JP3555717B2 - 半導体製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子線エピタキシー法により半導体基板(成長基板)上に化合物半導体を成長する半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置に関し、特に蒸気圧の高い材料分子を使用する際の製造工程を効率化できる半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体発光素子や高速電子素子に用いられる高品質な化合物半導体結晶を成長する方法として、分子線エピタキシー法、有機金属化学気相成長法及び液相成長法等の技術が用いられる。なかでも、分子線エピタキシー法は、超薄膜の制御性がよいこと、比較的低温で良質な結晶を成長できること、成長材料の利用効率がよいこと及び成長中に成長状態をその場で観察できること等の多くの利点を有する。
【0003】
これらの利点を生かして近年様々な材料系を分子線エピタキシー法を用いて成長することが試みられている。このなかには、リン、セレン、イオウ等の非常に蒸気圧の高い成長材料を用いた例も多く、半導体レーザ素子等の分野で優れた結果が得られている。
【0004】
ところで、このような蒸気圧の高い成長材料を分子線エピタキシー法で用いる場合は、結晶成長中の成長室内の真空度を継続的に良好に保つ技術が重要になる。この技術に関する従来例を、赤色半導体レーザ素子を成長する場合を例にとって、以下に説明する。
【0005】
図7は分子線エピタキシー法により赤色半導体レーザ素子を成長する半導体製造装置(以下分子線エピタキシー装置と称する)の一従来例の構成を示す。この分子線エピタキシー装置を用いて、実用的な赤色半導体レーザ素子を成長する方法を記載したものとして以下の参考文献があげられる。
【0006】
参考文献1:T.Hayakawa,et.al,Journal of Crysta1 Growth 95(1989)343−347
参考文献2:K.Takahashi,et.al,Journal of Crystal Growth 150(1995)1333−13
37
この参考文献1の「コンクルージョンの節」には、分子線エピタキシー法により固体材料を用いて、AlGaInP系の赤色半導体レーザ素子を製作した例が記載されており、そこでは層厚やドーピングの制御性、結晶の均一性が良好であって、p型クラッド層で1018cm−3の高濃度のドーピングが可能であり、利得ガイド型素子により波長671nmで室温連続発振が得られたことが報告されている。
【0007】
また、参考文献2の「アブストラクト」には、分子線エピタキシー法により固体材料を用いて、AlGaInP系の赤色半導体レーザ素子の実用化に成功したことが記載されている。また、そこでは半導体レーザ素子の特性改善には、結晶中への有害不純物の混入量を低減すること及び成長温度の最適化を図ることが重要である旨指摘されている。
【0008】
図7において、この分子線エピタキシー装置は、2つの成長室51,53及び両成長室51,53を連結する中間室52の3つの超高真空室を有する。まず、成長室51内でGaAs基板上にGaAsバッファ層を成長し、続いて成長室53内でAlGaInP発光層を成長し、その後、成長室51内でGaAsキャップ層を成長する。
【0009】
成長室53ではAlGaInP発光層を成長するためにリンを使用するが、このような方法で赤色半導体レーザ素子を連続的に成長する場合は、蒸気圧の高いリンを成長室53から効率的に排気して、成長室53内の超高真空状態を維持する必要がある。
【0010】
このため、上記の従来例では、成長室53内の排気を行う排気ポンプとして、超高真空まで排気可能なターボ分子ポンプが用いられている。ターボ分子ポンプの代わりに油拡散ポンプを使用する場合もあるが、いずれにしても排気したリンを適当な速度で真空室外部に排出していくことが重要である。このようなポンプを使用した場合、成長室53の内壁に沿って配設される液体窒素クライオパネルを併用すれば、10−10mbar台の真空度が得られる。なお、イオンポンプ等の吸着ポンプでは長期的に使用した場合、リンの蒸気圧が高く排気量が飽和してしまうため、適切でない。
【0011】
図7に示す構成で結晶成長を行う場合、成長中は成長室53内の液体窒素クライオパネルと液体窒素コールドトラップ54に液体窒素を充填し、リン分子を吸着し高真空を維持する。
【0012】
しかし、長期的に成長を連続して行うと、リンの吸着量が飽和するため、適当な間隔で成長を休止し、液体窒素を除去し、液体窒素クライオパネル及び液体窒素トラップ54に吸着したリン分子を排出する必要がある。
【0013】
図8に上記従来例の典型的な結晶成長の流れを示す。ここでは、1回当たり約3.6時間要するウエハ成長工程を20回行っている。よって、ウエハ成長に要する時間は、3.6×20=約72時間=約3日である。ウエハ成長工程が終了すると、液体窒素クライオパネルに吸着したリンの追い出し工程を約8時間行い、引き続いて液体窒素トラップ54に吸着したリンの追い出し工程を約20時間行っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示すように、従来例では、成長を約3日間連続的に継続したあと約1日以上のリン排出の作業が必要であるため、約1日以上ウエハ、即ち赤色半導体レーザ素子の製造を停止しなければならない。このため、赤色半導体レーザ素子の生産効率を向上する上でのネックになっていた。
【0015】
なお、連続成長日数をこれ以上延長すると、リンの排気効率が飽和する上、リン排出工程も長くなるため、生産効率はますます低下する。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減でき、半導体ウエハの生産効率を格段に向上できる半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体製造方法は、液体窒素が充填される液体窒素クライオパネルが内部に配設される成長室と、液体窒素コールドトラップを有し、第1のバルブを介して該成長室に連結された超高真空室と、該超高真空室に第2のバルブを介して連結され、超高真空排気系からなる第1排気系と、該液体窒素コールドトラップに第3のバルブを介して連結され、低真空領域で排気可能な排気系からなる第2排気系とを備える半導体製造装置において、分子線エピタキシー法により蒸気圧の高い材料を該成長室内で蒸発させて半導体を製造する半導体製造方法において、該第3のバルブを閉鎖して該第2排気系を停止し、該液体窒素コールドトラップおよび該液体窒素クライオパネルに液体窒素が充填された状態で該第1および第2のバルブを開放して該第1排気系により該超高真空室及び該成長室を排気しつつ、該成長室でウエハを成長する工程と、該第1のバルブを開放して該液体窒素クライオパネルの液体窒素を自然蒸発させる工程と、該第1および第2のバルブを閉鎖して該第1排気系を停止し、該第3のバルブを開放して該第2排気系により該液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程とを包含し、前記液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程において、該液体窒素コールドトラップの内部にホットエアを導入して液体窒素を蒸発させることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】
また、好ましくは、前記ホットエアの温度は、40℃以上250℃以下、好ましくは、約150℃とする。
【0025】
また、好ましくは、蒸気圧の高い材料として、リンを用いる。
【0026】
以下に、蒸気圧の高い材料としてリンを用いた場合を例にとって、作用を説明する。但し、本発明でいう蒸気圧の高い材料とは、成長待機時に成長室の真空度がイオンポンプ、拡散ポンプ等の超高真空ポンプで排気困難になるものを想定しており、一例として、リン(P)や硫黄(S)のように400°Kで蒸気圧が10−3torr以上となる材料を対象としている。また、セレン(Se)はこの条件を満足するものではないが、真空排気にイオンポンプを採用する場合、待機時排気困難な領域(10−5torr以上)に入るため、本発明でいう蒸気圧の高い材料に含まれる。
【0027】
なお、ここでいう400°Kは、具体的には水冷されている材料セルの周辺が待機時に保持される最高温度をいう。
【0028】
また、本発明でいう超高真空(度)、低真空(度)とは、10−3torr程度を境にして定義付けられるものである。即ち、本発明では10−3torr程度以上の真空度を超高真空と称し、10−3torr程度未満の真空度を低真空と称している。
【0029】
さて、上記従来例で説明したように、成長室の内部には液体窒素クライオパネルが配設されている。従って、第1排気系で超高真空室及び成長室を排気しつつ、成長室でウエハを成長する工程において、成長中に発生したリン分子の大部分は液体窒素クライオパネル及び液体窒素コールドトラップに吸着される。成長工程終了後、液体窒素クライオパネルに吸着されたリンは液体窒素コールドトラップに移動する。
【0030】
この状態から、第2排気系によって液体窒素コールドトラップに吸着されたリンの追い出しが行われるが、この第2排気系は低真空領域でも排気可能な排気ポンプ、一例として、広帯域ターボ分子ポンプを用いているため、急速にリンを液体窒素コールドトラップから追い出すことができる。このため、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減できる。
【0031】
ここで、広帯域ターボ分子ポンプのような低真空領域でも排気可能な排気ポンプを用いると、超高真空まで排気可能なターボ分子ポンプで液体窒素コールドトラップからリンを追い出す場合に比べて、排気工程に要する時間を飛躍的に低減できるのは、以下の理由による。
【0032】
即ち、リン分子を超高真空室から排気する工程は、まず液体窒素コールドトラップの内部にホットエアを導入して液体窒素コールドトラップを加熱し、これにより液体窒素を蒸発させて吸着しているリン分子を追い出し、その後、排気ポンプにより超高真空室からリン分子を排気することにより行われる。
【0033】
ここで、超高真空用ターボ分子ポンプは、低真空時に排気量が急激に低下する排気特性を有するため、超高真空室の真空度が10−2mbar程度より悪化しないようにする必要がある。このため、ホットエアの温度は余り高くすることができず、またその流量も余り大きくすることができない。即ち、ホットエアの温度を高くし、流量を大きくすると、液体窒素の蒸発量が増大し、超高真空室の真空度が10−2mbar以下になるからである。
【0034】
このため、従来例では、液体窒素コールドトラップの温度を低い状態に維持して、液体窒素の蒸発を緩やかに進行させる必要があるため、リン分子を液体窒素コールドトラップから追い出す迄の時間がかかり、結果的に超高真空室からリン分子を排気する排気工程に上記のような多大の時間を要していた。
【0035】
これに対して、広帯域ターボ分子ポンプのような低真空領域でも排気可能な排気ポンプでは、かかる制約がないため、より高熱かつより大流量のホットエアを液体窒素コールドトラップの内部に導入し、液体窒素をより急速に蒸発させることができるので、結局、超高真空室からリン分子を排気する排気工程に要する時間を飛躍的に短縮できるのである。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
【0037】
図1は本発明半導体製造装置であるAlGaInP系赤色半導体レーザ素子成長用の分子線エピタキシー装置を示す。この分子線エピタキシー装置は、2つの成長室11,13とそれらを連結する中間室12の3つの超高真空室を有する。また、図示するイオンポンプ等の構成部材を有する。成長室13の内部には、その内壁に沿って液体窒素クライオパネル27が配設されている。
【0038】
また、成長室13は、GaAs基板(成長基板)上にAlGaInP結晶を成長するためリン分子用排気系10を有する。図2はこの部分を拡大して示しており、この排気系10は、ゲートバルブ26を介して成長室13に連通された超高真空室23、ゲートバルブ22を介して超高真空室23に連通された超高真空排気用のターボ分子ポンプ20及びゲートバルブ25を介して超高真空室23の内部に配設された液体窒素コールドトラップ28に連通された広帯域ターボ分子ポンプ24を有する。
【0039】
また、ターボ分子ポンプ20にはロータリポンプ21が連結され、広帯域ターボ分子ポンプ24にもロータリポンプ29が連結されている。
【0040】
上記構成により、ターボ分子ポンプ20及び広帯域ターボ分子ポンプ24はそれぞれ独立して排気可能になっている。即ち、ターボ分子ポンプ20は超高真空室23及びこれに連通された成長室13の排気を行い、広帯域ターボ分子ポンプ24はこれに連結された液体窒素コールドトラップ28の排気を行うようになっている。
【0041】
次に、図3に従い、上記の分子線エピタキシー装置を用いてAlGaInP系赤色半導体レーザ素子を連続的に作製する方法について説明する。まず、成長室11でGaAs基板30上にGaAsバッファ層31を成長し、続いて成長室13でAlGaInP発光層32を成長し、その後、成長室llでGaAsキャップ層33を成長する。
【0042】
なお、この半導体レーザ素子の発振閾値はV/III比(5属成長材料と3属成長材料との比)やリン分解温度には鈍感であるが、成長温度には敏感であるので、成長温度を正確に制御する必要がある。
【0043】
上記の工程が1回の素子成長であり、図4に示すようにこれには約3.6時間を要する。この工程を連続して反復する場合、成長室13の蒸気圧の高いリンを効率的に排気することが重要となる。このため、ウエハの成長時にはゲートバルブ22及び26を開放し、ゲートバルブ25を閉鎖し、超高真空用排気系で超高真空室23及び成長室13を排気する。このとき超高真空室23の液体窒素コールドトラップ28と成長室13の液体窒素クライオパネル27に液体窒素を充填しておく。成長中に発生したリン分子の大部分はこれらに吸着されるため超高真空排気系の真空度が10−6mbarより悪化することはない。以上のような方法により約3日間(3.6×20=72時間=3日)で20回の成長の後、成長を中断し、リン排出工程に移る。
【0044】
このリン排出工程は、まずゲートバルブ26を開放し、成長室13内の液体窒素クライオパネル27内部の液体窒素を自然蒸発させ、リン分子を超高真空室23内の液体窒素コールドトラップ28に移動させる。図4に示すように、この工程には約8時間を要する。
【0045】
次に、ゲートバルブ22及び26を閉鎖し、ゲートバルブ25を開放し、液体窒素コールドトラップ28からのリン分子追い出しを広帯域ターボ分子ポンプ24を用いて行う。このとき、具体的には液体窒素コールドトラップ28の内部にホットエアを導入し、これによって液体窒素コールドトラップ28を加熱昇温して液体窒素を蒸発させる。これにより、吸着しているリン分子が液体窒素コールドトラップ28から追い出される。
【0046】
ここで、液体窒素コールドトラップ28の加熱昇温速度は、ホットエアの温度、流量によって決定され、ホットエアの温度としては、40℃以上250℃以下であればよく(室温で放置した際に白リンが再び蒸発しないように40℃以上とし、分子線エピタキシー装置の仕様で決まる250℃以下とする)、好ましくは、約150℃とする。なお、流量は約100L/secとした。
【0047】
なお、本実施形態では、広帯域ターボ分子ポンプ24として、排気量450リットル/secのものを用いた。
【0048】
図4に示すように、この工程に要する時間は約3時間であり、従来例の約20時間に比べて格段に排気時間を短縮できることがわかる。
【0049】
その理由は、作用の項で説明したように、本実施形態では、液体窒素コールドトラップ28に吸着されたリン分子の排出工程を、低真空領域でも排気可能な広帯域ターボ分子ポンプ24を用いて行うため、上記従来例に比べて、液体窒素コールドトラップ28の内部に導入されるホットエアの温度を高く、かつその流量を大きくして、液体窒素コールドトラップ28に充填される液体窒素を急速に蒸発させてリン分子を追い出し、これによって真空度が低下しても、広帯域ターボ分子ポンプ24の排気量が急激に低下することがないからである。
【0050】
このように、本実施形態によれば、液体窒素コールドトラップ28からのリン分子の追い出し工程を従来の約20時間から約3時間に短縮することができる。この結果、例えば20回の成長を行うのに要する分子線エピタキシー装置の装置稼働時間を100時間から83時間にまで短縮できるので、20%近くの生産性の向上が可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では超高真空排気ポンプとして、ターボ分子ポンプ20を用いたが、油拡散ポンプを用いても全く同様の効果が得られる。また、イオンポンプやクライオポンプを用いることも可能である。但し、この場合は、ポンプ内に蓄積したリン分子を排出するためのメンテナンスが必要になる。
【0052】
図5は本発明への適用が可能な各種ポンプの代表的な排気量の圧力依存性を示す。排気量は各ポンプの最大排気量で規格化してある。なお、最大排気量は同種のポンプでもその仕様値によって決定される。
【0053】
また、本実施形態では低真空用の排気ポンプとして、広帯域ターボ分子ポンプ24を用いたが、リン排出時には超高真空室23の真空度は低下するためロータリポンプを使用することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、固体リン材料を用いた赤色半導体レーザ素子を成長する場合を例にとって説明したが、本発明はセレンや硫黄等の蒸気圧の高い材料系を用いた場合にも全く同様の原理で適応可能である。また、ホスフィン(PH3)等のガス材料を用いた場合にも同様に生産性の大幅な向上が可能である。
【0055】
図6に本発明で使用される上記の成長材料の温度(°K)と蒸気圧(torr)との関係を示しておく。なお、リンはP4であり、分子線エピタキシー法による成長では、ホスフィンは熱分解されて供給されるので、リン排出工程には関与しない。成長材料としてホスフィンを使用する場合も、P4が成長室に吸着される。
【0056】
更には、成長する素子に関しても赤色半導体レーザ素子に限定されるものではなく、AlCaInAsP系,MgCdZnSSe系等の各種半導体レーザ素子や高速電子デバイス等の成長を行う場合にも有用であることは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上の本発明半導体製造方法によれば、超高真空室内の液体窒素コールドトラップに吸着されたリンの追い出し工程を、低真空領域でも排気可能な排気ポンプを用いて行うので、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減できる。この結果、所定回数の成長を行うのに要する分子線エピタキシー装置の装置稼働時間を従来例に比べて大幅に短縮できるので、半導体ウエハの生産効率を格段に向上できる。
【0058】
また、特に、請求項8記載の半導体製造方法によれば、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減する上で有効な方法となる。
【0059】
また、本発明半導体製造装置によれば、そのような効果を奏する半導体製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分子線エピタキシー装置を示す模式的平面図。
【図2】図1の分子線エピタキシー装置の成長室及びこれに連結される排気系を拡大して示す模式的平面図。
【図3】分子線エピタキシー装置を用いてAlGaInP系赤色半導体レーザ素子を連続的に作製する場合の工程図。
【図4】本発明半導体製造方法の概略工程図。
【図5】本発明への適用が可能な各種ポンプの代表的な排気量の圧力依存性を示すグラフ。
【図6】本発明で使用される上記の成長材料の温度(°K)と蒸気圧(torr)との関係を示すグラフ。
【図7】従来の分子線エピタキシー装置を示す模式的平面図。
【図8】図7の分子線エピタキシー装置を用いた製造方法の概略工程図。
【符号の説明】
10 排気系
11,13 成長室
12 中間室
20 ターボ分子ポンプ
22,25,26 ゲートバルブ
23 超高真空室
24 広帯域ターボ分子ポンプ
27 液体窒素クライオパネル
28 液体窒素コールドトラップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子線エピタキシー法により半導体基板(成長基板)上に化合物半導体を成長する半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置に関し、特に蒸気圧の高い材料分子を使用する際の製造工程を効率化できる半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体発光素子や高速電子素子に用いられる高品質な化合物半導体結晶を成長する方法として、分子線エピタキシー法、有機金属化学気相成長法及び液相成長法等の技術が用いられる。なかでも、分子線エピタキシー法は、超薄膜の制御性がよいこと、比較的低温で良質な結晶を成長できること、成長材料の利用効率がよいこと及び成長中に成長状態をその場で観察できること等の多くの利点を有する。
【0003】
これらの利点を生かして近年様々な材料系を分子線エピタキシー法を用いて成長することが試みられている。このなかには、リン、セレン、イオウ等の非常に蒸気圧の高い成長材料を用いた例も多く、半導体レーザ素子等の分野で優れた結果が得られている。
【0004】
ところで、このような蒸気圧の高い成長材料を分子線エピタキシー法で用いる場合は、結晶成長中の成長室内の真空度を継続的に良好に保つ技術が重要になる。この技術に関する従来例を、赤色半導体レーザ素子を成長する場合を例にとって、以下に説明する。
【0005】
図7は分子線エピタキシー法により赤色半導体レーザ素子を成長する半導体製造装置(以下分子線エピタキシー装置と称する)の一従来例の構成を示す。この分子線エピタキシー装置を用いて、実用的な赤色半導体レーザ素子を成長する方法を記載したものとして以下の参考文献があげられる。
【0006】
参考文献1:T.Hayakawa,et.al,Journal of Crysta1 Growth 95(1989)343−347
参考文献2:K.Takahashi,et.al,Journal of Crystal Growth 150(1995)1333−13
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この参考文献1の「コンクルージョンの節」には、分子線エピタキシー法により固体材料を用いて、AlGaInP系の赤色半導体レーザ素子を製作した例が記載されており、そこでは層厚やドーピングの制御性、結晶の均一性が良好であって、p型クラッド層で1018cm−3の高濃度のドーピングが可能であり、利得ガイド型素子により波長671nmで室温連続発振が得られたことが報告されている。
【0007】
また、参考文献2の「アブストラクト」には、分子線エピタキシー法により固体材料を用いて、AlGaInP系の赤色半導体レーザ素子の実用化に成功したことが記載されている。また、そこでは半導体レーザ素子の特性改善には、結晶中への有害不純物の混入量を低減すること及び成長温度の最適化を図ることが重要である旨指摘されている。
【0008】
図7において、この分子線エピタキシー装置は、2つの成長室51,53及び両成長室51,53を連結する中間室52の3つの超高真空室を有する。まず、成長室51内でGaAs基板上にGaAsバッファ層を成長し、続いて成長室53内でAlGaInP発光層を成長し、その後、成長室51内でGaAsキャップ層を成長する。
【0009】
成長室53ではAlGaInP発光層を成長するためにリンを使用するが、このような方法で赤色半導体レーザ素子を連続的に成長する場合は、蒸気圧の高いリンを成長室53から効率的に排気して、成長室53内の超高真空状態を維持する必要がある。
【0010】
このため、上記の従来例では、成長室53内の排気を行う排気ポンプとして、超高真空まで排気可能なターボ分子ポンプが用いられている。ターボ分子ポンプの代わりに油拡散ポンプを使用する場合もあるが、いずれにしても排気したリンを適当な速度で真空室外部に排出していくことが重要である。このようなポンプを使用した場合、成長室53の内壁に沿って配設される液体窒素クライオパネルを併用すれば、10−10mbar台の真空度が得られる。なお、イオンポンプ等の吸着ポンプでは長期的に使用した場合、リンの蒸気圧が高く排気量が飽和してしまうため、適切でない。
【0011】
図7に示す構成で結晶成長を行う場合、成長中は成長室53内の液体窒素クライオパネルと液体窒素コールドトラップ54に液体窒素を充填し、リン分子を吸着し高真空を維持する。
【0012】
しかし、長期的に成長を連続して行うと、リンの吸着量が飽和するため、適当な間隔で成長を休止し、液体窒素を除去し、液体窒素クライオパネル及び液体窒素トラップ54に吸着したリン分子を排出する必要がある。
【0013】
図8に上記従来例の典型的な結晶成長の流れを示す。ここでは、1回当たり約3.6時間要するウエハ成長工程を20回行っている。よって、ウエハ成長に要する時間は、3.6×20=約72時間=約3日である。ウエハ成長工程が終了すると、液体窒素クライオパネルに吸着したリンの追い出し工程を約8時間行い、引き続いて液体窒素トラップ54に吸着したリンの追い出し工程を約20時間行っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示すように、従来例では、成長を約3日間連続的に継続したあと約1日以上のリン排出の作業が必要であるため、約1日以上ウエハ、即ち赤色半導体レーザ素子の製造を停止しなければならない。このため、赤色半導体レーザ素子の生産効率を向上する上でのネックになっていた。
【0015】
なお、連続成長日数をこれ以上延長すると、リンの排気効率が飽和する上、リン排出工程も長くなるため、生産効率はますます低下する。
【0016】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減でき、半導体ウエハの生産効率を格段に向上できる半導体製造方法及びその実施に使用する半導体製造装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体製造方法は、液体窒素が充填される液体窒素クライオパネルが内部に配設される成長室と、液体窒素コールドトラップを有し、第1のバルブを介して該成長室に連結された超高真空室と、該超高真空室に第2のバルブを介して連結され、超高真空排気系からなる第1排気系と、該液体窒素コールドトラップに第3のバルブを介して連結され、低真空領域で排気可能な排気系からなる第2排気系とを備える半導体製造装置において、分子線エピタキシー法により蒸気圧の高い材料を該成長室内で蒸発させて半導体を製造する半導体製造方法において、該第3のバルブを閉鎖して該第2排気系を停止し、該液体窒素コールドトラップおよび該液体窒素クライオパネルに液体窒素が充填された状態で該第1および第2のバルブを開放して該第1排気系により該超高真空室及び該成長室を排気しつつ、該成長室でウエハを成長する工程と、該第1のバルブを開放して該液体窒素クライオパネルの液体窒素を自然蒸発させる工程と、該第1および第2のバルブを閉鎖して該第1排気系を停止し、該第3のバルブを開放して該第2排気系により該液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程とを包含し、前記液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程において、該液体窒素コールドトラップの内部にホットエアを導入して液体窒素を蒸発させることを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0024】
また、好ましくは、前記ホットエアの温度は、40℃以上250℃以下、好ましくは、約150℃とする。
【0025】
また、好ましくは、蒸気圧の高い材料として、リンを用いる。
【0026】
以下に、蒸気圧の高い材料としてリンを用いた場合を例にとって、作用を説明する。但し、本発明でいう蒸気圧の高い材料とは、成長待機時に成長室の真空度がイオンポンプ、拡散ポンプ等の超高真空ポンプで排気困難になるものを想定しており、一例として、リン(P)や硫黄(S)のように400°Kで蒸気圧が10−3torr以上となる材料を対象としている。また、セレン(Se)はこの条件を満足するものではないが、真空排気にイオンポンプを採用する場合、待機時排気困難な領域(10−5torr以上)に入るため、本発明でいう蒸気圧の高い材料に含まれる。
【0027】
なお、ここでいう400°Kは、具体的には水冷されている材料セルの周辺が待機時に保持される最高温度をいう。
【0028】
また、本発明でいう超高真空(度)、低真空(度)とは、10−3torr程度を境にして定義付けられるものである。即ち、本発明では10−3torr程度以上の真空度を超高真空と称し、10−3torr程度未満の真空度を低真空と称している。
【0029】
さて、上記従来例で説明したように、成長室の内部には液体窒素クライオパネルが配設されている。従って、第1排気系で超高真空室及び成長室を排気しつつ、成長室でウエハを成長する工程において、成長中に発生したリン分子の大部分は液体窒素クライオパネル及び液体窒素コールドトラップに吸着される。成長工程終了後、液体窒素クライオパネルに吸着されたリンは液体窒素コールドトラップに移動する。
【0030】
この状態から、第2排気系によって液体窒素コールドトラップに吸着されたリンの追い出しが行われるが、この第2排気系は低真空領域でも排気可能な排気ポンプ、一例として、広帯域ターボ分子ポンプを用いているため、急速にリンを液体窒素コールドトラップから追い出すことができる。このため、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減できる。
【0031】
ここで、広帯域ターボ分子ポンプのような低真空領域でも排気可能な排気ポンプを用いると、超高真空まで排気可能なターボ分子ポンプで液体窒素コールドトラップからリンを追い出す場合に比べて、排気工程に要する時間を飛躍的に低減できるのは、以下の理由による。
【0032】
即ち、リン分子を超高真空室から排気する工程は、まず液体窒素コールドトラップの内部にホットエアを導入して液体窒素コールドトラップを加熱し、これにより液体窒素を蒸発させて吸着しているリン分子を追い出し、その後、排気ポンプにより超高真空室からリン分子を排気することにより行われる。
【0033】
ここで、超高真空用ターボ分子ポンプは、低真空時に排気量が急激に低下する排気特性を有するため、超高真空室の真空度が10−2mbar程度より悪化しないようにする必要がある。このため、ホットエアの温度は余り高くすることができず、またその流量も余り大きくすることができない。即ち、ホットエアの温度を高くし、流量を大きくすると、液体窒素の蒸発量が増大し、超高真空室の真空度が10−2mbar以下になるからである。
【0034】
このため、従来例では、液体窒素コールドトラップの温度を低い状態に維持して、液体窒素の蒸発を緩やかに進行させる必要があるため、リン分子を液体窒素コールドトラップから追い出す迄の時間がかかり、結果的に超高真空室からリン分子を排気する排気工程に上記のような多大の時間を要していた。
【0035】
これに対して、広帯域ターボ分子ポンプのような低真空領域でも排気可能な排気ポンプでは、かかる制約がないため、より高熱かつより大流量のホットエアを液体窒素コールドトラップの内部に導入し、液体窒素をより急速に蒸発させることができるので、結局、超高真空室からリン分子を排気する排気工程に要する時間を飛躍的に短縮できるのである。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
【0037】
図1は本発明半導体製造装置であるAlGaInP系赤色半導体レーザ素子成長用の分子線エピタキシー装置を示す。この分子線エピタキシー装置は、2つの成長室11,13とそれらを連結する中間室12の3つの超高真空室を有する。また、図示するイオンポンプ等の構成部材を有する。成長室13の内部には、その内壁に沿って液体窒素クライオパネル27が配設されている。
【0038】
また、成長室13は、GaAs基板(成長基板)上にAlGaInP結晶を成長するためリン分子用排気系10を有する。図2はこの部分を拡大して示しており、この排気系10は、ゲートバルブ26を介して成長室13に連通された超高真空室23、ゲートバルブ22を介して超高真空室23に連通された超高真空排気用のターボ分子ポンプ20及びゲートバルブ25を介して超高真空室23の内部に配設された液体窒素コールドトラップ28に連通された広帯域ターボ分子ポンプ24を有する。
【0039】
また、ターボ分子ポンプ20にはロータリポンプ21が連結され、広帯域ターボ分子ポンプ24にもロータリポンプ29が連結されている。
【0040】
上記構成により、ターボ分子ポンプ20及び広帯域ターボ分子ポンプ24はそれぞれ独立して排気可能になっている。即ち、ターボ分子ポンプ20は超高真空室23及びこれに連通された成長室13の排気を行い、広帯域ターボ分子ポンプ24はこれに連結された液体窒素コールドトラップ28の排気を行うようになっている。
【0041】
次に、図3に従い、上記の分子線エピタキシー装置を用いてAlGaInP系赤色半導体レーザ素子を連続的に作製する方法について説明する。まず、成長室11でGaAs基板30上にGaAsバッファ層31を成長し、続いて成長室13でAlGaInP発光層32を成長し、その後、成長室llでGaAsキャップ層33を成長する。
【0042】
なお、この半導体レーザ素子の発振閾値はV/III比(5属成長材料と3属成長材料との比)やリン分解温度には鈍感であるが、成長温度には敏感であるので、成長温度を正確に制御する必要がある。
【0043】
上記の工程が1回の素子成長であり、図4に示すようにこれには約3.6時間を要する。この工程を連続して反復する場合、成長室13の蒸気圧の高いリンを効率的に排気することが重要となる。このため、ウエハの成長時にはゲートバルブ22及び26を開放し、ゲートバルブ25を閉鎖し、超高真空用排気系で超高真空室23及び成長室13を排気する。このとき超高真空室23の液体窒素コールドトラップ28と成長室13の液体窒素クライオパネル27に液体窒素を充填しておく。成長中に発生したリン分子の大部分はこれらに吸着されるため超高真空排気系の真空度が10−6mbarより悪化することはない。以上のような方法により約3日間(3.6×20=72時間=3日)で20回の成長の後、成長を中断し、リン排出工程に移る。
【0044】
このリン排出工程は、まずゲートバルブ26を開放し、成長室13内の液体窒素クライオパネル27内部の液体窒素を自然蒸発させ、リン分子を超高真空室23内の液体窒素コールドトラップ28に移動させる。図4に示すように、この工程には約8時間を要する。
【0045】
次に、ゲートバルブ22及び26を閉鎖し、ゲートバルブ25を開放し、液体窒素コールドトラップ28からのリン分子追い出しを広帯域ターボ分子ポンプ24を用いて行う。このとき、具体的には液体窒素コールドトラップ28の内部にホットエアを導入し、これによって液体窒素コールドトラップ28を加熱昇温して液体窒素を蒸発させる。これにより、吸着しているリン分子が液体窒素コールドトラップ28から追い出される。
【0046】
ここで、液体窒素コールドトラップ28の加熱昇温速度は、ホットエアの温度、流量によって決定され、ホットエアの温度としては、40℃以上250℃以下であればよく(室温で放置した際に白リンが再び蒸発しないように40℃以上とし、分子線エピタキシー装置の仕様で決まる250℃以下とする)、好ましくは、約150℃とする。なお、流量は約100L/secとした。
【0047】
なお、本実施形態では、広帯域ターボ分子ポンプ24として、排気量450リットル/secのものを用いた。
【0048】
図4に示すように、この工程に要する時間は約3時間であり、従来例の約20時間に比べて格段に排気時間を短縮できることがわかる。
【0049】
その理由は、作用の項で説明したように、本実施形態では、液体窒素コールドトラップ28に吸着されたリン分子の排出工程を、低真空領域でも排気可能な広帯域ターボ分子ポンプ24を用いて行うため、上記従来例に比べて、液体窒素コールドトラップ28の内部に導入されるホットエアの温度を高く、かつその流量を大きくして、液体窒素コールドトラップ28に充填される液体窒素を急速に蒸発させてリン分子を追い出し、これによって真空度が低下しても、広帯域ターボ分子ポンプ24の排気量が急激に低下することがないからである。
【0050】
このように、本実施形態によれば、液体窒素コールドトラップ28からのリン分子の追い出し工程を従来の約20時間から約3時間に短縮することができる。この結果、例えば20回の成長を行うのに要する分子線エピタキシー装置の装置稼働時間を100時間から83時間にまで短縮できるので、20%近くの生産性の向上が可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では超高真空排気ポンプとして、ターボ分子ポンプ20を用いたが、油拡散ポンプを用いても全く同様の効果が得られる。また、イオンポンプやクライオポンプを用いることも可能である。但し、この場合は、ポンプ内に蓄積したリン分子を排出するためのメンテナンスが必要になる。
【0052】
図5は本発明への適用が可能な各種ポンプの代表的な排気量の圧力依存性を示す。排気量は各ポンプの最大排気量で規格化してある。なお、最大排気量は同種のポンプでもその仕様値によって決定される。
【0053】
また、本実施形態では低真空用の排気ポンプとして、広帯域ターボ分子ポンプ24を用いたが、リン排出時には超高真空室23の真空度は低下するためロータリポンプを使用することも可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、固体リン材料を用いた赤色半導体レーザ素子を成長する場合を例にとって説明したが、本発明はセレンや硫黄等の蒸気圧の高い材料系を用いた場合にも全く同様の原理で適応可能である。また、ホスフィン(PH3)等のガス材料を用いた場合にも同様に生産性の大幅な向上が可能である。
【0055】
図6に本発明で使用される上記の成長材料の温度(°K)と蒸気圧(torr)との関係を示しておく。なお、リンはP4であり、分子線エピタキシー法による成長では、ホスフィンは熱分解されて供給されるので、リン排出工程には関与しない。成長材料としてホスフィンを使用する場合も、P4が成長室に吸着される。
【0056】
更には、成長する素子に関しても赤色半導体レーザ素子に限定されるものではなく、AlCaInAsP系,MgCdZnSSe系等の各種半導体レーザ素子や高速電子デバイス等の成長を行う場合にも有用であることは勿論である。
【0057】
【発明の効果】
以上の本発明半導体製造方法によれば、超高真空室内の液体窒素コールドトラップに吸着されたリンの追い出し工程を、低真空領域でも排気可能な排気ポンプを用いて行うので、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減できる。この結果、所定回数の成長を行うのに要する分子線エピタキシー装置の装置稼働時間を従来例に比べて大幅に短縮できるので、半導体ウエハの生産効率を格段に向上できる。
【0058】
また、特に、請求項8記載の半導体製造方法によれば、リンの排出工程に要する時間を飛躍的に低減する上で有効な方法となる。
【0059】
また、本発明半導体製造装置によれば、そのような効果を奏する半導体製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分子線エピタキシー装置を示す模式的平面図。
【図2】図1の分子線エピタキシー装置の成長室及びこれに連結される排気系を拡大して示す模式的平面図。
【図3】分子線エピタキシー装置を用いてAlGaInP系赤色半導体レーザ素子を連続的に作製する場合の工程図。
【図4】本発明半導体製造方法の概略工程図。
【図5】本発明への適用が可能な各種ポンプの代表的な排気量の圧力依存性を示すグラフ。
【図6】本発明で使用される上記の成長材料の温度(°K)と蒸気圧(torr)との関係を示すグラフ。
【図7】従来の分子線エピタキシー装置を示す模式的平面図。
【図8】図7の分子線エピタキシー装置を用いた製造方法の概略工程図。
【符号の説明】
10 排気系
11,13 成長室
12 中間室
20 ターボ分子ポンプ
22,25,26 ゲートバルブ
23 超高真空室
24 広帯域ターボ分子ポンプ
27 液体窒素クライオパネル
28 液体窒素コールドトラップ
Claims (3)
- 液体窒素が充填される液体窒素クライオパネルが内部に配設される成長室と、液体窒素コールドトラップを有し、第1のバルブを介して該成長室に連結された超高真空室と、該超高真空室に第2のバルブを介して連結され、超高真空排気系からなる第1排気系と、該液体窒素コールドトラップに第3のバルブを介して連結され、低真空領域で排気可能な排気系からなる第2排気系とを備える半導体製造装置において、分子線エピタキシー法により蒸気圧の高い材料を該成長室内で蒸発させて半導体を製造する半導体製造方法において、
該第3のバルブを閉鎖して該第2排気系を停止し、該液体窒素コールドトラップおよび該液体窒素クライオパネルに液体窒素が充填された状態で該第1および第2のバルブを開放して該第1排気系により該超高真空室及び該成長室を排気しつつ、該成長室でウエハを成長する工程と、
該第1のバルブを開放して該液体窒素クライオパネルの液体窒素を自然蒸発させる工程と、
該第1および第2のバルブを閉鎖して該第1排気系を停止し、該第3のバルブを開放して該第2排気系により該液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程と
を包含し、
前記液体窒素コールドトラップに付着した分子を排出する工程において、該液体窒素コールドトラップの内部にホットエアを導入して液体窒素を蒸発させることを特徴とする半導体製造方法。 - 前記ホットエアの温度は、40℃以上250℃以下、好ましくは、約150℃とする請求項1記載の半導体製造方法。
- 前記蒸気圧の高い材料がリンである請求項1または2に記載の半導体製造方法。
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