JP3555203B2 - 薄膜el表示装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車載用表示器、情報機器のディスプレイ装置、或は時計表示器等に使用される薄膜EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自発光型の平面表示装置として、ガラス等の透明基板上に、透明な第一電極を形成し、その上に絶縁層を介して、活性物質を添加した薄膜の発光層を形成し、その上に絶縁層を介して第二電極を形成した積層構造の薄膜EL表示装置が知られている。
【0003】
また、この種の薄膜EL表示装置として、従来、発光層に添加する活性物質を、例えばMn,Tbと異なる物質を使用することによって、橙黄色や緑色と相違した色に発光する2種類の薄膜EL素子を形成し、それらを重ね合せて配置し、多色表示を行う表示装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の2枚の薄膜EL素子を重ねて配置する薄膜EL表示装置では、従来、各素子の第一、第二電極の端部を、交流電源供給用の駆動回路に接続する場合、例えば、特開昭64−60993号公報に示されるように、2枚の薄膜EL素子の第一電極と第二電極の端部が、パネルの正面から見て同じ側に配置し、その位置で両電極の端部が駆動回路側のリード線と接続されていた。
【0005】
このため、重なって位置する各々の第一電極と第二電極の端部に、駆動回路側のリード線を半田付け等により接続する際、その接続作業が難しく、また、振動などにより重なり合った2枚の薄膜EL素子の電極が接触して短絡事故を起す恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、重ねて配置された2枚の薄膜EL素子の短絡事故を防止すると共に、各電極の接続端子部の接続を容易に行うことができる薄膜EL表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の薄膜EL表示装置は、透明基板上に、第一電極、第一絶縁層、発光層、第二絶縁層、及び第二電極を順に積層形成してなる2枚の薄膜EL素子を、重ね合せて配置した薄膜EL表示装置において、各薄膜EL素子の縁部に、第一、第二電極が接続される接続端子部が形成され、各々の接続端子部が重ならない状態で、2枚の薄膜EL素子が重ね合せて配置され、2枚の薄膜EL素子は、間に圧縮弾性率が薄膜EL素子の圧縮弾性率より小さく設定されている透明な絶縁体を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着されて構成される。
【0008】
ここで、2枚の薄膜EL素子は、枠体の内側に隠れ表示面に現われない位置に絶縁フィルムを介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着することができる。
【0009】
また、背面側に位置する薄膜EL素子には、特定色の光のみを透過させるフィルタを設けることができる。
【0010】
【作用・効果】
このような構成の薄膜EL表示装置では、2枚の薄膜EL素子が、各々の接続端子部を重ならないように、例えば交互に配置するようにして、重ね合せ接着されるため、2枚の薄膜EL素子の接続端子部が短絡する恐れはなくなり、接続端子部の短絡事故を防止することができる。
【0011】
さらに、2枚の薄膜EL素子の接続端子部が、重なって配置されずに、単独でパネルの縁部に位置するため、各接続端子部にリード線を接続する際、接続作業が容易となり、効率良く正確に接続作業を行うことができる。
【0012】
また、2枚の薄膜EL素子を、間に透明な絶縁体を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着する構成とすれば、2枚の薄膜EL素子の間隙を一定に保持して接着することができ、2枚の薄膜EL素子の反りを防止し、反りによる絶縁層の絶縁破壊を防止することができる。
【0013】
さらに、透明な絶縁体の圧縮弾性率を薄膜EL素子の圧縮弾性率より小さくすれば、薄膜EL表示装置に圧縮荷重がかかった場合、先ず透明な絶縁体が圧縮されて薄膜EL素子の凹凸面に沿って変形し、絶縁体と素子との接触面積が増大する。このため、薄膜EL素子にかかる局部的な圧縮応力を低減することができ、薄膜EL素子の圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0014】
また、2枚の薄膜EL素子の間の縁部寄りつまり枠体の内側に隠れ表示面に現われない位置に、絶縁フィルムを介挿すれば、その部分に交差するように配設される両薄膜EL素子の各電極接続線部を絶縁することができ、2枚の薄膜EL素子の各電極接続線部の短絡事故を効果的に防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明を適用した時計表示器の正面図を示している。この時計表示器は、図2の概略断面図に示すように、主に数字を表示する第一薄膜EL素子1(図3)と、主に秒針を表示する第二薄膜EL素子2(図4)とを重ね合せるように接着し、その周囲に枠体3を取着して構成される。
【0017】
この第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の接着は、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数の透明な粒状絶縁体としてプラスチックビーズ6を配置し、一定の間隔を保持した状態で行われ、接着後、内部にシリコンオイル等の絶縁油が真空注入される。
【0018】
さらに、枠体3の内側に隠れ表示面に現われない位置に、ポリイミドフィルム等からなる絶縁フィルム4が介挿される。この絶縁フィルム4は、後述の第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の電極接続線部(各々の第一、第二透明電極と接続端子部を接続する部分)間を絶縁し、短絡事故を防止する。
【0019】
第一薄膜EL素子1は、図7の概略断面図に示すように、ガラス基板10上に第一透明電極11を成膜形成し、第一透明電極11の上に第一絶縁層12を形成し、その第一絶縁層12上に発光層13を形成し、その発光層13の上に第二絶縁層14を形成した後、第二絶縁層14上に第二透明電極15を形成して構成される。
【0020】
発光層13には、橙黄色に発光する硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)が使用され、その橙黄色から赤色光のみを取出すために、第二絶縁層14と第二透明電極15上に、赤色透過フィルタ16が形成される。この赤色透過フィルタ16は、例えば580nm以下の波長の光を遮断するフィルタである。
【0021】
数字と分表示用のドットを表示する第一薄膜EL素子1は、図3、図5に示す如く、第一透明電極11と第二透明電極15を、表示しようとする数字とドットの形状に形成し、さらにその数字は2〜4個に分割して形成される。
【0022】
そして、分割された各第一、第二透明電極11、15には同じ材料(ITO,ZnO等の透明導電材料)によって電極接続線部11a,15aが延設され、それらの電極接続線部11a,15aの先端は、ガラス基板10の縁部(図3の左右の側部)に設けられた接続端子部17の各端子に接続される。なお、枠体3の内側に隠れ表示面に現われない電極接続線部11a,15a上には、電気抵抗の小さい金属導電部が形成される。
【0023】
第二薄膜EL素子2は、上記と同様に、ガラス基板20上に第一透明電極21を成膜形成し、第一透明電極21の上に第一絶縁層22を形成し、その第一絶縁層22上に発光層23を形成し、その発光層23の上に第二絶縁層24を形成した後、第二絶縁層24上に第二透明電極25を形成して構成される。発光層23には、緑色発光する硫化亜鉛:テルビウム(ZnS:Tb)が使用される。
【0024】
また、秒針と数字上のドットを表示する第二薄膜EL素子2は、図4、図6に示すように、第一透明電極21と第二透明電極25を、表示しようとする秒針(放射状に配置された曲線)とドットの形状に形成している。
【0025】
さらに、上記と同様に、第一、第二透明電極21、25には電極接続線部21a,25aが延設され、それらの電極接続線部21a,25aの先端は、ガラス基板20の上縁部と下縁部に設けられた接続端子部27の各端子に接続される。
【0026】
また、それらの電極接続線部21a,25aには、枠体3により隠れて表示面に現われない部分上に、低電気抵抗の金属導電部が形成される。
【0027】
このように構成された第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数のプラスチックビーズ6を配置すると共に、電極接続線部11a,15a,21a,25aが位置する周縁部に絶縁フィルム4を介挿し、一定の間隔を保持しながら、重ね合せて接着される。
【0028】
ここで、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率は、薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率より小さくするとよい。薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率は約1000〜5000kgf/mm2 程度であるから、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率は約400〜1000kgf/mm2 が適当である。
【0029】
このとき、各EL素子の接続端子部17、27が、交互に位置するように、つまり重ならないように、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は重ね合せ接着される。図3と図4に示すように、第一薄膜EL素子1の接続端子部17は左右の側縁部に位置し、第二薄膜EL素子2の接続端子部27は上下の縁部に位置するため、この図の状態で両EL素子を重ね合せば、接続端子部17、27は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。
【0030】
一方、接着の際、両EL素子1、2の接続端子部17、27を外した位置に、接着剤を付さないことによって油注入口がパネルの厚さ方向に形成される。そして、この油注入口からシリコンオイル等の絶縁油を真空注入し、注入口を接着剤で封止する。
【0031】
次に、第一薄膜EL素子1及び第二薄膜EL素子2を製造する際の具体例を説明する。
【0032】
先ず、ガラス基板10、20上に第一透明電極11、21を、ITO(Indium Tim Oxide)を用いて真空蒸着法により形成する。
【0033】
ここで、蒸着材料としては、例えば酸化インジウム(In2 O3 )中に酸化錫(SnO2 )をIn原子に対してSn原子が5%となるように混合成形し焼成しペレット状としたものを用いた。
【0034】
又、電子ビーム蒸着装置内にガラス基板10、20と上記ペレットをセットし、ガラス基板10、20を250℃に保持したまま真空槽内を3×10−4Paまで排気した。
【0035】
次に、6.7×10−2PaまでO2 ガスを導入し、蒸着速度が0.1〜0.3nm/sec となるように、電子ビームの出力を調整しながらITO透明導電膜を200mnの厚さに成膜した。
【0036】
次に、このITO透明導電膜をフォトリソグラフィの手法を用いて、塩酸(HCI)等のウェットエッチングにより、図3、図4に示すような形状の第一透明電極11、21を形成した。
【0037】
次に、上記第一透明電極11、21が形成されたガラス基板10、20に五酸化タンタル(Ta2 O5 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )の混合物よりなる第一絶縁層12、22を高周波スパッタ法にて成膜した。
【0038】
具体的には、上記第一透明電極11、21が形成されたガラス基板10、20をスパッタ装置内にセットし、200℃に30分保持した後、その真空層内を3×10−4Paまで排気した。
【0039】
その後、Arガスを180cc/min ,O2 ガスを20cc/min の割合で真空槽内に導入しつつ、排気バルブを調整し真空槽内の圧力を1Paに設定した。ターゲットとしては、五酸化タンタル(Ta2 O5 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )の混合物からなる焼成ターゲットを用い、高周波電力をターゲット単位面積あたり2.1W/cm2 投入し、プリスパッタを10分間行った後、5.8nm/min の堆積速度の条件にて成膜を行い、500nmの厚さに堆積させた。
【0040】
次に、第一薄膜EL素子1では、第一絶縁層12上に、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料とし、発光中心として、黄橙色発光のマンガン(Mn)を0.8重量%の割合で添加した硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)を、蒸着により700nmの厚さに成膜し、発光層13を形成した。具体的には、ガラス基板10の温度を200℃に保持し、電子ビーム蒸着装置内を5×10−4Paに維持し、堆積速度0.1〜0.3nm/sec の条件で電子ビーム蒸着を行った。
【0041】
また、第二薄膜EL素子2では、第一絶縁層22上に、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料とし、発光中心として、緑色発光の弗化酸化テルビウム(TbOF)を3.5重量%の割合からなる混合物の焼成ターゲットを用い、高周波スパッタ法により700nmの厚さに成膜し、発光層23を形成した。
【0042】
具体的には、ガラス基板20の温度を250℃に保持し、4Paのガス圧を有するArとHeの混合ガスの雰囲気中で上記スパッタリングターゲットに2W/cm2 の高周波電力を供給して成膜を行った。
【0043】
さらに、その発光層13、23上に、第一絶縁層12、22と同様の第二絶縁層14、24を高周波スパッタ法にて成膜し、500nmの厚さに堆積させた。
【0044】
次に、第二絶縁層14、24上に第二透明電極15、25を、第一透明電極11、21と同様に成膜し、ウエットエッチングにより、同電極15、25を形成した。
【0045】
上記構成の第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は、上述のように、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数のプラスチックビーズ6を配置して一定の間隔を保持しながら、接続端子部17、27を交互に位置させるように重ね合せて接着される。そして、接続端子部17、27を外した位置に、接着剤を付さないことによって形成された油注入口から、シリコンオイル等の絶縁油を真空注入し、注入口を接着剤で封止する。このような薄膜ELパネルは枠体3に周囲を保持され、時計表示器となる。
【0046】
このような構成の時計表示器では、上記のように、第一、第二薄膜EL素子1、2が、各々の接続端子部17、27を重ならないように、重ね合せて接着されるため、接続端子部17と27が短絡する恐れはなくなり、接続端子部17と27の短絡事故を防止することができる。また、接続端子部17、27が、重なって配置されずに、単独でパネルの縁部に位置するため、各接続端子部17、27にリード線を接続する際、接続作業が容易となり、効率良く正確に接続作業を行うことができる。
【0047】
さらに、第一、第二薄膜EL素子1、2を、間にプラスチックビーズ6を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤5で接着するため、第一、第二薄膜EL素子1、2の間隙を一定に保持して接着することができ、両EL素子の反りを防止し、反りによる絶縁層の絶縁破壊を防止することができる。
【0048】
また、介挿されるプラスチックビーズ6の圧縮弾性率が、薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率より小さいため、薄膜EL表示装置に圧縮荷重がかかった場合、先ずプラスチックビーズ6が圧縮されて、図8のように、薄膜EL素子1、2の凹凸面等に沿って変形し、プラスチックビーズ6と薄膜EL素子1、2との接触面積が増大する。このため、薄膜EL素子1、2にかかる局部的な圧縮応力を低減することができ、薄膜EL素子1、2の圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0049】
また、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率を薄膜EL素子1、2のそれより小さくすれば、圧縮時、プラスチックビーズ6が歪んで薄膜EL素子1、2の凹凸及びパターンを覆い、薄膜EL素子1、2との接触面積が増大するため、薄膜EL素子1、2にかかる局所的な圧縮応力を低減することができ、圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0050】
ここで、プラスチックビーズ6はその圧縮弾性率を1000kgf/mm2 以下とするのがよい。なぜなら、圧縮弾性率が約400〜7000kgf/mm2 の透明な絶縁体を薄膜EL素子1、2の間に介挿させて、一定の圧縮荷重を薄膜EL素子1、2に加えて実験を行った結果、圧縮弾性率が1000kgf/mm2 以下のプラスチックビーズ6を介挿させたものでは、絶縁破壊が発生せず、良好な結果が得られたからである。
【0051】
また、両EL素子1と2間の縁部寄りつまり枠体3の内側に隠れ表示面に現われない位置に、絶縁フィルム4が介挿されるため、その部分に交差するように配設される両EL素子1、2の各電極接続線部11a,15a,21a,25aを絶縁することができ、両EL素子1、2の各電極接続線部の短絡事故を効果的に防止することができる。
【0052】
この時計表示器は、その接続端子部17、27が図示しない駆動回路に接続され、その駆動回路が時計回路からの制御信号を受けて第一、第二透明電極間に約200Vの高周波交流電圧を印加する。これにより、電圧を印加された電極間の発光層が発光し、時刻を示す数字や分を示すドットが赤色に光り、秒を示す秒針が緑色に光り、時刻を表示する。また、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の発光が重なった部分では、両EL素子の発光量を制御することにより、赤色から緑色まで中間色を含めてその部分の発光色を変えることができる。
【0053】
なお、第一薄膜EL素子1を橙黄色に発光させる場合には、勿論、赤色透過フィルタ16を除去すればよい。また、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の電極接続線部間の絶縁性に問題がなければ、上記絶縁フィルム4は必ずしも介挿する必要はない。
【0054】
図9と図10は他の実施例を示し、ここでは、本発明を適用した速度表示器の第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32を示す。この速度表示器は、速度を7セグメント方式の数字で表示するものであり、第一薄膜EL素子31(図9)と第二薄膜EL素子32(図10)を一定間隔で重ね合せ、周縁部を接着して構成れる。
【0055】
この第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32は、上記と同様に、ガラス基板33、34上に第一透明電極35、36を数字形に成膜形成し、第一透明電極35、36の上に第一絶縁層を形成し、その第一絶縁層上に発光層を形成し、その発光層の上に第二絶縁層を形成した後、第二絶縁層上に第二透明電極37、38を数字形に形成して構成される。
【0056】
また、第一薄膜EL素子31のガラス基板33の上縁部と下縁部には、接続端子部39が形成され、第一、第二透明電極35、37から同じ材料で延設された電極接続線部35a,37aの先端が、その接続端子部39の各端子に接続される。また、第二薄膜EL素子32のガラス基板34の左右の側縁部には、接続端子部40が形成され、第一、第二透明電極36,38から同じ材料で延設された電極接続線部36a,38aの先端が、その接続端子部40の各端子に接続される。
【0057】
このような第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32は、内側周縁部に接着剤を付し、介挿したプラスチックビーズにより一定の間隔を保持しながら、各EL素子の数字形の第一透明電極、第二透明電極が正確に重なり合うように接着される。
【0058】
この場合、図9と図10に示すように、第一薄膜EL素子31の接続端子部39は上下の縁部に位置し、第二薄膜EL素子32の接続端子部40は左右の縁部に位置するため、この図の状態で両EL素子を重ね合せば、接続端子部39、40は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。したがって、接続端子部39、40の短絡事故を防止することができ、接続端子部39、40へのリード線の接続作業も容易となる。
【0059】
図11はさらに他の実施例を示し、この例はドットマトリックス方式の薄膜EL表示装置である。この薄膜EL表示装置も上記と同様に、第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42を、一定の間隔で重ね合せ、周縁部を接着して構成される。
【0060】
第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42は、各々、ガラス基板43、44上にストライプ状の第一透明電極を成膜形成し、第一透明電極上に第一絶縁層を形成し、その第一絶縁層上に発光層を形成し、その発光層の上に第二絶縁層を形成した後、第二絶縁層上にストライプ状の第二透明電極を、第一透明電極と直交する方向に形成して構成される。
【0061】
また、第一薄膜EL素子41のガラス基板43の上縁部と一側縁部には、接続端子部45が形成され、ストライプ状の第一、第二透明電極の先端がその接続端子部45の各端子に接続される。また、第二薄膜EL素子42のガラス基板44の下縁部と他側縁部には、接続端子部46が形成され、ストライプ状の第一、第二透明電極の先端がその接続端子部46の各端子に接続される。
【0062】
第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42は、内側周縁部に接着剤を付し、介挿したガラスビーズ等により一定の間隔を保持しながら、重ね合せて接着されるが、図11のように、第一薄膜EL素子41の接続端子部45は上縁部と右縁部に位置し、第二薄膜EL素子42の接続端子部46は下縁部と左縁部に位置するため、接続端子部45と46は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。したがって、接続端子部45、46の短絡事故を防止することができ、接続端子部45、46へのリード線の接続作業も容易となる。
【0063】
なお、上記実施例の時計表示器における薄膜EL素子の各構成層の材料及び成膜方法は、上記の材料や方法に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の時計表示器の正面図である。
【図2】同時計表示器の概略断面図である。
【図3】第一薄膜EL素子1の正面図である。
【図4】第二薄膜EL素子2の正面図である。
【図5】第一薄膜EL素子1の部分拡大正面図である。
【図6】第二薄膜EL素子2の部分拡大正面図である。
【図7】第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の概略断面図である。
【図8】プラスチックビーズ6の変形状態を示す拡大断面図である。
【図9】他の実施例を示す数字表示用の第一薄膜EL素子31の正面図である。
【図10】他の実施例を示す数字表示用の第二薄膜EL素子32の正面図である。
【図11】他の実施例を示すドットマトリック方式の薄膜EL表示装置の正面図である。
【符号の説明】
1−第一薄膜EL素子、2−第二薄膜EL素子、3−枠体、4−絶縁フィルム、5−接着剤、6−プラスチックビーズ、10、20−ガラス基板、11、21−第一透明電極、12、22−第一絶縁層、13、23−発光層、14、24−第二絶縁層、15、25−第二透明電極、11a,15a,21a,25a−電極接続線部、17、27−接続端子部。
【産業上の利用分野】
本発明は、車載用表示器、情報機器のディスプレイ装置、或は時計表示器等に使用される薄膜EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自発光型の平面表示装置として、ガラス等の透明基板上に、透明な第一電極を形成し、その上に絶縁層を介して、活性物質を添加した薄膜の発光層を形成し、その上に絶縁層を介して第二電極を形成した積層構造の薄膜EL表示装置が知られている。
【0003】
また、この種の薄膜EL表示装置として、従来、発光層に添加する活性物質を、例えばMn,Tbと異なる物質を使用することによって、橙黄色や緑色と相違した色に発光する2種類の薄膜EL素子を形成し、それらを重ね合せて配置し、多色表示を行う表示装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の2枚の薄膜EL素子を重ねて配置する薄膜EL表示装置では、従来、各素子の第一、第二電極の端部を、交流電源供給用の駆動回路に接続する場合、例えば、特開昭64−60993号公報に示されるように、2枚の薄膜EL素子の第一電極と第二電極の端部が、パネルの正面から見て同じ側に配置し、その位置で両電極の端部が駆動回路側のリード線と接続されていた。
【0005】
このため、重なって位置する各々の第一電極と第二電極の端部に、駆動回路側のリード線を半田付け等により接続する際、その接続作業が難しく、また、振動などにより重なり合った2枚の薄膜EL素子の電極が接触して短絡事故を起す恐れがあった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、重ねて配置された2枚の薄膜EL素子の短絡事故を防止すると共に、各電極の接続端子部の接続を容易に行うことができる薄膜EL表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の薄膜EL表示装置は、透明基板上に、第一電極、第一絶縁層、発光層、第二絶縁層、及び第二電極を順に積層形成してなる2枚の薄膜EL素子を、重ね合せて配置した薄膜EL表示装置において、各薄膜EL素子の縁部に、第一、第二電極が接続される接続端子部が形成され、各々の接続端子部が重ならない状態で、2枚の薄膜EL素子が重ね合せて配置され、2枚の薄膜EL素子は、間に圧縮弾性率が薄膜EL素子の圧縮弾性率より小さく設定されている透明な絶縁体を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着されて構成される。
【0008】
ここで、2枚の薄膜EL素子は、枠体の内側に隠れ表示面に現われない位置に絶縁フィルムを介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着することができる。
【0009】
また、背面側に位置する薄膜EL素子には、特定色の光のみを透過させるフィルタを設けることができる。
【0010】
【作用・効果】
このような構成の薄膜EL表示装置では、2枚の薄膜EL素子が、各々の接続端子部を重ならないように、例えば交互に配置するようにして、重ね合せ接着されるため、2枚の薄膜EL素子の接続端子部が短絡する恐れはなくなり、接続端子部の短絡事故を防止することができる。
【0011】
さらに、2枚の薄膜EL素子の接続端子部が、重なって配置されずに、単独でパネルの縁部に位置するため、各接続端子部にリード線を接続する際、接続作業が容易となり、効率良く正確に接続作業を行うことができる。
【0012】
また、2枚の薄膜EL素子を、間に透明な絶縁体を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着する構成とすれば、2枚の薄膜EL素子の間隙を一定に保持して接着することができ、2枚の薄膜EL素子の反りを防止し、反りによる絶縁層の絶縁破壊を防止することができる。
【0013】
さらに、透明な絶縁体の圧縮弾性率を薄膜EL素子の圧縮弾性率より小さくすれば、薄膜EL表示装置に圧縮荷重がかかった場合、先ず透明な絶縁体が圧縮されて薄膜EL素子の凹凸面に沿って変形し、絶縁体と素子との接触面積が増大する。このため、薄膜EL素子にかかる局部的な圧縮応力を低減することができ、薄膜EL素子の圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0014】
また、2枚の薄膜EL素子の間の縁部寄りつまり枠体の内側に隠れ表示面に現われない位置に、絶縁フィルムを介挿すれば、その部分に交差するように配設される両薄膜EL素子の各電極接続線部を絶縁することができ、2枚の薄膜EL素子の各電極接続線部の短絡事故を効果的に防止することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明を適用した時計表示器の正面図を示している。この時計表示器は、図2の概略断面図に示すように、主に数字を表示する第一薄膜EL素子1(図3)と、主に秒針を表示する第二薄膜EL素子2(図4)とを重ね合せるように接着し、その周囲に枠体3を取着して構成される。
【0017】
この第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の接着は、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数の透明な粒状絶縁体としてプラスチックビーズ6を配置し、一定の間隔を保持した状態で行われ、接着後、内部にシリコンオイル等の絶縁油が真空注入される。
【0018】
さらに、枠体3の内側に隠れ表示面に現われない位置に、ポリイミドフィルム等からなる絶縁フィルム4が介挿される。この絶縁フィルム4は、後述の第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の電極接続線部(各々の第一、第二透明電極と接続端子部を接続する部分)間を絶縁し、短絡事故を防止する。
【0019】
第一薄膜EL素子1は、図7の概略断面図に示すように、ガラス基板10上に第一透明電極11を成膜形成し、第一透明電極11の上に第一絶縁層12を形成し、その第一絶縁層12上に発光層13を形成し、その発光層13の上に第二絶縁層14を形成した後、第二絶縁層14上に第二透明電極15を形成して構成される。
【0020】
発光層13には、橙黄色に発光する硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)が使用され、その橙黄色から赤色光のみを取出すために、第二絶縁層14と第二透明電極15上に、赤色透過フィルタ16が形成される。この赤色透過フィルタ16は、例えば580nm以下の波長の光を遮断するフィルタである。
【0021】
数字と分表示用のドットを表示する第一薄膜EL素子1は、図3、図5に示す如く、第一透明電極11と第二透明電極15を、表示しようとする数字とドットの形状に形成し、さらにその数字は2〜4個に分割して形成される。
【0022】
そして、分割された各第一、第二透明電極11、15には同じ材料(ITO,ZnO等の透明導電材料)によって電極接続線部11a,15aが延設され、それらの電極接続線部11a,15aの先端は、ガラス基板10の縁部(図3の左右の側部)に設けられた接続端子部17の各端子に接続される。なお、枠体3の内側に隠れ表示面に現われない電極接続線部11a,15a上には、電気抵抗の小さい金属導電部が形成される。
【0023】
第二薄膜EL素子2は、上記と同様に、ガラス基板20上に第一透明電極21を成膜形成し、第一透明電極21の上に第一絶縁層22を形成し、その第一絶縁層22上に発光層23を形成し、その発光層23の上に第二絶縁層24を形成した後、第二絶縁層24上に第二透明電極25を形成して構成される。発光層23には、緑色発光する硫化亜鉛:テルビウム(ZnS:Tb)が使用される。
【0024】
また、秒針と数字上のドットを表示する第二薄膜EL素子2は、図4、図6に示すように、第一透明電極21と第二透明電極25を、表示しようとする秒針(放射状に配置された曲線)とドットの形状に形成している。
【0025】
さらに、上記と同様に、第一、第二透明電極21、25には電極接続線部21a,25aが延設され、それらの電極接続線部21a,25aの先端は、ガラス基板20の上縁部と下縁部に設けられた接続端子部27の各端子に接続される。
【0026】
また、それらの電極接続線部21a,25aには、枠体3により隠れて表示面に現われない部分上に、低電気抵抗の金属導電部が形成される。
【0027】
このように構成された第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数のプラスチックビーズ6を配置すると共に、電極接続線部11a,15a,21a,25aが位置する周縁部に絶縁フィルム4を介挿し、一定の間隔を保持しながら、重ね合せて接着される。
【0028】
ここで、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率は、薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率より小さくするとよい。薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率は約1000〜5000kgf/mm2 程度であるから、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率は約400〜1000kgf/mm2 が適当である。
【0029】
このとき、各EL素子の接続端子部17、27が、交互に位置するように、つまり重ならないように、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は重ね合せ接着される。図3と図4に示すように、第一薄膜EL素子1の接続端子部17は左右の側縁部に位置し、第二薄膜EL素子2の接続端子部27は上下の縁部に位置するため、この図の状態で両EL素子を重ね合せば、接続端子部17、27は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。
【0030】
一方、接着の際、両EL素子1、2の接続端子部17、27を外した位置に、接着剤を付さないことによって油注入口がパネルの厚さ方向に形成される。そして、この油注入口からシリコンオイル等の絶縁油を真空注入し、注入口を接着剤で封止する。
【0031】
次に、第一薄膜EL素子1及び第二薄膜EL素子2を製造する際の具体例を説明する。
【0032】
先ず、ガラス基板10、20上に第一透明電極11、21を、ITO(Indium Tim Oxide)を用いて真空蒸着法により形成する。
【0033】
ここで、蒸着材料としては、例えば酸化インジウム(In2 O3 )中に酸化錫(SnO2 )をIn原子に対してSn原子が5%となるように混合成形し焼成しペレット状としたものを用いた。
【0034】
又、電子ビーム蒸着装置内にガラス基板10、20と上記ペレットをセットし、ガラス基板10、20を250℃に保持したまま真空槽内を3×10−4Paまで排気した。
【0035】
次に、6.7×10−2PaまでO2 ガスを導入し、蒸着速度が0.1〜0.3nm/sec となるように、電子ビームの出力を調整しながらITO透明導電膜を200mnの厚さに成膜した。
【0036】
次に、このITO透明導電膜をフォトリソグラフィの手法を用いて、塩酸(HCI)等のウェットエッチングにより、図3、図4に示すような形状の第一透明電極11、21を形成した。
【0037】
次に、上記第一透明電極11、21が形成されたガラス基板10、20に五酸化タンタル(Ta2 O5 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )の混合物よりなる第一絶縁層12、22を高周波スパッタ法にて成膜した。
【0038】
具体的には、上記第一透明電極11、21が形成されたガラス基板10、20をスパッタ装置内にセットし、200℃に30分保持した後、その真空層内を3×10−4Paまで排気した。
【0039】
その後、Arガスを180cc/min ,O2 ガスを20cc/min の割合で真空槽内に導入しつつ、排気バルブを調整し真空槽内の圧力を1Paに設定した。ターゲットとしては、五酸化タンタル(Ta2 O5 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )の混合物からなる焼成ターゲットを用い、高周波電力をターゲット単位面積あたり2.1W/cm2 投入し、プリスパッタを10分間行った後、5.8nm/min の堆積速度の条件にて成膜を行い、500nmの厚さに堆積させた。
【0040】
次に、第一薄膜EL素子1では、第一絶縁層12上に、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料とし、発光中心として、黄橙色発光のマンガン(Mn)を0.8重量%の割合で添加した硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)を、蒸着により700nmの厚さに成膜し、発光層13を形成した。具体的には、ガラス基板10の温度を200℃に保持し、電子ビーム蒸着装置内を5×10−4Paに維持し、堆積速度0.1〜0.3nm/sec の条件で電子ビーム蒸着を行った。
【0041】
また、第二薄膜EL素子2では、第一絶縁層22上に、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料とし、発光中心として、緑色発光の弗化酸化テルビウム(TbOF)を3.5重量%の割合からなる混合物の焼成ターゲットを用い、高周波スパッタ法により700nmの厚さに成膜し、発光層23を形成した。
【0042】
具体的には、ガラス基板20の温度を250℃に保持し、4Paのガス圧を有するArとHeの混合ガスの雰囲気中で上記スパッタリングターゲットに2W/cm2 の高周波電力を供給して成膜を行った。
【0043】
さらに、その発光層13、23上に、第一絶縁層12、22と同様の第二絶縁層14、24を高周波スパッタ法にて成膜し、500nmの厚さに堆積させた。
【0044】
次に、第二絶縁層14、24上に第二透明電極15、25を、第一透明電極11、21と同様に成膜し、ウエットエッチングにより、同電極15、25を形成した。
【0045】
上記構成の第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2は、上述のように、内側周縁部に接着剤5を付し、内部に多数のプラスチックビーズ6を配置して一定の間隔を保持しながら、接続端子部17、27を交互に位置させるように重ね合せて接着される。そして、接続端子部17、27を外した位置に、接着剤を付さないことによって形成された油注入口から、シリコンオイル等の絶縁油を真空注入し、注入口を接着剤で封止する。このような薄膜ELパネルは枠体3に周囲を保持され、時計表示器となる。
【0046】
このような構成の時計表示器では、上記のように、第一、第二薄膜EL素子1、2が、各々の接続端子部17、27を重ならないように、重ね合せて接着されるため、接続端子部17と27が短絡する恐れはなくなり、接続端子部17と27の短絡事故を防止することができる。また、接続端子部17、27が、重なって配置されずに、単独でパネルの縁部に位置するため、各接続端子部17、27にリード線を接続する際、接続作業が容易となり、効率良く正確に接続作業を行うことができる。
【0047】
さらに、第一、第二薄膜EL素子1、2を、間にプラスチックビーズ6を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤5で接着するため、第一、第二薄膜EL素子1、2の間隙を一定に保持して接着することができ、両EL素子の反りを防止し、反りによる絶縁層の絶縁破壊を防止することができる。
【0048】
また、介挿されるプラスチックビーズ6の圧縮弾性率が、薄膜EL素子1、2の圧縮弾性率より小さいため、薄膜EL表示装置に圧縮荷重がかかった場合、先ずプラスチックビーズ6が圧縮されて、図8のように、薄膜EL素子1、2の凹凸面等に沿って変形し、プラスチックビーズ6と薄膜EL素子1、2との接触面積が増大する。このため、薄膜EL素子1、2にかかる局部的な圧縮応力を低減することができ、薄膜EL素子1、2の圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0049】
また、プラスチックビーズ6の圧縮弾性率を薄膜EL素子1、2のそれより小さくすれば、圧縮時、プラスチックビーズ6が歪んで薄膜EL素子1、2の凹凸及びパターンを覆い、薄膜EL素子1、2との接触面積が増大するため、薄膜EL素子1、2にかかる局所的な圧縮応力を低減することができ、圧縮応力に起因した絶縁破壊を防止することができる。
【0050】
ここで、プラスチックビーズ6はその圧縮弾性率を1000kgf/mm2 以下とするのがよい。なぜなら、圧縮弾性率が約400〜7000kgf/mm2 の透明な絶縁体を薄膜EL素子1、2の間に介挿させて、一定の圧縮荷重を薄膜EL素子1、2に加えて実験を行った結果、圧縮弾性率が1000kgf/mm2 以下のプラスチックビーズ6を介挿させたものでは、絶縁破壊が発生せず、良好な結果が得られたからである。
【0051】
また、両EL素子1と2間の縁部寄りつまり枠体3の内側に隠れ表示面に現われない位置に、絶縁フィルム4が介挿されるため、その部分に交差するように配設される両EL素子1、2の各電極接続線部11a,15a,21a,25aを絶縁することができ、両EL素子1、2の各電極接続線部の短絡事故を効果的に防止することができる。
【0052】
この時計表示器は、その接続端子部17、27が図示しない駆動回路に接続され、その駆動回路が時計回路からの制御信号を受けて第一、第二透明電極間に約200Vの高周波交流電圧を印加する。これにより、電圧を印加された電極間の発光層が発光し、時刻を示す数字や分を示すドットが赤色に光り、秒を示す秒針が緑色に光り、時刻を表示する。また、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の発光が重なった部分では、両EL素子の発光量を制御することにより、赤色から緑色まで中間色を含めてその部分の発光色を変えることができる。
【0053】
なお、第一薄膜EL素子1を橙黄色に発光させる場合には、勿論、赤色透過フィルタ16を除去すればよい。また、第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の電極接続線部間の絶縁性に問題がなければ、上記絶縁フィルム4は必ずしも介挿する必要はない。
【0054】
図9と図10は他の実施例を示し、ここでは、本発明を適用した速度表示器の第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32を示す。この速度表示器は、速度を7セグメント方式の数字で表示するものであり、第一薄膜EL素子31(図9)と第二薄膜EL素子32(図10)を一定間隔で重ね合せ、周縁部を接着して構成れる。
【0055】
この第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32は、上記と同様に、ガラス基板33、34上に第一透明電極35、36を数字形に成膜形成し、第一透明電極35、36の上に第一絶縁層を形成し、その第一絶縁層上に発光層を形成し、その発光層の上に第二絶縁層を形成した後、第二絶縁層上に第二透明電極37、38を数字形に形成して構成される。
【0056】
また、第一薄膜EL素子31のガラス基板33の上縁部と下縁部には、接続端子部39が形成され、第一、第二透明電極35、37から同じ材料で延設された電極接続線部35a,37aの先端が、その接続端子部39の各端子に接続される。また、第二薄膜EL素子32のガラス基板34の左右の側縁部には、接続端子部40が形成され、第一、第二透明電極36,38から同じ材料で延設された電極接続線部36a,38aの先端が、その接続端子部40の各端子に接続される。
【0057】
このような第一薄膜EL素子31と第二薄膜EL素子32は、内側周縁部に接着剤を付し、介挿したプラスチックビーズにより一定の間隔を保持しながら、各EL素子の数字形の第一透明電極、第二透明電極が正確に重なり合うように接着される。
【0058】
この場合、図9と図10に示すように、第一薄膜EL素子31の接続端子部39は上下の縁部に位置し、第二薄膜EL素子32の接続端子部40は左右の縁部に位置するため、この図の状態で両EL素子を重ね合せば、接続端子部39、40は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。したがって、接続端子部39、40の短絡事故を防止することができ、接続端子部39、40へのリード線の接続作業も容易となる。
【0059】
図11はさらに他の実施例を示し、この例はドットマトリックス方式の薄膜EL表示装置である。この薄膜EL表示装置も上記と同様に、第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42を、一定の間隔で重ね合せ、周縁部を接着して構成される。
【0060】
第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42は、各々、ガラス基板43、44上にストライプ状の第一透明電極を成膜形成し、第一透明電極上に第一絶縁層を形成し、その第一絶縁層上に発光層を形成し、その発光層の上に第二絶縁層を形成した後、第二絶縁層上にストライプ状の第二透明電極を、第一透明電極と直交する方向に形成して構成される。
【0061】
また、第一薄膜EL素子41のガラス基板43の上縁部と一側縁部には、接続端子部45が形成され、ストライプ状の第一、第二透明電極の先端がその接続端子部45の各端子に接続される。また、第二薄膜EL素子42のガラス基板44の下縁部と他側縁部には、接続端子部46が形成され、ストライプ状の第一、第二透明電極の先端がその接続端子部46の各端子に接続される。
【0062】
第一薄膜EL素子41と第二薄膜EL素子42は、内側周縁部に接着剤を付し、介挿したガラスビーズ等により一定の間隔を保持しながら、重ね合せて接着されるが、図11のように、第一薄膜EL素子41の接続端子部45は上縁部と右縁部に位置し、第二薄膜EL素子42の接続端子部46は下縁部と左縁部に位置するため、接続端子部45と46は重ならない状態つまり単独の状態で位置させることができる。したがって、接続端子部45、46の短絡事故を防止することができ、接続端子部45、46へのリード線の接続作業も容易となる。
【0063】
なお、上記実施例の時計表示器における薄膜EL素子の各構成層の材料及び成膜方法は、上記の材料や方法に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の時計表示器の正面図である。
【図2】同時計表示器の概略断面図である。
【図3】第一薄膜EL素子1の正面図である。
【図4】第二薄膜EL素子2の正面図である。
【図5】第一薄膜EL素子1の部分拡大正面図である。
【図6】第二薄膜EL素子2の部分拡大正面図である。
【図7】第一薄膜EL素子1と第二薄膜EL素子2の概略断面図である。
【図8】プラスチックビーズ6の変形状態を示す拡大断面図である。
【図9】他の実施例を示す数字表示用の第一薄膜EL素子31の正面図である。
【図10】他の実施例を示す数字表示用の第二薄膜EL素子32の正面図である。
【図11】他の実施例を示すドットマトリック方式の薄膜EL表示装置の正面図である。
【符号の説明】
1−第一薄膜EL素子、2−第二薄膜EL素子、3−枠体、4−絶縁フィルム、5−接着剤、6−プラスチックビーズ、10、20−ガラス基板、11、21−第一透明電極、12、22−第一絶縁層、13、23−発光層、14、24−第二絶縁層、15、25−第二透明電極、11a,15a,21a,25a−電極接続線部、17、27−接続端子部。
Claims (4)
- 透明基板上に、第一電極、第一絶縁層、発光層、第二絶縁層、及び第二電極を順に積層形成してなる2枚の薄膜EL素子を、重ね合せて配置した薄膜EL表示装置において、
前記各薄膜EL素子の縁部に、前記第一、第二電極が接続される接続端子部が形成され、各々の該接続端子部が重ならない状態で、該2枚の薄膜EL素子が重ね合せて配置され、前記2枚の薄膜EL素子は、間に圧縮弾性率が前記薄膜EL素子の圧縮弾性率より小さく設定されている透明な絶縁体を介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着されていることを特徴とする薄膜EL表示装置。 - 前記透明な絶縁体の圧縮弾性率が1000kgf/mm2 以下である請求項1記載の薄膜EL表示装置。
- 前記2枚の薄膜EL素子は、枠体の内側に隠れ表示面に現われない位置に絶縁フィルムを介挿して重ね合せ、周縁部を接着剤で接着されている請求項1記載の薄膜EL表示装置。
- 背面側に位置する前記薄膜EL素子に、特定色の光のみを透過させるフィルタが設けられている請求項1記載の薄膜EL表示装置。
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