JP3554696B2 - 液体による物品処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメッキ処理、写真現像処理、染色処理等の液体による処理を行う物品処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物品を処理液によって処理することは、メッキ液による物品へのメッキ処理、現像液による写真の現像処理、染色液による布帛等の染色処理等で知られているように各種分野において行われている。
【0003】
また、かかる処理液による物品処理は、液を物品に吹き付ける、液を物品に接触流下させる等、様々の方法でなされるが、代表的なものの一つとして、処理液を液槽に収容し、必要に応じ該液の液質乃至液組成、液槽における処理液の量、温度等を管理しながら該液槽内の処理液に被処理物品を浸漬して目的とする処理を実施する場合を挙げることができる。前記のメッキ処理、写真現像処理、染色処理等は通常この方法で実施される。
【0004】
このような浸漬を伴う処理は一つの液槽のみを用いて行われることもあるが、多くの場合、物品を大量処理或いは多品種処理するために複数の液槽が採用されることが多い。
【0005】
例えば大量生産品の部品のメッキ処理では、メッキ部品の大量生産のために複数の液槽が採用され、各液槽において同時的に同様のメッキ処理がなされる。
【0006】
また、大きさ、形状等の異なる多種類の物品のメッキ処理では、各種類の物品をグループ化してメッキ処理するために複数の液槽が採用され、各液槽において各グループ物品毎に同時的に同様のメッキ処理がなされることがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように複数の液槽を用いて、メッキ処理等の浸漬処理を実施すると、当初は液槽間において処理液が均質であっても、各液槽において処理液の使用を重ねるうちに、液槽間において処理液の液組成等が次第に異なってくる。その結果、液槽間において物品の処理状態に差がでてきて、各液槽において均一な物品処理を実施することが困難になってくる。
【0008】
また、各液槽においては、処理後物品の取り出し時における物品による液汲み出し及び(又は)物品への液の付着による液の持ち出し、物品をある液槽(例えば前処理槽としての水洗槽)で処理したのち本来の処理のための液槽へ移動させて処理するような場合における物品による前の液の汲みだし及び(又は)物品への液付着による液の持ち込み等があり、これらにより各液槽における液面位置が所定の液面位置に対し変動してくる。そして、多くの場合、被処理物品は適当な支持装置に支持されて、液槽内に所定深さまで入れられるから、そのとき液槽内の処理液量が液槽間で相違していると、ある液槽では物品全体が処理液中に没し、それにより該物品に所望の処理が施されるが、別のある液槽では液量が少なく、物品の上部が液に没しきれず、その部分には所定の処理がなされないなどといった不都合が生じる。また、いずれの液槽においても物品が処理液中に没する状態であっても、物品量等に応じた適切な液量が存在しないと、良好な処理を実施できないこともある。
【0009】
そこで本発明は、複数の処理液槽を有し、それぞれの処理液槽に処理液を収容し、各処理液槽において物品に目的とする処理を施すことができる、液体による物品処理装置であって、装置構造の複雑化、大形化、高価格化を抑制しつつ、液槽間において処理液を均質化することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる液体による物品処理装置を提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、液槽間において処理液を均質化することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる前記の液体による物品処理装置であって、さらに液循環ろ過も同時になし得る液体による物品処理装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明は、複数の処理液槽を有し、それぞれの処理液槽に処理液を収容し、各処理液槽において物品に目的とする処理を施す液体による物品処理装置であって、前記複数の処理液槽のそれぞれから液を回収して混合し再び前記各処理液槽に戻しつつ前記各処理液槽内の液面位置を所定位置に制御するための液混合及び液面位置制御のための装置を備えている液体による物品処理装置を提供する。
【0012】
前記液混合及び液面位置制御のための装置は、
液循環ポンプと、
前記複数の処理液槽のそれぞれから液を液合流用の第1多岐管へ導くとともに該第1多岐管で合流した液を液合流用の第2多岐管へ導く回路と、
前記複数の処理液槽のそれぞれから液を各処理液槽に対応する液排出用電動弁を介して液合流用の第3多岐管へ導くとともに該第3多岐管で合流した液を前記第2多岐管へ導く回路と、
前記第2多岐管で合流した液を前記液循環ポンプへ導く回路と、
該液循環ポンプから液を液分配用の第4多岐管へ導くとともに該第4多岐管で分流した一方の分流液を液分配用の第5多岐管を介して前記各処理液槽へ導く回路と、
前記第4多岐管で分流した他方の分流液を液分配用の第6多岐管及び各処理液槽に対応する液供給用電動弁を介して前記各処理液槽へ導く回路と、
前記各処理液槽に対し設置された液面位置検出装置と、
該液面位置検出装置で検出される液面位置に基づいて前記各処理液槽における液面の位置を所定位置にするように前記各液排出用電動弁及び前記各液供給用電動弁の開閉を制御する電動弁制御部とを備えている。
【0013】
前記の液合流用の第1〜第3の各多岐管は、液流通のための内部空間を有するとともに該内部空間に連通する液流通主開口部を一か所に有する多岐管本体と、前記多岐管本体の前記主開口部位置を除く複数の所定箇所のそれぞれに連設された分岐管とを備えており、液が各分岐管に流入し、多岐管本体内で合流し主開口部から流出するものである。
【0014】
また、前記の液分配用の第4〜第6の各多岐管は、液流通のための内部空間を有するとともに該内部空間に連通する液流通主開口部を一か所に有する多岐管本体と、前記多岐管本体の前記主開口部位置を除く複数の所定箇所のそれぞれに連設された分岐管とを備えており、液が主開口部に流入し、各分岐管から分かれて流出するものである。
【0015】
第1多岐管及び第3多岐管並びに第5多岐管及び第6多岐管のそれぞれには、少なくとも処理液槽の数と同数の分岐管を設けておけばよい。第2多岐管及び第4多岐管については少なくとも2本の分岐管を設けておけばよい。
【0016】
この物品処理装置によると、各液槽に対し設けられた液面位置検出装置に検出される各液槽内の液面位置が正常であるとき、各液排出用電動弁及び各液供給用電動弁は電動弁制御部の指示に基づいて開かれる。
【0017】
そして、液循環ポンプが運転されることで、複数の処理液槽のそれぞれから処理液が吸引され、一方では液が液合流用の第1多岐管の各分岐管に至り、それら分岐管から該多岐管の本体内へ流入し、合流し、さらに該多岐管本体から液合流用の第2多岐管の一つの分岐管へ流れるとともに、他方では液が液排出用電動弁を介して液合流用の第3多岐管の各分岐管に至り、それら分岐管から該多岐管の本体内へ流入し、合流し、さらに該多岐管本体から液合流用の前記第2多岐管のもう一つの分岐管へ流れる。このように第2多岐管へ異なる回路から流入した液体は、第2多岐管の本体で合流し、ひき続き液循環ポンプへ吸い込まれる。
【0018】
液循環ポンプに吸い込まれた液体は該ポンプから吐き出され、液分配用の第4多岐管の本体へ流入し、さらに、一方では該第4多岐管の一つの分岐管を経て液分配用の第5多岐管の本体へ流入し、該多岐管の各分岐管を経て各処理液槽へ還流し、他方では第4多岐管のもう一つの分岐管を経て液分配用の第6多岐管の本体へ流入し、該多岐管の各分岐管から液供給用電動弁を経て各処理液槽へ還流する。
【0019】
このように各処理液槽から吸引された処理液が第1多岐管、第3多岐管で合流し、さらに第2多岐管でも合流し、液循環ポンプに吸い込まれて吐き出され、さらに第4多岐管で分配され、さらに第5多岐管及び第6多岐管のそれぞれにおいても分配される過程で、複数の処理液槽における処理液が混合され、これが連続的に実施されることで各処理液槽の処理液が均質に維持される。
【0020】
また、液循環ポンプ運転中に、1又は2以上の処理液槽において、そこの液面位置検出装置が液面の許容上限への上昇或いは該上限を超える上昇を検出すると、電動弁制御部の指示に基づいて該液槽に対応する液供給用電動弁が閉じられ、それにより該液槽への液還流量が低下し、該液槽における液面位置が正常な液面位置へ降下していく。また、液面位置検出装置が液面の許容下限への下降或いは該下限を超える下降を検出すると、電動弁制御部の指示に基づいて該液槽に対応する液排出用電動弁が閉じられ、それにより該液槽における液面位置が正常な液面位置へ上昇していく。
【0021】
そしてこのようにいずれかの電動弁が閉じられるときでも、各処理液槽から第1多岐管及び第2多岐管を介して液循環ポンプへ吸液が継続されるとともに該ポンプから第4多岐管及び第5多岐管を介して各処理液槽へ液が送られ、これにより液混合処理は停止されることなく続けられる。
【0022】
いずれにしても液面位置が正常な位置へ復帰すると、閉じられていた弁Va、Vbは再び開かれる。
【0023】
これら液混合と液面位置制御は一つの液循環ポンプにより達成できる。
【0024】
かくして、装置構造の複雑化、大形化、高価格化を抑制しつつ、液槽間において処理液を均質に維持することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる。
【0025】
なお、前記液排出用、液供給用に使用される電動弁としては、電磁弁を採用することもできるが、処理液中の不純物が噛み込む等して作動不良を起こしやすいので、電動モータにより駆動される弁を含む電動弁が推奨される。
【0026】
いずれにしても液槽へ送られる液はろ過されている方が好ましいので、前記液混合及び液面位置制御のための装置は、前記液循環ポンプと前記第4多岐管との間に接続されたろ過器を含み、液循環ろ過装置を兼ねていてもよい。
【0027】
また、前記液混合及び液面位置制御のための装置は、処理液が多量に存在するところの、液体による物品処理を実施する領域に対して設けられても構わない。しかし、処理液槽に、堰部を介して設置されるオーバーフローボックスを設けるときは、前記液循環ポンプへ液を導くための各回路及び前記液面位置検出装置を該オーバーフローボックスに対して設けてもよい。このようにすると、液槽の該堰部を越える前の液を収容している領域で邪魔もの少なく物品処理を行えるし、多量に処理液を収容している物品処理領域における液量の変動に対して液面の上下変動を大きくとれるオーバーフローボックスにおいて液槽における液面位置の変動をより決め細かく検出して、適切な液面位置制御を行える。
【0028】
ところで、各処理液槽における液質を均一化するための液混合処理にあたり、前記の液合流用の第1〜第3多岐管を介して液循環ポンプへ液吸入する場合、また、液循環ポンプから前記の液分配用の第4〜第6多岐管を介して各処理液槽へ液を戻し供給する場合、液合流用の多岐管における各分岐管への液流入量及び液分配用の多岐管の各分岐管からの液流出量はなり行きまかせでもよいが、そうすると、各処理液槽における液面位置の変動が激しくなり、頻繁に電動弁を開閉しなければならなくなる。このような問題を回避するために従来行われているように各分岐管に流量調整弁を設けると、それだけコスト高になるし、流量調整弁の開度乃至絞り度の調整に手間を要する。
【0029】
そこでこのような不都合を回避してできるだけ各処理液槽における液面位置の変動を少なくし、且つ、電動弁を長期にわたり正常に作動させるために、前記の各多岐管は次の構造のものとしてもよい。
【0030】
すなわち、液流通のための、略全長にわたり同一断面積の内部空間を有するとともに該内部空間に連通する液流通主開口部を一か所に有する多岐管本体と、該多岐管本体の前記主開口部位置を除く複数の所定箇所のそれぞれに連設された分岐管とを備えており、前記各分岐管は、それぞれ所定の液流通断面積を有しているとともに、前記多岐管本体の前記同一断面積の内部空間部分へ、該部分で均一化される液圧のもとにおいて各分岐管にその液流通断面積に応じた通液量を得ることができるように突出挿入されている多岐管である。
【0031】
このタイプの多岐管のさらに具体例として、前記多岐管本体が一端に前記主開口部を有し、他端が閉塞され、該両端部間の全長にわたり内部空間が同一断面積の閉塞筒体(例えば断面円形の閉鎖筒体)であり、前記分岐管は該閉塞筒体の前記両端部間の部分における複数の所定箇所のそれぞれに連設され、且つ、該閉塞筒体の長手方向を横切る方向から該閉塞筒体内まで、該閉塞筒体の長手方向に直交する方向における突出挿入量にして該閉塞筒体内径(より正確には前記両端部間の部分の内径)の1/2以上3/5以下の範囲内に突出挿入されているものを例示できる。
【0032】
また、いずれにしても、一つの多岐管において各分岐管の液流通断面積は、他の諸条件との兼ね合いで異なっていてもよいし、等しくてもよい。また、液混合用の液合流用第1多岐管と液分配用の第5多岐管は同一のものでもよい。液面制御用の液合流用第3多岐管と液分配用の第6多岐管も同一のものでもよい。第2多岐管と第4多岐管も同じものでもよい。
【0033】
各処理液槽における処理液は使用を重ねるうちに不純物が混じってくるから、これを十分ろ過するために、前記液混合及び液面位置制御のための装置とは別途に循環ろ過装置を設けてもよい。
【0034】
例えば、前記複数の処理液槽からなる液槽グループについて設置される循環ろ過装置、或いはそれぞれが1又は2以上の前記処理液槽を含んでなる複数の液槽グループのそれぞれについて設置される循環ろ過装置を備えることができる。
【0035】
いずれにしても各循環ろ過装置として、ろ過器及び液循環ポンプを含んでおり、該液循環ポンプが該ろ過装置に対応する処理液槽から吸液回路を介して吸液し、該ろ過器に送り込むとともに該ろ過器から送液回路を介して該処理液槽に戻し送液するものを例示できる。
【0036】
なお、本発明は各種の液体による物品処理装置に適用でき、例えば物品のメッキ液によるメッキ処理装置、染色液による染色装置、写真の現像液による現像装置等に適用できる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
図1は本発明に係る循環ろ過装置を兼ねる液混合及び液面位置制御のための装置を備えた、液体による物品処理装置の1例であるメッキ処理装置を示している。
【0039】
図1に示すメッキ処理装置は、五つの物品処理液槽11、12、13、14、15を備えている。それぞれの液槽はここでは物品にメッキ処理を施すメッキ処理液槽である。各液槽は異なる量のメッキ液、例えば同液質の各槽異なる量のメッキ液を収容するものであってもよいが、ここでの各液槽は同量のメッキ液を収容する容積を有している。
【0040】
これら五つの液槽は三つのグループに分けられている。すなわち、一つの液槽11を含む第1グループ、二つの液槽12、13を含む第2グループ、液槽14、15を含む第3グループである。各液槽には所定のメッキ液Lが収容される。
【0041】
図中、液槽11の左側には前処理水洗槽16があり、ここにはメッキ処理前に必要に応じて被メッキ物品を洗浄できるように洗浄水Wが収容される。液槽16のさらに左側には作業デッキD1が設置されている。
【0042】
また、液槽11と12の間には作業デッキD2が、液槽13と14の間には作業デッキD3が、液槽15の外側に作業デッキD4がそれぞれ設置されている。
【0043】
各液槽は実質上同じ構造のものである。液槽の構造について液槽12、13を例にとって図1から図4を参照して説明する。図2は液槽12、13とその周辺部分の拡大平面図であり、図3は液槽12とその周辺部分の拡大側面図である。なお、図3にはあけ換え装置51も示してあるが、これについては後述する。図4は液槽12の一部の斜視図である。
【0044】
各液槽は、平面視(平面から見ると)長方形であり、該長方形の一つの長辺に沿って液オーバーフローボックスB1を、該長方形の一つの短辺に沿って液オーバーフローボックスB2を有している。
【0045】
ボックスB1はボックスB2より浅く形成されており、ボックスB2はボックスB1より深く形成されている。ボックスB1は、ここにオーバーフローする液をボックスB2へ流入させるようにボックスB2の上部に連通しており、且つ、ボックスB1の底はボックスB2へ向かって下り傾斜している。なおボックスB1の底は必ずしもこのように傾斜している必要はない。
【0046】
ボックスB1は液槽の長辺方向に沿って設けられた堰部21を介して設置されており、ボックスB2は液槽の短辺方向に沿って設けられた堰部22を介して設置されている。各堰部21、22については後ほど詳述する。
【0047】
図2、図3及び図6(C)に示すように、液槽の内底101の周縁部の一か所に内底溝102が一体的に落とし込み形成されている。内底溝102は、ここでは液槽の片側短辺方向に沿って、該短辺の長さにわたって延在している。
【0048】
液槽の長手方向の各側部の上方には陽極ブスバー(busbar) Aが互いに平行に架設されているとともに、液槽の中央部上方には陽極ブスバーと平行に陰極ブスバーCが架設されている。
【0049】
物品にメッキ処理するにあたっては、例えば、図2、3及び図5に示すように、陰極ブスバーCに1又は2以上の導電性ハンガーH(図5(C)参照)を所定の間隔で掛けるとともに、各陽極ブスバーAの所定位置にアノード材m’を収容した導電性アノードケースCS(図5(A)参照)を掛け吊るしてメッキ液L中へ浸漬させ、被メッキ物品a1、a2を引っ掛け部材S(図5(C)参照)に引っ掛けて支持させ、この引っ掛け部材SをハンガーHに掛け吊るして物品a1、a2とともにメッキ液L中に浸漬すればよい。なお、図5(B)に示すCSbはろ過布からなるアノードバッグであり、陽極側に発生する不純物のメッキ液への漏出を防止するためにアノードケースCSに被着される。
【0050】
被処理物のメッキ処理には、銅、ニッケル、亜鉛、錫、これらの合金などのメッキのように多くのメッキ処理があるが、ニッケルメッキを施す場合を例にとると、メッキ液Lをニッケルメッキ液とし、アノードケースCSを耐食性チタン籠とし、これにアノード材m’としてニッケルチップを収容する場合を例示できる。
【0051】
各液槽の内底101には、エアレーション装置103が設置されている。これは空気噴出用の孔あきパイプを連設して構成したもので、図示を省略した圧縮空気供給装置に接続され、処理液L中の各部に気泡103aを噴出し、いわゆるエアレーションを行う。処理液Lはこのエアレーションにより攪拌され、液組成等の点で液質が各部で均一化されるとともに液温度も均一化される。また、液中の不純物が、後述する循環ろ過にあたり処理液各部から円滑に吸引されるように適度に移動せしめられる。さらにエアレーションにより物品a1、a2への液中不純物の付着も抑制される。
【0052】
各液層の内底溝102には、図6に示す第1吸引ヘッド104が内底溝102の長手方向に延在するように設置されている。吸引ヘッド104は一端に管接続口部104aを有し、他端が閉鎖された筒体であり、複数の吸液孔104bを穿設したものである。
【0053】
第1吸引ヘッド104とエアレーション装置103との間には空気遮断壁板105が設置されている。空気遮断壁板105は支持片105aにより内底溝102の底から若干持ち上げられており、壁板105の下にも液が流通できるようになっている。そして支持片105a及び空気遮断壁板105に支持板105bが渡し設けられており、これが第1吸引ヘッド104を支持している。
【0054】
第1吸引ヘッド104も支持片105aにより内底溝102の底から若干持ち上げられており、吸引ヘッド104の下にも液が流通できるようになっている。
【0055】
第1吸引ヘッド104の吸液孔104bは、吸引ヘッド長手方向の中心軸線の周りに吸引ヘッド下端から空気遮断壁板105とは反対側へ90度以下の角度範囲θ1内、且つ、該ヘッド下端から遮断壁板105側へ45度以下の角度範囲θ2内の中心角度θ(θ1+θ2)=135°の範囲内に分散形成されている。前記角度θは、内底溝102に溜まる沈殿性不純物を円滑に吸引できるように、且つ、エアレーション装置103からの空気を吸引し難いように吸液孔を方向付けるための角度範囲であり、ここでは略135度である。
【0056】
さらに第1吸引ヘッド104の吸液孔104bは、該吸引ヘッドの長手方向にわたる各部において均等量吸液できるように分散形成されている。
【0057】
吸引ヘッドの各部において均等量吸液できるようにするには、吸引ヘッドの管接続口部に近い部位における吸液孔の断面積合計がより遠い部位における吸液孔の断面積合計より小さくなるように吸液孔の数及び(又は)口径を調整して吸液孔を分散形成すればよい。ここでは各吸液孔の口径を同じにして、管接続口部104aに近い部位と、それより遠い部位とでは、近い部位における方が遠い部位より吸液孔104bを疎に、遠い部位ではより密に分散形成している。
【0058】
この第1吸引ヘッド104によると、内底溝102の底に沈殿し易い不純物を内底溝のできるだけ全体から一様、円滑に吸引できる。
【0059】
このように液槽の内底101に落とし込み形成した内底溝102を設け、ここに第1吸引ヘッド104を設置してあり、さらに空気遮断壁板105を設置してあるので、該第1吸引ヘッド104はエアレーション装置103から噴出する空気を吸い込み難い。また液槽の内底101に溜まりやすい不純物、液槽底近傍に浮遊する不純物を内底溝102に集めて第1吸引ヘッド104で円滑、容易に吸引できる。さらに、後述するように液槽内液をあけ換えろ過処理するにあたり、あけ換えろ過処理に伴って空になった、又は略空になった液槽を清掃するときに、未だ残っていた沈殿性不純物及びこれを含む液を、清掃のために液槽内に放液(通常は放水)する清掃液(通常は清掃水)とともに内底溝102に容易に集めて第1吸引ヘッド104で円滑、容易に吸引できる。さらに、液槽全体の深さを大きくする等の高い費用のかかる対策の必要なくして、被メッキ処理物等と吸引ヘッド104等との接触による該被メッキ処理物等の落下を防止することができる。
【0060】
これらにより、液槽内液のろ過処理を従来よりも円滑に、しかも格別の費用高騰を招くことなく行える。
【0061】
なお、液槽内底部に溜まりやすい不純物を一層効率よく吸引するために、第1吸引ヘッド104に加えて、内底溝102以外の液槽内底101の部分、例えば内底101の周縁部の一部等に第3吸引ヘッドを1又は2以上設置してもよい。図3に、液槽底101の長手方向に沿う周縁部に第3吸引ヘッド108を設置する例を鎖線で示している。
【0062】
第3吸引ヘッド108についても、第1吸引ヘッド104と同様の構造とし、吸液孔は、該吸引ヘッドの長手方向にわたる各部において均等量吸液できるように分散形成するとよい。また、第3吸引ヘッド108とエアレーション装置103との間には空気遮断壁板109を設置するとよい。
【0063】
さらに第3吸引ヘッド108の各吸液口についても、吸引ヘッド長手方向の中心軸線の周りに吸引ヘッド下端から空気遮断壁板109とは反対側へ90度以下の角度範囲θ1内、且つ、該ヘッド下端から遮断壁板109側へ45度以下の角度範囲θ2内の中心角度θ(θ1+θ2)=135°の範囲内に分散形成するとよい。
【0064】
前記深い方のオーバーフローボックスB2の内底部には、図6(C)や図7等に示す第2吸引ヘッド106(図1及び図4では図示省略)が設置されている。
【0065】
第2吸引ヘッド106は支持片106c及びこれに立設された支持板106dを介して支持されており、吸引ヘッド106の下方にも液が流通できる。吸引ヘッド106は、液槽の短辺と略平行に延在しており、一端に管接続口部106aを有し、他端が閉鎖された筒体であり、複数の吸液孔106bを有している。該吸液孔106bは、吸引ヘッド106の長手方向にわたる各部において均等量吸液できるように分散形成されている。
【0066】
オーバーフローボックスB2に設置される第2吸引ヘッドについても、吸引ヘッドの各部において均等量吸液できるようにするには、該吸引ヘッドの管接続口部に近い部位における吸液孔の断面積合計がより遠い部位における吸液孔の断面積合計より小さくなるように吸液孔の数及び(又は)口径を調整して吸液孔を分散形成すればよい。ここでは各吸液孔106bの口径を同じにして、管接続口部106aに近い部位と、それより遠い部位とでは、近い部位における方が遠い部位より吸液孔を疎に、遠い部位ではより密に分散形成している。
【0067】
この第2吸引ヘッド106によると、オーバーフローボックスB2のできるだけ全体から一様、円滑に液及び不純物を吸引できる。
【0068】
なお、従来ではオーバーフローボックスから液を吸引するとき、オーバーフローボックスの底に外部への通液口を設け、該通液口に吸液管を連接し、該吸液管で下方へ吸液していたので、該通液口やその接続部位で液内不純物が詰まり易く、ろ過作業に著しい支障を引き起こす原因となっていたが、ここでは第2吸引ヘッド106の吸液管は、該ボックス底部から上方へ吸液できるので、ヘッド106やそれに接続される吸液管の不純物による詰まりは十分抑制される。
【0069】
この点についてさらに説明する。図16は従来例(メッキ処理装置の例)を示している。図16(A)及び(B)において、10’は液槽、B1’、B2’、B3’は液槽に付設されたオーバーフローボックス、21’、22’、23’はオーバーフローボックスに臨む矩形堰、V’は液槽内底に設置されたフート弁である。
【0070】
図16(A)においてオーバーフローボックスB1’は溝形のボックスでここに流入した処理液L’はボックスB2’へ流入する。図16(A)に示すオーバーフローボックスB2’の底には通液口Lbが設けられており、これは弁v1’、v2’及びポンプPを介して液ろ過器Fの液流入口に配管接続されている。液槽内フート弁V’は弁v7’、v2’及びポンプPを介して液ろ過器Fの液流入口に配管接続されている。ろ過器Fの液吐出口は弁v3’、v4’、v5’を介して液加温又は液冷却のための熱交換器Hに、さらに弁v6’を介して液槽10’への液戻し口100’へ配管接続されている一方、弁v3’とv4’との間から弁V8’を介してあけ換え槽511への液吐出口511’へ配管接続されている。また、あけ換え槽511の底には吸液用フート弁511vが設置されており、これは弁v9’を介してポンプPの吸液口に配管接続されている。
【0071】
図16(B)に示すオーバーフローボックスB3’の底には通液口Lb’が設けられており、これは弁v1”を介して、また液槽内フート弁V’は弁v7”を介してそれぞれ図16(A)に示すと同様の弁v2’へ配管接続されている。その他の点については図16(A)の液回路と同様である。
【0072】
なお、ろ過器におけるろ過助剤のプレコートのための回路は図示を省略している。
【0073】
各弁の開閉等は以下のとおりである。
Figure 0003554696
なお、液槽でのメッキ処理やあけ換えろ過処理において、オーバーフローボックスB2’(B3’)内の液量の減少が生じて該ボックス内が渇液状態になってくると、ポンプPでの空気吸い込みを防止するため、弁v1’(v1”)を閉じる。
【0074】
このように従来では図16に例示するように、オーバーフローボックスB2’又はB3’から液を吸引するとき、オーバーフローボックス底の通液口Lb、Lb’から吸液していたので、該通液口やそれへの配管接続部位で液内不純物が詰まり易く、ろ過作業に著しい支障を引き起こす原因となっていたが、ここでの第2吸引ヘッド106の吸液管は、該ボックス底部から上方へ吸液できるので、ヘッド106やそれに接続される吸液管の不純物による詰まりは十分抑制される。
【0075】
再びもとに戻って説明する。
【0076】
第1吸引ヘッド104の各吸液孔104b、第2吸引ヘッド106の各吸液孔106b、第3吸引ヘッド108の各吸液口のいずれもその口径は、該吸引ヘッドが後述する多岐管等を介して接続される、液ろ過のための液循環用の遠心ポンプにおけるインペラーの羽根高さと同等に、又はそれより小さく設定される。
【0077】
このように口径を小さくしておくことで、液槽中に脱落することがある被メッキ物品の一部や部品及びその他外部から持ち込まれた雑品類等が遠心ポンプに吸い込まれてインペラー羽根に噛み込むなどして該ポンプが故障することを抑制することができる。
【0078】
なお、第2吸引ヘッド106に代えて他の形態の吸引ヘッドを採用してもよい。例えば図8に示す吸引ヘッド107を採用してもよい。
【0079】
吸引ヘッド107は、除塵ストレーナとも呼べるもので、小ボックス形態をしており、上部に管接続口部107aを有し、側周壁及び底壁に複数の吸液孔107bを分散形成したものである。足107cが付いており、これでオーバーフローボックスB2の底に立つ。各吸液孔107bも、その口径は液循環用の遠心ポンプにおけるインペラーの羽根高さと同等、又はそれより小さく設定しておくとよい。
【0080】
以上説明した第1吸引ヘッド104、第2吸引ヘッド106(又は107)、或いはさらに第3吸引ヘッド108は次に説明する循環ろ過装置の構成部品となる。
【0081】
前述の一つの液槽11を含む第1グループ、二つの液槽12、13を含む第2グループ、液槽14、15を含む第3グループのそれぞれについて循環ろ過装置が設けられている。さらに、液槽11から液槽15までの全液槽を含む第4グループについての循環ろ過装置も設けられている。
【0082】
図1中、液槽11に対する循環ろ過装置は符号3で、液槽12、13に対する循環ろ過装置は符号4Aで、液槽14、15に対する循環ろ過装置は符号4Bで、全液槽11〜15に対する循環ろ過装置は符号6で示す。
【0083】
なお以下に説明する各循環ろ過装置やあけ換えろ過装置で採用している手動開閉弁は電動弁等として自動制御できるようにしてもよい。
【0084】
循環ろ過装置において、第1グループの循環ろ過装置3は液循環ポンプ(ここでは遠心ポンプ)1台による1液槽の単独循環ろ過装置であり、第2グループの循環ろ過装置4A及び第3グループの循環ろ過装置4Bは、各々処理液槽二つについて液循環ポンプ(ここでは遠心ポンプ)1台による循環ろ過装置である。さらに第4グループとなる循環過装置6は全処理液槽五つについて液循環ポンプ(ここでは遠心ポンプ)1台による循環ろ過装置である。
【0085】
第2グループのろ過装置4A及び第3グループのろ過装置4Bはそれぞれ液循環ポンプ1台による2液槽の循環ろ過装置であり、各グループにおける二つの液槽内の処理液は循環ろ過の過程において、循環回路の液流量に僅かながらも強弱が生じ、時間の経過にともない、二つの液槽のうち一方では液面位が降下し、これに反して他方の液槽では液面位降下の液槽における液減量相当分の液量の増加流入が生じ、遂には該他方の液槽から処理液が溢れ、一方の液槽内処理液の液面位が降下し過ぎて、両液槽ともに処理液によるメッキ作業ができなくなることがある。
【0086】
そこでここでは全液槽5槽について、液循環ポンプ1台によって、同時に循環ろ過を行う循環ろ過装置6を設置運転し、これによって液槽間における液面位の上下差を抑制するように液面位を制御するとともに液混合を行って、各液槽における液の組成及び液温度を均一化しつつ循環ろ過を行うようにしている。すなわち、循環ろ過装置6は循環ろ過装置であるとともに液混合用及び液面位置制御のための装置でもある。
【0087】
また、この液混合用及び液面位置制御のための装置は、各液槽の容量が異なる場合でも液混合及び各液槽における液面位置制御を行いつつ循環ろ過を行える。
【0088】
液槽11に対する循環ろ過装置3は、ろ過器31及び液循環用の循環ポンプ32(本例では遠心ポンプを採用)を含んでいる。液槽11は吸液回路を介して循環ポンプ32の吸液口に連通できる。ろ過器31は送液回路を介して液槽11に連通できる。
【0089】
該吸液回路は図1に示すように、
液槽11における第1吸引ヘッド104及び第2吸引ヘッド106(図1では省略、図2、図6、7等参照)と、
液合流用の多岐管33と、
吸引ヘッド104、106の管接続口部104a(図6参照)、106a(図6、図7参照)をそれぞれ手動開閉弁v11、v12を介して多岐管33の分岐管へ接続する配管と、
多岐管33の主開口部を手動開閉弁v13を介し循環ポンプ32の吸液口に接続する配管とを含んでいる。
【0090】
第3吸引ヘッド108を採用するときは、これによって吸引される液が最終的には、前記の弁v11、v12を介して吸引される液に混合、合流されてポンプ32へ流入するように弁、多岐管等を介してポンプ32に配管接続される。
【0091】
送液回路は、ろ過器31の送液口を手動開閉弁v14及び温度制御回路45、さらに二つの手動開閉弁v15を介して液槽11の2箇所に分岐連通させる配管を含んでいる。なお液槽11への連通はこのように2箇所でなく、一箇所でも、3箇所以上でもよい。
【0092】
循環ポンプ32の吐出口は逆止弁v16を介してろ過器31の液供給口に配管接続されている。
【0093】
ろ過器31は、液種、ろ過液量に適応する種々のタイプのものを採用できるが、ここでは、ろ過器に圧入される液が、適当なろ過助剤によるプレコート層を有するろ過床を通過することで不純物がろ過され、浄化されるタイプのろ過器である。後述する循環ろ過装置4A、4B、さらに液混合及び液面位置制御のための装置6におけるろ過器も同タイプのものである。
【0094】
また、送液回路には一つの液槽内メッキ液の劣化、消耗等に伴い変化する液組織を復元し、更には蓄積不純物の除去ろ過を行うためのあけ換え装置51(図1、図3参照)が付設されている。
【0095】
循環ろ過装置3における前記温度制御回路45及びあけ換え装置51は、次に説明する循環ろ過装置4A、4Bにおける温度制御回路45及びあけ換え装置51とそれぞれ基本構造は同一であるから後ほどろ過装置4Aにおいて回路45及び装置51を説明することとし、ここでの温度制御回路45、装置51の説明は省略する。
【0096】
循環ろ過装置4Aと循環ろ過装置4Bとは全く同じ構造、作用のものであるから、装置4Aのみ説明し、装置4Bの説明は省略する。装置4Aと4Bにおいて同じ部品については図中同じ符号を付す。
【0097】
循環ろ過装置4Aは図1に示すように、ろ過器41及び液循環用の循環ポンプ42(本例では遠心ポンプ)を含んでいる。液槽12、13は吸液回路を介して循環ポンプ42の吸液口に連通できる。ろ過器41は送液回路を介して液槽12、13に連通できる。
【0098】
該吸液回路は、
液槽12、13のそれぞれにおける第1吸引ヘッド104及び第2吸引ヘッド106(図1では省略、図2等参照)と、
液合流用の多岐管431、432、430と、
一方の液槽12の吸引ヘッド104、106の管接続口部104a(図6参照)、106a(図6、図7参照)をそれぞれ手動開閉弁v41、v42を介して一方の多岐管431の分岐管へ接続する配管と、
他方の液槽13の吸引ヘッド104、106の管接続口部104a、106aをそれぞれ液槽12におけると同様の手動開閉弁v41、v42を介して他方の多岐管432の分岐管へ接続する配管と、
多岐管431、432の主開口部を多岐管430の分岐管へ接続する配管と、
多岐管430の主開口部を手動開閉弁v43を介して循環ポンプ42の吸液口に接続する配管とを含んでいる。
【0099】
液槽12、13において第3吸引ヘッド108を採用するときは、これによって吸引される液が最終的には、前記の弁v41、v42を介して吸引される液に混合、合流されてポンプ42へ流入するように弁、多岐管等を介してポンプ42に配管接続される。
【0100】
送液回路は、
ろ過器41の送液口を手動開閉弁v44及び温度制御回路45を介して液分配用の多岐管433の主開口部に接続する配管と、
多岐管433の一方の分岐管を二つの手動開閉弁v45を介して液槽12の2箇所に分岐連通させる配管と、
多岐管433の他方の分岐管を液槽12の場合と同様の二つの手動開閉弁v45を介して液槽13の2箇所に分岐連通させる配管とを含んでいる。
【0101】
ポンプ42の吐出口は逆止弁v46を介してろ過器41の液供給口に配管接続されている。
【0102】
ろ過器41は循環ろ過装置3におけるろ過器31と同タイプのものである。なお異なるタイプのものであってもよい。
【0103】
また、送液回路には二つの液槽12、13から一つの液槽を選択してその液槽内のメッキ液の劣化、消耗等に伴い変化する液組織を復元し、更には蓄積不純物の除去ろ過を行うためのあけ換え装置51(図3参照)が付設されいる。
【0104】
温度制御回路45は、図3に示すように、手動開閉弁va’、熱交換器451、手動開閉弁vb’を直列接続した回路に流量調整弁Vを並列接続したもので、熱交換器入口側の弁va’の入口及び流量調整弁Vの入口は液分配用の多岐管452を介して前記の弁v44(ろ過器出口側の弁)に配管接続され、弁vb’の出口及び流量調整弁Vの出口は液槽へ通じる前記の液分配用多岐管433に配管接続されている。
【0105】
循環ろ過装置3における温度制御回路45はこの循環ろ過装置4Aの温度制御回路45と基本的に同構造である。但し、循環ろ過装置3における温度制御回路45では、弁vb’に相当する弁及び流量調整弁Vに相当する弁の出口は多岐管を介することなく一本の配管に集められ、さらに二つの手動開閉弁v15を介して液槽11の2箇所に分岐連通されている。なおかかる液槽11への連通箇所は1箇所でも3箇所以上でもよい。
【0106】
あけ換え装置51は、図3に示すように、ろ過器41の送液口を手動開閉弁v51を介してあけ換え槽511に連通させ得るように配管するとともに、ポンプ42の吸液口を手動開閉弁v52を介してあけ換え槽511の底部に設置した従来型のフート弁(foot valve) v53に配管接続したものである。
【0107】
循環ろ過装置3におけるあけ換え装置51もこのあけ換え装置51と基本的に同構造である。
ここで前述及び後述の「多岐管」について述べると、該多岐管は一端が閉鎖された閉鎖筒体の形態の多岐管本体と、これに接続された複数の分岐管とを含んでいる。そして循環ポンプによる液槽からの吸液回路及びろ過器から液槽への送液回路に該多岐管を用いる循環ろ過装置において、該多岐管の本体に設ける複数の各々同一又は異なる断面積を持つ分岐管のそれぞれからの吸液又は送液における通液量がその分岐管の断面積によって決まるものである。
【0108】
さらに説明すると、該複数分岐管のそれぞれにおいて単位断面積あたりの通液量は、例えばろ過器のろ過助剤のプレコート層が不純物除去の許容範囲を超えて著しく目詰まりし、プレコート層前後の圧力差、換言すればろ過器内原液室とろ過室との圧力差が著しく変動するなどの不都合がない限り、実質上同量であり、各分岐管は該単位断面積あたり等量の通液量に基づいて必要とされる所定の通液量を得る断面積を有する。多岐管本体はこれを構成している筒体内の略全長にわたり同一断面積で、且つ、複数多岐管の合計断面積より若干大きい断面積を有する。多岐管本体内圧力は、筒体内の略全長にわたり同一断面積のもとに同一の負圧力又は正圧力下におかれ、各分岐管ごとの所定の通液量を過不足無く得られる。
【0109】
もとに戻って説明を続けると、以上説明した循環ろ過装置3における液合流用多岐管33及び温度制御回路45の図示省略の多岐管、並びに循環ろ過装置4A、4Bにける液合流用多岐管431、432、、430、液分配用多岐管433及び温度制御回路45の多岐管452はいずれも基本的に図9に示す多岐管と同じ構造のものであり、製作材質は塩化ビニル樹脂(PVC)によるもので、後述の図10に示す多岐管も材質は同様である。なおこれら多岐管は他の材料製、例えば他の合成樹脂製や金属製でもよい。
【0110】
すなわち、循環ろ過装置3における液合流用多岐管33、温度制御回路45の図示省略の多岐管、並びに循環ろ過装置4A、4Bにける液合流用多岐管431、432、430、液分配用多岐管433及び温度制御回路45の多岐管452はいずれも、構造的には図9に示すように、それとは限定されないがここでは断面円形の多岐管本体401とこれに接続された2本の、それとは限定されないがここでは断面円形の分岐管402、403とからなるものである。多岐管本体401は一端に他の管を接続するための主開口部401aを有し、他端401bが閉鎖された内径略均一な(液流通断面積が略均一な)閉鎖筒体である。
【0111】
そして分岐管402、403に対する正又は負の同一圧力下における多岐管本体401の開口部401aの断面積は、それぞれ必要とする所定の通液量を与える分岐管402、403の合計断面積に相当する断面積を有している。
【0112】
また多岐管本体401の断面積は該複数分岐管の合計断面積に対して余裕のある断面積として該開口部401aよりは若干大きい断面積を有している。
【0113】
分岐管402、403は多岐管本体401の長手方向における2箇所において、多岐管本体の長手方向に直交する方向から該多岐管本体内へ突出挿入され、各分岐管402、403の多岐管本体への突出度(突出挿入高さ)αは本体401の内径Rの略1/2以上3/5以下の範囲内にある。
【0114】
該分岐管402、403の多岐管本体401内への突出挿入高さは、該多岐管本体におよぶポンプの吸液圧力(負圧力)又は送液圧力(正圧力)下において、該多岐管本体内の圧力(負又は正圧力)を均一圧力下におくものである。
【0115】
多岐管本体401は該二つの分岐管402、403に対して液密に接着剤、溶接等によって接続されている。
【0116】
なお後述する図10に示す多岐管、さらにはその多岐管本体600及び分岐管601〜605についても、その基本構成は以上説明した多岐管と同様である。
【0117】
また、いずれの多岐管においても、分岐管の多岐管本体に対する接続部位は特に限定されず、液回路構成に応じて多岐管本体周囲の任意の部位に接続できる。また、その接続にあたっての分岐管の角度は、必ずしも多岐管本体の長手方向に直交する方向でなくてもよい。
【0118】
かかる構造の多岐管によると、多岐管本体401の主開口部401aに液循環用ポンプの吸液口を連通させて液合流用の多岐管として用いた場合、ポンプの吸引圧力(負圧力)、すなわち多岐管本体内の液圧(吸引圧)が多岐管本体内各部で均一化され、従って各分岐管402、403から多岐管本体401内への吸液量は各分岐管の液流通断面積に応じたものとなる。
【0119】
また、多岐管本体401の主開口部401aにポンプの吐出口を連通させて液分配用の多岐管として用いた場合、ポンプの吐出圧力(正圧力)、すなわち多岐管本体内の液圧(正圧力)が多岐管本体内各部で均一化され、従って各分岐管402、403からの吐出液量は該分岐管の液流通断面積に応じたものとなる。
【0120】
ここではこのような構造の多岐管を、循環ろ過装置3における多岐管33及び温度制御回路45の図示省略の多岐管、並びに循環ろ過装置4A、4Bにける液合流用多岐管431、432、430、液分配用多岐管433及び温度制御回路45の多岐管452として採用しているから、液槽の内底溝102及びオーバーフローボックスB2から所定量ずつ液を吸引し、循環ろ過装置3においては液槽11へ所定量のろ過後の液を戻すことができ、また、複数の液槽に対して設けられた循環ろ過装置4A、4Bについては該複数の液槽に所定量ずつろ過後の液を戻すことができ、さらに各温度制御回路45においては、図3に示すように多岐管452を設け、流量調整弁Vによって設定された任意の熱交換流量でもって容易に熱交換器に送液できるのである。
【0121】
なお、従来採用されている多岐管9は、概ね図15に示すように、一か所に液流通用の主開口部91aを有し、該主開口部91aの位置を除く複数箇所に分岐管92を接続したものである。分岐管92の接続は、分岐管の一端を多岐管本体91の壁に設けた孔91bに合わせ接続することでなされている。
【0122】
ところがこのような従来型多岐管では、多岐管本体内の全長における各部で液圧が均一に作用せず、特にろ過器におけるろ過圧力が不純物除去に伴って上昇してきたときには、たとえそのろ過圧力がろ過器自体では許容範囲にあるときでも各部で液圧が均一に作用せず、例えばポンプによって主開口部91aから正圧力下に多岐管本体91内に液体を導入したとすると、主開口部91aに近い分岐管には多くの液が流出し、主開口部91aから順次遠くなる各位置では、それより前の位置での分岐管への液流出により液圧が低下して、その位置での分岐管にはより少ない量の液しか流出しない。
【0123】
一方、ポンプによる吸液圧力(負圧力)下において分岐管92に外部から液を流入させ、これを主開口部91aから吸引する場合は、主開口部91aに近い分岐管からは多くの液を吸引できるが、主開口部91aから順次遠くなるに従ってポンプの液吸引作用が低下してその位置での分岐管92からはより少ない量の液しか吸引できない。
【0124】
このような多岐管を処理液のろ過のための液体回路、後述する複数の液槽における処理液を均質に維持するための液体回路、各液槽における液面位置を制御するための液体回路等に採用すると、所望のろ過処理、処理液質の維持、液面制御に支障をきたすことになる。
【0125】
このような問題を解決するには、各分岐管に流量調整弁90を設けなければならないが、それではコスト高となるうえに、不純物のろ過除去量に応じて日時の経過とともに減量していくろ過量、さらに配管抵抗による各吸、送液管毎の通液量の減少等を均一化するについて、流量調整弁90の開き度乃至絞り度の調整に著しく手間を要する。
【0126】
この点、図9に示す構造の多岐管によると、各分岐管において、図16に示すような流量調整のための流量調整弁90を設ける必要はなく、その液流通断面積に応じた通液量を簡単、容易に、安価に得ることができる。
【0127】
次に以上説明したろ過装置等について、説明の都合上、ろ過装置4Aから説明する。
【0128】
循環ろ過装置4Aによると、通常の循環ろ過においては、
前記の弁v41〜v45が開けられ、
温度制御回路45における弁va’、vb’、Vはそれぞれ任意の所定の開度に設定され(常に開いたままでもよい)、
あけ換え装置51へ通じる手動開閉弁v51、v52は閉じられる。
【0129】
そして循環ポンプ(本例では遠心ポンプ)42を運転することで、弁v43を介して液槽12、13の各内底溝102から第1吸引ヘッド104にて主として沈殿性不純物を含むメッキ液を吸引し、また図3に鎖線で示すように液槽内底の他の部位に第3吸引ヘッド108も設置してあるときは該第3吸引ヘッドからも液槽内底部及びその近傍の不純物を含むメッキ液を吸引し、一方、液槽12、13のそれぞれにおけるオーバーフローボックスB1、B2へ堰部21、22を越えてメッキ液とともに流れ込み、該ボックスB2へ集まる浮遊性不純物をボックスB2内のメッキ液とともに第2吸引ヘッド106にて吸引し、これら不純物をろ過器41でろ過し、ろ過後のメッキ液を再び各液槽12、13の2箇所へ還流することができる。このようにろ過後の液を各液槽の1箇所ではなく複数箇所に戻すので、それだけ該液槽の各部において液の清浄度が向上する。
【0130】
この循環ろ過中、メッキ液は温度制御回路45における熱交換器451にて所定温度に制御される。
【0131】
連休や休日あけ等においてメッキ処理装置を運転開始する際、メッキ液の温度が所定の温度から大きく外れているようなときには、所定の温度又はそれに近くなるまで、温度制御回路45における流量調整弁Vを絞るか閉じて、メッキ液を熱交換器451に集中的に流すことで、速やかに所定のメッキ液作業温度を得ることができる。
【0132】
ところで、一般に物品処理液槽の場合、処理液中には、被処理物に当初から付着していて持ち込まれる不純物、被処理物の前処理工程中に発生する不純物であって被処理物に付着して持ち込まれる不純物、そして処理液内での被処理物の処理過程において電解、劣化等により発生する不純物等が相乗して不純物が日々積増していき、このためにコスト高を招くろ過器のろ過床の頻繁な洗浄復元及び液槽あけ換えろ過を行わなければならない。
【0133】
物品メッキ処理液槽を例にとると、メッキ処理液中には、被処理物に当初から付着していて持ち込まれる不純物、被処理物の前処理工程中に発生する不純物であって被処理物に付着して持ち込まれる不純物、そしてメッキ処理液槽内での被処理物の処理過程におけるアノードの電解、処理液の劣化等により発生する不純物、外部から液槽内へ落下することがある不純物等が相乗して不純物が日々積増していき、このためにろ過器内のろ過床の頻繁な洗浄復元作業、そして液槽あけ換えろ過を行わなければならない。さらにこれら作業のために、メッキ製品の生産中断、残業の増加、これらに伴う人件費の増加、高価なメッキ液の損失、諸薬品や排液の管理費の増加、電気等のエネルギーの過大な消耗を招き、ひいてはメッキ製品の高騰を招く。
【0134】
あけ換えろ過を例にとると、あけ換えろ過実施の周期は液質、生産品種等によって大きく左右されるが、概ね1ケ月から3ケ月の間である。あけ換えろ過によって無機、有機不純物の除去のための活性炭処理及びろ過等の処理を行って液組成を再生復元し、その復元液を再び元の液槽に還流させる。
【0135】
いま説明しているメッキ処理液槽11〜15においては次のようにあけ換えろ過処理を行う。
【0136】
すなわち、液槽12内メッキ液のあけ換えろ過を行うときは循環ろ過装置4Aにおける、
液槽12側の弁v42、液槽13側の弁v41、v42及び温度制御回路45の入口へ通じる弁v44、あけ換え装置51の弁v52を閉じ、
液槽12側の弁v41、ポンプ42の吸液口に通じる弁v43と共にあけ換え装置51における弁v51を開き、
ポンプ42を運転する。
【0137】
これにより、液槽12側の弁v41、多岐管431、多岐管430、ポンプ吸液側の弁v43、ポンプ42、逆止弁v46、ろ過器41、弁v51を経由して液槽12内のメッキ液をあけ換え槽511へ回収することができる。あけ換え槽511に回収した液には活性炭ろ過処理、液組成復元処理等を施す。
【0138】
処理済液のあけ換え槽511から液槽12への還流には、
あけ換え装置51の弁v51、ポンプ42の吸液口に通じる弁v43、液槽13側の弁v45を閉じ、
あけ換え装置の弁v52、温度制御回路45へ通じる弁v44、温度制御回路45の弁V、液槽12側の弁v45を開き、
ポンプ42を運転する。
【0139】
これによりあけ換え槽511の底部にあるフート弁v53から復元されたメッキ液は吸入されて、あけ換え装置の弁v52、ポンプ42、逆止弁v46、ろ過器41、弁v44、温度制御回路45の多岐管452、弁V、多岐管433を経由して液槽12側の弁v45から液槽12へ還流する。
【0140】
一方、液槽13内のメッキ液のあけ換えろ過を行うときは、循環ろ過装置4Aにおける、
液槽13側の弁v42、液槽12側の弁v41、v42及び温度制御回路45へ通じる弁v44、あけ換え装置51の弁v52を閉じ、
液槽13側の弁v41、ポンプ42の吸液口に通じる弁v43と共にあけ換え装置51における弁v51を開き、
ポンプ42を運転する。
【0141】
これにより、液槽13側の弁v41、多岐管432、多岐管430、ポンプ吸液側の弁v43、ポンプ42、逆止弁v46、ろ過器41、弁v51を経由して液槽13内のメッキ液をあけ換え槽511へ回収することができる。あけ換え槽511に回収した液にはろ過処理等を施す。
【0142】
あけ換え槽511から液槽13への液還流には、
あけ換え装置51の弁v51、ポンプ42の吸液口に通じる弁v43、液槽12側の弁v45を閉じ、
あけ換え装置の弁v52、温度制御回路45へ通じる弁v44、温度制御回路45の弁V、液槽13側の弁v45を開き、
ポンプ42を運転する。
【0143】
これにより、あけ換え槽511の底部にあるフード弁v53から復元されたメッキ液が吸入されて、あけ換え装置51の弁v52、ポンプ42、逆止弁v46、ろ過器41、弁v44、温度制御回路45の多岐管452、弁V、多岐管433を経由して液槽13側の弁v45から液槽13へ還流する。
【0144】
このようにここでは液槽12、13のメッキ液のあけ換えろ過は、各槽のメッキ液をそれぞれ個別に全量あけ換えろ過ができる。
【0145】
液槽12、13のメッキ液を個別にあけ換えろ過処理できるようにしたのは、2槽一緒に液交換するとなればあけ換え槽511をそれだけ容量を大きくしなければならず、それではあけ換え槽511の設置スペースが大きくなってしまうし、コスト高につくからであり、さらに、あけ換えろ過が要求される原因は、各槽毎に生じることが多いからである。
【0146】
なお、大容量のあけ換え槽511の設置スペースがある等の場合は2槽について一度にあけ換えろ過作業を行ってもよい。
【0147】
循環ろ過装置4Bにおいても、ろ過装置4Aの場合と同様に液槽14、15のメッキ液を循環ろ過できる。また、メッキ液の温度制御もできる。さらに液槽14、15のメッキ液をそれぞれ個別に全量あけ換えろ過ができる。
【0148】
循環ろ過装置3によると、通常の循環ろ過においては前記の弁v11〜v15が開けられ、温度制御回路45における開閉弁及び流量調整弁はそれぞれ所定の開度に設定され、あけ換え装置51へ通じる開閉弁は閉じられる。そして循環ポンプ32を運転することで、液槽11の内底溝102から第2吸引ヘッド104にて主として沈殿性不純物をメッキ液とともに吸引し、また図3に鎖線で示すように液槽内底の他の部位に第3吸引ヘッド108も設置してあるときは該第3吸引ヘッドからも液槽内底部及びその近傍の不純物を含むメッキ液を吸引する。
【0149】
一方、液槽11に付設されたオーバーフローボックスB1、B2へ堰部21、22を越えてメッキ液とともに流れ込み、ボックスB2へ集まる浮遊性不純物をボックスB2内の第2吸引ヘッド106にてメッキ液とともに吸引して、これら不純物をろ過器31でろ過し、ろ過後のメッキ液を再び液槽11の2箇所へ還流することができる。このようにろ過後の液を液槽11の1箇所ではなく複数箇所に戻すので、それだけ液槽11の各部において液の清浄度が向上する。
【0150】
この循環ろ過中、メッキ液は温度制御装置45において所定温度に制御することもできる。
【0151】
連休及び休日あけ等においてメッキ処理装置を運転開始する際、メッキ液の温度が所定の温度から大きく外れているようなときには、所定の温度又はそれに近くなるまで、温度制御回路45における流量調整弁Vを絞るか閉じて、メッキ液を熱交換器に集中的に流すことで、速やかに所定のメッキ液温度を得ることができる。
【0152】
液槽11内メッキ液のあけ換えろ過を行うときは、ろ過装置3において前述の液槽12、13のあけ換え装置51と同様に液槽11側の弁v11を開いてv12を閉じ、さらに温度制御回路45へ通じる弁v44と装置51の弁v52を閉じ、あけ換え槽511への送液用開閉弁v51を開き、ポンプ32の運転によって液槽11内のメッキ液を該あけ換え槽へ回収することができる。
【0153】
そして回収されて再生し復元されたメッキ液は、あけ換え装置51によって前述の液槽12、13と同様にして液槽11に還流することができる。
【0154】
以上説明したメッキ処理装置には、さらに、液槽11〜15のそれぞれからメッキ液を回収して混合し再び各液槽に戻しつつ各液槽内の液面位置を所定位置に制御するための液混合及び液面位置制御のための装置6が設けられている。以下これについて説明する。
【0155】
前記液混合及び液面位置制御のための装置6は図1に示すように、
液循環ポンプ61(ここでは遠心ポンプ)と、
液槽11〜15のそれぞれのオーバーフローボックスB2から手動開閉弁v71、液合流用の第1多岐管J1及び液合流用の第2多岐管J2、さらに手動開閉弁v62を介してポンプ61の吸液口へ液を導く回路と、
液槽11〜15のそれぞれのオーバーフローボックスB2から手動開閉弁v61及び各液槽に対応する液排出用電動弁Va(合計5個ある)を介して液合流用の第3多岐管J3へ、さらに該第3多岐管J3から前記第2多岐管J2及び手動開閉弁弁v62を介してポンプ61の吸液口へ液を導くことができる回路と、
ポンプ61の吐出口から逆止弁Vo及びろ過器60を介して、さらに手動開閉弁v63、液分配用の第4多岐管J4及び液分配用の第5多岐管J5を介して各液槽11、12、13、14、15へ液を導く回路と、
ポンプ61の吐出口から前記の逆止弁Vo及びろ過器60を介して、さらに弁v63、前記第4多岐管J4、液分配用の第6多岐管J6及び各液槽に対応する液供給用電動弁Vb(合計5箇ある)、さらに手動開閉弁v64を介して各液槽11、12、13、14、15へ液を導くことができる回路とを備えている。 液混合及び液面位置制御のための装置6はさらに各液槽のオーバーフローボックスB2に設置された液面位置検出装置62を含んでいる。
【0156】
液排出用電動弁Va、液供給用電動弁Vbはここではいずれも弁開閉駆動モータを備えた弁である。
【0157】
なお、図示のメッキ処理装置は、図11(A)に示すように装置全体の動作を制御する制御部7を備えており、制御部7の一部は、いま説明している液混合及び液面位置制御のための装置6の一部を構成している。
【0158】
制御部7には操作盤71が接続されており、それには各ポンプを始動したり、停止したりするスイッチ等が搭載されている。
【0159】
そして、図11(A)に示すように、各ポンプ32、42、42、61は該制御部に接続されていて、該制御部からの指示に基づいて動作するようになっているとともに、液混合及び液面位置制御のための装置6における各液槽に対応する液排出用電動弁Va、液供給用電動弁Vb及び液面位置検出装置62も該制御部に接続されている。
【0160】
各液面位置検出装置62はいずれも同構造のものであり、そのうち一つについて図11(B)に概略構成を示すように、オーバーフローボックスB2内に上方から吊り下げ挿入される合計5本の電極棒621〜625を含んでいる。
【0161】
これら電極棒は電極棒621、622、623、624の順に長く、この長い順に深くボックスB2内に挿入されている。電極棒625はアース電極棒であり、電極棒624と略同じかより深くボックスB2内に挿入されている。
【0162】
各液槽のオーバーフローボックスB2内において、電極棒621は異常な液面の上限を検出するための電極棒であり、電極棒622は液面位置が許容範囲の上限に達するとこれを検出するための電極棒であり、電極棒623は液面位置が許容範囲の下限に達するとこれを検出する電極棒であり、電極棒624はそのオーバーフローボックス内が渇液状態にあることを検出する電極棒である。
【0163】
液槽11〜15のいずれの液槽においても、該液槽における堰部21、22を越えてオーバーフローボックス内に収容されている液の液面高さが所定の上限と下限の範囲内にあるときは、即ちボックスB2内の液面位置が電極棒622の下端より下方に、且つ、電極棒623の下端より上方に位置している場合には、該液槽に対応する液排出用電動弁Va、液供給用電動弁Vbはいずれも制御部7の指示のもとに開かれたままで、該液槽について液の排出及び供給が続けられる。
【0164】
しかしいずれかの液槽において、堰部21、22を越えてボックスB2内に収容されている液の液面高さが所定の範囲を超えて高くなって電極棒622の下端に接触すると、制御部7の指示のもとに、該液槽に弁v64(通常、開けてある)を介して連通している液供給用電動弁Vbは閉じて該液槽への給液は停止される一方、液排出用電動弁Vaは開かれ、弁v61(通常、開けてある)を介して該液槽から液が排出される。
【0165】
このとき、電動弁Vaを介しての排出回路とは別に、弁v71(通常開けてある)、多岐管J1を介して排出される液が、多岐管J2内において、電動弁Va及び多岐管J3からの排出液と合流し、これら合流液が弁v62を介してポンプ61に吸引される。
【0166】
またいずれかの液槽において、該液槽内の液面位置が降下して電極棒623の下端を離れると、制御部7の指示のもとに、該液槽に対応する液排出用電動弁Vaが閉じられる一方、液供給用電動弁Vbは開かれ、弁v64を介して該液槽へ送液される。このとき、ポンプ61からの送液は、逆止弁Vo、ろ過器60を経て、多岐管J4の二つの分岐管のうち一方の分岐管により前記の多岐管J6、電動弁Vb、弁v64を経て液槽へ還流すると同時に、多岐管J4の他方の分岐管から多岐管J5へ、さらに液槽への液流出口63へと還流する。
【0167】
そして(1)該循環ろ過装置6において、ポンプ61の吸液回路における弁v61から電動弁Vaを経由する排出液量と、電動弁Vaを経由しないで弁v71から多岐管J1、J2を経て排出される液量との合計排出液量と、(2)該ポンプの送液回路における電動弁Vb、弁v64を経由して液槽へ還流する送液量と、電動弁Vbを経由しないで多岐管J4、J5を経て液流出口63から液槽へ還流する液量との合計送液量とが略等量となるように当初において設定されている。
【0168】
液槽11〜15に係るろ過装置3、4A、4B、6によるろ過運転中に、いずれかの液槽の液面位置が上下に変動したときには、このように装置6の液合流用の多岐管J3に連通する液排出用電動弁Va及び液分配用の多岐管J6に連通する液供給用電動弁Vbの交互作動によって、正常なメッキ作業を中断することなく継続することができる。
【0169】
オーバーフローボックスB2内において、不測の事態等により処理液の液面高さが所定の高さより低くなって、該液面が電極棒624を離れると、或いは処理液の液面高さが所定の高さより高くなって該液面が電極棒621に接触すると、制御部7の指示のもとに前後者ともにポンプ61のみならず全ポンプが非常停止される。安全管理のためにこの場合に警報を発する警報装置を設けておいてもよい。
【0170】
前記の液合流用の多岐管J1〜J3、は、吸液のための吸液空間を有するとともに該吸液空間に連通する液流通主開口部を一か所に有する多岐管本体と、該多岐管管本体の前記主開口部位置を除く複数の所定箇所のそれぞれに連設された分岐管とを備えており、液が各分岐管に流入し、多岐管本体内で合流し主開口部から流出するものである。
【0171】
また、前記の液分配用の多岐管J4〜J6は、送液のための送液空間を有するとともに該送液空間に連通する液流通主開口部を一か所に有する多岐管本体と、前記多岐管本体の前記主開口部位置を除く複数の所定箇所のそれぞれに連設された分岐管とを備えており、液が主開口部に流入し、各分岐管から別れて流出するものである。
【0172】
第1多岐管J1及び第3多岐管J3、さらに第5多岐管J5及び第6多岐管J6のそれぞれには、液槽の数と同数(ここでは5本)の分岐管が設けられており、第2多岐管J2及び第4多岐管J4については2本の分岐管が設けられている。 装置6で採用されている液合流用の多岐管J2及び液分配用の多岐管J4は、循環ろ過装置で採用した図9に示す構造の多岐管と基本構造を同じくするもので、各分岐管にその液流通断面積に応じた通液量を得ることができるものである。 また、装置6で採用される液合流用多岐管J1及びJ3並びに液分配用の多岐管J5及びJ6はいずれも図10に示す多岐管と同構造を有するものであり、製作材質は塩化ビニル樹脂(PVC)によるものである。なおこれら多岐管は処理液質等に応じて他の材料製、例えば他の合成樹脂製や金属製でもよい
すなわち、多岐管J1、J3、J5、J6のそれぞれは、図10に示すように、それとは限定されないがここでは断面円形の多岐管本体600とこれに接続された5本の、それとは限定されないがここでは断面円形の分岐管601、602、603、604、605とからなるものである。
【0173】
多岐管本体600は一端に他の管を接続するための主開口部600aを有し、他端600bが閉鎖された内径略均一な(液流通断面積が略均一な)閉鎖筒体である。
【0174】
そして分岐管601〜605に対する正又は負の同一圧力下における多岐管本体600の開口部600aの断面積は、それぞれ必要とする所定の通液量を与える分岐管601〜605の合計断面積に相当する断面積を有している。各分岐管の液流通断面積はここでは同一である。また多岐管本体600の断面積は該複数分岐管の合計断面積に対して余裕のある断面積として該開口部600aよりは若干大きい断面積を有している。
【0175】
分岐管601〜605はそれぞれ多岐管本体600の長手方向における5箇所において、多岐管本体の長手方向に直交する方向から該多岐管本体内へ突出挿入され、各分岐管の多岐管本体への突出度(突出挿入高さ)βは本体600の内径R’の略1/2以上3/5以下の範囲内にある。
【0176】
分岐管601〜605のそれぞれの多岐管本体600内への突出挿入高さは、該多岐管本体におよぶポンプ61の吸液圧力(負圧力)又は送液圧力(正圧力)下において、該多岐管本体内の圧力(負又は正圧力)を均一圧力下におくものである。
【0177】
多岐管本体600は分岐管601〜605に対して液密に接着剤、溶接等によって接続されている。
【0178】
この構造の多岐管においても、多岐管本体600の主開口部600aにポンプ61の吸液口を連通させて液合流用の多岐管として用いた場合、多岐管本体内の液圧(負圧力)が多岐管本体内各部で均一化され、従って各分岐管601〜605から多岐管本体600内への吸液量は該分岐管の液流通断面積に応じたものとなる。ここでは同じ吸液量となる。
【0179】
また、多岐管本体600の主開口部600aにポンプ61の吐出口を連通させて液分配用の多岐管として用いた場合、多岐管本体内の液圧(正圧力)が多岐管本体内各部で均一化され、従って各分岐管601〜605からの吐出液量は該分岐管の液流通断面積に応じたものとなる。ここでは同じ吐出液量となる。
【0180】
以上説明したように、ここでは、多岐管J1〜J6(図1参照)として、各分岐管にその液流通断面積に応じた通液量を得ることができる多岐管を採用しており、それにより、各液槽の相互液混合を継続しつつ行う各液槽11〜15における液面位置の制御を、各液槽における液面高さに見合った状態で適切に行うことができ、また、それにより液面位置制御のための各弁Va、Vb(図1参照)の開閉回数を低減させることができ、その開閉サイクルをそれだけ長びかせると共に電動弁Va、Vbの耐久性をも長びかせることができる。
【0181】
以上説明した液混合及び液面位置制御のための装置6によると、各液槽のオーバーフローボックスB2における液面が正常位置にあるときは、各弁Va、Vbが開かれ、液循環ポンプ61が運転されることで、複数の液槽11〜15のそれぞれのオーバーフローボックスB2から弁v61、v71を介して液が吸引され、各槽の液は液合流用の第1多岐管J1及び第3多岐管J3の各分岐管に至り、それら分岐管から該多岐管の本体内へ流入し、合流し、さらに該多岐管本体から液合流用の第2多岐管J2の分岐管へ流れ、該多岐管J2の本体を経て、各槽の液が混合された状態で液循環ポンプ61へ吸い込まれる。
【0182】
そして、液循環ポンプ61に吸い込まれた液体は該ポンプから吐き出され、ろ過器60でろ過されたのち、液分配用の第4多岐管J4の本体へ流入し、さらに該多岐管から液分配用の第5多岐管J5及び第6多岐管J6の本体へ流入し、該多岐管の各分岐管を経て各液槽11〜15へ還流する。
【0183】
このように各液槽から吸引されたメッキ液が多岐管J1、J3で合流し、さらに多岐管J2で合流し、液循環ポンプ61に吸い込まれて吐き出され、さらにろ過器60を通過し、第4多岐管J4で分配され、さらに第5多岐管J5及び第6多岐管J6で分配される過程で、複数の液槽11〜15からのメッキ液が混合され、これが連続的に実施されることで各液槽のメッキ液組成は、均質に維持される。
【0184】
また、前記のとおり各液槽の液面位置が制御される。
【0185】
このようにして各液槽内の処理液を混合して、均一な液組成のもとに生産作業を継続的に実施できる。しかもこれら液混合と液面制御は一つの液循環ポンプ61により達成される。
【0186】
かくして、装置構造の複雑化、大形化、高価格化を抑制しつつ、液槽間において処理液を均質に維持することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる。
【0187】
なお、以上説明した液混合及び液面位置制御のための装置6のように、少なくとも液循環ポンプ61へ液を導くための各回路及び液面位置検出装置62をオーバーフローボックスB2に対して設けることで、液槽の堰部を越える前の液を収容している部分で邪魔もの少なくメッキ処理を行える。また、液槽全体における液量の変動に対して液面の上下変動を大きくとれるオーバーフローボックスにおいて液槽における液面位置の変動をより決め細かく検出して、適切な液面位置制御を行える。
【0188】
ろ過器60はオーバーフローボックスに流入する液量に対応できる本来の循環ろ過のためのろ過器31、41よりも小型でよい。しかもろ過器60は既に述べたように1台でも足りる。
【0189】
図1に示すメッキ処理装置におけるメッキ液の循環ろ過装置3、4A、4Bによる循環ろ過は、各液槽についてみると、それには限定されないが、通例に従い例えば、1時間当たり1液槽の液収容量に対し約3回循環ろ過することができる。すなわちろ過量は該容量の約3倍を標準とすることができる。
【0190】
また、循環ろ過装置6による液混合及び液面制御のための液処理量は、例えば1液槽の液収容量に対し1時間あたり約0.5回循環ろ過する量とできる。すなわちろ過量は該容量の約0.5倍を標準とすることができる。
【0191】
例えば図1に示す五つの液槽のそれぞれにおける正規の液収容量を5mとすると、1分間あたりのろ過量は次表のように設定できる。
【0192】
Figure 0003554696
次に各液槽11〜15においてオーバーフローボックスB1、B2に臨む堰部21、22(図4も参照)について説明する。
【0193】
堰部21、22はいずれの液槽のものについても同じであるから、ここでは液槽12に設けられているものに代表させて説明する。他の液槽についても堰部の点については以下の説明が当てはまる。
【0194】
堰部21は液槽12とオーバーフローボックスB1との間の仕切り壁w1(図4参照)の上端縁部にオーバーフロー用ノッチ20を形成して設けられている。堰部22は液槽12とオーバーフローボックスB2との間の仕切り壁w2(図4参照)の上端縁部にオーバーフロー用ノッチ(切欠部)20を形成して設けられている。ここでは堰部21、22における各オーバーフロー用ノッチ20は同じ形状、サイズである。
【0195】
各ノッチ20はここでは逆三角形状であり、堰部21、22のいずれについても複数形成されている。
【0196】
このように液オーバーフロー用ノッチ20を形成した堰部21、22を採用して該ノッチ20からオーバーフローボックスB1、B2へ液がオーバーフローするようにしたので、該堰部21、22から液を浮遊性不純物とともにオーバーフローボックスB1、B2へ流入させて、それらを前述のとおり該ボックスからポンプで吸引でき、これら吸引した液をろ過に供することができる。
【0197】
そして液オーバーフロー用ノッチ20を形成した堰部21、22を採用して該ノッチ20からオーバーフローボックスB1、B2へ液がオーバーフローするようにしたので、液槽12内の液面が望ましい液オーバーフローのための液面位置より少しぐらい上昇しても、その上昇液面位置がノッチ20に臨んでいる限り、従来の矩形堰のように堰の上端縁の全長にわたり一斉にオーバーフロー量が急激に増加し、そのために全体のオーバーフロー量が著しく増加してしまうということはなく、該ノッチ20における液面の上昇による液流通断面積の増加分だけオーバーフロー量が増加するだけである。
【0198】
また、液槽12内の液面が下降しても、その下降液面位置がノッチ20に臨んでいる限り、従来の矩形堰のように堰部上端縁の全長にわたり一斉にオーバーフロー量が減少し、そのため全体のオーバーフロー量が著しく減少してしまうということはなく、該ノッチ20における液面の下降による液流通断面積の減少分だけオーバーフロー量が減少するだけである。
【0199】
従って、液槽12における液面の上下変動があっても、従来の矩形堰に比べると、オーバーフロー量はごく緩やかに増大又は減少する。換言すれば、液槽12における液面の上下変動があっても、従来の矩形堰に比べると、オーバーフロー量の変動はごく小さく抑制される。
【0200】
かくして液の適切なろ過のために、ろ過用ポンプ能力に見合った循環ろ過の液量に応じて設定される液槽12底部からの吸液量(例えば循環ろ過液量の略70%)とオーバーフローボックスからの吸液量(例えば循環ろ過液量の略30%)を維持して、液の適切なろ過が達成される。
【0201】
また、液オーバーフロー用ノッチ20を形成した堰部21、22を採用して、該ノッチ20からオーバーフローボックスB1、B2へ液がオーバーフローするようにしてあり、該ノッチ20は堰部21、22を越える前の液の深さ方向に延びているから、液槽12内の液面に浮上し易い浮上性不純物だけでなく、それより下層に浮遊し易い不純物も該ノッチ20からオーバーフローボックスB1、B2へ流入しやすく、かかる液面より下層に浮遊する不純物についても回収してろ過することができる。
【0202】
さらに、ノッチ20の形状(ここでは特にノッチの逆三角形状の下端頂角の角度とノッチの深さ)や数を選んで、オーバーフロー量をたやすく設定できるという利点もある。なお、図示のノッチ20は逆三角形状であるが、矩形状、U字形状など他の形状であってもよい。
【0203】
図示のように逆三角形状ノッチを採用するばあい、その逆三角形状の下端頂角として、それには限定されないが、40°〜90°、より好ましくは50°〜60°程度を例示できる。
【0204】
図12(A)に示すように、幅500mmの従来矩形堰200があり、液槽の標準液位が該矩形堰200の上端よりh=10mm上昇した位置にあり、このとき堰200を越えてオーバーフローする標準液量(所定液量)は略55.2リットル/分であり、液槽の液面がh=15mm、20mm、25mmとそれぞれ上昇したとすると、矩形堰200をオーバーフローする液量は次表に示すように、101.4リットル/分、156.1リットル/分、218.2リットル/分となる。
【0205】
ここで矩形堰200に代えて、図12の(B)、(C)、(D)に示すような幅40mmの矩形ノッチN1、逆三角形状の下端頂角90度のノッチN2、逆三角形状の下端頂角60度のノッチN3をそれぞれ有する堰部201、202、203を採用した場合、矩形堰200と同じ標準オーバーフロー液量55.2リットル/分を得ようとすると、次表に示すように、
堰部201については、ノッチN1の個数Pを5個とすると、各ノッチN1の液流通断面の高さh1を18.4mmとすればよい。
【0206】
堰部202については、ノッチN2の個数Pを5個とすると、各ノッチN2の液流通断面の高さh2を28mmとすればよい。
【0207】
堰部203については、ノッチN3の個数Pを4個とすると、各ノッチN3の液流通断面の高さh3を38.1mmとすればよい。
【0208】
すなわち、液オーバーフロー用のノッチを有するいずれの堰部201、202、203においても該ノッチは液の深さ方向へ延びているから、矩形堰200の上端より液面までの高さh=10mmより深く切れ込んでいる。これにより液面に浮上し易い浮上性不純物だけでなく、それより下層に浮遊し易い不純物も該ノッチからオーバーフローさせ得ることがわかる。
【0209】
また、液槽の液面が前記のように矩形堰200の上端よりh=15mm、20mm、25mmとそれぞれ上昇したときの該堰200を越えるオーバーフロー液量と同じオーバーフロー液量を得ようとすると、各ノッチ付き堰部201、202、203におけるノッチの個数Pとノッチにおける液流通断面の高さh1、h2、h3は次表のようになる。すなわち次表より、液面の高さが通常液面位置(高さ10mmの位置)より5mm(h=15mmの場合)、10mm(h=20mmの場合)、15mm(h=25mmの場合)と変動しても、ノッチ付き堰部201、202、203においては、オーバーフロー液量の変動を矩形堰200より小さく抑制できることがわかる。
【0210】
次表においてMは矩形堰200におけるオーバーフロー液量リットル/分を示し、mは各ノッチにおけるオーバーフロー液量リットル/分を示し、Pはノッチの数を示す。h、h1、h2、 h3 の単位は〔mm〕である。
Figure 0003554696
さて、従来の上端縁が水平一直線に延びる所謂矩形堰によると、液槽の底部から吸液する量とオーバーフローボックスから吸液する量とをろ過用ポンプの能力に応じて所定の割合に設定してあっても、液槽内液面の僅かの上昇によってもオーバーフロー量が大きく増し、それによりオーバーフローボックス内液量が、ポンプ能力のうちオーバーフローボックスからの吸液能力を超えて多くなりすぎ、次第に液槽内の液面とオーバーフローボックス内の液面とが同位置近くになって落差が小さくなり、遂には浮遊性不純物をオーバーフローボックスに充分回収できなくなることがあることは、既に述べた。この点についてもう少し説明する。
【0211】
例えば物品の電気メッキ液処理において、メッキ処理液槽内のメッキ液の循環ろ過量は、被メッキ物によって異なるが、概ね1時間当たり液槽内処理液量の3倍のろ過量を標準とみている。そこで、従来の所謂矩形堰からメッキ処理液をオーバーフローさせる前記のようなオーバーフローボックスB1、B2を備える液槽の循環ろ過量を例にとると次のようになる。
【0212】
Figure 0003554696
上記液量11.8mについての1時間当たりの循環総ろ過量は、
11.8m×3倍=35.4m/hr となる。
【0213】
そして液槽内及びオーバーフローボックス内の処理液のろ過量をそれぞれ全ろ過量の70%、30%に設定すると、次のようになる。
【0214】
Figure 0003554696
然るに従来の矩形堰によるオーバーフロー量は、堰上端から液面までの高さh(図12(A)参照)を一般平均的なh=10mmとすると、つぎのようになる。
【0215】
h=10mmのとき、堰幅を前記のように500mmとすると、オーバーフロー量は既述のとおり概ね55.2リットル/分となり、堰幅がボックスB1の長さ10mとボックスB2の長さ1mの合計11mであるから、
55.2リットル/分÷500mm×11m×60分=72.86m/hrとなり、前記のオーバーフローボックスについて設定された循環ろ過液量10.6m/hrを大幅に上回ってしまう。
【0216】
このことは、オーバーフローボックス内液量が、ポンプ能力のうちオーバーフローボックスからの吸液能力を超えて多くなりすぎ、急速に液槽内の液面とオーバーフローボックス内の液面とが同位置近くになって落差が無くなり、浮遊性不純物をオーバーフローボックスに充分回収できなくなることを意味する。その結果、液ろ過が不充分となり、被メッキ物表面に不純物が付着してザラ付き等が発生するなど、不良品が多発するという重大問題が生じる。
【0217】
そして、液槽内液面位置は、被処理物の前処理工程での被処理物による汲み上げ液及び(又は)被処理物への付着液の持ち込み、次工程への被処理物による処理液の汲み出し、前記熱交換器による液加温に際しての水分の蒸発等によって、時々刻々変動するので、各液槽内液面位置の調節、オーバーフローボックス内への液流入量の調節は頻繁にして、厄介、且つ、重要な作業となっていた。
【0218】
この点、前記のような液オローバーフロー用ノッチを設けた堰部を採用することで、液槽内液面の上下変動があっても、従来の矩形堰に比べると、オーバーフロー量の変動は小さく抑制され、それによりろ過用ポンプ能力に見合った循環ろ過の液量に応じて設定される液槽底部からの吸液量とオーバーフローボックスからの吸液量を維持して、液の適切なろ過が達成され、ひいては不良品の発生を大幅に低減させることができる。
【0219】
前記の堰部21、22は液槽とオーバーフローボックスB1、B2との間の仕切り壁w1、w2の上端縁部にノッチ20を形成して固定的に設けられたものであるが、液の適切なろ過をより一層簡単容易に行うために、堰部として、液槽とオーバーフローボックスとの間の仕切り壁の上端縁部に取り外し可能に設置できる堰部材を採用することもできる。図13はそのような着脱可能の堰部材の1例を示しており、図14は同じく着脱式の堰部材の他の例を示している。
【0220】
図13(A)は堰部材8の斜視図である。図13(B)は該堰部材の使用状態を示しており、図13(A)のX−X線に沿う断面で示している。堰部材8は、液オーバーフロー用の矩形ノッチ80を四つ形成した板体81に断面門形状(乃至U字形状)の壁差し込み部分800を一体的に形成し、ノッチ80を避けて補強リブ83も一体的に形成したものである。
【0221】
それには限定されないが、ここでの壁差し込み部分800は凹所の形態のもので、板体81の片面の途中部分に倒立L字形状の屈曲板部82を一体的に設けて形成してある。屈曲板部82とそれに重なる位置にある板体81の下部には、上下方向に長いボルト貫通用の長孔82aをそれぞれ設けてある。この堰部材8は、それには限定されないが、ここでは液槽内処理液に対し耐蝕性の合成樹脂(処理液が電気メッキ液の場合は例えば塩化ビニル樹脂)で全体を一体的に形成してある。
【0222】
この堰部材8は、液槽11(12、13、14、15)とオーバーフローボックスB1、B2との仕切り壁に上方から差し込まれる。図13(B)は堰部材8を液槽11とオーバーフローボックスB2との間の仕切り壁w2に、前記の壁差し込み部分800で、上方から差し込んだ状態を示している。堰部材8は、液槽内の液量、ノッチ80の大きさ等の兼ね合いで、1又は2以上が使用される。2以上を使用する場合、隣り合う堰部材8は互いに接触させて仕切り壁w2に差し込む。図示を省略しているが、堰部材8と同様の堰部材が液槽とオーバーフローボックスB1との間の仕切り壁w1にも差し込み配置される。
【0223】
図13(A)に示すように、堰部材8を仕切り壁w2に差し込み配置するとき、必要に応じ、前記の壁差し込み部分800の上端奥に高さ調節用のライナーLNを配置することができ、堰部材8は直接或いはこのライナーLNを介して仕切り壁w2の上端に載置される。
【0224】
そしてこのように仕切り壁w2に差し込まれた堰部材8には、例えば前記の倒立L字形状の屈曲板部分82側から、そこのボルト貫通用長孔82a、予め壁w2に設けたボルト84が丁度貫通できる内径のボルト孔及び板体81のボルト貫通用長孔82aにボルト84が通され、ナットで緊締される。このとき必要に応じ、ボルト84に嵌合させた液シール材840を屈曲板部分82及び板体81のそれぞれの外面に当てがい、これによりボルト貫通用長孔82aの開いた部分を液密に閉じる。
【0225】
かくして堰部材8は液槽とオーバーフローボックスとの間の仕切り壁に所定高さで、換言すれば、ノッチ80の高さ位置を、所定の液オーバーフロー量を得る高さ位置に設定して取り付けられる。
【0226】
この堰部材8によると、液オーバーフロー用ノッチ80を形成してあるから、先に説明した、ノッチ20を形成した堰部21や22と同様の利点がある。
【0227】
さらにこの堰部材8によると、オーバーフロー量を各種に設定した堰部材8のうちから適切な堰部材を選択採用して容易にオーバーフロー量を設定でき、また、前記ライナーLNを高さの異なるものに変更する等して堰部材8の取付け高さを変更したり、堰部材8を交換することにより、オーバーフロー量を容易に変更することもできる。
【0228】
仕切り壁w2やw1が処理液に対し耐蝕性に劣る、例えば金属材からなるもので、その表面に耐蝕性合成樹脂等がコーティングしてあるときは、前記ボルト84を通すための孔を設けるとき露出する金属材等の部分は、該ボルト孔に耐蝕性のシール剤を入れる等して保護すればよい。
【0229】
図14(A)は堰部材8’の斜視図である。図14(B)は該堰部材の使用状態を示しており、図14(A)のY−Y線に沿う断面で示している。堰部材8’は前記の堰部材8の変形例であり、次の点が堰部材8と異なる。その他の点は堰部材8と同様であり、堰部材8と同じ部分には同じ参照符号を付してある。
【0230】
この堰部材8’では、液オーバーフロー用の矩形ノッチ80を形成した板体81の上部にもボルト貫通用の長孔82aが形成してある。かかる長孔82aはここでは板体81の両端部の上部に形成してある。そして、倒立L字形状の屈曲板部82は板体81の両端部にある補強リブ83の外側位置で上部の水平部分が削除されている。
【0231】
この堰部材8’も堰部材8と同様に、図14(B)に示すように壁差し込み部800で仕切り壁w2に差し込まれる。但しそのとき、倒立L字形状の屈曲板部82の前記上部水平部分の削除部位に、それに対応して予め仕切り壁w2の上端から上方へ一体的に延ばした立ち上がり壁W’が貫通し、板体81両端部の上部に重なる。図示を省略しているが、堰部材8’と同様の堰部材が液槽とオーバーフローボックスB1との間の仕切り壁w1にも差し込み配置される。
【0232】
そして堰部材8’は、堰部材8の場合と同様に板体下部において仕切り壁w2にボルトナット留めされるだけでなく、板体81の上部においても立ち上がり壁W’にボルトナット留めされる。すなわち、立ち上がり壁W’に予め設けた、ボルト84’が丁度貫通できる内径のボルト孔及び板体81上部のボルト貫通用長孔82aにボルト84’が通され、ナットで緊締される。このときも必要に応じ、ボルト84’に嵌合させた液シール材840を板体81に当てがい、これによりボルト貫通用長孔82aの開いた部分を液密に閉じる。かくして堰部材8’は液槽とオーバーフローボックスとの間の仕切り壁に所定高さで、換言すれば、ノッチ80の高さ位置を、所定の液オーバーフロー量を得る高さ位置に設定して取り付けられる。
【0233】
この堰部材8’においても堰部材8と同様の利点がある。さらに、堰部材8’では、その一部に仕切り壁w2の一部に相当する壁W’が重ね固定されるから、堰部材8ならば液槽内の大きい液圧が加わって破損する恐れのあるときでも、堰部材8’ではその恐れがない。
【0234】
図13、図14を参照して説明した堰部材8、8’では液オーバーフローのためのノッチ80は矩形ノッチであるが、堰部材8、8’においても液オーバーフローのためのノッチは、既述の堰部21、22における逆三角形状ノッチでもよく、或いはさらに他の形状のノッチでもよい。
【0235】
また堰部材8、8’を仕切り壁w1、w2に固定するのに前記の貫通ボルト84に代えて、堰部材8、8’に螺合して仕切り壁w1、w2の壁面に当接することで該堰部材を仕切り壁に固定するものを採用してもよい。
【0236】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、複数の処理液槽を有し、それぞれの処理液槽に処理液を収容し、各処理液槽において物品に目的とする処理を施す液体による物品処理装置であって、装置構造の複雑化、大形化、高価格化を抑制しつつ、液槽間において処理液を均質化することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる液体による物品処理装置を提供することができる。
【0237】
また本発明によると、液槽間において処理液を均質化することができるとともに各液槽における液面位置の所定液面位置に対する変動を抑制できる前記の液体による物品処理装置であって、さらに液循環ろ過も同時になし得る液体による物品処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環ろ過装置を兼ねる液混合及び液面位置制御のための装置を備えた、液体による物品処理装置の1例であるメッキ処理装置の概略平面図である。
【図2】一部の液槽とその周辺部分の拡大平面図である。
【図3】図2に示す液槽のうち一つの液槽とその周辺部分の拡大側面図である。
【図4】液槽の一部の斜視図である。
【図5】図(A)はアノードケース等の斜視図、図(B)はアノードバッグの斜視図、図(C)は陰極ブスバー、ハンガー及び引っ掛け部材等の斜視図である。
【図6】図(A)は第1吸引ヘッドの平面図、図(B)は第1吸引ヘッドの側面図、図(C)は液槽内底溝及びオーバーフローボックス底部とそれらに関連する部品の断面図である。
【図7】第2吸引ヘッドの側面図である。
【図8】第2吸引ヘッドの他の例の斜視図である。
【図9】分岐管を2本有する多岐管の、一部を断面で示す側面図である。
【図10】分岐管を5本有する多岐管の、一部を断面で示す側面図である。
【図11】図(A)は図1に示すメッキ処理装置の制御回路のブロック図、図(B)は液面位置検出装置の概略構成を示す図である。
【図12】図(A)は従来型の矩形堰部材の例を示す図、図(B)は液オーバーフロー用の矩形ノッチを有する堰部材例を示す図、図(C)及び(D)はそれぞれ液オーバーフロー用の逆三角形状ノッチを有する堰部材例を示す図である。
【図13】図(A)は着脱式堰部材の1例の斜視図であり、図(B)は同堰部材の使用状態を示す図(A)のX−X線に沿う断面図である。
【図14】図(A)は着脱式堰部材の他の例の斜視図であり、図(B)は同堰部材の使用状態を示す図(A)のY−Y線に沿う断面図である。
【図15】従来の多岐管例を一部断面で示す側面図である。
【図16】従来の液槽とその周辺部分の概略斜視図である。
【符号の説明】
11、12、13、14、15 メッキ処理液槽(物品処理液槽の例)
16 前処理水洗槽
L メッキ液
W 洗浄水
D1、D2、D3、D3、D4 作業デッキ
101 液槽の内底
102 液槽に設けた内底溝
103 エアレーション装置
103a 気泡
104 第1吸引ヘッド
104a 管接続口部
104b 吸液孔
105 空気遮断壁板
105a 支持片
105b 支持板
106 第2吸引ヘッド
106a 管接続口部
106b 吸液孔
106c 支持片
106d 支持板
107 吸引ヘッド
107a 管接続口部
107b 吸液孔
107c 足
108 第3吸引ヘッド
B1、B2 オーバーフローボックス
w1、w2 液槽とオーバーフローボックスとの間の仕切り壁
21、22 堰部
20 堰部のノッチ
A 陽極ブスバー
C 陰極ブスバー
H ハンガー
S 引っ掛け部材
m’ アノード材
CS アノードケース
CSb アノードバッグ
a1、a2 被メッキ物品
3 循環ろ過装置
31 ろ過器
32 循環ポンプ(本例では遠心ポンプ)
33 液合流用の多岐管
v11〜v15 手動開閉弁
v16 逆止弁
4A、4B 循環ろ過装置
41 ろ過器
42 循環ポンプ(本例では遠心ポンプ)
430、431、432 液合流用の多岐管
433 液分配用の多岐管
v41〜v45 手動開閉弁
v46 逆止弁
45 温度制御回路
451 熱交換器
va’、vb’ 手動開閉弁
V 流量調整弁
452 液分配用の多岐管
51 あけ換え装置
v51、v52、v61〜v64、v71 手動開閉弁
511 あけ換え槽
v53 フート弁
401 多岐管本体
402、403 分岐管
401a 多岐管本体401の主開口部
401b 多岐管本体401の他端
9 従来の多岐管
91 多岐管本体
91a 主開口部
91b 孔
92 分岐管
90 流量調整弁
6 液混合及び液面位置制御のための装置
60 ろ過器
61 循環ポンプ(本例では遠心ポンプ)
62 液面位置検出装置
621〜625 電極棒
63 液流出口
Vo 逆止弁
J1、J2、J3 液合流用の多岐管
J4、J5、J6 液分配用の多岐管
Va 液排出用電動弁
Vb 液供給用電動弁
7 制御部
71 操作盤
600 多岐管本体
601〜605 分岐管
600a 多岐管本体600の主開口部
600b 多岐管本体600の他端
200 従来の矩形堰
201〜203 堰部
N1、N2、N3 ノッチ
8、8’ 堰部材
80 液オーバーフロー用の矩形ノッチ
81 板体
82 倒立L字形状の屈曲板部
82a ボルト貫通用長孔
83 補強リブ
84、84’ボルト
800 壁差し込み部分
840 液シール材
LN ライナー
W’立ち上がり壁
10x 液槽
Ax 液槽内底溝
Bx オーバーフローボックス
10’液槽
L’ 液
B1’、B2’、B3’ オーバーフローボックス
21’、22’、23’ 矩形堰
v1’〜v7’、v1”、v7”、v8’、v9’手動開閉弁
V’ フート弁
Lb、Lb’通液口
F ろ過器
P 循環ポンプ
H 熱交換器
100’液戻し口
511v フート弁
511’ 液吐出口

Claims (4)

  1. 複数の処理液槽を有し、それぞれの処理液槽に処理液を収容し、各処理液槽において物品に目的とする処理を施す液体による物品処理装置であり、前記複数の処理液槽のそれぞれから液を回収して混合し再び前記各処理液槽に戻しつつ前記各処理液槽内の液面位置を所定位置に制御するための液混合及び液面位置制御のための装置を備えており、
    前記液混合及び液面位置制御のための装置は、
    液循環ポンプと、
    前記複数の処理液槽のそれぞれから液を液合流用の第1多岐管へ導くとともに該第1多岐管で合流した液を液合流用の第2多岐管へ導く回路と、
    前記複数の処理液槽のそれぞれから液を各処理液槽に対応する液排出用電動弁を介して液合流用の第3多岐管へ導くとともに該第3多岐管で合流した液を前記第2多岐管へ導く回路と、
    前記第2多岐管で合流した液を前記液循環ポンプへ導く回路と、
    該液循環ポンプから液を液分配用の第4多岐管へ導くとともに該第4多岐管で分流した一方の分流液を液分配用の第5多岐管を介して前記各処理液槽へ導く回路と、
    前記第4多岐管で分流した他方の分流液を液分配用の第6多岐管及び各処理液槽に対応する液供給用電動弁を介して前記各処理液槽へ導く回路と、
    前記各処理液槽に対し設置された液面位置検出装置と、
    該液面位置検出装置で検出される液面位置に基づいて前記各処理液槽における液面の位置を所定位置にするように前記各液排出用電動弁及び前記各液供給用電動弁の開閉を制御する電動弁制御部とを備えていることを特徴とする液体による物品処理装置。
  2. 前記各処理液槽は堰部を介して設置されたオーバーフローボックスを有しており、前記液混合及び液面位置制御のための装置における前記液循環ポンプへ液を導くための各回路及び前記液面位置検出装置は該オーバーフローボックスに対して設けられている請求項1記載の液体による物品処理装置。
  3. 前記液混合及び液面位置制御のための装置は、前記液循環ポンプと前記第4多岐管との間に接続されたろ過器を含んでおり、液循環ろ過装置を兼ねている請求項1又は2記載の液体による物品処理装置。
  4. 前記液混合及び液面位置制御のための装置とは別途に、前記複数の処理液槽からなる液槽グループについて設置された循環ろ過装置、或いはそれぞれが1又は2以上の前記処理液槽を含んでなる複数の液槽グループのそれぞれについて設置された循環ろ過装置を備えており、該各循環ろ過装置はろ過器及び液循環ポンプを含んでおり、該液循環ポンプが該ろ過装置に対応する処理液槽から吸液回路を介して吸液し、該ろ過器に送り込むとともに該ろ過器から送液回路を介して該処理液槽に戻し送液する請求項1から3のいずれかに記載の液体による物品処理装置。
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