JP3536895B2 - 重合触媒 - Google Patents

重合触媒

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JP3536895B2
JP3536895B2 JP34905497A JP34905497A JP3536895B2 JP 3536895 B2 JP3536895 B2 JP 3536895B2 JP 34905497 A JP34905497 A JP 34905497A JP 34905497 A JP34905497 A JP 34905497A JP 3536895 B2 JP3536895 B2 JP 3536895B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラジカル重合性組成
物、特に歯科用重合性組成物に好適に使用される重合触
媒に関する。
【0002】
【従来の技術】ラジカル重合性不飽和単量体を重合させ
るための重合触媒として、スルフィン酸塩単体、または
スルフィン酸塩を重合触媒の1成分として用いる方法が
知られている。例えば、ジャーナル・オブ・フィジカル
・ケミストリー(Journal of Physic
al Chemistry)、第75巻、No.20、
3066−3074頁、1971年には色素とベンゼン
スルフィン酸塩誘導体からなる重合触媒を用いてアクリ
ルアミドの重合を行った例が報告されている。
【0003】歯科材料分野においても、近年スルフィン
酸塩を重合触媒として含む重合性組成物が広く用いられ
ている。例えば、特公昭63−25562号公報には酸
性基含有重合性不飽和単量体とα−ジケトン類および有
機スルフィン酸塩の組合せが、また特公平2−5783
6号公報には歯質表面の前処理剤組成物として不飽和カ
ルボン酸と有機スルフィン酸塩との組合せが、さらに、
特開昭57−75907号公報には、酸性基含有重合性
不飽和単量体とスルフィン酸塩/過酸化物/アミンから
なる組合せが開示されている。これらスルフィン酸塩を
重合触媒の一成分として含有する重合性組成物は、歯
質、特に象牙質の界面での重合性を高めるため、歯科用
の接着材として用いると、高い接着強度を与えるため有
用とされている。
【0004】しかしながら、上記重合性組成物において
触媒成分として用いられている有機スルフィン酸塩は不
飽和単量体、特にα,β−不飽和カルボニル化合物であ
る、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルア
ミドおよび(メタ)アクリルアミド誘導体等の二重結合
に対して容易にマイケル付加反応を起こしてしまうため
に、スルフィン酸塩を直接これら重合性不飽和単量体中
に溶解した組成物を長期間にわたって保存することは不
可能であった。このため、わざわざ有機スルフィン酸塩
を含む水溶液や有機溶媒を別包装にしなければならない
という欠点があった。
【0005】この問題点を解決する手段として、特開平
3−45602号公報には、芳香族スルフィン酸塩の
2,6−位にt−ブチル基やi−プロピル基等の嵩高い
置換基を導入することによって、上記した不飽和二重結
合に対する付加反応を抑制し、重合性不飽和単量体中で
も長期間保存することが可能であることが示されてい
る。
【0006】しかしながら、この方法も、合成上2,6
−位に置換基を導入することが困難であったり、該化合
物の重合活性が低いといった問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、重合性不飽
和単量体中で長期間安定に保存できる、有機スルフィン
酸塩を含む重合触媒を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意検討した結果、有機スルフィン酸塩とアン
モニウム塩及び/またはホスホニウム塩を共存させた組
成物が、重合活性を低下させることなく重合性不飽和単
量体中でも優れた保存安定性を有する重合触媒となるこ
とを見い出し、本発明を提案するに至った。
【0009】即ち、本発明は、有機スルフィン酸塩
(A)、並びにアリールボレートアンモニウム塩及び/
またはアリールボレートホスホニウム塩(B)からなる
ことを特徴とする重合触媒である。
【0010】本発明の重合触媒が、重合性不飽和単量体
中で良好な保存安定性を示す明確な理由は十分に解明さ
れていないものの、以下のように考えられる。すなわ
ち、有機スルフィン酸塩(A)の対カチオンと、アンモ
ニウム塩及び/またはホスホニウム塩(B)のそれぞれ
アンモニウムイオン及び/またはホスホニウムイオンが
重合性組成物中で交換反応を起こしているため、有機ス
ルフィン酸塩の重合性不飽和単量体への求核的な付加反
応を抑制しているものと考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用する有機スルフィン
酸塩(A){以下、単に(A)成分ともいう。}として
は、公知の有機スルフィン酸のアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩、アンモニウム塩等が何等制限なく使用で
きる。
【0012】アルカリ金属塩としてはリチウム塩、ナト
リウム塩、カリウム塩等を例示することができ、アルカ
リ土類金属塩としてはマグネシウム塩、カルシウム塩、
ストロンチウム塩、バリウム塩等を例示することがで
き、アミン塩としてはメチルアミン、エチルアミン、プ
ロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、トルイジン、
フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の塩である
1級アンモニウム塩;ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、
N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジフェニル
アミン、N−メチルトルイジン等の塩である2級アンモ
ニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリ
ジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン、
N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジ
ン、N,N−(β−ヒドロキシエチル)トルイジン等の
塩である3級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウ
ム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルア
ンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩等の
4級アンモニウム塩を例示することができる。
【0013】また、これら金属及びアミン類と塩を形成
する有機スルフィン酸としては、アルキルスルフィン
酸、脂環式スルフィン酸、芳香族スルフィン酸等公知の
スルフィン酸が制限無く使用できる。
【0014】(A)成分として好適に使用できる有機ス
ルフィン酸塩を具体的に例示すれば、エタンスルフィン
酸ナトリウム、エタンスルフィン酸リチウム、プロパン
スルフィン酸ナトリウム、ヘキサンスルフィン酸カルシ
ウム、オクタンスルフィン酸ナトリウム、デカンスルフ
ィン酸ナトリウム、ドデカンスルフィン酸ナトリウム等
のアルキルスルフィン酸塩、シクロヘキサンスルフィン
酸ナトリウム、シクロオクタンスルフィン酸ナトリウム
等の脂環式スルフィン酸塩、ベンゼンスルフィン酸リチ
ウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスル
フィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸マグネシウ
ム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフ
ィン酸ストロンチウム、ベンゼンスルフィン酸バリウ
ム、ベンゼンスルフィン酸ブチルアミン塩、ベンゼンス
ルフィン酸アニリン塩、ベンゼンスルフィン酸トルイジ
ン塩、ベンゼンスルフィン酸フェニレンジアミン塩、ベ
ンゼンスルフィン酸ジエチルアミン塩、ベンゼンスルフ
ィン酸ジフェニルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸トリ
エチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アンモニウム、
ベンゼンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、ベン
ゼンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウム塩、
o−トルエンスルフィン酸リチウム、o−トルエンスル
フィン酸ナトリウム、o−トルエンスルフィン酸カルシ
ウム、o−トルエンスルフィン酸シクロヘキシルアミン
塩、o−トルエンスルフィン酸アニリン塩、o−トルエ
ンスルフィン酸アンモニウム、o−トルエンスルフィン
酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルフィン
酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p
−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフ
ィン酸バリウム、p−トルエンスルフィン酸エチルアミ
ン塩、p−トルエンスルフィン酸トルイジン塩、p−ト
ルエンスルフィン酸−N−メチルアニリン塩、p−トル
エンスルフィン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフィン
酸アンモニウム、p−トルエンスルフィン酸テトラブチ
ルアンモニウム、β−ナフタレンスルフィン酸ナトリウ
ム、β−ナフタレンスルフィン酸ストロンチウム、β−
ナフタレンスルフィン酸トリエチルアミン塩、β−ナフ
タレンスルフィン酸−N−メチルトルイジン塩、β−ナ
フタレンスルフィン酸アンモニウム、β−ナフタレンス
ルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウム等の芳香族
スルフィン酸塩を挙げることができる。
【0015】これらの中でも特に、重合活性および入手
の容易さ等から、芳香族スルフィン酸類のナトリウム
塩、リチウム塩を使用するのが好ましい。
【0016】また、当該有機スルフィン酸塩は、1種ま
たは2種以上を混合して用いる事も可能である。
【0017】
【0018】(B)成分として好適に使用できるアンモ
ニウム塩の具体例を例示すれば、NH ;メチルアン
モニウム、エチルアンモニウム、アニリニウム等の1級
アンモニウム;ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモ
ニウム、ピペリジニウム、N−メチルアニリニウム、ジ
フェニルアンモニウム等の2級アンモニウム;トリメチ
ルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウ
ム、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリニウ
ム、N,N−ジエチルアニリニウム等の3級アンモニウ
ム;テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニ
ウム、テトラプロピルアンモニウム、トリメチルベンジ
ルアンモニウム等の4級アンモニウムのアリールボレー
ト塩等を挙げることができる。
【0019】また、(B)成分として使用するホスホニ
ウム塩は、アリールホスホニウム塩が何等制限なく使用
できるが、化合物の安定性の点から3級または4級ホス
ホニウム塩を用いるのが一般的である。
【0020】好適に使用されるホスホニウム塩を具体的
に例示すれば、トリメチルホスホニウム、トリエチルホ
スホニウム、トリプロピルホスホニウム、ジメチルフェ
ニルホスホニウム、ジアリルフェニルホスホニウム、ト
リ−2−フリルホスホニウム、トリフェニルホスホニウ
ム、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニ
ウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラフェニルホ
スホニウム等のアリールボレート塩等を挙げることがで
きる。
【0021】本発明においてアンモニウム塩及びホス
ホニウム塩の対アニオンがボレートである塩を用いる
と、スルフィン酸塩との対カチオン同士の交換反応が促
進され、保存安定性向上する。
【0022】さらに、ボレート塩の中でもとりわけ1分
子中に少なくとも1個以上のアリール基を有するボレー
ト塩を用いると、それ自身が重合触媒の一成分として作
用する。
【0023】該アリール基を有するアンモニウムボレー
ト塩、及びホスホニウムボレート塩を具体的に例示すれ
ば、1分子中に1個のアリール基を有するボレート塩と
して、トリアルキルフェニルホウ素、トリアルキル(p
−クロロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−フロロ
フェニル)ホウ素、トリアルキル(3,5−ビストリフ
ロロメチル)フェニルホウ素、トリアルキル[3,5−
ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メ
トキシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、トリアルキ
ル(p−ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(m−
ニトロフェニル)ホウ素、トリアルキル(p−ブチルフ
ェニル)ホウ素、トリアルキル(m−ブチルフェニル)
ホウ素、トリアルキル(m−ブチルオキシフェニル)ホ
ウ素、トリアルキル(m−オクチルオキシフェニル)ホ
ウ素、トリアルキル(p−オクチルオキシフェニル)ホ
ウ素(アルキル基はn−ブチル基、n−オクチル基、n
−ドデシル基等)のメチルアンモニウム塩、エチルアン
モニウム塩、アニリニウム塩、ジメチルアンモニウム
塩、ジフェニルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウ
ム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、トリメチルホス
ホニウム塩、トリエチルホスホニウム塩、トリ−2−フ
リルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テ
トラフェニルホスホニウム塩等を挙げることができる。
【0024】また、1分子中に2個のアリール基を有す
るボレート塩としては、ジアルキルジフェニルホウ素、
ジアルキルジ(p−クロロフェニル)ホウ素、ジアルキ
ルジ(p−フロロフェニル)ホウ素、ジアルキルジ
(3,5−ビストリフロロメチル)フェニルホウ素、ジ
アルキルジ[3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−
ヘキサフロロ−2−メトキシ−2−プロピル)フェニ
ル]ホウ素、ジアルキルジ(p−ニトロフェニル)ホウ
素、ジアルキルジ(m−ニトロフェニル)ホウ素、ジア
ルキルジ(p−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ
(m−ブチルフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−ブ
チルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(m−オク
チルオキシフェニル)ホウ素、ジアルキルジ(p−オク
チルオキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同
様)のメチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、
アニリニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジフェニル
アンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、テトラフ
ェニルアンモニウム塩、トリメチルホスホニウム塩、ト
リエチルホスホニウム塩、トリ−2−フリルホスホニウ
ム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラフェニルホ
スホニウム塩等を挙げることができる。
【0025】さらに、1分子中に3個のアリール基を有
するボレート塩としては、モノアルキルトリフェニルホ
ウ素、モノアルキルトリ(p−クロロフェニル)ホウ
素、モノアルキルトリ(p−フロロフェニル)ホウ素、
モノアルキルトリ(3,5−ビストリフロロメチル)フ
ェニルホウ素、モノアルキルトリ[3,5−ビス(1,
1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メトキシ−2
−プロピル)フェニル]ホウ素、モノアルキルトリ(p
−ニトロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ニ
トロフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−ブチル
フェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルフェ
ニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−ブチルオキシフ
ェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(m−オクチルオキ
シフェニル)ホウ素、モノアルキルトリ(p−オクチル
オキシフェニル)ホウ素(アルキル基は上記と同様)の
メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、アニリ
ニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジフェニルアンモ
ニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、テトラフェニル
アンモニウム塩、トリメチルホスホニウム塩、トリエチ
ルホスホニウム塩、トリ−2−フリルホスホニウム塩、
テトラエチルホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニ
ウム塩等を挙げることができる。
【0026】1分子中に4個のアリール基を有するボレ
ート塩としては、テトラフェニルホウ素、テトラキス
(p−クロロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−フロ
ロフェニル)ホウ素、テトラキス(3,5−ビストリフ
ロロメチル)フェニルホウ素、テトラキス[3,5−ビ
ス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−メト
キシ−2−プロピル)フェニル]ホウ素、テトラキス
(p−ニトロフェニル)ホウ素、テトラキス(m−ニト
ロフェニル)ホウ素、テトラキス(p−ブチルフェニ
ル)ホウ素、テトラキス(m−ブチルフェニル)ホウ
素、テトラキス(m−ブチルオキシフェニル)ホウ素、
テトラキス(m−オクチルオキシフェニル)ホウ素、テ
トラキス(p−オクチルオキシフェニル)ホウ素、(p
−フロロフェニル)トリフェニルホウ素、(3,5−ビ
ストリフロロメチル)フェニルトリフェニルホウ素、
(p−ニトロフェニル)トリフェニルホウ素、(m−ブ
チルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−ブチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(m−オクチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素、(p−オクチ
ルオキシフェニル)トリフェニルホウ素のメチルアンモ
ニウム塩、エチルアンモニウム塩、アニリニウム塩、ジ
メチルアンモニウム塩、ジフェニルアンモニウム塩、ト
リエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム
塩、トリメチルホスホニウム塩、トリエチルホスホニウ
ム塩、トリ−2−フリルホスホニウム塩、テトラエチル
ホスホニウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩等を挙
げることができる。
【0027】これらアンモニウム塩及びホスホニウム塩
はそれぞれ単独で、または2種以上を混合して用いても
何等差し支えない。
【0028】また、本発明の重合触媒において、(A)
成分である有機スルフィン酸塩と、(B)成分であるア
ンモニウム塩及び/またはホスホニウム塩の添加量の比
は、特に限定されず重合系に応じて適宜決定すれば良い
が、一般に十分な安定化効果を得るためには、有機スル
フィン酸塩1molに対してアンモニウム塩及び/また
はホスホニウム塩が0.2mol比以上、より好ましく
は0.5−10mol比とするのが好適である。
【0029】また、重合性不飽和単量体に対する、有機
スルフィン酸塩、並びにアンモニウム塩及び/またはホ
スホニウム塩の合計の添加量も特に限定されないが、重
合効率及び得られる重合体の着色防止の観点から重合性
不飽和単量体100重量部に対して0.01−20重量
部、より好ましくは0.1−10重量部であるのが好適
である。
【0030】本発明の重合触媒にはさらに水{以下
(C)成分ともいう。}を添加することが可能である。
水の添加によって前記対イオンの交換反応がより促進さ
れ、有機スルフィン酸塩の保存安定性がさらに向上する
だけでなく、スルフィン酸塩、アンモニウム塩およびホ
スホニウム塩の溶解性が向上するため好ましい。
【0031】水の添加量は(A)成分及び(B)成分の
種類や量、さらに重合性不飽和単量体の種類や量等によ
って一概には決められないが、通常は(A)成分と
(B)成分の合計量100重量部に対して10000重
量部以下、より好ましくは0.01−5000重量部で
ある。水の添加量が上記の好ましい範囲の時には保存安
定性の向上効果が特に高い。
【0032】本発明の重合触媒は、従来の有機スルフィ
ン酸塩単体、またはスルフィン酸塩を重合触媒の1成分
として用いた触媒と同様に重合触媒として作用する。即
ち、スルフィン酸塩に該スルフィン酸塩の吸収波長域の
紫外線を照射した場合には、該スルフィン酸塩が分解し
て(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルア
ミド類および(メタ)アクリルアミド誘導体等の重合を
開始することが知られており、スルフィン酸塩に(B)
成分、必要に応じて(C)成分を加えた本発明の重合触
媒においても、紫外線を照射することによって上記重合
不飽和単量体が重合することを本発明者等は確認して
いる。また、本発明の重合触媒に、前記ジャーナル・オ
ブ・フィジカル・ケミストリー第75巻No.20(1
971年)に開示されている色素を添加すれば、可視光
域まで分光増感され、可視光線重合触媒となる。
【0033】更に、上記の(A)成分、(B)成分、及
び必要に応じて(C)成分からなる本発明の重合触媒を
ラジカル発生剤及び/または酸と組み合わせて使用し、
スルフィン酸塩を分解させて活性種である重合性ラジカ
ル種を形成させ、該ラジカル種による重合を行うことも
できる。但し、該本発明の重合触媒をラジカル発生剤及
び/または酸と併用する場合には、該ラジカル発生剤及
び/または酸は、使用する直前に添加するのが好適であ
る。何故ならば、重合性不飽和単量体の存在下に両者が
共存すると(特に酸と共存すると)重合が開始してしま
うことがあるからである。
【0034】本発明の重合触媒と組み合わせて使用でき
るラジカル発生剤としては、熱重合触媒、光重合触媒と
して用いられる公知のラジカル発生剤が挙げられる。熱
重合触媒として用いられているラジカル発生剤と併用し
た場合(熱重合型)には、加熱することにより重合が開
始され、光重合触媒として用いられているラジカル発生
剤と併用した場合(光重合型)には、光を照射すること
によって重合が開始する。
【0035】例えば、一般に熱重合触媒として使用され
ているラジカル発生剤としては、ベンゾイルパーオキサ
イド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のア
ゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸
化物、テトラフェニルホウ素ナトリウム等のホウ素化合
物が挙げられる。
【0036】また、一般に光重合触媒として使用されて
いるラジカル発生剤としては、ジアセチル、ベンジル、
カンファーキノン等のα−ジケトン;ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインア
ルキルエーテル;2,4−ジエトキシチオキサンソン、
2−クロロチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;
ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェ
ノン等のベンゾフェノン誘導体;2,4,6−トリメチ
ルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等
のアシルフォスフィンオキサイド誘導体が好適に使用さ
れる。
【0037】特に好ましい組み合わせは、熱重合型とし
て、ベンゾイルパーオキサイド/第3級アミン系のレド
ックス型の重合触媒、及び光重合型としてはα−ジケト
ン/第3級アミン系及びアシルフォスフィンオキサイド
系の可視光線重合触媒が挙げられ、本発明の重合触媒を
歯科用途に使用する場合に特に有効である。ここで、第
3級アミンとしては、ジアルキルアミノ安息香酸誘導体
やN,N−ジアルキルアミノエチルメタクリレート等が
好適に使用できる。
【0038】上記他のラジカル発生剤はそれぞれ単独で
併用されるだけでなく、必要に応じて複数の種類を組み
合わせて併用することもできる。
【0039】これらラジカル発生剤を本発明の重合触媒
と併用する時の添加量は重合系によって適宜決定すれば
良いが、一般的な添加量は本発明の重合触媒100重量
部に対して0−200重量部、好ましくは0−150重
量部の範囲である。
【0040】また、本発明の重合触媒と組み合わせて使
用できる酸は、無機酸であっても有機酸であってもよ
く、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等が、有機酸
としては酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸等が例示
される。また、該酸には後述する光酸発生剤及び酸性基
含有重合性不飽和単量体も含まれる。
【0041】これら酸を本発明の重合触媒と併用する時
の添加量は重合系によって適宜決定すれば良いが、一般
的な添加量は本発明の重合触媒100重量部に対して2
0重量部以上、好ましくは50−10000重量部の範
囲である。
【0042】さらに、本発明の重合触媒に、増感色素及
び光酸発生剤を組み合わせることにより触媒活性を更に
高くすることが出来る。これは、特開平9−26820
4号公報に開示されている増感色素/光酸発生剤/スル
フィン酸塩からなる3成分系の可視光線重合触媒、ある
いは特開平9−263604号公報に記載開示されてい
る増感色素/光酸発生剤/アリールボレート塩{(B)
成分としてボレート塩を使用した場合に相当する。}か
らなる3成分系の可視光線重合触媒と同様に、増感色素
による増感作用が期待できるためである。この様な重合
触媒は、可視光線重合型の歯科用重合触媒として好適に
使用できる。
【0043】このとき好適に使用される増感色素を例示
すると、3−チエノイルクマリン等のクマリン系色素;
3,3’−ジエチル−2,2’−チアシアニンアイオダ
イド等のシアニン色素;メチレンブルー等のチアジン系
色素;リボフラビン等のアジン系色素;1−アミノアク
リジン等のアクリジン系色素;ローズベンガル等のキサ
ンテン系色素;ジヒドロ−3−[2−ヒドロキシ−3−
(5−イソプロピル−3,8−ジメチル−1−アジレニ
ル)−4−オキソ−2−シクロブテン−1−イリデン)
−7−イソピロピル−1,4−ジメチルアズレニリウム
ヒドロオキサイド,内部塩等のスクアリウム系色素;ト
リフェニルピリリウムパークロレート等のピリリニウム
系色素等が挙げられる。
【0044】上記増感色素は、重合に用いる光の波長や
強度あるいは光酸発生剤の種類や量によって適宜選択し
て使用すればよく、単独でまたは2種以上を混合して用
いて使用できる。また添加量は、(A)成分及び(B)
成分の合計量に対して0.00001−50重量%、よ
り好ましくは0.00005−30重量%の範囲から選
べばよい。
【0045】また、光酸発生剤は光照射によってブレン
ステッド酸あるいはルイス酸を生成するものであり、増
感色素によって光照射下分解し酸を発生するものならば
公知のものが何等制限なく使用できる。
【0046】好適に使用される光酸発生剤として、2,
4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
等のハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体;ジフェ
ニルヨードニウム等のジフェニルヨードニウム塩化合
物;トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート
等のスルホニウム塩化合物;ベンゾイントシレート等の
スルホン酸エステル化合物;ジフェニルジスルホン等の
ジスルホン化合物;ナフトキノン(1,2)ジアジド
(2)−4−スルホン酸ナトリウム等のジアゾニウム塩
化合物等を挙げることができる。
【0047】上記光酸発生剤は1種または2種以上を混
合して用いても何等差し支えない。また、添加量は、
(A)成分及び(B)成分の合計量に対して0.005
−95重量%、より好ましくは、0.01−90重量%
が好ましい。
【0048】本発明の重合触媒は、従来公知の有機スル
フィン酸塩系重合触媒と同様に、分子中に重合性不飽和
結合を少なくとも1つ以上有する化合物(以下モノマー
という)を重合させることができる。
【0049】本発明の重合触媒は、特にモノマーとして
歯科用重合性組成物に広く用いられているα,β−不飽
和カルボニル系モノマーである(メタ)アクリレート系
単量体と組み合わせた場合、高い重合活性を示すばかり
でなく、従来困難であった、モノマー中での保存安定性
を劇的に向上させるという特徴を有する。このため本発
明は、歯科用重合性組成物用の重合触媒として特に有用
であると言える。
【0050】そこで、以下、本発明の重合触媒を歯科用
重合性組成物に適用する場合を例にとって、その使用方
法について詳しく説明する。
【0051】一般に好適に使用される(メタ)アクリレ
ート系単量体を例示すれば、メチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチ
ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート
等のモノ(メタ)アクリレート系単量体;エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパ
ン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシ
エトキシエトキシエトキシエトキシエトキシエトキシエ
トキシフェニル]プロパン、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー
ト等の多官能(メタ)アクリレート系単量体等が挙げら
れる。
【0052】これらの(メタ)アクリレート単量体は
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0053】また、さらに上記(メタ)アクリレート
単量体と、酸性基含有重合性不飽和単量体とを組み合わ
せることによって、歯科用接着材として好適に使用でき
る。この場合、本発明の重合触媒を含んだ組成物を用い
ると、歯質、特に象牙質界面での重合性が著しく向上し
高い接着強度が得られる。ただし、上記酸性基含有重合
性単量体と本発明の重合触媒を組み合わせる場合には、
(A)成分である有機スルフィン酸塩及び(B)成分
あるアリールボレート塩は酸によって分解し重合を開始
しやすいため、該重合触媒と該酸性基含有重合性不飽和
単量体とは別包装することが好ましい。
【0054】上記目的で使用される酸性基含有重合性不
飽和単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と少
なくとも1つの重合性不飽和基を持つ化合物であれば、
公知のものが何等制限なく使用できる。具体例を例示す
れば、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェ
ンフォスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエ
チル)ハイドロジェンホスフェート等のリン酸系の基を
含有している重合性不飽和単量体、11−メタクリロイ
ルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、4−メタ
クリロイロキシエチルトリメリテートアンヒドライド等
のカルボン酸系の基を含有している重合性不飽和単量
体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸等のスルホン酸系の基を含有している重合性不飽和単
量体等が挙げられる。
【0055】これらの酸性基含有重合性不飽和単量体の
添加量は、重合性不飽和単量体100重量部中、5重量
部以上、より好ましくは10−95重量部である。
【0056】また、本発明の重合触媒をモノマーと組み
合わせて歯科用重合性組成物として使用する場合、得ら
れる硬化体の強度や粘度等を調整する目的で無機および
有機充填剤、増粘剤等を加えることができる。
【0057】好適に使用される無機充填剤を例示する
と、石英、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、
シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコ
ニア、フルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられ
る。
【0058】有機充填剤を例示すると、ポリメチルメタ
クリレート、ポリエチルメタクリレート、メチルメタク
リレート−エチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート等が
挙げられる。
【0059】増粘剤としては、ポリビニルピロリドン、
カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等
の高分子化合物や高分散性シリカが例示される。
【0060】さらに、本発明の重合触媒を重合性不飽和
単量体と組み合わせて歯科用重合性組成物として使用す
る場合、染料、帯電防止剤、顔料、香料等の各種添加剤
は必要に応じて選択して使用することができる。
【0061】本発明の重合触媒を含有する歯科用重合性
組成物の包装形態及び使用方法は、目的に応じてその性
能や保存安定性を損なわないことを条件に適宜決定する
ことができる。例えば、本発明の重合触媒を酸性基含有
重合性不飽和単量体と組み合わせて接着材として用いる
場合には、酸性基を有しない重合性不飽和単量体と本発
明の重合触媒からなる組成物(A)と、酸性基含有重合
不飽和単量体、他の重合性不飽和単量体及び他の重合
触媒からなる組成物(B)との2包に分割し、直前に混
合して使用する方法が行われる。他の重合触媒として、
光重合用の重合触媒と組み合わせ、光硬化型の組成物と
した場合には、使用する光重合触媒の種類に応じて適
宜、目的の波長を有する光線を照射することによって硬
化させることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例より本発明を具体的に示すが、
本発明はこの実施例によって何等制限されるものではな
い。本実施例および比較例で用いた略号および試験方法
は次の通りである。
【0063】(1)略号 モノマー HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート PM2:ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイ
ドロジェンホスフェート MAC−10:11−メタクリロイルオキシ−1,1−
ウンデカンジカルボン酸 D26E:2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキ
シ)フェニル)プロパン有機スルフィン酸塩 PTSO2Na:p−トルエンスルフィン酸ナトリウム PTSO2Li:p−トルエンスルフィン酸リチウム PhSO2Na:ベンゼンスルフィン酸ナトリウム アンモニウム塩及びホスホニウム塩 BzEtNCl:塩化ベンジルトリエチルアンモニウム PhPPhB:テトラフェニルホウ素テトラフェニルホ
スホニウム PhBTEOA:テトラフェニルホウ素トリ(2−ヒド
ロキシエチル)アンモニウム PhBDEMA:テトラフェニルホウ素ジ(2−ヒドロ
キシエチル)メチルアンモニウム TolBTEOA:テトラキス(p−トリル)ホウ素ト
リ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム その他 PhBNa:テトラフェニルホウ素ナトリウム CQ:カンファーキノン DMBE:N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸エチ
ル (2)保存安定性の評価 表1及び表2に示した組成物に内部標準としてナフタレ
ンを加え、高速液体クロマトグラフィーを用いて有機ス
ルフィン酸塩の初期の存在量を算出した。試料溶液を3
7℃で15日および6ヶ月間放置後同様にして有機スル
フィン酸塩の存在量を算出し、それらの値を初期の存在
量で除した値をその時点での該有機スルフィン酸塩の残
存率とした。
【0064】(3)重合能の評価 表1及び表2に示した組成物に、重合性単量体100重
量部に対し100重量部のPM2を加え重合させた。P
M2を添加してから、組成物が硬化し流動性がなくなる
までの時間を測定し、硬化時間とした。また、37℃で
6ヶ月放置した組成物についても同様の手法で硬化時間
を測定した。
【0065】(4)エナメル質、象牙質接着強度 屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、注水下、#80
0のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメ
ル質および象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に
圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面
に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで
厚さ0.5mm直径6mmの孔の開いたパラフィンワッ
クスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬
窩洞を形成した。この模擬窩洞内に表3に示した組成の
接着材を塗布し、30秒間放置し、可視光線照射器(ト
クソーパワーライト、(株)トクヤマ社製)にて30秒
間光照射し硬化させた。更にその上に歯科用コンポジッ
トレジン(パルフィークエステライト、(株)トクヤマ
社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射
して、試験片を作製した。
【0066】上記接着試験片を37℃の水中に24時間
浸漬した後、引っ張り試験機(オートグラフ、島津製作
所製)を用いてクロスヘッドスピード10mm/min
にて歯牙との引っ張り接着強度を測定した。
【0067】実施例1 1gのHEMA、0.01gのPTSO2Na、0.0
2gのPhBTEOAおよび0.01gのナフタレンを
6mlサンプル管瓶中に加え、溶解させた。この混合物
0.02gをサンプリングし、2gのアセトニトリルで
希釈した後、高速液体クロマトグラフィーを測定した。
また、混合物を15日間および6ヶ月間保存したサンプ
ルについても上記した方法に従い高速液体クロマトグラ
フィー用の試料を調製し、測定を行った。この時のPT
SO2Naの残存率を算出したところ残存率はそれぞれ
15日後で81%、6ヶ月後で72%であった。
【0068】また、2gのHEMA、0.02gのPT
SO2Na、0.04gのPhBTEOAを20mlサ
ンプル管瓶中に加え、溶解させた。この溶液を二分し、
一方の溶液に1gのPM2を加えて重合させたところ、
硬化時間は118秒であった。また、もう一方の溶液を
37℃で6ヶ月保存後同様にして重合させたところ、硬
化時間は122秒であり重合能の低下は見られなかっ
た。
【0069】実施例2− 実施例1と同様にして、表1に示す組成について有機ス
ルフィン酸塩の残存率および硬化時間を測定したとこ
ろ、いずれも良好な値を得た。組成および残存率、硬化
時間を表1に示した。
【0070】比較例1、2及び4 表1および表2に示した組成物中の有機スルフィン酸塩
の残存率を算出したところ、いずれも15日保存後で1
0%以下、6ヶ月保存後では0%であり、アンモニウム
塩及び/またはホスホニウム塩を加えた系と比較して明
らかな低下が確認された。また、6ヶ月保存後のサンプ
ルに酸を加えても重合は進行せず、アンモニウム塩及び
/またはホスホニウム塩を加えた系に比べ重合能が低下
した。
【0071】実施例10−18 実施例1−と同様の組成物に水を5−20重量部添加
した組成物について、有機スルフィン酸塩の残存率及び
硬化時間を測定したところ、実施例1−よりも更なる
向上が認められた。組成および残存率、硬化時間を表2
に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】実施例19 表3に示した組成の接着材A液0.47gとB液0.5
8gを使用直前に混和し、上述した方法で接着試験を行
った結果、接着強度はエナメル質に対して16.8MP
a、象牙質に対して13.9MPaの値を示した。ま
た、A液およびB液を37℃で6ヶ月間保存したのち同
様にして接着試験を行った結果、接着強度はエナメル質
に対して16.1MPa、象牙質に対して13.6MP
aの値を示し、保存安定性は良好であった。
【0075】実施例2 実施例19と同様の方法で接着強度を測定した結果、接
着強度はエナメル質に対して16.2MPa、象牙質に
対して13.7MPaの値を示した。また、6ヶ月保存
後の接着強度はエナメル質に対して15.9MPa、象
牙質に対して13.0MPaの値を示した。
【0076】比較例 実施例19と同様の方法で接着強度を測定した結果、接
着強度はエナメル質に対して15.8MPa、象牙質に
対して12.4MPaの値を示した。また、6ヶ月保存
後の接着強度はエナメル質に対して1.2MPa、象牙
質に対して0.7MPaの値を示し、実施例21および
22と比較して明らかに低下した。
【0077】
【表3】
【0078】
【発明の効果】本発明の重合触媒は、(メタ)アクリレ
ート系モノマーに対する重合活性が高く、しかもこれら
モノマーと共存させて保存した時の保存安定性が高い。
従って、本発明の重合触媒は、重合性不飽和単量体や各
種充填剤と組み合わせる事により歯科用重合性組成物、
特に歯科用接着材として好適に使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−75907(JP,A) 特開 昭54−28339(JP,A) 英国特許957965(GB,B) ***国特許出願公告1123824(DE, B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/00 - 4/82 A61K 6/00 - 6/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機スルフィン酸塩(A)、並びにアリ
    ールボレートアンモニウム塩及び/またはアリールボレ
    ートホスホニウム塩(B)からなることを特徴とする重
    合触媒。
  2. 【請求項2】 水(C)をさらに含んでなることを特徴
    とする請求項1記載の重合触媒。
  3. 【請求項3】 酸またはラジカル発生剤をさらに含んで
    なることを特徴とする請求項1または請求項2記載の重
    合触媒。
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