JP3538293B2 - 遮音構造体 - Google Patents

遮音構造体

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JP3538293B2
JP3538293B2 JP04813497A JP4813497A JP3538293B2 JP 3538293 B2 JP3538293 B2 JP 3538293B2 JP 04813497 A JP04813497 A JP 04813497A JP 4813497 A JP4813497 A JP 4813497A JP 3538293 B2 JP3538293 B2 JP 3538293B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用フロアイ
ンシュレータ等に用いることのできる遮音構造体に関す
るもので、低周波領域での遮音性能を向上させるため
に、特に高通気抵抗層を形成することで通気性を制御し
た遮音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用フロアインシュレータにおける
遮音構造体2は、図1に示すように車室を外部と区画す
るフロアパネル1の車室内側に位置し、車外から車室へ
の騒音の伝達を防止する役目を持っている。この遮音構
造体2は、図1に示すようにフェルト、ポリウレタンフ
ォーム、不織布等の多孔質基材からなる低密度層3と、
充てん材を混入したEVA材シート、ポリエチレンシー
ト等の通気性の全くない高密度層4の積層構造体で構成
されている。上記低密度層3により車外からの騒音を吸
収するとともに、フロアパネル1と高密度層4との2重
壁遮音構造体の構成により、上記遮音効果と併せて良好
な防音性能を発揮するように構成されている。このよう
に従来のフロア用遮音構造体は、高密度層4とフロアパ
ネル1とにより2重壁遮音構造体を構成し、遮音性能を
確保していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高密度
層4は、通気性を持たないために、高周波域での遮音性
能に優れているが、フロア部品の遮音性能上重要となる
低周波域では共振点付近の性能低下が見られ、積層構造
体全体の質量により決定される音響透過損失(TL)の
質量則の遮音レベルに対する優位性が小さい。
【0004】従って本発明は、このような事情に鑑みて
なされたもので、成形体からなる通気性を有する遮音構
造体において、表面に機械的および/または熱的に処理
を施すことで高通気抵抗層を形成して通気性を制御する
ことで共振点付近での性能を向上させることにより、低
周波域での遮音性能を高めた遮音構造体を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
ポリエステルを主成分とする短繊維より構成された繊維
集合体であって、繊維径10〜40μm、繊維長30〜
100mmの丸断面繊維または異形断面繊維(繊維A)
が70〜90重量%と、前記繊維より少なくとも20℃
は軟化点の低い繊維であって、繊維径10〜20μm、
繊維長30〜100mmの繊維(繊維B)が10〜30
重量%とで構成され、かつ面密度0.5〜3.0kg/
2 、厚み16〜60mmの繊維集合体であり、該繊維
集合体の表層部に機械的および/または熱的に処理を施
すことで、前記繊維集合体中に少なくとも1層の高通気
抵抗層を形成し、形成された該高通気抵抗層とその他の
層の通気量差が空気圧0.01kg/cm2 で400〜
1400cc/cm2 ・minの範囲内にあることを特
徴とする遮音構造体により達成された。
【0006】本発明においては、通気量差が各層の空気
圧0.01kg/cm2 で400〜1400cc/cm
2 ・minの範囲内であることが必要である。遮音構造
体として性能を確保するには、構造体中に外部隔壁と2
重壁構造体とを成す上で、繊維集合体中に少なくとも1
層の高通気抵抗層を形成し、高通気抵抗層の通気抵抗を
十分に確保し、高通気抵抗層とその他の繊維集合体部分
の通気量差を上記範囲内にしなければならない。
【0007】高通気抵抗層を形成するには、機械的処理
によって繊維どうしの絡み合いを強める方法や、熱的処
理によって繊維どうしの結合を強める方法がある。ま
た、上記機械的処理および熱的処理を同時に行うこと
で、より精密な通気量制御が可能となる。
【0008】通気量差が400cc/cm2 ・min未
満になると、単層構造体と同様になり、2重壁構造体を
成さなくなる。逆に、通気量差が1400cc/cm2
・minを超えると、目的とする低周波域の遮音性能を
達成することができない。
【0009】構造体全体では面密度が0.5〜3.0k
g/m2 の範囲であることが必要である。遮音性能を確
保する上で構造体の面密度は高いほど良いが、3.0k
g/m2 を超えると、実使用の上で重すぎて好ましくな
い。逆に、面密度が0.5kg/m2 未満になると、遮
音性能の目的を達成することができない。
【0010】構造体全体の厚みは、16〜60mmの範
囲であることが必要である。厚みが16mm未満になる
と、上記範囲の面密度で十分な遮音性能を得られない。
一方、吸音性能の向上には厚みは厚いほど良いが、60
mmを超える厚みになると、実際に使用する上でスペー
ス確保等の観点から好ましくない。
【0011】構造体を構成する繊維は、公知の合成繊維
の中から適宜選択して使用することができる。この具体
例としては、例えばポリエステル、ナイロン、ポリアク
リロニトリル、ポリアセテート、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、綿状ポリエステル、ポリアミド等が挙げられ
るが、特に流通性や機械強度の観点からも適しており、
コストパフォーマンスも高いポリエステルが好ましい。
【0012】次に、高通気抵抗層について説明する。本
発明の遮音構造体の遮音性能を向上させるには、高通気
抵抗層を形成して通気性を低減させることと、高通気抵
抗層と外部隔壁とにより2重壁遮音構造体を形成させる
ことが必要となる。
【0013】第1に通気性の影響であるが、遮音性能の
向上には通気量を低減させる方が良い。通気性は、繊維
材層の面密度、繊維径、繊維断面形状等の様々な要因に
起因するが、面密度を増加させることや繊維集合体に配
合される繊維の平均径を小さくすることが通気性の低下
に非常に有効である。しかしながら、密度の増加は、全
体の重量増加および材料費の上昇を招く。
【0014】第2に外部隔壁との2重壁遮音構造体の形
成の効果についてであるが、外部隔壁と高通気抵抗層と
が2重壁を形成すると遮音性能を向上させる効果が大き
くなる。重量を増やすことで2重壁を形成することも可
能であるが、重量増は好ましくなく、繊維配合や面密度
等の操作で通気性や剛性等の物性を制御して2重壁を形
成させることが必要となる。
【0015】以上説明したことを考慮すると、本発明の
遮音構造体の遮音性能を向上させるにあたり、高通気抵
抗層を形成することで繊維集合体の通気抵抗を制御し、
外部隔壁と2重壁遮音構造体を形成させることが理想と
なる。
【0016】通気抵抗は、繊維径、面密度、厚みに依存
してその性能が変化する。繊維径が小さいほど、つまり
繊維集合体中の表面積が大きいほど通気抵抗は向上す
る。しかし、細い繊維は高価であり、不織布への成形が
困難なため、繊維径が10μm未満の細繊維にするのは
経済性や成形性の観点から好ましくない。一方、40μ
mを越えると十分な通気抵抗が得られず遮音性能を向上
させるという本発明の目的を達成することができない。
【0017】次に、遮音構造体中の高通気抵抗層を除く
その他の層(以下、低通気抵抗層とする)について説明
する。本発明の遮音構造体の遮音性能を向上させるに
は、低通気抵抗層の通気性の制御、振動伝達率の低減、
吸音率の向上が必要となる。
【0018】第1に低通気抵抗層の振動伝達率の効果に
ついてであるが、振動伝達率を低減させるほど遮音性能
は向上する。ここで振動伝達率は、その物体の動的バネ
定数に大きく依存し、遮音性能の向上には動的バネ定数
の低減が必要となる。
【0019】第2に低通気抵抗層の吸音率の効果につい
てであるが、遮音性能の向上には吸音率が高いほど良
い。吸音率は、繊維材層の面密度、繊維径、繊維断面形
状等の様々な要因に起因して決定されてくるが、面密度
の増加や繊維集合体に配合される繊維の平均径を小さく
することは吸音率の向上に非常に有効である。しかし、
密度の増加は、全体の重量増加につながり材料費も高く
なる。
【0020】以上説明したことを考慮すると、本発明の
遮音構造体の遮音性能を向上させるにあたり、低通気抵
抗層となる繊維集合体の通気抵抗を制御し、バネ定数を
低減させ、吸音率を向上させることが理想となる。
【0021】通気抵抗は、高通気抵抗層の説明の中でも
述べたように、繊維径、面密度、厚みに依存してその性
能が変化する。また、吸音性能とバネ定数とは、繊維径
に依存して性能が変化する。通気抵抗は、繊維径が小さ
いほど、つまり繊維集合体中の表面積が大きいほど増加
する。また、同時に繊維径が小さいほど吸音性能は向上
する。よって繊維径は小さいほど良いことになるが、細
い繊維は高価なためコスト増を招き、不織布への成形性
にも劣るため、10μm未満の細繊維にするのはこの点
から好ましくない。一方、40μmを超えると通気抵抗
や吸音性能が同時に著しく低下してしまい遮音性能を向
上させるという本発明の目的を達成することができな
い。
【0022】次に、本発明の遮音構造体の繊維配合につ
いて説明する。本発明の遮音構造体は、ポリエステルを
主成分とする短繊維より構成された繊維集合体であっ
て、繊維径10〜40μm、繊維長30〜100mmの
丸断面繊維または異形断面繊維(繊維A)が70〜90
重量%と、前記の繊維より少なくとも20℃は軟化点の
低い繊維であって、繊維径10〜20μm、繊維長30
〜100mmの繊維(繊維B)が10〜30重量%とで
構成される。
【0023】繊維Aは、ポリエステルを主成分とする短
繊維で繊維径10〜40μm、繊維長30〜100mm
の丸断面繊維または異形断面繊維より構成され70〜9
0重量%の割合で配合する。これは、細デニール繊維を
配合することにより繊維集合体中の表面積を増加させ、
通気抵抗を向上させるのに必要となるからである。これ
により2重壁遮音構造体を形成することも可能となる。
また、繊維長、断面形状についても短繊維、異形断面と
することで通気抵抗がさらに増加する。さらに通気性の
制御だけでなく、振動伝達率の低減や吸音率の向上とい
う目的がある。
【0024】上記の様に遮音性能を向上させ、通気量を
低減させるには細い繊維を多く配合することが望まし
い。しかし、それによって形状維持性が低下し、へたり
が発生して要求性能を満足するのに必要な厚みを確保で
きなくなる。そのため比較的太い繊維の配合が必要とな
る。このため、本発明では、繊維径が10〜40μmの
範囲にあることが必要である。繊維径が40μmを超え
ると、十分な通気抵抗を得られず、良好な遮音性能を得
るのが困難になる。一方、繊維径が10μm未満になる
と、製造するのが困難であり、繊維の安定供給が難し
く、さらにコスト増加を伴うため好ましくない。また他
の繊維Bと混ざりにくくなり、均一な繊維集合体を得る
のが困難となる。
【0025】繊維Aの配合量は70〜90重量%の範囲
であることが必要である。配合量が90重量%を超える
と、吸音材の形成が難しく、十分な密度を確保できなく
なり本発明の目的を達成できない。逆に、70重量%未
満になると、十分な通気抵抗を得るのに不適となる。
【0026】繊維Bは、繊維径10〜20μm、繊維長
30〜100mmの繊維で、上記繊維Aより軟化点が少
なくとも20℃は低い繊維(以下、バインダー繊維とい
う)であり、10〜30重量%の割合で配合する。
【0027】これは成形性を付与できる繊維の配合が多
少必要であることを意味する。本発明の遮音構造体は、
遮音の要求される部位への密着性が性能向上のための大
きな要因となっており、繊維集合体は、面形状に追従す
るように成形できることが必要である。前述の短繊維の
使用により追従性は向上するが、その形状を維持するた
めにはバインダー繊維の配合が必要である。加熱成形時
には繊維Aを型の形状に拘束した状態でバインダー繊維
が軟化して接着するので、細かな面形状の維持が可能と
なる。
【0028】バインダー繊維の繊維径は10〜20μm
の範囲であることが必要である。繊維径が10μm未満
の繊維になると、一般的でなく、コストが高くなると共
に、加熱成形時にバインダー繊維自体にへたりが生じ、
また繊維Aと混ざりにくくなり均一な繊維集合体を得る
のが困難となる。逆に、繊維径が20μmを超えると、
相対的に繊維の本数が減少するため、他繊維との接合点
が減少し、形状維持が難しくなる。
【0029】また、繊維集合体としての形状を保ちなが
ら、加熱してプレス成形し製品を作るために必要な繊維
自体の軟化点の差が少なくとも20℃違うことが必要で
ある。これよりも軟化点の差が小さくなると、繊維体全
体の軟化が生じてしまう。
【0030】繊維Bの配合量は、成形性や密度の確保の
点から10〜30重量%の割合であることが必要であ
る。配合量が10重量%未満になると成形が困難とな
る。逆に30重量%を超えると、十分な通気抵抗を得る
のに不適となる。
【0031】本発明の遮音構造体を構成する繊維A,B
ともに繊維長が30〜100mmの範囲内にあることが
必要である。繊維A,Bの繊維長は、繊維集合体中の表
面積への影響や、繊維集合体の機械強度向上の点から上
記範囲にあることが必要である。繊維長が30mm未満
の繊維では、不織布の製造性に劣り、100mmを超え
る繊維では、繊維集合体中で均一に分散させることが難
しく、高品質での安定性を求めるには十分な材料とはな
らない。
【0032】次に、高通気抵抗層の形成方法について説
明する。高通気抵抗層の形成方法としては、繊維集合体
の表層部に機械的および/または熱的処理を施す方法が
ある。
【0033】機械的処理としてはニードルパンチ処理が
あり、これによって繊維どうしの絡み合いを強めること
が可能となる。ニードルパンチ処理は、不織布製造にお
いて一般的な方法であり、設備的に特殊なものではな
く、処理条件の設定で任意の高通気抵抗層を形成するこ
とが可能である。
【0034】このとき高通気抵抗層の厚みは1〜10m
mの範囲内である必要がある。厚みが1mm未満になる
と、製造上困難であり、10mmを超えると、低通気抵
抗層が十分な厚みを確保できず遮音性能を満足できなく
なる。
【0035】また、形成された高通気抵抗層とその他の
層の通気量差が空気圧0.01kg/cm2 で400〜
1400cc/cm2 ・minの範囲内にあることが必
要である。通気量差が400cc/cm2 ・min未満
になると、単層構造体と同様になり、2重壁構造体を成
さなくなる。通気量差が1400cc/cm2 ・min
を超えると、遮音性能の目標が達せられない。
【0036】熱的処理としては表層部への加熱処理があ
り、これによりバインダー繊維の溶融を促進して繊維ど
うしの結合点を増やすことが可能となる。加熱処理は不
織布製造において一般的に行っており、設備的に特殊な
ものではなく、温度条件の設定で任意の高通気抵抗層を
形成することが可能である。
【0037】このとき高通気抵抗層の厚みも、上記と同
様であり、1〜10mmの範囲内であることが必要であ
る。厚みが1mm未満になると、製造上困難であり、逆
に10mmを超えると、低通気抵抗層が十分な厚みを確
保できず遮音性能を満足できなくなる。
【0038】また、形成された高通気抵抗層とその他の
層の通気量差が空気圧0.01kg/cm2 で400〜
1400cc/cm2 ・minの範囲内にあることが必
要である。通気量差が400cc/cm2 ・min未満
になると、単層構造体と同様になり、2重壁構造体を成
さなくなる。逆に、通気量差が1400cc/cm2
minを超えると、低周波域での遮音性能の目標が達せ
られない。
【0039】また、熱的処理には表層部へのエンボス処
理もあり、これにより局部的に表層部のバインダー繊維
の溶融を促進して繊維どうしの結合点を増やすことが可
能となる。エンボス処理は、設備的に特殊なものではな
く、処理条件の設定で任意の高通気抵抗層を形成するこ
とが可能である。
【0040】このときの高通気抵抗層の厚みも1〜10
mmの範囲内であることが必要である。厚みが1mm未
満になると、製造上困難であり、10mmを超えると、
低通気抵抗層が十分な厚みを確保できず遮音性能を満足
できなくなる。
【0041】また、形成された高通気抵抗層とその他の
層の通気量差が空気圧0.01kg/cm2 で400〜
1400cc/cm2 ・minの範囲内にあることが必
要である。通気量差が400cc/cm2 ・min未満
になると、単層構造体と同様になり、2重壁構造体を成
さなくなる。逆に、通気量差が1400cc/cm2
minを超えると、低周波域での遮音性能の目標が達せ
られない。
【0042】上記3通りの高通気抵抗層の形成方法があ
るが、これらを同時に行うことでより精密に通気抵抗を
制御できるが、特に限定は行わない。
【0043】次に、共振周波数の制御について説明す
る。本発明の遮音構造体を隔壁に設置することにより、
繊維集合体内の少なくとも1層の高通気抵抗層と外部隔
壁とにより2重壁遮音構造体を形成し、高通気抵抗層
(1)の繊維配合、通気量、剛性、弾性率および低密度
層(2)の繊維配合、厚さ、動的バネ定数、通気量を操
作することにより、1次共振周波数を50〜300Hz
の任意の周波数に設定することが可能となる。
【0044】遮音性能を向上させるには、遮音構造体を
用いて外部隔壁とにより2重壁遮音構造体を形成させる
必要がある。しかし、2重壁遮音構造体の特性として、
遮音性能曲線上のある周波数で共振現象が発生する。そ
こで、この共振点をより低周波側に移行させることで、
周波数に対する遮音性能曲線全体を低周波側に移行させ
て性能向上を図ることができる。本発明は、共振点を任
意に設定することが可能であり、遮音性能の向上を達成
している。
【0045】内部に多孔質材を挿入した2重壁遮音構造
体の1次共振周波数は、一般的に(1)式で近似され
る。 f=1/2π・(k/m)1/2 ‥‥(1) mは高通気抵抗層の面密度であり、kは低通気抵抗層の
ばね定数である。
【0046】しかし、本発明の2重壁遮音構造体は完全
な2重壁を形成していないので、(1)式だけでは1次
共振周波数を決定できない。そこで共振点を任意に設定
する具体的手段として、低周波に設定するには、高通気
抵抗層の繊維配合を操作し、通気量を低減させ、剛性と
弾性率を向上させ、また低通気抵抗層の繊維配合を操作
し、厚みを増加させ、動的バネ定数と通気量を低減する
といった方法が有効である。これらすべてを同時に行な
うことでより精密な共振点設定操作が可能となるが、特
に限定は行なわない。
【0047】本発明の遮音構造体は、1次共振周波数を
50〜300Hzの範囲にある周波数に設定することが
必要である。周波数が300Hz以上に共振点を設定す
ると1kHz以下の低周波数領域で遮音性能が低下して
しまい本発明の目的が達成できない。一方、50Hz未
満に共振点を設定するには上記操作において密度増加が
大きくなり、重量増加につながるため好ましくない。
【0048】次に、質量則との遮音性能比較について説
明する。2重壁遮音構造体において、遮音構造体全体の
質量により決定される音響透過損失(TL)の質量則の
遮音レベルに対して、当該遮音構造体により形成された
2重壁遮音構造体は300〜1kHzの周波数領域にお
いて、その周波数平均で音響透過損失が1〜3dB向上
することを特徴としている。
【0049】遮音性能が決定される上で、遮音構造体全
体の質量が要因の一つとなる。質量則とはこの遮音構造
体の質量によって周波数ごとの遮音性能が決定されるも
のである。しかし、遮音構造体が外部隔壁とにより2重
壁遮音構造体を形成すると前記のように共振域では質量
則を下回るが、それ以外の量域では質量則を上回る遮音
性能を得ることができる。そこで、2重壁遮音構造を形
成し、前記のように共振点を操作することで任意の周波
数領域で遮音性能を向上させることが可能となる。当該
積層構造体は以上の手段を用いることで300〜1kH
zの周波数領域において、音響透過損失(TL)の質量
則の遮音レベルを1〜3dB上回ることが可能となる。
【0050】次に、自動車用フロアインシュレータへの
適用について説明する。自動車用フロア部品において低
周波数領域、特に1kHz以下での遮音性能を確保する
ことが要求性能上から重要である。そこで、本発明の遮
音構造体を自動車用フロアインシュレータに適用するこ
とで、フロア部品に要求される低周波数領域での遮音性
能を向上させることができる。さらに、共振点を任意に
設定できることで、低周波数領域での遮音性能をより向
上させることも可能となる。
【0051】また、自動車用フロアインシュレータに用
いられるカーペット表皮は、ポリエステルが使われるこ
とが多く、本発明の遮音構造体と組み合わせることでフ
ロアインシュレータ全体をポリエステルで製造するとが
可能となり、工程上で発生するバリ等のリサイクル性も
向上させることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態の説明を
する。本発明の遮音構造体は、通気性の全くない層を少
なくとも1層有する全く同一形状で同一重量の従来品に
比べ、通気性を有し、低周波領域の遮音性能が向上し
た。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
【0054】実施例1 面密度875g/cm2 、繊維集合体の全体厚み35m
mで、繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステ
ル繊維Aが80重量%と、繊度14μm、繊維長約50
mmで繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊
維Bが20重量%で構成され、ニードルパンチ処理によ
り、高通気抵抗層の厚みが5mmで、空気圧0.01k
g/cm2 での高通気抵抗層通気量が900cc/cm
2 ・min、低通気抵抗層通気量が1700cc/cm
2 ・minである繊維集合体を使用して遮音構造体
(1)を作製した。これを外部隔壁に設置することで1
次共振点を200〔Hz〕に設定した。
【0055】実施例2 面密度500g/cm2 、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1300cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が2050cc/cm 2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(2)を作製した。
【0056】実施例3 面密度3000g/cm2 、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が600cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1100cc/cm 2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(3)を作製した。
【0057】実施例4 繊維集合体の全体厚み16mm、空気圧0.01kg/
cm2 での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2
min、低通気抵抗層通気量が1300cc/cm2
minとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構
造体(4)を作製した。
【0058】実施例5 繊維集合体の全体厚み60mm、空気圧0.01kg/
cm2 での高通気抵抗層通気量が1200cc/cm2
・min、低通気抵抗層通気量が1600cc/cm2
・minとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音
構造体(5)を作製した。
【0059】実施例6 繊維集合体の高通気抵抗層の厚み1mm、空気圧0.0
1kg/cm2 での高通気抵抗層通気量が1100cc
/cm2 ・min、低通気抵抗層通気量が1600cc
/cm2 ・minとした以外は、実施例1と全く同様に
して遮音構造体(6)を作製した。
【0060】実施例7 繊維集合体の高通気抵抗層の厚み10mm、空気圧0.
01kg/cm2 での高通気抵抗層通気量が700cc
/cm2 ・min、低通気抵抗層通気量が1700cc
/cm2 ・minとした以外は、実施例1と全く同様に
して遮音構造体(7)を作製した。
【0061】実施例8 繊維径10μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1500cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(8)を作製した。
【0062】実施例9 繊維径40μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1100cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1900cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(9)を作製した。
【0063】実施例10 繊維径25μm、繊維長約30mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1500cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(10)を作製した。
【0064】実施例11 繊維径25μm、繊維長約100mmのポリエステル繊
維Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50m
mで繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維
Bが20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が1100cc/cm2 ・m
in、低通気抵抗層通気量が2000cc/cm2 ・m
inとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造
体(11)を作製した。
【0065】実施例12 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが70重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が30重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が900cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1600cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(12)を作製した。
【0066】実施例13 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが90重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が10重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1100cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1800cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(13)を作製した。
【0067】実施例14 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径10μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1600cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(14)を作製した。
【0068】実施例15 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径20μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が900cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1750cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(15)を作製した。
【0069】実施例16 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約30mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が850cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1550cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(16)を作製した。
【0070】実施例17 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約100m
mで繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維
Bが20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が1050cc/cm2 ・m
in、低通気抵抗層通気量が1800cc/cm2 ・m
inとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造
体(17)を作製した。
【0071】実施例18 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約20℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1400cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(18)を作製した。
【0072】実施例19 ニードルパンチ処理の代わりに、加熱処理により、表面
層の一部を溶融させて高通気抵抗層を形成した以外は、
実施例1と全く同様にして遮音構造体(19)を作製し
た。
【0073】実施例20 ニードルパンチ処理の代わりに、エンボス処理により、
表面層の一部を高密度化させて高通気抵抗層を形成した
以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体(20)
を作製した。
【0074】比較例1 面密度300g/cm2 、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1400cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が2900cc/cm 2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(21)を作製した。
【0075】比較例2 面密度5000g/cm2 、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が250cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が800cc/cm2・min
とした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(22)を作製した。
【0076】比較例3 繊維集合体の全体厚み10mm、空気圧0.01kg/
cm2 での高通気抵抗層通気量が900cc/cm2
min、低通気抵抗層通気量が1150cc/cm2
minとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構
造体(23)を作製した。
【0077】比較例4 繊維集合体の全体厚みを100mmとした以外は、実施
例1と全く同様にして遮音構造体(24)を作製しよう
としたが、実使用上から現実的なサイズとならなかっ
た。
【0078】比較例5 繊維集合体の高通気抵抗層の厚みを1mm以下とした以
外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体(25)を
作製しようとしたが、成形時の繊維の圧縮ができず、作
製できなかった。
【0079】比較例6 繊維集合体の高通気抵抗層の厚み20mm、空気圧0.
01kg/cm2 での高通気抵抗層通気量が600cc
/cm2 ・min、低通気抵抗層通気量が1400cc
/cm2 ・minとした以外は、実施例1と全く同様に
して遮音構造体(26)を作製した。
【0080】比較例7 繊維径5μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維A
が80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mmで
繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維Bが
20重量%で構成される以外は、実施例1と全く同様に
して遮音構造体(27)を作製しようとしたが、繊維A
が細すぎて不織布とならず、作製できなかった。
【0081】比較例8 繊維径60μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1500cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が2150cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(28)を作製した。
【0082】比較例9 繊維径25μm、繊維長約10mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成される以外は、実施例1と全く同様
にして遮音構造体(29)を作製しようとしたが、繊維
Aが短くて不織布とならず、作製できなかった。
【0083】比較例10 繊維径25μm、繊維長約200mmのポリエステル繊
維Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50m
mで繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維
Bが20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が1400cc/cm2 ・m
in、低通気抵抗層通気量が2000cc/cm2 ・m
inとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造
体(30)を作製した。
【0084】比較例11 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが50重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が50重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が800cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が1500cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(31)を作製した。
【0085】比較例12 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが100重量%で構成される以外は、実施例1と全く
同様にして遮音構造体(32)を作製しようとしたが、
成形体を呈さず、作製できなかった。
【0086】比較例13 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径5μm、繊維長約50mmで
繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維Bが
20重量%で構成される以外は、実施例1と全く同様に
して遮音構造体(33)を作製しようとしたが、繊維B
が細すぎて不織布とならず、作製できなかった。
【0087】比較例14 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径60μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm2
での高通気抵抗層通気量が1200cc/cm2 ・mi
n、低通気抵抗層通気量が2050cc/cm2 ・mi
nとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造体
(34)を作製した。
【0088】比較例15 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約10mm
で繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成される以外は、実施例1と全く同様
にして遮音構造体(35)を作製しようとしたが、繊維
Bが短くて不織布とならず、作製できなかった。
【0089】比較例16 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約200m
mで繊維Aより軟化点が約90℃低いポリエステル繊維
Bが20重量%で構成され、空気圧0.01kg/cm
2 での高通気抵抗層通気量が1300cc/cm2 ・m
in、低通気抵抗層通気量が1900cc/cm2 ・m
inとした以外は、実施例1と全く同様にして遮音構造
体(36)を作製した。
【0090】比較例17 繊維径25μm、繊維長約50mmのポリエステル繊維
Aが80重量%と、繊維径14μm、繊維長約50mm
で繊維Aより軟化点が約10℃低いポリエステル繊維B
が20重量%で構成される以外は、実施例1と全く同様
にして遮音構造体(37)を作製しようとしたが、温度
差が小さく不織布とならず、作製できなかった。
【0091】比較例18 加熱処理を施さなかった以外は、実施例19と全く同様
にして遮音構造体(38)を作製した。
【0092】比較例19 エンボス処理を施さなかった以外は、実施例20と全く
同様にして遮音構造体(39)を作製した。
【0093】(試験例)上記実施例および比較例におい
て得られた遮音構造体について、以下の実験を実施し
た。
【0094】・試験例(通気量測定) 上記の各実施例および比較例の方法によって得られたサ
ンプルを用いて、JISL1004,L1018,L1
096に規定される通気性試験の測定方法に準拠して通
気量を測定した。
【0095】・試験例(遮音性能測定) 上記の各実施例および比較例の方法によって得られたサ
ンプルについて、JIS1416の残響室−残響室を利
用した音響透過損失測定を実施した。このとき各サンプ
ルごとに遮音構造体全体の質量により決定される音響透
過損失(TL)の質量則の遮音レベルを基準値として0
dBと見なして遮音性能差を算出した。また、この差を
300〜500〔Hz〕,500〜1k〔Hz〕の周波
数域で平均して、グラフにまとめた。これらの試験結果
を表1および表2に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】表1および表2に示した結果で音響透過損
失差が300〜500〔Hz〕,500〜1k〔Hz〕
の周波数域のどちらかで1dB未満のものはその効果が
ないものと判断した。
【0099】表1から実施例で作製した各遮音構造体
は、遮音構造体全体の質量により決定される音響透過損
失(TL)の質量則の遮音レベルに比べて、低周波数域
での遮音性能が向上することが確認された。
【0100】また、特許請求の範囲から外れる仕様で作
製した比較例は、表2に示すように遮音性能について満
足な値を得ることができなかった。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の遮音構造
体は、表面処理により通気量を制御でき、従来の通気性
の全くない高密度層をその構成中に有する遮音構造体よ
り、低周波数域での遮音性能が格段に向上する効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両に搭載されたフロアインシュレータの模式
図である。
【符号の説明】
1 フロアパネル 2 遮音構造体 3 低密度層 4 高密度層 5 フロアカーペット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 恭一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 根本 好一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−287581(JP,A) 特開 平6−247202(JP,A) 特開 平9−13260(JP,A) 特開 平8−324320(JP,A) 実開 昭56−61000(JP,U) 実開 昭58−168929(JP,U) 実開 平3−104459(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60N 3/04 B32B 5/06 B32B 5/26 B60R 13/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを主成分とする短繊維より
    構成された繊維集合体であって、繊維径10〜40μ
    m、繊維長30〜100mmの丸断面繊維または異形断
    面繊維(繊維A)が70〜90重量%と、前記繊維より
    少なくとも20℃は軟化点の低い繊維であって、繊維径
    10〜20μm、繊維長30〜100mmの繊維(繊維
    B)が10〜30重量%とで構成され、かつ面密度0.
    5〜3.0kg/m2 、厚み16〜60mmの繊維集合
    体であり、該繊維集合体の表層部に機械的および/また
    は熱的に処理を施すことで、前記繊維集合体中に少なく
    とも1層の高通気抵抗層を形成し、形成された該高通気
    抵抗層とその他の層の通気量差が空気圧0.01kg/
    cm2 で400〜1400cc/cm2 ・minの範囲
    内にあることを特徴とする遮音構造体。
  2. 【請求項2】 遮音構造体の、少なくとも1面にニード
    ルパンチ処理を施すことで表層から1〜10mmの厚み
    の高通気抵抗層を形成して通気制御を行ない、前記高通
    気抵抗層となっている面に垂直方向から圧力をかけて空
    気を透過させたときに、ニードルパンチ処理で形成され
    た前記高通気抵抗層とその他の層の通気量差が空気圧
    0.01kg/cm2 で400〜1400cc/cm2
    ・minの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載
    の遮音構造体。
  3. 【請求項3】 遮音構造体の、少なくとも1面に加熱処
    理を施すことで表層から1〜10mmの厚みの高通気抵
    抗層を形成して通気制御を行ない、前記高通気抵抗層と
    なっている面に垂直方向から圧力をかけて空気を透過さ
    せたときに、加熱処理で形成された前記高通気抵抗層と
    その他の層の通気量差が空気圧0.01kg/cm2
    400〜1400cc/cm2 ・minの範囲内にある
    ことを特徴とする請求項1記載の遮音構造体。
  4. 【請求項4】 遮音構造体の、少なくとも1面にエンボ
    ス処理を施すことで表層から1〜10mmの厚みの高通
    気抵抗層を形成して通気制御を行ない、前記高通気抵抗
    層となっている面に垂直方向から圧力をかけて空気を透
    過させたときに、エンボス処理で形成された前記高通気
    抵抗層とその他の層の通気量差が空気圧0.01kg/
    cm2 で400〜1400cc/cm2 ・minの範囲
    内にあることを特徴とする請求項1記載の遮音構造体。
  5. 【請求項5】 遮音構造体を隔壁に設置することによ
    り、繊維集合体内の高通気抵抗層と外部隔壁とにより2
    重壁遮音構造体を形成し、前記高通気抵抗層の通気量、
    厚さ、およびその他の層の厚さ、密度、動的バネ定数、
    通気量を操作することにより、1次共振周波数を50〜
    300Hzの任意の周波数に設定することが可能なこと
    を特徴とする請求項1乃至4記載の遮音構造体。
  6. 【請求項6】 2重壁遮音構造体において、構造体全体
    の質量により決定される音響透過損失(TL)の質量則
    の遮音レベルに対して、該遮音構造体により形成された
    前記2重壁遮音構造体が300〜1kHzの周波数領域
    において、その周波数平均で音響透過損失が1〜3dB
    向上することを特徴とする請求項5記載の遮音構造体。
  7. 【請求項7】 自動車のフロアパネルの車室内側に位置
    し、遮音構造体の上部にカーペットを設置した状態で自
    動車用フロアインシュレータに適用されることを特徴と
    する請求項6記載の遮音構造体。
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