JP3542966B2 - 高圧装置 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、本質的に円筒状の容器及びこの容器に外圧を加えるための外部プレストレス付与手段を備えた高圧装置に関する。
【0002】
WO95/21690号は、両端において開口された円筒状ライナーを有しかつ鋼線の巻回の支援により半径方向プレストレスを加えられた状態に置かれた高圧容器を明らかにする。前記高圧容器では、鋼線の巻回の結果としてのプレストレスは、高圧容器が加圧されたときに生ずる接線方向応力に等しい。
【0003】
1000から15000barの間の圧力は、公知の高圧容器において作ることができる。本文においては、円筒状圧力容器は、アイソスタチックな圧力を加えるために、液体、例えば食料品、薬剤、化粧品用の製剤及び同等品で満たすことができる。これら圧力下での高圧処理の手段により、ビタミンを破壊し又は味を損なうことなく有害な微生物及び酵素を殺すことができる。
【0004】
公知の圧力容器における応力変動の結果としてこれに毛割れが生じ、容器が最終的に使用不適となることがあり得る。内圧に対する適切な抵抗を提供するため及び毛割れの形成を防ぐために、公知の圧力容器は、同心の多くの鋼壁を持った比較的重量構造のものである。液圧プレスから比較的重い圧力容器を取り外し、これを空にし、そして処理すべき新しい材料で満たすことは比較的長い時間を要し、公知装置の生産性が限定される結果をもたらす。高圧容器をより迅速にかつより容易に満たしかつ空にし得るように従来技術により軽量構造の高圧容器を作れば、これはより低圧の使用に導き、その結果、製品の高圧容器内の滞留時間が増加する。
【0005】
従って、本発明の目標は、比較的軽量構造のものとすることができしかも高圧下で運転可能な高圧容器を提供することである。本発明の更なる目標は、製品の滞留時間を短縮でき、これにより高圧容器を比較的簡単かつ容易に高圧装置から取り外すことができかつ容易に充填し空にすることができ、更にこれにより非常に回数の多い圧力負荷サイクルにわたる長寿命が可能な高圧容器を提供することである。
【0006】
このために、本発明による高圧装置は、容器が繊維で強化され、プレストレス付与手段が、高圧容器に軸方向圧力を加えるための圧縮装置を備えていることを特徴とする。軸方向の圧縮により高圧容器に軸方向のプレストレスを加えることによって、容器の壁にわたる応力パターンを容易により一様にできることが見いだされている。その結果として、最も内側の壁部分の応力ががかなり減らされ、これが容器の寿命に有利な影響を与える。更に、希望の強度を得るために全壁厚がより有効に使用され、その結果、壁をより薄い構造のものとすることができ、また壁厚が同じままであるならば、圧力を高くすることができる。
【0007】
好ましくは、容器は、プラスチック内に埋められた繊維を含んだ複合材料より作られる。容器が加圧されないときはプレストレスが加わらないように、プレストレス手段により加えられる圧力を、高圧容器の内圧に依存し得るようにできる。プレストレス付与手段は圧力部材を備え、この部材は、円筒状の高圧容器に関して軸方向に可動でありかつ高圧容器の端部の面並びに圧力部材に作動用流体を供給する供給管路と組み合う。比較的少数の単純な変更により、かかるプレストレス付与手段は、高圧容器内の圧力発生用の公知の油圧装置内に容易に一体化させることができる。
【0008】
本発明による高圧容器は金属からなり、好ましくは、例えばガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維のような1000MPa又はこれ以上の引張り強さを有する繊維から作られた複合材料より構成することができる。前記繊維は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド又はポリウレタンのマトリックス内に埋めることができる。好ましくは、高圧容器の接線方向の大きい強度が得られるように、繊維は本質的に周囲方向に向けられる。上述の形式の複合材料で作られた適切な高圧容器が、本出願人名義の欧州特願96203187.8号に詳細に説明される。本発明により軸方向のプレストレスが加えられた複合材料製の高圧容器は、10kbarの作動圧力で30万サイクルの寿命がある。
【0009】
軸方向にプレストレスを加えることにより、高圧容器の壁、特に複合材料の壁における剪断応力が低下する。
【0010】
本発明による高圧容器の一実施例は、この高圧容器が端部の面の少なくも一方の端面の付近に、半径方向外向きに軸方向で厚くなる強化用リングが設けられることを特徴とする。壁におけるプレストレスを、容器の軸線からの距離の関数として正確な値にするために、圧力リングは、剪断応力が高圧容器の内部の近くで減らされ、そして壁の外側に近い壁部分において増加されるような形状にされる。更に、強化用リングの使用の結果として、端部の面に近い(有り得るシールの位置における)半径方向の伸びが最小にされる。
【0011】
本発明による高圧装置の有利な実施例は、長手方向軸線を有するハウジング及び前記軸線に沿って置かれた第1と第2の圧力室を備える。高圧容器の頂部端面は、第2の圧力室に、又はその付近に置かれる。第1の圧力室内に置かれたピストンヘッド及び前記ピストンヘッドに連結されたピストンロッドを有するピストンが、第2の圧力室を経て高圧容器内まで長手方向で動くことができる。圧力リングがピストンロッドの周りで動き得るように受け入れられ、この圧力リングは高圧容器の頂部端面と組み合うことができる。第2の圧力室に作動用流体を供給すると、圧力リングが円筒状の高圧容器の壁の上に支持され、これに軸方向のプレストレスを与える。好ましくは、第2の圧力室内の流体圧力は、プレストレスがピストン上の圧力、従って高圧容器の内部の圧力に比例するように、ピストンに加えられる流体圧力に依存する。
【0012】
高圧容器の壁は数層、例えば6層の高張力繊維から作り上げることができ、容器のライナーは超弾性材料から作られる。超弾性材料は、複合ジャケットを作動用流体から隔離し、かつそれ自体はいかなる応力とも組み合わない。ライナーは2%台の大きさの伸長に耐えねばならない。この目的に対してはニッケルアルミニウム合金又はABS、PE、PP又はポリカーボネートのようなポリマーが適している。
【0013】
本発明による高圧装置の一実施例が付属図面を参照した例示の方法により更に詳細に説明されるであろう。
【0014】
図1は、内部で上下に動き得るピストン及び圧力リングを有するハウジング2を備えた本発明による高圧装置1を示す。高圧容器3の壁に軸方向圧力を加えるためのプレストレス付与手段も前記ハウジング2内に収容される。円筒状の高圧容器3がハウジング2に当たり、そしてこの容器は、例えば、図示されないレールシステムによりハウジング2の下に置くことができそして側方から再び取り去ることができる。装置1は、更に、10000bar以上の作動圧力下における作動中、高圧容器3とハウジング2とを軸方向で一緒に保持するために複数の平行な補強板より作られたヨーク4を備える。図2に示されるように、高圧容器3は、両端が開口した円筒体を備え、底部の端面6の手段により圧力装置1の足部材5上に支持される。ピストン又は「増強装置」9のピストンロッド8が高圧室3の頂部端面7の開口を通過する。ピストン9の頂部は、ハウジング2の第1の圧力室11内に収容されたピストンヘッド10を備える。第1の圧力室11の底部は、ピストンロッド8の通過する壁12により閉鎖され、そしてピストンロッド8が気密にこの壁を通過する。壁12は、内部で上下に摺動し得る圧力リング14と共に第2の圧力室13の境界を定める。
【0015】
ピストンヘッド10の両側には、ピストン9を上下に動かすために供給管路16、17が圧力室11内に開口する。供給管路18が、圧力リング14と壁12との間で第2の圧力室13内に開口する。第4の供給管路19が、底部端面6を経て高圧容器3の圧力室20内に開口する。
【0016】
例えば水のような作動用液圧媒体が供給管路19を経て圧力室20内に供給され、圧力室20内に置かれていた処理すべき製品にアイソスタティックな圧力を加えることができる。作動用媒体19の手段により、例えば2000barの予備圧力を作ることができる。次いで、供給管路16を第1の圧力室11の頂部部分に連結することにより、作動圧力をピストンヘッド10に加えることができる。前記圧力は、ピストンヘッド10の面積とピストンロッド8の面積との間の比率で高圧容器3の圧力室20に伝達されるであろう。このため、この位置における内部の全圧力は、例えば10kbar又はそれ以上となる。供給管路18を圧力源に連結することにより、第2の圧力室13が加圧され、このため圧力リング14が高圧容器3の壁に軸方向の圧力を加える。予定処理時間の終わりに、管路16内の圧力を減らしピストン9を上に押すことができる。
【0017】
図3に更に詳細に示されるように、ピストン9の端部にはカラー21が設けられ、このカラーは、2個のシールの設けられたリング24と組み合う。前記リング24は、圧力リング14の下の縁と組み合う。第2の圧力室13内の圧力が下げられると、カラー21とリング24とにより圧力リング14が持ち上げられ、高圧容器3の頂部端面7から離れる。次いで、高圧容器3は、側方から、高圧装置1より外すことができる。
【0018】
リング24は2個のシール33と34とを有することを特徴とする。外側シール33はライナー25とリング24との間の静的な高圧シールである。内側シール34はピストンロッド8とリング24との間の動的な高圧シールである。
【0019】
シールを分割することが少なくも三つの利点を提供する。第1に、シール33は、これをライナー25の押出しが生じ得ないように構成することができる。第2に、シール33とライナー25との間の摩擦接触がない。最後に、ライナー上に動的なシールがあったとすれば、このシールは、複合体の大きな弾性的な伸びのため数mmの隙間をシールしなければならないであろう。シールを分割したため、シールの組により満たすべき半径方向の膨張は最小である。
【0020】
圧力リング14により作られる接線方向のプレストレスの容器3の壁における正確な分布を確保するために、上下の端面7、6に鋼の強化用リング22、23が取り付けられる。前記強化用リングの厚さは、高圧容器3の軸線の方向に減少する。圧力容器3の頂部及び底部における半径方向の伸びは、これらリングの手段によっても最小にされる。
【0021】
図4は、本発明による高圧容器3を拡大して示す。高圧容器3は開口円筒体よりなり、圧力室20のライナー25は超弾性材料製である。このライナー25はいかなる応力にも対抗する必要なく、そして高圧容器3の寿命中、交換されることがない。ライナー25は2%の大きさの伸びに耐えることができる。ライナー25はニッケル・チタン合金のような超弾性材料より作ることができる。APS、PE、PP又はポリカーボネートのようなポリマーも使用可能である。例えば、ガラス繊維、炭素繊維又はアラミド繊維のような1000−10000MPa台の大きさの破断応力を有し周囲方向に置かれた繊維を持った複合材料の層26がライナー25の周りに置かれる。この繊維は、例えばエポキシ樹脂又はポリウレタン内に埋設することができる。高圧容器3の壁32は、欧州特願96203187.8号に説明されたような複合材料の種々の層から形成することができる。
【0022】
高圧容器3の頂部及び底部において、強化用リング22、23に斜めの縁28、29が設けられ、この縁は、図3に示されるように高圧容器3の頂部においてピストンロッド8の周りと滑り接触するシール用リング24を押し付けて支持することができ、更に高圧容器3の底部においては足部材5の部分を形成する。運転中、頂部端面7と接触している圧力リング14の使用の結果として、極めて高い作動圧力下においても、端面7上における良好な密閉を達成するために軸方向のシール30を使うことができる。
【0023】
高圧容器3の高さHは、例えば27cmとすることができる。高圧容器3の外径D2は、例えば30cmであり、一方、圧力室20の直径D1は10cmである。強化用リング22、23の厚さは、例えば高圧容器3の外周部31において4.5cmである。上述の諸寸法は説明のためだけのものであり、圧力室20内で処理される材料の大きさと量とに応じて広い範囲で変えることができる。
【0024】
図5aは、壁に加えられる軸方向のプレストレスがない場合に、圧力室20内に圧力を加えた際の高圧容器3の壁32の幅Dにわたる接線方向応力のプロットを示す。接線方向応力σはライナー25の位置において最大であり、そして壁32の外周31に向かって非常に速かに減少する。強化用リング22、23により壁32に軸方向のプレストレスを加えた結果、図5bに見られるように、ライナー25の位置(図5bにおいて左側)における接線方向応力は相当に減少し、そして外周31の位置(図5bにおいて右側)における接線方向応力は増加し、このため、より一様な応力パターンが得られる。接線方向応力の低下は、ライナー25に近い複合材料の繊維に加わる荷重をかなり減らし、圧力容器3の寿命に有益な影響を持つ。繊維も、最内側の繊維だけが有効であるのではなく、壁32の厚さ全体にわたって有効に使われる。0.5%から2%の軸方向圧縮が得られるような圧力容器31のプレストレスが好ましい。
【0025】
本発明による高圧容器3は、圧力容器の加圧中及び減圧中に進行する微細欠陥を検出するために音響発生装置が設けられることが好ましい。圧力容器がその限界寿命に近づいた場合は、微細欠陥の数が急増するが、容器は外側からはまだ完全のままであるように見えるであろう。音響発生の測定により高圧容器3の安全を保証することができ、微小欠陥の数が上方限界値を越えたときに高圧処理を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高圧装置の斜視図を示す。
【図2】図1による装置の長手方向断面図を示す。
【図3】ピストンロッドの端部の詳細を拡大して示す。
【図4】図1及び2による装置で使用するに適した高圧容器を通る長手方向断面図を示す。
【図5a及び5b】それぞれ軸方向のプレストレスのない場合及びある場合の、複合材料で作られた高圧室の壁における接線方向応力のプロットを示す。

Claims (15)

  1. 繊維で強化された円筒状である高圧容器(3)と、該高圧容器(3)に軸方向圧力を加えるためのプレストレス付与手段とを具備することを特徴とする高圧装置(1)。
  2. 該圧力容器(3)が、繊維が埋没されたプラスチックからなる複合材料で作られている請求項1の高圧装置(1)。
  3. 該プレストレス付与手段により加えられる圧力が、該高圧容器(3)の内圧に依存する請求項1又は2の高圧装置(1)。
  4. 該プレストレス付与手段が、該高圧容器(3)に対して軸方向に可動でありかつ該高圧容器(3)の一方の端面(7)に接する圧力リング(14)と、該圧力リング(14)に該高圧容器(3)の端面(7)に向けた圧力を加えるための手段(13、18)を備えている請求項1、2又は3の高圧装置(1)。
  5. 該高圧容器(3)が周囲方向に延びている繊維を備えている請求項1、2、3又は4の高圧装置(1)。
  6. 該高圧容器(3)の両端面のそれぞれに、半径方向外側に向かって軸方向に徐々に厚くなっている強化用リング(22、23)が設けられている請求項1乃至5のいずれか1の高圧装置(1)。
  7. 該強化用リング(22、23)が金属リングによって形成されている請求項6の高圧装置(1)。
  8. 該プレストレス付与手段が、
    長手方向軸線を有するハウジング(2)、
    上記長手方向軸線に沿って配置された第1の圧力室(11)及び第2の圧力室(13)、
    上記長手方向軸線に沿って可動であり、該第1の圧力室(11)内に置かれたピストンヘッド(10)と、該ピストンヘッド(10)に連結され且つ該第2の圧力室(13)を経て該高圧容器(3)内まで長手方向に動き得るピストンロッド(8)とを有するピストン(9)、及び
    該第2の圧力室(13)内で該ピストンロッド(8)の周りに配置された圧力リング(14)を備え、
    該圧力リング(14)が該高圧容器(3)の前記端面(7)に接して配置されている請求項1乃至7のいずれか1の高圧装置(1)。
  9. 該プレストレス付与手段が、該第1の圧力室(11)内の、該ピストンヘッド(10)の両側にそれぞれ作動用流体を供給する2つの作動用流体供給管路(16、17)を備えている請求項8の高圧装置(1)。
  10. 該プレストレス付与手段が、該第2の圧力室(13)に作動用流体を供給する供給管路(18)を有し、この供給管路(18)が、該高圧容器(3)から離れた位置で、該第2の圧力室(13)に連結されている請求項8又は9による高圧装置(1)。
  11. 第2の圧力室側のピストン(9)の端部にカラー(21)が設けられており、該カラー(21)と該圧力リング(14)との間に、リング(24)が配置されている請求項7−10のいずれか1の高圧装置(1)。
  12. 該高圧容器(3)内に作動流体を供給する作動用流体供給管路(19)が設けられており、この作動用流体供給管路(19)が、該圧力リング(14)から離れた位置で、該高圧容器(3)に連結されている請求項8、9又は10の高圧装置(1)。
  13. 該高圧室(3)が、超弾性材料製のライナー(25)を備えている請求項1乃至12のいずれか1の高圧装置(1)。
  14. 該プレストレス付与手段が、該圧力容器(3)に0.5%から5%の間の軸方向の圧縮を加える請求項請求項1乃至13のいずれか1の高圧装置(1)。
  15. 該高圧容器内の圧力が、5000bar以上にされる請求項14の高圧装置(1)。
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