JP3533015B2 - コイリング特性に優れたばね用ステンレス鋼線およびその製造方法 - Google Patents

コイリング特性に優れたばね用ステンレス鋼線およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コイリング特性
に優れたばね用ステンレス鋼線およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼線は伸線
性が悪いために、伸線を行なう際には伸線潤滑性を高め
る対策が取られる。この対策としては、ばね用ステンレ
ス鋼線では、通常ニッケルめっき法が採用され、これは
下引伸線加工後溶体化処理を施し、そのまま電気めっき
法によりめっきを行ない、引き続いて最終製品の線径ま
で仕上げ伸線を行なう方法である。この方法ではニッケ
ルめっき直後に仕上げ伸線を行なうので、めっき硬度が
高い状態のまま冷間引抜加工を行なうことになり、めっ
き粒間に隙間が発生し、この隙間に伸線潤滑剤が溜るた
め、後の三次加工の際に加工性がよくなる効果がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術の電気め
っき法によるニッケルめっきは、製造設備が巨大になっ
て高価になり、かつニッケルという高価な金属を使用す
るためにランニングコストも高くなるという欠点があ
る。一方、三次加工メーカーにとっては、ニッケルめっ
き線は加工性がよいという利点はあるが、ニッケルとい
う金属の人体に及ぼす影響を考えると、加工後に硝酸な
どの強酸を使用してニッケルを除去しなければならない
ケースが増えてきており、これが問題となっている。
【0004】この発明は、このような従来の課題を解決
するためになされたものであり、ニッケルを使用せず
に、溶融塩法(ソルト法)で窒化処理を行なうことによ
り伸線潤滑性を向上させて加工性を良好にしたコイリン
グ特性に優れたばね用ステンレス鋼線およびその製造方
法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明のばね用ステン
レス鋼線は、オーステナイト系ステンレス鋼線の表面に
窒化層のクラックにより生じた窒化層のアイランドが形
成され、このアイランドの長径が5〜50μmでこの窒
化層部分の付着潤滑剤の量が0.05〜1.00g/m
2であるものである。
【0006】この発明のばね用ステンレス鋼線の製造方
法は、オーステナイト系ステンレス鋼線の表面に溶融塩
法により膜厚が0.1〜10μmの窒化処理を行なった
後、伸線加工を行なうようにしたものである。
【0007】上記構成により、ニッケルを使用せずに、
溶融塩法(ソルト法)で窒化処理を行なうことにより伸
線潤滑性を向上させて加工性を良好にしたものであり、
したがって、ばね自由長のバラツキが小さく、製造コス
トも低く、かつ作業能力の向上が図られる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の鋼線1の部分拡
大図であって、上側に断面、下側に側面を示し、オース
テナイト系ステンレス鋼線2の表面には窒化層にクラッ
クが発生して形成された窒化層のアイランド3が形成さ
れ、このアイランド3はステンレス鋼線2の長さ方向に
長い楕円形で、鋼線の外表面に全面的にほぼ均等に分散
配置されている。そして各アイランド3の間には潤滑剤
層4が付着してアイランド3と同じ厚さに形成されてい
る。このようなアイランド3は、後述するステンレス鋼
線2の外表面全面に窒化層を形成した後、伸線すること
により形成され、さらにステンレス鋼線2の伸線の際に
付与された潤滑剤がアイランド3間に充填されることに
より潤滑剤層4が形成される。
【0009】表1に示す元素を含むオーステナイト系
(SUS304)ステンレス鋼材を用いてつぎの方法で
ステンレス鋼線を製造した。なお、表1において、各数
値は重量%を示している。
【0010】
【表1】
【0011】A:比較品(従来品)として、直径2.4
0mmのSUS304ステンレス鋼線の線材を1130
℃で溶体化処理した後、電気めっき法で厚さ3.2μm
のニッケルめっきを施し、直径1.00mmまで仕上げ
伸線した後、ばねコイリング加工を施した。
【0012】B:本発明品として、直径2.40mmの
SUS304ステンレス鋼線の線材を1130℃で溶体
化処理した後、主にシアン塩(MCN)とシアン酸塩
(MCNO)を主成分とする溶融塩中に40秒間浸漬
し、厚さ1.5μmの窒素拡散層(窒化層)を形成した
ステンレス鋼線を製造した。この後、直径1.00mm
まで仕上げ伸線した後、ばねコイリング加工を施して図
2に示すようなコイリングばね(押しばね)を製造し
た。なお、溶融塩中への浸漬時間と形成される膜厚との
関係は、図3に示すようになり、溶融塩の温度が550
℃、575℃、600℃と高温になるほど膜厚の増大が
速くなる。またコイリング加工時に付与する潤滑剤とし
ては、ステアリン酸カルシウム系、ステアリン酸バリウ
ム系、ステアリン酸ナトリウム系、液体潤滑剤(油、水
溶性潤滑剤)あるいはこれらが併用される。
【0013】図4は図1に示すステンレス鋼線2の表面
への付着潤滑剤の量と、図2に示す押しばねの自由長L
のバラツキσとの関係を示している。これより付着潤滑
剤の量が0.05g/m2より少ないとコイリング時に
焼付きが生じてバラツキが大きくなり、また1.00g
/m2を超えるとコイリング時に潤滑剤がガイド類に目
詰まりしてバラツキが大きくなる。したがって、付着潤
滑剤の量を0.05g/m2〜1.00g/m2にする必
要がある。
【0014】また図5は窒化層のアイランド3の長径C
(μm)と潤滑剤の量(g)との関係を示し、線5は伸
線前の窒化層の厚さ10μmのもの、線6は伸線前の窒
化層の厚さ0.1μmのものをそれぞれ示している。こ
れより付着潤滑剤の量を0.05g/m2〜1.00g
/m2の範囲に保つには、アイランド長径Cを5〜50
μmにする必要がある。なお、窒化層が0.1μm以下
になると、冷間引抜き加工後の表面に有効なクラックが
発生せず、このため三次加工時の潤滑効果を発揮させる
ために鋼線表面に潤滑剤を保有させることが不可能とな
る。また窒化層が10μmを超えると、ステンレス鋼線
自体の有効断面積が小さくなり、これによって機械的性
質に変化が生じるおそれがあるため、10μm以下に抑
えることが好ましい。したがって、伸線前の窒化層の厚
さは0.1〜10μmにすることが好ましい。
【0015】表2は従来のNiめっき処理と本発明の窒
化処理との製造設備および処理作業時間、作業量の対比
を示している。
【0016】
【表2】
【0017】表2より、ニッケルめっき処理の場合は1
本当たりの処理作業時間が窒化処理の場合に比較して長
く、したがって1日当たりの作業能力が低いことがわか
る。このニッケルめっき処理では、必要なめっき厚さを
得るために電流密度を大きく取ると、めっき剥離が発生
したり、めっき層の緻密さが失われたりするので、これ
を防止するためにめっき槽を長くし、小さな電流密度で
少しづつめっき厚さを厚くしていく方法を採用せざるを
えない。そのため、めっき装置全体が巨大になり、した
がって装置の費用も非常に高くなるということになる。
【0018】これに対し、窒化処理の場合は溶融塩処理
法によれば、処理作業時間が非常に短くてすみ、したが
って処理能力も大幅に向上することがわかる。またこの
方法では、装置全体が小さく、装置の費用も安価であ
る。なお、上記溶融塩処理法の代わりにガス窒化法を採
用することもでき、その場合でも溶融塩処理法の効果と
同様の効果がある。
【0019】従来品と本発明品とのばねコイリング性を
比較するために、送り速度50cm/秒でコイリング加
工して図2に示す押しばねを製造した。このばねは、自
由長Lが31.00±0.60mm、中心径が14.4
0mm、D/dが14.40、密着巻数が2、ピッチ巻
数が6、総巻数が10とした。またこのときのコイリン
グ加工の均一性を比較するため、図2に示す自由長Lの
バラツキを測定した。その結果を表3に示す。
【0020】なお、表3の各試料は、溶融塩温度575
℃で、40秒〜600秒の間で処理した。全試料No.
1〜8について耐食性試験として塩水噴霧試験を行なっ
たところ、いずれの試料も1000時間後にも発錆は見
られず、耐食性は良好であることがわかった。また比較
品(従来品)の試料No.6,7はそれぞれ窒化法によ
るものであり、試料No.6は窒化層が薄く、付着潤滑
剤が少ないもの、試料No.7は窒化層が厚く、付着潤
滑剤が多いもの、試料No.8は窒化層はなく、ニッケ
ルめっきを施したものである。
【0021】
【表3】
【0022】これより本発明品は従来品と同様にそれぞ
れバラツキが小さく、寸法的に安定しており、良好な製
品が得られることがわかる。
【0023】
【発明の効果】以上、説明したようにこの発明の方法に
よれば、ニッケルを使用せずに、溶融塩法(ソルト法)
で窒化処理を行なうことにより伸線潤滑性を向上させて
加工性を良好にしたものであり、ばね自由長のバラツキ
が小さくなり、製造コストが低く、かつ作業能力の向上
が図られるとともに、ニッケルめっき層が存在しないた
め、ばねコイリング後に脱ニッケル処理が不要となる。
また製造設備も小さくてすむという利点もある。このこ
とは、ばね線メーカーおよびその後の最終需要家にとっ
ても有利であり、工業的価値が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼線の部分拡大図であって、上側に断面、下側
に側面を示している。
【図2】押しばねの正面図である。
【図3】窒化膜厚と処理時間、温度との関係図である。
【図4】ステンレス鋼線の表面への付着潤滑剤の量と、
押しばねの自由長のバラツキとの関係図である。
【図5】窒化層のアイランドの長径と潤滑剤の量との関
係図である。
【符号の説明】 2 オーステナイト系ステンレス鋼線 3 窒化層のアイランド 4 潤滑剤層 C アイランドの長径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桝谷 博 兵庫県尼崎市中浜町10番地1 神鋼鋼線 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−17616(JP,A) 特開 昭60−33385(JP,A) 特開 平6−226330(JP,A) 特開 昭53−192643(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 9/00 B21C 1/00 C23C 8/50 B21F 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼線の表面
    に窒化層のクラックにより生じた窒化層のアイランドが
    形成され、このアイランドの長径が5〜50μmでこの
    窒化層部分の付着潤滑剤の量が0.05〜1.00g/
    2であることを特徴とするコイリング特性に優れたば
    ね用ステンレス鋼線。
  2. 【請求項2】 オーステナイト系ステンレス鋼線の表面
    に溶融塩法により膜厚が0.1〜10μmの窒化処理を
    行なった後、伸線加工を行なうことを特徴とするコイリ
    ング特性に優れたばね用ステンレス鋼線の製造方法。
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