JP3553534B2 - 光ファイバ分布型測定方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを媒体とし、光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えることで被測定物理量及びその位置を測定する光ファイバ分布型測定方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる光ファイバ分布型測定方法は、光ファイバを敷設した周囲の歪みや温度等の外乱因子に関する物理量を測定するための光ファイバセンサー等に応用できる。
【0003】
この応用例は、例えば、(a)光通信網の保守管理、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守管理、(c)航空機等に利用されている複合材料の故障、疲労などの不具合の自己診断である。
【0004】
具体的には、これら(a)〜(c)の対象にそれぞれ光ファイバを埋設することで、例えば複合材料などの材料自体に発生する故障、疲労などの不具合を自己診断する機能を付加するスマートマテリアル・ストラクチャーなどに利用することができる。
【0005】
このような光ファイバセンサー等の技術の基本性能が向上した場合、その適用範囲は、主に上記(b)及び(c)の分野を中心に広く普及する。
【0006】
光ファイバをセンシング媒体として歪み又は温度を分布測定する技術は幾つかある。これら技術の中には、光ファイバ中のブリルアン散乱現象を利用した方法がある。
【0007】
この方法は、これまでの定点型センサーを事前に並べ置く方法に比べ、単純な構成でしかも任意の測定個所での各物理量の分布計測が可能である。
【0008】
ブリルアン散乱現象は、光ファイバ中で周波数の異なる2つの光波が双方向からすれ違うとき、高周波数の光から低周波数の光へと、光ファイバ中の音響波を介してパワーが移動する現象である。
【0009】
すれ違う光波間の周波数差がνであるとき、移動するパワーは、近似的に次式(1)で定義されるブリルアンゲインスペクトラムg(ν)に比例する。
【0010】
【数1】
Figure 0003553534
【0011】
ここでν、Δνは、それぞれブリルアンシフト周波数、ブリルアン線幅(ゲイン幅)と称するパラメータである。これらパラメータからなるブリルアンゲインスペクトラムは、上記式(1)により示されるようにローレンツ関数曲線に従うプロファイルになる。
【0012】
つまり、光ファイバ中でブリルアン散乱現象を効率よく発生させるためには、ブリルアン周波数シフトνを中心としてブリルアンゲイン線幅Δνの周波数範囲にある周波数差νを付加する必要がある。ブリルアン周波数シフトνは、光ファイバ中の音速vとしたとき、次式(2)で与えられる。
【0013】
【数2】
Figure 0003553534
【0014】
ここで、nはファイバの屈折率、λは光ファイバ中の光の波長である。
【0015】
音速vが光ファイバ周辺の温度、歪みに依存して変化すると、ブリルアン周波数シフトνは、上記式(2)により温度、歪みの検知手段を与える結果となる。
【0016】
例えば波長1.55μmにおけるUV(紫外線)被膜シングルモード石英ファイバのブリルアンシフト周波数νの温度、歪み量に対する変化感度は、それぞれ次式(3)及び(4)であることが知られている。
【0017】
【数3】
Figure 0003553534
【0018】
従って、ブリルアンゲインスペクトラムg(ν)を光ファイバに沿った位置の関数として測定することで温度又は歪みの分布を測定することができる。
【0019】
前述のブリルアンゲインスペクトラムを測定する技術としては、BOTDA(Brillouin Optical Time Domain Analysis)法が用いられてい。このBOTDA法は、周波数νが可変のパルスポンプ光と連続波プローブ光とを、それぞれファイバ両端から入射し、ブリルアン散乱現象によるプローブ光のブリルアンゲインに比例したパワーの変化を時間の関数として測定し、その変化量から温度、歪み分布を求めるものである。
【0020】
又、BOTDA法と等価な技術としてBOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectometry)法が用いられている。このBOTDR法は、ポンプパルス光のみを被測定ファイバから入射し、自然ブリルアン散乱現象による後方散乱光成分パワーのブリルアンゲインスペクトラムg(ν)の時間関数(ファイバ上の位置関数)として測定し、その変化量から温度、歪みの分布を求めるものである。
【0021】
これらBOTDA法及びBOTDR法は、次の文献『T.Horiguchi et al. , Journal of Lightwave Technology. Vol. 13 , pp. 1296−1302. (1995)』において発案者らによって解説されている。
【0022】
これらBOTDA法及びBOTDR法による温度、歪み発生個所の空間分解能δzは、ポンプ光のパルス時間幅をW、光ファイバ中の光速をvとすると次式(5)で与えられる。
【0023】
【数4】
Figure 0003553534
【0024】
従って、空間分解能δzを高くするには、光パルス時間幅Wを短くする必要がある。しかし、ブリルアンゲインスペクトラムg(ν)、特にその最大周波数であるブリルアンシフト周波数νを精度高く測定するためには、光パルス時間幅Wを次式(6)の範囲に制約される。
【0025】
一般的な数値例として、ブリルアンゲイン幅Δν=30MHzと、光ファイバ中の光速v=2×10m/sを用いると、式(5)で与えられる空間分解能δzは3mとなる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、BOTDA法及びBOTDR法では、空間分解能が前述した理由により実質1〜3m程度に制限され、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守管理、(c)航空機等に利用されている複合材料の故障、疲労などの不具合の自己診断に挙げた応用例に関しては、空間分解能が足りないといった課題がある。
【0027】
ブリルアン散乱現象を利用した測定方法では、ポンプ光と上記式(b)で示されるブリルアンシフト周波数帯相当に離調(周波数シフト)したプローブ光の二つの光波が必要である。その離調周波数は、通常10GHz以上の高周波数領域において1MHz以下の離調精度が必要であり、その部分が装置全体のコストの大半を占めている。
【0028】
このため、光ファイバの非線形現象を取り扱った通常の光ファイバセンサー装置に比べ非常にコストがかかる。このことは応用例である上記(a)光通信網の保守管理、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守管理、(c)航空機等に利用されている複合材料の故障、疲労などの不具合の自己診断の全てにおいて共通の課題である。
【0029】
そこで本発明は、ブリルアン散乱現象の位置の空間分解能の向上及び被測定物理量の測定精度を高めることができる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、被測定物理量の空間分布を求めるセンシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定方法において、光源からの光をポンプ光とプローブ光とに分配する工程と、ポンプ光をセンシング用光ファイバの一端から入射する工程と、プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調してセンシング用光ファイバの他端から入射する工程と、ポンプ光とブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とがセンシング用光ファイバ中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって、ブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光は被測定物理量の情報を受けて被測定光として伝搬し、この被測定光とブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とを合波する工程と、この合波光におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光の離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める工程とを有することを特徴とする光ファイバ分布型測定方法である。
【0031】
第2の発明は、被測定物理量の空間分布を求めるセンシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定方法において、光源からの光をポンプ光とプローブ光とに分配する工程と、ポンプ光をセンシング用光ファイバに入射する工程と、プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する工程と、ポンプ光がセンシング用光ファイバ中に伝搬したときに自然ブリルアン散乱光が発生し、この自然ブリルアン散乱光に被測定物理量が反映して後方に被測定光として伝搬し、この被測定光とブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とを合波する工程と、この合波光におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光の離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める工程とを有することを特徴とする光ファイバ分布型測定方法である。
【0032】
第3の本発明は、上記第1又は第2の本発明の光ファイバ分布型測定方法において、プローブ光の周波数は、位相変調によってポンプ光の周波数に対して周波数シフトし、この位相変調によって生じる基本変調周波数のn次高調波周波数成分(nは整数)を被測定物理量の測定に用いることを特徴とする。
【0033】
第4の本発明は、上記第1又は第2の本発明の光ファイバ分布型測定方法において、プローブ光の中心周波数は、光源からの光の周波数変調に同期させて補正変調し、ブリルアン周波数の波長依存性の影響を低減することを特徴とする。
【0034】
第5の本発明は、上記第1又は第2の本発明の光ファイバ分布型測定方法において、ポンプ光を光増幅してセンシング用光ファイバに送ることを特徴とする。
【0035】
第6の発明は、センシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定装置において、光源からの光を出力する光源部と、この光源部から出力された光をポンプ光とプローブ光とに分配する光分配手段と、ポンプ光をセンシング用光ファイバの一端から入射する第1の光学手段と、プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する光変調手段と、この光変調手段により変調されたプローブ光をセンシング用光ファイバの他端から入射する第2の光学手段と、ポンプ光とブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とがセンシング用光ファイバ中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって被測定物理量の情報を受けたブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光を被測定光とし、この被測定光と第2の光学手段からのブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とを合波する合波光学手段と、この合波光学手段からの合波光におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光の離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める検出手段とを具備したことを特徴とする光ファイバ分布型測定装置である。
【0036】
第7の発明は、センシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定装置において、光源からの光を出力する光源部と、この光源部から出力された光をポンプ光とプローブ光とに分配する光分配手段と、ポンプ光をセンシング用光ファイバの一端から入射する光学手段と、プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する光変調手段と、ポンプ光がセンシング用光ファイバ中に伝搬したときに発生し、被測定物理量が反映して後方に伝搬する自然ブリルアン散乱光を被測定光とし、この被測定光と光変調手段によりブリルアン周波数近傍まで変調されたプローブ光とを合波する合波光学手段と、この合波光学手段からの合波光におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光の離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める検出手段とを具備したことを特徴とする光ファイバ分布型測定装置である。
【0037】
第8の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、光源部は、出力する光の周波数変調が可能な光源と、この光源を所定の時間周期で周波数変調する変調制御部とからなることを特徴とする。
【0038】
第9の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、光変調手段は、プローブ光の周波数を、ポンプ光の周波数に対して周波数変調する位相変調器であることを特徴とする。
【0039】
第10の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、光変調手段は、プローブ光の中心周波数を、光源からの光の周波数変調に同期させて補正変調する機能を有することを特徴とする。
【0040】
第11の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、光変調手段は、プロープ光の周波数を変調する光変調器と、この光変調器を駆動する変調信号源と、この変調信号源をコントロールする制御信号源とからなることを特徴とする。
【0041】
第12の本発明は、上記第11の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、変調信号源は、光源部の周波数変調に同期して光変調器による変調を補正させるコントロール信号を、変調信号源に対して送出する機能を有することを特徴とする。
【0042】
第13の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、合波光学手段は、被測定光とプローブ光とを合波する光合波器と、この光合波器により合波された光の中からブリルアン散乱固有の周波数成分だけの光を選択して透過する光周波数フィルターとからなることを特徴とする。
【0043】
第14の本発明は、上記第6又は第7の本発明の光ファイバ分布型測定装置において、光分配手段と第1の光学手段との間に設けられ、光分配手段からのポンプ光を光増幅して第1の光学手段に送る光増幅手段を備えたことを特徴とする。
【0044】
【発明の実施の形態】
(1)以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0045】
図1は光ファイバ分布型測定装置の構成図である。光源部1は、光源2を有し、この光源2からの光を周波数変調(FM)してそのFM光Lを出力するもので、光源2と変調制御装置3とから構成されている。
【0046】
光源2は、周波数変調可能なもので、例えば半導体レーザ(以降LDと称する)が用いられる。以下、光源2をLD2と称する。このLD2は、光ファイバ分布型測定装置に好適である。このLD2から出力されるFM光Lは、光ファイバ4の一端側から入射するものとなっている。
【0047】
変調制御装置3は、LD2をFM変調するもので、駆動電源と第1変調信号源とからなる。
【0048】
光ファイバ4の他端側には、光分配器5が接続されている。この光分配器5は、FM光Lを、ポンプ光Pとプローブ光Pとにそれぞれ分岐するものである。光分配器5は、例えば光カプラー、ビームスプリッター、ハーフミラー等が好適である。なお、光分配器5の分岐出力側には、ポンプ光P用とプローブ光P用との2本の光ファイバ4が接続されている。
【0049】
光サーキュレータである第1の光学手段6がポンプ光P用の光ファイバ4の他端に接続されている。この第1の光学手段6は、ポンプ光Pをセンシング用光ファイバ7の一端から入射させるものである。以下、第1の光学手段6を光サーキュレータ6と称する。この光サーキュレータ6は、例えば光カプラー、ビームスプリッター、ハーフミラー等が好適である。
【0050】
この光サーキュレータ6は、入力ポート6−1と2つの出力ポート6−2、6−3とを有し、このうち入力ポート6−1にポンプ光P用の光ファイバ4が接続され、出力ポート6−2にセンシング用光ファイバ7が接続されている。
【0051】
センシング用光ファイバ7は、実際の歪みや温度(本発明の被測定物理量の好適な例)を検知するためのものである。
【0052】
一方、光分配器5からのプローブ光P用の光ファイバ4の他端には、光変調器部8が接続されている。この光変調器部8は、プローブ光Pをブリルアン周波数近傍まで変調するもので、プロープ光Pの周波数を変調する光変調器9と、この光変調器9を駆動する変調信号源10と、この変調信号源10を外部からコントロールする制御信号源11とから構成されている。
【0053】
このうち光変調器9は、例えば波長1.55μmにおける石英光ファイバのブリルアンシフト周波数ν(=10〜11GHz相当)の変調可能な電界効果を利用した導波路型変調器が挙げられる。この光変調器9は、他に音響効果を用いた変調素子や、両効果に基づくバルク型の変調素子等でもよい。
【0054】
この光変調器9により変調されたプロープ光Pは、光変調器部9の変調周波数νによってν(t)±νの周波数成分を有するプローブ光Pになる。
【0055】
このプローブ光Pは、プローブ光P用の光ファイバ4を伝搬して第2の光学手段12に入射する。この第2の光学手段12は、光分配器13によってプローブ光Pをプローブ光Pとプローブ光Pとにそれぞれ分岐するものである。
【0056】
光分配器13の分岐出力側には、プローブ光P用の光ファイバ4とプローブ光P用の光ファイバ4とが接続されている。このうちプローブ光P用の光ファイバ4は、センシング用光ファイバ7の他端側に接続されている。
【0057】
従って、センシング用光ファイバ7には、一端からポンプ光Pが入射して同センシング用光ファイバ7内を伝搬し、かつ他端からプローブ光Pが入射してポンプ光Pの伝搬方向とは逆向きに伝搬(対向励起)する。
【0058】
これにより、センシング用光ファイバ7中では、ポンプ光Pによって発生するSBS現象を介してそのパワーの一部がプローブ光Pに移行する。このプローブ光Pからみれば、それはブリルアン増幅による伝搬光として振舞う。
【0059】
光サーキュレータ6の出力ポート6−3と光分配器13からのプローブ光P用の光ファイバ4との間には、合波光学手段14が接続されている。
【0060】
この合波光学手段14は、ポンプ光Pとプローブ光Pとがセンシング用光ファイバ7中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって被測定物理量の情報を受けたプローブ光Pを被測定光とし、この被測定光Pと光分配器13からのプローブ光Pとを合波するものである。
【0061】
この合波光学手段14は、光合波器15と波長フィルター16とからなっている。光合波器15は、被測定光Pとプローブ光Pとを合波するものである。この光合波器15は、例えば光カプラー、ハーフミラー、ビームスプリッター等がの好適である。
【0062】
波長フィルター16は、光合波器15からの合波光Pのうちν(t)−νの周波数成分の光波だけを透過するものである。
【0063】
検出部17は、光合波器15の合波光Pにおけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光Pの離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求めるもので、光検出器18と周波数解析装置19とからなる。
【0064】
光検出器18は、合波光Pのうち波長フィルターを透過したν(t)−νの周波数成分の光波を受光・干渉してその電気信号(ビート信号)に変換するものである。
【0065】
周波数解析装置19は、光検出器18からの電気信号(ビート信号)を入力し、この電気信号(ビート信号)を周波数解析して周波数成分を求め、それらの周波数値からセンシング用光ファイバ7上の歪み又は温度の物理量の測定個所を求め、更に、光変調器部8によってプローブ光Pのνを離調操作することで変化するビート信号の強度変化からその被測定物理量の変化を測定する機能を有している。
【0066】
この周波数解析装置19は、RFスペクトラムアナライザー等であり、その他に好適な例としてFFT(高速フーリエ変換)、DFT(離散フーリエ変換)、ウエーブレット変換といった周波数解析手法による演算装置でもよい。
【0067】
次に、上記の如く構成された装置の作用について説明する。
【0068】
LD2は、変調制御装置3によりFM変調される。このLD2から出力されるFM光Lは、光ファイバ4の中を伝搬して光分配器5に入射する。
【0069】
この光分配器5は、FM光Lをポンプ光Pとプローブ光Pとにそれぞれ分岐する。
【0070】
このうちポンプ光Pは、光ファイバ4の中を伝搬して光サーキュレータ6に入射する。この光サーキュレータ6では、ポンプ光Pは入力ポート6−1から入射して出力ポート6−1から出射する。
【0071】
ポンプ光Pは、センシング用光ファイバ7の一端から入射し、このセンシング用光ファイバ7の中を伝搬する。
【0072】
一方のプローブ光Pは、光ファイバ4の中を伝搬して光変調器部8に入射する。この光変調器部8は、制御信号源11により変調信号源10を外部からコントロールし、この変調信号源10により光変調器9を駆動する。
【0073】
しかるに、光変調器9は、プローブ光Pを入射し、このプローブ光Pをブリルアン周波数近傍まで変調し、プローブ光Pとして出射する。このプローブ光Pは、光変調器9の変調周波数νによってν(t)±νの周波数成分を有する。
【0074】
このプローブ光Pは、光分配器13に入射し、この光分配器13によってプローブ光Pとプローブ光Pとにそれぞれ分岐される。
【0075】
このうちプローブ光Pは、センシング用光ファイバ7の他端(ポンプ光入力端とは逆の端)から入射し、ポンプ光Pの伝搬方向とは逆向きに伝搬(対向励起)する。その関係によってセンシング用光ファイバ7中ではポンプ光Pによって発生するSBS現象を介してそのパワーの一部がプローブ光Pに移行する。
【0076】
プローブ光Pからみれば、それはブリルアン増幅による伝搬光として振舞う。このようにSBSの情報を有するプローブ光Pは、再び光サーキュレータ6の出力ポート6−2に入射し、この出力ポート6−2から出力ポート6−3を介して合波光学手段14に入射する。
【0077】
このとき、合波光学手段14には、プローブ光Pと共に、光分配器13からのプローブ光Pも入射する。
【0078】
この合波光学手段14の光合波器15は、被測定光Pとプローブ光Pとを合波する。
【0079】
この光合波器15からの合波光Pは、波長フィルター16に入射し、この波長フィルター16によってν(t)−νの周波数成分の光波だけが透過する。この波長フィルター16を透過した光波は、検出部17に入射する。
【0080】
この検出部17の光検出器18は、合波光Pのうち波長フィルターを透過したν(t)−νの周波数成分の光波を受光・干渉してその電気信号(ビート信号)に変換する。
【0081】
周波数解析装置19は、光検出器18からの電気信号(ビート信号)を入力し、この電気信号(ビート信号)を周波数解析して周波数成分を求め、それらの周波数値からセンシング用光ファイバ7上の歪み又は温度の物理量の測定個所を求め、更に、光変調器部8によってプローブ光Pのνを離調操作することで変化するビート信号の強度変化からその被測定物理量の変化を測定する。
【0082】
次に、上記第1の実施の形態の測定方法の原理を図2及び図3を参照して説明する。図2は誘導ブリルアン散乱(以降SBSと呼ぶ)現象からみた場合の図、図3は測定結果からみた場合の図である。なお、図2(a)は光周波数領域からみたポンプ光スペクトラムとブリルアンゲインスペクトラムとの関係であり、同図(b)はプローブ光スペクトラムとの関係を示す図である。
【0083】
この測定方法の原理の説明にあたり、ブリルアン散乱の発生及び被測定物理量の関係についての詳細な説明は、前項で述べているので、重複を避けるために、ここでは省略する。
【0084】
又、本発明の測定法の特徴は、上記の項目でその概要を前述している。よって、図2及び図3を用いた第1の実施の形態の説明は、図1で構成されている各装置の測定パラメータが本発明の測定原理にどのように関係しているのかを説明する。
【0085】
センシング用光ファイバ7中を伝搬するポンプ光Pは、光FMを伴うポンプ光スペクトラム100として、周期Tでt=0〜T(101〜102)の間で繰り返し変化(変調)している。そのポンプ光の周波数成分νp(t)は、次式(7)で与えられる。
【0086】
【数5】
Figure 0003553534
【0087】
ここで、νはポンプ光の初期光周波数、Δνは光周波数変調幅(光FM幅)である。
【0088】
上記式(7)のポンプ光100によって発生するブリルアンゲインスペクトラム103の中心周波数ν(t)は、次式(8)により与えられる。
【0089】
【数6】
Figure 0003553534
【0090】
ここで、ブリルアンゲインスペクトラム103の中心周波数νは、センシング用光ファイバ7に固有のブリルアンシフト周波数(通常は石英ファイバで波長1.55μmの時10〜11GHz付近)である。このブリルアンゲインスペクトラム103は、周期Tでt=0〜T(104〜105)の間で繰り返し変化(変調)している。
【0091】
一方、プローブ光Pも同様に光FMを伴うプローブ光スペクトラム106として、周期Tでt=0〜T(107〜108)の間で繰り返し変化(変調)している。
【0092】
それに付け加えて光変調器部8による変調の効果から最終的なプローブ光Pの周波数ν(t)は、次式(9)により与えられる。(以降νをプローブ光のオフセット周波数と称する)
【0093】
【数7】
Figure 0003553534
【0094】
もし、プローブ光のオフセット周波数νがブリルアンシフト周波数νと等しいならば、上記式(8)は式(9)と等しくなり、その差は変調時間に依存しなくなる。
【0095】
つまり、ブリルアンゲインスペクトラムが光FMによって変化しても、それに同期してそのプローブ光も追随することを意味する。これより、相対的にみればブリルアンゲインスペクトラム103とプローブ光106との関係は常に周波数差は一定である。
【0096】
次に図2(b)を用いてプローブ光Pのオフセット周波数νの離調(周波数可変操作)によってブリルアンゲインスペクトラム周波数分布を測定する原理を説明する。
【0097】
前記説明のオフセット周波数成分ν=νのとき、ブリルアンスペクトラムの中心周波数とプローブ光の中心周波数成分は一致し、その周波数条件の時にプローブ光PがSBSを介して得られるブリルアン増幅率Gは最大値Gmaxである。
【0098】
そして、プローブ光のオフセット周波数値を離調することで、プローブ光スペクトラム109は、ブリルアンゲインプロファイル110に沿って、個々の周波数におけるブリルアン増幅率G〜Gnの情報を受け取る。
【0099】
この時のオフセット周波数の離調幅をΔνとすれば、通常、Δν>Δνでそのブリルアンゲインプロファイルの分布を明らかにすることができる。(通常の石英ファイバで波長1.55μm時のΔνは10〜30MHz付近)
従って、図2では、本発明の特徴である光FMの連続光による測定手法において、光変調器部8の変調周波数(オフセット周波数)νを、ある任意の周波数幅Δνの範囲で離調し、その都度プローブ光の強度変化(G〜Gnに関係して)を測定すれば、ブリルアンゲインプロファイルを求めることができることを説明した。
【0100】
次に、図3を用いてファイバ上の各位置におけるブリルアンゲインプロファイルのピーク値分布からその歪み(図3ではその被測定物理量を便宜上歪みとしたが温度でも同じである)分布を求める原理を説明する。
【0101】
同図に示す光ファイバ120は、図1に示すセンシング用光ファイバ7に対応する。又、ポンプ光121はポンプ光Pに対応し、プローブ光122はプローブ光Pに対応する。
【0102】
そして、図3に示す測定結果は、光ファイバ120の任意個所(Z−Z区間)123に歪みが発生した時を想定した場合である。
【0103】
歪み発生個所123でのプローブ光Pの光電界E(t,ν)は、次式(10)のようになり、そのプローブ光の合波・干渉相手であるプローブ光Pの光電界E’(t,ν)は、次式(11)となる。
【0104】
そして、これら両光を合波光学手段14で合波、検出部17によって受光・干渉して得られる測定信号のAC(ビート)成分I(t)は、次式(12)となる。
【0105】
【数8】
Figure 0003553534
【0106】
ここで、Ero、E’roはプローブ光P、プローブ光Pの初期電界振幅、nはファイバ屈折率、cは光速、G(ν)はプローブ光のオフセット周波数νにおけるブリルアン増幅率、EはEの複素共役項である。
【0107】
上記式(12)より、その測定信号のビート周波数成分fは、その歪み発生個所までの距離z固有の値であり、振幅値はその歪み物理量に関係するG(ν)を含んでいる。
【0108】
そして、その歪み発生個所123におけるブリルアンゲインスペクトラムの強度最大値の周波数からその歪み量を特定することができる。
【0109】
しかるに、その操作は、図2で説明したように、光変調器部8のオフセット周波数νをブリルアンシフト周波数ν近傍でΔνの範囲で離調し、その都度のI(t)の振幅値変化を測定する。
【0110】
これら操作を踏まえた最終的な測定結果は、図3に示すようにオフセット周波数νごとの測定ビート周波数信号124で構成される。そして、距離ごとにビート信号強度の最大値をつなぐと、光ファイバ120上の歪み分布125が求められる。
【0111】
これらの測定の原理に基づく本発明における空間分解能Δzは、フーリエ変換時におけるサンプリング定理に従い次式(13)のようになる。
【0112】
【数9】
Figure 0003553534
【0113】
具体的には、上記式(13)から光周波数変調(光FM)幅Δν=1GHzの時の空間分解能は10cmとなり、従来技術より空間分解能の性能が30倍向上する。
【0114】
ところで、その光FM幅1GHzの実現のためにはLD2の注入電流によるFM発生法では、約1mAの変調幅に相当し、また、外部変調法による発生では、市販レベルにおける高速光変調器で十分である。
【0115】
このように上記第1の実施の形態においては、LD2からの光を周波数変調してポンプ光Pとプローブ光Pとに分配し、このうちポンプ光Pをセンシング用光ファイバ7の一端から入射し、プローブ光Pをブリルアン周波数近傍まで変調してプローブ光Pとしてセンシング用光ファイバ7の他端から入射し、これらポンプ光Pとプローブ光Pとがセンシング用光ファイバ7中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって、プローブ光Pは被測定物理量の情報を受けて被測定光Pとして伝搬し、この被測定光Pとプローブ光Pとの合波光Pにおけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光Pの離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める。
【0116】
本発明の周波数変調光利用と従来技術のパルス光の違いを説明すれば、様々な測定時間領域における光スペクトラム幅の違いである。
【0117】
確かに周波数変調光は時間的に周波数が変化しているので、その測定時間全体(時間の積分領域)で見れば、周波数変調している掃引幅(帯域)のスペクトラム広がりがあり、従来技術のパルス幅とそれに伴う周波数スペクトラム幅の拡大と等価である。
【0118】
しかしながら、瞬時時間領域(時間の微分領域)においては、本来の単一周波数における線幅である。しかし、パルス光はいずれの時間領域においても常に光スペクトラムが拡散した状態にある。
【0119】
ブリルアンスペクトラム測定とは瞬時時間におけるそれぞれの光スペクトラムの周波数積分なので、本発明は、前記理由により瞬時時間領域ではスペクトラム広がりがないためブリルアンスペクトラムの測定精度は劣化しない。
【0120】
そして、本発明において空間分解能向上をする時には、周波数変調幅を大きくする必要があるが、それは積分時間領域の話であり、微分(瞬時)時間領域でみれば、従来技術で心配しているような光スペクトラム広がりへの影響はない。
【0121】
ゆえに、本発明は、従来技術のパルス方式(BOTDA、BOTDR)で課題となっていた空間分解能の向上と被測定物理量(歪みや温度)の測定精度の向上の両立が可能になり、これら基本性能が同時に向上するという効果がある。
【0122】
従って、上記第1の実施の形態によれば、ブリルアン散乱現象の位置の空間分解能の向上及び被測定物理量の測定精度を高めることができる。
【0123】
光ファイバセンサー等の応用として、(a)光通信網の保守管理、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守管理、(c)航空機等に利用されている複合材料の故障、疲労などの不具合の自己診断の全てにおいて、ブリルアン散乱現象の位置の空間分解能の向上及び被測定物理量の測定精度を高めることができる。
【0124】
(2)次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0125】
図4は光ファイバ分布型測定装置の構成図である。
【0126】
この光ファイバ分布型測定装置の上記第1の実施の形態との装置構成の違いは、センシング用光ファイバ7の他端が第2光学手段12に接続されておらず、センシング用光ファイバ7中では上記第1の実施の形態におけるプローブ光Pを必要としない点である。
【0127】
この第2の実施の形態では、センシング用光ファイバ7の一端だけで測定できるので、そのファイバ敷設方法は、より容易となり、かつその測定対象の適用範囲も広がるという利点をもつ。
【0128】
光サーキュレータ6の出力ポート6−2には、センシング用光ファイバ7の一端が接続されている。
【0129】
ポンプ光Pは、センシング用光ファイバ7の中を伝搬する。この結果、ポンプ光Pによって自然ブリルアン散乱光とレーリー散乱光を含む後方散乱光P10が発生する。この後方散乱光P10は、再び光サーキュレータ6の出力ポート6−2に帰還し、出力ポート6−3から光ファイバ4を伝搬して合波光学手段14に導かれるものとなっている。
【0130】
この合波光学手段14は、後方散乱光P10と光変調器部8からのプローブ光Pとを合波するもので、光合波器15と波長フィルター16とからなっている。光合波器15は、被測定光Pとプローブ光Pとを合波するものである。この光合波器15は、例えば光カプラー、ハーフミラー、ビームスプリッター等がの好適である。波長フィルター16は、光合波器15からの合波光Pのうちν(t)−νの周波数成分の光波だけを透過するものである。
【0131】
次に、上記の如く構成された装置の作用について説明する。
【0132】
LD2は、変調制御装置3によりFM変調される。このLD2から出力されるFM光Lは、光ファイバ4の中を伝搬して光分配器5に入射する。
【0133】
この光分配器5は、FM光Lをポンプ光Pとプローブ光Pとにそれぞれ分岐する。
【0134】
このうちポンプ光Pは、光ファイバ4の中を伝搬して光サーキュレータ6に入射する。この光サーキュレータ6では、ポンプ光Pは入力ポート6−1から入射して出力ポート6−1から出射する。
【0135】
このポンプ光Pは、センシング用光ファイバ7の一端から入射し、このセンシング用光ファイバ7の中を伝搬する。
【0136】
ポンプ光Pがセンシング用光ファイバ7の中を伝搬すると、このポンプ光Pによって自然ブリルアン散乱光とレーリー散乱光を含む後方散乱光P10が発生する。この後方散乱光P10は、再び光サーキュレータ6の出力ポート6−2に帰還し、出力ポート6−3から光ファイバ4を伝搬して合波光学手段14に導かれる。
【0137】
一方のプローブ光Pは、光ファイバ4の中を伝搬して光変調器部8に入射する。この光変調器部8は、制御信号源11により変調信号源10を外部からコントロールし、この変調信号源10により光変調器9を駆動する。
【0138】
しかるに、光変調器9は、プローブ光Pを入射し、このプローブ光Pをブリルアン周波数近傍まで変調し、プローブ光Pとして出射する。このプローブ光Pは、光変調器9の変調周波数νによってν(t)±νの周波数成分を有する。このプローブ光Pは、合波光学手段14に入射する。
【0139】
この合波光学手段14は、光合波器15により後方散乱光P10と光変調器部8からのプローブ光Pとを合波する。
【0140】
この光合波器15からの合波光は、波長フィルター16に入射し、この波長フィルター16によってν(t)−νの周波数成分の光波だけが透過する。この波長フィルター16を透過した合波光P12は、検出部17に入射する。
【0141】
この検出部17の光検出器18は、波長フィルターを透過したν(t)−νの周波数成分の合波光P12を受光・干渉してその電気信号(ビート信号)に変換する。
【0142】
周波数解析装置19は、光検出器18からの電気信号(ビート信号)を入力し、この電気信号(ビート信号)を周波数解析して周波数成分を求め、それらの周波数値からセンシング用光ファイバ7上の歪み又は温度の物理量の測定個所を求め、更に、光変調器部8によってプローブ光Pのνを離調操作することで変化するビート信号の強度変化からその被測定物理量の変化を測定する。
【0143】
次に、上記図2及び図3を用いて上記第2の実施の形態の測定の原理を説明する。なお、上記第1の実施の形態と測定の原理が同じ点については重複を避ける上でここでの説明は省略する。ここでは、上記第1の実施の形態との測定の原理の上で異なる点について説明する。
【0144】
その際、図4で構成されている各装置の測定パラメータが本発明の測定原理にどのように関係しているのかに着目して以下に説明する。
【0145】
後方散乱光P10のブリルアン散乱光スペクトラムは、図2(a)に示す103に相当し、プローブ光Pのスペクトラムは、同図(a)に示す106に相当する。
【0146】
そして、これらブリルアン散乱光スペクトラム103とプローブ光Pのスペクトラム106との干渉によって生じる干渉ビートI(t)のAC成分は、上記式(12)と若干異なり次式(14)のようになる。
【0147】
【数10】
Figure 0003553534
【0148】
つまり式(14)は、上記第1の実施の形態における式(12)で説明した歪み発生位置z固有のビート周波数成分fの他に、プローブ光のオフセット周波数成分νとブリルアンシフト周波数成分νとの差周波数成分Δfを含む信号となるのが特徴である。
【0149】
これは本発明において障害とはならない。何故なら第1及び第2の実施の形態においてこれらの関係は、全体の原理を説明しやすいように、プローブ光のオフセット周波数の初期周波数νS0=νと前提条件としているが、一般的には、νS0の条件は≒ν近傍であればよく、それは任意に設定できるパラメータである。
【0150】
故にΔfは=|ν−νS0|と書き換えることができ、これは測定前の既知パラメータとして演算上で後に補正することが容易である。また、第2の実施の形態における空間分解能は、上記第1の実施の形態と同じく上記式(13)のように定義できる。
【0151】
このように上記第2の実施の形態においては、LD2からのFM光Lをポンプ光Pとプローブ光Pとに分配し、このうちポンプ光Pをセンシング用光ファイバ7に入射し、プローブ光Pをブリルアン周波数近傍まで変調し、ポンプ光Pがセンシング用光ファイバ7中に伝搬したときに自然ブリルアン散乱光が発生し、この自然ブリルアン散乱光に被測定物理量が反映して後方に被測定光P10として伝搬し、この被測定光P10とプローブ光Pとを合波し、この合波光P12におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生個所を特定し、かつプローブ光Pの離調幅を変化させたときのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求める。
【0152】
従って、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもなく、ポンプ光Pをセンシング用光ファイバ7の一端のみから入射するので、センシング用光ファイバ7の敷設の自由度が広がり、かつ容易となる。これよりセンシング用光ファイバ7の敷設の制限が多い所、及び他の使用目的で敷設した既存の光ファイバにおいても、本発明の適用範囲が広がるという固有の効果を奏することができる。
【0153】
(3)次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、図1及び図4と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0154】
この第3の実施の形態における変調器部8は、上記第1及び第2の実施の形態と同様に、光変調器9と変調信号源10と制御信号源11とから構成されているが、このうちの光変調器9が位相変調器であることに特徴を有している。
【0155】
上記第1及び第2の実施の形態における光変調器は、位相変調器の他に強度変調器や周波数シフター等の種類の光変調器を用いることができる。位相変調器以外の変調方法では、プローブ光のオフセット周波数νがブリルアンシフト周波数ν付近(前記した条件では10〜11GHz)の変調信号が必要であった。
【0156】
これに対して第3の実施の形態における位相変調器を光変調器9に置き換えた装置および変調方法では、その変調信号の周波数νは、νの整数分の1まで低周波数化することができる。
【0157】
これにより、低周波数に基づく光変調器部8の装置構成は容易となり、しいては本発明の装置全体のコスト低減に役立つ。
【0158】
図5は第3の実施の形態に基づく装置構成及び変調方法によって得られるブリルアンゲインプロファイル分布の実際の測定結果を示す。
【0159】
第3の実施の形態の原理について説明すると、第3の実施の形態に基づく位相変調によるプローブ光の電界を次式(15)に示す。
【0160】
【数11】
Figure 0003553534
【0161】
上記式(15)からプローブ光の周波数成分は、νを基本周波数とするn次(n:整数)の高調波成分で構成される周波数コムであり、その各n次の周波数スペクトラムの強度は、第1種のn次のベッセル関数で決まる係数に比例する。
【0162】
つまり、位相変調によりνの基本周波数を印加するだけで、自動的に2ν、3ν、4ν、…、nνの周波数成分が1度に生成されることを意味している。
【0163】
そしてνに近いnνだけがビート信号の中間周波数帯に現れ測定することができる。nの値が大きいほど、その基本周波数νは小さくて済む(低周波数化)。
【0164】
図5は第3の実施の形態に基づいて実際に測定した結果であり、プローブ光の各基本周波数νの1/nのオフセット周波数値におけるブリルアンゲインスペクトラムの比較である。
【0165】
1〜4次の高調波成分いずれにおいても、同じ中間周波数帯500MHzの値でピークを示すスペクトラムとなっている。そして、その強度値は上記式(15)で示したそれぞれのベッセル関数の値に比例して変化している。
【0166】
これより図5は、プローブ光のオフセット周波数変調に位相変調を用いることで、そのオフセット周波数νの値を小さくできることを実際に示している。
【0167】
このように上記第3の実施の形態においては、光変調器9に位相変調器を用いることにより、プローブ光のオフセット周波数変調を位相変調方式にし、その高次高調波の周波数成分を利用することで、オフセット周波数変調を低周波数にすることができ、そのことで装置構成が容易になる。
【0168】
これにより、本発明における測定装置全体、又は同技術分野における(BOTDA、BOTDR)の測定装置全体においても、低コスト化に貢献できるこという特有の効果がある。
【0169】
すなわち、プローブ光に関する離調部分をより低周波数域にすることで、その離調装置構成を容易にして低コスト化を実現できる。
【0170】
プローブ光が変調器部8の位相変調器によってブリルアン周波数ν近傍に変調されるが、その時に位相変調器に印加される変調周波数は、そのνの1/n(n:整数)であり、その変調周波数可変幅も1/nである。
【0171】
この結果、その離調周波数帯は、従来の1/nの低周波数帯で済むことになる。つまり、本手段の検出部17で検出される信号の周波数成分は、プローブ光のn次高調波成分との相互作用によって発生する信号を用いるものとなる。
【0172】
(4)次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、図1及び図4と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0173】
図6は光変調器部8の構成図であり、図7はその原理図である。この第4の実施の形態は、ポンプ光の光FM化(波長変化)による影響で、ブリルアンシフト周波数νがそのポンプ光の波長変化に伴い変動し、それによって歪みや温度(被測定物理量)の測定精度が劣化する課題に対し、プローブ光側の光変調器部8で補正することで、その測定精度の向上を図ったものである。
【0174】
光変調器9に印加する変調波形は、電圧制御型信号源VCO(Voltage Control Oscillation)10と、そのVCO10の発振周波数を外部から電圧制御する外部コントローラ11と、その外部コントローラ11と光源部1との同期を取るための同期接続線20との装置構成によって生成される。
【0175】
通常、VCO10は、プローブ光Pのオフセット周波数を、外部コントローラ10のあるDC電圧値により、ブリルアンシフト周波数近傍10〜11GHz程度まで変化させることができる。
【0176】
プローブ光PをFM周期時間Tの領域でアクティブな補正変調を行うためには、その外部コントローラ11にその補正周波数幅に相当する電圧幅δVのAC波形をDC成分に加えることで補正可能である。
【0177】
その結果、補正変調信号波形が光変調器9に印加され、プローブ光Pは、FM補正されたプローブ光Pとして出力される。
【0178】
次に、図7を用いてプローブ光Pの補正変調によって歪み・温度の測定精度が向上する原理を説明する。
【0179】
同図4はFMポンプ光200によって発生するブリルアンシフト周波数変化(点線)201と補正される前のFMプローブ光の周波数変化(実線)202との関係である。
【0180】
上記第1及び第2の実施の形態では、そのブリルアンシフト周波数201とFMプローブ光201との関係は時間に依存せず、その周波数差はν一定であると述べているが、厳密に言えば、上記式(2)で示しているブリルアンシフト周波数νの波長依存性(ここでは、ポンプ光の波長λが時間的に変動しているため)によって、プローブ光の周波数ν−νに対してδν(t)の変動幅を有する。
【0181】
この変動幅が大きいと、ブリルアンゲインスペクトラムの測定精度が悪くなり、最終的には歪み・温度の測定精度が劣化する。この測定精度を向上するためには、その変動幅δνB(t)をその変調時間Tの領域全てにわたり小さくしなければならず、このことは、FMプローブ光の周波数変化波形201とブリルアン周波数変化(点線)201とを同じ波形にするのと等価である。
【0182】
それに必要な補正変調波形は、上記式(2)の関係から予測し事前に用意することができる。補正変調波形は、図6に示すVCO10における変調信号波形である。
【0183】
このように上記第4の実施の形態においては、光変調器部8において、プローブ光Pの中心周波数を、光源部1からの光の周波数変調に同期させて補正変調する、すなわち変調器信号源10の周波数値を外部から制御し、その制御方法は光源部1の変調制御装置3と同期して行われ、その制御波形は上記式(2)の波長依存性の影響がでないように、その影響と相殺される周波数変化を変調周期時間内でリアルタイムに補正するので、より一層の被測定物理量の精度向上ができ、これまでその物理量の変動が小さすぎてその分布が測定できなかった測定対象に適用可能という特有の効果を奏することができる。
【0184】
すなわち、周波数変調ポンプ光の全ての変調周期時間領域に渡って発生するブリルアンゲインの中心周波数とプローブ光の中心周波数が、相対的に全ての変調周期時間に渡り、同じ周波数差を得ることで、ブリルアンゲインの波長依存性による影響を排除でき、純粋にその被測定物理量の変動分だけに反応した測定結果を得ることができる。この結果、被測定物理量の測定精度の向上が図られる。
【0185】
(5)次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、図1及び図4と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0186】
図8は光増幅器21を接続した構成図である。この第5の実施の形態は、上記第1及び第2の実施の形態における光分配器5と光サーキュレータ6との間に光増幅器としてエルビウムドープなどの光ファイバアンプ21を接続したこと特徴としている。
【0187】
なお、光ファイバアンプの種類は、そのポンプ光Pの波長帯によってその種類が異なり、例えば波長1.55μm帯の例としてエルビウムドープを挙げたが、それは好適な一例に過ぎず他の波長帯のポンプ光Pに最適なファイバアンプならばどれでもよい。また、半導体素子による光増幅器でもよい。
【0188】
光分配器5からのポンプ光Pは、光ファイバアンプ21によって光増幅され、その増幅されたポンプ光P11は、光サーキュレータ6の入力ポート6−1に入力し、そして出力ポート6−2からセンシング用光ファイバ7へ出力される。
【0189】
これにより、増幅される前のポンプ光Pに比べ、センシング用光ファイバ7上でより遠方でブリルアン発生に必要な出力が得られ、結果として測定範囲が拡大できる。
【0190】
このように第5の実施の形態によれば、ポンプ光Pを光ファイバアンプ21によって光増幅するので、より遠方までその被測定物理量の分布を測定することができるという特有の効果を奏することができる。
【0191】
なお、本発明は、上記第1乃至第5の実施の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0192】
さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0193】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、ブリルアン散乱現象の位置の空間分解能の向上及び被測定物理量の測定精度を高めることができる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供できる。
【0194】
又、本発明によれば、センシング用光ファイバの片端のみにポンプ光を入射するので、センシング用光ファイバの敷設の自由度が広がり、かつその敷設が容易となり、ファイバ敷設の制限が多い所及び他の使用目的で敷設した既存の光ファイバにおいても適用範囲を広げることができる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供できる。
【0195】
又、本発明によれば、プローブ光のオフセット周波数変調を位相変調方式にしたので、高次高調波の周波数成分を利用することで、オフセット周波数変調を低周波数にすることができ、これによって装置構成が容易になり、測定装置全体、又は同技術分野における従来技術のパルス方式(BOTDA、BOTDR)の測定装置全体においても低コスト化に貢献できる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供できる。
【0196】
又、本発明によれば、光変調器部において、プローブ光の中心周波数を光源部からの光の周波数変調に同期させて補正変調する、すなわちプローブ光のFMをブリルアンシフト周波数変動に合わせて補正するので、ブリルアンゲインの波長依存性による影響を排除でき、純粋にその被測定物理量の変動分だけに反応した測定結果を得ることができ、より一層の被測定物理量の精度向上ができ、これまでその物理量の変動が小さすぎてその分布が測定できなかった測定対象に適用可能とすることができる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供できる。
【0197】
又、本発明によれば、ポンプ光を光増幅するので、より遠方までその被測定物理量の分布を測定することができる光ファイバ分布型測定方法及びその装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第1の実施の形態を示す構成図。
【図2】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第1の実施の形態の測定方法の原理を誘導ブリルアン散乱現象からみた場合の図。
【図3】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第1の実施の形態の測定方法の原理を測定結果からみた場合の図。
【図4】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図5】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第3の実施の形態に基づく装置構成及び変調方法によって得られるブリルアンゲインプロファイル分布の実際の測定結果を示す図。
【図6】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第4の実施の形態における光変調器部の構成図。
【図7】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第4の実施の形態における光変調器部の原理図。
【図8】本発明に係わる光ファイバ分布型測定装置の第5の実施の形態における光増幅器を接続した構成図。
【符号の説明】
1:光源部
2:光源(LD)
3:変調制御装置
4:光ファイバ
5:光分配器
6:第1の光学手段(光サーキュレータ)
7:センシング用光ファイバ
8:光変調器部
9:光変調器
10:変調信号源
11:制御信号源
12:第2の光学手段
13:光分配器
14:合波光学手段
15:光合波器
16:波長フィルター
17:検出部
18:光検出器
19:周波数解析装置
20:同期接続線
21:光増幅器

Claims (14)

  1. 被測定物理量の空間分布を求めるセンシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定方法において、
    光源からの光をポンプ光とプローブ光とに分配する工程と、
    前記ポンプ光を前記センシング用光ファイバの一端から入射する工程と、
    前記プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調して前記センシング用光ファイバの他端から入射する工程と、
    前記ポンプ光と前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とが前記センシング用光ファイバ中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって、前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光は前記被測定物理量の情報を受けて被測定光として伝搬し、この被測定光と前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とを合波する工程と、
    この合波光におけるビート信号の周波数値から前記被測定物理量の発生個所を特定し、かつ前記プローブ光の離調幅を変化させたときの前記ビート信号の強度変化に基づいて前記被測定物理量を求める工程と、
    を有することを特徴とする光ファイバ分布型測定方法。
  2. 被測定物理量の空間分布を求めるセンシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定方法において、
    光源からの光をポンプ光とプローブ光とに分配する工程と、
    前記ポンプ光を前記センシング用光ファイバに入射する工程と、
    前記プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する工程と、
    前記ポンプ光が前記センシング用光ファイバ中に伝搬したときに自然ブリルアン散乱光が発生し、この自然ブリルアン散乱光に前記被測定物理量が反映して後方に被測定光として伝搬し、この被測定光と前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とを合波する工程と、
    この合波光におけるビート信号の周波数値から前記被測定物理量の発生個所を特定し、かつ前記プローブ光の離調幅を変化させたときの前記ビート信号の強度変化に基づいて前記被測定物理量を求める工程と、
    を有することを特徴とする光ファイバ分布型測定方法。
  3. 前記プローブ光の周波数は、位相変調によって前記ポンプ光の周波数に対して周波数シフトし、この位相変調によって生じる基本変調周波数のn次高調波周波数成分(nは整数)を被測定物理量の測定に用いることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ分布型測定方法。
  4. 前記プローブ光の中心周波数は、前記光源からの光の周波数変調に同期させて補正変調し、ブリルアン周波数の波長依存性の影響を低減することを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ分布型測定方法。
  5. 前記ポンプ光を光増幅して前記センシング用光ファイバに送ることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ分布型測定方法。
  6. センシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定装置において、
    光源からの光を出力する光源部と、
    この光源部から出力された前記光をポンプ光とプローブ光とに分配する光分配手段と、
    前記ポンプ光を前記センシング用光ファイバの一端から入射する第1の光学手段と、
    前記プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する光変調手段と、
    この光変調手段により変調された前記プローブ光を前記センシング用光ファイバの他端から入射する第2の光学手段と、
    前記ポンプ光と前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とが前記センシング用光ファイバ中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導ブリルアンによって前記被測定物理量の情報を受けた前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光を被測定光とし、この被測定光と前記第2の光学手段からの前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とを合波する合波光学手段と、
    この合波光学手段からの合波光におけるビート信号の周波数値から前記被測定物理量の発生個所を特定し、かつ前記プローブ光の離調幅を変化させたときの前記ビート信号の強度変化に基づいて前記被測定物理量を求める検出手段と、
    を具備したことを特徴とする光ファイバ分布型測定装置。
  7. センシング用光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の空間分布を求める光ファイバ分布型測定装置において、
    光源からの光を出力する光源部と、
    この光源部から出力された前記光をポンプ光とプローブ光とに分配する光分配手段と、
    前記ポンプ光を前記センシング用光ファイバの一端から入射する光学手段と、
    前記プローブ光をブリルアン周波数近傍まで変調する光変調手段と、
    前記ポンプ光が前記センシング用光ファイバ中に伝搬したときに発生し、前記被測定物理量が反映して後方に伝搬する自然ブリルアン散乱光を被測定光とし、この被測定光と前記光変調手段により前記ブリルアン周波数近傍まで変調された前記プローブ光とを合波する合波光学手段と、
    この合波光学手段からの合波光におけるビート信号の周波数値から前記被測定物理量の発生個所を特定し、かつ前記プローブ光の離調幅を変化させたときの前記ビート信号の強度変化に基づいて前記被測定物理量を求める検出手段と、
    を具備したことを特徴とする光ファイバ分布型測定装置。
  8. 前記光源部は、出力する光の周波数変調が可能な光源と、
    この光源を所定の時間周期で周波数変調する変調制御部と、
    からなることを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
  9. 前記光変調手段は、前記プローブ光の周波数を、前記ポンプ光の周波数に対して周波数変調する位相変調器であることを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
  10. 前記光変調手段は、前記プローブ光の中心周波数を、前記光源からの光の周波数変調に同期させて補正変調する機能を有することを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
  11. 前記光変調手段は、前記プロープ光の周波数を変調する光変調器と、
    この光変調器を駆動する変調信号源と、
    この変調信号源をコントロールする制御信号源と、
    からなることを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
  12. 前記変調信号源は、前記光源部の周波数変調に同期して前記光変調器による変調を補正させるコントロール信号を、前記変調信号源に対して送出する機能を有することを特徴とする請求項11記載の光ファイバ分布型測定装置。
  13. 前記合波光学手段は、前記被測定光と前記プローブ光とを合波する光合波器と、
    この光合波器により合波された光の中からブリルアン散乱固有の周波数成分だけの光を選択して透過する光周波数フィルターと、
    からなることを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
  14. 前記光分配手段と前記第1の光学手段との間に設けられ、前記光分配手段からの前記ポンプ光を光増幅して前記第1の光学手段に送る光増幅手段を備えたことを特徴とする請求項6又は7記載の光ファイバ分布型測定装置。
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