JP3554268B2 - 光ビーム照射測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ビーム放射器から対象物に光ビームを放射して同対象物の表面に照射スポットを形成するとともに、同対象物からの反射光を受光して、光ビーム放射器から対象物の表面の照射スポットまでの距離又は対象物の表面の3次元形状を測定する光ビーム照射測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の装置は、例えば特開平10−38511号公報に示されているように、異なる対象物の表面の反射率の違い、同一の対象物であっても位置の違いなどによる反射率の違いにより、反射光の光量が変化して測定精度が悪くなることを防止するために、次のような対策を採用していた。第1の対策は、前記距離又は3次元形状の測定のための受光器に導かれる反射光の一部をビームスプリッタにより取り出すとともに、受光量を検出するためのフォトセンサに導いて、フォトセンサによって検出された受光量によって光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量を補正するものである。また、第2の対策は、前記距離又は3次元形状の測定のための受光器にて受光された反射光を用いて、前記距離又は3次元形状の測定とは別に反射光の光量を導出して、この導出した光量によって光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量を補正するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の第1の対策にあっては、前記距離又は3次元形状を測定するための受光器にて受光する反射光の光量が減少するので、距離又は3次元形状の測定の精度が悪化するという問題があった。また、ビームスプリッタはある程度の大きさを必要とするとともに安価ではないので、装置全体が大きくなったり、製造コストが高くなるという問題もあった。また、第2の対策にあっては、前記距離又は3次元形状を測定するための受光器は、通常独立した複数の受光素子で構成されているので、これらの各受光素子から検出信号を取り出すのにある程度の時間を必要とし、また取り出した検出信号から反射光の光量を導出するための時間も必要とするので、リアルタイムで光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量を補正することができないという問題がある。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、安価かつ装置全体を大きくすることなく、光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量をリアルタイムで補正して、距離又は3次元形状の測定精度を良好にした光ビーム照射測定装置を提供することにある。
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するための種々の試みを行っている間に、距離又は3次元形状の測定のために対象物からの反射光を受光する受光器においても、一部の光が反射していることを発見した。そして、この受光器からの反射光に着目し、同受光器からの反射光の光量を検出して、光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量を前記検出光量を用いて補正することを考えた。
【0006】
この考えを用いて構成した本発明は、対象物に向けて光ビームを放射して同対象物の表面に照射スポットを形成する光ビーム放射器と、対象物の表面からの反射光を光ビーム放射器から対象物の表面の照射スポットまでの距離に応じた位置にて受光する受光器とを備え、受光器にて受光した反射光の位置に応じて光ビーム放射器から対象物の表面の照射スポットまでの距離又は対象物の表面の3次元形状を測定する光ビーム照射測定装置において、受光器の受光面から反射する反射光を受光して同反射光の受光量を検出するフォトセンサと、フォトセンサによって検出された受光量に応じて光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量を補正する光量補正手段とを設けたことを特徴としている。
【0007】
この場合、例えば、前記受光器を複数の受光素子を一列に配列させたラインセンサにより構成し、かつ前記フォトセンサを前記ラインセンサを構成する複数の受光素子の配列方向に対応させて長尺状に形成するとよい。
【0008】
これによれば、比較的大きくかつコストの高いビームスプリッタを用いる必要もなく、またビームスプリッタのように反射光を分けることをしていないので、受光器にて受光される反射光の光量が減少することもなく、距離又は3次元形状の測定の精度が良好になるとともに、装置全体をコンパクトかつ安価に製造できる。また、受光器からの反射光の光量はフォトセンサにより簡単かつ迅速に取り出すことが可能であるので、光ビーム放射器から対象物に放射される光ビームの光量をリアルタイムで補正することもできる。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明すると、図1は同実施形態に係る光ビーム照射測定装置の概略図である。
【0010】
この光ビーム照射測定装置は、レーザ光源11、集光レンズ12、光量制御回路13などからなる光ビーム放射器10を備えている。レーザ光源11は、半導体レーザなどで構成されており、レーザ光を集光レンズ12に向けて放射する。集光レンズ12は、対象物OBの表面に小さな照射スポットを形成するために、レーザ光源11から放射されたレーザ光を集光する。光量制御回路13は、レーザ光源11を制御して、同レーザ光源11から放射されるレーザ光の光量を制御する。
【0011】
集光レンズ12によって集光されたレーザ光の進路には、対象物OBの表面における照射スポットの位置を変更して対象物OBの表面を同照射スポットで走査するための走査用光学系20が設けられている。走査用光学系20は、レーザ光を反射する複数のミラー、複数のミラーのうちのいずれかを回動させる電動モータ、同電動モータの回転角を検出する回転角センサなどを備えている。そして、回転角センサによる検出信号は後述するコントローラ40に供給され、電動モータが前記検出信号を用いてコントローラ40によって回転制御されて、ミラーの回動によりレーザ光の反射方向が変更されて、照射スポットが対象物OBの表面を2次元的(X軸方向及びY軸方向)に走査するようになっている。
【0012】
また、この光ビーム照射測定装置は、結像レンズ31及びラインセンサ(受光器)32も備えている。結像レンズ31は、対象物OBからの反射光をラインセンサ32上に結像する。ラインセンサ32は、CCDなどの複数の受光素子を一列に配置して長尺状に構成されており、レーザ光源11から走査用光学系20を介した対象物OBの照射スポットまでの距離を、複数の受光素子のうちで対象物OBからの反射光を受光した受光素子の位置により検出するものである。具体的には、図2に示すように、前記距離が長い場合(図示、対象物OBの実線参照)には、ラインセンサ32の図示上部に位置する受光素子が反射光を受光する。また、前記距離が短い場合(図示、対象物の2点鎖線参照)には、ラインセンサ32の図示下部に位置する受光素子が反射光を受光する。
【0013】
また、結像レンズ31の光軸L1は、ラインセンサ32の中央を通過するように設定しておくとよい。また、レーザ光源11からのレーザ光の対象物OB表面における反射位置がレーザ光源11に近くなるにしたがって反射光の焦点位置は結像レンズ31から遠くなるので、ラインセンサ32の受光面の延設方向(すなわち長尺方向)は、光軸L1に対して90度から所定角度だけ傾けて設定されている。装置自体の構造により、光軸L1とラインセンサ32の受光面の延設方向との間の図示角度θは、42.5度〜60.0度の間に決められた角度に設定される。また、この傾斜により、ラインセンサ32による反射光の反射方向と、結像レンズ31からラインセンサ32に入射する対象物からの反射光の方向とが重ならず、ラインセンサ32による反射光を後述するフォトセンサ61に導き易くなる。
【0014】
このラインセンサ32にはセンサ信号取出し回路33が接続されている。センサ信号取出し回路33は、ラインセンサ32の各受光素子から反射光の受光量を表す信号を順次取出してコントローラ40に供給する。
【0015】
コントローラ40は、前述のように、回転角センサによる検出信号を入力して電動モータを回転させることによりミラーを回動させて、対象物OBの表面を照射スポットで2次元的(X軸方向及びY軸方向)に走査する機能を有する。また、コントローラ40は、自動的又は手動操作により設定されてレーザ光源11から放射されるレーザ光の光量を表す光量指令信号を光量制御回路13に出力する機能、及びセンサ信号取出し回路33からの出力信号を入力してレーザ光源11から対象物OBの表面までの距離を測定するとともに同距離に基づいて対象物OBの表面の3次元形状を測定する機能を有する。なお、これらの距離及び3次元形状の測定演算は、ラインセンサ32にて反射光を受光した受光素子の位置、すなわちラインセンサ32における反射光の受光位置に基づいて、3角測量法の原理を用いて行われる。また、このコントローラ40は、通常マイクロコンピュータなどで構成されてプログラム制御されるが、ハード回路で構成するようにしてもよい。
【0016】
コントローラ40と光量制御回路13との間には、光量指令補正回路50が接続されている。光量指令補正回路50は、コントローラ40からの光量指令信号を後述する補正信号発生回路62からの補正信号に応じて補正して、同補正された光量指令信号を光量制御回路13に供給する。
【0017】
また、この光ビーム照射測定装置は、ラインセンサ32から反射される反射光を受光して同受光した反射光の受光量を検出するためのフォトセンサ61を備えている。フォトセンサ61は、図1〜3に示すように、長尺の直方体状に形成した基板61a上に、長尺状の方形に形成されてフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォト抵抗などのいずれかからなる光学センサ素子61bを固着させたものである。この光学センサ素子61bは、ラインセンサ32の受光面に対向して、同ラインセンサ32を構成する全ての受光素子からの反射光を受光できるように構成され、前記長尺方向はラインセンサ32を構成する複数の受光素子の配列方向に対応している。
【0018】
フォトセンサ61には、補正信号発生回路62が接続されている。補正信号発生回路62は、フォトセンサ61によって検出されたラインセンサ32による反射光の受光量に応じた補正信号を光量指令補正回路50に出力する。すなわち、補正信号発生回路62は、前記反射光の受光量が所定の基準量よりも小さければ、コントローラ40からの光量指令信号を光量の増加を表す方向に補正するための補正信号を光量指令補正回路50に出力する。前記反射光の受光量が所定の基準量よりも大きければ、コントローラ40からの光量指令信号を光量の減少を表す方向に補正するための補正信号を光量指令補正回路50に出力する。
【0019】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。コントローラ40は、自動的又は手動操作により設定されて、レーザ光源11から放射されるレーザ光の光量を表す光量指令信号を光量指令補正回路50を介して光量制御回路13に出力する。これにより、レーザ光源11は、光量制御回路13に制御されて、前記光量指令信号に対応した光量のレーザ光を集光レンズ12に向けて放射する。集光レンズ12は、前記レーザ光源11からのレーザ光を集光して走査用光学系20との協働により対象物OBの表面の所定位置に小さな照射スポットを形成する。
【0020】
この対象物OBの表面上の照射スポットの形成により、同表面からレーザ光が反射され、この反射光は結像レンズ31によってラインセンサ32上に結像される。この結像は、ラインセンサ32を構成する複数の受光素子のうちの一つ若しくは少数の受光素子であって、レーザ光源11から前記照射スポットまでの距離に対応した受光素子に対してなされる。そして、センサ信号取出し回路33によって、前記結像すなわち反射光を受光した受光素子を表す信号がコントローラ40に供給される。コントローラ40は、前記供給された信号に基づいて、レーザ光源11から対象物OBの表面の照射スポットまでの距離を3角測量法の原理を用いて計算する。
【0021】
一方、コントローラ40は、走査用光学系20内の回転角センサによる検出信号を入力して、この検出信号を用いて同光学系20内の電動モータを回転させることにより、同光学系20内の一部のミラーを回動させて、前記照射スポットを対象物OBの表面上で2次元的(X軸方向及びY軸方向)に移動させて、同対象物OBの表面を順次走査する。そして、コントローラ40は、各照射スポット毎に、前述のようにして、レーザ光源11から対象物OBの表面の照射スポットまでの各距離を順次計算する。したがって、対象物OBの表面の前記走査完了後には、同対象物OBの表面を2次元的に細かく分割した各分割位置毎に、レーザ光源11から対象物OBの前記各分割位置までの各距離が全て測定される。
【0022】
そして、最後に、コントローラ40は、これらの各分割位置の各測定距離を用いて、画像処理によって対象物OBの表面の3次元画像を生成する。
【0023】
このような各分割位置の距離の測定中、ラインセンサ32は、対象物OBの表面からの反射光を受光する一方、同反射光の一部を反射する。本発明者らによる実験により、この反射光の光量は、ラインセンサ32による受光量の10%程度であることが分かっている。図3に、この反射光の受光部分を細かな点によって示している。この反射光はフォトセンサ61によって受光され、同センサ61は前記受光した反射光の受光量を表す検出信号を補正信号発生回路62に出力する。
【0024】
補正信号発生回路62は、前記反射光の受光量が所定の基準量よりも小さければ、コントローラ40からの光量指令信号を光量の増加を表す方向に補正するための補正信号を光量指令補正回路50に出力する。したがって、この場合、光量指令補正回路50は、コントローラ40からの光量指令信号を光量の増加を表す方向に補正して光量制御回路13に出力する。一方、前記反射光の受光量が所定の基準量よりも大きければ、コントローラ40からの光量指令信号を光量の減少を表す方向に補正するための補正信号を光量指令補正回路50に出力する。したがって、この場合には、光量指令補正回路50は、コントローラ40からの光量指令信号を光量の減少を表す方向に補正して光量制御回路13に出力する。
【0025】
このようなフィードバック制御により、光量制御回路13は、フォトセンサ61によって受光される反射光の受光量が所定の基準量になるように、レーザ光源11から放射されるレーザ光の光量を補正制御する。なお、フォトセンサ61によって受光されるラインセンサ32からの反射光の受光量は、ラインセンサ32によって受光される対象物OBの表面からの反射光の受光量に対応しているので、前記フォトセンサ61による受光量に応じた前記レーザ光の光量の補正は、ラインセンサ32による受光量に応じた前記レーザ光の光量の補正と等価である。
【0026】
その結果、対象物OBの表面にて反射され、ラインセンサ32にて受光される反射光の光量が常にほぼ一定の適正量に保たれる。しかも、フォトセンサ61で検出される光は、ラインセンサ32による反射光であって、ラインセンサ32にて受光される反射光の光量が減少することもないので、レーザ光源11によるレーザ光の放射量をそれほど大きくしなくても、ラインセンサ32は充分な光量の反射光を受光する。したがって、レーザ光源11として大出力のものを用いなくても、距離又は3次元形状の測定の精度が良好になる。
【0027】
また、ラインセンサ32からの反射光の光量はフォトセンサ61により簡単かつ迅速に取り出すことが可能であるので、レーザ光源11から対象物OBに放射されるレーザ光の光量をリアルタイムで補正することもできる。また、フォトセンサ61は、比較的小さくかつ安価であるので、本測定装置があまり大きくなることもなくかつ安価になる。
【0028】
さらに、フォトセンサ61すなわち光学センサ素子61bは、ラインセンサ32を構成する全ての受光素子からの反射光を受光できるように、同受光素子の配列方向に沿って長尺上に構成されている。したがって、ラインセンサ32による反射光を良好に受光できて、レーザ光源11によって放射されるレーザ光の光量の制御も高精度で行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ビーム照射測定装置の全体概略図である。
【図2】図1の結像レンズ、ラインセンサ及びフォトセンサ部の拡大概略図である。
【図3】図1,2のフォトセンサの拡大平面図である。
【符号の説明】
10…光ビーム放射器、11…レーザ光源、12…集光レンズ、13…光量制御回路、20…走査用光学系、31…結像レンズ、32…ラインセンサ(受光器)、33…センサ信号取出し回路、40…コントローラ、50…光量指令補正回路、61…フォトセンサ、62…補正信号発生回路。
Claims (2)
- 対象物に向けて光ビームを放射して同対象物の表面に照射スポットを形成する光ビーム放射器と、前記対象物の表面からの反射光を前記光ビーム放射器から前記対象物の表面の照射スポットまでの距離に応じた位置にて受光する受光器とを備え、前記受光器にて受光した反射光の位置に応じて前記光ビーム放射器から前記対象物の表面の照射スポットまでの距離又は前記対象物の表面の3次元形状を測定する光ビーム照射測定装置において、
前記受光器の受光面から反射する反射光を受光して同受光した反射光の受光量を検出するフォトセンサと、
前記フォトセンサによって検出された受光量に応じて前記光ビーム放射器から前記対象物に放射される光ビームの光量を補正する光量補正手段とを設けたことを特徴とする光ビーム照射測定装置。 - 前記請求項1に記載した光ビーム照射測定装置において、前記受光器を複数の受光素子を一列に配列させたラインセンサにより構成し、かつ前記フォトセンサを前記ラインセンサを構成する複数の受光素子の配列方向に対応させて長尺状に形成したことを特徴とする光ビーム照射測定装置。
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