JP3536556B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JP3536556B2
JP3536556B2 JP28841796A JP28841796A JP3536556B2 JP 3536556 B2 JP3536556 B2 JP 3536556B2 JP 28841796 A JP28841796 A JP 28841796A JP 28841796 A JP28841796 A JP 28841796A JP 3536556 B2 JP3536556 B2 JP 3536556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は柔軟性、ゴム弾性、
耐候性、透明性および成形加工性に優れ、かつ軟化剤の
ブリードの少ない熱可塑性エラストマー組成物に関する
ものである。このエラストマー組成物は食品用途、日用
雑貨用途、玩具・運動用具用途、デスクマットなどの文
具用途、自動車内外装用途、土木シート、防水シートな
どの土木・建築用途、AV・家電機器用途、OA・事務
機器用途、衣料・履き物用途、テキスタイル用途、各種
カテーテル等の医療用機器用途、紙オムツ・生理用品等
の衛生用品、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農
・畜・水産資材等の分野で利用可能である。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な軟質材料であって、加硫
行程を要せず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有す
る熱可塑性エラストマー(以下、TPEと略する)が、
自動車部品、家電部品、医療、食品用機器部品、電線お
よび雑貨等の分野で注目され使用されている。このよう
なTPEには現在、ポリオレフィン系、ポリウレタン
系、ポリエステル系、ポリスチレン系等の種々の系統の
ポリマーが開発され、市販されている。
【0003】しかしながら、これらTPEは、ゴムとし
ての広い用途分野の1つである加硫ゴムの用途に於い
て、品質面、特に柔らかさの面で加硫ゴムの水準には達
しておらず、従来の加硫ゴム分野での利用は極めて限定
されている。例えば、ポリオレフィン系TPEは、比較
的安価で耐熱性、耐候性に優れている反面、軟質のもの
が得られず、最も柔軟なものでもJIS−A硬度(JI
S−K6301)で70程度であり、一般の加硫ゴムの
JIS−A硬度60に比べソフト感に欠ける。ポリエス
テル系TPEやポリウレタン系TPEもまた、その市販
品中最も柔軟なものでもJIS−A硬度が70〜90
で、加硫ゴムに比べて非常に硬く、加硫ゴムの用途分野
に適さない。
【0004】一方、スチレンブロック−ブタジエンブロ
ック−スチレンブロック部を有するポリマー(SBS)
やスチレンブロック−イソプレンブロック−スチレンブ
ロック部を有するポリマー(SIS)等のポリスチレン
系TPEは、前記のポリオレフィン系TPE、ポリエス
テル系TPEおよびポリウレタン系TPEに比べて柔軟
性に富み、良好なゴム弾性を有するが、ポリマー内にポ
リブタジエンブロックあるいはポリイソプレンブロック
に二重結合を有しているため、耐熱老化性(熱安定性)
および耐候性に問題がある。特開昭50−82162号
公報は、ポリエステル系エラストマーにSBSやSIS
を配合して両者の長所を利用することを提案するが、こ
の組成物は、耐オゾン性や熱安定性等に十分な性能を有
するものではなかった。
【0005】スチレンブロック部と共役ジエンブロック
部を有する共重合体の分子内二重結合を水素添加するこ
とによって熱安定性の向上したエラストマー(SEBS
やSEPS)を得ることができることはよく知られてお
り、特開平3−100045号公報は、SBSの水素添
加物100重量部にポリエステル系熱可塑性エラストマ
ー25〜185重量部を配合したJIS−A硬度が35
〜75の表皮材と、硬度が70度以上の樹脂芯材層との
積層体を、特公平5−75016号公報は、(a)SB
Sの水素添加物やSISの水素添加物100重量部に、
必要に応じてオイル0〜200重量部、ポリオレフィン
系樹脂0〜150重量部配合したものと、(b)ポリエ
ステルエラストマー5〜100重量部を配合した組成物
を表皮材として使用することを提案している。
【0006】しかし、これら公報の実施例では表皮材の
JIS−A硬度は62以上である。JIS−A硬度が3
0以下といった低い硬度のTPE成形体を得るためには
多量の炭化水素系軟化剤(オイル)を配合するか、プロ
ピレン系樹脂の配合量を下げなければならず、軟化剤の
ブリード(成形体表面のベトツキ)あるいは成形加工性
に劣ると言った問題がある。
【0007】また、透明性に劣り、シリコーンゴム代替
等の透明性が要求される分野への利用ができない。JI
S−A硬度が30度以下の表皮材として特公平4−24
12号公報は、a)少なくとも2ヶのビニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1ヶの
1,2−ミクロ構造が20〜50%の共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロックBとから成るブロック共重
合体を水素添加し、該ブロックAの含有量が5〜60重
量%、該ブロックBの含有量が95〜40重量%であ
り、かつ上記ブロックA中のビニル芳香族化合物と、ブ
ロックB中の水添共役ジエン化合物を各々50重量%を
越えて含有することを特徴とする、水添ブロック共重合
体エラストマー(表皮材)と、b)ポリオレフィン樹
脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂から選ばれた樹脂
(芯材)とを二色射出成形法にて成形した複層射出成形
品を提案する。しかし、表皮材層の成形温度域が狭く、
外観が悪いと共に、芯材のポリプロピレンとの融着力を
強固とするには、パラフィンオイルを多量に配合する必
要があり(同公報の実施例2)、表皮材層がベタつき、
離型性が悪い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性エラストマーの優れたゴム弾性、耐候性、成形加工
性等の物性を損なうことなく、かつ軟化剤のブリードが
少なく(成形体表面のベトツキがない)、柔軟性に富
み、ヘーズ(曇価)(JIS−K7105)が60%以
下、好ましくは10〜40%の半透明性に優れた熱可塑
性エラストマー組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々の研究を重ねた結果、高い1,2−
ビニル結合量を有するモノビニル置換芳香族炭化水素重
合体ブロック・ブタジエン重合体ブロックからなるブロ
ック共重合体の水素添加物に結晶性オレフィン系重合
体、必要により炭化水素系ゴム用軟化剤を組み合わせて
配合することにより、ゴム弾性、耐熱性、耐候性、成形
加工性に優れ、かつ軟化剤のブリードが少なく、特に柔
軟性と透明性に優れることを見いだして、本発明を完成
するに至ったものである。すなわち、本発明は、(a)
一般式
【0010】
【化2】A−(B−A)nおよび/または(A−B)n
【0011】[式中、Aはモノビニル置換芳香族炭化水
素の重合体ブロックを、Bはブタジエン又はブタジエン
およびイソプレンからなり、1,2−ビニル結合の割合
が55〜90%の共役ジエン重合体ブロックを、nは1
〜5の整数である。]で表されるブロック共重合体の水
素添加物100重量部に対して(b)結晶性オレフィ
ン系重合体が3〜350重量部、および(c)炭化水素
系ゴム用軟化剤が10〜225重量部の割合で配合され
てなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物を
提供するものである。
【0012】
【作用】(a)成分のポリスチレン系エラストマーとし
て、1,2−ビニル結合の割合が55〜90%と高い共
役ジエン重合体ブロック部を有するブロック共重合体を
用いることにより、柔軟性に優れ、ベタつきのないTP
E成形体を与える。
【0013】
【発明の実施の形態】(a)ポリスチレン系ブロック共重合体の水素添加物:
本発明で(a)成分として用いられるポリスチレン系ブ
ロック共重合体の水素添加物は、一般式A−(B−A)
nおよび/または(A−B)n〔式中、Aはモノビニル
置換芳香族炭化水素重合体ブロックを、Bは1,2−ビ
ニル結合の割合が55〜90%の共役ジエン重合体ブロ
ックを、nは1〜5の整数である。〕で表されるブロッ
ク共重合体の水素添加物である。
【0014】このポリスチレン系ブロック共重合体の水
素添加物のブロック(A)を構成する重合体成分は、ス
チレンまたはその誘導体の重合体である。スチレンの誘
導体としては、具体的には、α−メチルスチレン、1−
ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチル
スチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシル
スチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベ
ンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなど
が挙げられる。これらの中でもブロック(A)を構成す
る重合体成分としては、スチレンの重合体、α−メチル
スチレンの重合体、あるいはスチレンとα−メチルスチ
レンの共重合体が好ましい。
【0015】重合体ブロック(B)は、共役ジエン重合
体ブロックである。共役ジエンとしては、ブタジエン、
イソプレン、1,3−ペンタジエン等のうちから1種ま
たは2種以上が選ばれ、中でもブタジエン単独、または
ブタジエンとイソプレンの混合物が好ましい。共役ジエ
ン部分の1,2−ビニル結合含量は55〜90%、好ま
しくは60〜85%、更に好ましくは60〜80%であ
ることが望ましい。55%未満では、得られる熱可塑性
エラストマー成形体の柔軟性および透明性改良効果が発
現されにくい。一方90%を越えると、水素添加によ
り、結晶構造を示して樹脂状となり、柔軟性が劣り好ま
しくない。ここでブロック共重合体の共役ジエンの重合
体ブロック(B)のビニル結合位置について、共役ジエ
ンとしてブタジエン、イソプレンを例として次に掲げ
る。
【0016】
【化3】
【0017】芳香族化合物(A)がスチレンで共役ジエ
ン(B)がブタジエンであるとき、水素添加された後の
ブロック共重合体のNMRを測定し、J.C.Rand
all J.Polym.Sci.,Polym.Ph
s.Ed.Vol.13,901(1975)を参考に
して信号を帰属し1,2−ビニル結合量を求めた。重合
体ブロック(A)の、(a)成分の共重合体中に占める
割合は5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%で
ある。重合体ブロック(A)の占める割合が5重量%未
満の場合には、得られるTPE成形体の機械的強度およ
びゴム弾性が劣る。また、重合体ブロック(A)の占め
る割合が45重量%を越える場合には、得られるTPE
成形体の柔軟性およびゴム弾性に劣ると共に軟化剤のブ
リードが悪化し、TPE成形体がベタつき、ほこりが付
着し易くなる。
【0018】(a)成分のブロック共重合体水素添加物
の重量平均分子量は、1〜50万、好ましくは3〜45
万、更に好ましくは5〜40万の範囲である。重量平均
分子量が1万未満では、得られるTPE成形体のゴム弾
性が劣り、一方、50万を越えると粘度が高く、熱可塑
性エラストマー組成物の溶融流動性が悪く、成形加工性
に劣る。なお、ブロック共重合体水素添加物(a)の分
子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任
意の組合せのいずれであってもよい。
【0019】ここで「重量平均分子量」は、ゲル浸透ク
ロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定した
ポリスチレン換算の重量平均分子量である。校正曲線
は、単分散ポリスチレンを用いて決定した。 機 器:150C ALC/GPC(MILLIPOR
E社製) カラム:ポリスチレンミックスゲルカラムAD80M/
S(昭和電工(株)製)3本 溶 媒:o−ジクロロベンゼン 温 度:140℃ 流 速:1ml/分 注入量:200μl 濃 度:2mg/ml(酸化防止剤2,6−ジ−t−ブ
チル−4−メチルフェノールを0.2重量%添加。濃度
検出はFOXBORO社製赤外分光光度計MIRAN
1Aにより波長3.42μmで測定)。
【0020】ポリスチレン系ブロック共重合体の製造方
法としては、上記した構造が得られるものであれば公知
のどのような製造方法でもよい。例えば、特公昭40−
23798号公報に記載された方法により、リチウム触
媒等を用いて不活性溶媒中でスチレンを、次いで共役ジ
エンを、更にスチレンをブロック重合させて得ることが
できる。
【0021】これらのブロック共重合体の水素添加処理
は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−
6636号公報、あるいは特開昭59−133203号
公報および特開昭60−79005号公報に記載された
方法に準じ、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に加
熱して水素添加される。この水素添加では、重合体ブロ
ック(B)中のオレフィン型二重結合の少なくとも50
%、好ましくは80%以上が水素添加され、重合体ブロ
ック(A)中の芳香族不飽和結合の25%以下が水素添
加されるように行う。この(a)成分のブロック共重合
体の水素添加物は、TPE成形体に柔軟性およびゴム弾
性を付与する。
【0022】(b)結晶性オレフィン系重合体:(b)
成分の結晶性オレフィン系重合体としては、結晶化度が
20〜75%の、オレフィンの単独重合体又は共重合体
を用いることができ、示差熱熱量計(DSC)による融
解ピーク温度が130℃未満のものは190℃における
メルトフローレート、130℃以上のものは230℃に
おけるメルトフローレート(JIS−K7210、2.
16kg荷重)が0.01〜100g/10分、好まし
くは0.05〜80g/10分、特に好ましくは0.1
〜60g/10分のもので、曲げ弾性率(JIS−K7
213)が500kg/cm2 以上、好ましくは1,0
00〜40,000kg/cm2 、更に好ましくは3,
000〜15,000kg/cm2 のものが使用され
る。具体的には、結晶性のエチレン系重合体、プロピレ
ン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4−メチルペン
テン−1等が挙げられ、結晶性オレフィン系重合体とし
て好ましくはエチレン系重合体およびプロピレン系重合
体、特に好ましくはプロピレン系重合体である。
【0023】エチレン系重合体としては、例えば、高密
度、直鎖状または分岐状の中密度または低密度ポリエチ
レン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテ
ン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エ
チレン・ヘプテン−1共重合体、エチレン・オクテン−
1共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合
体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリ
ル酸共重合体、エチレン・アクリル酸アルキルエステル
共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン
・メタクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げら
れ、エチレン系重合体として好ましいものは、密度0.
945〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレン、
密度0.890〜0.945g/cm3 の直鎖状もしく
は分岐状の中密度および低密度ポリエチレンである。
【0024】また、プロピレン系重合体としては、プロ
ピレン単独重合体またはプロピレンを主成分とし、これ
と炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体が用い
られ、公知技術によりチーグラー・ナッタ型触媒または
カミンスキー型触媒を用いて合成されるポリプロピレ
ン、またはランダムあるいはブロックのポリプロピレン
共重合体が用いられる。
【0025】共重合体中のα−オレフィンとしては、エ
チレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が
挙げられ、これらのα−オレフィン割合は、30重量%
以下のものが用いられる。具体的には、プロピレン単独
重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・
エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン−4−メチ
ルペンテン−1共重合体等である。この(b)成分の結
晶性オレフィン系重合体は、熱可塑性エラストマー組成
物の成形性を向上させると共に、TPE成形体の形状保
持性、耐熱性に寄与する。
【0026】(c)炭化水素系ゴム用軟化剤:(c)成
分の炭化水素系ゴム用軟化剤としては、重量平均分子量
が300〜2,000、好ましくは500〜1,500
の炭化水素が用いられ、鉱物油系炭化水素もしくは合成
樹脂系炭化水素が好適である。鉱物油系軟化剤は、芳香
族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者が組み合わ
さった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中
の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ば
れ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン
系オイルと呼ばれ、芳香族炭素数が35%以上のものが
芳香族系オイルと呼ばれて区分されている。これらの中
でゴム用軟化剤として好ましいものはパラフィン系オイ
ルである。
【0027】パラフィン系オイルとしては、40℃動粘
度が20〜800cst(センチストークス)、好まし
くは50〜600cst、流動度が0〜−40℃、好ま
しくは0〜−30℃、および、引火点(COC)が20
0〜400℃、好ましくは250〜350℃のオイルが
好適に使用される。合成樹脂系軟化剤としては、ポリブ
テン、低分子量ポリブタジエン等が使用可能であるが、
鉱物油系軟化剤の方が好ましい。この(c)成分の軟化
剤は、熱可塑性エラストマー組成物の流動性を向上し、
成形加工性を良好とすると共にTPE成形体の柔軟性向
上にも寄与する。
【0028】任意成分:本発明の熱可塑性エラストマー
組成物には、上記成分(a)、(b)および(c)成分
に加えて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で各種
目的に応じ他の任意の配合成分を配合することができ
る。かかる任意成分としては、例えば、酸化防止剤、熱
安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇
剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色
剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋
助剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光増
白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹
脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙
げることができ、これらの中から任意のものを単独でま
たは併用して用いることができる。
【0029】ここで、任意成分の熱可塑性樹脂として
は、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン
6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリ
エステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポ
リオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系
樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げること
ができる。
【0030】また、任意のエラストマーとしては、例え
ば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチ
レン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPD
M)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレ
ン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラ
ストマー、前述の(イ)成分以外のスチレン・ブタジエ
ン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等
のスチレン系エラストマー、ポリブタジエン等を挙げる
ことができる。更に、フィラーとしては、ガラス繊維、
中空ガラス球、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、マ
イカ、チタン酸カリウム繊維、シリカ、二酸化チタン、
カーボンブラック等を挙げることができる。
【0031】組成物:本発明の熱可塑性エラストマー組
成物を構成する各成分の配合割合は、(a)成分のブロ
ック共重合体の水素添加物100重量部に対して、
(b)成分の結晶性オレフィン系重合体は3〜350重
量部、好ましくは4〜300重量部、さらに好ましくは
5〜250重量部である。3重量部未満の配合では熱可
塑性エラストマー組成物の成形加工性が劣り、350重
量部を越える配合は、熱可塑性エラストマー成形体の柔
軟性が失われると同時に軟化剤のブリード性を悪化させ
る。
【0032】又、(c)成分の炭化水素系ゴム用軟化剤
は、(a)成分100重量部に対して、0〜250重量
部、好ましくは10〜225重量部、更に好ましくは4
0〜200重量部である。(c)成分量が250重量部
を越えるものは、得られる熱可塑性エラストマー成形体
のゴム弾性および耐熱性が劣り、軟化剤のブリード性が
悪化する傾向となる。
【0033】本発明の熱可塑性エラストマーに組成物の
製造においては、上記各成分を機械的溶融混練する通常
の方法によって製造することができる。該機械的溶融混
練において用いられる溶融混練機としては、例えば、単
軸押出機、二軸押出機、ブラベンダープラストグラフ、
バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロール等を
挙げることができ、好ましくは145〜300℃の温度
範囲で各成分を混練することによって得ることができ
る。
【0034】混練するにあたり、各成分を一括混練して
もよく、また、任意の成分を混練したのち、残りの成分
を添加し混練する多段分割混練法を取ることもできる。成形: 上記熱可塑性エラストマー組成物は、従来公知の
方法、射出成形(インサート成形法、二色成形法、サン
ドイッチ成形法、ガスインジェクション成形法等)、押
出成形、インフレーションフィルム成形、Tダイフィル
ム成形、ラミネート成形、ブロー成形、中空成形、圧縮
成形、カレンダー成形等の成形法により成形体に加工す
ることができる。
【0035】特に、プロピレン系樹脂、ポリエステル系
樹脂を芯材層とし、本発明のTPE成形体を表皮材層と
する積層体を二色射出成形で得た製品は、柔軟性(JI
SA硬度が10〜65、好ましくは10〜30)や半透
明性が要求される分野で極めて有効なものである。かか
る用途分野として、食品用途、日用雑貨用途、玩具・運
動用具用途、デスクマットなどの文具用途、自動車内外
装用途、土木シート、防水シートなどの土木・建築用
途、AV・家電機器用途、OA・事務機器用途、衣料・
履き物用途、テキスタイル用途、各種カテーテル等の医
療用機器用途、紙オムツ・生理用品等の衛生用品、化学
・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農・畜・水産資材等
が挙げられる。
【0036】
【実施例】以下に示す実施例によって、本発明を更に具
体的に説明する。 (a)成分 a−1 シェル社の試作グレード“CAP518”を用いた。 a−2 シェル化学(株)製商品名“クレイトンG1651”を
用いた。 a−3 クラレ(株)製商品名“セプトン2006”を用いた。 a−4 1,2−結合が80%のブタジエンブロック部を有す
る、スチレン重合体ブロック部とブタジエン重合体ブロ
ック部を有するブロック共重合体の水素添加物を用い
た。 これら(a)成分のスチレン・共役ジエンブロック共重
合体の水素添加物のブロック構造、重合体ブロック
(A)および(B)を構成する単量体、重合体ブロック
(B)における1,2−ビニル結合量、重量平均分子
量、重合体ブロック(A)含有量を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】(b)成分 b−1 三菱化学(株)製プロピレン単独重合体“三菱
ポリプロ「MA2P」”(商品名) MFR:16g/分(230℃、2.16kg荷重) 曲げ弾性率:14,000kg/cm2 結晶化度:65% b−2 三菱化学(株)製プロピレン・エチレンブロッ
ク共重合体“三菱ポリプロ「BC−1」”(商品名) MFR:33g/10分(230℃、2.16kg荷
重) 曲げ弾性率:10,000kg/cm2 結晶化度:60% (c)成分 炭化水素系ゴム用軟化材:出光興産社製パラフィン系オ
イル“「PW380」”(商品名) 40℃動粘度:381.6cst 流動度 :−15℃ 引火点 :300℃
【0039】実施例1および比較例1 表2〜3に示す配合量(重量部)にて配合したエラスト
マー組成物の合計量100重量部に対して、フェノール
系酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」)
0.1重量部を添加し、圧縮比L/Dが33、シリンダ
ー径45mmの二軸押出機を用いて200℃の温度に設
定して溶融混練させこれをダイよりストランド状に押し
出し、カッティングして熱可塑性エラストマー組成物の
ペレットを得た。このペレットを、インラインスクリュ
ータイプ射出成形機(東芝機械(株)製小型射出成形
機:IS90B)にて、射出圧力500kg/cm2
射出温度220℃、金型温度30℃の条件下にて成形
し、横120mm、縦80mm、肉厚2mmのシートを
得た。これを以下の物性の測定のため横方向に打ち抜
き、試料とした。
【0040】(1)柔軟性 JIS−K6301に準拠し、JIS−A硬度を測定し
た。 (2)ゴム弾性 JIS−K6301に準拠し、圧縮永久歪み(23℃×
22時間)〔%〕を測定した。 (3)透明性 JIS−K7105に準拠し、ヘーズ(曇価)を測定し
た。
【0041】(4)軟化剤のブリードの有無 射出成形シートを23℃で30日間静置した後に表面の
ベタつきの有無を目視にて評価した。 (5)成形加工性 上記の成形条件で、離型性に問題が無く、さらに得られ
た射出成形シートにおいて、ショートショットが無く、
かつフローマーク等の著しい外観不良が無い場合、成形
加工性を良好とした。これらの評価結果を表2〜3に示
す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】実施例10 インラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械
(株)製小型射出成形機:IS90B)を用いMFRが
25g/10分のプロピレン・エチレンランダム共重合
体である三菱ポリプロ「MG03」(商品名;曲げ弾性
率10,000kg/cm2 )を230℃、500kg
/cm2 の条件で射出成形して、縦120mm、横12
0mm、厚さ2mmのシート(芯材用)を成形し、これ
をキャビティ容積が120mm×120mm×4mmの
金型にインサートした。
【0045】次いで、該成形シートと金型との空隙(2
mmのすきま)に実施例2の組成の熱可塑性エラストマ
ー組成物をインラインスクリュータイプ射出成形機(東
芝機械(株)製小型射出成形機:IS90B)を用い
て、射出圧力500kg/cm 2 、射出温度220℃、
金型温度40℃にて射出成形して、芯材層の上に表皮材
層を融着した二層積層構造の複合射出成形体を得た。
【0046】上記積層射出成形体より打ち抜いた幅25
mm、長さ100mmの複合射出成形体の短冊状試験片
を用い、エラストマー成形体の表皮材層とプロピレン・
エチレンランダム共重合体の芯材層を180℃方向に引
張速度200mm/分で引張試験を行い、表皮材層/芯
材層間の融着界面の剥離強度を測定したところ、剥離強
度は、4kg/25mm幅であった。
【0047】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、成形性に優れ、ゴム弾性、耐候性のバランスに優
れ、かつ軟化剤のブリードが少なく、半透明のエラスト
マー成形体を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23:10 C08L 91:00 91:00) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/02 C08L 23/02 C08L 23/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式 A−(B−A)nおよび/または(A−B)n [式中、Aはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブ
    ロックを、Bはブタジエン又はブタジエンおよびイソブ
    レンからなり、1,2−ビニル結合の割合が55〜90
    %の共役ジエン重合体ブロックを、nは1〜5の整数で
    ある。]で表されるブロック共重合体の水素添加物10
    0重量部に対して、(b)結晶性オレフィン系重合体が
    3〜350重量部、および(c)炭化水素系ゴム用軟化
    剤が10〜225重量部の割合で配合されていることを
    特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 (a)一般式 A−(B−A) n および/または(A−B) n [式中、Aはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブ
    ロックを、Bは1,2−ビニル結合の割合が55〜90
    %のポリブタジエンブロックを、nは1〜5の整数であ
    る。]で表されるブロック共重合体の水素添加物100
    重量部に対して、(b)結晶性オレフィン系重合体が3
    〜350重量部、および(c)炭化水素系ゴム用軟化剤
    が10〜225重量部の割合で配合されていることを特
    徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 (a)のブロック共重合体の水素添加物
    100重量部に対して、(b)結晶性オレフィン系重合
    体が5〜250重量部、(c)炭化水素系ゴム用軟化剤
    が40〜200重量部の割合で配合されていることを特
    徴とする請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー
    組成物。
  4. 【請求項4】 (b) 結晶性オレフィン系重合体がプロ
    ピレン系重合体であることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 結晶性オレフィン系重合体が、 結晶化度 :20〜75% メルトフローレート:0.1〜60g/10分(示唆熱
    熱量計による融解ピーク温度が130℃未満のものは1
    90℃で、130℃以上のものは230℃で測定する) 曲げ弾性率 :3,000〜15,000kg/
    cm 2 の物性を有するものであることを特徴とする請求項1な
    いし4のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
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