JP3555048B2 - 乳化剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱半変性した卵黄と油脂とを水中油型エマルジョンにした、主に乳化食品の製造に用いる乳化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
卵黄は、リポ蛋白質及びレシチンを主要成分とするリン脂質やコレステリンを含有するが、これらが乳化力、特に水中油型乳化物を作る乳化力を有するため、従来よりマヨネーズ類、カスタードクリーム類、フラワーペースト類、ホイップクリーム類等数多くの乳化加工食品の製造に際し、卵黄液が乳化剤として利用されている。しかし、卵黄の乳化力を利用して乳化加工食品を得るには、卵黄の乳化性能が乏しいため、多量の卵黄を必要とし、そのため食品に卵黄風味が付与されてしまう問題点があった。また、最近のマヨネーズ等の水中油型乳化食品には、冷凍されても、或いは加熱されても、乳化状態が保持できることが要望されるなど、冷凍食品や加熱殺菌されるレトルト食品に向けて乳化状態のより一層の改善が望まれている。
こうした問題点を改善するため、近年、卵黄をリパーゼ、プロテアーゼ等の酵素で分解処理して乳化剤に用いることが行なわれているが、この酵素処理した卵黄は分解臭があり、また苦味、えぐ味を有するようになり、これを用いて得られた乳化加工食品はその味を損なう欠点がある。
【0003】
一方、卵黄を加熱変性して食品に使用することも知られている。例えば、卵黄とキサンタンガムを用いて乳化型ドレッシングを製造するに際して、この卵黄の全部ないし一部に、二重釜、オンレーター、プレートヒーター、ホットニーダー等で70〜100℃に加熱して変性させた卵黄を使用し、保存中にキサンタンガムと卵黄との作用によって製品がゲル化するのを防ぐ方法(特公平4−49393号公報)、また卵黄と糖類の混合物を70℃以上に加熱して卵黄を完全に変性させ、保存性を高めた食品添加物(特公昭59−23778号公報)が提案されている。これら加熱変性卵黄を食品に利用する従来の方法は、いずれも卵黄をその熱凝固点の70℃以上に加熱して一旦完全に熱変性することによって種々の支障を無くすることを狙ったものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、卵黄を完全に熱変性させるのではなく半変性の状態に制御して、その乳化性を向上させ、この半変性卵黄を使用した乳化剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、卵黄液を加熱して半変性状態にすると、卵黄液の乳化力を向上させる得ることを知見した。また、この半変性卵黄を油脂と共に水中油型エマルジョンにすると、その乳化性能がより一層向上することを知見した。本発明はこれらの知見に基づくものである。すなわち本発明は、通電加熱により卵黄液を65℃以上70℃未満の温度に5分間以上保持して半変性させて1500〜7500センチポイズの粘度になした半変性卵黄30〜95重量と油脂5〜70重量とを水中油型エマルジョンに乳化させてなる乳化剤である。
【0006】
本発明で用いる卵黄液は、割卵後の卵液から卵白を分離して得た生卵黄液である。卵としては鶏、うずら、あひるの卵などが用いられる。
本発明においては、卵黄液を65℃以上70℃未満の温度に加熱する。好ましい温度は66〜68℃である。65℃未満の加熱では半変性の状態にしにくく、70℃以上の温度で加熱すると変性が進みすぎ、卵黄は完全に凝固するため、半変性状態にならず好ましくない。また半変性状態にするには卵黄液の加熱到達温度だけでなく、この加熱温度を保持する時間が重要である。この加熱温度を保持する時間は、上記の温度で5分間以上必要で、好ましくは5〜30分間である。5分間未満では半変性されにくい。また30分間以上保持しても、これは必要以上の加熱であり、非効率的であるばかりでなく、色調が黒ずんだ状態になり好ましくない。
【0007】
例えば鶏卵の卵黄液は、水分51%、蛋白質15%、脂質31%、その他約3%からなっている。卵黄液はそのままでは流動性のある液状であるが、これを加熱すると凝固し固体に変化し、水不溶性になる。本発明でいう半変性卵黄とは、生卵黄を65℃以上70℃未満の温度域に5分間以上保持することによって、卵黄液の粘度を上昇させ、卵黄液をペースト状になし、しかも卵黄液の水溶性を維持したものである。この変化は上記卵黄成分のいずれの成分がどのように変化したことに起因するのか明らかでないが、上記の温度に保持することによって凝固と水不溶化をもたらす変化を抑制できる。温度を制御することで、半変性状態にさせ、水溶性を保ったペースト状態になるのである。
【0008】
本発明の半変性卵黄は、生卵黄を65℃以上70℃未満の温度域に5分間以上加熱保持することで、この温度域で変性するタンパク質などを完全に変性させた卵黄である。このように特定のタンパク質だけを変性させた卵黄は水溶性のある粘稠物となり、粘度的には温度65〜70℃で1500〜7500センチポイズ(リオン製ビスコテスター、ローターNo1で測定)のペースト物である。この加熱半変性させた卵黄は、風味が向上し、魚臭、獣臭などのナマ臭に対するマスキング機能が向上し、更には乳化機能が著しく良くなる。そして、水溶性を低下させずにペースト状に半変性させるには、65℃以上70℃未満の温度で5分間以上加熱保持することが最も重要である。
【0009】
本発明の加熱半変性卵黄の製造における加熱には、オートクレーブ、オンレーター、プレートヒーター、ホットニーダーなどが考えられる。しかし、卵黄液は粘稠で熱伝導性がよくないため、これらの加熱装置を用いたのでは加熱時にどうしても部分的に温度差ができやすく、卵黄液を均一に65℃以上70℃未満で一定時間保持し、均質な製品を大量に製造するのが難しい。本発明では、加熱半変性卵黄の製造における加熱を通電加熱で行なう。すなわち卵黄液自体に通電させ、この通電によって発生するジュール熱を利用して加熱する方法である。
【0010】
通常、卵黄の熱凝固が始まる温度は約62℃程度であり、この温度以上に加熱していくと卵黄成分は遂には完全に熱変性して凝固することになる。本発明では、この凝固開始点を上廻る65℃以上70℃未満の温度に加熱し、この温度を5分間以上保持する手段として通電加熱を採用する。通電加熱以外の加熱処理では、上記したとおり、加熱温度の保持を均一に行い難いため、変性していない部分が残ったり、逆に完全に変性し凝固した部分が生じたりして、特定のタンパク質のみを変性させることができなく、本発明でいう半変性状態にならない。
【0011】
本発明の通電加熱による加熱において、65℃以上70℃未満の温度で5分以上保持することが重要で、加熱むらを無くすために撹拌することが好ましい。5分間以内では半変性化されず、また卵黄液の水分が蒸発、飛散しない密閉系であれば数時間加熱しつづけても半変性状態が保てる。作業の生産性から5〜30分間が好ましい保持時間である。本発明の通電加熱で製造した加熱半変性卵黄は、変性むらによるダマのない均一なペースト状態となり、網などで漉す必要がなく、水などへの溶解性も優れている。
【0012】
図1は、本発明の通電加熱に用いる通電加熱装置の一例を示した斜視図である。1は通電加熱装置である。2は合成樹脂やガラスなどの絶縁体で構成した槽で、その形状は特に限定されないが、立方体、直方体が好ましい。この槽2の蓋は必要に応じ絶縁体で設ける。槽2の一対の相対する面に電極板3及び4を装着する。電極板3及び4としてはチタン表面にセラミックを溶射したものなどが用いられる。そしてこの電極板3及び4をそれぞれの電極端子5及び6を通じて加電装置7に接続する。8は攪拌機である。この通電加熱に用いる槽2は、一対の相対する面を、外側面を絶縁体で覆った電極板で構成し、他の面及び底面を絶縁体で構成した立方体或いは直方体の槽であってもよい。また、攪拌機8はプロペラ型など任意の攪拌機が用いられる。加熱槽の中に攪拌機8を設置すると、一層均一な加熱を行うことが出来る。
【0013】
この通電加熱槽に卵黄液を入れ、例えば電極板3を陽極とし、電極板4を陰極として電圧をかけて通電させる。この通電によって卵黄液にジュール熱が発生し、卵黄液自体が発熱する。卵黄液の加熱温度の調節は、電圧及び電流の調整で行う。この際、卵黄液の加熱温度をフィードバックさせて電圧及び電流を自動的に調整するのが好ましい。この方法により、卵黄液を65℃以上70℃未満の温度に迅速且つ均一に加熱保持することができ、均一品質の半変性卵黄を得ることができる。上記の通電加熱にあたり、電圧及び電流などは特に制限されないが、電気分解が起こりにくい交流電流が好ましい。
【0014】
そして、上記の如くして得られた半変性卵黄は、これに油脂を乳化させて水中油型エマルジョンの状態にさせる。このエマルジョン状態にすることによって、半変性卵黄の乳化力を一段と向上させることができる。すなわち、上記の半変性卵黄30〜95重量%と油脂5〜70重量とを水中油型エマルジョンに乳化させてエマルジョン型の乳化剤を調製する。このエマルジョン型乳化剤は極めて優れた乳化性能を有し、この乳化剤を用いると、特に冷凍や加熱に対して安定な水中油型乳化物を製造することができる。本発明の乳化剤において、半変性卵黄の割合は30〜95重量%、好ましくは50〜70重量%である。卵黄乳化剤の割合が30重量%以下では、油脂量が多すぎ、卵黄の総量が減るため乳化剤としての効果が乏しく、また小さな油滴を作り難くなり、好ましくなく、その割合が95重量%以上では、油脂量が不足し、水中油型エマルジョンの油滴量が少なくなり、卵黄乳化剤を乳化してエマルジョン型乳化剤に調製することが困難になる。
【0015】
上記の油脂としては、大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、パーム油、パーム核油、魚油、ラード、牛脂、乳脂等の動植物性油脂及びそれらの硬化油又は分別油など適宜に使用することができる。また、固体脂と液体油などとを混合した配合油も使用できる。また、油脂については、乳化型乳化剤の使い易さから、水中油型エマルジョン化する際に、油分を40重量%以上にする場合は、融点の低い油脂の方が好ましく、例えば、常態で液体状ないし融点約35℃の固体脂である。
【0016】
本発明の上記のエマルジョン型乳化剤において、エマルジョン型乳化剤の調製時又は調製後に、その保存性を確保するため、酢ないし酢酸を添加配合してもよい。本発明で用いる酢ないし酢酸としてはいわゆる食酢が好ましい。この食酢は、一般に食品に採用されているもので、酢酸を主体とする揮発性、不揮発性の有機酸類、それに糖類、アミノ酸類、エステル類を含み芳香及びうま味をもった液体で、醸造酢と合成酢に分類される。醸造酢は穀物や果実などを原料として酢酸発酵させたもので、米酢、リンゴ酢、ぶどう酢などがある。また合成酢は氷酢酸を原料とするものである。本発明は醸造酢、合成酢いずれも用いられる。酢ないし酢酸の使用量は、水中油型エマルジョン型乳化剤中の半変性卵黄の対水酢酸濃度で0.3重量%以上好ましくは0.6重量%以上配合する。更に好ましくは、1〜2重量%である。0.3重量%未満では保存性の付与効果が弱くて好ましくない。また4重量%を越えると酢酸の酸味が強過ぎて風味上好ましくない。
【0017】
また、本発明の上記のエマルジョン型乳化剤において、その乳化力を更に一層向上させ、また乳化安定性を高めるために、食塩を配合するのが好ましい。食塩を添加配合することによって乳化性を向上させることができる。この食塩は天然塩でも塩化ナトリウムでもよい。食塩の添加量は、本発明の乳化剤中の水に対する塩化ナトリウム濃度で2〜20重量%である。2重量%未満では乳化力の向上がみられず好ましくない。また20重量%を越えると風味上好ましくない。
【0018】
また、本発明の上記のエマルジョン型乳化剤においては、油滴径が微細化されていることが大切である。すなわち、平均油滴径は4μm以下であることが好ましく、更に好ましくは油滴の粒度分布で50%以上が2μm以下であることが好ましい。平均油滴径は4μmを超えると、この乳化剤を用いて調製した乳化物の乳化安定性例えば冷凍解凍耐性、加熱耐性が低下する。
【0019】
本発明の上記のエマルジョン型乳化剤は、基本的には上記の半変性卵黄に油脂を加えながら攪拌して水中油型に乳化して製造する。酢ないし酢酸及び/又は食塩を配合する場合は、酢ないし酢酸や食塩は初めから添加してもよく、半変性卵黄と油脂を乳化後に添加してもよい。しかし、本発明の卵黄液に食塩などの電解質や水が配合されていると、電流が流れ易くなるので、電圧が低くても目的の温度まで昇温することができるが、その反面、電流が流れ易くなるので抵抗が不足して、目的の温度まで昇温するのに時間がかかる。したがって、卵黄液の加熱を通電で行う場合は、酢ないし酢酸や食塩の添加配合は、卵黄液を通電加熱し半変性した後に行うのが好ましい。
【0020】
半変性卵黄と油脂とを乳化させるには、半変性卵黄を乳化に適する温度に加温して、同じく乳化に適する温度に加温した油脂を加えながら攪拌する。乳化温度は加える油脂の融点により最適温度が変わるが、通常油脂の融点+5℃程度がよい。サラダ油のような常態で液状の油の場合は、室温か室温よりやや低い温度で行うのがよい。しかる後、ホモジナイザー、コロイドミルなどの乳化均質機で均質化し、その後冷却して調製する。
【0021】
また、卵黄液にあらかじめ食用油などの油脂を添加配合して乳化させ水中油型エマルジョンとなし、このエマルジョンの状態で通電加熱処理し、卵黄液を半変性させると、卵黄液の流動性が増加し、攪拌しやすくなり、また易溶性を確保したまま半変性させることができるので、卵黄を効率良く半変性できる。加熱半変性時における油脂の添加量は、特に制限は受けないが卵黄液に対して10重量%以下が好ましい。このように低油分の半変性卵黄エマルジョンを調製後に残りの油脂を加え最終的に半変性卵黄と油脂の重量比率が30:95〜70:5とし、本発明のエマルジョン型乳化剤とすることもできる。この方法は油脂を2分割して乳化するためやや工程が複雑になるが、この方法で調製した乳化剤の方が易溶性に富み使い易い。エマルジョン調製は前述した半変性卵黄と食用油とでエマルジョンを形成する方法と同様に行うことができ、また油脂も前述したものが使用できる。
【0022】
【実施例】
実施例1
鶏卵を割卵し、卵白を除いて卵黄液を得た。この卵黄液の粘度は30cp以下であった。この卵黄液10kgを、図1の通電加熱装置1の槽2に充填した。この槽2は合成樹脂で構成した一辺が250mmの立方体であり、その相対する2面にはチタン表面にセラミックを溶射してなる電極板3、4を装着した。加電装置7にスーパージュール920(東洋アルミニウム(株)製、最大出力200V×20A)を用い、電極端子5、6から電極板3、4に電圧を印加した。印加電圧は、卵黄の電気伝導度が温度によって変化するため、各温度毎に調整し、スーパージュール920の最大出力の電圧及び電流をオーバーしないようにした。
【0023】
図2は、上記の装置を用いて通電加熱したときの経時時間と印加電圧の関係及び経時時間と電流との関係を示したものである。まず卵黄液に200Vの電圧を印加して通電すると、時間の経過と共に電流が増大した。そして12分後に卵黄液は67℃に達した。それ以後、すなわち12分後から22分後までの10分間、電圧を加減しながら67℃の温度を保持した。図3はこの加熱過程における卵黄液の温度の変化を示したものである。昇温及び最終温度の保持時間中には、フッ素樹脂コーティングした攪拌子(直径200mm、プロペラ型)によって、200rpmで攪拌した。この結果、粘度2000cpのペースト状の加熱半変性卵黄が得られた。
【0024】
上記の加熱半変性した卵黄液100重量部に大豆サラダ油50部重量、10重量%濃度の食酢10重量部をTKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて8000rpm、2分間乳化して半変性卵黄のエマルジョン型乳化剤を調製した。得られた乳化剤の平均油滴径は2.5ミクロンであった。この乳化剤を用いて乳化安定性試験を行った。比較対照として、生の卵黄液を用いて同じく乳化安定性試験を行った。すなわち、表1の成分及び配合割合(重量%)に従って常法でTKホモミキサー(特殊機化工業(株))によって、4000rpm、2分間乳化した。乳化後、即座に100mlメスシリンダーに充填し、静置し、離水量を観察した。その結果を図4に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003555048
【0026】
生の卵黄液を使用した場合は、静置時間の経過と共に水分離量(水分離量全体比%)が増大するが、実施例1の加熱半変性卵黄を用いた乳化剤(半変性卵黄乳化剤)の場合は、8時間後でも水分離量は0であった。この試験によって、半変性卵黄乳化剤が生卵黄液に比して、著しく乳化安定性が向上したことがわかる。
【0027】
実施例2
生卵黄10kgを図1の通電加熱装置を用いて、実施例1同様に印加通電した。この通電のとき、大豆サラダ油1kgを添加攪拌して水中油型に乳化し、66℃で15分間保持し、第一次水中油型の加熱半変性乳化卵黄を得た。このものは粘度が2500cpのペースト状で水溶性にすぐれていた。
この一次乳化物100重量部を撹拌しながら大豆サラダ油36重量部と酢酸濃度10%の食酢9重量部を加え、予備乳化した後、コロイドミル(クリアランス0.3ミリ、回転数3000rpm)で均質化して水中油型エマルジョンの乳化剤を得た。得られた乳化剤の平均油滴径は2.0ミクロンであった。
【0028】
参考例1
実施例1と実施例2で得た乳化剤をそれぞれ用いて、次の組成割合でマヨネーズを製造した。すなわち、アルコール酢5重量%、上白糖7.5重量%、食塩1.0重量%、実施例1又は実施例2の乳化剤10重量%、グルタミン酸ナトリウム0.4重量%、デンプン3.0重量%及び水33.1重量%を混合して水相を調製した。この水相に大豆サラダ油40重量%を予備乳化し、ホモジナイザーを用いて均質化し、マヨネーズを得た。この実施例1の乳化剤を用いたマヨネーズ及び実施例2の乳化剤を用いたマヨネーズをそれぞれ100gを採り、ポリエチレン製の袋に入れ、−40℃、−30℃、−20℃及び−15℃で72時間冷凍し、次いで室温解凍し、油分離の有無を調べた。上記のいずれの温度で冷凍した場合も共に分離は見られなかった。このことから上記の乳化剤の乳化力が優れていることがわかる。なお、実施例2の乳化剤の方が水相への溶解性にすぐれていた。
【0029】
実施例3
実施例1の半変性卵黄60重量部と10重量%の濃度の合成酢8重量部との混合物に、大豆サラダ油32重量部を撹拌しながら加えた後、ホモジナイザー(2段ホモジナイザー70kg/cm+30kg/cm)で均質化し、水中油型エマルジョンを作製し、本発明の乳化剤を得た。この乳化剤の平均油滴径は1.5ミクロンであった。
【0030】
比較例1
実施例1の半変性卵黄20重量部と大豆サラダ油80重量部を撹拌しながら加えた後、実施例3と同様の方法でホモジナイザーによる均質化を行った。
実施例3と比較例1の乳化物を用いて、常法によりマヨネーズを作成した。これら試作マヨネーズを−20℃で3日間凍結した後、室温解凍した場合の乳化安定性(冷凍解凍耐性)と80℃40分湯せん加熱した後、室温に冷却した場合の乳化安定性(加熱耐性)を比較した。その結果は表2のとおりであった。
【0031】
【表2】
Figure 0003555048
【0032】
実施例4
実施例1の半変性卵黄80重量部を40℃に調温し、この調温した加熱変性卵黄に同じく40℃に加温した大豆硬化油(融点35℃)10重量部を攪拌しながら添加し、更に10重量%酢酸濃度の合成酢を10重量部加えた後、コロイドミル(クリアランス0.3ミリ、3000rpm)で均質化し水中油型エマルジョンをつくり、本発明の乳化剤を得た。この乳化剤の平均油滴径は2.5ミクロンであった。この乳化剤を用いて常法でマヨネーズを製造した。冷凍や加熱に対して乳化安定のよいマヨネーズが得られた。
【0033】
実施例5
実施例1の半変性卵黄40重量部と10重量%濃度の合成酢8重量部との混合物に、ナタネサラダ油52重量部を加え予備乳化したのち、ホモジナイザー(2段ホモジナイザー30kg/cm+20kg/cm)で均質化し、水中油型エマルジョンを調製し、本発明の乳化剤を得た。乳化剤の平均油滴径は2.5ミクロンであった。この乳化剤をマヨネーズの製造に用いたところ、冷凍や熱に対して乳化安定のよいマヨネーズが得られた。
【0034】
実施例6
実施例1の半変性卵黄40重量部と10重量%濃度の合成酢8重量部と食塩2重量部の混合物に、ナタネサラダ油50重量部を加え予備乳化したのち、ホモジナイザー(2段ホモジナイザー30kg/cm+20kg/cm)で均質化し、水中油型エマルジョンを調製し、本発明の乳化剤を得た。乳化剤の平均油滴径は2.5ミクロンであった。
【0035】
参考例2
実施例5と実施例6の乳化剤を用いて、次の組成割合で水中油型乳化物を製造した。すなわち、大豆サラダ油50重量部、水45重量部、実施例5又は実施例6の乳化剤5重量部を常法でTKホモミキサーで乳化した。得られたそれぞれの乳化物を6000rpmで10分間遠心分離機にかけ、離水量を観察した。実施例5の乳化剤を用いて製造した乳化物の離水量は5%であり、実施例6の乳化剤を用いて製造した乳化物の離水量は3%であった。食塩を配合した実施例6の乳化剤の方がやや乳化安定性能にすぐれていた。
【0036】
【発明の効果】
本発明で用いる加熱半変性卵黄は、生の卵黄液に比し乳化性能が向上しているが、これを油脂と共に水中油型エマルジョンに乳化した乳化物は更に一段と乳化性能が向上する。したがって、本発明の乳化剤は優れた乳化性能を有し、特に乳化食品の乳化剤として好適である。またこの乳化剤を用いて製造された水中油型乳化物は、乳化安定性殊に熱や冷凍に対する乳化安定性に優れている。また酢ないし酢酸を添加配合した本発明の乳化剤は保存性が良い。更に食塩を添加配合した本発明の乳化剤は、その乳化力が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる通電加熱装置の斜視図
【図2】経時時間と印加電圧の関係及び経時時間と電流との関係を示した図
【図3】卵黄液の昇温カーブを示した図
【図4】本発明の加熱半変性卵黄の乳化性能を示した図
【符号の説明】
1 通電加熱装置、2 槽、3、4 電極板、5、6 電極端子、7 加電装置、 8 攪拌機、

Claims (4)

  1. 通電加熱により卵黄液を65℃以上70℃未満の温度に5分間以上保持して半変性させて1500〜7500センチポイズの粘度になした半変性卵黄30〜95重量と油脂5〜70重量とを水中油型エマルジョンに乳化させてなる乳化剤。
  2. 酢ないし酢酸を配合したことを特徴とする請求項1記載の乳化剤。
  3. 食塩を配合したことを特徴とする請求項1又は2記載の乳化剤。
  4. 水中油型エマルジョンの平均油滴径が4μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の乳化剤。
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