JP3552976B2 - 溶解炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶解槽における溶解物の存在領域の上方空間にガス燃料を噴出する燃料噴出部と、
その燃料噴出部の上方に位置する酸素含有ガス供給口を通して、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼域に対して、酸素含有ガスを斜め下向きに供給する酸素含有ガス供給路とが設けられた溶解炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる溶解炉は、ガス燃料を噴出するように構成した燃料噴出部(以下、ガス燃料専焼型の燃料噴出部と記載する場合がある)により、溶解槽における溶解物の存在領域の上方空間にガス燃料を噴出し、酸素含有ガス供給路により、燃料噴出部の上方に位置する酸素含有ガス供給口を通して、燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼域に対して、酸素含有ガスを斜め下向きに供給して、ガス燃料と燃焼用酸素含有ガスとを接触させて燃焼させて、原料を加熱、溶解して、溶解物を溶解槽に貯留するように構成したものである。
【0003】
ところで、かかる溶解炉においては、従来、ガス燃料専焼型の燃料噴出部以外に、液体燃料を噴出するように構成した液体燃料専焼型の燃料噴出部を設けたものや、液体燃料とその液体燃料を霧化するためのガス燃料とを噴出するように構成した混焼型の燃料噴出部を設けたものがある。しかしながら、これら液体燃料専焼型や混焼型の燃料噴出部を設けたものでは、燃料噴出部から噴出される燃料の運動量が大きいため、溶解槽に貯留されている溶解物の表面部分を押し流したり、又、溶解槽に貯留されている溶解物に浮く状態で供給される原料を押し流し易いため、溶解物を適切に得ることができない虞があるので、燃料噴出部の燃料噴出方向を、水平方向に対して大きく上向きに傾斜させる必要があった。このため、火炎が溶解槽の溶解物の存在領域の上面から離れる傾向となるため、加熱効率が低くなり、しかも、火炎が炉本体の天井部に近づく傾向となるため、天井部の温度が高くなって、耐久性が低下するという欠点があった。
【0004】
本願のようにガス燃料専焼型の燃料噴出部を設けたものでは、上述のような液体燃料専焼型や混焼型の燃料噴出部を設けたものに比べて、燃料噴出部から噴出される燃料の運動量が小さいため、溶解槽に貯留されている溶解物の表面部分を押し流したり、溶解槽に貯留されている溶解物に浮いている状態の原料を押し流したりすることを防止する上で有利である。
従って、ガス燃料専焼型の燃料噴出部は、液体燃料専焼型や混焼型の燃料噴出部に比べて、燃料噴出方向の水平方向に対する上向き傾斜角度を小さくすることができるので、加熱効率の向上、及び、炉本体天井部の温度の低下による耐久性の向上を図る上で有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガス燃料専焼型の燃料噴出部を設けたものにおいては、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止する上で有利であるものの、燃料噴出部のガス燃料噴出方向の基準が定められていないため、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止して、溶解物が適切に得られるようにしながら、加熱効率及び耐久性の両方を効果的に向上させることができるに至らない虞があり、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶解物が適切に得られるようにしながら、加熱効率及び耐久性の両方を効果的に向上させることができるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の特徴構成は、前記燃料噴出部のガス燃料噴出角度が、前記酸素含有ガス供給路の底部が水平方向に対して下向きに傾斜する底部下向き傾斜角度との関係において、水平方向に対して上方に前記底部下向き傾斜角度を加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内に設定されるように構成されていることにある。
【0008】
本発明の発明者らは、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止しながら、加熱効率の向上及び炉本体天井部の温度の低下を図るために、ガス燃料専焼型の燃料噴出部のガス燃料噴出方向について、鋭意研究した。
そして、燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼域に対して、酸素含有ガス供給路により供給される酸素含有ガスのうち、酸素含有ガス供給路の底部にて導かれたものが、最初に、燃料噴出部から噴出されたガス燃料に接触して、ガス燃料の燃焼に大きく寄与するので、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止しながら、加熱効率の向上及び炉本体天井部の温度の低下を図るために、燃料噴出部のガス燃料噴出角度の基準を設定するに当たっては、酸素含有ガス供給路の底部が水平方向に対して下向きに傾斜する底部下向き傾斜角度との関係において設定すると、有効であることを見出した。
そして、燃料噴出部のガス燃料噴出角度を、酸素含有ガス供給路の前記底部下向き傾斜角度との関係において、水平方向に対して上方に前記底部下向き傾斜角度を加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内に設定すると、火炎を安定して形成させる状態で、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止しながら、火炎が溶解槽の溶解物の存在領域の上面から離れ過ぎず、且つ、炉本体の天井部に近づき過ぎないようにすることができることを見出した。即ち、燃料噴出部からのガス燃料噴出方向は、水平方向、又は、水平方向に対して前記底部下向き傾斜角度以下の角度で上向きに傾斜する方向に設定することになる。
ちなみに、燃料噴出部のガス燃料噴出方向を、水平方向に対して下向きにわずかでも傾斜する方向に設定すると、燃料噴出部から噴出したガス燃料が飛散しやすくなり、火炎が乱れて、火炎を安定的に形成させ難い。
従って、溶解槽の溶解物やその溶解物に浮いている状態の原料を押し流すのを防止しながら、加熱効率の向上及び炉本体天井部の温度の低下を効果的に図れるように、燃料噴出部のガス燃料噴出角度の基準を明確に設定することができたので、溶解物が適切に得られるようにしながら、加熱効率及び耐久性の両方を効果的に向上させることができるようになった。
【0009】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の特徴構成は、前記燃料噴出部が、中央噴出孔とその周囲の複数の周囲噴出孔を備えるように構成され、
前記複数の周囲噴出孔のガス燃料噴出方向夫々が、前記中央噴出孔のガス燃料噴出方向と平行又は略平行になるように構成され、
前記中央噴出孔の開口縁と前記周囲噴出孔の開口縁との間隔が、前記周囲噴出孔の口径の0.5倍以上で、前記中央噴出孔の口径と前記周囲噴出孔の口径を加えた値の1.5倍以下となるように構成され、
前記燃料噴出部からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を前記中央噴出孔から噴出し、残りを前記複数の周囲噴出孔から噴出するように構成されていることにある。
【0010】
即ち、燃料噴出部を、中央噴出孔とその周囲の複数の周囲噴出孔を備えるように構成すると、複数の周囲噴出孔から噴出されたガス燃料流により、中央噴出孔から噴出されたガス燃料に対する燃焼用酸素含有ガスの供給を遮断することにより、所謂、緩慢燃焼を行わせることができるので、輝度が高い火炎を形成して、輻射熱量を増大させると共に、火炎温度を低くして、低NOx化を図ることができることが、従来から分かっていた。
しかしながら、従来では、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔、及び、中央噴出孔と複数の周囲噴出孔との間のガス燃料噴出量比が適正に設定されないために、NOx発生量が適切に低下されない虞があり、改善の余地があった。
【0011】
本発明の発明者らは、燃料噴出部を、中央噴出孔とその周囲の複数の周囲噴出孔を備えるように構成した場合において、一層の低NOx化を図るべく、鋭意研究し、複数の周囲噴出孔のガス燃料噴出方向夫々が、中央噴出孔のガス燃料噴出方向と平行又は略平行になるように構成して、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔を変化させたときに、NOxの発生量がどのように変化するか、及び、中央噴出孔と複数の周囲噴出孔との間のガス燃料噴出量比を変化させたときに、NOxの発生量がどのように変化するかを見出した。
そして、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔を、周囲噴出孔の口径の0.5倍以上で、中央噴出孔の口径と周囲噴出孔の口径を加えた値の1.5倍以下となるように構成し、燃料噴出部からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を中央噴出孔から噴出し、残りを複数の周囲噴出孔から噴出するように構成すると、緩慢燃焼を効果的に行わせることができて、NOxの発生量を低減する上で好ましいことを見出した。
【0012】
つまり、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔が、周囲噴出孔の口径の0.5倍よりも狭くなると、複数の周囲噴出孔から噴出されるガス燃料を、中央噴出孔から噴出されるガス燃料と分離し難くなって、周囲噴出孔にて形成される補炎を中央噴出孔にて形成される主炎と分離して形成するに当たって、補炎の分離状態が低下するので、NOxの発生量が増加すると考えられる。
又、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔が、中央噴出孔の口径と周囲噴出孔の口径を加えた値の1.5倍よりも広くなると、複数の周囲噴出孔から噴出されたガス燃料流による、中央噴出孔から噴出されたガス燃料に対する燃焼用酸素含有ガス供給の遮断作用が低下するので、NOxの発生量が増加すると考えられる。
又、総噴出量に対する中央噴出孔からの噴出量の比率が、50〜75%の範囲外になると、複数の周囲噴出孔から噴出されるガス燃料を、中央噴出孔から噴出されるガス燃料と分離し難くなって、補炎の分離状態が低下するので、NOxの発生量が増加すると考えられる。
【0013】
従って、中央噴出孔の開口縁と周囲噴出孔の開口縁との間隔、及び、中央噴出孔と複数の周囲噴出孔との間のガス燃料噴出量比を、上記の条件にて設定して、低NOx化が適切に図られた燃料噴出部を、上記請求項1に記載の如き基準のガス燃料噴出角度にて設けることにより、燃料ガスと燃焼用酸素含有ガスとの接触状態を、安定燃焼させながら低NOx化を更に促進させることができる適正状態に設定することができるものとなり、そのことと相俟って、低NOx化を一層図ることができる。
その結果、溶解物が適切に得られるようにしながら、加熱効率及び耐久性の両方を効果的に向上させることができ、しかも、低NOx化を更に促進することができるようになった。
【0014】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1ないし図9に基づいて、本発明をガラス溶解炉に適用した場合の第1の実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、ガラス溶解炉は、炉本体1内の下部に、平面視で矩形状の溶解槽2を備え、その溶解槽2の一側縁側の炉壁4に対して、溶解槽2における溶融ガラス(溶解物に相当する)の存在領域の上方に位置させて、その溶融ガラスの存在領域の上方空間(以下、単に炉内と称する場合がある)3にガス燃料を噴出する燃料噴出部としてのガスバーナ7を設け、そのガスバーナ7の上方に位置する酸素含有ガス供給口としての空気口(所謂ポート)5を通して、ガスバーナ7から噴出されるガス燃料の燃焼域に対して酸素含有ガスとして空気を斜め下向きに供給する酸素含有ガス供給路としての空気供給路6を設けて、所謂、アンダーポート式に構成してある。
【0015】
ガスバーナ7は、ガスバーナ設置用の炉壁4に対向する炉壁4側に向かって、ガス燃料を噴出するように、ガスバーナ設置用の炉壁4に設け、そのガスバーナ設置用の炉壁4の横方向一端に連なる炉壁4におけるガスバーナ7側の端部には、ガラス原料を、ガスバーナ7からのガス燃料噴出方向と略直交する方向に、溶解槽2に貯留されている溶融ガラスに浮かす状態で供給する投入口4iを設け、並びに、ガスバーナ設置用の炉壁4に対向する炉壁4の外部に作業槽9を設けると共に、その作業槽9と溶解槽2との間の炉壁4には、溶解槽2と作業槽9とを連通させる開口部4eを溶解槽2の炉床部に位置させて形成して、所謂、エンドポート式に構成してある。
つまり、投入口4iからガラス原料を溶解槽2に投入して、そのガラス原料を、開口部4e側に向かって蛇行状に流動させながら溶融させ、炉床部の開口部4eを通じて、清浄な溶融ガラスを作業槽9に導くように構成してある。
【0016】
所謂エンドポート式のガラス溶解炉では、ガラス原料を、溶解槽2に対して、燃料噴出部からの燃料の噴出方向に直交する方向に流動するように供給する。従って、従来、燃料噴出部として、液体燃料を噴出するオイルバーナ(液体燃料専焼型の燃料噴出部に相当する)や、液体燃料とそれを霧化するためのガス燃料とを噴出するガスアトマイズバーナ (混焼型の燃料噴出部に相当する)を用いたものでは、溶解槽2を流動しているガラス原料を取出し孔4e方向に押し流し易いため、水平方向に対する上向きの燃料噴出角度を大きく設定する必要があり、加熱効率が低い、及び、炉本体1の天井部の温度が高くなって耐久性が短いといった問題が顕著となっていた。
【0017】
2個の空気口5を、ガスバーナ設置用の炉壁4に、その炉壁4に対向する炉壁4に向かって左右方向に並べて設け、空気供給路6は、各空気口5に対応して設けてある。
各空気口5に対応して3個のガスバーナ7を、前記左右方向に並べて設けてある。尚、6個のガスバーナ7は同様に構成してあるが、以下の説明では、前記左右方向の右側の空気口5に対応する3個のガスバーナ7を右側のガスバーナ7と、左側の空気口5に対応する3個のガスバーナ7を左側のガスバーナ7と区別する場合がある。
炉本体1のガスバーナ設置用の炉壁4側には、2個の蓄熱室8を前記左右方向に並設し、各空気供給路6は、各蓄熱室8に連通させてある。
【0018】
左右のガスバーナ7は、一定時間(約15〜30分)毎に交互に、ガス燃料Gの噴出と噴出停止を繰り返し、ガス燃料Gを噴出しているガスバーナ7の側の空気口5からは、蓄熱室8を通って高温(900〜1000°C程度)に予熱された燃焼用空気Aが炉内3に供給され、ガス燃料Gの噴出を停止しているガスバーナ7の側の空気口5からは炉内3の燃焼ガスEを排出させるようにして、左右のガスバーナ7を交互に燃焼させる、所謂交番燃焼を行わせるようにしてある。尚、図1及び図2は、右側のガスバーナ7が燃焼し、左側のガスバーナ7が消火している状態を示している。
【0019】
ガスバーナ7から噴出されたガス燃料Gの燃焼域に、そのガス燃料Gを噴出しているガスバーナ7の側の空気口5から燃焼用空気Aが供給されて、ガス燃料と燃焼用空気とが接触して拡散燃焼して、長さが長くて高輝度の火炎(輝炎)Fを形成し、その火炎Fの輻射熱により、溶解槽2内のガラス原料を溶解する。炉本体1の天井はアーチ状に形成してあり、火炎Fの輻射熱を反射させる。
炉内3の燃焼ガスEは、ガス燃料Gの噴出を停止しているガスバーナ7の側の空気口5から、蓄熱室8に流入し、蓄熱材を通過して、蓄熱材に排熱が回収された後、排気される。
蓄熱室8においては、燃焼ガスEを排出させる状態のときに、燃焼ガスEから排熱を蓄熱材に回収して蓄熱し、燃焼用空気Aを供給する状態のときには、蓄熱材の蓄熱により燃焼用空気Aを予熱する。そして、そのように予熱された燃焼用空気Aが、空気供給路6を通流して空気口5から炉内3に供給されるのである。
【0020】
空気供給路6は、流路横断面(流れ方向に直交する面での断面)形状が例えば矩形状になるように形成してある。そして、図3に示すように、空気供給路6の底部が水平方向に対して下向きに傾斜する角度を底部下向き傾斜角度xとし、空気供給路6の上部が水平方向に対して下向きに傾斜する角度を上部下向き傾斜角度yとすると、底部下向き傾斜角度x<上部下向き傾斜角度yとなる条件で、底部下向き傾斜角度xは、10°≦x≦20°の範囲内に、上部下向き傾斜角度yは、20°≦y≦25°の範囲内に夫々設定する。
尚、上部下向き傾斜角度yを底部下向き傾斜角度xよりも大きく設定するのは、空気口5から供給される高温の燃焼用空気が上方に浮き上がるのを抑制するためである。
【0021】
ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zは、空気供給路6の底部が水平方向に対して下向きに傾斜する底部下向き傾斜角度xとの関係において、水平方向に対して上方に底部下向き傾斜角度xを加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内に設定するように構成してある。
【0022】
尚、本実施形態においては、底部下向き傾斜角度xを10°に、上部下向き傾斜角度yを20°に、ガス燃料噴出角度zを8°に夫々設定してある。
又、溶解槽2に貯留される溶融ガラスの上面に対するガスバーナ7の先端のノズル部の高さは、30cm程度に設定してある。溶解槽2に貯留される溶融ガラスの上面に対するガスバーナ7の先端のノズル部の高さを、30cm程度に設定すると、加熱効率を向上するとともに、溶解槽2に浮いているガラス原料をガスバーナ7の火炎で押し流すのを防止する上で好ましい。
【0023】
次に、図4ないし図7に基づいて、ガスバーナ7について説明を加える。尚、図6の (イ)は、ノズル72におけるガス燃料噴出方向Ga視での図であり、(ロ)は、ノズル72におけるガス燃料噴出方向Gaでの断面図である。
ガスバーナ7は、中央噴出孔72aとその周囲の複数の周囲噴出孔72bを備えて、それらの噴出孔72a,72bから、LPG、あるいは、メタンを主成分とする都市ガス等のガス燃料Gを炉内3に噴出する。
【0024】
第1実施形態においては、ガスバーナ7における複数の周囲噴出孔72bのガス燃料噴出方向夫々を、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向と平行又は略平行になるように構成し、中央噴出孔72aの開口縁と周囲噴出孔72bの開口縁との間隔が、周囲噴出孔72bの口径の0.5倍以上で、中央噴出孔72aの口径と周囲噴出孔72bの口径を加えた値の1.5倍以下となるように構成し、ガスバーナ7からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を中央噴出孔72aから噴出し、残りを複数の周囲噴出孔72bから噴出するように構成してある。
【0025】
ガスバーナ7は、円筒状のバーナ本体71と、そのバーナ本体71の先端に位置するノズル72と、そのノズル72に外嵌する状態で、バーナ本体71の先端に螺着する水冷ホルダ73を備えて構成してある。
【0026】
ノズル72は、円柱状材に、軸芯Paが円柱状材と同軸状になる円孔状の中央噴出孔72aを形成し、その中央噴出孔72aの軸芯Paと同芯円の円周に沿って、複数の円孔状の周囲噴出孔72bを、夫々同一径で、夫々の軸芯Pbが中央噴出孔72aの軸芯Paと平行になる状態で、等間隔に形成して構成してある。周囲噴出孔72bの個数は、6〜16個の範囲内の個数に設定するが、第1実施形態では、16個に設定してある。
【0027】
又、中央噴出孔72aの先端開口部の中心と各周囲噴出孔72bの先端開口部の中心との距離(以下、単に、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離と記載する場合がある)をD、中央噴出孔72aの先端開口部の口径をd、周囲噴出孔72bの先端開口部の口径をdとすると、Dが下記の数式1の範囲に収まるように設定する。
【0028】
【数1】
(1/2)×(d+d)+(1/2)×d≦D≦2×(d+d
【0029】
Dが上記の数1の範囲に収まるように設定すると、中央噴出孔72aの開口縁と各周囲噴出孔72bの開口縁との間隔が、周囲噴出孔72bの口径dの0.5倍以上で、中央噴出孔72aの口径と周囲噴出孔72bの口径を加えた値(d+d)の1.5倍以下となる。
【0030】
中央噴出孔72aの口径及び周囲噴出孔72b夫々の口径は、ガスバーナ7からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を、中央噴出孔72aから噴出し、残りを複数の周囲噴出孔72bから噴出するように設定する。
例えば、中央噴出孔72aの口径を19mmφ程度に、周囲噴出孔72bの口径を3mmφ程度に夫々設定する。
【0031】
水冷ホルダ73は、先端部の内径をその後方よりも小さく形成して、先端部に小内径部73aを、それよりも後方に大内径部73bを備えた円筒部材73cの筒壁を、全周にわたって中空状に形成して、冷却水通流部73dを形成し、その円筒部材73cの後端に、冷却水通流部73dに連通する状態で、冷却水流入管73i及び冷却水流出管73eを接続して、構成してある。
更に、水冷ホルダ73の大内径部73bの内面に雌ネジ部を形成し、その雌ネジ部に螺合する雄ネジ部をバーナ本体71の先端に形成してある。
【0032】
そして、ノズル72を水冷ホルダ73の大内径部73bに内嵌した状態で、水冷ホルダ73をバーナ本体71の先端に螺着することにより、ノズル72を、水冷ホルダ73の小内径部73aと大内径部73bとの間の段差部とバーナ本体71の先端面とにより挟持する状態で、一体的に組み付けて、ガスバーナ7を形成してある。
【0033】
従って、ガスバーナ7の中央噴出孔72aから、ガス燃料噴出方向Ga(中央噴出孔72aの軸芯Paに一致する)に直進状態でガス燃料が噴出され、中央噴出孔72aの周囲の16個の周囲噴出孔72bから噴出されたガス燃料は、ガス燃料噴出方向Gaと平行に、中央噴出孔72aから噴出されたガス燃料流の周囲を包囲する状態で流れる。
【0034】
次に、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dと、NOxの発生との関係、及び、中央噴出孔72aからのガス燃料噴出量と複数の周囲噴出孔72bからのガス燃料噴出量との比率と、NOxの発生との関係を説明する。
図12の実線は、第1実施形態にかかる構成のガスバーナ7において、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dを変化させて、NOx増加比を調べた結果を示す。但し、中央噴出孔72aからの噴出量の比率は、ガスバーナ7からのガス燃料総噴出量のうちの50〜75%の範囲に設定してある。図12においては、NOxの増加比は、発生量の最小値を1として、それに対する比で示している。
図12の実線により、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dを、上記の数1にて示す範囲内に設定すると、NOxの発生量を低減する上で好ましいことが分かる。
【0035】
図13は、総噴出量に対する中央噴出孔72aからの噴出量の比率と、NOxレベルとの関係を示す。但し、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dは、数1にて示される範囲内に設定してある。図13において、NOxレベルは、発生量の最大値に対する百分率にて示す。
図13により、総噴出量に対する中央噴出孔72aからの噴出量の比率を、50〜75%に設定すると、NOxの発生量を低減する上で好ましいことが分かる。
【0036】
図3に示すように、炉本体1の炉壁4には、各ガスバーナ7を挿通するためのバーナ挿通孔4bを形成し、そのバーナ挿通孔4bを用いて、上述のように構成したガスバーナ7を、ガス燃料噴出方向Gaが、上述のように設定されるガス燃料噴出角度zとなるように、炉壁4に取り付ける。又、ガスバーナ7の周囲とバーナ挿通孔4bとの間に、断熱ウール10を充填することにより、ガスバーナ7の外周部を通じての炉内3へ空気が浸入するのを遮断して、低NOx化を一層図っている。断熱ウール10は、例えば、グラスウールやセラミック繊維材から成り、所望の耐熱性及び断熱性が得られるものを適宜選択して用いることができる。
水冷ホルダ73の冷却水流入管73iに、冷却水供給路11を接続し、冷却水流出管73eに冷却水排出路12を接続して、水冷ホルダ73の冷却水通流部73dに冷却水を通流させて、ガスバーナ7を水冷するように構成してある。
【0037】
従って、中央噴出孔72aから噴出されたガス燃料に対する燃焼用空気の供給が、周囲噴出孔72bから噴出されたガス燃料流によって、遮断されるので、燃焼は周囲噴出孔72bから噴出されたガス燃料流の周囲から進み、周囲噴出孔72bから噴出されたガス燃料によって補炎が形成される。中央噴出孔72aから噴出されたガス燃料は、燃焼が開始するまでの間は、周囲の補炎によって加熱されて熱分解が進んで炭素が発生し、燃焼が開始すると輝度が高い主炎を形成する。即ち、全体として、所謂、緩慢燃焼を行わせて、輝度が高い火炎Fを形成して、輻射熱量を増大させると共に、火炎温度を低くして、低NOx化を図っている。
又、火炎Fの根元に、複数の周囲噴出孔72bにより補炎を形成して、炉内3におけるバーナ7を取り付けた炉壁4付近の温度を高くして、炉内3における前後方向(火炎Fの長さ方向に相当する)での温度分布を小さくしている。
【0038】
次に、上述のように構成したガラス溶解炉の性能を評価した結果を説明する。尚、本発明によるガラス溶解炉と性能を比較するために、図8の(ロ)に、概略の縦断側面図にて示すように、ガスアトマイズバーナ13を、上述と同様の炉本体1に対して、上述と同様に、各空気口5に対応して3個ずつ、夫々の燃料噴出角度zが、底部下向き傾斜角度x (10°)と上部下向き傾斜角度y(20°)とを加えた角度30°の二分の一に相当する15°になるように取り付けたものを、比較用として用いた。図8の(イ)は、本発明によるガラス溶解炉の概略の縦断側面図を示す。
炉本体1の平面形状は、前記左右方向が5.5m、前記前後方向が10.0mであり、溶解槽2に貯留される溶融ガラスの上面に対する、本発明のガスバーナ7の先端及び比較用のガスアトマイズバーナ13の先端夫々の高さは、いずれも30cmであり、本発明のガスバーナ7及び比較用のガスアトマイズバーナ夫々の1本当たりの燃焼量は、1750kWである。
【0039】
図9は、引上量(一日当たりの溶解量)と、原単位(1t当たり生産するのに必要な熱量)との関係を、本発明のガラス溶解炉及び比較用ガラス溶解炉の夫々について示したものである。
本発明のガラス溶解炉では、ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zを適切に設定したことにより、比較用ガラス溶解炉に比べて、溶解槽2に貯留されている溶融ガラスの上面部分やその溶融ガラスに浮いている状態のガラス原料を押し流すのを防止しながら、加熱効率を向上することができて、引上量の全範囲にわたって原単位を4.7%程度小さくできて、向上することができる。
【0040】
溶解槽2の溶融ガラスの温度は1350°Cであり、このときの炉本体1の天井の温度は、本発明のガラス溶解炉では1505°Cであったのに対して、比較用ガラス溶解炉では1515°Cであり、本発明のガラス溶解炉では、比較用ガラス溶解炉に比べて、炉本体1の天井部の温度を低くすることができるので、耐久性を向上することができる。
【0041】
排ガスのNOxの濃度(O=0%換算値)は、本発明のガラス溶解炉では800ppmであったのに対して、比較用ガラス溶解炉では1100ppmであり、本発明のガラス溶解炉では、比較用ガラス溶解炉に比べて、NOxの濃度を27%程度低くすることができる。
【0042】
従って、本発明をエンドポート式のガラス溶解炉に適用することにより、溶解槽2に貯留されている溶融ガラスの上面部分やその溶融ガラスに浮いている状態のガラス原料を押し流すのを防止しながら、加熱効率の向上、及び、炉本体1の天井部の温度の低下による耐久性向上を図る上での効果が顕著となる。
【0043】
〔第2実施形態〕
以下、図10及び図11に基づいて、本発明をガラス溶解炉に適用した場合の第2の実施の形態を説明する。尚、図11の(イ)は、ノズル72におけるガス燃料噴出方向Ga視での図であり、(ロ)は、ノズル72におけるガス燃料噴出方向Gaでの断面図である。
第2実施形態においては、ガスバーナ7を、上記の第1実施形態と異ならせて、以下のように構成し、その他は第1実施形態と同様に構成してある。
【0044】
ガスバーナ7における複数の周囲噴出孔72bのガス燃料噴出方向夫々を、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Ga視にて、中央噴出孔72aの径方向に対して、中央噴出孔72aの周方向の同方向に傾斜する方向で、且つ、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaと交差する方向視にて、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaに対して、外方側に傾いた先広がり方向となるように構成し、中央噴出孔72aの開口縁と周囲噴出孔72bの開口縁との間隔が、周囲噴出孔の口径の0.5倍以上となるように構成し、ガスバーナ7からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を中央噴出孔72aから噴出し、残りを複数の周囲噴出孔72bから噴出するように構成してある。
【0045】
ガスバーナ7について説明を加える。
ノズル72の中央噴出孔72aは、単一の円柱状材に、それと軸芯Paが円柱状材と同軸状になる円孔状に形成し、6個の周囲噴出孔72bを、夫々同一径で、夫々、軸芯Pbが、基端から先端に向かって、中央噴出孔72aの周方向の同方向に傾斜し、且つ、中央噴出孔72aの径方向外側に傾斜する円孔状に形成してある。つまり、6個の周囲噴出孔72bのガス燃料噴出方向夫々を、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Ga視にて、中央噴出孔72aの径方向に対して、中央噴出孔72aの周方向の同方向に傾斜する方向で、且つ、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaと直交する方向視にて、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaに対して、外方側に傾いた先広がり方向となるように構成してある。中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaが、ガスバーナ7全体としてのガス燃料噴出方向となる。
そして、第1実施形態と同様に、バーナ本体71、ノズル72及び水冷ホルダ73を一体的に組み付けて、ガスバーナ7を構成してある。
【0046】
上述のように構成したガスバーナ7を、第1実施形態と同様に、ガス燃料噴出方向Gaが、上述のように設定されるガス燃料噴出角度zとなるように、炉壁4に取り付ける。
【0047】
第2実施形態のガスバーナ7では、複数の周囲噴出孔72bから、ガス燃料が、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Ga視にて、旋回状に、且つ、中央噴出孔72aのガス燃料噴出方向Gaと直交する方向視にて、先広がり状に噴出される。
従って、中央噴出孔72aから噴出されたガス燃料に対する燃焼用空気の遮断作用が増大すると共に、複数の周囲噴出孔72bから噴出されたガス燃料と中央噴出孔72aから噴出されたガス燃料との分離状態が良くなるので、緩慢燃焼が更に促進して、輝度が一層高い火炎Fが形成される。
【0048】
図12において、破線、及び、その破線と実線の交点よりも中心間距離Dが小さい側の実線は、第2実施形態にかかる構成のガスバーナ7において、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dを変化させて、NOx増加比を調べた結果を示す。但し、中央噴出孔72aからの噴出量の比率は、ガスバーナ7からのガス燃料総噴出量のうちの50〜75%の範囲に設定してある。NOx増加比は、第1実施形態のガスバーナ7について調べたときの最小値を1として、それに対する比で示している。
図12により、中央噴出孔72aと周囲噴出孔72bの中心間距離Dを、「(1/2)×(d+d)+(1/2)×d」以上に設定すると、換言すれば、中央噴出孔72aの開口縁と周囲噴出孔72bの開口縁との間隔を周囲噴出孔の口径の0.5倍以上となるように設定すると、NOxの発生量を低減する上で好ましいことが分かる。
又、総噴出量に対する中央噴出孔72aからの噴出量の比率と、NOxレベルとの関係は、図13に示す第1実施形態におけるものと同様であり、総噴出量に対する中央噴出孔72aからの噴出量の比率を、50〜75%に設定すると、NOxの発生量を低減する上で好ましい。
【0049】
ちなみに、周囲噴出孔72bの軸芯Pbが、基端から先端に向かって、中央噴出孔72aの周方向に傾斜する角度αは、例えば、0<α≦40°の範囲に設定し、中央噴出孔72aの径方向外側に傾斜する角度βは、例えば、0<β≦60°の範囲に設定すると、輝度が高くて、適度な火炎長の火炎Fを形成する上で、好ましい。
【0050】
第2実施形態によるガラス溶解炉についても、上述の第1実施形態と同様に、比較用ガラス溶解炉と性能を比較した結果、原単位の向上、天井部の温度の低下、及び、NOxの濃度の低下の全ての面において、第1実施形態と同様の結果が得られた。
【0051】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の実施形態においては、本発明をエンドポート式のガラス溶解炉に適用する場合について例示したが、これ以外にも、例えば、所謂サイドポート式のガラス溶解炉にも適用することができる。
サイドポート式のガラス溶解炉は、図14に示すように、平面視で矩形状の溶解槽2の一側縁側の炉壁4に投入口4iを、その炉壁4に対向する炉壁4に取出し孔4eを設け、投入口4iから取出し孔4eに向かって左右両側の炉壁4夫々に、複数の空気口5を並設すると共に、各空気口5に対応して空気供給路6を設け、各空気口5の下方には、ガスバーナ7を2個ずつ設け、並びに、炉本体1の前記左右両側には、夫々の側の複数の空気供給路6に連通する状態で蓄熱室8を設けてある。
そして、前記左右両側のガスバーナ7を、一定時間毎に交互に燃焼させて、交番燃焼を行わせ、投入口4iからガラス原料を溶解槽2に投入して、そのガラス原料を溶融させながら、取出し孔4eに向かって流下させて、取出し孔4eを通じて、清浄な溶融ガラスを作業槽9に導くよう構成してある。
このサイドポート式のガラス溶解炉においても、上記の実施形態と同様に、空気供給路6の底部下向き傾斜角度x及び上部下向き傾斜角度yを、底部下向き傾斜角度x<上部下向き傾斜角度yとなる条件で、底部下向き傾斜角度xは、10°≦x≦20°の範囲に、上部下向き傾斜角度yは、20°≦y≦25°の範囲に夫々設定する。又、ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zは、空気供給路6の底部下向き傾斜角度xとの関係において、水平方向に対して上方に底部下向き傾斜角度xを加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内に設定する。
【0052】
(ロ) 底部下向き傾斜角度x<上部下向き傾斜角度yとなる条件で、底部下向き傾斜角度xを10°≦x≦20°の範囲外に、上部下向き傾斜角度yを20°≦y≦25°の範囲外に夫々設定しても良い。
【0053】
(ハ) 空気供給路6の底部下向き傾斜角度x及び上部下向き傾斜角度yは、底部下向き傾斜角度x≧上部下向き傾斜角度yの関係となるように設定しても良いが、燃焼用空気が上方に浮き上がるのを抑制する上では、底部下向き傾斜角度x<上部下向き傾斜角度yの関係で設定するのが好ましい。
【0054】
(ニ) ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zは、上記の実施形態において例示した8°に限定されるものではなく、空気供給路6の底部下向き傾斜角度xとの関係において、水平方向に対して上方に底部下向き傾斜角度xを加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内で、適宜変更可能である。
即ち、ガスバーナ7のガス燃料噴出方向は、水平方向になっても良い。あるいは、ガスバーナ7のガス燃料噴出方向は、水平方向に対して上向きに傾斜する角度が、底部下向き傾斜角度x以下になる条件で、適宜設定可能である。
【0055】
(ホ) 溶解槽2に貯留される溶融ガラスの上面に対するガスバーナ7の先端のノズル部の高さは、上記の実施形態において例示した30cmに限定されるものではなく、30cmより低くても良く、あるいは、30cmよりも高くても良い。但し、30cmより低く設定する場合は、溶解槽2に浮いているガラス原料を押し流すのを防止するために、ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zを大き目に設定するのが好ましく、30cmより高く設定する場合は、加熱効率の低下を抑制するために、ガスバーナ7のガス燃料噴出角度zを小さ目に設定するのが好ましい。
(ヘ) 1個の空気供給路6に対するガスバーナ7の設置個数は、上記の実施形態において例示した3個に限定されるものではなく、適宜変更可能であり、1個、又は、2個、又は、4個以上でも良い。
【0056】
(ト) 空気供給路6の形状は、上記の実施形態において例示した如き、流路横断面形状が矩形状となる角筒状の形状に限定されるものではない。例えば、円筒状の形状でも良いし、上部がアーチ状で、底部が平面状となる形状でも良い。
【0057】
(チ) ガスバーナ7の具体構成は、上記の第1実施形態や第2実施形態にて例示した構成に限定されるものではない。例えば、1個の噴出孔を設けたものや、複数の噴出孔を中央、周囲を区別することなく分散させて配置した構成のものでも良い。
【0058】
(リ) 空気供給路6により、ガスバーナ7から噴出されるガス燃料の燃焼域に供給する酸素含有ガスとしては、空気以外に、純酸素ガス、酸素含有率を高くした酸素富化空気等でも良い。又、空気と共に、ガスバーナ7の燃焼排ガスを酸素含有ガスとして供給しても良い。
【0059】
(ヌ) 本発明は、上記の実施形態で例示したガラス溶解炉や、図14にて示す別実施形態で例示したガラス溶解炉以外にも、種々の溶解炉に適用することができる。
例えば、ガスバーナ7を交番燃焼させる形式以外に、連続燃焼式のものにも適用することができる。
又、ガラスを溶解させる用途の溶解炉に限定されるものではなく、ガラス以外原料を溶解させる用途の溶解炉にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるガラス溶解炉の縦断側面図
【図2】図1におけるI−I矢視図
【図3】実施形態にかかるガラス溶解炉の要部の縦断側面図
【図4】第1実施形態にかかるガスバーナの要部のガス燃料噴出方向に沿った断面図
【図5】第1実施形態にかかるガスバーナの要部のガス燃料噴出方向視での図
【図6】第1実施形態にかかるガスバーナのノズルの図
【図7】第1実施形態にかかるガスバーナの分解斜視図
【図8】実施形態にかかるガラス溶解炉及び比較用ガラス溶解炉夫々の概略の縦断側面図
【図9】引上量と原単位との関係を示す図
【図10】第2実施形態にかかるガスバーナの要部のガス燃料噴出方向に沿った断面図
【図11】第2実施形態にかかるガスバーナのノズルの図
【図12】ガスバーナの中央噴出孔と周囲噴出孔の中心間距離と、NOxレベルとの関係を示す図
【図13】総噴出量に対する中央噴出孔からの噴出量の比率と、NOxレベルとの関係を示す図
【図14】別実施形態にかかるガラス溶解炉の横断平面図
【符号の説明】
2 溶解槽
3 上方空間
5 酸素含有ガス供給口
6 酸素含有ガス供給路
7 燃料噴出部
72a 中央噴出孔
72b 周囲噴出孔
x 底部下向き傾斜角度
z ガス燃料噴出角度

Claims (2)

  1. 溶解槽における溶解物の存在領域の上方空間にガス燃料を噴出する燃料噴出部と、
    その燃料噴出部の上方に位置する酸素含有ガス供給口を通して、前記燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼域に対して、酸素含有ガスを斜め下向きに供給する酸素含有ガス供給路とが設けられた溶解炉であって、
    前記燃料噴出部のガス燃料噴出角度が、前記酸素含有ガス供給路の底部が水平方向に対して下向きに傾斜する底部下向き傾斜角度との関係において、水平方向に対して上方に前記底部下向き傾斜角度を加えた角度を上限とし、且つ、水平方向を下限とする角度範囲内に設定されるように構成されている溶解炉。
  2. 前記燃料噴出部が、中央噴出孔とその周囲の複数の周囲噴出孔を備えるように構成され、
    前記複数の周囲噴出孔のガス燃料噴出方向夫々が、前記中央噴出孔のガス燃料噴出方向と平行又は略平行になるように構成され、
    前記中央噴出孔の開口縁と前記周囲噴出孔の開口縁との間隔が、前記周囲噴出孔の口径の0.5倍以上で、前記中央噴出孔の口径と前記周囲噴出孔の口径を加えた値の1.5倍以下となるように構成され、
    前記燃料噴出部からのガス燃料の総噴出量のうちの50〜75%を前記中央噴出孔から噴出し、残りを前記複数の周囲噴出孔から噴出するように構成されている請求項1記載の溶解炉。
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