JP3551812B2 - 電気楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弓等の駆動部材によって弦等の発音源を駆動させて演奏を行う電気バイオリン等の電気楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
弓による擦弦動作によって生じる弦の振動を、駒に埋設されたピックアップで検出し、その検出信号から楽音信号を生成する電気バイオリンが各種提供されている。また、バイオリンの本体を構成する響胴内部にマイクロフォンを設け、このマイクロフォンによって検出される電気信号に対して何等かの処理を施して出力する、といった構成の電気バイオリンも提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような従来の電気バイオリンは、弓による擦弦動作に応じて生じた弦の振動を、駒を介してピックアップしたり、響胴の共鳴により生じた振動を検出する、といった構成であった。ここで、ピックアップやマイクロフォンによって検出される振動は、弦に生じた振動に対して駒や響胴に対応したフィルタリングを施した後の振動となる。従って、この検出された振動に基づいて生成される楽音は、立ち上がりが緩やかで、高調波成分がカットされた楽音となってしまうため、演奏者が意図する多様な演奏表現を充分に実現することが困難であるといった問題が生じていた。この問題は、バイオリンのような擦弦楽器のみならず、管楽器や打楽器など、発音源(弦、パッド、マウスピース等)と、これを駆動するための部材(弓、スティック、リード等)との相互作用により楽音を発生する全ての電気楽器に共通の問題である。
【0004】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、豊かな演奏表現を実現可能な電気楽器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の電気楽器は、楽器本体に設けられた振動体を振動させるための駆動部材と、前記振動体を振動させるときの前記駆動部材の振動を検出して駆動部材側振動信号を出力する駆動部材側信号生成手段と、前記駆動部材側信号生成手段によって出力された前記駆動部材側振動信号を楽音信号として出力する楽音信号生成手段とを具備することを特徴としている。
【0006】
このような構成とすることにより、振動体から得られる楽音の他に、駆動部材から得られる楽音を出力することができるから、振動体から得られる楽音のみを出力する場合と比較して、より豊かな演奏表現が実現可能となる。
【0007】
また、請求項2に記載の電気楽器は、請求項1に記載の構成において、前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段と、前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された振動信号に対応した電子音源楽音信号を出力する電子音源を具備することを特徴としている。このような構成とすることにより、振動体から得られる信号の他、駆動部材側信号生成手段によって出力される信号により電子音源を駆動することができるから、より多様な楽音を出力することができる。
【0008】
また、請求項3に記載の電気楽器は、請求項1に記載の構成において、前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号と、前記駆動部材側振動信号とをミキシングして前記楽音信号を形成するミキシング手段を具備することを特徴としている。また、請求項4に記載の電気楽器は、請求項2に記載の構成において、前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号、前記駆動部材側振動信号、および前記電子音源によって出力される電子音源楽音信号をミキシングして前記楽音信号を形成するミキシング手段を具備することを特徴としている。このような構成とすることにより、振動体から得られる楽音または電子音源から得られる楽音に対して、駆動部材から得られる楽音の特徴を付与することができるという利点がある。
【0009】
また、請求項5に記載の電気楽器は、請求項1に記載の構成において、前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちのいずれか一方の振動信号を選択する選択手段を具備し、前記選択手段により選択された振動信号を前記楽音信号として出力することを特徴としている。また、請求項6に記載の電気楽器は、請求項2に記載の構成において、前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号、前記駆動部材側振動信号、および前記電子音源によって出力される電子音源楽音信号のうちの少なくとも一の振動信号を選択する選択手段を具備し、前記選択手段によって選択された振動信号を前記楽音信号として出力することを特徴としている。このような構成とすることにより、振動体から得られる楽音、駆動部材から得られる楽音、および電子音源から得られる楽音とを選択的に切換えて出力することができるから、より演奏者の好みに合った楽音を出力することができるという利点がある。
【0010】
また、請求項7に記載の電気楽器は、請求項1に記載の構成において、前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号を前記駆動部材側振動信号によって変調する変調手段を具備し、前記変調手段による変調後の信号を前記楽音信号として出力することを特徴としている。このような構成とすることにより、振動体から得られる楽音に対して、駆動部材から得られる楽音の特徴を付与することができるという利点がある。
【0011】
また、請求項8に記載の電気楽器は、請求項1に記載の構成において、前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段と、前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号に対応した振動を生成する振動生成手段と、前記振動生成手段によって生成された振動を与えることによって共鳴し、これにより楽音を発生する発音体とを具備することを特徴としている。
【0012】
このような構成とすることにより、演奏者が演奏を行う部材と、該演奏に対応した楽音を発生する共鳴体とを、物理的に隔たった位置に配置することができる。これにより、より多様な態様により電気楽器の演奏を行うことができるという利点がある。
【0013】
また、請求項9に記載の電気楽器は、請求項2から8の何れかに記載の構成において、記憶手段と、前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号の時間的な変化を前記記憶手段に書き込む書込手段とを具備することを特徴としている。
【0014】
このような構成とすることにより、記憶手段に記憶された信号の時間的な変化を分析し、演奏の評価を行うことができる。特に、駆動部材側信号生成手段によって出力された信号は、演奏者の微妙な動作が反映されやすいという特徴を有するから、このような信号を分析することにより、より的確な評価を行うことができるという利点がある。また、駆動部材側信号生成手段によって出力された信号を分析することにより、演奏者が駆動部材を用いて行った演奏動作の評価も行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、本発明を電気バイオリンに適用した場合を例に説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0016】
A:実施形態の構成
図1は、本発明の第1の実施形態である電気バイオリンの全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、この電気バイオリンは、弓(駆動部材)1、バイオリン本体2、DSP(Digital Signal Processor)3および4、振動信号処理部5、記憶部6、アンプ7ならびにスピーカ8により構成されている。そして、この電気バイオリンの演奏者は、通常の自然楽器のバイオリン(以下、「自然バイオリン」という)と同様に、弓1によってバイオリン本体2の弦23を擦弦等することによって演奏を行う。
【0017】
図2(a)は、本実施形態にかかる電気バイオリンの弓1の構成を示す平面図である。同図に示すように、この弓1は、発音源である電気バイオリン本体2の弦23に対して振動を与えるための駆動部材として機能するものであり、弓身11、弓毛12、フロッグ(毛箱)13により概ね構成されている。そして、弓身11の一端に概ね直方体の形状をなすフロッグ13が固設されるとともに、弓毛12が弓身11の他端である弓先14とフロッグ13との間に、張力を与えられた状態で支持された構成となっている。以上の構成は自然バイオリンの弓の構成と同様であるが、本実施形態にかかる電気バイオリンの弓1は、これらの各部の他、弓側ピックアップ10(駆動部材側信号生成手段)を備えた構成となっている。
【0018】
ここで、図2(b)は、図2(a)に示した弓1のうち、上述したフロッグ13付近の拡大図である。この図2(b)に示すように、本実施形態にかかる弓1は、フロッグ13の側面であって弓毛12の近傍の位置に、弓側ピックアップ10が装着された構成となっている。この弓側ピックアップ10は、例えば、圧電素子により構成される加速度ピックアップである。そして、演奏者が該弓1によってバイオリン本体2に張設された弦23を擦弦した際に生じる弓毛12の振動が伝播してこの弓側ピックアップ10に至り、電気信号である振動信号(以下、「弓側振動信号」という)を生成して出力する。なお、この弓側ピックアップ10は、弓に生じた振動に対応した振動信号を生成できるものであればよく、上述した加速度ピックアップの他、例えば速度または変位検出用のピックアップや、力検出用のフォースゲージ等を用いることもできる。
【0019】
次に、図3(a)は、本実施形態にかかる電気バイオリン本体2の外観を示す平面図である。同図に示すように、電気バイオリン本体2は、中空の箱体である響胴21と、この響胴21から延出した姿勢で響胴21に固定されたネック22と、4本の弦(発音源)23とを有している。そして、ネック22の先端部近傍に設けられた糸巻24と、響胴21を構成する表板25に固定された緒止板26とが、これら4本の弦23を張力を与えた状態で支持している。さらに、響胴21を構成する表板25と弦23との間には駒27が挟持されており、これにより、弦23に生じた振動が駒27を介して響胴21に伝達されるようになっている。このようにして伝達された振動によって、響胴21に共鳴が起こる。
【0020】
図3(b)は、図3(a)に示した電気バイオリン本体2を、図3中の矢印Aの方向から見た場合の、駒27付近の拡大図である。図3(b)に示すように、この電気バイオリン本体2は、響胴21の表板25上の駒27が接触する位置に、本体側ピックアップ20が埋設された構成となっている。この本体側ピックアップ20は、上述した弓側ピックアップ10と同様の加速度ピックアップであり、弦23から駒27を介して伝達された振動と響胴21の共鳴による振動とを受け、この振動に対応した振動信号(以下、「本体側振動信号」という)を出力する。なお、本体側ピックアップ20の電気バイオリン本体2への組込位置は、図3(b)に示す位置に限られるものではない。例えば、ネック22や響胴21に接触する位置に配置し、弦23から駒27を介してこれらの各部に伝達された振動を検出するものであってもよい。
【0021】
なお、本実施形態においては、後述するように、DSP3により、本体側振動信号に対して自然バイオリンの響胴の周波数特性を付加する構成となっている。従って、本実施形態にかかる電気バイオリンの響胴21は、自然バイオリンの響胴と同様の周波数特性を有する必要がないため、自然バイオリンの響胴とは異なる(例えば、大きさが小さい)構成としてもよい。この場合、もちろん、ピックアップ−電気音響系を作動しなくても、楽器本体により、比較的小音量で楽音を出力することができる。
【0022】
再び図1に戻り、DSP3は、本体側ピックアップ20から出力される本体側振動信号に対して、図1中の式によって表される演算を行う。具体的には、DSP3は、このような演算を行うことにより、自然バイオリンの響胴である仮想胴のシミュレートを行う。すなわち、本体側ピックアップ20を介して得られる実体胴(響胴21)の周波数特性を伴った本体側振動信号から当該周波数特性をキャンセルするとともに、任意の自然バイオリンの響胴である仮想胴の周波数特性のみが付与された本体側振動信号を生成して出力するのである。ここで、図1中に示した演算式において、IRF(Inverted Filter)とは、実体胴や仮想胴の伝達関数の逆数を表している。
【0023】
なお、図1中の破線aで示すように、ユーザからの指示に応じて、本体側ピックアップ20から出力される本体側振動信号を、DSP3に出力するのか、直接振動信号処理部5に出力するのか、またはDSP3および振動信号処理部5の両方に出力するのかを選択できるようにしてもよい。
【0024】
DSP4は、DSP3から出力された本体側振動信号に対して所定の演算を行い、任意の音場のシミュレートを行う。すなわち、例えば、DSP4は、供給される本体側振動信号に対して、コンサートホール、教会またはライブハウス等の音場特性を付与して出力する。なお、図1中の破線bで示すように、ユーザからの指示に応じて、DSP3から出力される本体側振動信号を、DSP4に出力するのか、振動信号処理部5に出力するのか、またはDSP4および振動信号処理部5の両方に出力するのかを選択できるようにしてもよい。図1中の破線aおよびbで示すように、ユーザからの指示に応じて振動信号処理部5に供給される信号を選択的に切換えることができるようにした場合、各ユーザの好みに応じて種々の音色の楽音を出力することができるから、より多様な演奏を楽しむことができるという利点がある。
【0025】
振動信号処理部5は、供給される弓側振動信号および本体側振動信号をミキシングして出力する。ここで、振動信号処理部5は、ユーザからの指示に応じて、弓側振動信号と本体側振動信号とのミキシング比を変更することができるようになっている。従って、ユーザは、弓側振動信号および本体側振動信号のいずれか一方のみを選択して出力することも可能である。さらに、この振動信号処理部5は、ユーザからの指示に応じ、弓側振動信号および本体側振動信号のいずれか一方または両方の信号波形を記憶部6に書き込むことができるようになっている。
【0026】
アンプ7は振動信号処理部5の出力信号を増幅して出力する。アンプ7によって増幅された信号は、スピーカ8から出力される。なお、図3に示したスピーカ8の代わりにヘッドフォンを設けた構成としてもよい。
以上が本実施形態にかかる電気バイオリンの構成である。
【0027】
B:実施形態の動作
次に、本実施形態にかかる電気バイオリンの動作を説明する。
まず、演奏者が弓1を用いて弦23を擦弦すると、この擦弦動作に伴って弦23が振動する。この弦23に生じた振動は、駒27を介して響胴21に伝達され、この振動により響胴21の共鳴が起こる。これにより、響胴21の表板には、駒27を介して伝達された弦23の振動と、響胴21の共鳴による振動とが生じることとなる。本体側ピックアップ20は、表板25に生じるこのような振動を検出し、これらの振動の波形に相似した電気信号である本体側振動信号を生成して、DSP3に出力する。また、響胴21の共鳴により、楽音が放射されることとなるが、この放射音は、図示しない音量制御装置によって消音することが可能である。
【0028】
DSP3は、供給された本体側振動信号に対して図中の式で表される演算を行って出力する。上述したように、この演算により、本体側振動信号が有する電気バイオリン本体2の響胴21(実体胴)の周波数特性をキャンセルするとともに、該本体側振動信号に自然バイオリンの響胴(仮想胴)の周波数特性を付与する。このようにすることにより、本体側振動信号に基づいてスピーカ8から出力される楽音を、自然バイオリンの楽音に近似させることができる。
【0029】
DSP4は、DSP3から出力された本体側振動信号に対して、予め設定された音場特性を付与して振動信号処理部5に出力する
【0030】
一方、上述したような擦弦動作に伴って、弓1に張設された弓毛12も振動する。そして、弓側ピックアップ10は、この振動の波形に相似した電気信号である弓側振動信号を生成して、振動信号処理部5に出力する。これにより、弦の振動と同じピッチ(音高感)の信号音が得られる。
【0031】
振動信号処理部5は、弓側ピックアップ10から供給される弓側振動信号と、DSP4から供給される本体側振動信号とを、ユーザによって指定されたミキシング比でミキシングして出力する。なお、図1に示す破線aおよび破線bで示すように、本体側ピックアップ20またはDSP3からも本体側振動信号が供給される場合、振動信号処理部5は、弓側ピックアップ10から供給される弓側振動信号と、本体側ピックアップ20、DSP3およびDSP4から供給される本体側振動信号とをミキシングして出力する。
【0032】
ここで、ユーザによって図示しない操作部(スイッチ等)が操作され、振動の波形を記憶すべき旨の指示が与えられた場合には、振動信号処理部5は、入力された弓側振動信号および本体側振動信号のうちのいずれか一方または両方の時間的な変化を、記憶部6に順次書き込む。
【0033】
この振動信号処理部5からの出力信号は、アンプ7によって増幅され、スピーカ8から出力される。なお、弓側振動信号と本体側振動信号とは、ほぼ同じピッチの信号であるから、これらをミキシングして出力された楽音は、弓側振動信号による楽音と、本体側振動信号による楽音とが違和感なくミキシングされた楽音となる。
以上が本実施形態にかかる電気バイオリンの動作である。
【0034】
以上説明した動作において、弦23に生じた振動は、駒27を介し、響胴21の共鳴を起こすため、フィルタリングが施されることとなる。従って、本体側ピックアップ20によって出力された本体側振動信号に基づいて出力される楽音は、高調波成分が減衰して少なく、比較的緩やかなアタック部を有する楽音となる。これに対し、弓側ピックアップ10によって出力された弓側振動信号はこのようなフィルタリングを施されることがない。従って、この弓側振動信号に基づいて出力される楽音は、上述した本体側振動信号に基づいて出力される楽音と比較して、高調波成分を豊富に含み、アタック部が鋭い、刺激的な楽音となる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる電気バイオリンによれば、弦23に生じた振動の他、弓1に生じた振動に対応した振動信号を用いて演奏を行うことができる。従って、従来の電気バイオリンのように、本体側振動信号に基づいた楽音のみを出力する場合と比較して、豊かな演奏表現を実現することができる。
【0036】
また、弓側振動信号と本体側振動信号とのミキシング比を任意に調節することができるから、各ユーザの好みに合った楽音を出力することができる。
【0037】
さらに、記憶部6に格納された振動信号の波形を、例えばFFT分析等することにより、演奏の評価を行うことができる。特に、弓側振動信号は、駒27等によりフィルタリングが施される本体側振動信号と比較して、演奏者の微妙な動作が反映されやすい。従って、弓側振動信号を分析することにより、的確な演奏の評価、特に、運弓動作に関する評価を行うことができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、振動信号の波形を記憶部に書き込む構成としたが、これに限らず、例えば、振動信号のピッチ(音高)のみを検出し、記憶部6に書き込む構成としてもよい。
【0039】
C:変形例
以上この発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であり、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0040】
<変形例1>
上記実施形態においては、本発明を電気バイオリンに適用した場合を例に説明したが、これに限らず、弓を用いて弦を振動させる楽器、例えば、ビオラ、チェロまたはコントラバス等であってもよいことは勿論である。
【0041】
また、本発明は、弓を用いて弦を振動させることによって楽音を発生させる楽器のみに適用が限定されるものではなく、何等かの駆動部材を用いて発音源を駆動することにより楽音を発生させる楽器であれば、どのような楽器についても適用可能である。例えば、スティック(駆動部材)によりパッド(発音源)を打撃することにより振動を与えるドラムに適用した場合には、パッドの振動による楽音の他、スティックの振動を検出し、該振動に対応した楽音を出力する構成としてもよい。同様に、リード(駆動部材)によってマウスピース(発音源)に振動を与えるサクソフォンやクラリネット等に本発明を適用した場合には、マウスピースに与えられた振動による楽音の他、リードの振動を検出し、検出された振動に対応した楽音を出力する構成としてもよい。
【0042】
このように、特許請求の範囲における「駆動部材」とは、弓、スティックおよびリードなど、楽音を発生する部材に振動を与えるための種々の手段を含む概念であり、「発音源」とは、上述したような弦、パッドおよびマウスピースなど、上記駆動部材によって駆動される種々の部材を含む概念である。
【0043】
<変形例2>
上記実施形態においては、弓側ピックアップ10および本体側ピックアップ20から出力された振動信号を振動信号処理部5においてミキシングして出力する構成としたが、これに限らず、これらの振動信号のうちの少なくとも一方から、ピッチや音量に関するMIDI信号を生成し、これを電子音源に出力することによって楽音を生成するようにしてもよい。この場合、振動信号処理部5は、弓側ピックアップ10、本体側ピックアップ20および電子音源の各出力を、任意のミキシング比でミキシングするようにしてもよい。
【0044】
また、以下のような構成としてもよい。例えば、自然バイオリンの響胴と同様の形状を有する箱体に電気信号を振動に変換するためのアクチュエータを設け、このアクチュエータと、弓側ピックアップ10および本体側ピックアップ20とを何等かの信号線によって接続する。そして、弓側ピックアップおよび本体側ピックアップから出力された振動信号のうちのいずれかまたは両方の振動信号を、この信号線を介して上記アクチュエータに伝達する。このようにして、弓または弦に生じた振動と同様の振動を上述した箱体に対して与えれば、この振動によって起こる箱体の共鳴により、楽音が発生する。このようにすることにより、演奏者が演奏を行う弓や弦と、楽音が発生する箱体とを物理的に隔たった位置に配置して演奏を行うことができるから、多様な演奏の態様を実現することができる。すなわち、バイオリン響胴型の電気楽音変換装置を提供することができる。
【0045】
<変形例3>
上記実施形態においては、弓側ピックアップ10から出力された弓側振動信号と、本体側ピックアップ20から出力された本体側振動信号とを、振動信号処理部5においてミキシングする構成としたが、これに限らず、例えば、2個のスピーカを設け、一方のスピーカから弓側振動信号に対応した楽音を、他方のスピーカから本体側振動信号に対応した楽音を、それぞれ出力する構成としてもよい。また、この時、例えば、上記変形例2のように、弓側振動信号からピッチを検出し、これに対応する所望の電子音源を駆動して、スピーカから楽音を出力するようにしてもよい。
【0046】
<変形例4>
上記実施形態においては、電気バイオリン本体が自然バイオリンの響胴とは異なる響胴を備え、弦からの振動が伝達すると、該響胴内で共鳴する構成としたが、これに限らず、電気バイオリン本体を、例えば図4に示すような構成としてもよい。なお、図4において、上述した図2と共通する部分については同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図4に示すように、本変形例における電気バイオリン本体2’は、上記実施形態における電気バイオリン本体のように中空の箱体である響胴21を持たず、ネック22および緒止板26を支持するための板状の胴部28を有した構成となっている。そして、この胴部28の片側には、自然バイオリンの響胴の形状を有する板状の部材がデザイン的に設けられ、この板状部材の反対側には、ユーザが演奏の際に顎に挟んで支持するための顎当てパッド29(図3(a)においては図示せず)が設けられた構成となっている。
【0048】
このような構成とした場合、自然バイオリンや上記実施形態における電気バイオリンのように、響胴の共鳴が起こることがないから、本体側ピックアップから出力される本体側振動信号には、上記実施形態のように響胴の周波数特性は付加されていない。従って、上記実施形態においては実体胴の周波数特性を打ち消して自然バイオリンの共鳴胴の周波数特性を付与する構成としたが、本変形例においては、実体胴の周波数特性を打消す必要がなく、単に自然バイオリンの周波数特性を付加すればよいこととなる。このようにしても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
また、電気バイオリンの響胴を、自然バイオリンの響胴と同じものとしてもよい。この場合には、本体側振動信号による楽音を自然バイオリンの楽音に近似させる必要がないから、上記実施形態におけるDSP3は不要となる。
【0050】
<変形例5>
上記実施形態においては、弓側ピックアップ10から出力された弓側振動信号と、本体側ピックアップ20から出力された本体側振動信号とをミキシングして出力する構成としたが、これに限らず、例えば、本体側ピックアップ20から出力された本体側振動信号に対し、弓側ピックアップ10から出力された弓側振動信号によって振幅変調等の変調を施すこととしてもよい。このようにすることにより、本体側振動信号による楽音に対して、弓側振動信号による楽音が有する特徴を付与することができるから、より多様な演奏を実現することができる。
【0051】
<変形例6>
上記実施形態においては、図2(b)に示したように、弓側ピックアップ10をフロッグ13の側面であって弓毛12の近傍の位置に設ける構成としたが、弓側ピックアップ10を設ける位置はこの位置に限られるものではない。例えば、演奏者が、該弓1を用いて擦弦動作を行う際に手で握る部分に、弓側ピックアップ10を設けることとしてもよい。このようにすれば、演奏者の弓1の持ち方によって弓側ピックアップ10が出力する弓側振動信号が変化することとなるから、さらに多様な演奏表現が可能となる。
【0052】
<変形例7>
上記実施形態においては、振動信号処理部5によるミキシングにおけるミキシング比を、ユーザが任意に設定できるようにしたが、このミキシング比は固定値であってもよい。この場合、例えば、弓側振動信号と本体側振動信号のミキシング比を1対4にすると、明るく刺激的な音色が得られる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、弦に生じ、駒および胴部内における共鳴によってフィルタリングされた振動信号の他、弓に生じた振動に対応した振動信号を用いて演奏することができるので、従来の電気バイオリンと比較して、より豊かな演奏表現を実現することができる。また、従来の電気楽器においては用いられることのなかった多様な情報、すなわち、奏法に関する情報などを取得して、演奏に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である電気バイオリンの全体構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は同実施形態における弓の構成を示す平面図であり、(b)は(a)に示すフロッグ付近の拡大図である。
【図3】(a)は同実施形態における電気バイオリン本体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)に示す電気バイオリン本体の駒付近の拡大図である。
【図4】同実施形態の変形例にかかる電気バイオリン本体の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1……弓(駆動部材)、2,2’……バイオリン本体、3,4……DSP、5……振動信号処理部(楽音信号生成手段、ミキシング手段、選択手段、変調手段、書込手段)、6……記憶部(記憶手段)、7……アンプ、8……スピーカ、10……弓側ピックアップ(駆動部材側信号生成手段)、11……弓身、12……弓毛、13……フロッグ、14……弓先、20……本体側ピックアップ、21……響胴、22……ネック、23……弦(発音源)、24……糸巻、25……緒止板、27……駒、28……胴部、29……顎当てパッド。

Claims (9)

  1. 楽器本体に設けられた振動体を振動させるための駆動部材と、
    前記振動体を振動させるときの前記駆動部材の振動を検出して駆動部材側振動信号を出力する駆動部材側信号生成手段と、
    前記駆動部材側信号生成手段によって出力された前記駆動部材側振動信号を楽音信号として出力する楽音信号生成手段と
    を具備することを特徴とする電気楽器。
  2. 前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段と、
    前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号に基づいて電子音源楽音信号を生成して出力する電子音源
    を具備することを特徴とする請求項1に記載の電気楽器。
  3. 前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、
    前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号と、前記駆動部材側振動信号とをミキシングして前記楽音信号を形成するミキシング手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気楽器。
  4. 前記楽音信号生成手段は、
    前記本体側振動信号、前記駆動部材側振動信号、および前記電子音源によって出力される電子音源楽音信号をミキシングして前記楽音信号を形成するミキシング手段を具備する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電気楽器。
  5. 前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、
    前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちのいずれか一方の振動信号を選択する選択手段を具備し、前記選択手段により選択された振動信号を前記楽音信号として出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気楽器。
  6. 前記楽音信号生成手段は、
    前記本体側振動信号、前記駆動部材側振動信号、および前記電子音源によって出力される電子音源楽音信号のうちの少なくとも一の振動信号を選択する選択手段を具備し、前記選択手段によって選択された振動信号を前記楽音信号として出力する
    ことを特徴とする請求項2に記載の電気楽器。
  7. 前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段を具備し、
    前記楽音信号生成手段は、前記本体側振動信号を前記駆動部材側振動信号に従って変調して前記楽音信号を形成する変調手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気楽器。
  8. 前記振動体の振動を検出して本体側振動信号を出力する本体側信号生成手段と、
    前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号に対応した振動を生成する振動生成手段と、
    前記振動生成手段によって生成された振動を与えることによって共鳴し、これにより楽音を発生する発音体と
    を具備することを特徴とする請求項1に記載の電気楽器。
  9. 記憶手段と、
    前記本体側振動信号および前記駆動部材側振動信号のうちの少なくとも一方の振動信号の時間的な変化を前記記憶手段に書き込む書込手段と
    を具備することを特徴とする請求項2から8の何れかに記載の電気楽器。
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