの量はパティキュレートフィルタ22aの温度が高くなるほど増大する。また、当然のことながら、微粒子自身の温度が高いほど酸化除去され易くなる。従ってパティキュレートフィルタ22a上において単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量はパティキュレートフィルタ22aの温度が高くなるほど増大する。
【0055】
図5の実線は単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gを示しており、図5において横軸はパティキュレートフィルタ22aの温度TFを示している。なお、図5は単位時間を1秒とした場合の、すなわち、1秒当たりの酸化除去可能微粒子量Gを示しているがこの単位時間としては、1分、10分等任意の時間を採用することができる。例えば、単位時間として10分を用いた場合には単位時間当たりの酸化除去可能微粒子量Gは10分間当たりの酸化除去可能微粒子量Gを表すことになり、この場合でもパティキュレートフィルタ22a上において単位時間当たりに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gは図5に示されるようにパティキュレートフィルタの温度が高くなるほど増大する。
【0056】
さて、単位時間当りに燃焼室5から排出される微粒子の量を排出微粒子量Mと称するとこの排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子Gよりも少ない時、例えば、1秒当たりの排出微粒子量Mが1秒当たりの酸化除去可能微粒子量Gよりも少ない時、或いは10分当たりの排出微粒子量Mが10分当たりの酸化除去可能微粒子量Gよりも少ない時、即ち図5の領域Iでは燃焼室5から排出された全ての微粒子がパティキュレートフィルタ22a上において輝炎を発することなく順次短時間のうちに酸化除去せしめられる。
【0057】
これに対し、排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い時、即ち図5の領域IIでは全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している。図4(A)〜(C)はこのような場合における微粒子の酸化の様子を示している。
【0058】
即ち、全ての微粒子を酸化するには活性酸素量が不足している場合には図4(A)に示すように微粒子62が酸素吸蔵・活性酸素放出剤61上に付着すると微粒子62の一部のみが酸化され、十分に酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留する。次いで活性酸素量が不足している状態が継続すると次から次へと酸化されなかった微粒子部分が担体層上に残留し、その結果図4(B)に示されるように担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われるようになる。
【0059】
このような残留微粒子部分63は、次第に酸化され難いカーボン質に変質し、また、担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われると白金PtによるNO,SOの酸化作用及び酸素吸蔵・活性酸素放出剤61による活性酸素の放出作用が抑制されるために残留微粒子部分63は酸化されることなくそのまま残り、斯くして図4(C)に示されるように残留微粒子部分63の上に別の微粒子64が次から次へと堆積する。即ち、微粒子が積層状に堆積することになる。このように微粒子が積層状に堆積すると、これら微粒子64は、白金Ptや酸素吸蔵・活性酸素放出剤から距離を隔てているために、例え酸化され易い微粒子であっても活性酸素Oによって酸化されることはない。従ってこの微粒子64上に更に別の微粒子が次から次へと堆積する。即ち、排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも多い状態が継続するとパティキュレートフィルタ22a上には微粒子が積層状に堆積し、斯くして排気ガス温を高温にするか、或いはパティキュレートフィルタ22aの温度を高温にしない限り、堆積した微粒子を着火燃焼させることができなくなる。
【0060】
このように図5の領域Iでは微粒子はパティキュレートフィルタ22a上において輝炎を発することなく短時間のうちに酸化せしめられ、図5の領域IIでは微粒子がパティキュレートフィルタ22a上に積層状に堆積する。従って微粒子がパティキュレートフィルタ22a上に積層状に堆積しないようにするためには排出微粒子量Mを常時酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくしておく必要がある。
【0061】
図5からわかるように本発明の実施形態で用いられているパティキュレートフィルタ22aではパティキュレートフィルタ22aの温度TFがかなり低くても微粒子を酸化させることが可能であり、従って図1に示す圧縮着火式内燃機関において排出微粒子量M及びパティキュレートフィルタ22aの温度TFを排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも常時少なくなるように維持することが可能である。排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも常時少ないと、パティキュレートフィルタ22a上に微粒子が全く堆積せず、斯くして背圧が全く上昇しない。従って機関出力は全く低下しない。一方で、酸化除去可能微粒子量Gを排出微粒子量Mよりも常時多くするために、常時、燃料噴射量を増加させて排気ガス温度を高くしパティキュレートフィルタ22aの温度TFを高くしておくと、内燃機関の燃費は低下してしまう。
【0062】
一方、前述したように一旦微粒子がパティキュレートフィルタ22a上において積層状に堆積するとたとえ排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなったとしても活性酸素Oにより微粒子を酸化させることは困難である。しかしながら酸化されなかった微粒子部分が残留しはじめている時に、即ち微粒子が一定限度以下しか堆積していない時に排気微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくなるとこの残留微粒子部分は活性酸素Oによって輝炎を発することなく酸化除去される。従って、必要に応じて排出微粒子量Mを酸化除去可能微粒子量Gよりも少なくし、かつ排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gより多くなったとしても図4(B)に示されるように担体層の表面が残留微粒子部分63によって覆われないように、即ち排出微粒子量Mが酸化除去可能微粒子量Gより少なくなった時に酸化除去しうる一定限度以下の量の微粒子しかパティキュレートフィルタ22a上に積層しないように、通常は内燃機関の燃費を向上させるべく排出微粒子量M及びパティキュレートフィルタ22aの温度TFを維持することも可能である。
【0063】
機関始動直後はパティキュレートフィルタ22aの温度TFは低く、従ってこの時には排出微粒子量Mの方が酸化除去可能微粒子量Gよりも多くなる。従って実際の運転を考えるとこのように制御する方が現実に合っていると考えられる。パティキュレートフィルタ22a上に微粒子が積層状に堆積した場合には、排気ガスの一部又は全体の空燃比を一時的にリッチにし排気ガスを後燃えさせてパティキュレートフィルタ22aの温度TFを上昇させることによりパティキュレートフィルタ22aの状態を図5の領域I内に位置せしめ、それによりパティキュレートフィルタ22a上に堆積した微粒子を輝炎を発することなく酸化させることができる。この場合、即ち排気ガス中の酸素濃度を低下させた場合には、酸素吸蔵・活性酸素放出剤61から外部に活性酸素Oが一気に放出され、これら一気に放出された活性酸素Oによって堆積した微粒子は酸化され易いものとなって容易に酸化除去される。
【0064】
一方、排気ガスの空燃比がリーンに維持されていると白金Ptの表面が酸素で覆われ、いわゆる白金Ptの酸素被毒が生じる。このような酸素被毒が生じるとNOに対する酸化作用が低下するためにNOの吸収効率が低下し、斯くして酸素吸蔵・活性酸素放出剤61からの活性酸素放出量が低下する。しかしながら、空燃比がリッチにされると白金Pt表面上の酸素が消費されるために酸素被毒が解消され、従って空燃比がリッチからリーンに切り換えられるとNOに対する酸化作用が強まるためにNOの吸収効率が高くなり、斯くして酸素吸蔵・活性酸素放出剤61からの活性酸素放出量が増大する。
【0065】
従って、空燃比がリーンに維持されている時に空燃比を時折リーンからリッチに一時的に切り換えるとその都度白金Ptの酸素被毒が解消されるために空燃比がリーンである時の活性酸素放出量が増大し、斯くしてパティキュレートフィルタ22a上における微粒子の酸化作用を促進することができる。
【0066】
さらに、この酸素被毒の解消は、言わば、還元物質の燃焼であるために、発熱を伴ってパティキュレートフィルタを昇温させる。それにより、パティキュレートフィルタにおける酸化除去可能微粒子量が向上し、さらに、残留及び堆積パティキュレートの酸化除去が容易となる。
【0067】
排気ガスの空燃比をリッチにするに際し、パティキュレートフィルタ22a上において微粒子が積層状に堆積したと判定された時に排気ガスの空燃比をリッチにしてもよいし、そのような判定を行うことなく周期的又は不定期に排気ガスの空燃比をリッチにしてもよい。排気ガスの空燃比をリッチにする方法としては、例えば機関負荷が比較的低い時にEGR率(EGRガス量/(吸入空気量+EGRガス量))が65パーセント以上となるようにスロットル弁17の開度及びEGR制御弁25の開度を制御し、この時燃焼室5内における平均空燃比がリッチになるように噴射量を制御する方法を用いることができる。また、排気ガスの空燃比をリッチにするのに、圧縮行程での通常の主燃料噴射に加えて、排気行程又は膨張行程において気筒内へ燃料を噴射しても良く、又は、吸気行程において気筒内へ燃料を噴射しても良い。これらの追加の燃料噴射は、主燃料噴射との間にインターバルを設けなくても良い。また、機関排気系に直接的に燃料を噴射しても良い。
【0068】
ところで、機関高負荷運転時には、比較的高温の排気ガスがパティキュレートフィルタ22aに供給される。従って、その高温の排気ガスによってパティキュレートフィルタ22aの温度TFが上昇せしめられることにより、パティキュレートフィルタ22a上に堆積した微粒子は輝炎を発することなく酸化させられる一方、機関中負荷運転時においてパティキュレートフィルタ22aに供給される排気ガス温度は機関高負荷運転時にパティキュレートフィルタ22aに供給される排気ガス温度ほど高くない。従って、機関中負荷運転時には、排気ガスによりパティキュレートフィルタ22a上に堆積した微粒子を輝炎を発することなく酸化させるようにパティキュレートフィルタ22aの温度TFを上昇させることができない。そのため本実施形態では、パティキュレートフィルタ22a上に堆積した微粒子を輝炎を発することなく酸化させるために、副燃料噴射を実行すると共に主燃料噴射時期を遅角して未燃燃料を機関排気通路内で後燃えさせ、それに伴って温度上昇した排気ガスをパティキュレートフィルタ22aに供給するようにしている。
【0069】
ところで燃料や潤滑油はカルシウムCaを含んでおり、従って排気ガス中にカルシウムCaが含まれている。このカルシウムCaはSOが存在すると硫酸カルシウムCaSOを生成する。この硫酸カルシウムCaSOは固体であって高温になっても熱分解しない。従って硫酸カルシウムCaSOが生成されるとこの硫酸カルシウムCaSOによってパティキュレートフィルタ22aの細孔が閉塞されてしまい、その結果排気ガスがパティキュレートフィルタ22a内を流れづらくなる。この場合、酸素吸蔵・活性酸素放出剤61としてカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばカリウムKを用いると酸素吸蔵・活性酸素放出剤61内に拡散するSOはカリウムKと結合して硫酸カリウムKSOを形成し、カルシウムCaはSOと結合することなくパティキュレートフィルタ22aの隔壁54を通過して排気ガス流出通路51内に流出する。従ってパティキュレートフィルタ22aの細孔が目詰まりすることがなくなる。従って前述したように酸素吸蔵・活性酸素放出剤61としてはカルシウムCaよりもイオン化傾向の高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属、即ちカリウムK、リチウムLi、セシウムCs、ルビジウムRb、バリウムBa、ストロンチウムSrを用いることが好ましいことになる。
【0070】
図6は内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードとパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードとを示した図である。詳細には、図6(A)は第一の運転モードを示しており、図6(B)は第二の運転モードを示している。図6において縦軸は要求負荷Lを示しており、横軸は機関回転数Nを示している。本実施形態では、通常は、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モード(図6(A))が選択され、パティキュレートフィルタ22a上に堆積した微粒子を酸化除去することによりパティキュレートフィルタ22aを再生すべき時には、パティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択される。
【0071】
詳細には図6(A)に示すように、第一の運転モードは機関低負荷運転領域A1と機関中高負荷運転領域A2とに分割されている。第一の運転モードが選択されている時であって機関運転状態が機関低負荷運転領域A1内にある時には、後で詳細に説明する低温燃焼、つまり、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が多く煤がほとんど発生しない低温燃焼が実行される。それにより、内燃機関の燃費が向上せしめられると共に、煤の発生量及びNOの発生量が同時に抑制される。一方、第一の運転モードが選択されている時であって機関運転状態が機関中高負荷運転領域A2内にある時には、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が少ない通常燃焼が実行される。それにより、内燃機関の燃費が向上せしめられると共に、煤の発生量及びNOの発生量が同時に抑制される。
【0072】
図6(B)に示すように、第二の運転モードは機関低負荷運転領域B1と機関中負荷運転領域B2と機関高負荷運転領域B3とに分割されている。第二の運転モードが選択されている時であって機関運転状態が機関低負荷運転領域B1内にある時には、第一の運転モードと同様に低温燃焼が実行される。それにより、内燃機関の燃費が向上せしめられると共に、煤の発生量及びNOの発生量が同時に抑制される。その上、EGRガス量を増加させる低温燃焼時には排気ガスの空燃比がリッチになるため、排気ガス中の未燃燃料が機関排気通路内で後燃えしてパティキュレートフィルタ22aの温度が上昇すると共に活性酸素の放出量が増加し、その結果、パティキュレートフィルタ22aが再生せしめられる。第二の運転モードが選択されている時であって機関運転状態が機関中負荷運転領域B2内にある時には、主燃料噴射に加えて副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角される。副燃料は燃焼室5内においてすべて燃焼することなく機関排気通路内に供給され、機関排気通路内において後燃えする。同様に噴射時期が遅角された主燃料も燃焼室5内においてすべて燃焼することなく機関排気通路内に供給され、機関排気通路内において後燃えする。それにより、パティキュレートフィルタ22aの温度が上昇せしめられ、パティキュレートフィルタ22aが再生せしめられる。第二の運転モードが選択されている時であって機関運転状態が機関高負荷運転領域B3内にある時には、第一の運転モードと同様に通常燃焼が実行される。それにより、内燃機関の燃費が向上せしめられると共に、煤の発生量及びNOの発生量が同時に抑制される。その上、機関高負荷運転時には排気ガス温度が比較的高温になるため、その排気ガスによりパティキュレートフィルタ22aの温度が上昇せしめられ、その結果、パティキュレートフィルタ22aが再生せしめられる。
【0073】
図7は本実施形態の運転制御方法を示したフローチャートである。図7に示すように、本ルーチンが開始されると、まずステップ100においてパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングであるか否かが判定される。具体的には、パティキュレートフィルタ22aに微粒子が所定量堆積したと推定された時にパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングであると判定され、パティキュレートフィルタ22aに堆積している微粒子量が所定量未満になったと推定された時にパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングでないと判定される。詳細には、第一の運転モードの下での燃焼が行われている時にパティキュレートフィルタ22aの容量に基づいて定められた所定期間が経過した時、パティキュレートフィルタ22aに微粒子が所定量堆積したと推定される。一方、第二の運転モードの下での燃焼が行われている時にパティキュレートフィルタ22aの容量に基づいて定められた所定期間が経過した時、パティキュレートフィルタ22aの再生が終了したと推定される。他の実施形態では、その代わりに、内燃機関を搭載した車両が所定距離走行した時にパティキュレートフィルタ22aに微粒子が所定量堆積したと推定してもよい。あるいは、パティキュレートフィルタ22aの排気ガス流れ上流側に背圧センサ(図示せず)を設け、背圧が上昇した時にパティキュレートフィルタ22aに微粒子が所定量堆積したと推定し、背圧が低下した時にパティキュレートフィルタ22aの再生が終了したと推定してもよい。ステップ100においてNOと判定された時にはステップ101に進み、ステップ100においてYESと判定された時にはステップ102に進む。ステップ102に進む。ステップ101では、図6(A)に示した第一の運転モードの下での機関の運転が行われる。一方、ステップ102では、図6(B)に示した第二の運転モードの下での機関の運転が行われる。
【0074】
図8は図7のステップ101において実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。図8に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ200において、機関運転状態が図6(A)の機関低負荷運転領域A1内にあるか否かが判定される。YESの時にはステップ201に進み、NOの時にはステップ207に進む。ステップ201では図10(A)に示すマップからスロットル弁17の目標開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標開度STとされる。次いでステップ202では図10(B)に示すマップからEGR制御弁25の目標開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度がこの目標開度SEとされる。次いでステップ203ではエアフローメータ44により検出された吸入空気量Gaが取込まれ、次いでステップ204では図9(B)に示すマップから目標空燃比A/Fが算出される。次いでステップ205では吸入空気量Gaと目標空燃比A/Fに基づいて空燃比を目標空燃比A/Fとするのに必要な燃料噴射量Qが算出される。次いでステップ206では図11に示すマップから目標燃料噴射開始時期θSが算出される。
【0075】
図9(A)は機関低負荷運転領域A1における目標空燃比A/Fを示している。図9(A)において、A/F=15.5,A/F=16,A/F=17,A/F=18で示される各曲線は夫々目標空燃比が15.5,16,17,18である時を示しており、各曲線間の空燃比は比例配分により定められる。図9(A)に示されるように機関低負荷運転領域A1では空燃比がリーンとなっており、更に機関低負荷運転領域A1では要求負荷Lが低くなるほど目標空燃比A/Fがリーンとされる。即ち、要求負荷Lが低くなるほど燃焼による発熱量が少なくなる。従って要求負荷Lが低くなるほどEGR率を低下させても低温燃焼を行うことができる。EGR率を低下させると空燃比は大きくなり、従って図9(A)に示されるように要求負荷Lが低くなるにつれて目標空燃比A/Fが大きくされる。目標空燃比A/Fが大きくなるほど燃料消費率は向上し、従ってできる限り空燃比をリーンにするために本発明による実施形態では要求負荷Lが低くなるにつれて目標空燃比A/Fが大きくされる。
【0076】
図9(A)に示される目標空燃比A/Fは図9(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。また、空燃比を図9(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なスロットル弁17の目標開度STが図10(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されており、空燃比を図9(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なEGR制御弁25の目標開度SEが図10(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0077】
一方、ステップ207では図12(A)に示されるマップから目標燃料噴射量Qが算出され、燃料噴射量がこの目標燃料噴射量Qとされる。次いでステップ208では図12(B)に示されるマップから目標燃料噴射開始時期θSが算出され、燃料噴射開始時期がこの目標燃料噴射開始時期θSとされる。次いでステップ209では図14(A)に示すマップからスロットル弁17の目標開度STが算出される。次いでステップ210では図14(B)に示すマップからEGR制御弁25の目標開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度がこの目標開度SEとされる。次いでステップ211ではエアフローメータ44により検出された吸入空気量Gaが取込まれる。次いでステップ212では燃料噴射量Qと吸入空気量Gaから実際の空燃比(A/F)が算出される。次いでステップ213では図13(B)に示すマップから目標空燃比A/Fが算出される。次いでステップ214では実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fよりも大きいか否かが判別される。(A/F)>A/Fの時にはステップ215に進んでスロットル開度の補正値ΔSTが一定値αだけ減少せしめられ、次いでステップ217へ進む。これに対して(A/F)≦A/Fの時にはステップ216に進んで補正値ΔSTが一定値αだけ増大せしめられ、次いでステップ217に進む。ステップ217ではスロットル弁17の目標開度STに補正値ΔSTを加算することにより最終的な目標開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの最終的な目標開度STとされる。即ち、実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fとなるようにスロットル弁17の開度が制御される。
【0078】
図13(A)は通常燃焼が行われる時の目標空燃比A/Fを示している。なお、図13(A)においてA/F=24,A/F=35,A/F=45,A/F=60で示される各曲線は夫々目標空燃比24,35,45,60を示している。図13(A)に示される目標空燃比A/Fは図13(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。また、空燃比を図13(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なスロットル弁17の目標開度STが図14(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されており、空燃比を図13(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なEGR制御弁25の目標開度SEが図14(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。また、通常燃焼が行われている時には燃料噴射量Qは要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この燃料噴射量Qは図12(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。同様に、通常燃焼が行われている時には燃料噴射開始時期θSは要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この燃料噴射開始時期θSは図12(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0079】
以下、上述した低温燃焼について詳細に説明する。図15は機関低負荷運転時にスロットル弁17の開度及びEGR率を変化させることにより空燃比A/F(図15の横軸)を変化させた時の出力トルクの変化、及びスモーク、HC,CO,NOの排出量の変化を示す実験例を表している。図15からわかるようにこの実験例では空燃比A/Fが小さくなるほどEGR率が大きくなり、理論空燃比(≒14.6)以下の時にはEGR率は65パーセント以上となっている。図15に示されるようにEGR率を増大することにより空燃比A/Fを小さくしていくとEGR率が40パーセント付近となり空燃比A/Fが30程度になった時にスモークの発生量が増大を開始する。次いで、更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくするとスモークの発生量が急激に増大してピークに達する。次いで更にEGR率を高め、空燃比A/Fを小さくすると今度はスモークが急激に低下し、EGR率を65パーセント以上とし、空燃比A/Fが15.0付近になるとスモークがほぼ零となる。即ち、煤がほとんど発生しなくなる。この時に機関の出力トルクは若干低下し、またNOの発生量がかなり低くなる。一方、この時HC,COの発生量は増大し始める。
【0080】
図16(A)は空燃比A/Fが21付近でスモークの発生量が最も多い時の燃焼室5内の燃焼圧変化を示しており、図16(B)は空燃比A/Fが18付近でスモークの発生量がほぼ零の時の燃焼室5内における燃焼圧の変化を示している。図16(A)と図16(B)とを比較すればわかるようにスモークの発生量がほぼ零である図16(B)に示す場合は、スモークの発生量が多い図16(A)に示す場合に比べて燃焼圧が低いことがわかる。
【0081】
図15及び図16に示される実験結果から次のことが言える。即ち、まず第1に空燃比A/Fが15.0以下でスモークの発生量がほぼ零の時には図15に示されるようにNOの発生量がかなり低下する。NOの発生量が低下したということは燃焼室5内の燃焼温度が低下していることを意味しており、従って煤がほとんど発生しない時には燃焼室5内の燃焼温度が低くなっていると言える。同じことが図16からも言える。即ち、煤がほとんど発生していない図16(B)に示す状態では燃焼圧が低くなっており、従ってこの時の燃焼室5内の燃焼温度は低くなっていることになる。
【0082】
第2にスモークの発生量、即ち煤の発生量がほぼ零になると図15に示されるようにHC及びCOの排出量が増大する。このことは炭化水素が煤まで成長せずに燃焼室5から排出されることを意味している。即ち、燃料中に含まれる図17に示されるような直鎖状炭化水素や芳香族炭化水素は酸素不足の状態で温度上昇せしめられると熱分解して煤の前駆体が形成され、次いで主に炭素原子が集合した固体からなる煤が生成される。この場合、実際の煤の生成過程は複雑であり、煤の前駆体がどのような形態をとるかは明確ではないがいずれにしても図17に示されるような炭化水素は煤の前駆体を経て煤まで成長することになる。従って、上述したように煤の発生量がほぼ零になると図15に示される如くHC及びCOの排出量が増大するがこの時のHCは煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素である。このHCが機関排気通路内で後燃えし、排気ガス温度が上昇せしめられることになる。
【0083】
図15及び図16に示される実験結果に基づくこれらの考察をまとめると燃焼室5内の燃焼温度が低い時には煤の発生量がほぼ零になり、この時には煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素が燃焼室5から排出されることになる。このことについて更に詳細に実験研究を重ねた結果、燃焼室5内における燃料及びその周囲のガス温度が或る温度以下である場合には煤の成長過程が途中で停止してしまい、即ち煤が全く発生せず、燃焼室5内における燃料及びその周囲の温度が或る温度以上になると煤が生成されることが判明したのである。
【0084】
ところで煤の前駆体の状態で炭化水素の生成過程が停止する時の燃料及びその周囲の温度、即ち上述の或る温度は燃料の種類や空燃比や圧縮比等の種々の要因によって変化するので何度であるかということは言えないがこの或る温度はNOの発生量と深い関係を有しており、従ってこの或る温度はNOの発生量から或る程度規定することができる。即ち、EGR率が増大するほど燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度は低下し、NOの発生量が低下する。この時NOの発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になった時に煤がほとんど発生しなくなる。従って上述の或る温度はNOの発生量が10p.p.m 前後又はそれ以下になった時の温度にほぼ一致する。
【0085】
さて、煤が生成される前の状態で炭化水素の成長を停止させるには燃焼室5内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に抑制する必要がある。この場合、燃料及びその周囲のガス温度を抑制するには燃料が燃焼した際の燃料周りのガスの吸熱作用が極めて大きく影響することが判明している。即ち、燃料周りに空気しか存在しないと蒸発した燃料はただちに空気中の酸素と反応して燃焼する。この場合、燃料から離れている空気の温度はさほど上昇せず、燃料周りの温度のみが局所的に極めて高くなる。即ち、この時には燃料から離れている空気は燃料の燃焼熱の吸熱作用をほとんど行わない。この場合には燃焼温度が局所的に極めて高くなるために、この燃焼熱を受けた未燃炭化水素は煤を生成することになる。
【0086】
一方、多量の不活性ガスと少量の空気の混合ガス中に燃料が存在する場合には若干状況が異なる。この場合には蒸発燃料は周囲に拡散して不活性ガス中に混在する酸素と反応し、燃焼することになる。この場合には燃焼熱は周りの不活性ガスに吸収されるために燃焼温度はさほど上昇しなくなる。即ち、燃焼温度を低く抑えることができることになる。即ち、燃焼温度を抑制するには不活性ガスの存在が重要な役割を果しており、不活性ガスの吸熱作用によって燃焼温度を低く抑えることができることになる。
【0087】
この場合、燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に抑制するにはそうするのに十分な熱量を吸収しうるだけの不活性ガス量が必要となる。従って燃料量が増大すれば必要となる不活性ガス量はそれに伴って増大することになる。なお、この場合、不活性ガスの比熱が大きいほど吸熱作用が強力となり、従って不活性ガスは比熱の大きなガスが好ましいことになる。この点、COやEGRガスは比較的比熱が大きいので不活性ガスとしてEGRガスを用いることは好ましいと言える。
【0088】
図18は不活性ガスとしてEGRガスを用い、EGRガスの冷却度合を変えた時のEGR率とスモークとの関係を示している。即ち、図18において曲線AはEGRガスを強力に冷却してEGRガス温をほぼ90℃に維持した場合を示しており、曲線Bは小型の冷却装置でEGRガスを冷却した場合を示しており、曲線CはEGRガスを強制的に冷却していない場合を示している。図18の曲線Aで示されるようにEGRガスを強力に冷却した場合にはEGR率が50パーセントよりも少し低いところで煤の発生量がピークとなり、この場合にはEGR率をほぼ55パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。一方、図18の曲線Bで示されるようにEGRガスを少し冷却した場合にはEGR率が50パーセントよりも少し高いところで煤の発生量がピークとなり、この場合にはEGR率をほぼ65パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。また、図18の曲線Cで示されるようにEGRガスを強制的に冷却していない場合にはEGR率が55パーセントの付近で煤の発生量がピークとなり、この場合にはEGR率をほぼ70パーセント以上にすれば煤がほとんど発生しなくなる。なお、図18は機関負荷が比較的高い時のスモークの発生量を示しており、機関負荷が小さくなると煤の発生量がピークとなるEGR率は若干低下し、煤がほとんど発生しなくなるEGR率の下限も若干低下する。このように煤がほとんど発生しなくなるEGR率の下限はEGRガスの冷却度合や機関負荷に応じて変化する。
【0089】
図19は不活性ガスとしてEGRガスを用いた場合において燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度にするために必要なEGRガスと空気の混合ガス量、この混合ガス量中の空気の割合、及び、この混合ガス中のEGRガスの割合を示している。なお、図19において縦軸は燃焼室5内に吸入される全吸入ガス量を示しており、鎖線Yは過給が行われない時に燃焼室5内に吸入しうる全吸入ガス量を示している。また、横軸は要求負荷を示している。
【0090】
図19を参照すると空気の割合、即ち混合ガス中の空気量は噴射された燃料を完全に燃焼せしめるのに必要な空気量を示している。即ち、図19に示される場合では空気量と噴射燃料量との比は理論空燃比となっている。一方、図19においてEGRガスの割合、即ち混合ガス中のEGRガス量は噴射燃料が燃焼せしめられた時に燃料及びその周囲のガス温度を煤が形成される温度よりも低い温度にするのに必要最低限のEGRガス量を示している。このEGRガス量はEGR率で表すとほぼ55パーセント以上であり、図19に示す実施形態では70パーセント以上である。即ち、燃焼室5内に吸入された全吸入ガス量を図15において実線Xとし、この全吸入ガス量Xのうちの空気量とEGRガス量との割合を図19に示すような割合にすると燃料及びその周囲のガス温度は煤が生成される温度よりも低い温度となり、斯くして煤が全く発生しなくなる。また、この時のNO発生量は10p.p.m 前後、又はそれ以下であり、従ってNOの発生量は極めて少量となる。
【0091】
燃料噴射量が増大すれば燃料が燃焼した際の発熱量が増大するので燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持するためにはEGRガスによる熱の吸収量を増大しなければならない。従って図19に示されるようにEGRガス量は噴射燃料量が増大するにつれて増大せしめなければならない。即ち、EGRガス量は要求負荷が高くなるにつれて増大する必要がある。ところで過給が行われていない場合には燃焼室5内に吸入される全吸入ガス量Xの上限はYであり、従って図19において要求負荷がLよりも大きい領域では要求負荷が大きくなるにつれてEGRガス割合を低下させない限り空燃比を理論空燃比に維持することができない。云い換えると過給が行われていない場合に要求負荷がLよりも大きい領域において空燃比を理論空燃比に維持しようとした場合には要求負荷が高くなるにつれてEGR率が低下し、斯くして要求負荷がLよりも大きい領域では燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持しえなくなる。
【0092】
ところが、図示しないがEGR通路を介して過給機の入口側即ち排気ターボチャージャの空気吸込管内にEGRガスを再循環させると要求負荷がLよりも大きい領域においてEGR率を55パーセント以上、例えば70パーセントに維持することができ、斯くして燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持することができる。即ち、空気吸込管内におけるEGR率が例えば70パーセントになるようにEGRガスを再循環させれば排気ターボチャージャのコンプレッサにより昇圧された吸入ガスのEGR率も70パーセントとなり、斯くしてコンプレッサにより昇圧しうる限度まで燃料及びその周囲のガス温度を煤が生成される温度よりも低い温度に維持することができる。従って、低温燃焼を生じさせることのできる機関の運転領域を拡大することができることになる。要求負荷がLよりも大きい領域でEGR率を55パーセント以上にする際にはEGR制御弁が全開せしめられる、スロットル弁が若干閉弁せしめられる。
【0093】
前述したように図19は燃料を理論空燃比のもとで燃焼させる場合を示しているが空気量を図19に示される空気量よりも少なくしても、即ち空燃比をリッチにしても煤の発生を阻止しつつNOの発生量を10p.p.m 前後又はそれ以下にすることができ、また空気量を図19に示される空気量よりも多くしても、即ち空燃比の平均値を17から18のリーンにしても煤の発生を阻止しつつNOの発生量を10p.p.m 前後又はそれ以下にすることができる。即ち、空燃比がリッチにされると燃料が過剰となるが燃焼温度が低い温度に抑制されているために過剰な燃料は煤まで成長せず、斯くして煤が生成されることがない。また、この時にはNOも極めて少量しか発生しない。一方、平均空燃比がリーンの時、或いは空燃比が理論空燃比の時でも燃焼温度が高くなれば少量の煤が生成されるが本発明では燃焼温度が低い温度に抑制されているので煤は全く生成されない。更に、NOも極めて少量しか発生しない。このように、低温燃焼が行われている時には空燃比にかかわらずに、即ち空燃比がリッチであろうと、理論空燃比であろうと、或いは平均空燃比がリーンであろうと煤が発生されず、NOの発生量が極めて少量となる。従って燃料消費率の向上を考えると、この時の平均空燃比をリーンにすることが好ましいと言える。
【0094】
ところで燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度を炭化水素の成長が途中で停止する温度以下に抑制しうるのは燃焼による発熱量が比較的少ない機関低負荷運転時に限られる。従って本発明による実施形態では機関低負荷運転時には燃焼時の燃料及びその周囲のガス温度を炭化水素の成長が途中で停止する温度以下に抑制して低温燃焼を行うようにし、機関中高負荷運転時には通常燃焼を行うようにしている。なお、ここで低温燃焼とはこれまでの説明から明らかなように煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が多く煤がほとんど発生しない燃焼のことを言い、通常燃焼とは煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内の不活性ガス量が少ない燃焼のことを言う。
【0095】
次に図20を参照しつつ図6(A)に示した機関低負荷運転領域A1及び機関中高負荷運転領域A2における運転制御について説明する。図20は要求負荷Lに対するスロットル弁17の開度、EGR制御弁25の開度、EGR率、空燃比、噴射時期、及び、噴射量を示している。図20に示されるように要求負荷Lの低い機関低負荷運転領域A1ではスロットル弁17の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから2/3開度程度まで徐々に増大せしめられ、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから全開まで徐々に増大せしめられる。また、図20に示される例では機関低負荷運転領域A1におけるEGR率はほぼ70パーセントとされており、空燃比はわずかばかりリーンなリーン空燃比とされている。
【0096】
言い換えると機関低負荷運転領域A1ではEGR率がほぼ70パーセントとなり、空燃比がわずかばかりリーンなリーン空燃比となるようにスロットル弁17の開度及びEGR制御弁25の開度が制御される。また、機関低負荷運転領域A1では圧縮上死点TDC前に燃料噴射が行われる。この場合、噴射開始時期θSは要求負荷Lが高くなるにつれて遅くなり、噴射完了時期θEも噴射開始時期θSが遅くなるにつれて遅くなる。なお、アイドル運転時にはスロットル弁17は全閉近くまで閉弁され、この時にはEGR制御弁25も全閉近くまで閉弁せしめられる。スロットル弁17を全閉近くまで閉弁すると圧縮始めの燃焼室5内の圧力が低くなるために圧縮圧力が小さくなる。圧縮圧力が小さくなるとピストン4による圧縮仕事が小さくなるために機関本体1の振動が小さくなる。即ち、アイドル運転時には機関本体1の振動を抑制するためにスロットル弁17が全閉近くまで閉弁せしめられる。
【0097】
一方、機関の運転領域が機関低負荷運転領域A1から機関中高負荷運転領域A2に変わるとスロットル弁20の開度が2/3開度程度から全開方向へステップ状に増大せしめられる。この時に図20に示す例ではEGR率がほぼ70パーセントから40パーセント以下までステップ状に減少せしめられ、空燃比がステップ状に大きくされる。即ち、EGR率が多量のスモークを発生するEGR率範囲(図18)を飛び越えるので機関の運転領域が機関低負荷運転領域A1から機関中高負荷運転領域A2に変わる時に多量のスモークが発生することがない。機関中高負荷運転領域A2では従来から行われている通常燃焼が行われる。この機関中高負荷運転領域A2ではスロットル弁17は一部を除いて全開状態に保持され、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなると次第に小さくされる。また、この機関中高負荷運転領域A2ではEGR率は要求負荷Lが高くなるほど低くなり、空燃比は要求負荷Lが高くなるほど小さくなる。ただし、空燃比は要求負荷Lが高くなってもリーン空燃比とされる。また、機関中高負荷運転領域A2では噴射開始時期θSは圧縮上死点TDC付近とされる。
【0098】
図21及び図22は図7のステップ102において実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。図21及び図22に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ300において、機関運転状態が図6(B)の機関低負荷運転領域B1内にあるか否かが判定される。YESの時にはステップ201に進み、NOの時にはステップ301に進む。ステップ201では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図10(A)に示すマップからスロットル弁17の目標開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標開度STとされる。次いでステップ202では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図10(B)に示すマップからEGR制御弁25の目標開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度がこの目標開度SEとされる。次いでステップ203では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様にエアフローメータ44により検出された吸入空気量Gaが取込まれ、次いでステップ204では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図9(B)に示すマップから目標空燃比A/Fが算出される。次いでステップ205では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に吸入空気量Gaと目標空燃比A/Fに基づいて空燃比を目標空燃比A/Fとするのに必要な燃料噴射量Qが算出される。次いでステップ206では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図11に示すマップから目標燃料噴射開始時期θSが算出される。
【0099】
ステップ301では、機関運転状態が図6(B)の機関高負荷運転領域B3内にあるか否かが判定される。YESの時にはステップ207に進み、NOの時にはステップ302に進む。ステップ207では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図12(A)に示されるマップから目標燃料噴射量Qが算出され、燃料噴射量がこの目標燃料噴射量Qとされる。次いでステップ208では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図12(B)に示されるマップから目標燃料噴射開始時期θSが算出され、燃料噴射開始時期がこの目標燃料噴射開始時期θSとされる。次いでステップ209では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図14(A)に示すマップからスロットル弁17の目標開度STが算出される。次いでステップ210では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図14(B)に示すマップからEGR制御弁25の目標開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度がこの目標開度SEとされる。次いでステップ211では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様にエアフローメータ44により検出された吸入空気量Gaが取込まれる。次いでステップ212では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に燃料噴射量Qと吸入空気量Gaから実際の空燃比(A/F)が算出される。
【0100】
次いでステップ213では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に図13(B)に示すマップから目標空燃比A/Fが算出される。次いでステップ214では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様に実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fよりも大きいか否かが判別される。(A/F)>A/Fの時には第一の運転モードが選択された場合(図8)と同様にステップ215に進んでスロットル開度の補正値ΔSTが一定値αだけ減少せしめられ、次いでステップ217へ進む。これに対して(A/F)≦A/Fの時には第一の運転モードが選択された場合(図8)と同様にステップ216に進んで補正値ΔSTが一定値αだけ増大せしめられ、次いでステップ217に進む。ステップ217では第一の運転モードが選択された時(図8)と同様にスロットル弁17の目標開度STに補正値ΔSTを加算することにより最終的な目標開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの最終的な目標開度STとされる。即ち、実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fとなるようにスロットル弁17の開度が制御される。
【0101】
一方、ステップ301において機関運転状態が図6(B)の機関中負荷運転領域B2内にあると判定された時には、ステップ302において図23(A)に示されるマップから目標主燃料噴射量Q1が算出され、主燃料噴射量がこの目標主燃料噴射量Q1とされる。次いでステップ303では図23(B)に示されるマップから目標主燃料噴射開始時期θS1が算出され、主燃料噴射開始時期がこの目標主燃料噴射開始時期θS1とされる。本実施形態では、この目標主燃料噴射開始時期θS1は、図21のステップ208における目標燃料噴射開始時期θSよりも遅角されている。次いでステップ304では図24(A)に示されるマップから目標副燃料噴射量Q2が算出され、副燃料噴射量がこの目標副燃料噴射量Q2とされる。次いでステップ305では図24(B)に示されるマップから目標副燃料噴射開始時期θS2が算出され、副燃料噴射開始時期がこの目標副燃料噴射開始時期θS2とされる。本実施形態では、この目標副燃料噴射開始時期θS2は排気行程と吸気行程との間に設定されており、この副燃料噴射はいわゆるVIGOM噴射である。本実施形態の変形例では、このVIGOM噴射の代わりに副燃料噴射としていわゆるパイロット噴射を行うことも可能であり、その場合、目標副燃料噴射開始時期はステップ303において算出される目標主燃料噴射開始時期θS1の直前の圧縮行程末期に設定される。
【0102】
次いでステップ306では図25(B)に示すマップからスロットル弁17の目標開度STが算出される。次いでステップ307では図25(C)に示すマップからEGR制御弁25の目標開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度がこの目標開度SEとされる。次いでステップ308ではエアフローメータ44により検出された吸入空気量Gaが取込まれる。次いでステップ309では燃料噴射量Q1と吸入空気量Gaから実際の空燃比(A/F)が算出される。次いでステップ310では図25(A)に示すマップから目標空燃比A/Fが算出される。次いでステップ311では実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fよりも大きいか否かが判別される。(A/F)>A/Fの時にはステップ312に進んでスロットル開度の補正値ΔSTが一定値αだけ減少せしめられ、次いでステップ314へ進む。これに対して(A/F)≦A/Fの時にはステップ313に進んで補正値ΔSTが一定値αだけ増大せしめられ、次いでステップ314に進む。ステップ314ではスロットル弁17の目標開度STに補正値ΔSTを加算することにより最終的な目標開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの最終的な目標開度STとされる。即ち、実際の空燃比(A/F)が目標空燃比A/Fとなるようにスロットル弁17の開度が制御される。
【0103】
第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時の目標空燃比A/Fは図25(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。また、空燃比を図25(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なスロットル弁17の目標開度STが図25(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されており、空燃比を図25(A)に示す目標空燃比A/Fとするのに必要なEGR制御弁25の目標開度SEが図25(C)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。また、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時には主燃料噴射量Q1は要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この主燃料噴射量Q1は図23(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。同様に、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時には主燃料噴射開始時期θS1は要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この主燃料噴射開始時期θS1は図23(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。更に、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時には副燃料噴射量Q2は要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この副燃料噴射量Q2は図24(A)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。同様に、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時には副燃料噴射開始時期θS2は要求負荷L及び機関回転数Nに基づいて算出される。この副燃料噴射開始時期θS2は図24(B)に示されるように要求負荷L及び機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0104】
図26は第二の運転モード時にパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温するのを抑制する制御方法を示したフローチャートである。このルーチンは図7のステップ100においてYESと判定され、パティキュレートフィルタ22aが再生されている時に割り込みルーチンとして実行される。図26に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ400において、パティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうか否かが判定される。本実施形態では、図7のステップ100においてYESと判定され、第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えが行われた時点からの経過時間が所定の閾値を超えた時に、パティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうになったと判定される。他の実施形態では、その代わりに、出ガス温度センサ39bにより検出されたパティキュレートフィルタ22aからの出ガス温度が所定の閾値を超えた時に、パティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうになったと判定することも可能である。ステップ400においてYESと判定された時にはステップ401に進み、NOと判定された時にはこのルーチンを終了する。
【0105】
ステップ401では、機関運転状態が図6(B)の機関低負荷運転領域B1内にあるか否かが判定される。YESの時、つまり、第二の運転モードが選択されている機関低負荷運転時であって低温燃焼が実行されている時にはステップ402に進み、NOの時にはステップ405に進む。ステップ402では、図21のステップ204において図9(B)のマップに基づいて算出された目標空燃比A/Fがリーン化せしめられる。その結果、機関排気通路内で後燃えしていた燃料が燃焼室5内において燃焼されるようになり、排気ガス温度の過剰昇温が抑制される。ステップ403では、機関運転状態が図6(B)の機関高負荷運転領域B3内にあるか否かが判定される。YESの時、つまり、第二の運転モードが選択されている機関高負荷運転時であって通常燃焼が実行されている時にはステップ404に進み、NOの時、つまり、第二の運転モードが選択されている機関中負荷運転時であって副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている時にはステップ405に進む。ステップ404では、図21のステップ208において図12(B)のマップに基づいて算出された目標燃料噴射開始時期θSが進角せしめられる。その結果、機関排気通路内で後燃えしていた燃料が燃焼室5内において燃焼されるようになり、排気ガス温度の過剰昇温が抑制される。一方、ステップ405では図22のステップ303において図23(B)のマップに基づいて算出された目標主燃料噴射開始時期θS1が進角せしめられると共に、副燃料噴射が中止される。その結果、機関排気通路内で後燃えしていた燃料が燃焼室5内において燃焼されるようになり、排気ガス温度の過剰昇温が抑制される。
【0106】
好適には、ステップ402における目標空燃比A/Fのリーン化が徐々に行われ、ステップ404における目標燃料噴射開始時期θSの進角が徐々に行われ、ステップ405における目標主燃料噴射開始時期θS1の進角が徐々に行われる。また、他の実施形態では、ステップ402、ステップ404及びステップ405を実行する代わりに、ステップ400においてパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうであると判定された時に、第一の運転モード時に実行される燃焼を割り込み実行することも可能である。好適には、この割り込み実行の頻度が徐々に増加される。
【0107】
図27及び図28は時間とパティキュレートフィルタ22aの温度との関係を示した図である。詳細には、図27(A)は図26に示すパティキュレートフィルタの過剰昇温抑制制御ルーチンが設けられていない場合を示している。図27(A)に示す場合には、時間t1に図7のステップ100においてYESと判定され第二の運転モードの下での燃焼が実行されると、機関排気通路内において燃料が後燃えし、パティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガスの温度である入りガス温度及びパティキュレートフィルタ22aから流出する排気ガスの温度である出ガス温度が上昇し、パティキュレートフィルタ22aの温度が再生温度領域(T1〜T2)内に入る。ところが、図26に示すパティキュレートフィルタの過剰昇温抑制制御ルーチンが設けられていないと出ガス温度が上昇し続けてしまい、パティキュレートフィルタ22aの温度が焼損温度領域(T3以上)内に入ってしまう。
【0108】
図27(B)、図28(A)及び図28(B)は図26に示すパティキュレートフィルタの過剰昇温抑制制御ルーチンが設けられている場合を示している。図27(A)に示す場合には、時間t1に図7のステップ100においてYESと判定され第二の運転モードの下での燃焼が実行されると、機関排気通路内において燃料が後燃えして入りガス温度及び出ガス温度が上昇し、パティキュレートフィルタ22aの温度が再生温度領域(T1〜T2)内に入る。その後、図26のステップ400においてパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうであると判定されることなく、時間t2に図7のステップ100においてパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングでなくなった、つまり、パティキュレートフィルタ22aの再生が終了したと判定され、再びステップ101において第一の運転モードの下での燃焼が行われる。
【0109】
図28(A)に示す場合には、時間t1に図7のステップ100においてYESと判定され第二の運転モードの下での燃焼が実行されると、機関排気通路内において燃料が後燃えして入りガス温度及び出ガス温度が上昇し、パティキュレートフィルタ22aの温度が再生温度領域(T1〜T2)内に入る。その後、時間t3に図26のステップ400においてパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうになったと判定され、図26のステップ402、ステップ404又はステップ405が実行されてパティキュレートフィルタ22aの昇温が抑制される。次いで時間t4に図26のステップ400においてNOと判定されて時間t1〜時間t3の間と同様に第二の運転モードの下での燃焼が実行される。次いで時間t5に図26のステップ400においてパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうになったと判定され、図26のステップ402、ステップ404又はステップ405が実行されてパティキュレートフィルタ22aの昇温が抑制される。次いで時間t6に図26のステップ400においてNOと判定されて時間t1〜時間t3の間と同様に第二の運転モードの下での燃焼が実行される。次いで時間t7に図7のステップ100においてパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングでなくなった、つまり、パティキュレートフィルタ22aの再生が終了したと判定され、再びステップ101において第一の運転モードの下での燃焼が行われる。
【0110】
図28(B)に示す場合には、時間t1に図7のステップ100においてYESと判定され第二の運転モードの下での燃焼が実行されると、機関排気通路内において燃料が後燃えして入りガス温度及び出ガス温度が上昇し、パティキュレートフィルタ22aの温度が再生温度領域(T1〜T2)内に入る。その後、時間t8に図26のステップ400においてパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温しそうになったと判定され、第一の運転モードの下での燃焼が割り込み実行される。次いで時間t9に図26のステップ400においてNOと判定されて時間t1〜時間t8の間と同様に第二の運転モードの下での燃焼が実行される。次いで時間t10に図7のステップ100においてパティキュレートフィルタ22aを再生させるタイミングでなくなった、つまり、パティキュレートフィルタ22aの再生が終了したと判定され、再びステップ101において第一の運転モードの下での燃焼が行われる。
【0111】
本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aに担持されている酸素吸蔵・活性酸素放出剤61により、周囲に過剰酸素が存在する時に酸素が取り込まれて保持され、周囲の酸素濃度が低下した時にその保持された酸素が活性酸素の形で放出される。そのため、従来の場合のように微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積した後にその微粒子が輝炎を発して除去されるのと異なり、微粒子がパティキュレートフィルタ22a上に積層状に堆積する前に、酸素吸蔵・活性酸素放出剤61が放出する活性酸素により、輝炎を発することなくその微粒子を酸化除去することができる。更に本実施形態によれば、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モード(図6(A))とパティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))とが必要に応じて切り換えられる。そのため、内燃機関の燃費を向上させつつパティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを抑制することができる。詳細には、図7のステップ100において、原則的に内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モード(図6(A))が選択され、パティキュレートフィルタ22aを再生することが必要になった時にパティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択される。そのため、パティキュレートフィルタ22aに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。
【0112】
更に本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択されている時であって機関中負荷運転時(図6(B)のB2)に図22のステップ304において副燃料噴射が実行されると共にステップ303において主燃料噴射時期が遅角される。そのため、低温燃焼を実行可能な機関低負荷運転時(B1)でなく、かつ、高温排気ガスを排出可能な機関高負荷運転時(B3)でない機関中負荷運転時(B2)であってもパティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度を高くすることができ、それゆえ、パティキュレートフィルタ22aを再生することができる。
【0113】
更に本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択されて低温燃焼が実行されている時(図6(B)のB1)であっても、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうな時には図26のステップ402において空燃比がリーン化される。そのため、パティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。更にパティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択されて図22のステップ304において副燃料噴射が実行されると共にステップ303において主燃料噴射時期が遅角されている時(図6(B)のB2)であっても、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうな時には図26のステップ405において主燃料噴射時期が進角されると共に副燃料噴射が中止される。そのため、パティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。更にパティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択されて通常燃焼が実行されている時(図6(B)のB3)であっても、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうな時には図26のステップ404において燃料噴射時期が進角される。そのため、パティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。つまり、パティキュレートフィルタ22aを再生している時にパティキュレートフィルタ22aの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタ22aが溶損してしまうのを回避することができる。
【0114】
更に上述した他の実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))が選択されている時であっても、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうな時には、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モード(図6(A))が選択されている時に実行される燃焼であって、詳細にはパティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度が比較的低くなる燃焼が割り込み実行される。そのため、パティキュレートフィルタ22aを再生している時にパティキュレートフィルタ22aの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタ22aが溶損してしまうのを回避することができる。
【0115】
更に本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうか否かが、図26のステップ400において第一の運転モード(図6(A))から第二の運転モード(図6(B))への切り換えを行った時からの経過時間に基づいて判定される。そのため、パティキュレートフィルタ22aの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的容易に判定することができる。
【0116】
更に上述した他の実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうか否かが出ガス温度センサ39bにより検出された排気ガス温度に基づいて判定される。そのため、パティキュレートフィルタ22aの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的正確に判定することができる。
【0117】
更に本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aの排気ガス流れ上流側に酸化機能を有する吸蔵還元型NO触媒22bが配置される。そのため、排気ガスがその触媒22bを通過する際に酸化せしめられ、その酸化熱によりパティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガスの温度を上昇させることができ、パティキュレートフィルタ22aの温度を比較的高い温度に維持することができる。また、微粒子のバインダとして作用するSOFがその触媒22bにより酸化せしめられ、その結果、パティキュレートフィルタ22aにおいて微粒子が堆積しづらくなるようにすることができる。
【0118】
更に本実施形態によれば、パティキュレートフィルタ22aに微粒子が所定量堆積したと推定された時に図7のステップ100においてYESと判定され、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モード(図6(A))からパティキュレートフィルタ22aを再生することを優先させた第二の運転モード(図6(B))への切り換えが行われる。そのため、ステップ102を実行し続けることによりパティキュレートフィルタ22aに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。
【0119】
また本実施形態によれば、機関低負荷運転時に低温燃焼が実行されるため、機関低負荷運転時に通常燃焼が実行される場合に比べてパティキュレートフィルタ22a内に流入する排気ガス温度を高くすることができる。それゆえ、低温燃焼が実行されない場合に比べ、パティキュレートフィルタ22aを再生することができる機関運転領域を拡大することができる。また本実施形態によれば、比較的容量の大きい酸化機能を有する触媒22bがパティキュレートフィルタ22aの排気ガス流れ上流側に配置されるため、パティキュレートフィルタ22aに平準化された高温排気ガスを供給することができ、それゆえ、パティキュレートフィルタ22aが局部的に過剰に昇温してしまうのを抑制することができる。
【0120】
また本実施形態によれば、第一の運転モード(図6(A))が選択される時間の長さ及び第二の運転モード(図6(B))が選択される時間の長さを適宜設定することにより、第一の運転モード(図6(A))選択時に煤が過剰に堆積するのに伴って第二の運転モード(図6(B))選択時にパティキュレートフィルタ22aの温度が過剰に昇温してしまうのを抑制することができ、更に第一の運転モード(図6(A))が選択される時間が長すぎるのに伴ってパティキュレートフィルタ22aの温度が低下し過ぎてしまうのを抑制すると共に、第二の運転モード(図6(B))が選択される時間が長すぎるのに伴ってパティキュレートフィルタ22aの温度が上昇し過ぎてしまうのを抑制することができる。
【0121】
また本実施形態によれば、第一の運転モード(図6(A))が選択されている時であっても機関低負荷運転時に低温燃焼が実行されるため、パティキュレートフィルタ22aの温度が低下するのを抑制することができる。そのため、第一の運転モード(図6(A))が選択され低温燃焼が実行されていた後に第二の運転モード(図6(B))に切り換えられた場合に、第二の運転モード(図6(B))が選択されている時間を短くすることができる。
【0122】
活性酸素放出剤としてパティキュレートフィルタに白金Ptのような貴金属のみを担持させても、白金Ptの表面上に保持されるNO又はSOから活性酸素を放出させることができる。ただし、この場合には酸化除去可能微粒子量Gを示す実線は図5に示す実線に比べて若干右側に移動する。また、活性酸素放出剤としてセリアを用いることも可能である。セリアは、排気ガス中の酸素濃度が高いと酸素を吸収し(Ce→2CeO)、排気ガス中の酸素濃度が低下すると活性酸素を放出する(2CeO→Ce)ものであるために、パティキュレートの酸化除去のために、NO吸蔵還元触媒装置の近傍雰囲気を定期的又は不定期にリッチ空燃比にする必要がある。セリアに代えて、鉄又は錫を使用しても良い。
【0123】
本実施例において、パティキュレートフィルタ自身が酸素吸蔵・活性酸素放出剤を担持して、この酸素吸蔵・活性酸素放出剤が放出する活性酸素によりパティキュレートが酸化除去されるものとしたが、これは、本発明を限定するものではない。例えば、活性酸素及び活性酸素と同等に機能する二酸化窒素等のパティキュレート酸化物質は、パティキュレートフィルタ又はそれに担持させた物質から放出されても、外部からパティキュレートフィルタへ流入するようにしても良い。この場合においても、パティキュレートフィルタの昇温は、パティキュレート自身の温度を高めて酸化除去させ易くなる。
【0124】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の燃費を向上させつつパティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを抑制することができる。詳細には、パティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。また、低温燃焼を実行可能な機関低負荷運転時でなく、かつ、高温排気ガスを排出可能な機関高負荷運転時でない機関中負荷運転時であってもパティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度を高くすることができ、それゆえ、パティキュレートフィルタを再生することができる。
【0125】
請求項2に記載の発明によれば、従来の場合のように微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積した後にその微粒子が輝炎を発して除去されるのと異なり、微粒子がパティキュレートフィルタ上に積層状に堆積する前に、酸素吸蔵・活性酸素放出剤が放出する活性酸素により、輝炎を発することなくその微粒子を酸化除去することができる。
【0126】
請求項3に記載の発明によれば、パティキュレートの付着等によって周囲の酸素濃度が低下すれば、酸素吸蔵・活性酸素放出剤は自然に活性酸素を放出して捕集微粒子を酸化除去することができる。
【0127】
請求項4に記載の発明によれば、酸素吸蔵・活性酸素放出剤は排気ガス中のNOも吸蔵するために、NOの大気放出量を低減することができる。
【0129】
請求項5及び6に記載の発明によれば、パティキュレートフィルタ内に流入する排気ガス温度が低下せしめられ、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇するのを回避することができる。つまり、パティキュレートフィルタを再生している時にパティキュレートフィルタの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタが溶損してしまうのを回避することができる。
【0130】
請求項に記載の発明によれば、パティキュレートフィルタを再生している時にパティキュレートフィルタの温度が上昇し過ぎてしまい、パティキュレートフィルタが溶損してしまうのを回避することができる。
【0131】
請求項に記載の発明によれば、パティキュレートフィルタの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的容易に判定することができる。
【0132】
請求項に記載の発明によれば、パティキュレートフィルタの温度を実際に検出することなく、パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを比較的正確に判定することができる。
【0133】
請求項10に記載の発明によれば、パティキュレートフィルタに微粒子が堆積するのを必要以上に抑制し、それに伴って内燃機関の燃費が悪化してしまうのを回避することができる。
【0134】
請求項11に記載の発明によれば、排気ガスがその触媒を通過する際に酸化せしめられ、その酸化熱によりパティキュレートフィルタ内に流入する排気ガスの温度を上昇させることができ、パティキュレートフィルタの温度を比較的高い温度に維持することができる。また、微粒子のバインダとして作用するSOFがその触媒により酸化せしめられ、その結果、パティキュレートフィルタにおいて微粒子が堆積しづらくなるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の排気浄化装置を圧縮着火式内燃機関に適用した第一の実施形態を示した図である。
【図2】パティキュレートフィルタ22aの構造を示した図である。
【図3】排気ガス流入通路50の内周面上に形成された担体層の表面の拡大図である。
【図4】微粒子の酸化の様子を示した図である。
【図5】単位時間当りに輝炎を発することなく酸化除去可能な酸化除去可能微粒子量Gを示した図である。
【図6】内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードとパティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードとを示した図である。
【図7】第一の実施形態の運転制御方法を示したフローチャートである。
【図8】図7のステップ101において実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。
【図9】機関低負荷運転領域A1における空燃比等を示す図である。
【図10】機関低負荷運転領域A1におけるスロットル弁等の目標開度のマップを示す図である。
【図11】機関低負荷運転領域A1における燃焼噴射開始時期を示す図である。
【図12】機関中高負荷運転領域A2における目標燃料噴射量等のマップを示す図である。
【図13】機関中高負荷運転領域A2における空燃比等を示す図である。
【図14】機関中高負荷運転領域A2におけるスロットル弁等の目標開度のマップを示す図である。
【図15】スモーク及びNOの発生量等を示す図である。
【図16】燃焼圧を示す図である。
【図17】燃料分子を示す図である。
【図18】スモークの発生量とEGR率との関係を示す図である。
【図19】噴射燃料量と混合ガス量との関係を示す図である。
【図20】要求負荷Lに対するスロットル弁17の開度、EGR制御弁25の開度、EGR率、空燃比、噴射時期及び噴射量を示した図である。
【図21】図7のステップ102において実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。
【図22】図7のステップ102において実行されるサブルーチンを示したフローチャートである。
【図23】機関中負荷運転領域B2における目標主燃料噴射量等のマップを示す図である。
【図24】機関中負荷運転領域B2における目標副燃料噴射量等のマップを示す図である。
【図25】機関中負荷運転領域B2における目標空燃比等のマップを示す図である。
【図26】第二の運転モード時にパティキュレートフィルタ22aが過剰に昇温するのを抑制する制御方法を示したフローチャートである。
【図27】時間とパティキュレートフィルタ22aの温度との関係を示した図である。
【図28】時間とパティキュレートフィルタ22aの温度との関係を示した図である。
【符号の説明】
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
20…排気管
22a…パティキュレートフィルタ
25…EGR制御弁
61…酸素吸蔵・活性酸素放出剤

Claims (11)

  1. 機関排気通路内に燃焼室から排出された排気ガス中の微粒子を除去するためのパティキュレートフィルタを配置した内燃機関の排気浄化装置において、前記パティキュレートフィルタ上では捕集微粒子が酸化させられ、内燃機関の燃費を向上させることを優先させた第一の運転モードと、前記パティキュレートフィルタを再生することを優先させた第二の運転モードとを具備し、第一の運転モードと第二の運転モードとを必要に応じて切り換えるようにした内燃機関の排気浄化装置において、
    前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量を更に増大していくと前記燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる内燃機関を用い、第一の運転モードが選択されている時であって機関低負荷運転時に煤の発生量がピークとなる不活性ガスの量よりも前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量が多く煤がほとんど発生しない低温燃焼が実行され、第一の運転モードが選択されている時であって機関中高負荷運転時に煤の発生量がピークとなる不活性ガスの量よりも前記燃焼室内に供給される不活性ガスの量が少ない通常燃焼が実行され、第二の運転モードが選択されている時であって機関低負荷運転時に低温燃焼が実行され、第二の運転モードが選択されている時であって機関中負荷運転時に副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角され、第二の運転モードが選択されている時であって機関高負荷運転時に通常燃焼が実行されることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記パティキュレートフィルタが酸素吸蔵・活性酸素放出剤を担持し、前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤から放出された活性酸素が前記パティキュレートフィルタ上で捕集微粒子を酸化することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素が存在すると酸素を取り込んで酸素を保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると保持した酸素を活性酸素の形で放出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記酸素吸蔵・活性酸素放出剤は、周囲に過剰酸素が存在するとNOを酸素と結合させて保持しかつ周囲の酸素濃度が低下すると結合させたNO及び酸素をNOと活性酸素とに分解して放出することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 第二の運転モードが選択されている時であって前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時に、低温燃焼が実行されている場合には空燃比をリーン化し、副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている場合には主燃料噴射時期を進角させ、通常燃焼が実行されている場合には燃料噴射時期を進角させるようにした請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 副燃料噴射が実行されると共に主燃料噴射時期が遅角されている場合に主燃料噴射時期を進角させる時には、副燃料噴射を中止するようにした請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 第二の運転モードが選択されている時であって前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうな時には、第一の運転モードが選択されている時に実行される燃焼を割り込み実行するようにした請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを、第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えを行った時からの経過時間に基づいて判定するようにした請求項5から7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  9. 前記パティキュレートフィルタの温度が過剰に上昇しそうか否かを排気ガス温度に基づいて判定するようにした請求項5から7のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  10. 前記パティキュレートフィルタに微粒子が所定量堆積したと推定された時に第一の運転モードから第二の運転モードへの切り換えを行うようにした請求項1 から9のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
  11. 前記パティキュレートフィルタの排気ガス流れ上流側に酸化機能を有する触媒を配置した請求項1から10のいずれかに記載の内燃機関の排気浄化装置。
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