JP3552306B2 - プロピレンオキシドとスチレンモノマーの製造法 - Google Patents

プロピレンオキシドとスチレンモノマーの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プロピレンオキシドとスチレンモノマーを共製造するための改良法に関する。特に、プロピレンオキシド、1−フェニルエタノールおよび重質分を含むエポキシ化混合物から有用なプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールとスチレンを回収し、またエポキシ化触媒として利用されるモリブデンを回収するための改良法に関するものである。
【0002】
本製造法において製造されるプロピレンオキシドは、例えばポリウレタン製造の原料として用いられ、またスチレンモノマーは例えばポリスチレン製造の原料として用いられる有用な化合物である。
【0003】
【従来の技術】
プロピレンオキシドとスチレンモノマーの同時製造法としては、エチルベンゼンハイドロパーオキシドを生成させるためのエチルベンゼンの分子状酸素による酸化、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを生成させるための前記ハイドロパーオキシドとプロピレンのエポキシ化反応、および1−フェニルエタノールのスチレンモノマーへの脱水を含む方法がよく知られている。この方法について述べているものとしては米国特許第3,351,635号公報である。
【0004】
エポキシ化混合物を、通常未反応プロピレンの分離後に水酸化ナトリウム水溶液で処理する苛性洗浄を行うことが知られている。この処理によりエポキシ化混合物中に含まれる酸性成分の中和、可溶性モリブデン触媒の除去、およびフェノールの除去が達成される。酸性成分の中和は、中和しない場合に後続の処理工程で発生しうる腐食の問題を軽減し、また後続の蒸留時の生成物収率低下を小さくするのに重要である。触媒の分離はもちろん重要であるが、一方フェノール類の分離は、スチレンモノマー生成物の品質に関して、また1−フェニルエタノール脱水時の収率低下を避けるために重要である。しかしながら、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含有するエポキシ化混合物を水酸化ナトリウム水溶液で処理した際には、エポキシドの収率の低下をまねくこと、また分液時における乳化の問題、さらに有機相中に水酸化ナトリウム水溶液が分散するかあるいは水酸化ナトリウム水溶液処理により生成した有機化合物のナトリウム塩等が有機相中に混入することによるナトリウム塩のキャリーオーバーの問題がある。このナトリウム塩は、後工程におけるスチレン製造工程において、1−フェニルエタノールを酸触媒によって脱水する際に、酸触媒を中和するという問題を有している。この問題を避けるためには、脱水原料を蒸留に付し1−フェニルエタノール等の有効成分を分離回収し、ナトリウム塩を蒸留の重質残留分中に分離除去することが必要であり、このためには多大のエネルギーを要し、コスト的に不利である。
【0005】
さらに、モリブデンおよび有機酸等の有機物を含有する大量の使用済み水酸化ナトリウム水溶液を廃棄するためには、液中燃焼等の処理が必要となり、このため多大の費用を要する等の問題点が存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、液相下、エチルベンゼンを分子状酸素により、エチルベンゼンハイドロパーオキシドに酸化し、該ハイドロパーオキシドをプロピレンと反応させて、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを形成した後の反応混合物から未反応のプロピレンを分離した後のエポキシ化混合物について蒸留あるいはアルカリ水溶液処理等を組み合わせることにより、プロピレンオキシドの加水分解による収率低下を伴わず、またアルカリ水溶液処理における分液時の乳化問題も伴わず、またナトリウムのキャリーオーバーの問題も伴わず、またモリブデンを有利に回収し、また廃アルカリ水溶液を有利に処理し、またナトリウムキャリーオーバーが低減した1−フェニルエタノールを含む有機相について、重質残留物を分離することなく有利にスチレンモノマーに脱水反応させ、結果として有利にプロピレンオキシドとスチレンモノマーを製造する方法を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、液相下、エチルベンゼンを分子状酸素によりエチルベンゼンハイドロパーオキシドに酸化し、該ハイドロパーオキシドをプロピレンと反応させてプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含有するエポキシ化反応液を取得し、該エポキシ化液から蒸留によってプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを別々に回収し、そして1−フェニルエタノールをスチレンモノマーへ脱水することを含むプロピレンオキシドとスチレンモノマーの共製造法において、エポキシ化反応液を未反応のプロピレンを分離した後に蒸留に付し、プロピレンオキシドを含む塔頂液と1−フェニルエタノールを含む塔底液を取得し、次いで該塔底液について30〜180℃の温度にて苛性洗浄および水洗浄を行うことにより酸性成分並びにナトリウム含有量が低減した1−フェニルエタノール含有有機相を取得し、ここからエチルベンゼンを分離した後に該有機相中に含まれる酸素含有有機重質成分を分離することなく1−フェニルエタノールとともに脱水反応に供給し、スチレンモノマーを製造することからなるプロピレンオキシドとスチレンモノマーの製造法に係るものである。
【0008】
さらには、前述のエチルベンゼンハイドロパーオキシドとプロピレンとのエポキシ化反応をモリブデン触媒の存在下に行い、かつ前記の1−フェニルエタノールを含む塔底液について30〜180℃の温度にて行なう苛性洗浄を多段階で行う方法であって、第1苛性洗浄において該塔底液中に含まれるモリブデンに対し1〜50倍当量の苛性ソーダを含む水溶液で洗浄することにより水相にモリブデンを回収した後、次に残存する酸性成分を中和するのに充分な量の苛性ソーダを含む水溶液を用いて第2苛性洗浄を行なうことからなるプロピレンオキシドとスチレンモノマーの製造法に係るものである。
【0009】
本発明によれば、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含むエポキシ化混合物から、通常未反応のプロピレンの分離後に、苛性洗浄および水洗浄を行うことなく蒸留に付することによって、プロピレンオキシドおよび1−フェニルエタノールをプロピレンオキシドの損失を伴うことなく回収し、その蒸留のプロピレンオキシドを含まない塔底液について、苛性洗浄および水洗浄することにより、プロセス液の乳化を伴うことなく良好な分液性でもって油水の分液を行うことが可能となる。その結果、油相中のナトリウム塩濃度を低減することができる。このことにより、後工程の脱水反応の前段階としてナトリウム塩を蒸留残渣重質分として分離する必要がなくなりエネルギー的に極めて有利とすることができる。
【0010】
モリブデンを有利に反応混合液から分離回収するに際しては、前述のプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含むエポキシ化混合物を蒸留して得られるプロピレンオキシドを含まない塔底液について行う苛性洗浄を多段階で行ない、第1苛性洗浄にて該塔底液中に含有されるモリブデンに対して1〜50倍当量の苛性ソーダを含む水溶液で洗浄し、モリブデンを分離し、次に第2苛性洗浄にて、残存する酸性成分を中和するのに充分な量の苛性ソーダを含む水溶液で洗浄し、酸性成分を除去する方法が採用できる。
【0011】
この方法により、良好なる分液性のもとに分液することができ、反応液からのモリブデンの分離回収を達成することができる。反応混合液からモリブデンを除去することにより、モリブデンを含む廃アルカリ水溶液の量を大幅に減少させることが可能となり、コスト的に有利となる。
【0012】
また、廃アルカリ水溶液からモリブデンを回収するに際しても、モリブデンの濃縮等の操作面において本法は有利となる。
【0013】
また、モリブデンを分離した後の第2苛性洗浄で得られる廃アルカリ水溶液の処理についてもすでにモリブデンを除去してあることから、微生物処理あるいは活性汚泥処理のコスト的に有利な方法を採用することができる。
【0014】
以下詳細に説明する。
【0015】
プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含有するエポキシ化混合物はまず蒸留に付し、塔頂からプロピレンオキシドを回収し、塔底から1−フェニルエタノール含有液を回収する。本蒸留に付される混合物は、通常エポキシ化反応の後に未反応のプロピレンを分離したものである。混合物中におけるプロピレンオキシドの濃度は、通常3〜30重量%である。
【0016】
混合物中におけるプロピレンオキシド以外の成分としては、たとえばエチルベンゼン、1−フェニルエタノール、アセトフェノン、フェノール、水などをあげることができる。なお、水の含有濃度は、通常0.01〜0.5重量%程度である。フェノールの含有量は、0.05〜0.5wt%程度である。また該混合溶液中にはギ酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸類が微量含まれ、その量は通常0.005〜0.1wt%程度である。
【0017】
蒸留を行うに際しては、蒸留塔の塔底温度を120〜180℃とすることが好ましく、更に好ましくは130〜170℃である。塔底温度が低過ぎる場合は、プロピレンオキシドの分離回収が困難になる。塔底温度が高過ぎる場合は、有効成分の損失を招く場合がある。蒸留圧力は、通常塔頂圧力0.1〜6気圧、好ましくは0.5〜4気圧である。
【0018】
また、本蒸留時におけるプロピレンオキシドの損失を低減させるために、添加剤を加えてもよい。加える添加剤としては種々の化合物が用いられるが、沸点が40〜150℃の炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、ニトリル、アミン等を挙げることができる。加える添加剤の量は特に制限はないが、通常プロピレンオキシドに対し、0.001〜10倍重量である。
【0019】
次に、取得した1−フェニルエタノールを含む塔底液は苛性洗浄および水洗浄に付される。
【0020】
苛性洗浄は30〜180℃、好ましくは40〜160℃の温度、また1〜20気圧の圧力のもとで水酸化ナトリウム水溶液を用いて行うことができる。用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度は通常1〜48重量%、好ましくは5〜30重量%である。また用いる水酸化ナトリウムの量は、前述の塔底液中に含まれるモリブデン触媒、有機酸及びフェノール類などの酸性成分を中和するのに充分な量であればよく、これらの酸性成分の合計の酸量以上の当量であればよい。水酸化ナトリウム水溶液の使用量は特に限定されないが、例えば前述の塔底液100重量部に対し3〜20重量部である。苛性洗浄における前記塔底液と水酸化ナトリウム水溶液とは短時間で充分な混合が行なわれるのがよく、混合時間は1〜300分、好ましくは5〜60分である。
【0021】
前記の苛性洗浄後に、分液した後の有機相中のナトリウム含有量を低減させるのに水洗を行うのが好ましい。
【0022】
この水洗は、水酸化ナトリウムの濃度が0〜3重量%の中性水あるいは希薄水酸化ナトリウム水溶液を用い、30〜180℃、好ましくは40〜160℃の温度、また1〜20気圧の圧力のもとで行うことができる。有機相に対する水相の使用量は通常0.005〜0.5重量倍であり、有機相と水相の混合時間は1〜300分、好ましくは5〜60分である。場合によっては分液した後の有機相についてさらにナトリウム含有量を低減させるため同様の条件で複数回の水洗を行ってもよく、また連続多段向流等のプロセスによって行ってもよい。
【0023】
一方、1−フェニルエタノールを含む蒸留塔底液に苛性洗浄の際に、有利にモリブデンを水相中に分離回収するための第1苛性洗浄の条件は30〜180℃、好ましくは40〜160℃の温度、1〜20気圧の圧力のもとで行うことができる。用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度としては1〜48重量%、好ましくは1〜30重量%である。用いる水酸化ナトリウムの当量は前記塔底液中に含有されるモリブデンに対し1〜50倍当量用いることができる。モリブデンを分離した有機相に対して行う第2苛性洗浄およびその後の水洗の条件はそれぞれ前述と同じである。得られたモリブデン含有量の少ない廃アルカリ水溶液は、通常の生物活性汚泥処理、あるいは通常の微生物処理によりコスト的に有利に処理することができる。
【0024】
以上のように苛性洗浄処理および水洗浄処理して、モリブデン触媒および有機酸等の成分を除去し、かつナトリウム塩も低減された有機相は、次に蒸留に付しエチルベンゼン等を蒸留分離した塔底液として、1−フェニルエタノールを含有する脱水原料が得られる。このエチルベンゼンを分離する蒸留は、圧力を5mmHgから760mmHg、好ましくは50〜500mmHgの範囲で行うことができる。また塔底温度としては20〜200℃、好ましくは30〜180℃の範囲で行うことができる。このとき1−フェニルエタノール含む塔底液中のエチルベンゼン濃度は、通常0.001〜20wt%である。
【0025】
前述の苛性洗浄と水洗浄処理して得た有機相からエチルベンゼン等を蒸留分離した塔底液は、主要成分としての1−フェニルエタノールとともに前工程において副生した酸素含有有機重質成分を含有している。本発明においては、この酸素含有機重質成分を分離することなく、1−フェニルエタノールとともに脱水反応に供給する。
【0026】
本脱水反応は、例えば硫酸等の鉱酸、あるいはp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、アルミナ等の固体酸等の触媒を用い、液相にて行うことができる。用いる酸性触媒の量としては、脱水原料として用いる1−フェニルエタノールを含有する液1重量部に対して、0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.1重量部である。
【0027】
脱水反応条件としては圧力は、5〜760mmHg、好ましくは50〜500mmHgとすることができる。反応温度としては、100〜500℃、好ましくは150〜300℃である。生成したスチレンモノマーは、できるだけ反応系内に滞留させることなく、すみやかに反応系外に留出させることが好ましい。その際、蒸留あるいは精留塔を設け、脱水原料である1−フェニルエタノールが同伴して系外に留出することを防ぐこともできる。
【0028】
また、スチレンモノマーの重合による損失を防ぐために重合禁止剤を使用することもできる。また、本脱水反応は、アルミナ、ゼオライトなどの固体酸触媒を用いて、気相反応で行うこともできる。この際には、圧力0.1〜10気圧、温度150〜500℃、滞留時間0.1〜100秒で行うことができ、また、スチレンモノマーの重合による損失を防ぐため重合禁止剤や水等の希釈剤を添加してもよい。
【0029】
【実施例】
以下実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0030】
実施例1
プロピレンオキシドの蒸留分離の例を示す。
エチルベンゼン59.9重量%、1−フェニルエタノール30.2重量%、アセトフェノン5.6重量%、ベンズアルデヒド0.2重量%及びフェノール0.2重量%からなる初期仕込み液を蒸留塔(段数:クロルベンゼンとエチルベンゼンを用いた段検定により34段、充填材:ヘリパックNo.2、塔内径:30mm) の塔底に仕込み、窒素雰囲気の大気圧下で加熱し、蒸留を開始した。塔底液の加熱開始約1時間後に、液相下、エチルベンゼンを分子状酸素により酸化し、エチルベンゼンハイドロパーオキシドを含有する反応液を得、次に該反応液を蒸留し、エチルベンゼンハイドロパーオキシドの濃縮液を得、更に該濃縮液とプロピレンをモリブデン触媒の存在下に反応させ、プロピレンオキシドを生成させる反応により得られるプロピレンオキシドを含有する溶液にイソプロパノールを添加した溶液であって、その組成が例えば、プロピレンオキシド10.37wt%、エチルベンゼン50.73wt%、1−フェニルエタノール20.08wt%、その他微量成分としてフェノール0.12wt%、水0.063wt%、ギ酸0.011wt%、酢酸0.006wt%、またイソプロパノール4.90wt%(プロピレンオキシドに対して47.3wt%)を含む溶液を蒸留塔の中程の段より200g/hrで供給し、蒸留を続行した。その後、2時間毎に塔底、塔頂及び蒸留塔の中程にある水分離し、抜き出しを行うためのチムニー部より留出分を抜き出し、秤量した後、成分を分析した。この際、塔頂部の温度は69〜77℃、チムニー部蒸留塔の塔底から17段目に設けた水抜出しのための部分の液温度は69〜77℃、塔底部の温度147〜148℃であった。蒸留は供給液の供給開始後11時間行い、合計2176.4gの液を供給し、塔頂からの留出液303.1g及び塔底からの抜き出し液1871.8gを得た。
【0031】
各サンプリング液の成分分析の結果からプロピレンオキシドが蒸留中に反応して生成したプロピレングリコールの生成はなく、更に蒸留中に反応して生成したプロピレングリコール、プロピレングリコールとプロピレンオキシドの付加体、フェノールとプロピレンオキシドの付加体、1−フェニルエタノールとプロピレンオキシドの付加体、ギ酸とプロピレンオキシドの付加体、酢酸とプロピレンオキシドの付加体、プロピオン酸とプロピレンオキシドの付加体のついてバランス計算を行ない、供給したプロピレンオキシドに対する蒸留時における損失割合を算出した。その結果、供給したプロピレンオキシドの蒸留による損失はなく、すなわち供給したプロピレンオキシドはそのすべてが回収されたことがわかった。
【0032】
実施例2
苛性洗浄の例を示す。
エチルベンゼンを分子状酸素により、酸化したエチルベンゼンハイドロパーオキシドを含有する反応液を蒸留し、得られたエチルベンゼンハイドロパーオキシドの濃縮液とプロピレンをモリブデン触媒の存在下に反応させ、プロピレンオキシドを生成させる反応により得られるプロピレンオキシドを含有する液においてプロピレンオキシドを蒸留分離した塔底液であって、その組成が例えばエチルベンゼン60.49wt%、アセトフェノン4.30wt%、1−フェニルエタノール24.10wt%、その他微量成分としてフェノール0.15wt%、ギ酸0.0044wt%、酢酸0.0001wt%を含む液をオートクレーブ内に200.0gr、そして10%水酸化ナトリウム水溶液を10.0gr仕込み、窒素雰囲気5.0気圧下、油層温度40℃で撹拌速度500rpmで15分間洗浄を行った。その後撹拌を停止し、同温度、同圧力で30分間静置した。油水の分液は良好であった。油層を抜き出し、原子発光スペクトルにより分析を行ったところ、油層中のナトリウム濃度は236ppmであった。
【0033】
実施例3〜4
処理温度を60〜100℃、圧力5.0〜5.5気圧、撹拌速度を500rpmとして、以下実施例2と同様の方法で検討した結果を表1に示す。なお、油水の分液性は良好であった。
【0034】
実施例5
水洗浄の例を示す。
実施例2の方法に従い、プロピレンオキシドを蒸留分離した塔底液を10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて苛性洗浄した溶液をオートクレーブ内に78.0gr、そして純水を52.0gr仕込み、窒素雰囲気3気圧下、油層温度40℃で撹拌速度500rpmで15分間洗浄を行った。その後撹拌を停止し、同温度、同圧力で30分間静置した。良好な分液性を示した。油層中のナトリウム濃度は12.5ppmであった。
【0035】
実施例6〜9
処理温度を60〜180℃、圧力3〜12気圧、撹拌速度500rpmで以下実施例5と同様の方法で検討した結果を表2に示す。なお、油水の分液性は良好であった。
【0036】
実施例10
実施例5の水洗浄後の油層78.0grと純水52.0grをオートクレーブ内に仕込み、窒素雰囲気3.5気圧下、油層温度40℃、撹拌速度500rpmで15分間洗浄を行った。その後撹拌を停止し、同温度、同圧力で30分間静置を行った。分液は良好であった。油層中ナトリウム濃度は1.8ppmであった。
【0037】
実施例11〜13
処理温度を60〜120℃、圧力3.5〜5.4気圧、撹拌速度499−502rpmで以下実施例10と同様の方法で検討した結果を表3に示す。いずれも良好な分液性を示すとともに、油層中のNa量は相当に低減できた。
【0038】
実施例14
プロピレンオキシド製造において使用されるモリブデン触媒の除去方法について検討した結果を示す。
【0039】
エチルベンゼンを分子状酸素により酸化したエチルベンゼンハイドロパーオキシドを含有する反応液を蒸留し、その後濃縮した液とプロピレンをモリブデン触媒の存在下に反応させ、プロピレンオキシドを生成させる反応により得られるプロピレンオキシドを含有する液において、プロピレンオキシドを蒸留分離した塔底液であって、その組成が例えばエチルベンゼン60.49wt%、アセトフェノン4.30wt%、1−フェニルエタノール24.10wt%、その他微量成分としてフェノール0.15wt%及びモリブデン60ppmを含む溶液をオートクレーブ内に180.0gr、そして1%水酸化ナトリウム水溶液を9.0gr仕込み、窒素雰囲気2.3気圧下、油層温度120℃で撹拌速度500rpmで15分間洗浄を行った。その後撹拌を停止し、同温度、同圧力で30分間静置した所、良好な分液性を示した。油層を抜き出し、原子発光スペクトルにより分析を行ったところ油層中のモリブデン濃度は2.4ppmであった。
【0040】
実施例15〜17
以下、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を変化させた以外は実施例14と同様の方法によって検討して、結果を表4に示す。いずれも分液性は良好であり、油層中のモリブデンの大部分を水層に除くことができた。
【0041】
実施例18
苛性洗浄および水洗後の有機相から、エチルベンゼンを蒸留分離する例を示す。
【0042】
液相下、エチルベンゼンを分子状酸素により酸化し、エチルベンゼンハイドロパーオキシドを含有する反応液を得、更に該濃縮液とプロピレンを混合してモリブデン触媒の存在下に反応させ、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを得、プロピレンオキシドを蒸留により塔頂分離し、塔底溶液を10%水酸化ナトリウム水溶液で苛性洗浄、更に純水を用いて2回水洗した溶液であって、その組成が例えばエチルベンゼン60.35wt%、アセトフェノン4.66wt%、1−フェニルエタノール30.54wt%、その他微量成分としてベンズアルデヒド0.15wt%、フェノール0.03wt%を含む溶液を蒸留塔(段数:37〜38段、充填剤:ヘリパックNo.2、塔内径:50φ)の塔底に655.00gr仕込み、窒素雰囲気200mmHg下加熱し、塔底温度108.0℃で4時間、100mmHgおよび塔底温度145℃で6時間蒸留を行った。本蒸留において塔頂留出分1028.5gr、塔底釜残量604.12grであり、成分分析の結果から塔底留出液のエチルベンゼン濃度は0.01wt%で塔頂より99.34%のエチルベンゼンを留去した。
【0043】
実施例19
脱水反応の例を示す。
ガラス製反応蒸留塔を用い、塔底フラスコ中への初期仕込みとして1−フェニルエタノールをp−トルエンスルホン酸触媒を用いて脱水反応させた時に生成したタール液約200gを仕込み、200mmHg下で210℃に加熱した。供給原料は実施例18の方法に従ってエチルベンゼンを蒸留分離した1−フェニルエタノールおよび酸素含有有機重質成分を含む溶液であって、その組成が、アセトフェノン8.86wt%、1−フェニルエタノール84.40wt%、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールの付加体0.48wt%、ビス−1−フェニルエチルエーテル1.45wt%、その他4.81wt%の溶液を塔底部より204.3g/hrで供給し、反応蒸留を行った。反応開始後4時間目から1時間毎に塔底および塔頂留出分を抜き出し、成分分析した。
【0044】
その結果、1−フェニルエタノール転化率は96%であり、スチレン生成量は142.9g/hrであった。原料中の1−フェニルエタノールを基準とするスチレンの収率は97%となる。
【0045】
また、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールの付加体の転化率は99%以上であり、ビス−1−フェニルエチルエーテルの転化率は95%であった。
【0046】
この結果から、1−フェニルエタノールを含む原料中に酸素含有有機重質成分として存在するプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールの付加体やビス−1−フェニルエチルエーテルからも約1%の付加的なスチレンが回収することができた。
【0047】
【表1】
Figure 0003552306
【0048】
【表2】
Figure 0003552306
【0049】
【表3】
Figure 0003552306
【0050】
【表4】
Figure 0003552306
【0051】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、液相下、エチルベンゼンを分子状酸素により、エチルベンゼンハイドロパーオキシドに酸化し、該ハイドロパーオキシドをプロピレンと反応させて、プロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを形成した後の反応混合物から未反応のプロピレンを分離した後のエポキシ化混合物について蒸留あるいはアルカリ水溶液処理等を組み合わせることにより、プロピレンオキシドの加水分解による収率低下を伴わず、またアルカリ水溶液処理における分液時の乳化問題も伴わず、またナトリウムのキャリーオーバーの問題も伴わず、またモリブデンを有利に回収し、また廃アルカリ水溶液を有利に処理し、またナトリウムキャリーオーバーが低減した1−フェニルエタノールを含む有機相について、重質残留物を分離することなく有利にスチレンモノマーに脱水反応させ、結果として有利にプロピレンオキシドとスチレンモノマーを製造する方法を提供することができた。

Claims (3)

  1. 液相下、エチルベンゼンを分子状酸素によりエチルベンゼンハイドロパーオキシドに酸化し、該ハイドロパーオキシドをプロピレンと反応させてプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを含有するエポキシ化反応液を取得し、該エポキシ化液から蒸留によってプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを別々に回収し、そして1−フェニルエタノールをスチレンモノマーへ脱水することを含むプロピレンオキシドとスチレンモノマーの共製造法において、エポキシ化反応液を未反応のプロピレンを分離した後に蒸留に付し、プロピレンオキシドを含む塔頂液と1−フェニルエタノールを含む塔底液を取得し、次いで該塔底液について30〜180℃の温度にて苛性洗浄および水洗浄を行うことにより酸性成分並びにナトリウム含有量が低減した1−フェニルエタノール含有有機相を取得し、ここからエチルベンゼンを分離した後に該有機相中に含まれる酸素含有有機重質成分を分離することなく1−フェニルエタノールとともに脱水反応に供給し、スチレンモノマーを製造することからなるプロピレンオキシドとスチレンモノマーの製造法。
  2. 請求項1において、エチルベンゼンハイドロパーオキシドとプロピレンとのエポキシ化反応をモリブデン触媒の存在下に行い、かつ前記の1−フェニルエタノールを含む塔底液について30〜180℃の温度にて行なう苛性洗浄を多段階で行う方法であって、第1苛性洗浄において該塔底液中に含まれるモリブデンに対し1〜50倍当量の苛性ソーダを含む水溶液で洗浄することにより水相にモリブデンを回収した後、次に残存する酸性成分を中和するのに充分な量の苛性ソーダを含む水溶液を用いて第2苛性洗浄を行なうことからなる請求項1記載の製造法。
  3. 請求項2において、第2苛性洗浄で得られた廃アルカリ水溶液の処理方法として、活性汚泥処理に付すことを含む請求項2記載の製造法。
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