JP3540697B2 - サイレンサー - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば火力発電所の排気ダクトやファンの出入口などに設けられるものであって、減音効果が高く、かつ軽量なサイレンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図18は、従来におけるスプリッタ型サイレンサーの一例を示す斜視図である。図19は、図18に示した吸音パネルを示す斜視図である。このスプリッタ型サイレンサー900は、外枠901内に複数の吸音パネル902を所定間隔で配置した構成である。各吸音パネル902の吸入側には、縁部に沿って整流板903が設けられている。この吸音パネル902は、「目」字状の支持フレーム904の左右側にセラミックなどの吸音体905を張り合わせた構造であり、その内部に吸音のための空気層を形成している。また、吸音体905は、セラミック粒子を焼結形成したか或いは押し固めて形成したセラミック板やグラスウールなどの不定形の吸音材からなり、その連続気孔により吸音効果を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスプリッタ型サイレンサー900は、吸音パネル905をスプリッタ状に配列した構成であるから、侵入する音に対して2面で吸音を行うことになり、減音効果が低くなるという問題点があった。また、吸音体905を支持する支持フレーム904の重量比が高いため、吸音パネル902が重くなり、ひいてはサイレンサー900の重量増加を招くという問題点があった。このように吸音パネル902の重量が増加すると、サイレンサー900の組み立て時や移動設置時において取り扱い難くなってしまうなどの悪影響が生じる。
【0004】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、減音効果が高く、軽量なサイレンサーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1にかかるサイレンサーは、骨組構造をしたフレームに連続気孔を有する複数のセラミック板などの吸音性材料で構成した板または当該板をパイプ状にしたものを伝播方向に抜取可能に挿入して拘束することで多面の内面を有する複数のセル構造を形成し、特定のセルに蓋部材を設けて内部に空気層を有する吸音構造にしてなるサイレンサーであって、前記吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けてなると共に、該仕切板がセル内に対角線上に配置されてなることを特徴とする。
【0006】
骨組構造のフレームにセラミック板などを伝播方向に挿入することで、複数のセルを形成する。このセルは、前記セラミック板により構成されているから、多面吸音構造となる。そして、特定のセルに蓋部材(たとえば、整流板)を設けることで当該セル内にて吸音を行う。セル内に侵入した音は、セラミック板の連続気孔を通過して前記セル内部の空気層に拡散し、ここで減音される。なお、吸音性の材料としては、セラミック板の他にグラスウールをパンチングメタルで挟んだ構成の板などを用いることができる。また、セラミック板を用いる場合において、使用によりセラミック板が汚れたときは、当該セラミック板をフレームから抜き取って洗浄する。このサイレンサーは、多面吸音構造とすることにより従来のスプリッタ型のサイレンサーに比べて吸音面積を大きくできるから、優れた減音効果を有する。また、骨組構造のフレームにセラミック板などの吸音性材料で構成した板を挿入することでセルを形成するようにしたから、サイレンサーを軽量化することができる。
【0007】
また、連続気孔を通じて吸音構造のセル内に侵入した音は、仕切板により伝播が遮られ、当該セル内にて吸音される。これにより、伝播してきた音をより減衰することができるようになる。仕切板は、単数でも複数であってもよい。
【0008】
また、請求項2にかかるサイレンサーは、上記サイレンサーにおいて、さらに、前記吸音構造となるセル内に、グラスウール、ロックウールその他の不定形の吸音材を入れるか、または前記セラミック板を前記不定形の吸音材を挟んでクラッド構造にしたものである。
【0009】
このように、不定形の吸音材であるグラスウールをセル内に入れることにより、さらなる吸音効果を得ることができる。また、グラスウールなどを前記セラミック板で挟んだ構造にすれば、連続気孔を通過した音が間のグラスウールで減音される。このため、セル内に拡散する音が小さくなって、吸音効果がより向上する。
【0010】
また、請求項3にかかるサイレンサーは、空気層の幅が異なる上記サイレンサーを、所定間隔をもって直列配置したものである。このように、サイレンサーの間に空間を設けることで、低域騒音の減音性能を改善することができる。所定間隔は、たとえば改善対象とする低域騒音の1/4波長程度とする。また、吸音する周波数帯域は、セル内の空気層の幅により異なる。このため、異なる周波数帯域の騒音を減衰させるには、セル内の空気層の幅が異なるサイレンサーを直列配置するようにすればよい。具体的には、空気層の幅を広くすることで低域の騒音を減衰でき、狭くすることで高域の騒音を減衰できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるサイレンサーの実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるサイレンサーモジュールを示す斜視図である。図2は、セルモジュールを示す斜視図である。図3は、サイレンサーモジュールのフレームを示す斜視図である。
【0013】
このサイレンサーモジュール100は、立方格子状の骨材1と、当該骨材1の両側に設けた斜め格子状の骨材2とから基本的なフレーム3を形成し、このフレーム3内に複数のセルモジュール4を格子状に形成した構成である。セルモジュール4は、棒状の支持型材5を4角に配置し、その両端を前記斜め格子状の骨材2に固定した構造である。また、図4に示すように、支持型材5は、断面十字形状でありその端部にはセラミック板6を嵌め込む溝部7が形成されている。また、中心軸には軸穴8が設けられており、当該軸穴8にて支持型材5を骨材2に固定するようにしている。
【0014】
セラミック板6には、たとえばアルミナ系セラミックの微粒子を高温焼結して形成したものを用いる。また、骨材1,2および支持型材5は、鉄製あるいはアルミニウム製である。また、当該セラミック板6に代えて、セラミック板によりグラスウールやロックウールなどを挟んだクラッド型のセラミック板を用いるようにしてもよい(図示省略)。クラッド型のセラミック板を用いることにより、減音特性をより向上させることが可能になる。
【0015】
また、セラミック板6で形成された格子状のセル10には、千鳥模様になるようにその上流側端部にピラミッド形の整流板11が取り付けてあり、その一方、下流側端部にはシールプレート12が取り付けてある。これにより、吸音のための空気層が前記セル内部に形成される。なお、前記整流板11は、流線形状であってもよい。さらに、シールプレート12に代えて整流板11を取り付けるようにしてもよい。また、当該セル内部には、音の伝播方向に内部空間を仕切る縦仕切板13(図5の(a)参照)が取りつけてある。この縦仕切板13によりセル10の内部空間が4つに分割される。
【0016】
また、図5の(b)に示すように、音の伝播を遮る方向に横仕切板14を設けるようにしてもよい。さらに、図5の(c)に示すように、この縦仕切板13と横仕切板14とで区分けした空間にグラスウール15やロックウールなどの吸音材を詰めるようにしてもよい。また、縦仕切板13のみで形成する空間にグラスウール15を詰めるようにしてもよい(図示省略)。なお、この仕切板の形状は、単なる平板状に限定されない。たとえばスリットを有するものや、波形状のもの、多数のパンチ穴を有するもの、フィン形状にしたものなど各種形状のものを用いることができる。
【0017】
図6は、上記サイレンサーモジュールの組立過程を示す説明図である。まず、同図(a)に示すように、立方格子状の骨材1と斜め格子状の骨材2とを組み合わせ、さらに複数の支持型材5を斜め格子状の骨材2によりその両端を固定して組み、ジャングルジム状のフレーム3を製作する。つぎに同図(b)に示すように、縦仕切板13を支持型材5の谷部分5aに係合させることにより(同図(c)参照)、フレーム3内にて固定する。なお、図5の(b)に示した横仕切板14を有するものを取りつけることもできる。
【0018】
続いて、同図(d)に示すように、支持型材5の溝部7にセラミック板6の両端を嵌め込むようにして、当該セラミック板6をフレーム3に挿入する。このセラミック板6は正方形をしており、吸音面となる一面に4枚のセラミック板6が挿入される(図2参照)。ただし、一枚板のセラミック板を製作して挿入するようにしてもよい。なお、前記セラミック板6の枚数は、必要な減音量により変更するようにする。また、セラミック板6と縦仕切板14の組立順序は逆にしてもよい。
【0019】
また、図5の(c)に示した仕切板を用いる場合には、セラミック板6を挿入する前に、縦仕切板13と横仕切板14との間にグラスウール15などを詰めるようにする。セラミック板6を挿入した後、縦仕切板13を設けたセル10の上流側端部に前記整流板11を取り付ける(図5(e)参照)。また、その下流側端部には、シールプレート12を取り付ける(図1参照)。この整流板11およびシールプレート12によりセラミック板6をフレーム3内に拘束固定する。
【0020】
図7および図8は、上記サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーを示す斜視図である。図7に示したサイレンサー50は、上記サイレンサーモジュール100を並列に三つ連結して構成したものである。図8に示したサイレンサー60は、上記サイレンサーモジュール100を直列に三つ連結して構成したものである。このように、サイレンサーモジュール100は、当該サイレンサー50、60を適用するダクトの形状や、必要な消音能力により適宜その形態および連結個数を選択して構成する。なお、サイレンサーモジュール100を複数連結してサイレンサー50、60を形成するが、場合によっては単一のサイレンサーモジュール100によりサイレンサーを構成することもある。
【0021】
図9は、上記サイレンサーをファンの出入口に装着した例を示す説明図である。このように、複数のサイレンサーモジュール100を連結してサイレンサー70、80とし、ファンGの吸気ダクトG1および排気ダクトG2に設置する。また、図示しないが、エンジンテスト設備のダクトや、ガスタービンのダクトなどにも適用することができる。
【0022】
つぎに、このサイレンサーモジュール100の動作について説明する。ガスと共に伝播した騒音は、整流板11により整流されつつ当該整流板11のないセル10に侵入し、そのまま後方に通過する。この通過の際、セル10内において4つの吸音面(6)に騒音が拡散し、セル内にて吸収消音される。これにより、サイレンサーモジュール100の入口から出口の間で騒音が効果的に減音されることになる。また、セル内には対角線上に縦仕切板13が配置されており、これにより内部空間が区切られているから、当該縦仕切板13により音が入射方向とは異なる方向に反射して騒音が再び外に漏れにくいようにしている。
【0023】
また、使用を継続することにより灰などがセラミック板6の表面に蓄積するから、定期的にメンテナンスを施す必要がある。この場合には、整流板11を取り外してセラミック板6を支持型材5の溝部7に沿って抜き出せばよい。このセラミック板6は、そのまま洗浄可能である。また、耐水性があるから、洗浄時の水分によって吸音性能が劣化することはない。洗浄後のセラミック板6は、上記同様の要領で再びフレーム3に挿入して固定する。なお、セラミック板6を取り外さず、そのまま高圧洗浄水で洗い流すこともできる。その場合、セル内での水の侵入を防止するため、サイレンサーを縦配置しておくのが好ましい。
【0024】
つぎに、この実施の形態1にかかるサイレンサーと上記従来型サイレンサーとを比較してみる。なお、実験に用いたサイレンサーの設計条件を、つぎの表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
そして、この条件のもとで両者の減音性能を計測した。図10は、それぞれの減音性能を示すグラフ図であり、その縦軸を騒音レベル(dB)、横軸を騒音スペクトル(Hz)とする。実験に用いた設備は、ファン100%ECRとした。この結果、この発明のサイレンサーは、従来型サイレンサーの減音レベルに比べて、全帯域に渡って10dB程度またはそれ以上の改善が見られた。また、原音に対しては、特に高域で30dB程度の減音効果が得られた。
【0027】
かかる実験結果から、まず、使用するセラミック板6の枚数はほぼ同じであるが、その列数は従来型サイレンサーの方が多くそれだけ全長が大きいにもかかわらず、本発明のサイレンサーの方が高い減音効果を得られることが判った。また、両者をほぼ同じ性能にする場合には、本発明のサイレンサーの全長は従来型サイレンサーに比べて短くて済むから、それだけコンパクトに設計できる。また、全長が短い分だけガスの流れに対する抵抗の増加を抑制できる。
【0028】
また、上記表から判るとおり、セラミック板6の重量は変わらないものの本発明のサイレンサーではフレーム重量の低減に成功しており、総重量にして約40%の削減を達成することができた。これにより、製作時や運搬時にも大型の重機械を必要とせず、小型の機械で据付可能であるから、全体として製造コストや時間および労力を削減することが可能になる。さらに、この結果から、セラミック以外の吸音材、たとえばグラスウールをパンチングメタルで挟んだものであっても、上記同様の効果が得られるものと考えられる。
【0029】
つぎに、図5に示したように、縦仕切板13のみの場合(同図(a))、さらに横仕切板14を設けた場合(同図(b))、横仕切板14とグラスウール15を設けた場合(同図(c))の減音効果を実験した。この結果、横仕切板14とグラスウール15を設けた場合(同図(c))が最も高く、つぎに横仕切板14を設けた場合(同図(b))が良い結果となった。特に横仕切板14とグラスウール15を設けた場合では、縦仕切板13のみの場合と、縦仕切板13および横仕切板14を設けた場合とに比べ、中域において大きな減音効果が得られた。
【0030】
(実施の形態2)
図11は、この発明の実施の形態2にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。このサイレンサーモジュール200は、上記実施の形態1にかかるサイレンサーモジュール100がセラミック板6をフレーム3に挿入する構成であるのに対し、セラミック板6を予め角パイプ状に形成しておき、この状態でフレーム3に挿入するようにしたものである。角パイプは、セラミック板6を接着することで形成しても、はじめから角パイプ状に形成するようにしてもよい。このため、角パイプ201を挿入できるように、前記支持型材202の断面形状は図12に示すような十字形状となり、その谷部分203で角パイプ201の角部分を支持するようにしている。かかる構成であっても、格子状のセルを形成することが可能である。
【0031】
また、セル10の上流側端部には、整流板11が設けられている。前記セラミック板6には上記実施の形態1と同様なものを用いる。また、角パイプ列は複数としてもよいし、はじめから一本の角パイプとして挿入するようにしてもよい。また、上記実施の形態1と同様にセル内に横仕切板を設けてもよいし、仕切板で区分けした空間にグラスウールを入れるようにしてもよい(図示省略)。この実施の形態2にかかるサイレンサーモジュール200によっても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3にかかるサイレンサーを示す斜視図である。この実施の形態3にかかるサイレンサー300は、サイレンサーモジュール100を、所定間隔Lをもって直列配置した構成である。このようにサイレンサーモジュール100の中間に空間を設けることにより、低域騒音を低減することができる。サイレンサーモジュールの間隔Lは、改善対象とする騒音の1/4波長分程度とする。波長の腹がちょうど吸音部分に位置するようになるので、減音効果が高まるからである。また、サイレンサーモジュールを三つ以上用いた場合でも、その間の複数の空間を前記同様に利用することができ、当該複数の空間の長さ(サイレンサーモジュールの間隔)を波長ごとに異なるように設定することも可能である。
【0033】
また、前段のサイレンサーモジュール100の空気層の幅と、後段のサイレンサーモジュール100の空気層の幅とを変えることにより、減音可能な周波数帯域を広げることができる。たとえば空気層の幅を広くすることで低域の騒音を減音することができ、空気層の幅を狭くすることにより高域の騒音を減音することができる。また、セルの開口面積を変えることによってセル内の流速を調整することができるから、圧力損失の調整が可能になる。
【0034】
(実施の形態4)
図14は、この発明の実施の形態4にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。このサイレンサーモジュール400は、上記実施の形態1にかかるサイレンサーモジュール100が断面四角形状であるのに対し、その断面を六角形状と三角形状との組み合わせ形状にした点が異なる。このサイレンサーモジュール400は、立方格子状の骨材401と、当該骨材401の両側に設けたハニカム状の骨材402と、この骨材402により保持された後述の支持型材404とからフレーム403を構成する。図15に示すように、支持型材404は、断面がX字形状になっており、その端部にはセラミック板405を嵌め込む溝部406が形成されている。また、骨材402(点線で示す)に対しては中央部の軸穴407によってその支持を得ている。
【0035】
セラミック板405は、一枚ずつフレーム403に挿入して固定する。三角形状のセルの上流側端部には整流板408が設けられている。このセル内には縦仕切板409が通っており(図15中、一点鎖線で示す)、必要により横仕切板やグラスウールなどの吸音材を設けるようにする(図示省略)。このような構成であっても、吸音面を3面以上にすることが可能であるから減音効率を向上させることができる。なお、本発明のサイレンサーモジュールは、多面構造であれば当該セル断面が六角形状の場合に限定されず、三角形状であってもよいし、七角以上の形状であってもよい。
【0036】
(実施の形態5)
また、フレームの構造は、同じ四角形状のセルを形成する場合であっても実施の形態1とは異なる形状にすることができる。図16は、この発明の実施の形態5にかかるサイレンサーモジュールのフレーム構造を示す斜視図である。図17は、当該サイレンサーモジュールを示す斜視図である。この実施の形態5にかかるサイレンサーモジュール500のフレーム501は、立方格子状の骨材502と、この骨材502の両側に取り付けた格子状の骨材503と、セラミック板を嵌め込む溝部を持つ十字形状の支持型材504とから構成されている。
【0037】
このフレーム501の支持型材504間に複数のセラミック板505を挿入し、斜め格子状のセル506を形成する。そして特定のセル端部に整流板507およびシールプレート(図示省略)を取り付け、千鳥状の吸音構造を形成する。セラミック板505は、前記整流板507およびシールプレートにより拘束固定される。また、セル内には縦仕切板が設けられ、必要により横仕切板やグラスウールなどを設ける(図示省略)。かかる構成によっても騒音の吸音面を3面以上にできるため、減音効率を向上させることができる。なお、図15に示したフレーム501の骨材502の各格子に対して千鳥状に整流板を取り付けるようにしてもよい(図示省略)。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかるサイレンサー(請求項1)では、骨組構造をしたフレームに連続気孔を有する複数のセラミック板などの吸音性材料で構成した板または当該板をパイプ状にしたものを伝播方向に抜取可能に挿入して拘束することで多面の内面を有する複数のセル構造を形成し、特定のセルに蓋部材を設けて内部に空気層を有する吸音構造にしてなるサイレンサーであって、前記吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けてなると共に、該仕切板がセル内に対角線上に配置されてなるので、減音効果を向上させると共に軽量化を図ることができる。
【0039】
また、吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けたので、さらなる減音効果を得ることができる。
【0040】
また、この発明にかかるサイレンサー(請求項2)では、前記吸音構造となるセル内に、グラスウール、ロックウールその他の不定形の吸音材を入れるか、または前記セラミック板を前記不定形の吸音材を挟んでクラッド構造にしたので、さらなる減音効果を得ることができる。
【0041】
また、この発明にかかるサイレンサー(請求項3)では、空気層の幅が異なるサイレンサーを、所定間隔をもって直列配置するようにしたので、低域騒音の減音を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかるサイレンサーモジュールの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したセルモジュールの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示したサイレンサーモジュールのフレーム構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示した支持型材を示す断面図である。
【図5】仕切板を示す斜視図である。
【図6】サイレンサーモジュールの組立過程を示す説明図である。
【図7】サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーの構成を示す斜視図である。
【図8】サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーを示す斜視図である。
【図9】サイレンサーをファンの出入口に装着した例を示す説明図である。
【図10】従来型サイレンサーと本発明にかかるサイレンサーの減音性能を示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態2にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。
【図12】支持型材の断面形状を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態3にかかるサイレンサーの構成を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態4にかかるサイレンサーモジュールの構成を示す正面図である。
【図15】支持型材の断面形状を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態5にかかるサイレンサーモジュールのフレーム構造を示す斜視図である。
【図17】図15に示したサイレンサーモジュールの構成を示す斜視図である。
【図18】従来におけるスプリッタ型サイレンサーの一例を示す斜視図である。
【図19】図18に示した吸音パネルの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、2 骨材
3 フレーム
4 セルモジュール
5 支持型材
6 セラミック板
7 溝部
8 軸穴
10 セル
11 整流板
12 シールプレート
13 縦仕切板
14 横仕切板
15 グラスウール
100 サイレンサーモジュール
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば火力発電所の排気ダクトやファンの出入口などに設けられるものであって、減音効果が高く、かつ軽量なサイレンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
図18は、従来におけるスプリッタ型サイレンサーの一例を示す斜視図である。図19は、図18に示した吸音パネルを示す斜視図である。このスプリッタ型サイレンサー900は、外枠901内に複数の吸音パネル902を所定間隔で配置した構成である。各吸音パネル902の吸入側には、縁部に沿って整流板903が設けられている。この吸音パネル902は、「目」字状の支持フレーム904の左右側にセラミックなどの吸音体905を張り合わせた構造であり、その内部に吸音のための空気層を形成している。また、吸音体905は、セラミック粒子を焼結形成したか或いは押し固めて形成したセラミック板やグラスウールなどの不定形の吸音材からなり、その連続気孔により吸音効果を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のスプリッタ型サイレンサー900は、吸音パネル905をスプリッタ状に配列した構成であるから、侵入する音に対して2面で吸音を行うことになり、減音効果が低くなるという問題点があった。また、吸音体905を支持する支持フレーム904の重量比が高いため、吸音パネル902が重くなり、ひいてはサイレンサー900の重量増加を招くという問題点があった。このように吸音パネル902の重量が増加すると、サイレンサー900の組み立て時や移動設置時において取り扱い難くなってしまうなどの悪影響が生じる。
【0004】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、減音効果が高く、軽量なサイレンサーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1にかかるサイレンサーは、骨組構造をしたフレームに連続気孔を有する複数のセラミック板などの吸音性材料で構成した板または当該板をパイプ状にしたものを伝播方向に抜取可能に挿入して拘束することで多面の内面を有する複数のセル構造を形成し、特定のセルに蓋部材を設けて内部に空気層を有する吸音構造にしてなるサイレンサーであって、前記吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けてなると共に、該仕切板がセル内に対角線上に配置されてなることを特徴とする。
【0006】
骨組構造のフレームにセラミック板などを伝播方向に挿入することで、複数のセルを形成する。このセルは、前記セラミック板により構成されているから、多面吸音構造となる。そして、特定のセルに蓋部材(たとえば、整流板)を設けることで当該セル内にて吸音を行う。セル内に侵入した音は、セラミック板の連続気孔を通過して前記セル内部の空気層に拡散し、ここで減音される。なお、吸音性の材料としては、セラミック板の他にグラスウールをパンチングメタルで挟んだ構成の板などを用いることができる。また、セラミック板を用いる場合において、使用によりセラミック板が汚れたときは、当該セラミック板をフレームから抜き取って洗浄する。このサイレンサーは、多面吸音構造とすることにより従来のスプリッタ型のサイレンサーに比べて吸音面積を大きくできるから、優れた減音効果を有する。また、骨組構造のフレームにセラミック板などの吸音性材料で構成した板を挿入することでセルを形成するようにしたから、サイレンサーを軽量化することができる。
【0007】
また、連続気孔を通じて吸音構造のセル内に侵入した音は、仕切板により伝播が遮られ、当該セル内にて吸音される。これにより、伝播してきた音をより減衰することができるようになる。仕切板は、単数でも複数であってもよい。
【0008】
また、請求項2にかかるサイレンサーは、上記サイレンサーにおいて、さらに、前記吸音構造となるセル内に、グラスウール、ロックウールその他の不定形の吸音材を入れるか、または前記セラミック板を前記不定形の吸音材を挟んでクラッド構造にしたものである。
【0009】
このように、不定形の吸音材であるグラスウールをセル内に入れることにより、さらなる吸音効果を得ることができる。また、グラスウールなどを前記セラミック板で挟んだ構造にすれば、連続気孔を通過した音が間のグラスウールで減音される。このため、セル内に拡散する音が小さくなって、吸音効果がより向上する。
【0010】
また、請求項3にかかるサイレンサーは、空気層の幅が異なる上記サイレンサーを、所定間隔をもって直列配置したものである。このように、サイレンサーの間に空間を設けることで、低域騒音の減音性能を改善することができる。所定間隔は、たとえば改善対象とする低域騒音の1/4波長程度とする。また、吸音する周波数帯域は、セル内の空気層の幅により異なる。このため、異なる周波数帯域の騒音を減衰させるには、セル内の空気層の幅が異なるサイレンサーを直列配置するようにすればよい。具体的には、空気層の幅を広くすることで低域の騒音を減衰でき、狭くすることで高域の騒音を減衰できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるサイレンサーの実施の形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかるサイレンサーモジュールを示す斜視図である。図2は、セルモジュールを示す斜視図である。図3は、サイレンサーモジュールのフレームを示す斜視図である。
【0013】
このサイレンサーモジュール100は、立方格子状の骨材1と、当該骨材1の両側に設けた斜め格子状の骨材2とから基本的なフレーム3を形成し、このフレーム3内に複数のセルモジュール4を格子状に形成した構成である。セルモジュール4は、棒状の支持型材5を4角に配置し、その両端を前記斜め格子状の骨材2に固定した構造である。また、図4に示すように、支持型材5は、断面十字形状でありその端部にはセラミック板6を嵌め込む溝部7が形成されている。また、中心軸には軸穴8が設けられており、当該軸穴8にて支持型材5を骨材2に固定するようにしている。
【0014】
セラミック板6には、たとえばアルミナ系セラミックの微粒子を高温焼結して形成したものを用いる。また、骨材1,2および支持型材5は、鉄製あるいはアルミニウム製である。また、当該セラミック板6に代えて、セラミック板によりグラスウールやロックウールなどを挟んだクラッド型のセラミック板を用いるようにしてもよい(図示省略)。クラッド型のセラミック板を用いることにより、減音特性をより向上させることが可能になる。
【0015】
また、セラミック板6で形成された格子状のセル10には、千鳥模様になるようにその上流側端部にピラミッド形の整流板11が取り付けてあり、その一方、下流側端部にはシールプレート12が取り付けてある。これにより、吸音のための空気層が前記セル内部に形成される。なお、前記整流板11は、流線形状であってもよい。さらに、シールプレート12に代えて整流板11を取り付けるようにしてもよい。また、当該セル内部には、音の伝播方向に内部空間を仕切る縦仕切板13(図5の(a)参照)が取りつけてある。この縦仕切板13によりセル10の内部空間が4つに分割される。
【0016】
また、図5の(b)に示すように、音の伝播を遮る方向に横仕切板14を設けるようにしてもよい。さらに、図5の(c)に示すように、この縦仕切板13と横仕切板14とで区分けした空間にグラスウール15やロックウールなどの吸音材を詰めるようにしてもよい。また、縦仕切板13のみで形成する空間にグラスウール15を詰めるようにしてもよい(図示省略)。なお、この仕切板の形状は、単なる平板状に限定されない。たとえばスリットを有するものや、波形状のもの、多数のパンチ穴を有するもの、フィン形状にしたものなど各種形状のものを用いることができる。
【0017】
図6は、上記サイレンサーモジュールの組立過程を示す説明図である。まず、同図(a)に示すように、立方格子状の骨材1と斜め格子状の骨材2とを組み合わせ、さらに複数の支持型材5を斜め格子状の骨材2によりその両端を固定して組み、ジャングルジム状のフレーム3を製作する。つぎに同図(b)に示すように、縦仕切板13を支持型材5の谷部分5aに係合させることにより(同図(c)参照)、フレーム3内にて固定する。なお、図5の(b)に示した横仕切板14を有するものを取りつけることもできる。
【0018】
続いて、同図(d)に示すように、支持型材5の溝部7にセラミック板6の両端を嵌め込むようにして、当該セラミック板6をフレーム3に挿入する。このセラミック板6は正方形をしており、吸音面となる一面に4枚のセラミック板6が挿入される(図2参照)。ただし、一枚板のセラミック板を製作して挿入するようにしてもよい。なお、前記セラミック板6の枚数は、必要な減音量により変更するようにする。また、セラミック板6と縦仕切板14の組立順序は逆にしてもよい。
【0019】
また、図5の(c)に示した仕切板を用いる場合には、セラミック板6を挿入する前に、縦仕切板13と横仕切板14との間にグラスウール15などを詰めるようにする。セラミック板6を挿入した後、縦仕切板13を設けたセル10の上流側端部に前記整流板11を取り付ける(図5(e)参照)。また、その下流側端部には、シールプレート12を取り付ける(図1参照)。この整流板11およびシールプレート12によりセラミック板6をフレーム3内に拘束固定する。
【0020】
図7および図8は、上記サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーを示す斜視図である。図7に示したサイレンサー50は、上記サイレンサーモジュール100を並列に三つ連結して構成したものである。図8に示したサイレンサー60は、上記サイレンサーモジュール100を直列に三つ連結して構成したものである。このように、サイレンサーモジュール100は、当該サイレンサー50、60を適用するダクトの形状や、必要な消音能力により適宜その形態および連結個数を選択して構成する。なお、サイレンサーモジュール100を複数連結してサイレンサー50、60を形成するが、場合によっては単一のサイレンサーモジュール100によりサイレンサーを構成することもある。
【0021】
図9は、上記サイレンサーをファンの出入口に装着した例を示す説明図である。このように、複数のサイレンサーモジュール100を連結してサイレンサー70、80とし、ファンGの吸気ダクトG1および排気ダクトG2に設置する。また、図示しないが、エンジンテスト設備のダクトや、ガスタービンのダクトなどにも適用することができる。
【0022】
つぎに、このサイレンサーモジュール100の動作について説明する。ガスと共に伝播した騒音は、整流板11により整流されつつ当該整流板11のないセル10に侵入し、そのまま後方に通過する。この通過の際、セル10内において4つの吸音面(6)に騒音が拡散し、セル内にて吸収消音される。これにより、サイレンサーモジュール100の入口から出口の間で騒音が効果的に減音されることになる。また、セル内には対角線上に縦仕切板13が配置されており、これにより内部空間が区切られているから、当該縦仕切板13により音が入射方向とは異なる方向に反射して騒音が再び外に漏れにくいようにしている。
【0023】
また、使用を継続することにより灰などがセラミック板6の表面に蓄積するから、定期的にメンテナンスを施す必要がある。この場合には、整流板11を取り外してセラミック板6を支持型材5の溝部7に沿って抜き出せばよい。このセラミック板6は、そのまま洗浄可能である。また、耐水性があるから、洗浄時の水分によって吸音性能が劣化することはない。洗浄後のセラミック板6は、上記同様の要領で再びフレーム3に挿入して固定する。なお、セラミック板6を取り外さず、そのまま高圧洗浄水で洗い流すこともできる。その場合、セル内での水の侵入を防止するため、サイレンサーを縦配置しておくのが好ましい。
【0024】
つぎに、この実施の形態1にかかるサイレンサーと上記従来型サイレンサーとを比較してみる。なお、実験に用いたサイレンサーの設計条件を、つぎの表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
そして、この条件のもとで両者の減音性能を計測した。図10は、それぞれの減音性能を示すグラフ図であり、その縦軸を騒音レベル(dB)、横軸を騒音スペクトル(Hz)とする。実験に用いた設備は、ファン100%ECRとした。この結果、この発明のサイレンサーは、従来型サイレンサーの減音レベルに比べて、全帯域に渡って10dB程度またはそれ以上の改善が見られた。また、原音に対しては、特に高域で30dB程度の減音効果が得られた。
【0027】
かかる実験結果から、まず、使用するセラミック板6の枚数はほぼ同じであるが、その列数は従来型サイレンサーの方が多くそれだけ全長が大きいにもかかわらず、本発明のサイレンサーの方が高い減音効果を得られることが判った。また、両者をほぼ同じ性能にする場合には、本発明のサイレンサーの全長は従来型サイレンサーに比べて短くて済むから、それだけコンパクトに設計できる。また、全長が短い分だけガスの流れに対する抵抗の増加を抑制できる。
【0028】
また、上記表から判るとおり、セラミック板6の重量は変わらないものの本発明のサイレンサーではフレーム重量の低減に成功しており、総重量にして約40%の削減を達成することができた。これにより、製作時や運搬時にも大型の重機械を必要とせず、小型の機械で据付可能であるから、全体として製造コストや時間および労力を削減することが可能になる。さらに、この結果から、セラミック以外の吸音材、たとえばグラスウールをパンチングメタルで挟んだものであっても、上記同様の効果が得られるものと考えられる。
【0029】
つぎに、図5に示したように、縦仕切板13のみの場合(同図(a))、さらに横仕切板14を設けた場合(同図(b))、横仕切板14とグラスウール15を設けた場合(同図(c))の減音効果を実験した。この結果、横仕切板14とグラスウール15を設けた場合(同図(c))が最も高く、つぎに横仕切板14を設けた場合(同図(b))が良い結果となった。特に横仕切板14とグラスウール15を設けた場合では、縦仕切板13のみの場合と、縦仕切板13および横仕切板14を設けた場合とに比べ、中域において大きな減音効果が得られた。
【0030】
(実施の形態2)
図11は、この発明の実施の形態2にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。このサイレンサーモジュール200は、上記実施の形態1にかかるサイレンサーモジュール100がセラミック板6をフレーム3に挿入する構成であるのに対し、セラミック板6を予め角パイプ状に形成しておき、この状態でフレーム3に挿入するようにしたものである。角パイプは、セラミック板6を接着することで形成しても、はじめから角パイプ状に形成するようにしてもよい。このため、角パイプ201を挿入できるように、前記支持型材202の断面形状は図12に示すような十字形状となり、その谷部分203で角パイプ201の角部分を支持するようにしている。かかる構成であっても、格子状のセルを形成することが可能である。
【0031】
また、セル10の上流側端部には、整流板11が設けられている。前記セラミック板6には上記実施の形態1と同様なものを用いる。また、角パイプ列は複数としてもよいし、はじめから一本の角パイプとして挿入するようにしてもよい。また、上記実施の形態1と同様にセル内に横仕切板を設けてもよいし、仕切板で区分けした空間にグラスウールを入れるようにしてもよい(図示省略)。この実施の形態2にかかるサイレンサーモジュール200によっても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
(実施の形態3)
図13は、この発明の実施の形態3にかかるサイレンサーを示す斜視図である。この実施の形態3にかかるサイレンサー300は、サイレンサーモジュール100を、所定間隔Lをもって直列配置した構成である。このようにサイレンサーモジュール100の中間に空間を設けることにより、低域騒音を低減することができる。サイレンサーモジュールの間隔Lは、改善対象とする騒音の1/4波長分程度とする。波長の腹がちょうど吸音部分に位置するようになるので、減音効果が高まるからである。また、サイレンサーモジュールを三つ以上用いた場合でも、その間の複数の空間を前記同様に利用することができ、当該複数の空間の長さ(サイレンサーモジュールの間隔)を波長ごとに異なるように設定することも可能である。
【0033】
また、前段のサイレンサーモジュール100の空気層の幅と、後段のサイレンサーモジュール100の空気層の幅とを変えることにより、減音可能な周波数帯域を広げることができる。たとえば空気層の幅を広くすることで低域の騒音を減音することができ、空気層の幅を狭くすることにより高域の騒音を減音することができる。また、セルの開口面積を変えることによってセル内の流速を調整することができるから、圧力損失の調整が可能になる。
【0034】
(実施の形態4)
図14は、この発明の実施の形態4にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。このサイレンサーモジュール400は、上記実施の形態1にかかるサイレンサーモジュール100が断面四角形状であるのに対し、その断面を六角形状と三角形状との組み合わせ形状にした点が異なる。このサイレンサーモジュール400は、立方格子状の骨材401と、当該骨材401の両側に設けたハニカム状の骨材402と、この骨材402により保持された後述の支持型材404とからフレーム403を構成する。図15に示すように、支持型材404は、断面がX字形状になっており、その端部にはセラミック板405を嵌め込む溝部406が形成されている。また、骨材402(点線で示す)に対しては中央部の軸穴407によってその支持を得ている。
【0035】
セラミック板405は、一枚ずつフレーム403に挿入して固定する。三角形状のセルの上流側端部には整流板408が設けられている。このセル内には縦仕切板409が通っており(図15中、一点鎖線で示す)、必要により横仕切板やグラスウールなどの吸音材を設けるようにする(図示省略)。このような構成であっても、吸音面を3面以上にすることが可能であるから減音効率を向上させることができる。なお、本発明のサイレンサーモジュールは、多面構造であれば当該セル断面が六角形状の場合に限定されず、三角形状であってもよいし、七角以上の形状であってもよい。
【0036】
(実施の形態5)
また、フレームの構造は、同じ四角形状のセルを形成する場合であっても実施の形態1とは異なる形状にすることができる。図16は、この発明の実施の形態5にかかるサイレンサーモジュールのフレーム構造を示す斜視図である。図17は、当該サイレンサーモジュールを示す斜視図である。この実施の形態5にかかるサイレンサーモジュール500のフレーム501は、立方格子状の骨材502と、この骨材502の両側に取り付けた格子状の骨材503と、セラミック板を嵌め込む溝部を持つ十字形状の支持型材504とから構成されている。
【0037】
このフレーム501の支持型材504間に複数のセラミック板505を挿入し、斜め格子状のセル506を形成する。そして特定のセル端部に整流板507およびシールプレート(図示省略)を取り付け、千鳥状の吸音構造を形成する。セラミック板505は、前記整流板507およびシールプレートにより拘束固定される。また、セル内には縦仕切板が設けられ、必要により横仕切板やグラスウールなどを設ける(図示省略)。かかる構成によっても騒音の吸音面を3面以上にできるため、減音効率を向上させることができる。なお、図15に示したフレーム501の骨材502の各格子に対して千鳥状に整流板を取り付けるようにしてもよい(図示省略)。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明にかかるサイレンサー(請求項1)では、骨組構造をしたフレームに連続気孔を有する複数のセラミック板などの吸音性材料で構成した板または当該板をパイプ状にしたものを伝播方向に抜取可能に挿入して拘束することで多面の内面を有する複数のセル構造を形成し、特定のセルに蓋部材を設けて内部に空気層を有する吸音構造にしてなるサイレンサーであって、前記吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けてなると共に、該仕切板がセル内に対角線上に配置されてなるので、減音効果を向上させると共に軽量化を図ることができる。
【0039】
また、吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けたので、さらなる減音効果を得ることができる。
【0040】
また、この発明にかかるサイレンサー(請求項2)では、前記吸音構造となるセル内に、グラスウール、ロックウールその他の不定形の吸音材を入れるか、または前記セラミック板を前記不定形の吸音材を挟んでクラッド構造にしたので、さらなる減音効果を得ることができる。
【0041】
また、この発明にかかるサイレンサー(請求項3)では、空気層の幅が異なるサイレンサーを、所定間隔をもって直列配置するようにしたので、低域騒音の減音を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかるサイレンサーモジュールの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したセルモジュールの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示したサイレンサーモジュールのフレーム構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示した支持型材を示す断面図である。
【図5】仕切板を示す斜視図である。
【図6】サイレンサーモジュールの組立過程を示す説明図である。
【図7】サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーの構成を示す斜視図である。
【図8】サイレンサーモジュールを連結して構成したサイレンサーを示す斜視図である。
【図9】サイレンサーをファンの出入口に装着した例を示す説明図である。
【図10】従来型サイレンサーと本発明にかかるサイレンサーの減音性能を示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態2にかかるサイレンサーモジュールを示す正面図である。
【図12】支持型材の断面形状を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態3にかかるサイレンサーの構成を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態4にかかるサイレンサーモジュールの構成を示す正面図である。
【図15】支持型材の断面形状を示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態5にかかるサイレンサーモジュールのフレーム構造を示す斜視図である。
【図17】図15に示したサイレンサーモジュールの構成を示す斜視図である。
【図18】従来におけるスプリッタ型サイレンサーの一例を示す斜視図である。
【図19】図18に示した吸音パネルの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、2 骨材
3 フレーム
4 セルモジュール
5 支持型材
6 セラミック板
7 溝部
8 軸穴
10 セル
11 整流板
12 シールプレート
13 縦仕切板
14 横仕切板
15 グラスウール
100 サイレンサーモジュール
Claims (3)
- 骨組構造をしたフレームに連続気孔を有する複数のセラミック板などの吸音性材料で構成した板または当該板をパイプ状にしたものを伝播方向に抜取可能に挿入して拘束することで多面の内面を有する複数のセル構造を形成し、特定のセルに蓋部材を設けて内部に空気層を有する吸音構造にしてなるサイレンサーであって、
前記吸音構造内であって前記伝播を遮る方向に仕切板を設けてなると共に、
該仕切板がセル内に対角線上に配置されてなることを特徴とするサイレンサー。 - さらに、前記吸音構造となるセル内に、グラスウール、ロックウールその他の不定形の吸音材を入れるか、または前記セラミック板を前記不定形の吸音材を挟んでクラッド構造にしたことを特徴とする請求項1に記載のサイレンサー。
- 空気層の幅が異なる上記請求項1又は2に記載したサイレンサーを、所定間隔をもって直列配置したことを特徴とするサイレンサー。
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