JP3535061B2 - 偏肉ワークの焼入歪みコントロール方法及び装置 - Google Patents

偏肉ワークの焼入歪みコントロール方法及び装置

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JP3535061B2
JP3535061B2 JP2000020494A JP2000020494A JP3535061B2 JP 3535061 B2 JP3535061 B2 JP 3535061B2 JP 2000020494 A JP2000020494 A JP 2000020494A JP 2000020494 A JP2000020494 A JP 2000020494A JP 3535061 B2 JP3535061 B2 JP 3535061B2
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康夫 武藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉部と厚肉部と
を有する偏肉ワークの内面焼入で、焼入歪みを制御する
偏肉ワークの焼入歪みコントロール方法と装置とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、図1に示すボールナットのよう
に薄肉部W1と厚肉部W2とを有する筒状の偏肉ワーク
Wの内周面に高周波焼入を施す場合に、外周面からの冷
却がないと、特に薄肉部W1において焼入層が内周面か
ら外周面にまで形成されるいわゆるズブ焼入となる。
【0003】また、偏肉ワークWの外周全体を均等に冷
却すれば、薄肉部W1の冷却効果が厚肉部W2に比べて
大きいため薄肉部W1が凸となる。噴射される冷却液が
増加すればするほど薄肉部は凸となる。逆に、全体の冷
却液の噴射量を絞っても、薄肉部W1の冷却効果は厚肉
部W2のそれより大きいので、薄肉部W1が凸となる傾
向は同じである。
【0004】例えば、図1に示すような周面にネジや穴
の加工がない偏肉ワークWの内側に高周波加熱コイル
(図示省略)を挿入し、270kW×5秒の加熱条件で
内周面を焼入した。この焼入の際に、薄肉部W1には6
0リットル/分の冷却液を噴射した。所定の加熱時間が
経過した後、内面冷却として50リットル/分の冷却液
を偏肉ワークWに噴射した。これが比較例としてのパタ
ーンAである。
【0005】このような高周波焼入を施した偏肉ワーク
Wの焼入前の各測定位置における内径は、以下の表1の
通りである。
【0006】
【0007】また、この偏肉ワークWの高周波焼入を施
した後の各測定位置における内径は、以下の表2の通り
である。
【0008】
【0009】従って、焼入前と焼入後との各測定位置に
おける変化量(単位mm)と真円度とは、以下の表3の
通りであった。なお、真円度はX方向の変化量とY方向
の変化量のとの差の絶対値である。
【0010】 表3 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.09 0.12 0.21 2 −0.14 0.25 0.39 3 −0.15 0.35 0.50 4 −0.12 0.34 0.46 5 −0.06 0.09 0.15
【0011】また、同様にして加熱の際に、270kW
×5秒の加熱条件で内周面を焼入し、薄肉部W1には9
3リットル/分の冷却液を噴射した。所定の加熱時間が
経過した後、内面冷却として50リットル/分の冷却液
を偏肉ワークWに噴射した場合の焼入前と焼入後との各
測定位置における変化量(単位mm)と真円度とは、以
下の表4の通りであった。これが比較例としてのパター
ンBである。
【0012】 表4 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.07 0.19 0.26 2 −0.11 0.37 0.48 3 −0.12 0.43 0.55 4 −0.07 0.28 0.35 5 −0.03 0.06 0.09
【0013】また、加熱の際に、270kW×5秒の加
熱条件で内周面を焼入し、薄肉部W1には冷却液を噴射
することなく、所定の加熱時間が経過した後、内面冷却
として50リットル/分の冷却液を偏肉ワークWに噴射
した場合の焼入前と焼入後との各測定位置における変化
量(単位mm)と真円度とは、以下の表5の通りであっ
た。これが、比較例としてのパターンCである。
【0014】 表5 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.01 0.15 0.16 2 −0.07 0.22 0.29 3 −0.08 0.25 0.33 4 −0.05 0.23 0.28 5 −0.01 0.05 0.06
【0015】また、加熱の際に、340kW×4秒の加
熱条件で内周面を焼入し、薄肉部W1には60リットル
/分の冷却液を偏肉ワークWに噴射し、所定の加熱時間
が経過した後、内面冷却として50リットル/分の冷却
液を偏肉ワークWに噴射した場合の焼入前と焼入後との
各測定位置における変化量(単位mm)と真円度とは、
以下の表6の通りであった。これが、比較例としてのパ
ターンDである。
【0016】 表6 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.04 0.21 0.25 2 −0.09 0.36 0.45 3 −0.10 0.43 0.53 4 −0.07 0.35 0.42 5 −0.03 0.14 0.17
【0017】さらに、加熱の際に、270kW×5秒の
加熱条件で内周面を焼入し、薄肉部W1には20リット
ル/分の冷却液を偏肉ワークWに噴射し、所定の加熱時
間が経過した後、内面冷却として50リットル/分の冷
却液を偏肉ワークWに噴射した場合の焼入前と焼入後と
の各測定位置における変化量(単位mm)と真円度と
は、以下の表7の通りであった。ただし、20リットル
/分の冷却液を噴射するのは、高周波加熱コイルがある
部分のみである。これが、比較例としてのパターンEで
ある。
【0018】 表7 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.08 0.10 0.18 2 −0.13 0.26 0.39 3 −0.15 0.33 0.48 4 −0.12 0.25 0.37 5 −0.08 0.01 0.09
【0019】次に、周面にネジや穴の加工がある偏肉ワ
ークWの内側に高周波加熱コイル(図示省略)を挿入
し、270kW×5秒の加熱条件でで内周面を焼入し
た。この焼入の際に、薄肉部W1には60リットル/分
の冷却液を噴射した。所定の加熱時間が経過した後、内
面冷却として50リットル/分の冷却液を偏肉ワークW
に噴射した。この場合の焼入前と焼入後との各測定位置
における変化量(単位mm)と真円度とは、以下の表8
の通りであった。これが、比較例としてのパターンHで
ある。
【0020】 表8 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.08 0.06 0.14 2 −0.08 0.01 0.09 3 −0.04 0.01 0.05 4 −0.07 0.00 0.07 5 −0.07 −0.01 0.06
【0021】
【発明が解決しようとする課題】上述の実験結果からす
ると、薄肉部W1であるY方向では全体に凸となり、厚
肉部W2であるX方向では全体に凹になることが確認で
きる。しかしながら、偏肉ワークでは、外周面から均一
な冷却液を噴射するのみで歪みのコントロールは行われ
ていなかったのが現状である。
【0022】本発明は上記事情に鑑みて創案されたもの
で、薄肉部と厚肉部とを有する偏肉ワークの内周面に高
周波焼入を施す場合に、偏肉ワークの焼入歪みをコント
ロールすることができる方法と装置とを提供することを
目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明に係る偏肉ワーク
の焼入歪みコントロール方法は、内周面に螺旋状に溝が
形成されたボールナットである偏肉ワークの内周面を焼
入れするに当たりその焼入歪みを制御する偏肉ワークの
焼入歪みコントロール方法において、偏肉ワークの内部
に前記溝に対して角度が45°〜135°となるようね
じ曲げられたU字状の加熱導体部を有する高周波加熱コ
イルを同軸配置するとともに偏肉ワークの外部に筒状の
冷却ジャケットを同軸配置し、偏肉ワークを回転させた
状態で高周波加熱コイルにより偏肉ワークの内周面を焼
入れする一方、冷却ジャケットを偏肉ワークと同期して
回転させた状態で当該冷却ジャケットにより偏肉ワーク
の溝に相当する薄肉部の外周面とそれ以外の部分に相当
する肉厚部の外周面とに対し、焼入前後の偏肉ワークの
真円度の変化を抑えるために互いに異なる流量の冷却液
を噴射させて冷却するようにしている
【0024】特に、前記冷却液噴射ジャケットの冷却液
の噴射量は、薄肉部がズブ焼入とはならない最低量であ
ることが望ましい。
【0025】また、本発明に係る偏肉ワークの焼入装置
は、内周面に螺旋状に溝が形成されたボールナットであ
る偏肉ワークの内周面を焼入れする偏肉ワークの焼入装
置において、偏肉ワークの内部に同軸配置され且つ前記
溝に対して角度が45°〜135°となるようねじ曲げ
られたU字状の加熱導体部を有する高周波コイルと、偏
肉ワークの外部に同軸配置され且つ偏肉ワークの溝に相
当する薄肉部の外周面とそれ以外の部分に相当する肉厚
部の外周面とに対して焼入前後の偏肉ワークの真円度の
変化を抑えるために互いに異なる流量の冷却液を噴射す
る筒状の冷却ジャケットと、偏肉ワークを回転させる一
方、この偏肉ワークの回転に同期して冷却ジャケットを
回転させる回転機構とを具備するようになっている
【0026】特に、前記冷却液噴射ジャケットの冷却液
の噴射量は、薄肉部がズブ焼入とはならない最低量であ
ることが望ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
偏肉ワークの焼入歪みコントロール方法によって高周波
焼入が施される偏肉ワークとしてのボールナットの図面
であって、同図(A)は概略的平面図、同図(B)は概
略的縦断面図、図2は本発明の実施の形態に係る偏肉ワ
ークの焼入歪みコントロール方法による偏肉ワークの厚
肉部の変化量を示すグラフ、図3は本発明の実施の形態
に係る偏肉ワークの焼入歪みコントロール方法による偏
肉ワークの薄肉部の変化量を示すグラフ、図4は本発明
の実施の形態に係る偏肉ワークの焼入歪みコントロール
方法を実施するための偏肉ワークの焼入装置の概略的構
成図である。
【0028】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼
入歪みコントロール方法の説明の前に、本実施の形態に
おいて高周波焼入が施される偏肉ワークについて図1を
参照しつつ説明する。
【0029】この偏肉ワークWは、内周面に螺旋状の溝
部W3が形成されたボールナットである。そして、この
偏肉ワークWの外周面には平坦面が形成されている。こ
の平坦面が形成されている部分が薄肉部W1となり、他
の部分が前記薄肉部W1より厚肉の厚肉部W2となる。
この偏肉ワークWの歪みの測定は、薄肉部W1を含んだ
方向(Y軸方向)と、薄肉部W1を含まず前記Y軸方向
と直交する方向(X軸方向)とで、それぞれ5箇所にお
ける内径を測定することで行った。
【0030】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼
入装置は、薄肉部W1と厚肉部W2とを有する偏肉ワー
クWの内面焼入で、焼入歪みを制御する偏肉ワークの焼
入装置であって、偏肉ワークWの内側に挿入される高周
波加熱コイル100と、偏肉ワークWの外側に設置され
る冷却液噴射ジャケット200と、この冷却液噴射ジャ
ケット200を偏肉ワークWの回転に同期して回転させ
るジャケット回転機構(図示省略)とを備えており、前
記冷却液噴射ジャケット200は、高周波焼入時に薄肉
部W1と厚肉部W2とで噴射される冷却液の量に差をつ
けている。
【0031】前記高周波加熱コイル100は、図4に示
すように、一対の加熱導体部110A、110Bが偏肉
ワークWの溝部W3となす角度を135°(望ましくは
45°以上135°以下)としたものである。このよう
な高周波加熱コイル100であると、偏肉ワークWの内
面に形成された溝部W3の谷部と山部とに均一な硬化層
を形成することができるのである。
【0032】一方、偏肉ワークWの外側に設置される冷
却液噴射ジャケット200は、内側に偏肉ワークWが入
り込むことができる開口部210が上下端部に開設され
た筒体であって、内面には冷却液を噴射する複数個の噴
射孔(図示省略)が開設されている。この冷却液噴射ジ
ャケット200には、外部より冷却液が供給されるよう
になっている。
【0033】偏肉ワークWの薄肉部W1は、厚肉部W2
の一部を切り欠いたようにして形成されているので、こ
の冷却噴射ジャケット200は、前記噴射孔のうち、薄
肉部W1に対向する部分の噴射孔からでる冷却液の量と
厚肉部W2に対向する噴射孔からでる冷却液の量とを別
々に調整できる機構となっている。
【0034】なお、薄肉部W1にのみ冷却液を噴射する
場合には、上述したような冷却液の噴射量を調整できる
ような機構は不要で、偏肉ワークWが回転しても常に薄
肉部W1に対向するようになった冷却ジャケットでよ
い。
【0035】また、前記ジャケット回転機構(図示省
略)は、偏肉ワークWを回転駆動する回転駆動部(図示
省略)と同期して冷却液噴射ジャケット200を回転駆
動するようになっている。従って、偏肉ワークWと冷却
液噴射ジャケット200との間では相対的に、回転運動
がないようになっている。すなわち、冷却液は溝部W3
の部分である薄肉部W1にのみ冷却液を噴射されるよう
になっている。
【0036】このように構成された偏肉ワークの焼入装
置による高周波焼入について説明する。
【0037】まず、周面にネジや穴の加工がない偏肉ワ
ークWを用いた。偏肉ワークWの内側に高周波加熱コイ
ル(図示省略)を挿入し、270kW×4秒の加熱条件
で内周面を焼入した。この焼入の際に、薄肉部W1にの
み2.7リットル/分の冷却液を噴射した。所定の加熱
時間が経過した後、内面冷却として50リットル/分の
冷却液を偏肉ワークWの全体に噴射した。なお、前記
2.7リットル/分の冷却液は、薄肉部W1がズブ焼入
とはならない最低量である。この最低量は、偏肉ワーク
Wによって異なるので、経験値や実験値によって決定す
る。これが、実施例としてのパターンIである。
【0038】このような高周波焼入を施した偏肉ワーク
Wの焼入前の各測定位置における内径は、以下の表9の
通りである。
【0039】
【0040】また、この偏肉ワークWの高周波焼入を施
した後の各測定位置における内径は、以下の表10の通
りである。
【0041】
【0042】従って、焼入前と焼入後との各測定位置に
おける変化量(単位mm)と真円度とは、以下の表11
の通りであった。
【0043】 表11 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.05 0.05 0.10 2 −0.06 0.12 0.18 3 −0.06 0.17 0.23 4 −0.05 0.17 0.22 5 −0.07 0.00 0.07
【0044】次に、周面にネジや穴の加工がある偏肉ワ
ークWを用いた。偏肉ワークWの内側に高周波加熱コイ
ル(図示省略)を挿入し、270kW×4秒の加熱条件
で内周面を焼入した。この焼入の際に、薄肉部W1にの
み2.7リットル/分の冷却液を噴射した。所定の加熱
時間が経過した後、内面冷却として50リットル/分の
冷却液を偏肉ワークWの全体に噴射した。すなわち、焼
入条件は上述と同様である。これが、実施例としてのパ
ターンJである。
【0045】このような高周波焼入を施した偏肉ワーク
Wの焼入前の各測定位置における内径は、以下の表12
の通りである。
【0046】
【0047】また、この偏肉ワークWの高周波焼入を施
した後の各測定位置における内径は、以下の表13の通
りであった。
【0048】
【0049】従って、焼入前と焼入後との各測定位置に
おける変化量(単位mm)と真円度とは、以下の表14
の通りであった。
【0050】 表14 測定位置 X方向 Y方向 真円度 1 −0.04 −0.03 0.01 2 −0.01 0.07 0.08 3 −0.02 0.12 0.14 4 0.00 0.09 0.09 5 −0.03 −0.07 −0.04
【0051】上述した本発明の実施の形態に係る偏肉ワ
ークの焼入歪みコントロール方法の2パターンの実施例
(パターンI及びパターンJ)と6パターンの比較例
(パターンA〜パターンH)とのX方向の変化量とY方
向の変化量とをグラフ化した図2及び図3を見る。
【0052】X方向(厚肉部W2)の変化量は、パター
ンA〜パターンHでは、マイナス方向、すなわち凹にな
っていたのに対し、パターンI及びパターンJでは、プ
ラス方向、すなわち凸になっていることが確認できる。
また、Y方向(薄肉部W1)の変化量は、パターンA〜
パターンHでは、プラス方向、すなわち凸が大きかった
のに対し、パターンI及びパターンJでは、プラス方
向、すなわち凸が小さくなっていることが確認できる。
【0053】これは、真円度からも確認することができ
る。例えば、測定位置の中心である測定位置3における
真円度のみをピックアップすると以下の表15のように
なっている。
【0054】表15 パターンA 0.50 パターンB 0.55 パターンC 0.33 パターンD 0.53 パターンE 0.48 パターンH 0.05 パターンI 0.23 パターンJ 0.14
【0055】ここで、真円度は、X方向の変化量とY方
向の変化量との和であるから、小さいほど真円に近い、
すなわち偏肉ワークWの歪みが少ないことを意味してい
る。すると、パターンH、パターンJ、パターンI、パ
ターンC、パターンE、パターンA、パターンD、パタ
ーンBの順に歪みが大きくなっている。かかる結果か
ら、高周波加熱時に薄肉部W1に外周面から冷却液を噴
射するようにしたパターンI及びパターンJでは、偏肉
ワークWの歪みが少ないことが判明する。
【0056】なお、上述した実施の形態では、薄肉部W
1に噴射する冷却液の量はズブ焼入にならない最低量で
あるとしたが、最低量以上であってもよい。ただし、従
来のように多すぎると(例えば、60リットル/分)で
あることは望ましくない。
【0057】また、上述した各実施の形態では、薄肉部
W1にのみ冷却液を噴射するようにしたが、厚肉部W2
に薄肉部W1に噴射する以上の冷却液を噴射するもので
あってもよい。いずれの方法を採用するかは、偏肉ワー
クWの薄肉部W1及び厚肉部W2の寸法等の諸条件によ
って適宜決定されるべきものである。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る偏肉ワークの焼入歪みコン
トロール方法は、内周面に螺旋状に溝が形成されたボー
ルナットである偏肉ワークの内周面を焼入れするに当た
りその焼入歪みを制御する偏肉ワークの焼入歪みコント
ロール方法において、偏肉ワークの内部に前記溝に対し
て角度が45°〜135°となるようねじ曲げられたU
字状の加熱導体部を有する高周波加熱コイルを同軸配置
するとともに偏肉ワークの外部に筒状の冷却ジャケット
を同軸配置し、偏肉ワークを回転させた状態で高周波加
熱コイルにより偏肉ワークの内周面を焼入れする一方、
冷却ジャケットを偏肉ワークと同期して回転させた状態
で当該冷却ジャケットにより偏肉ワークの溝に相当する
薄肉部の外周面とそれ以外の部分に相当する肉厚部の外
周面とに対し、焼入前後の偏肉ワークの真円度の変化を
抑えるために互いに異なる流量の冷却液を噴射させて冷
却するようにしている。
【0059】また、前記冷却液の噴射量は、薄肉部がズ
ブ焼入とはならない最低量であれば、歪みを制御するこ
とができるとともに、冷却液の少量化にも役立つ。
【0060】一方、本発明に係る偏肉ワークの焼入装置
は、内周面に螺旋状に溝が形成されたボールナットであ
る偏肉ワークの内周面を焼入れする偏肉ワークの焼入装
置において、偏肉ワークの内部に同軸配置され且つ前記
溝に対して角度が45°〜135°となるようねじ曲げ
られたU字状の加熱導体部を有する高周波コイルと、偏
肉ワークの外部に同軸配置され且つ偏肉ワークの溝に相
当する薄肉部の外周面とそれ以外の部分に相当する肉厚
部の外周面とに対して焼入前後の偏肉ワークの真円度の
変化を抑えるために互いに異なる流量の冷却液を噴射す
る筒状の冷却ジャケットと、偏肉ワークを回転させる一
方、この偏肉ワークの回転に同期して冷却ジャケットを
回転させる回転機構とを具備するようになっている。
【0061】また、前記薄肉部に噴射される冷却液の噴
射量は、薄肉部がズブ焼入とはならない最低量であれ
ば、最も少ない冷却液で偏肉ワークの歪みを制御するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼入歪
みコントロール方法によって高周波焼入が施される偏肉
ワークとしてのボールナットの図面であって、同図
(A)は概略的平面図、同図(B)は概略的縦断面図で
ある。
【図2】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼入歪
みコントロール方法による偏肉ワークの厚肉部の変化量
を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼入歪
みコントロール方法による偏肉ワークの薄肉部の変化量
を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態に係る偏肉ワークの焼入歪
みコントロール方法を実施するための偏肉ワークの焼入
装置の概略的構成図である。
【符号の説明】
W 偏肉ワーク W1 薄肉部 W2 厚肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新立 英雄 大阪府八尾市老原4−16 富士電子工業 株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−61242(JP,A) 特開 昭63−76821(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 1/02 - 1/84 C21D 9/00 - 9/44 C21D 9/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に螺旋状に溝が形成されたボール
    ナットである偏肉ワークの内周面を焼入れするに当たり
    その焼入歪みを制御する偏肉ワークの焼入歪みコントロ
    ール方法において、偏肉ワークの内部に前記溝に対して
    角度が45°〜135°となるようねじ曲げられたU字
    状の加熱導体部を有する高周波加熱コイルを同軸配置す
    るとともに偏肉ワークの外部に筒状の冷却ジャケットを
    同軸配置し、偏肉ワークを回転させた状態で高周波加熱
    コイルにより偏肉ワークの内周面を焼入れする一方、冷
    却ジャケットを偏肉ワークと同期して回転させた状態で
    当該冷却ジャケットにより偏肉ワークの溝に相当する薄
    肉部の外周面とそれ以外の部分に相当する肉厚部の外周
    面とに対し、焼入前後の偏肉ワークの真円度の変化を抑
    えるために互いに異なる流量の冷却液を噴射させて冷却
    するようにしたことを特徴とする偏肉ワークの焼入歪み
    コントロール方法。
  2. 【請求項2】 前記冷却液噴射ジャケットの冷却液の噴
    射量は、薄肉部がズブ焼入とはならない最低量であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の偏肉ワークの焼入歪みコ
    ントロール方法。
  3. 【請求項3】 内周面に螺旋状に溝が形成されたボール
    ナットである偏肉ワークの内周面を焼入れする偏肉ワー
    クの焼入装置において、偏肉ワークの内部に同軸配置さ
    れ且つ前記溝に対して角度が45°〜135°となるよ
    うねじ曲げられたU字状の加熱導体部を有する高周波コ
    イルと、偏肉ワークの外部に同軸配置され且つ偏肉ワー
    クの溝に相当する薄肉部の外周面とそれ以外の部分に相
    当する肉厚部の外周面とに対して焼入前後の偏肉ワーク
    の真円度の変化を抑えるために互いに異なる流量の冷却
    液を噴射する筒状の冷却ジャケットと、偏肉ワークを回
    転させる一方、この偏肉ワークの回転に同期して冷却ジ
    ャケットを回転させる回転機構とを具備したことを特徴
    とする偏肉ワークの焼入装置。
  4. 【請求項4】 前記冷却液噴射ジャケットの冷却液の噴
    射量は、薄肉部がズブ焼入とはならない最低量であるこ
    とを特徴とする請求項3記載の偏肉ワークの焼入装置。
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