JP3549907B2

JP3549907B2 - 弾性体の栓

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Publication number: JP3549907B2
Application number: JP12892193A
Authority: JP
Inventors: ブイ．ティレルジョセフ; エイチ．ブラウンニール
Original assignee: サノフィ−シンテラボ
Priority date: 1992-06-02
Filing date: 1993-05-31
Publication date: 2004-08-04
Anticipated expiration: 2019-08-04
Also published as: AU3993593A; IL105868A; DE69304797D1; SG48121A1; CA2094565C; MX9303240A; FI110857B; IL105868A0; CA2094565A1; EP0573102A1; NO931985D0; KR100278481B1; HU219280B; HU9301611D0; KR940000091A; NO931985L; NZ247767A; HUH3775A; UA25941C2; AU669169B2

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、非経口的な投与のための薬剤製品を収容する瓶及びガラス小瓶に関連して使用される弾性体の栓に関する。さらに詳細には、本発明は注射針を用いることにより出入れされる注射薬瓶又はガラス小瓶を密封シールするための弾性体の栓に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ガラス小瓶、瓶、その他類似物のための栓装置は、腐食性材料、試薬、注射薬溶液、及び使用する前に溶剤で戻すことのできる固体調合物のような、化学薬品や薬剤に対し抵抗性のある材料で作られている。このような製品のための最も普通に用いられている栓装置は弾性体材料からなるゴム栓が取付けられたガラス又はプラスチックの瓶と小瓶であった。この栓装置は、良好な密封シールと、安全な貯蔵と、内容物の取出しが必要とされる時注射針を用いて内容物を弾性体の栓を通って容易に取出すことが可能であると考えられる。通常用いられる弾性体の栓は天然ゴム又は合成ゴムのような弾性体の基体と栓の少なくとも一部分を被覆する不活性被膜とからなっている。この用いられる被膜は塩化ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレンのような重合フルオロカーボン樹脂、及び種々の熱可塑性フィルムを含んでいる。この被膜は弾性体の栓基体を容器の内容物から絶縁し、内容物と接触して化学反応の起きるのを防止するようにしている。
【０００３】
従来の技術は、化学及び製薬産業に用いるための栓装置の要求を満たす種々の構造と形状を提供してきた。例えば米国特許第２，６６５，０２４号、第２，８４８，１３０号、第３，０８８，６１５号、第３，３１３，４３９号、第３，９７４，９３０号、第４，１３３，４４１号、第４，２２７，６１７号、及び第４，４４１，６２１号を参照されたい。
【０００４】
全ての製品、特に注射用薬剤における主な問題の１つは製品を汚染する微粒子異物の発生である。微細な粒子を排除するために、製品のろ過や栓装置の構成要素の特殊な洗浄及び乾燥のような、精密な手段が微細粒子を取除くのに採用されてきた。これらの工程は製品が使用時に達した時要約ガイドラインのような製薬産業の要求と指針に製品が合致することを保証するのを助ける。
【０００５】
しかし、使用の時点において、注射薬製品の場合のように、新しい微粒子の問題が、栓が注射針によって突き通された時この微粒子によって生じることが多い。この突き通しの間栓の目標部分の弾性変形と塑性変形との組合せが、注射針を栓に押し込むにしたがって栓の注射針との接触面積を増大させる。典型的には、処理されていない弾性体の栓が、注射針の突き通し領域への押し込みのときに注射針の外面に対して高度の抵抗をもたらす。最も多いのは、栓の破片が生じた時で、この破片は栓の弾性部分がその上面から突き通した針の形状に一致するように削り取られて生じたものである。この破片は注射針が回転し突き通し中にこの破片を引きずるにつれて薬瓶の中に移送される。
【０００６】
微細粒子が発生しそして突き刺し操作の間に薬瓶の中に運ばれるという問題に加えて、さらに２つの問題がある。それは針を外に向って押す針に対する栓の残留弾性張力によって生じる針の飛び出しと、この針の飛び出しによる又はこれとは関係のない針の周りの漏洩とである。
【０００７】
弾性体の栓への針の突き刺し中に、突き刺し位置の目標の膜は弾性変形されまた破られ針と破られた膜との間に半径方向に均一でないシールを形成する。この半径方向の非均一性は、最初に引きのばされ次に針によって引き裂かれる目標膜部分の本来の特性である。こうして生じた裂け目は半径方向よりも軸方向に広がりそしてこの裂け目の表面はぎざぎざがつけられ均一でなくまた針と膜との間に良好なシールが得られないようになる。この結果、針保持の欠陥と針の周りの漏れとが生じる。これらの欠陥は容器が加圧された時に特に大きなものとなる。
【０００８】
これらの問題の最も普通の解決策は栓と針の少なくとも一方にシリコン潤滑剤を施し栓と針との間の摩擦抗力を減少させることであった。シリコンは突き刺し操作からの微細粒子の発生を減少させるが、またそれ自身の合成物から製品の汚染の危険を増大させる。さらに、栓のシリコン潤滑は挿入された針を不安定にし針の飛び出しを生じる。
【０００９】
針が突き刺し中に微細粒子を発生させる傾向を減少させるため従来技術で提案された他の手段は、栓の弾性体の芯の流体接触側を熱可塑性フィルムで被覆することである。しかし、このような構造を用いても上記の問題を解決するのに十分でないことがわかった。さらに、この構造は針の保持を向上させ針の周りの漏れを減少させるものではない。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は漏れの可能性を減少し、破砕の度合を減少し又はなくし、針の挿入また特に針を引き抜く力を増大させることである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は栓において注射針を栓に挿入するとき第２のシールを提供する。この第２のシールは栓の環状リム又は突起と注射針の円筒状の軸との間に注射針を栓に挿入するにしたがって形成される強力なシールである。栓の環状リムは瓶の中心に向って僅かに弾性的に曲げられるよう歪まされ栓と針との間に半径方向に均一なシールを形成する。弾性体のもとの位置に戻ろうとする性質と結合された針とリムとの間の摩擦抗力は注射針を保持し栓に第２のシールをつくり出す栓の能力を高める。瓶が加圧された場合には、付加的な力が第２のシールに与えられそのため栓の注射針との接触を高めることができる。
具体的には、本発明による弾性体の栓は、内部の液体を密封シールしかつ注射針の挿入により内部の液体を出し入れできる、非経口注射薬液体収容瓶のための弾性体の栓であって、頭部と前記頭部から延びたスカート部とを有し、前記頭部は、前記スカート部により形成された空間へ挿入される前記注射針が穿刺し穿刺後に前記空間へ突入できるように構成された目標領域を前記頭部の中央に含み、前記スカート部は、（ａ）前記頭部の目標領域から下方に離間しかつ前記注射針の前記目標領域への挿入時に前記注射針を案内しかつ把持するように構成された円筒面、（ｂ）前記目標領域と前記円筒面との間に位置して前記注射針と共にシールを形成する環状突起、（ｃ）前記注射針の前記目標領域への挿入時に生じる破壊された縁を収容する空間として作用する、前記目標領域と前記環状突起との間の環状凹所、および（ｄ）前記注射針が前記環状突起と係合して前記環状突起とシールを形成するときに、前記円筒面によって前記環状突起を前記注射薬液体収容瓶の中央へ向けて伸張させかつ下方へ曲折させる、前記環状突起と前記円筒面との間の環状凹所を含むことを特徴とする。
【００１２】
本発明は流体収容瓶のための弾性体の栓を提供しこの瓶の中の内容物を密封シールし頭部部分とこれから延びるスカート部分とを有する栓に注射針を挿通することにより内容物を取出すことができるようにし、前記頭部部分は、
（ａ）前記スカート部分から横方向外側に延び瓶の頸の横方向端面を被覆するようになっているフランジと
（ｂ）頭部部分の中央の目標領域であって、この目標領域を破壊した後に前記スカート部分によって区画形成された空間を通って挿入される注射器もしくは針によって突き通される目標領域
とを具備し、前記スカート部分は
（ｃ）前記針を前記目標領域を通って挿入するとき案内し把持するようになっている頭部部分の前記目標領域から下方に向って離間された円筒面と、
（ｄ）前記目標領域と円筒状領域との間に位置し前記針とでシールを形成する環状突起
とを具備している。
【００１３】
針を突き刺す間目標領域は破壊され弾性的に変形され半径方向に均一でないシールを形成する。この非均一性は破壊された弾性体と針との間の漏れを可能にする。本発明は環状突起と針との間に第２のシールもしくは動的シールをもたらし、この突起が針と接触し瓶の中心に向って下方に少し弾性的に曲がるよう変形され半径方向に均一なシールを形成する。通常の圧力条件のもとでは針と環状突起との間の摩擦抗力はこれまで従来の技術では知られていなかった付加的なシールをもたらす。瓶が加圧された時は、この内部圧力が環状突起に付加的な力を与えそのためこの突起と針との間の接触を高める。
【００１４】
この第２のもしくは動的なシールは、漏れと飛び出しとをなくしまた針を栓に挿通したとき微細粒子が瓶の中に導入される危険を減少するのを保証する。
【００１５】
【実施例】
図１と図５から８を参照すると、本発明の弾性体の栓１０は、眞空により又は圧力下にシールされることのある、薬剤流体、特に注射薬溶液の瓶４０もしくはこれと同様の容器を密閉状にシールするようになっている。瓶４０はガラス、又は製薬産業において周知の堅い重合体材料からなっている。瓶は内面４４と内側半径方向リング４６と横方向端面４８とを有する頸部４２を具備している。内側半径方向リングと横方向端面とは瓶４０の口を形成する。頸部４２はさらに横方向端面４８に近接して外側半径方向リング５０となる外面を具備している。前記外側半径方向リングは、金属の蓋（図示しない）が瓶にひだ付けされて取付けられた時この蓋を保持するのを容易にするようになっている。瓶は製薬産業において液体用に常習的に用いられる標準サイズのものであり５ｍｌから１００ｍｌ又はそれ以上のものである。
【００１６】
図１から４及び図６から７を参照すると、本発明の栓１０は頭部１２とこれと一体のスカート２０とを具備している。頭部１２はスカート２０から横方向外側に延び瓶の頸部４２の横方向端面を覆うようになっているフランジ１４と、注射器又は針６０を受け入れるべき目標領域１６とを具備している。スカート２０は番号２２ａ，２２ｂ，２２ｃ及び２２ｄによって示されるほぼ円筒状の凹所又は開口を含んでいる。凹所２２ａはスカート２０の底部開口端から頭部１２に向う方向に見て目標領域１６に対応する上端の横方向ウエブ２４によって区画形成される。前記横方向ウエブ２４から下方に離間されかつこれと一体に、環状突起２６が横方向に前記開口２２ａの中へと延び、注射器又は針６０（図５に示される）が栓１０に挿入された時動的シール又は第２のシールを形成するようになっている。凹所２２ａは、目標領域１６が注射器６０によって突き刺されたとき目標領域１６の破られた端縁が下方に押込まれる空間として作用する。
【００１７】
前記環状突起２６から下方に向って離間されかつこれと一体に、注射器又は針６０が栓１０に挿入され栓が注射器６０を案内し把持した時、円筒状壁面２８が注射器の外側壁面６２にぴったり一致するようになっている。開口２２ｃは注射器６０の軸６２が挿通できるようにする。凹所２２ｂは環状突起２６と円筒面２８の頂端縁とによって区画形成される。凹所２２ｂは、注射器６０の軸６２が環状突起２６と係合しこの突起と共に動的シールを形成した時環状突起２６がその中に延びかつ瓶の中心に向って下方に曲がることのできる空間として作用する。
【００１８】
円筒壁面又は円筒面２８から下方に向って離間されかつこれと一体に、円錐面３０が開口２２ｄを区画形成する。開口２２ｄは栓１０のスカート２０が瓶４０に挿入されている時このスカート２０が内側に向って屈撓できるようにする。
【００１９】
注射器又は針６０は当該技術においては周知であり滴下室を有し又は有しない、２つの構造とすることができる。この注射器は鋭い先端６４で終る円筒状の軸６２と、該軸６２と共に一体である２つの部分６６と６８からなる上部本体とを具備している。図６に示されるように、軸６２と上部本体６６と６８は通路７０と７２を有する。注射器６０が薬剤流体を収容する瓶の中に挿入された時、通路７０は前記流体を引出すよう作用し、これに対し通路７２は空気が瓶の中に導入される手段として作用する。
【００２０】
使用時、瓶４０は殺菌され注射薬溶液のような薬剤流体で充たされる。栓１０が挿入され瓶の内容物を密閉シールする。栓１０は次にこのような薬剤容器に普通に用いられるアルミニウムその他のような閉鎖蓋と共に瓶４０に締めつけ固定される。薬剤流体を取出す必要のあるとき、注射器又は針６０が栓１０を貫通して瓶４０の中に挿入される。鋭利な先端６４が目標領域１６として区画形成された栓の中心に向けられ、横方向のウエブ２４を突き通し注射器６０の軸６２が円筒面２８に係合するまで引続いて挿入される。注射器６０が栓１０に挿入されるにしたがって、横方向のウエブ２４として区画形成された薄い膜が破られ、ついで注射器６０の軸６２と環状突起２６との間に動的シール（第２のシール）が形成される。漏れと注射器の保持との制御に対する環状体の効用が以下に図８を参照して説明されるが、同図は目標領域１６（横方向のウエブ２４）の位置と、動的シール（又は軸６２と環状突起２６とにより形成される第２のシール）と、注射器６０の軸６２と係合する円筒面２８とを示している。注射器を栓の中に保持するのに関連する力はこの部分特有のものである。
【００２１】
目標領域１６は、注射器を、主として変位された弾性体材料によって生じた圧縮力を介して所定位置に保持する。この弾性体の粘着弾性特性は、弾性体を付勢してその正常もしくは静止位置に戻す変形された弾性体の力を生じる。これらの特性は当該技術においては弾性記憶と称される。注射器６０の軸６２の介在は、弾性体がもとの位置に戻ろうとするのを妨げ、また瓶４０がひっくり返され内容物を投与する時軸６２を把持し栓１０から抜け出るのを防止する圧縮力を発生させる。図７は注射針６０の鋭利な先端６４と軸６２による横方向のウエブ２４の突き通しを示している。膜が瓶４０の中心に向って強く引きずられるのが見られる。弾性体のこの長手方向の歪みは注射針の位置における横方向ウエブ２４の圧縮荷重を減少させる。
【００２２】
注射針を引抜く動力は２つの方法で生じる。第１に、注射針６０の軸６２の表面が横方向ウエブ２４から滑ることができる。圧縮された細長い横方向ウエブ２４の形状は、注射針６０の軸６２が栓１０から完全に離れるまで軸６２が横方向ウエブ２４から滑るのを変化させない。注射針６０の軸６２が栓１０からはずれると、横方向ウエブ２４はもとの位置に戻る。注射針を引抜く第２の方法の動力は滑りなしで生じ、すなわち横方向ウエブ２４の表面と注射針６０の軸６２とが一緒にくっついたままで注射針が取外されるにしたがい相互に追従するようにして生じる。これはウエブ２４が注射針６０が引抜かれるにしたがってひっくり返されることを必要とする。この引裂かれた横方向ウエブ２４の逆転は圧縮力を増大させる。軸６２が引裂かれた横方向ウエブ２４をその正常位置へと引張るにしたがってこの圧縮力は最大となる。軸６２が引出されるのを続けるにつれて、横方向ウエブ２４の引裂かれぎざぎざのつけられた端縁は上方に向って引かれ、横方向ウエブ２４は針を上方に向って瓶の中心から離れるよう実際に押す。上方長手方向の力が半径方向圧縮力に等しくなった時、注射針は動きを停止しそして付加的な力が針を引抜くために加えられなければならない。この力は、針を栓から解放するために弾性体の表面摩擦と伸張とに打勝たなければならない。
【００２３】
上記の膜を有する従来の栓は針の軸が円筒面２８に押込まれ横方向ウエブ２４と円筒面２８によって形成されたシール上に過剰の軸方向の負荷を生じるにしたがって、針の軸の不整列のために、しばしば漏れが生じる。横方向ウエブ２４と軸６２によって形成されたシールが半径方向に均一でないため、不整列によって生じた漏れは注射針の位置によって決まる。この不整列が裂け目と同じ軸線にあったならば、不整列が裂け目の軸線に直角である場合よりも少なくなるであろう。
【００２４】
栓の良好なシール特性に対する円筒面２８の寄与は２つの突き通しが正確には同じでないため評価するのがむしろ困難である。円筒面２８は円筒形でありまたこれも円筒形である軸６２により変位され圧縮される。この同じ形状のためシールの集中点がない。シール集中点なしではシール面は栓の弾性限界内で平行でなければならず又は流体が漏れることのできる通路が存在するようになる。軸方向の負荷が軸６２にかかったならば、軸６２は円筒面２８とは平行に保たれなくなり漏れが生じることになる。円筒面２８は針における漏れを阻止するための動的な力に寄与せず、円筒面２８は針が瓶に挿入されているとき針を案内するのに役立つのみであることがまた理解されるべきである。円筒面２８が注射針６０上に及ぼす力は直径に依存する。この力は針が円筒面と係合するときの針の変位によって決まる。瓶の圧力が例えば注射器により空気を瓶の中に射出することにより増大されたならば、この圧力により円筒面に加えられた力は開口部を拡大させるような働きをし漏れを生じさせる。円筒面に作用する同じ圧力の増加はまた針の突き刺しにより瓶の中心に向って下方に引き伸ばされた横方向のウエブ２４に作用する。この内部圧力は横方向ウエブ２４に作用しこのウエブをもとの位置に戻すようにする。
【００２５】
円筒面２８のシール上の寄与と同様に、この円筒面の保持上の寄与は直径に依存する。注射針を円筒面２８から取外すのに必要な力はこの針の直径とまた円筒面によって区画形成された円筒体の直径とに直接比例する。試験は、円筒面２８が大概の力を針の保持に寄与させることを示した。しかし、栓の横方向ウエブ２４から円筒面２８までの距離のため、針は最初円筒面２８から栓の外へと引かれる。針６０の先端６４が円筒面２８の下端縁と係合すると先端６４に加えられた力は針を栓のさらに外に押す。円筒面２８のシール上の寄与のようには、円筒面の保持上の寄与は針を把持するための動的力には寄与しない。
【００２６】
上記のことから、横方向ウエブ２４も円筒面２８も特に瓶の内容物が圧力下にある時は漏れの発生又は針の栓からの排出を生じさせないのを保証するものでないことが明らかである。
【００２７】
本発明は環状突起２６と注射針６０の軸６２とによってもたらされる動的シール又は第２のシールを得ることによりこれらの不備を軽減する。環状突起２６が横方向ウエブ２４と円筒面２８との間に配設されている。図７及び８を参照すると、針６０の軸６２が栓１０に挿入されるにしたがって環状突起２６が半径方向と長手方向との両方向に伸ばされる。環状突起の弾性材料がそのゆるめられた位置に戻ろうとするため、２つの力が生じる。一方の力は軸６２を半径方向に締めつけることにより把持し、他方の力は軸をもとのゆるんだ位置に向って引くことにより把持する。これらの力は等しくはない。主な力は弾性体の伸長の比率によって決まる。その直径の大きさによって軸６２が、挿入により生じた長手方向の伸長よりも半径方向に大きく環状突起２６を伸長させたならば、締めつけ力ははね返り伸長力よりも大きくなる。軸６２が環状突起２６と係合すると、この締めつけ力は針を所定位置に保持するようになる。
【００２８】
この動的シールは従来技術によっては知られていなかった又は示唆されていなかった針の主要なシールとなる。このように、均一な予測できる力が環状突起２６と針６０の軸６２との間に形成され内容物が瓶４０から漏れないのを保証する。
【００２９】
本発明の栓の他の構成上の利点は瓶の内部圧力に比例する針保持力を増大させる栓の能力である。閉じ込められた液体のいかなる点に生じた圧力もパスカルの法則に従って、全ての方向に減少することなく伝達される。前に述べたように、環状突起２６は針が栓１０に挿入されているとき針６０の軸６２に一致する。環状突起２６の向きは挿入中針６０に直角の向きから針に平行に近くなる向きへと変化する。瓶内部の圧力が増大した時は、栓の全面に伝達された圧力が均一に増大する。しかし、軸６２にほとんど平行となった環状突起２６の領域は最大の力を軸に加えるようになり、軸６２に本質的に直角な環状突起２６の領域は軸のシールには最小の作用しか及ぼさないようになる。こうして生じたシールは半径方向に均一である。
【００３０】
本発明により動的シールを機能させるためには、軸６２の直径と環状突起２６によって区画形成された空間の直径との間に一定の比例関係が保たれなければならないことが、当該技術に習熟した者によって理解されるであろう。図７及び８に示されるように、環状突起２６によって区画形成された空間の直径は軸６２の直径より若干小さくし両者の間に緊密なシールが生じるようにしなければならない。さらに、円筒面２８により区画形成された円筒体の直径はまた、針６０が栓１０に挿入されている時の良好な案内のために軸６２の直径より若干小さくすべきである。もちろん商業上は、様々な大きさの栓、瓶及び針が、これらが１つのユニットにおいて一緒に用いられるときその比率に関する要求に従って、提供される。
【００３１】
本発明の栓の弾性体材料は流体不浸透性で、弾性の、またろ過可能な添加物なしの不活性の材料とし、小瓶に収容された製品のいかなる変質をもなくするようにすべきである。この弾性材料は単一成分のもの又は複数成分の混合物とすることができる。これら材料の例は、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコンゴム、ハロゲン化ゴム、エチレンプロピレンサーポリマー、及び均等物のような、合成又は天然ゴムを含んでいる。合成弾性体ゴムの詳細例は、ＣＨ_２ＣＦ_２−Ｃ_３Ｆ_６（Ｃ_３Ｆ_５Ｈ）とＣ_２Ｆ_４−Ｃ_２Ｆ_３ＯＣＦ_３の、ＶＩＴＯＮ（登録商標）及びＣＡＲＬＥＺ（登録商標）の商標名のもとにデュポンによって製造された弾性体の組と、ＳＩＬＡＳＴＩＣ（登録商標）の名前のもとにダウコーニングにより製造されたような弗化シリコンゴムと、ＶＩＳＴＡＮＥＸＭＭＬ−１００とＭＭＬ−１４０のようなポリイソプチレンと、エクソン化学会社により製造されたＣＨＬＯＲＯＢＵＴＹＬ１０６６のようなハロゲン化ブチルゴムとを含んでいる。
【００３２】
これらの又は他の適当な弾性体は公知の方法により所望の栓の形状に作られる。この方法は普通には加硫剤、安定剤及び充填剤の使用を含みそして上昇された温度の第１及び第２の硫化段階を含んでいる。
【００３３】
本発明の栓は瓶と静脈注射針とを組合せて、製薬産業において用いられる試験方法により、破壊力、突き通し力及び保持力と漏れの排除とについて試験された。試験の結果は従来技術において用いられた同様の装置によって得られる特性と比べて、これらの所望の特性の全てに実質的な改善を示した。
【００３４】
本発明は図面に示される好適な実施態様に関連して記載されてきたが、種々の変更と変形とが当該技術に習熟した者にとって明らかであることが認められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の栓の斜面図である。
【図２】図１の栓の一部切断頂面図である。
【図３】図１の栓の底面図である。
【図４】図１の４−４線に沿う栓の断面図である。
【図５】本発明の栓が挿入された瓶と栓に挿入するため用意されている注射針との斜面図である。
【図６】図５に示す瓶、栓及び注射針の断面図である。
【図７】注射針が栓にその一部が挿入された図６と同様の断面図である。
【図８】注射針が栓と完全に係合した図６及び７と同様の断面図である。
【符号の説明】
１０…弾性体の栓
１２…頭部
１４…フランジ
１６…目標領域
２０…スカート
２６…環状突起
２８…円筒面
４０…瓶
４２…瓶頸部
４６…内側半径方向リング
４８…横方向端面
５０…外側半径方向リング
６０…注射器（針）
６２…注射針軸部

Claims

内部の液体を密封シールしかつ注射針の挿入により内部の液体を出し入れできる、非経口注射薬液体収容瓶のための弾性体の栓であって、
頭部と前記頭部から延びたスカート部とを有し、
前記頭部は、前記スカート部により形成された空間へ挿入される前記注射針が穿刺し穿刺後に前記空間へ突入できるように構成された目標領域を前記頭部の中央に含み、
前記スカート部は、
（ａ）前記頭部の目標領域から下方に離間しかつ前記注射針の前記目標領域への挿入時に前記注射針を案内しかつ把持するように構成された円筒面、
（ｂ）前記目標領域と前記円筒面との間に位置して前記注射針と共にシールを形成する環状突起、
（ｃ）前記注射針の前記目標領域への挿入時に生じる破壊された縁を収容する空間として作用する、前記目標領域と前記環状突起との間の環状凹所、および
（ｄ）前記注射針が前記環状突起と係合して前記環状突起とシールを形成するときに、前記円筒面によって前記環状突起を前記注射薬液体収容瓶の中央へ向けて伸張させかつ下方へ曲折させる、前記環状突起と前記円筒面との間の環状凹所を含む弾性体の栓。
前記環状突起が前記注射針に対し長手方向の圧縮力を与える請求項１に記載の弾性体の栓。
前記長手方向の圧縮力が前記注射薬液体収容瓶の内部圧力の増加により増大する請求項２に記載の弾性体の栓。
前記弾性体の栓がブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコンゴム、ハロゲン化ゴム、エチレンプロピレンサーポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択された材料で作られている請求項１に記載の弾性体の栓。
前記注射薬液体収容瓶の内部の液体は前記注射薬液体収容瓶の外部圧力より大きな内部圧力下にある請求項１に記載の弾性体の栓。