JP3550694B2 - エンジンの排気ガス還流装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジンにおいて排気ガスを吸気側に還流させるための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジンの中には、排気ガス中のNOx低減を図るべく、排気ガスを吸気側に還流させるための排気ガス還流装置を備えたものがある(例えば特公昭57−51539号公報参照)。このような装置により排気ガス還流を行えば、混合気の不活性化で燃焼温度を低下させることにより、NOxを低減させることができるとともに、吸気側への排気ガスの導入で吸気負圧を下げることにより、ポンピングロスを低減させ、燃費節減の効果を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、上記排気ガスは高温であるため、たとえ吸気通路中にインタクーラーを設けても、特に高負荷時、排気ガス還流を行うと吸気温度が上昇して充填効率が著しく下がる傾向がある。これを回避するには、冷媒、クーラー等の特別な冷却手段を用いて還流排気ガスを冷却した後に吸気側に導入すればよいが、これでは装置が大掛かりとなり、コストの増大も免れ得ない。また、還流排気ガス温度の制御を要する場合、排気ガスは熱容量が大きいので、上記冷却手段による温度制御では良好な応答性が期待できない。
【0004】
一方、低負荷時では、上記ポンピングロス低減を図るべく排気ガス還流を多量に行うと燃料が気化・霧化しにくくなって燃焼安定性が低下し、この現象は特に排気ガス還流温度が下がると顕著となる。従って、この低負荷時では上記高負荷時と逆に、比較的高温の還流排気ガスを吸気側に導入することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、特別な冷却手段を用いることなく、低負荷時等に比較的低温の排気ガスを還流することができる装置を提供し、さらに好ましくは、負荷状態に応じて還流排気ガス温度を高い応答性でもって制御することができる装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、排気ガスを吸気側に還流する第1排気ガス還流通路と、上記第1排気ガス還流通路により還流される排気ガスよりも低温の排気ガスを吸気側に還流する第2排気ガス還流通路と、エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出されたエンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を増大させる排気ガス還流制御手段とを備え、エンジンに、低速用ターボチャージャーと、高速用ターボチャージャーと、予め設定された運転領域で上記高速用ターボチャージャーに排気ガスを導く通路を遮蔽する排気シャッタ弁とを設けるとともに、上記第2排気ガス還流通路を上記排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャーとの間の位置に接続したものである(請求項1)。
【0007】
この装置では、予め設定された予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスを供給する予回転手段を備えるとともに、上記予回転領域で少なくとも上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流を行わせるように上記排気ガス還流制御手段を構成することが、より好ましい(請求項2)。
【0008】
さらに、燃焼安定性を検出する燃焼安定性検出手段を備えるとともに、この燃焼安定性検出手段により燃焼不安定状態が検出された場合に上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を通常値よりも増大させるように上記排気ガス還流制御手段を構成したり(請求項3)、上記第2排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置を上記第1排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置よりも吸気方向上流側に設定したりすることにより(請求項4)、後述のようなより優れた効果が得られる。
【0009】
【作用】
請求項1記載の装置によれば、比較的高温の排気ガスを還流する第1排気ガス還流通路による還流量と、比較的低温の排気ガスを還流する第2排気ガス還流通路による還流量との比率を変えることにより、特別な冷却手段を用いることなく、エンジン負荷に応じた還流排気ガス温度制御が応答性良く行われる。具体的には、エンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率が高められることにより、吸気側に導入される還流排気ガス温度が下げられ、その分充填効率が高められる。逆に、エンジン負荷が低いほど還流排気ガス温度が高められることにより、燃料の気化、霧化が促進され、燃焼安定性が良好に保たれる。具体的には、排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャーとの間の位置で滞留する低温の排気ガスが第2排気ガス還流通路を通じて吸気側に還流される。
【0010】
さらに、請求項2記載の装置では、予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスが供給されている際に、第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流が行われることにより、この排気ガス還流の流量が上記予回転用の排気ガスの流れを利用して十分に保持されることとなる。
【0011】
また、請求項3記載の装置では、燃焼安定性が損なわれた場合に第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率が通常値よりも高められる、すなわち還流排気ガス温度が昇温されることにより、燃料の気化霧化が促進され、燃焼安定性が高められる。
【0012】
また、請求項4記載の装置では、吸気通路に対し、第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスが、第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスよりも上流側の位置に導入されるので、前者の還流排気ガスは後者の還流排気ガスよりも長い時間吸気通路内で放熱した後にエンジン燃焼室内に導入されることになる。従って、第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度と第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度との差はより大きくなり、その分、制御可能な温度幅が拡大される。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
【0014】
図1は、ターボチャージャー及び排気ガス還流(Exhaust Gas Recirculation
;以下、EGRと称する。)装置を備えたエンジンの全体構成を示したものである。なお、ここではロータリエンジンを示すが、本発明ではエンジンの種類を特に問わず、EGR装置が付設可能な種々のエンジンに適用することができる。
【0015】
図において、ロータハウジング10内にはロータ12が回転可能に収容され、上記ロータハウジング10に形成された吸気ポートに吸気通路14が接続されるとともに、排気ポートに排気通路16が接続されている。
【0016】
上記吸気通路14には、その上流側から順に、ガスクリーナ17、インタクーラー18、スロットル弁20等が設けられている。この吸気通路14は、上記ガスクリーナ17の下流側で第1吸気通路21と第2吸気通路22とに分岐しており、両通路21,22はインタクーラー18の手前で合流している。排気通路16も、第1排気通路24と第2排気通路25とに分かれており、両通路24,25は共通排気通路26に合流し、この共通排気通路26に排気ガス浄化用触媒28等が設けられている。
【0017】
そして、上記第1吸気通路21の途中及び第1排気通路24の途中に、低速用ターボチャージャー31のブロア及びタービンがそれぞれ設けられており、上記第2吸気通路22の途中及び第2排気通路25の途中に、高速用ターボチャージャー32のブロア及びタービンがそれぞれ設けられている。
【0018】
第1排気通路24と第2排気通路25とは、各ターボチャージャー31,32の上流側で通路28を介して連通されており、第2排気通路25において上記通路28よりも下流側で高速用ターボチャージャー32よりも上流側の部分に、この第2排気通路25を開閉する排気シャッタ弁34が設けられている。
【0019】
さらに、この排気シャッタ弁34の横には同排気弁34を迂回して上記通路28と高速用ターボチャージャー32入口とを連通する漏らし通路(予回転手段を構成)36が設けられるとともに、この漏らし通路36を開閉する漏らし弁(予回転手段を構成)38が設けられている。一方、第2吸気通路22には、高速用ターボチャージャー32のブロアの上流側と下流側とを直接連通するバイパス通路40が設けられ、このバイパス通路40の途中に通路開閉用のバイパス弁42が設けられている。また、第2吸気通路22の下流側部分に、上記高速用ターボチャージャー32の非稼働時に閉弁する図略の吸気シャッタ弁が設けられている。
【0020】
上記第2排気通路25において上記排気シャッタ弁34よりも上流側の位置には、第1EGR通路44の一端が接続され、同じく第2排気通路25において上記排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の位置には第2EGR通路46の一端が接続されており、両EGR通路44,46の他端がバルブシステム50を介して吸気通路14に接続されている。
【0021】
図2に示すように、上記バルブシステム50は、高温側弁通路51及び低温側弁通路52を有しており、高温側弁通路51は上記第1EGR通路44と吸気通路14とを接続し、低温側弁通路52は、上記第2EGR通路44と吸気通路14において上記高温側弁通路51の接続部分よりも上流側(図2では上側)の位置とを接続している。
【0022】
高温側弁通路51及び低温側弁通路52には、高温側EGR弁53及び低温側EGR弁54がそれぞれ設けられている。そして、これら高温側弁EGR弁53及び低温側EGR弁54が高温側EGR弁アクチュエータ55及び低温側EGR弁アクチュエータ56でそれぞれ駆動されることにより、高温側弁通路51及び低温側弁通路52を流れる還流排気ガスの流量が調節されるようになっている。
【0023】
このエンジンには、図3に示すようなECU(排気ガス還流制御手段)60が装備されている。このECU60は、クランク角を検出するクランク角センサ(燃焼安定性検出手段)62、及びエンジン負荷に相当する値を検出するエンジン負荷センサ(負荷検出手段)64の検出信号を取込み、これに基づいて上記高温側EGR弁アクチュエータ55、上記低温側EGR弁アクチュエータ56、排気シャッタ弁アクチュエータ66、漏らし弁アクチュエータ67、バイパス弁アクチュエータ68に適宜駆動信号を出力するように構成されている。具体的に、このECU60は、次のような制御を行う。
【0024】
(a) エンジン回転数が一定以下の低回転領域では、排気シャッタ弁34、漏らし弁38、及びバイパス弁42を閉じさせ、エンジン回転数が一定以上の高回転領域では、排気シャッタ弁34を開かせる。このため、図4に示すように、上記低回転領域では低速用ターボチャージャー31のみが駆動され、上記高回転領域では低速用ターボチャージャー31及び高速用ターボチャージャー32の双方が同時に駆動されることになる。
【0025】
(b) 同じく図4に示すように、上記低回転領域から高回転領域への過渡期である予回転領域では、排気シャッタ弁34を閉じたまま、漏らし弁38及びバイパス弁42を開かせる。このため、この予回転領域では、漏らし通路36を通じて高速用ターボチャージャー32に供給される排気ガスにより高速用ターボチャージャー32が予回転駆動され、高回転領域への切換の応答性が高められる。ただし、吸気シャッタ弁が閉じられるとともにバイパス通路40が開通されているため、高速用ターボチャージャー32による実質的な過給は行われない。
【0026】
(c) 上記低回転領域及び予回転領域(図4の斜線領域)でのみ、高温側EGR弁53、低温側EGR弁54の少なくとも一方を開かせ、EGRを行わせる。
【0027】
さらに、両通路44,46を通じて還流される排気ガスの平均温度がエンジン負荷の増大に従って低下するように、上記EGR弁53,54の開度をそれぞれ制御する。すなわち、第1EGR通路44及び高温側弁通路51を通じて還流される排気ガスは排気シャッタ弁34上流側のガスであって高温であるのに対し、第2EGR通路46及び低温側弁通路52を通じて還流される排気ガスは上記排気シャッタ弁34の下流側で滞留することにより低温となったガスであるので、エンジン負荷が高まるほど高温側弁通路51におけるEGR流量に対する低温側弁通路52におけるEGR流量の比率を増大させる。具体的には、高温側弁通路51におけるEGR流量が図6(a)の破線71、低温側弁通路52におけるEGR流量が同図実線72となるようにEGR弁53,54の開度を制御し、これによって総EGR量及び平均EGR温度が同図(b)(c)となるようにする。
【0028】
次に、このECU60が実際に行う制御動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
まずECU60は、現在の運転領域が図4斜線領域(EGR領域)内にあるか否かを判定する(ステップS1)。領域外である場合には(ステップS1でNO)両EGR弁53,54を全閉にしてEGRを行わせない(ステップS2)のに対し、EGR領域内にある場合(ステップS1でYES)には、少なくとも一方のEGR弁53,54を開かせてEGRを行わせる。
【0030】
ここで、EGR開始当初(ステップS3でNO)は、図6(a)に示すように、エンジン負荷に応じてEGRの制御を予め設定された通り行うが、EGRを開始してから所定時間経過後は(ステップS3でYES)、クランク角センサ62の出力に基づいて手検出されるエンジン回転数のばらつきから燃焼安定性の判定を行う(ステップS5)。ここで、燃焼安定性が良好である場合には(ステップS5でYES)、EGR開始当初と同様に通常の制御を行うが(ステップS4)、燃焼安定性が悪い場合には(ステップS5でNO)、通常の制御とは異なる非常制御を行う。
【0031】
具体的に、燃焼安定性が悪化した時点で未だEGR温度を通常時よりも上げていない場合には(ステップS6でNO)、EGR温度目標値を高める(ステップS9)。これにより、高温側弁通路51側のEGR流量比率が増加され、実際にEGR温度が高まることにより、燃料の気化霧化が促進される。既にEGRを昇温している場合には(ステップS6でYES)、最終手段としてEGRを停止し(ステップS2)、混合気の不活性化を止める。
【0032】
以上のように、この実施例に示した装置によれば、次のような効果を得ることができる。
【0033】
(a) 排気シャッタ弁34上流側の高温排気ガスを還流する第1EGR通路44と、排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の低温排気ガスを還流する第2EGR通路46とを併設し、両通路44,46によるEGRの流量割合を変えることにより、EGR温度の制御を行っているので、特別な冷却手段を用いることなく、高い応答性でもってエンジン負荷に適したEGR温度の制御を行うことができる。具体的に、低負荷領域では、EGR温度を高めることにより燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を確保する一方、高負荷領域では、EGR温度を下げることにより高い充填効率を維持することができる。
【0034】
特に、上記排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間では、排気シャッタ弁34が閉じている状態でガスが滞留して放熱されているので、ここから低温の排気ガスを確実に吸気側へ還流することができる。また、第2EGR通路46を通じてのEGRが困難であるような運転状態では、補助的に第1EGR通路44を通してのEGRを行うことも可能である。
【0035】
(b) 低速領域だけでなく、漏らし弁38が開かれる予回転領域でもEGRを行っているので、この領域では、排気シャッタ弁34が閉じていても、上記漏らし弁38から高速用ターボチャージャー32へ供給される排気ガスの流れを利用してより確実に第2EGR通路46を通じての十分なEGR量を確保することができる。
【0036】
(c) 燃焼安定性を損なった場合、EGR温度の目標値を通常値よりも上げるようにしているので、これによって燃料の気化霧化を促進し、良好な燃焼安定性を自動的に維持することができる。
【0037】
(d) 低温用の第2EGR通路46を吸気通路14において高温用の第1EGR通路44の接続部分よりも吸気方向上流側の位置に接続しているので、その分、第2EGR通路46からの還流排気ガスが吸気通路14内で放熱する時間を長くし、両通路44,46からの還流排気ガスの温度差を広げることができる。このため、両還流排気ガスの導入比率の調節によって可能な温度制御幅を、より拡大することができる。
【0038】
なお、本発明の実施例ではないが、図7に示すように、上記第2EGR通路46の排気側端が、排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の位置ではなく、排気通路16において上記高速用ターボチャージャー32よりも下流側の共通排気通路30に接続されている構成においても、上記高速用ターボチャージャー32下流側の排気ガスは上流側の排気ガスよりも温度が下がっているので、両EGR通路44,46を用いてEGR温度制御を行うことは可能である。
【0039】
なお、本発明は前記の実施例に限定されるものでなく、例として次のような態様をとることも可能である。
【0040】
(1) 図2では、EGR弁53,54を用いて高温EGR流量と低温EGR流量とを各々個別に制御するものを示したが、これに代え、図8に示すように、単一のEGR流量比率調節弁58の回動によって高温側弁通路51からのEGR流量と低温側弁通路52からのEGR流量との割合のみを変え、両通路51,52下流側の共通弁通路57で流量調節弁59の作動により総EGR流量の制御を行うようにしても、前記第1実施例と同様のEGR温度制御を行うことが可能である。
【0041】
ただし、前記実施例のように高温側の第1EGR通路と低温側の第2EGR通路とを独立させれば、上述のように、第2EGR通路の吸気側接続位置を第1EGR通路の吸気側接続位置よりも上流側に設定することにより、制御可能なEGR温度幅を拡大できる利点がある。
【0042】
(2) 前記実施例では、図6(c)に示すように、低中負荷領域までエンジン負荷の増大とともにEGR温度を低下させ、中高負荷領域ではEGR温度を一定に保つようにしたものを示したが、本発明はこれに限らず、負荷とEGR温度との具体的な関係は適宜設定すれば良い。例えば、図9(c)に示すように高負荷領域でも負荷の増大に伴ってEGR温度を下げるべく、同図(a)(b)に示すように各通路の個別のEGR流量及び総EGR量を設定するようにしてもよい。
【0043】
なお、図9(a)において破線81は第1EGR通路44を通じてのEGR流量、実線82は第2EGR通路46を通じてのEGR流量を示す。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば次の効果を得ることができる。
【0045】
請求項1記載の装置では、高温排気ガスを還流する第1排気ガス還流通路と、低温排気ガスを還流する第2排気ガス還流通路とを併設し、エンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を増大させるようにしたものであるので、特別な冷却手段を用いることなく、エンジン負荷に対応した適正な還流排気ガス温度制御を高い応答性でもって行うことができる。具体的に、エンジン負荷が高い領域では、上記第2排気ガス還流通路を通しての還流量の比率を増やして全体の還流排気ガス温度を下げることにより、高い充填効率を確保する一方、エンジン負荷が低い領域では、上記第1排気ガス還流通路を通じての還流量の比率を増やして全体の還流排気ガス温度を上げることにより、燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を確保することができる効果がある。
【0046】
また、排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャー入口との間の位置に第2排気ガス還流通路を接続しているので、上記位置で滞留することにより十分放熱された低温の排気ガスを吸気側に還流することができる効果がある。
【0047】
さらに、請求項2記載の装置は、予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスを供給する際に上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流を行うようにしたものであるので、排気シャッタ弁が閉じていても、上記予回転用に供給された排気ガスの流れを利用して、十分な排気ガス還流流量を確実に確保することができる効果がある。
【0048】
また、請求項3記載の装置では、燃焼安定性が損なわれた場合に第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を通常値よりも高める、すなわち還流排気ガス温度を高めるようにしたものであるので、これにより燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を自動的に維持することができる効果がある。
【0049】
また、請求項4記載の装置では、上記第2排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置を上記第1排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置よりも吸気方向上流側に設定したものであるので、吸気通路において、第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスを第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスよりも長い時間放熱させることができ、これによって、両排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度の差を広げて制御可能な温度幅を拡大することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるエンジンの全体構成図である。
【図2】上記エンジンにおけるバルブシステムの構造を示す模式断面図である。
【図3】上記エンジンに装備されたECUの入出力信号を示すブロック図である。
【図4】上記エンジンにおけるターボチャージャーの各駆動制御領域及びEGR領域を示すグラフである。
【図5】上記ECUが実際に行う制御動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は上記ECUにより制御される各EGR流量と負荷との関係を示すグラフ、(b)は上記制御により得られる総EGR量と負荷との関係を示すグラフ、(c)は上記制御により得られるEGR温度と負荷との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例とは別のエンジンの全体構成図である。
【図8】上記バルブシステムの構造の変形例を示す模式断面図である。
【図9】(a)は他の実施例において制御される各EGR流量と負荷との関係を示すグラフ、(b)は上記制御により得られる総EGR量と負荷との関係を示すグラフ、(c)は上記制御により得られるEGR温度と負荷との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ロータハウジング
14 吸気通路
16 排気通路
31 低速用ターボチャージャー
32 高速用ターボチャージャー
34 排気シャッタ弁
36 漏らし通路(予回転手段を構成)
38 漏らし弁(予回転手段を構成)
44 第1EGR通路
46 第2EGR通路
60 ECU(排気ガス還流制御手段)
62 クランク角センサ(燃焼安定性検出手段)
64 エンジン負荷センサ(負荷検出手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジンにおいて排気ガスを吸気側に還流させるための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンジンの中には、排気ガス中のNOx低減を図るべく、排気ガスを吸気側に還流させるための排気ガス還流装置を備えたものがある(例えば特公昭57−51539号公報参照)。このような装置により排気ガス還流を行えば、混合気の不活性化で燃焼温度を低下させることにより、NOxを低減させることができるとともに、吸気側への排気ガスの導入で吸気負圧を下げることにより、ポンピングロスを低減させ、燃費節減の効果を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、上記排気ガスは高温であるため、たとえ吸気通路中にインタクーラーを設けても、特に高負荷時、排気ガス還流を行うと吸気温度が上昇して充填効率が著しく下がる傾向がある。これを回避するには、冷媒、クーラー等の特別な冷却手段を用いて還流排気ガスを冷却した後に吸気側に導入すればよいが、これでは装置が大掛かりとなり、コストの増大も免れ得ない。また、還流排気ガス温度の制御を要する場合、排気ガスは熱容量が大きいので、上記冷却手段による温度制御では良好な応答性が期待できない。
【0004】
一方、低負荷時では、上記ポンピングロス低減を図るべく排気ガス還流を多量に行うと燃料が気化・霧化しにくくなって燃焼安定性が低下し、この現象は特に排気ガス還流温度が下がると顕著となる。従って、この低負荷時では上記高負荷時と逆に、比較的高温の還流排気ガスを吸気側に導入することが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、特別な冷却手段を用いることなく、低負荷時等に比較的低温の排気ガスを還流することができる装置を提供し、さらに好ましくは、負荷状態に応じて還流排気ガス温度を高い応答性でもって制御することができる装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、排気ガスを吸気側に還流する第1排気ガス還流通路と、上記第1排気ガス還流通路により還流される排気ガスよりも低温の排気ガスを吸気側に還流する第2排気ガス還流通路と、エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出されたエンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を増大させる排気ガス還流制御手段とを備え、エンジンに、低速用ターボチャージャーと、高速用ターボチャージャーと、予め設定された運転領域で上記高速用ターボチャージャーに排気ガスを導く通路を遮蔽する排気シャッタ弁とを設けるとともに、上記第2排気ガス還流通路を上記排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャーとの間の位置に接続したものである(請求項1)。
【0007】
この装置では、予め設定された予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスを供給する予回転手段を備えるとともに、上記予回転領域で少なくとも上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流を行わせるように上記排気ガス還流制御手段を構成することが、より好ましい(請求項2)。
【0008】
さらに、燃焼安定性を検出する燃焼安定性検出手段を備えるとともに、この燃焼安定性検出手段により燃焼不安定状態が検出された場合に上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を通常値よりも増大させるように上記排気ガス還流制御手段を構成したり(請求項3)、上記第2排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置を上記第1排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置よりも吸気方向上流側に設定したりすることにより(請求項4)、後述のようなより優れた効果が得られる。
【0009】
【作用】
請求項1記載の装置によれば、比較的高温の排気ガスを還流する第1排気ガス還流通路による還流量と、比較的低温の排気ガスを還流する第2排気ガス還流通路による還流量との比率を変えることにより、特別な冷却手段を用いることなく、エンジン負荷に応じた還流排気ガス温度制御が応答性良く行われる。具体的には、エンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率が高められることにより、吸気側に導入される還流排気ガス温度が下げられ、その分充填効率が高められる。逆に、エンジン負荷が低いほど還流排気ガス温度が高められることにより、燃料の気化、霧化が促進され、燃焼安定性が良好に保たれる。具体的には、排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャーとの間の位置で滞留する低温の排気ガスが第2排気ガス還流通路を通じて吸気側に還流される。
【0010】
さらに、請求項2記載の装置では、予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスが供給されている際に、第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流が行われることにより、この排気ガス還流の流量が上記予回転用の排気ガスの流れを利用して十分に保持されることとなる。
【0011】
また、請求項3記載の装置では、燃焼安定性が損なわれた場合に第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率が通常値よりも高められる、すなわち還流排気ガス温度が昇温されることにより、燃料の気化霧化が促進され、燃焼安定性が高められる。
【0012】
また、請求項4記載の装置では、吸気通路に対し、第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスが、第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスよりも上流側の位置に導入されるので、前者の還流排気ガスは後者の還流排気ガスよりも長い時間吸気通路内で放熱した後にエンジン燃焼室内に導入されることになる。従って、第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度と第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度との差はより大きくなり、その分、制御可能な温度幅が拡大される。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。
【0014】
図1は、ターボチャージャー及び排気ガス還流(Exhaust Gas Recirculation
;以下、EGRと称する。)装置を備えたエンジンの全体構成を示したものである。なお、ここではロータリエンジンを示すが、本発明ではエンジンの種類を特に問わず、EGR装置が付設可能な種々のエンジンに適用することができる。
【0015】
図において、ロータハウジング10内にはロータ12が回転可能に収容され、上記ロータハウジング10に形成された吸気ポートに吸気通路14が接続されるとともに、排気ポートに排気通路16が接続されている。
【0016】
上記吸気通路14には、その上流側から順に、ガスクリーナ17、インタクーラー18、スロットル弁20等が設けられている。この吸気通路14は、上記ガスクリーナ17の下流側で第1吸気通路21と第2吸気通路22とに分岐しており、両通路21,22はインタクーラー18の手前で合流している。排気通路16も、第1排気通路24と第2排気通路25とに分かれており、両通路24,25は共通排気通路26に合流し、この共通排気通路26に排気ガス浄化用触媒28等が設けられている。
【0017】
そして、上記第1吸気通路21の途中及び第1排気通路24の途中に、低速用ターボチャージャー31のブロア及びタービンがそれぞれ設けられており、上記第2吸気通路22の途中及び第2排気通路25の途中に、高速用ターボチャージャー32のブロア及びタービンがそれぞれ設けられている。
【0018】
第1排気通路24と第2排気通路25とは、各ターボチャージャー31,32の上流側で通路28を介して連通されており、第2排気通路25において上記通路28よりも下流側で高速用ターボチャージャー32よりも上流側の部分に、この第2排気通路25を開閉する排気シャッタ弁34が設けられている。
【0019】
さらに、この排気シャッタ弁34の横には同排気弁34を迂回して上記通路28と高速用ターボチャージャー32入口とを連通する漏らし通路(予回転手段を構成)36が設けられるとともに、この漏らし通路36を開閉する漏らし弁(予回転手段を構成)38が設けられている。一方、第2吸気通路22には、高速用ターボチャージャー32のブロアの上流側と下流側とを直接連通するバイパス通路40が設けられ、このバイパス通路40の途中に通路開閉用のバイパス弁42が設けられている。また、第2吸気通路22の下流側部分に、上記高速用ターボチャージャー32の非稼働時に閉弁する図略の吸気シャッタ弁が設けられている。
【0020】
上記第2排気通路25において上記排気シャッタ弁34よりも上流側の位置には、第1EGR通路44の一端が接続され、同じく第2排気通路25において上記排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の位置には第2EGR通路46の一端が接続されており、両EGR通路44,46の他端がバルブシステム50を介して吸気通路14に接続されている。
【0021】
図2に示すように、上記バルブシステム50は、高温側弁通路51及び低温側弁通路52を有しており、高温側弁通路51は上記第1EGR通路44と吸気通路14とを接続し、低温側弁通路52は、上記第2EGR通路44と吸気通路14において上記高温側弁通路51の接続部分よりも上流側(図2では上側)の位置とを接続している。
【0022】
高温側弁通路51及び低温側弁通路52には、高温側EGR弁53及び低温側EGR弁54がそれぞれ設けられている。そして、これら高温側弁EGR弁53及び低温側EGR弁54が高温側EGR弁アクチュエータ55及び低温側EGR弁アクチュエータ56でそれぞれ駆動されることにより、高温側弁通路51及び低温側弁通路52を流れる還流排気ガスの流量が調節されるようになっている。
【0023】
このエンジンには、図3に示すようなECU(排気ガス還流制御手段)60が装備されている。このECU60は、クランク角を検出するクランク角センサ(燃焼安定性検出手段)62、及びエンジン負荷に相当する値を検出するエンジン負荷センサ(負荷検出手段)64の検出信号を取込み、これに基づいて上記高温側EGR弁アクチュエータ55、上記低温側EGR弁アクチュエータ56、排気シャッタ弁アクチュエータ66、漏らし弁アクチュエータ67、バイパス弁アクチュエータ68に適宜駆動信号を出力するように構成されている。具体的に、このECU60は、次のような制御を行う。
【0024】
(a) エンジン回転数が一定以下の低回転領域では、排気シャッタ弁34、漏らし弁38、及びバイパス弁42を閉じさせ、エンジン回転数が一定以上の高回転領域では、排気シャッタ弁34を開かせる。このため、図4に示すように、上記低回転領域では低速用ターボチャージャー31のみが駆動され、上記高回転領域では低速用ターボチャージャー31及び高速用ターボチャージャー32の双方が同時に駆動されることになる。
【0025】
(b) 同じく図4に示すように、上記低回転領域から高回転領域への過渡期である予回転領域では、排気シャッタ弁34を閉じたまま、漏らし弁38及びバイパス弁42を開かせる。このため、この予回転領域では、漏らし通路36を通じて高速用ターボチャージャー32に供給される排気ガスにより高速用ターボチャージャー32が予回転駆動され、高回転領域への切換の応答性が高められる。ただし、吸気シャッタ弁が閉じられるとともにバイパス通路40が開通されているため、高速用ターボチャージャー32による実質的な過給は行われない。
【0026】
(c) 上記低回転領域及び予回転領域(図4の斜線領域)でのみ、高温側EGR弁53、低温側EGR弁54の少なくとも一方を開かせ、EGRを行わせる。
【0027】
さらに、両通路44,46を通じて還流される排気ガスの平均温度がエンジン負荷の増大に従って低下するように、上記EGR弁53,54の開度をそれぞれ制御する。すなわち、第1EGR通路44及び高温側弁通路51を通じて還流される排気ガスは排気シャッタ弁34上流側のガスであって高温であるのに対し、第2EGR通路46及び低温側弁通路52を通じて還流される排気ガスは上記排気シャッタ弁34の下流側で滞留することにより低温となったガスであるので、エンジン負荷が高まるほど高温側弁通路51におけるEGR流量に対する低温側弁通路52におけるEGR流量の比率を増大させる。具体的には、高温側弁通路51におけるEGR流量が図6(a)の破線71、低温側弁通路52におけるEGR流量が同図実線72となるようにEGR弁53,54の開度を制御し、これによって総EGR量及び平均EGR温度が同図(b)(c)となるようにする。
【0028】
次に、このECU60が実際に行う制御動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
まずECU60は、現在の運転領域が図4斜線領域(EGR領域)内にあるか否かを判定する(ステップS1)。領域外である場合には(ステップS1でNO)両EGR弁53,54を全閉にしてEGRを行わせない(ステップS2)のに対し、EGR領域内にある場合(ステップS1でYES)には、少なくとも一方のEGR弁53,54を開かせてEGRを行わせる。
【0030】
ここで、EGR開始当初(ステップS3でNO)は、図6(a)に示すように、エンジン負荷に応じてEGRの制御を予め設定された通り行うが、EGRを開始してから所定時間経過後は(ステップS3でYES)、クランク角センサ62の出力に基づいて手検出されるエンジン回転数のばらつきから燃焼安定性の判定を行う(ステップS5)。ここで、燃焼安定性が良好である場合には(ステップS5でYES)、EGR開始当初と同様に通常の制御を行うが(ステップS4)、燃焼安定性が悪い場合には(ステップS5でNO)、通常の制御とは異なる非常制御を行う。
【0031】
具体的に、燃焼安定性が悪化した時点で未だEGR温度を通常時よりも上げていない場合には(ステップS6でNO)、EGR温度目標値を高める(ステップS9)。これにより、高温側弁通路51側のEGR流量比率が増加され、実際にEGR温度が高まることにより、燃料の気化霧化が促進される。既にEGRを昇温している場合には(ステップS6でYES)、最終手段としてEGRを停止し(ステップS2)、混合気の不活性化を止める。
【0032】
以上のように、この実施例に示した装置によれば、次のような効果を得ることができる。
【0033】
(a) 排気シャッタ弁34上流側の高温排気ガスを還流する第1EGR通路44と、排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の低温排気ガスを還流する第2EGR通路46とを併設し、両通路44,46によるEGRの流量割合を変えることにより、EGR温度の制御を行っているので、特別な冷却手段を用いることなく、高い応答性でもってエンジン負荷に適したEGR温度の制御を行うことができる。具体的に、低負荷領域では、EGR温度を高めることにより燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を確保する一方、高負荷領域では、EGR温度を下げることにより高い充填効率を維持することができる。
【0034】
特に、上記排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間では、排気シャッタ弁34が閉じている状態でガスが滞留して放熱されているので、ここから低温の排気ガスを確実に吸気側へ還流することができる。また、第2EGR通路46を通じてのEGRが困難であるような運転状態では、補助的に第1EGR通路44を通してのEGRを行うことも可能である。
【0035】
(b) 低速領域だけでなく、漏らし弁38が開かれる予回転領域でもEGRを行っているので、この領域では、排気シャッタ弁34が閉じていても、上記漏らし弁38から高速用ターボチャージャー32へ供給される排気ガスの流れを利用してより確実に第2EGR通路46を通じての十分なEGR量を確保することができる。
【0036】
(c) 燃焼安定性を損なった場合、EGR温度の目標値を通常値よりも上げるようにしているので、これによって燃料の気化霧化を促進し、良好な燃焼安定性を自動的に維持することができる。
【0037】
(d) 低温用の第2EGR通路46を吸気通路14において高温用の第1EGR通路44の接続部分よりも吸気方向上流側の位置に接続しているので、その分、第2EGR通路46からの還流排気ガスが吸気通路14内で放熱する時間を長くし、両通路44,46からの還流排気ガスの温度差を広げることができる。このため、両還流排気ガスの導入比率の調節によって可能な温度制御幅を、より拡大することができる。
【0038】
なお、本発明の実施例ではないが、図7に示すように、上記第2EGR通路46の排気側端が、排気シャッタ弁34と高速用ターボチャージャー32との間の位置ではなく、排気通路16において上記高速用ターボチャージャー32よりも下流側の共通排気通路30に接続されている構成においても、上記高速用ターボチャージャー32下流側の排気ガスは上流側の排気ガスよりも温度が下がっているので、両EGR通路44,46を用いてEGR温度制御を行うことは可能である。
【0039】
なお、本発明は前記の実施例に限定されるものでなく、例として次のような態様をとることも可能である。
【0040】
(1) 図2では、EGR弁53,54を用いて高温EGR流量と低温EGR流量とを各々個別に制御するものを示したが、これに代え、図8に示すように、単一のEGR流量比率調節弁58の回動によって高温側弁通路51からのEGR流量と低温側弁通路52からのEGR流量との割合のみを変え、両通路51,52下流側の共通弁通路57で流量調節弁59の作動により総EGR流量の制御を行うようにしても、前記第1実施例と同様のEGR温度制御を行うことが可能である。
【0041】
ただし、前記実施例のように高温側の第1EGR通路と低温側の第2EGR通路とを独立させれば、上述のように、第2EGR通路の吸気側接続位置を第1EGR通路の吸気側接続位置よりも上流側に設定することにより、制御可能なEGR温度幅を拡大できる利点がある。
【0042】
(2) 前記実施例では、図6(c)に示すように、低中負荷領域までエンジン負荷の増大とともにEGR温度を低下させ、中高負荷領域ではEGR温度を一定に保つようにしたものを示したが、本発明はこれに限らず、負荷とEGR温度との具体的な関係は適宜設定すれば良い。例えば、図9(c)に示すように高負荷領域でも負荷の増大に伴ってEGR温度を下げるべく、同図(a)(b)に示すように各通路の個別のEGR流量及び総EGR量を設定するようにしてもよい。
【0043】
なお、図9(a)において破線81は第1EGR通路44を通じてのEGR流量、実線82は第2EGR通路46を通じてのEGR流量を示す。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば次の効果を得ることができる。
【0045】
請求項1記載の装置では、高温排気ガスを還流する第1排気ガス還流通路と、低温排気ガスを還流する第2排気ガス還流通路とを併設し、エンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を増大させるようにしたものであるので、特別な冷却手段を用いることなく、エンジン負荷に対応した適正な還流排気ガス温度制御を高い応答性でもって行うことができる。具体的に、エンジン負荷が高い領域では、上記第2排気ガス還流通路を通しての還流量の比率を増やして全体の還流排気ガス温度を下げることにより、高い充填効率を確保する一方、エンジン負荷が低い領域では、上記第1排気ガス還流通路を通じての還流量の比率を増やして全体の還流排気ガス温度を上げることにより、燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を確保することができる効果がある。
【0046】
また、排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャー入口との間の位置に第2排気ガス還流通路を接続しているので、上記位置で滞留することにより十分放熱された低温の排気ガスを吸気側に還流することができる効果がある。
【0047】
さらに、請求項2記載の装置は、予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスを供給する際に上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流を行うようにしたものであるので、排気シャッタ弁が閉じていても、上記予回転用に供給された排気ガスの流れを利用して、十分な排気ガス還流流量を確実に確保することができる効果がある。
【0048】
また、請求項3記載の装置では、燃焼安定性が損なわれた場合に第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を通常値よりも高める、すなわち還流排気ガス温度を高めるようにしたものであるので、これにより燃料の気化霧化を促進して良好な燃焼安定性を自動的に維持することができる効果がある。
【0049】
また、請求項4記載の装置では、上記第2排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置を上記第1排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置よりも吸気方向上流側に設定したものであるので、吸気通路において、第2排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスを第1排気ガス還流通路を通じての還流排気ガスよりも長い時間放熱させることができ、これによって、両排気ガス還流通路を通じての還流排気ガス温度の差を広げて制御可能な温度幅を拡大することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるエンジンの全体構成図である。
【図2】上記エンジンにおけるバルブシステムの構造を示す模式断面図である。
【図3】上記エンジンに装備されたECUの入出力信号を示すブロック図である。
【図4】上記エンジンにおけるターボチャージャーの各駆動制御領域及びEGR領域を示すグラフである。
【図5】上記ECUが実際に行う制御動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は上記ECUにより制御される各EGR流量と負荷との関係を示すグラフ、(b)は上記制御により得られる総EGR量と負荷との関係を示すグラフ、(c)は上記制御により得られるEGR温度と負荷との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例とは別のエンジンの全体構成図である。
【図8】上記バルブシステムの構造の変形例を示す模式断面図である。
【図9】(a)は他の実施例において制御される各EGR流量と負荷との関係を示すグラフ、(b)は上記制御により得られる総EGR量と負荷との関係を示すグラフ、(c)は上記制御により得られるEGR温度と負荷との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 ロータハウジング
14 吸気通路
16 排気通路
31 低速用ターボチャージャー
32 高速用ターボチャージャー
34 排気シャッタ弁
36 漏らし通路(予回転手段を構成)
38 漏らし弁(予回転手段を構成)
44 第1EGR通路
46 第2EGR通路
60 ECU(排気ガス還流制御手段)
62 クランク角センサ(燃焼安定性検出手段)
64 エンジン負荷センサ(負荷検出手段)
Claims (4)
- 排気ガスを吸気側に還流する第1排気ガス還流通路と、上記第1排気ガス還流通路により還流される排気ガスよりも低温の排気ガスを吸気側に還流する第2排気ガス還流通路と、エンジン負荷を検出する負荷検出手段と、この負荷検出手段で検出されたエンジン負荷が高いほど上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を増大させる排気ガス還流制御手段とを備え、エンジンに、低速用ターボチャージャーと、高速用ターボチャージャーと、予め設定された運転領域で上記高速用ターボチャージャーに排気ガスを導く通路を遮蔽する排気シャッタ弁とを設けるとともに、上記第2排気ガス還流通路を上記排気シャッタ弁と上記高速用ターボチャージャーとの間の位置に接続したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
- 請求項1記載のエンジンの排気ガス還流装置において、予め設定された予回転領域で上記排気シャッタ弁を迂回して上記高速用ターボチャージャー入口に予回転用の排気ガスを供給する予回転手段を備えるとともに、上記予回転領域で少なくとも上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流を行わせるように上記排気ガス還流制御手段を構成したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
- 請求項1または2記載のエンジンの排気ガス還流装置において、燃焼安定性を検出する燃焼安定性検出手段を備えるとともに、この燃焼安定性検出手段により燃焼不安定状態が検出された場合に上記第2排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量に対する上記第1排気ガス還流通路を通じての排気ガス還流量の比率を通常値よりも増大させるように上記排気ガス還流制御手段を構成したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエンジンの排気ガス還流装置において、上記第2排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置を上記第1排気ガス還流通路と吸気通路との接続位置よりも吸気方向上流側に設定したことを特徴とするエンジンの排気ガス還流装置。
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