JP3556460B2 - 縦裂き性ポリオレフィン系フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂よりなる縦裂き性フィルムに関するものである。詳しくは、フィルム製造時の樹脂の押し出し方向(フィルムの縦方向)への引裂き方向が直線性であり且つ引裂強度が低いという優れた引裂特性を有し、しかも、透明性、外観が良好であり、フィルムからの臭気の発生が極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系フィルムである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱可塑性樹脂よりなるフィルムを用い、様々な包装袋が提案されている。これら包装袋は、食品をはじめ、衣料、工業部品等の包装に使用され、内容物を保存、及び塵、ほこり等から保護するために広い分野で用いられている。
【0003】
その一方、包装された商品は使用する際には必ず開封する必要があり、一般には手で裂くことが大半である。この場合、大きな力をかけずに引き裂くことが可能で、裂ける方向が直線状であれば、内容物の形等を崩さず、包装袋を引裂くことができ、容易に開封することできる。
【0004】
そのために、開封用の切り口(ノッチ)を設けることが一般的であるが、さらに、切り口と同じ方向にフィルムが引裂かれることが必要であり、フィルムの引裂き方向性及びその際の引裂き強度が小さいフィルムが要求される。
【0005】
従来の引裂方向性を有するオレフィン系フィルムとして、縦方向に高倍率の延伸を施し、縦方向の分子配向を利用した一軸延伸フィルムが提案されている。
【0006】
また、無延伸または低倍率の一軸延伸にて引裂方向性を改良する目的で、ポリプロピレン系樹脂とソルビトール誘導体からなる組成物を製膜しフィルムにすることが提案されている(特開平1−299831号公報)。
【0007】
さらには、プロピレン重合体とスチレン重合体の樹脂混合物を成形してなる易引裂き性の熱封緘性フィルムがある(特開昭64−56740号公報)。
【0008】
しかしながら、上記の一軸延伸フィルムで十分な引裂方向性を持たせるには、高倍率延伸を行わねばならず、高倍率延伸では製造時にフィルムの厚みムラ、延伸ムラが発生し易く、また、透明性が低下するという問題点がある。
【0009】
また、ポリプロピレン系樹脂とソルビトール誘導体からなる組成物を製膜しフィルムにした場合、引裂方向性は改良されるが、製膜したフィルムから臭気が発生し、食品用途には使用が制限される。また、フィルム製膜後経時的にソルビトール誘導体のフィルム表面へのブリードが、透明性を悪化させたり、スリット、印刷などの2次加工時のロール汚れの原因となる。
【0010】
さらに、プロピレン重合体とスチレン重合体の樹脂混合物を成形してなるフィルムの場合、プロピレン重合体とスチレン重合体は不相溶であるために、透明性の低下、及びスチレン重合体が脆いために耐衝撃性が低下する。
【0011】
上記のような問題点があり、これまで、縦裂方向性が良好でかつ引裂き強度が小さい、優れた引裂特性を有し、しかも、臭気がなく、透明性及び外観の良好であるフィルムを得ることは困難であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の問題を解決すべくなされたものであり、優れた引裂特性を有し、透明性、外観が良好であり、臭気の発生が極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系フィルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、結晶性ポリプロピレン系樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂の特定の割合からなるポリオレフィン系樹脂組成物を使用し、かつ、特定の結晶化度およびc軸配向係数になるように製造条件等を調整することにより、縦方向への引裂方向性に優れ、かつ透明性、外観が良好であり、臭気の発生の極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系フィルムが得られることを見い出した。
【0014】
すなわち、本発明は結晶性ポリプロピレン系樹脂99.99〜90重量%と結晶性ポリエチレン系樹脂0.01〜10重量部とからなるポリオレフィン系樹脂組成物よりなり、結晶化度が45〜65%、縦方向のc軸配向係数が0.15〜0.6である縦裂き性ポリオレフィン系フィルムであって、該ポリオレフィン系フィルム100重量部に対して、防曇剤0.1〜4.0重量部を含有し、延伸倍率1.1〜1.5倍で延伸されてなる縦裂き性ポリオレフィン系フィルムである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する結晶性ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、またはそれらの混合物をあげることができる。他のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。これらとプロピレンとの共重合体としては、ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれも用いることができる。このα−オレフィン含有量は、20重量%以下が適当であり、好ましくは、10重量%以下である。該α−オレフィン含有量が20重量%を越える場合、結晶化度が低下し、引裂き方向性が低下する傾向がある。
【0016】
本発明で使用される結晶性ポリプロピレン系樹脂を具体的に例示すれば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体を挙げることができる。本発明で使用される結晶性ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は特に制限されるものではないが、フィルムへの成形性を考慮すると、0.5〜50g/10分(ASTM D1238 温度230℃、荷重2.16kg)の範囲のものであることが好ましい。
【0017】
本発明で用いる結晶性ポリエチレン系樹脂は、エチレンを主体とする結晶性重合体であれば特に制限されないが、その中でも、結晶性エチレン単独重合体、またはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体等の結晶性エチレン−α−オレフィン多元重合体、及びそれらの混合物が好適に使用される。
【0018】
また、結晶性ポリエチレン系樹脂の密度は、0.935〜0.975g/cm3、結晶性ポリエチレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)(ASTM D1238 温度190℃、荷重2.16kg)0.1〜50g/10分が好適である。
【0019】
特に、結晶性、加工性、外観(フィッシュアイ)等から、密度0.950〜0.970g/cm3、メルトフローレイト0.5〜30.0g/10分の高密度ポリエチレンが適している。
【0020】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂組成物における結晶性ポリプロピレン系樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂のそれぞれの配合量は、上記結晶性ポリプロピレン系樹脂99.99〜90重量%、結晶性ポリエチレン系樹脂0.01〜10重量%であり、好ましくは結晶性ポリプロピレン系樹脂99.5〜95重量%、結晶性ポリエチレン系樹脂0.5〜5重量%である。結晶性ポリエチレンの配合量が0.01重量%未満であれば、本発明の縦裂き方向性が不十分となり、逆に、10重量%を越えると透明性(ヘイズ値)が低下したり、フィッシュアイの発生が多くなるという問題が発生する。
【0021】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、たとえば、溶融混練法、ドライブレンド法等の公知の方法を採用すればよい。
【0022】
本発明の縦裂き性ポリオレフィン系フィルムは、上記の組成よりなり、かつ、X線回折により測定される結晶化度が45〜65%であり、好ましくは50〜62%である。かかる結晶化度が45%未満である場合、得られるフィルムの引き裂き方向性が低下し、また、結晶化度が65%を越えるとフィルムの剛性が大きくなり、一般包装用フィルムとしては扱いにくく、またフィルムの衝撃強度が極端に低下する。
【0023】
また、本発明の縦裂き性ポリオレフィン系フィルムは、更に、X線回折により測定されるc軸配向係数が、0.15〜0.6であり、好ましくは、0.20〜0.55であることが重要である。即ち、フィルムのc軸配向係数が0.15未満である場合、縦裂き方向性が低下し、一方、0.6を越えると透明性の低下、及び縦に裂け易くなりすぎて、包装用として扱うには不向きである。
【0024】
また、本発明の縦裂き性ポリオレフィン系フィルムには、防曇剤を配合する。上記防曇剤は、一般に、防曇剤、帯電防止剤、界面活性剤と呼ばれる公知のものが使用され、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールとラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とのエステル、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アルカノールアミド、高級アルコールリン酸エステル塩、及びその混合物等が代表的なものとして挙げられる。防曇剤の添加量は、上記ポリオレフィン系フィルム100重量部に対して、0.1〜4.0重量部であり、好ましくは、0.2〜2.0重量部である。上記防曇剤の添加量が0.1重量部未満の場合、防曇性の発現効果が小さく、一方、4.0重量部を越えると、防曇剤が表面にブリードしフィルムの防曇層同士のブロッキングが生じたり、透明性が低下する傾向にある。
【0025】
上記防曇剤の配合方法は、特に制限されず従来公知の方法を採用すればよく、たとえば、上記ポリオレフィン系樹脂組成物を製造する際に、同時に防曇剤を配合する方法、別途防曇剤のマスターバッチを作成しておき、フィルム製膜時に必要量配合する方法等が挙げられる。
【0026】
また、印刷処理等の用途に応じて、物性を損なわない程度にコロナ処理を施すことが好ましい。上記コロナ処理は、空気中で処理されても、窒素等の不活性ガス雰囲気下で処理されても差し支えなく、コロナ放電処理後、40℃、24時間エージングした後のフィルム表面濡れ指数が35〜45mN/mであることが好ましい。
【0027】
本発明の縦裂き性ポリオレフィン系フィルムの厚みは特に制限されないが、通常10〜100μmの範囲であることが実用的に好ましい。
【0028】
本発明の縦裂き性ポリオレフィン樹脂系フィルムの製造方法は、公知の方法を何ら制限なく用いることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂組成物を、Tダイ法により溶融押出し、温度調節可能なロールにより連続的に巻き取る方法、あるいは、ポリオレフィン系樹脂組成物をインフレーション法により溶融押出しし、温度調節可能なエアチャンバーにより空冷する方法または温度調節可能な水槽により水冷する方法等がある。
【0029】
上記方法において、得られる縦裂き性ポリオレフィン系フィルムの結晶化度を調節するためには、ダイスからでた溶融ポリオレフィン系樹脂組成物が溶融状態から冷却固化する際の冷却条件を調整する方法が一般的である。例えば、Tダイ法の場合、製膜速度によって調節範囲が異なるが、ダイス温度、エアナイフやエアチャンバー等の空気圧及び温度(必要に応じては温調する)、ロール(必要に応じては数本の温調ロール)もしくは水槽の温度、冷却ロールもしくは水槽とダイス間距離(エアギャップ)等を調節することなどが挙げられる。
【0030】
また、得られる縦裂き性ポリオレフィン系フィルムのc軸配向係数を調整するためには、ドラフト比(ダイス間隔と最終厚みの比)を大きくする、または透明性等が低下しない程度に弱延伸を施す、ダイス温度を下げる等の製造条件を調整する。例えば、延伸を施す場合、透明性を損なわない程度に延伸することが好ましい。詳細には、延伸倍率が、1〜3倍の範囲であり、好ましくは、1.1〜1.5倍であることが好ましい。3倍を越えると延伸ムラ、厚みムラの発生、透明性の悪化が起こるため実用的ではない。なお、延伸倍率は、無延伸フィルムの場合を1倍とする。
【0031】
また、フィルムの延伸方法は公知の方法を何ら制限なく用いることができる。例えば、Tダイ法の場合、製膜速度によって温度範囲が異なるが、ポリオレフィン系樹脂組成物を200〜250℃の温度範囲で溶融押出し、20〜120℃の範囲に調節したロールにより冷却固化させ、引き続き60〜160℃の範囲に調節した2本以上のロール間の周速差を利用して樹脂の押し出し方向に延伸した後、巻き取る方法が挙げられる。あるいは、Tダイ法により得た無延伸フィルム、又はインフレーション法により得たフィルムをフィルム延伸装置を用いてフィルムを繰り出し方向に延伸を行う方法が挙げられる。
【0032】
本発明の縦裂き性ポリオレフィン系フィルムには、必要に応じて、酸化防止剤、塩素捕捉剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、他の樹脂やフィラー等の添加剤を効果が阻害されない限り配合されてもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、結晶性ポリプロピレン系樹脂と結晶性ポリエチレン系樹脂とを特定の割合で配合した樹脂組成物を、特定の結晶化度およびc軸配向係数になるように製造条件等を調整することにより、縦方向に直線的に引裂くことが可能で、且つ適度な引裂き強度を有し、しかも、透明性、外観の良好であり、臭気の発生の極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系フィルムを得ることができる。
【0034】
更に、防曇剤を含有させることで防曇性を有する縦裂き性ポリオレフィン系フィルムを得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で得られた縦裂き性ポリオレフィン系フィルムの分析及び評価は次の方法にて行った。
【0036】
1.分析
(1)結晶化度及びc軸配向係数の測定
ここで、結晶化度、c軸配向係数は次のような測定方法によって求めた値である。
【0037】
・結晶化度:X線回折法によって求められるフィルム試料中の結晶の割合であり、詳しくは、X線による回折強度を測定し、回折強度曲線のピーク分離を行い、回折角2θが14.2°、17.1°、18.6°、21.9°、25.7°、28.6°付近に観測される結晶質のピーク面積をSC、16.3°付近に観測されるブロードな非晶質のピーク面積をSAとしたとき、下記式
SC/(SC+SA)×100(%)
で算出した。
【0038】
・c軸配向係数:X線回折法によって求められるポリプロピレン結晶c軸(分子鎖軸)のフィルムの縦方向(MD)への軸配向の程度を定量的に示す値である。詳しくは、ポリプロピレン結晶の(110)及び(040)面の配向分布曲線から、Z.W.Wilchinsky [”Advances in X−Ray Analysis”Vol.6 Plenum Press,New York(1963),P231]の方法により求められる。
【0039】
ここで、X線回折は、日本電子社製のX線回折装置JDX−3500を用いて、次の条件で行った。
【0040】
・ターゲット :銅(Cu−Kα線)
・管電圧−管電流:40kV−400mA
・X線入射法 :垂直ビーム透過法
・単色化 :グラファイトモノクロメーター
・検出器 :シンチレーションカウンター
結晶化度の場合、発散スリットは0.2mm、受光スリットは0.4mm、
c軸配向係数の場合、1mmφのユリメーター、受光スリットは2mmφピンホールで測定した。
【0041】
2.フィルムの物性評価
(1)引裂方向性
▲1▼引裂直線切れ性
フィルムから縦方向300mm×横方向210mmの試験片を切り出す。試験片の短片(横方向)の中央部に長さ15mmの2本の切り込みを間隔が10mmになるように入れる。中央部(切り込み間)を手で持って、約150mm/秒の速度で、フィルム面に対し45°の角度で縦方向に引っ張りフィルムを引き裂く。切り込み位置から150mmの点での、引き裂いた短冊の幅を測定した。幅が10mmの時、引裂直線切れ性は最良である。
【0042】
▲2▼引裂強度
フィルムから縦方向140mm×横方向30mmの試験片を切り出す。試験片の短片(横方向)の中央部に、長さ15mmの2本の切り込みを間隔が10mmになるように入れる。引張試験機を用いて、中央部(切り込み間)と両端部を各々180°反対方向に引っ張り、そのときの最大荷重を測定した。
【0043】
(2)透明性
JIS K 6714に準じて測定した。
【0044】
(3)フィルム外観
フィルム1m2当たりに存在する長径0.25mm以上のフィッシュアイ の数を目視で測定した。
【0045】
(4)臭気
製膜したフィルムの試験片(300mm×210mm)10枚を蓋付きの瓶(容量300ml)にいれ、瓶の中の臭気を10人で官能試験を行い、臭気の有無を判定した。
【0046】
(5)耐衝撃性試験
120mm×120mmにフィルムを切り出し、23℃下で東洋精機製フィルムインパクトテスターにて測定を行った。
【0047】
(6)防曇性評価
100mm×100mmにフィルムを切り出し、100mlのビーカーに水道水を50ml入れ、防曇面が内面になるようにビーカーにかぶせ、5℃の冷蔵庫に放置し、30分後と24時間後のフィルム内面の水滴の付着状況を目視にて観察し、以下のように評価した。
【0048】
○:全く曇らない
△:わずかに曇る
×:曇る(中身が見えない)
3.原料調整(造粒及びマスターバッチ作成)
(1)ポリプロピレン系樹脂原料A
結晶性プロピレン単独重合体(MFR8.0g/10分)100重量部に対して、酸化防止剤として2、6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩素補足剤としてステアリン酸カルシウムを0.13重量部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混合攪拌した後、60mmφ押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、原料ペレットAとした。
【0050】
(2)防曇剤マスターバッチMB1
プロピレン−エチレンランダム共重合体(P−E共重合体、エチレン含有量3.6重量%、MFR=6.5g/10分)100重量部に対して、酸化防止剤として2,6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩素補足剤としてステアリン酸カルシウムを0.15重量部、防曇剤としてグリセリン脂肪酸エステル6.0重量部、アルキルジエタノールアミン2.0重量部、高級アルコール3.0重量部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混合撹拌した後、45mmφ2軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、防曇剤添加量が10重量%の防曇剤マスターバッチMB1とした。
【0051】
(3)結晶核剤マスターバッチMB2
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体2(P−E−B共重合体2、エチレン含有量2.3重量%、1−ブテン含有量4.0重量%、MFR=7.0g/10分)100重量部に対して、ソルビトール誘導体の一つであるジ(P−メチルベンジリデン)ソルビトール(Me−DBS)5.3重量部、酸化防止剤として2,6−ブチルヒドロキシトルエンを0.1重量部、塩素補足剤としてステアリン酸カルシウムを0.13重量部を加えた樹脂組成物をヘンシルミキサーにて5分間混合撹拌した後、60mmφ押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、5重量%マスターバッチMB2とした。
【0052】
(4)結晶性ポリエチレン及びその他の樹脂
以下に示す高密度ポリエチレン及びポリスチレンを使用した。
【0053】
a:高密度ポリエチレン 出光製120J
密度=0.956g/cm3 MFR=19g/10分
b:高密度ポリエチレン 出光製230J
密度=0.962g/cm3 MFR=5.5g/10分
c:ポリスチレン 新日鉄化学製 エスチレンG−20
比重=1.05
MFR=10g/10分(JIS K6870 200℃ 5000g)
【0055】
実施例1
表1に示す各原料ペレット(防曇剤マスターを含む)をミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを用いて、スクリュー径75mmφの押出機で溶融混練し、Tダイ方式にてダイス温度230℃で押出成形し、3本のロールを利用して弱延伸を行った。その際、第1ロールを60℃に、引き続き第2ロールを80℃に、第3ロールを110℃に調節して、さらに、第2ロールと第3ロール間でロールの周速差を利用して1.1倍延伸し、厚さ30μmのフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。
【0056】
実施例2
表1に示す各原料ペレット(防曇剤マスターを含む)をミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを実施例1と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、3本のロールを利用して弱延伸を行った。その際、第1ロールを80℃に、引き続き第2ロールを80℃に、第3ロールを115℃に調節して、さらに、第2ロールと第3ロール間でロールの周速差を利用して1.5倍延伸し、厚さ30μmのフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。
【0057】
比較例1
表1に示す各原料ペレット(高密度ポリエチレンを添加しない)をミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを実施例3と同様の成形機にて、同様の成形条件、延伸条件で押出成形し、厚み30μmフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。表1に示したように、実施例に比べ縦裂き方向性が低下した。
【0058】
比較例2
表1に示す各原料ペレットをミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを実施例1と同様の成形機にてダイス温度210℃で押出成形し、実施例1と同様な冷却条件で厚み30μmのフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。表1に示したように、フィシュアイが発生し外観が損われた。
【0059】
比較例3
表1に示す各原料ペレット(ポリスチレンc添加)をミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを実施例3と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、冷却の際に使用する3本のロールを以下のように利用して弱延伸を行った。80℃に調節した第1ロールで冷却し、引き続き80℃に調節した第2ロールと110℃に加熱した第3ロールの間でロールの周速差を利用して1.1倍延伸し、厚さ30μmのフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。表1に示したように、実施例に比べ透明性が低下した。
【0060】
比較例4
表1に示す各原料ペレット(ソルビトール誘導体MB2添加)をミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを実施例1と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、実施例1と同様な冷却条件で厚さ30μmのフィルムを得た。物性評価結果を表1に示した。表1に示したように、臭気があり、製品として扱いにくく、耐衝撃性も実施例に比べ低下した。
【0061】
比較例5
表1に示す各原料ペレットをミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを用いて、実施例1と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、厚さ30μmのフィルムを得た。その際のロール温度を、第1ロール、第2ロール、第3ロールとも40℃に調整して行った。その後、40℃で24時間エージングした後に、フィルム物性を評価した。結果を表1に示した。表1に示したように縦裂き性がほとんどなく引き裂くことが困難であった。
【0062】
比較例6
表1に示す各原料ペレットをミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを用いて、実施例1と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、100℃に加熱した第1ロール、引き続き140℃に加熱した第2ロール、第3ロールの間でロールの周速差を利用して4.0倍延伸し、厚さ30μmの縦裂き性ポリプロピレン系フィルムを得た。その後、40℃で24時間エージングした後に物性評価した。表1にフィルム物性を示す。表1に示したように、実施例に比べ透明性が低下した。
【0063】
比較例7
表1に示す各原料ペレットをミキサーにて混合した。得られた原料ペレットを用いて、実施例1と同様の成形機にてダイス温度230℃で押出成形し、フィルムを得た。その際のロール温度を、第1ロール、第2ロール、第3ロールとも50℃に調整して、厚さ30μmのフィルムを得た。その後、40℃で24時間エージングした後に、フィルム物性を評価した。結果を表1に示した。表1に示したように、実施例に比べ縦裂き方向性が低下した。
【0064】
表1に示したフィルム物性より実施例のフィルムが押し出し方向への引裂方向性に優れ、かつ透明性、外観に優れた、臭気の発生が極めて少ない縦裂き性ポリオレフィン系フィルムであることがわかる。
【0065】
【表1】
Claims (1)
- 結晶性ポリプロピレン系樹脂99.99〜90重量%と結晶性ポリエチレン系樹脂0.01〜10重量部とからなるポリオレフィン系樹脂組成物よりなり、結晶化度が45〜65%、縦方向のc軸配向係数が0.15〜0.6である縦裂き性ポリオレフィン系フィルムであって、該ポリオレフィン系フィルム100重量部に対して、防曇剤0.1〜4.0重量部を含有し、延伸倍率1.1〜1.5倍で延伸されてなる縦裂き性ポリオレフィン系フィルム。
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JP (1) | JP3556460B2 (ja) |
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1998
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