JP3530900B2 - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents
ポリエステル組成物およびその製造方法Info
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Description
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、耐加水分
解性、溶融時または乾燥時の耐熱性および色相に優れ、
異物が少なく、成形性および品質に優れたポリエステル
組成物およびその製造方法に関する。さらに、本発明は
カチオン可染ポリエステルにおいて溶融時または乾燥時
の耐熱性および色相に優れた改質ポリエステル組成物お
よびその製造方法に関する。
タレートは多くの優れた特性を有しているため、種々の
用途、特に繊維、フィルムに広く利用されている。かか
るポリエステルは、通常テレフタル酸とエチレングリコ
ールとをエステル化反応せしめるか、テレフタル酸ジア
ルキルとエチレングリコールとをエステル交換反応せし
めるか、またはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを
反応せしめるかして、テレフタル酸のエチレングリコー
ルエステル及び/又はその低重合体を生成せしめ、次い
でこの生成物を減圧下加熱して所定の重合度になるまで
重縮合反応せしめることによって製造されている。
溶融状態で微細な孔(紡糸孔)またはスリットから繊維
状またはフィルム状に押出し、次いで延伸して実用化さ
れる。ポリエステルはその製造工程時に重縮合反応時及
び形成工程において、高温下溶融状態で長時間保持され
ることが多く、その間の熱分解を防止し、品質特に色調
の良好なポリエステル成形物を得るため種々の燐化合
物、例えば燐酸、亜燐酸、これらの低級アルキルエステ
ル、アリールエステル等が一般に使用されている。
て、未だ充分に満足しうるポリエステルは得られておら
ず、なお一層の改良が要望されている。一方ポリエステ
ル成形物は、湿熱条件下で使用されることも多く、この
場合加水分解による強度の低下、色相の劣化などが問題
となっている。この問題を解決するため、従来ポリエス
テルの末端COOH基を減少させる方法(特公昭44−
27911号公報、特開昭54−6051号公報参
照)、ポリエステル中にカルボジイミド化合物を添加す
る方法(特公昭38−15220号公報、特公昭46−
5389号公報参照)などが提案されているが、これら
の方法はいずれも湿熱条件によって未だ満足すべきもの
とは云えなかった。
異物が存在するが、これらを分析するとその多くは使用
したエステル交換触媒、重合触媒、安定剤からなる粒子
であることが判った。これらの不溶性異物は、ポリエス
テルの成形工程、特に繊維状またはフィルム状に押し出
す際および延伸する際に種々のトラブルを引きおこす。
特に、最近、ポリエステルよりなる繊維、フィルムには
ファインデニール化、薄物化、高級化等の要求が多く、
また生産性向上のため紡糸、成形等の速度を高速化する
ことが試みられているが、上記不溶性異物の生成はいず
れの場合にも重大な障害になる。
有しているため繊維やフィルムとして広く用いられてい
るが、染色性が低く、特に分散染料以外の染料には染色
困難であり、その改善が求められていた。染色性を改良
する方法としては、例えばポリエステル主鎖中に、5−
Naスルホイソフタル酸の如きスルホン酸金属塩基を有
するイソフタル酸成分を共重合することによってカチオ
ン染料で染色可能とする方法が古くから知られている
(特公昭34−10497号公報参照)。しかしなが
ら、この方法ではカチオン染料で染色した際の濃色性や
鮮明発色性が不充分であるのみならず、該成分の共重合
によってポリマーの溶融粘度が著しく増大し、重合度を
充分に上げることが困難になると同時に紡糸等の成形が
困難となるため低強度の成形物しか得られない欠点があ
った。
欠点を解消するため、特定のスルホン酸ホスホニウム塩
基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエス
テルの製造法および改質ポリエステル繊維が開示されて
いる(特公平3−61766号公報参照)。この方法に
よれば、ポリマーの増粘作用が抑制されるため、高重合
度でかつ低溶融粘度のポリエステルが容易に得られ、高
強度の成形物が製造できるようになるだけでなく、カチ
オン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が改良され
る。しかしながら、耐熱性および色相の面で未だ充分に
満足しうるカチオン可染化ポリエステルは得られておら
ず、なお一層の改良が望まれている。
ステル成形物およびその製造工程に基づく問題点を解消
すべくなされたものであり、その第1の目的は、耐加水
分解性、溶融並びに乾燥時に耐熱性および色相に優れ、
且つポリマー中の不溶性異物の量が少なく、成形性並び
に品質が改良されたポリエステル組成物およびその製造
方法を提供することにある。
チオン染料により濃色かつ鮮明に染色可能であると共
に、耐熱性および色相の面でも良好であり、通常の未改
質ポリエステル繊維と同等の強度を有するカチオン染料
可染性ポリエステル繊維を製造することができる改質ポ
リエステル組成物およびその製造方法を提供することに
ある。
の目的を達成するため研究を重ねた結果、安定剤として
使用するリン化合物の種類がポリエステルの耐加水分解
性、耐熱性、色相およ不溶性異物の量に大きく影響し、
或る特定のリン化合物を使用することにより、これら特
性を大幅に向上させることができることを見出し、本発
明に到達した。すなわち、本発明によれば(A)芳香族
ポリエステル(A成分)に(B)下記一般式[I]で表
わされるリン化合物と下記一般式[II]で表わされる
エポキシ化合物との反応生成物(B成分)を配合させて
なる芳香族ポリエステル組成物が提供される。
同一または異なり、水素原子、炭素原子数1〜4のアル
キル基または炭素原子数6〜12のアリール基を示
す。]
同一または異なり、水素原子または炭素原子数1〜4の
アルキル基を示し、l4は炭素原子数1〜15のアルキ
ル基または炭素原子数6〜12のアリール基を示す。]
ルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体と、アル
キレングリコール及び/又はそのエスルテ形成性誘導体
とを反応せしめて二官能性芳香族カルボン酸のグリコー
ルエステル及び/又はその低重合体を生成させ、次いで
重合反応せしめてポリエステルを製造するに際し、前記
B成分を、ポリエステルの重合が終了するまでの任意の
時期に添加することを特徴とする芳香族ポリエステル組
成物の製造方法が提供される。
る。本発明においてポリエステル(A成分)としては、
二官能性芳香族カルボン酸を主たる酸成分とし、アルキ
レングリコールを主たるジオール成分とするポリエステ
ルを主たる対象とする。好ましく用いられる二官能性芳
香族カルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β−ヒドロキシ
エトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸等をあげること
ができ、また、アルキレングコリールとしては、例えば
エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール等を挙げることができる。なかで
も、主たる酸成分がテレフタル酸であり、主たるグリコ
ール成分がエチレングリコールであるポリエチレンテレ
フタレート系ポリエステルが好ましい。
香族カルボン酸以外の二官能性カルボン酸成分及び/又
はアルキレングリコール以外のジオール成分を、全酸成
分に対して15モル%以下、好ましくは10モル%以
下、特に好ましくは5モル%以下共重合してもよいこと
を意味する。
ては、例えばアジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸の如き脂肪族、脂環族の二官能性
カルボン酸を挙げることができ、また、アルキレングリ
コール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘ
キサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールSの如き脂環
族、芳香族のジオール化合物及びポリオキシアルキレン
グリコールを挙げることができる。
ない範囲内で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の如
きスルホン酸塩基を有するイソフタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの
如きポリオールを共重合成分として用いてもよい。
合成される。例えばポリエチレンテレフタレートについ
て説明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコー
ルとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメ
チルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチ
レングリコールとをエステル交換反応させるか又はテレ
フタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテ
レフタル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合
体を生成させる第一段階の反応と、第一段階の反応生成
物を重合触媒の存在下で減圧加熱して所望の重合度にな
るまで重縮合反応させる第二段階の反応によって製造さ
れる。
(A成分)に配合されるのは、前記一般式[I]で表わ
されるリン化合物(B−1成分)と前記一般式[II]
で表わされるエポキシ化合物(B−2成分)との反応生
成物(B成分)である。このB成分の合成に使用される
一般式[I]のリン化合物の具体例としては、正リン
酸、リン酸モノメチル、リン酸モノエチル、リン酸モノ
ブチル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸
トリブチル、リン酸モノフェニルおよびリン酸トリフェ
ニル等が挙げられ、これらは2種以上の混合物であって
もよい。
−2成分)としては、l1、l2およびl3はそれぞれ同
一もしくは異なり、水素原子または炭素原子数1〜4の
アルキル基であり、好ましくは水素原子である。またl
4は炭素原子数1〜15、好ましくは1〜10のアルキ
ル基または炭素原子数6〜12のアリール基好ましくは
フェニル基である。これらは基の間にエーテル結合を有
していてもよい。かかるエポキシ化合物の具体例として
は、例えば1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシ
ブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘ
キサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノ
ナンおよび1,2−エポキシデカンが挙げられるがこれ
らは2種以上の混合物であってもよい。
化合物(B−2成分)との反応生成物を得る反応条件
は、リン化合物(B−1成分)を70〜130℃、好ま
しくは80〜120℃の温度に加熱し、そこにエポキシ
化合物(B−2成分)を、滴下終了後、反応混合物を1
〜7時間、好ましくは2〜6時間加温を続行するのが望
ましい。反応温度が70℃より低いと、反応が充分に進
行せず、一方130℃を超えると反応が急激になり危険
であるばかりでなく、反応生成物が着色するので好まし
くない。加熱反応時間が1時間未満の場合反応が充分に
進まず、一方、7時間を超えると、反応生成物が着色す
る傾向かある。B−1成分とB−2成分の反応割合はモ
ル比で1:1〜1:5、好ましくは1:2〜1:4の範
囲が有利である。
の反応生成物(B成分)は、ポリエステル(A成分)に
配合されるが、好ましい方法はポリエステル製造が終了
する任意の段階にB成分をその製造工程に添加すること
である。好ましい添加時期はエステル化或いはエステル
交換反応によって低重合体を生成した後、すなわち重縮
合反応の前、或いは中に添加するのが有利である。B成
分の配合割合は触媒金属配合割合にもよるが、リン含量
としてポリエステル100重量部当り、0.0005〜
0.2重量部、好ましくは0.002〜0.15重量部の
範囲が適当である。B成分の配合割合が、ポリエステル
100重量部当り0.0005重量部より少ないと、添
加効果がなく、一方0.2重量部を超えると、それ以上
添加しても添加効果が増大するわけではなく、むしろ不
経済となる。
た本発明のポリエステル組成物およびその製造方法は、
通常のポリエステルにおいて前記目的および効果が達成
されるが、或る特定のスルホン酸ホスホニウム塩を共重
合して得られた改質ポリエステルにおいても優れた効
果、すなわちカチオン染料可染性を有している共に、耐
熱性および色相が良好であるという効果が達成できるこ
とが見出された。
リエステル(A成分)として、下記一般式[III]
り、X1はエステル形成性官能基であり、X2はX1と同
一若しくは異なるエステル形成性官能基または水素原子
であり、Q1、Q2、Q3およびQ4のそれぞれは、アルキ
ル基およびアリール基よりなる群から選ばれる同一また
は異なる基であり、そしてnは正の整数を示す。]で表
わされるスルホン酸ホスホニウム塩を、ポリエステルを
形成する二官能性芳香族カルボン酸成分に対して0.1
〜10モル%共重合した改質芳香族ポリエステルを使用
した改質ポリエステル組成物も提供される。
たポリエステルの合成が完了する以前の任意の段階で、
好ましくは第二段階の反応の初期以前の任意の段階で添
加すればよい。一般式[III]のスルホン酸ホスホニ
ウム塩をポリエステルに共重合させる割合は、ポリエス
テルを構成する酸成分(スルホン酸ホスホニウム塩を除
く)に対して0.1〜10モル%の範囲であり、0.5〜
5モル%の範囲が好ましい。共重合割合が0.1モル%
より少ないと、得られる改質ポリエステル組成物をカチ
オン染料で染色した際の濃色性や鮮明発色性が不充分に
なり、10モル%より多くなると濃色性や鮮明発色性は
最早著しい向上を示さず、かえって改質ポリエステル組
成物の物性が低下する。
族基または脂肪族基を示し、なかでも芳香族基(好まし
くは炭素原子数6〜15)が好ましい。X1はエステル
形成性官能基を示し、具体例として
ニル基を示し、aおよびdは1以上の整数、bは2以上
の整数である)等を挙げることができる。X2はX1と同
一もしくは異なるエステル形成性官能基または水素原子
を示し、なかでもエステル形成性官能基であることが好
ましい。
ましくは炭素原子数1〜6)およびアリール基(好まし
くは炭素原子数6〜15)よりなる群から選ばれた同一
または異なる基を示す。nは正の整数(好ましくは1〜
3)である。
に対応するスルホン酸とホスフィン類との反応、または
対応するスルホン酸金属塩とホスホニウムハライド類と
の反応により容易に合成できる。
具体例としては、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホ
ン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキ
シベンセンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム
塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジル
トリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニ
ルホスホニウム塩、3,5−ジカルボキシベンゼンスル
ホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジ
カルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホ
スホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスル
ホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニ
ウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸
ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホ
ニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン
酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメ
トキシベンゼンスルホン酸エチルトリフェニルホスホニ
ウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸
ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5−ジカルボ
メトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリフェニルホス
ホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、3−カルボキシベンゼンスルホ
ン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3−カルボメトキ
シベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3
−カルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホ
スホニウム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウ
ム塩、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム
塩、3−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼ
ンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3−(β−
ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テ
トラフェニルホスホニウム塩、4−ヒドロキシエトキシ
ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、2,
6−ジカルボキシナフタレン−4−スルホン酸テトラブ
チルホスホニウム塩、α−テトラブチルホスホニウムス
ルホコハク酸等を挙げることができる。上記スルホン酸
ホスホニウム塩は1種のみを単独で用いても、2種以上
併用してもよい。
組成物は、下記一般式[IV]で表わされる有機スルホ
ン酸金属塩を配合していてもよく、また下記一般式
[V]で表わされるスルホイソフタル酸金属塩を共重合
していていもよい。 YSO3M ・・・・[IV] [式中、Yは炭素原子数3〜30のアルキル基あるいは
炭素原子数6〜40のアリール基またはアルキルアリー
ル基であり、Mはアルカリ金属を示す。]
り、水素原子、−(CH2)n−Hまたは−(CH2)n−
OH(ここでnは1〜6の整数を示す)を示し、Mはア
ルカリ金属を示す。]
塩において、Yは炭素原子数3〜30のアルキル基ある
いは炭素原子数6〜40のアリール基またはアルキルア
リール基であり、Mはアルカリ金属を示す。Yがアルキ
ル基のときはYは直鎖状であってもまたは分岐した側鎖
を有していてもよい。Yとしては、なかでも炭素原子数
6〜40のアリール基またはアルキルアリール基がより
大きな効果が奏されるのがより好ましい。Yがアルキル
アリール基の場合のアルキルは直鎖状であってもまたは
分岐した側鎖を有していてもよい。MはNa、K、Li
等のアルカリ金属であり、なかでもLi、NaまたはK
が好ましい。
しい具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸Na
(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホン酸
Li(ハード型、ソフト型)、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸K(ハード型、ソフト型)、ペンタデシルベンゼン
スルホン酸Na、ペンタデシルベンゼンスルホン酸L
i、ペンタデシルベンゼンスルホン酸K、ヘキシルベン
ゼンスルホン酸Na、ヘキシルベンゼンスルホン酸L
i、ヘキシルベンゼンスルホン酸K、n−ブチルベンゼ
ンスルホン酸Na、t−ブチルベンゼンスルホン酸N
a、ジブチルベンゼンスルホン酸Na、エチルベンゼン
スルホン酸Na、キシレンスルホン酸Na、トルエンス
ルホン酸Na、ベンゼンスルホン酸Na、ジブチルナフ
タレンスルホン酸Na、ジブチルナフタレンスルホン酸
Li、炭素原子数の平均が14であるアルキルスルホン
酸Na混合物、炭素原子数の平均が15であるアルキル
スルホン酸Na混合物、炭素原子数の平均が22である
アルキルスルホン酸Na混合物、炭素原子数の平均が1
1であるアルキルスルホン酸Na、炭素原子数の平均が
12であるアルキルスルホン酸Na、オクチルスルホン
酸Na、ブチルスルホン酸Na、プロピルスルホン酸N
a、ステアリルスルホン酸Na等を挙げることができ
る。
ソフタル酸金属塩において、Z1およびZ2は同一または
異なり、水素原子、−(CH2)n−Hまたは−(C
H2)n−OHである。nは1〜6の整数であり、好まし
くは1〜4の整数であり、なかでも1または2であるの
が特に好ましい。Mはアルカリ金属であり、なかでもN
a、LiまたはKが好ましい。
タル酸金属塩の好ましい具体例としては、Naスルホイ
ソフタル酸ジメチル、Naスルホイソフタル酸、Naス
ルホイソフタル酸(β−ヒドロキシエチル)、Liスル
ホイソフタル酸ジメチル、Liスルホイソフタル酸、L
iスルホイソフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチル)、
Kスルホイソフタル酸ジメチル、Kスルホイソフタル
酸、Kスルホイソフタル酸ビス(β−ヒドロキシエチ
ル)、Naスルホイソフタル酸ビス(δ−ヒドロキシブ
チル)等を挙げることができる。
わされる化合物は、それぞれ1種のみでもよく、或いは
2種以上を用いてもよい。一般式[IV]及び/又は
[V]の化合物の配合量または共重合割合は、一般式
[III]のスルホン酸ホスホニウム塩に対して1.0
〜100モル%の範囲が適当であり、なかでも5〜80
モル%の範囲が好ましい。
合物を添加した改質ポリエステルを製造する場合、式
[IV]の有機スルホン酸金属塩の添加については、改
質ポリエステルの成形が終了するまでの任意の段階、例
えば改質ポリエステルの重縮合反応開始前、重縮合反応
途中、重縮合反応終了時であってまだ溶融状態にある時
点、紛粒状態、成形段階等において、上記有機スルホン
酸金属塩を添加混合することが推奨される。添加に際し
ては1回の操作で添加しても、または2回以上に分割添
加してもよい。また、有機スルホン酸金属塩[IV]を
予め通常の未改質ポリエステルに配合し、その後成形前
等において、この配合物を改質ポリエステルに混合する
こともできる。さらに、重縮合反応終了前に添加すると
きは、有機スルホン酸金属塩[IV]をグリコール等の
溶媒に溶解または分散させて添加することもできる。
ソフタル酸金属塩については、重合反応が完了する以前
の任意の段階で、好ましくは第二段階の反応の初期以前
の任意の段階で添加すればよい。
される化合物を添加すると多量のエーテル結合が副生す
ることがあるが、この難点は特開昭48−66650号
公報、特公昭53−28955号公報等に開示されたア
ルカリ金属化合物の添加によって回避することができ
る。このようなアルカリ金属化合物の具体例としては、
例えば酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメ
トキシド、安息香酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リ
チウム、酢酸カリウムおよび炭酸カリウム等を挙げるこ
とができる。
は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、
蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、消艶剤、その他の添加剤
等を配合してもよい。
を製造する場合には、任意の製糸条件を何等の支障なく
採用することができる。例えば500〜2,500m/
分の速度で溶融紡糸し、延伸・熱処理する方法、1,5
00〜5,000m/分の速度で溶融紡糸し、延伸と仮
燃加工とを同時にまたは続いて行う方法、5,000m
/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸を省
略する方法等の任意の製糸条件を採用することができ
る。
用いて引取速度2,000m/分以上、特に4,000m
/分以上の高速で、溶融紡糸を行った場合、不溶性異物
の量が少ないため、紡糸時の糸切れの大幅な減少が認め
られる。ここで、紡糸条件としてはポリエステルの溶融
紡糸条件を任意に採用することができる。異物減少の理
由はいまだに解明されていないが、以下のごとく推定さ
れる。すなわち、ポリエステル製造時に添加したエステ
ル交換触媒及び/又は重縮合触媒は、通常リン化合物と
反応して粒子となるが、本発明のリン化合物はエポキシ
化合物との反応生成物であり、このためポリエステルと
の相溶性が増し、ポリエステル中において不溶性異物粒
子を析出しにくくするものと考えられる。
は、フィルムやシートの製造にも使用することができ、
この際任意の成形条件を何らの支障なく採用することが
できる。例えば製膜後一方向のみに張力を作用させて異
方性膜を製造する方法、同時にまたは任意の順序で膜を
二方向に延伸する方法、および膜を二段以上に多段延伸
する方法等を任意の条件で採用することができる。
分解性、熱安定性、色調に優れポリエステル中不溶性異
物の少ないポリエステルが提供される。その理由は未だ
解明されていないが、以下の如く推定される。すなわ
ち、ポリエステル製造時に添加したエステル交換反応触
媒及び/又は重縮合触媒は通常リン化合物と反応して粒
子となるが、本発明のリン化合物はエポキシ化合物との
反応生成物であり、その反応を適度に抑制して不溶性異
物粒子として析出することが少くなる。また本発明のB
成分の場合は酸触媒としての活性が適度に抑制されてい
るため、ポリエステルの耐加水分解性、耐熱性が向上
し、色調も良好となると推定される。
によれば、カチオン染料で染色した際に改善された濃色
性や鮮明発色性が得られると共に耐熱性および色相の面
でも良好という従来見ない効果が奏される。従って、本
発明の改質ポリエステル組成物は特に繊維に有用であ
る。さらに、本発明の改質ポリエステル組成物から得ら
れるフィルムやシートは、強度に優れると共に優れた制
電性、吸水性、印刷性、接着性等を有するので有用であ
る。
る。なお、実施例中の部および%は重量部および重量%
を表わし、また各測定値は下記の方法に従った。(1)固有粘度 : ポリマーの固有粘度[IV]は、35℃のオルソクロロ
フェノール溶液で測定した値から求めた。
びb値はハンター型色差計を用いて測定した値であり、
L値が大きい程白度が向上していることを示し、b値が
大きい程黄色味の強いことを示している。すなわちL値
が大きく、b値が小さいほど色調が良好であることを示
す。また、染色布の視感染色性は染色布のL*値、a
*値、b*値をミノルタ色彩色差計CR−200(ミノル
タカメラ販売(株))を用いて測定し、深色度(L*)
および彩度{(a*2+b*2)1/2}により深色性と鮮明
発色性を求めた。深色度が小さいほど深色性が大きく、
また彩度が大きいほど鮮明発色性が大きいことを示す。
分解性および耐熱性は以下のとおり評価した。直径0.
3mmの紡糸孔30個を有する紡糸口金を使用して吐出
量80g/min、捲取速度1,200m/minで紡
糸して得られた未延伸を、延伸温度85℃、延伸倍率
3.5倍、延伸速度1100m/minで延伸して、1
50デニール/30フィラメント25kg巻とした。紡
糸前後の固有粘度[IV]の変化から耐熱性を判断し
た。一方得られた糸サンプルを135℃、60時間湿熱
下に保持し、その時の糸強度を測定し、未処理糸対比の
強度保持率で耐加水分解性を示した。すなわち、強度保
持率が高いほど、耐加水分解性が良好といえる。
以下のとおり測定し評価した。ポリマーを10ミクロン
の厚さの薄膜フィルムにした後、光学顕微鏡で異物径お
よび異物数を測定し、少ないサンプルを○、やや少ない
サンプルを△、多いサンプルを×とする三段階で評価し
た。(5)紡糸時の断糸度数 :引取速度3,000m/分、
5,000m/分で紡糸を行い、そのときのポリマー1
トン当りの断糸数を調べた。
すリン化合物(B−1成分)の25部に窒素ガスを流し
ながら95℃に加熱還流しているところに、表1に示す
種類、量のエポキシ化合物(B−2成分)を約30分か
けて少量ずつ滴下した。滴下終了後も加熱還流しなが
ら、5時間反応を続けて、反応生成物(B成分)を得
た。
0部、酢酸マンガン4水塩0.031部(テレフタル酸
ジメチルに対して0.025モル%)をエステル交換缶
に仕込み、窒素ガス雰囲気下3時間かけて、140℃か
ら220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留
出しながらエステル交換反応させた。次いで、合成した
反応生成物(B成分)を表2記載の種類および量を添加
した後、過剰のエチレングリコールの昇温追出しを開始
した。10分後に重縮合反応触媒として三酸化アンチモ
ン0.04部(テレフタル酸ジメチルに対し0.027モ
ル%)を添加した。内温が240℃に到達した時点で、
エチレングリコールの追出しを終了し、反応生成物を重
合缶に移し、次いで昇温しながら30分間常圧反応させ
た後、1時間かけて760mmHgから1mmHgまで
減圧し、同時に1時間30分かけて内温を290℃まで
昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度290℃
でさらに2時間重合した時点で、窒素ガスで真空を破っ
て重合反応を終了し、窒素ガス加圧下に290℃でポリ
マーの吐出を行った。得られたポリマーの品質および耐
熱性、耐加水分解後の評価結果は表2に示したとおりで
あった。
60部、酢酸マンガン4水塩 0.03部(テレフタル酸
ジチメルに対して0.024モル%)、整色剤として酢
酸コバルト4水塩 0.009部(テレフタル酸ジメチル
に対して0.007モル%)、カチオン染料可染化剤と
してテレフタル酸ジメチルに対して1.5モル%となる
量の3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テト
ラ−n−ブチルホスホニウム塩および安定剤としてテレ
フタル酸ジメチルに対して0.050モル%のテトラエ
チルアンモニウムハイドロオキサイドをエステル交換缶
に仕込み、窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃から
220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去
しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成
物にエステル交換触媒失活剤として前記B成分の合成で
得られた反応生成物(B)を0.12部添加し、同時に
過剰のエチレングコリールの昇温追出しを開始した。1
0分後に重縮合触媒として三酸化アンチモン 0.04部
(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を
添加した。内温が240℃に達した時点でエチレングリ
コールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移し
た。
圧反応させた後、1時間かけて760mmHgから1m
mHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて内温を2
80℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温
度280℃でさらに2時間重合した時点で窒素ガスで真
空を破って重合反応を終了し、窒素ガス加圧下でポリマ
ーを吐出し、冷却してチップ化した。得られたポリマー
の固有粘度[η]は表3に記載のとおりであった。ま
た、チップの色相を示すL値も表3に示した。また、ポ
リマーの熱安定性の指標となるポリマーの固有粘度と延
伸糸の固有粘度の差を表3に示した。
後、285℃で溶融し、スリット幅0.15mmのY字
型孔を24個穿設した紡糸口金を使用して紡糸速度1,
100m/分にて紡出し、次いで、得られる延伸糸の伸
度が35%になるような延伸倍率で、延伸速度1,20
0m/分にて、84℃の加熱ローラーと180℃のプレ
ートヒーターを使って延伸・熱処理を行い、50デニー
ル/24フィラメントの三葉型断面の延伸糸を得た。得
られた延伸糸の固有粘度を表3に示した。
地に製編後、常法により精練、プリセットした後 Cathi
lon Blue CD−FRLH/Cathilon Blue CD−FB
LH=1/1[保土谷化学(株)製]2%owfで芒硝
3g/L、酢酸0.3g/Lを含む染浴中にて130℃
で60分間染色し、その後常法に従ってソーピングして
青色布を得た。表3に染色布の深色度および彩度を示し
た。
(A)を0.088部使用する以外は実施例9と同様に
行った。結果を表3に示した。
共重合量を変更しさらにスルホン酸金属塩化合物を共重
合および重合反応よりブレンドした場合の結果を表3に
示した。
変更し、B成分を(B)から(E)に変えた場合の結果
を表3に示した。
えて正リン酸の56%水溶液を0.03部(テレフタル
酸ジメチルに対して0.033モル%)を添加した場合
の結果を表3に示した。
60部、酢酸マンガン4水塩 0.031部(テレフタル
酸ジメチルに対して0.025モル%)をエステル交換
缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下3時間かけて140℃か
ら220℃まで昇温して生成するメタノールを系外に流
出しながらエステル交換反応させた。次いで、合成した
反応生成物(B成分)を表4記載の種類および量を添加
した後、過剰のエチレングリコールの追出しを開始し
た。10分後に重縮合反応触媒として三酸化アンチモン
0.04部(テレフタル酸に対して0.027モル%)を
添加した。内温が240℃に達した時点で、エチレング
コリールの追出しを終了し、反応生成物を重合缶に移
し、次いで昇温しながら30分間常圧反応させた後、1
時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、
同時に1時間30分かけて内温を290℃まで昇温し
た。1mmHg以下の減圧下、重合温度290℃でさら
に2時間重合した時点で、窒素ガスで真空を破って重合
反応を終了し、窒素ガス加圧下に290℃でポリマーの
吐出を行った。得られたポリマーの品質は表4に示した
とおりであった。
90℃、冷却風線速度15m/分(26℃、相対湿度7
0%)、引取速度3,000m/分もしくは5,000m
/分で75デニール、36フィラメントの糸を紡糸し
た。糸の不溶性異物数、紡糸時の断糸数については表4
に示した。なお、表4の中で、実施例14が最も優れた
ものである。
の意味を有する。 1)添加量はテレフタル酸ジメチル100重量部に対す
るB成分の重量部として示した。 2)ポリマー中のリン含量は、ポリエステル100重量
部に対するリンの重量部として示した。 3)○:1ケ/cm2以下;△:1〜5ケ/cm2;×:
5ケ/cm2以上
Claims (6)
- 【請求項1】 (A)芳香族ポリエステル(A成分)に (B)下記一般式[I]で表わされるリン化合物と下記
一般式[II]で表わされるエポキシ化合物との反応生
成物(B成分)を配合させてなる芳香族ポリエステル組
成物。 【化1】 [式中、R1、R2およびR3は、それぞれ同一または異
なり、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基または
炭素原子数6〜12のアリール基を示す。] 【化2】 [式中、l1、l2およびl3は、それぞれ同一または異
なり、水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を
示し、l4は炭素原子数1〜15のアルキル基または炭
素原子数6〜12のアリール基を示す。] - 【請求項2】 該反応生成物(B成分)は、該リン化合
物と該エポキシ化合物とを、モル比で1:1〜1:5の
割合でかつ70〜130℃の温度で反応させた生成物で
ある請求項1記載のポリエステル組成物。 - 【請求項3】 前記A成分100重量部当りB成分の割
合がリン含量として0.0005〜0.2重量部である請
求項1記載のポリエステル組成物。 - 【請求項4】 該芳香族ポリエステル(A成分)は、下
記一般式[III] 【化3】 [式中、Aは芳香族基または脂肪族基であり、X1はエ
ステル形成性官能基であり、X2はX1と同一若しくは異
なるエステル形成性官能基または水素原子であり、
Q1、Q2、Q3およびQ4のそれぞれは、アルキル基およ
びアリール基よりなる群から選ばれる同一または異なる
基であり、そしてnは正の整数を示す。]で表わされる
スルホン酸ホスホニウム塩を、ポリエステルを形成する
二官能性芳香族カルボン酸成分に対して0.1〜10モ
ル%共重合した改質芳香族ポリエステルである請求項1
記載のポリエステル組成物。 - 【請求項5】 二官能性芳香族カルボン酸及び/又はそ
のエステル形成性誘導体と、アルキレングリコール及び
/又はそのエステル形成性誘導体とを反応せしめて二官
能性芳香族カルボン酸のグリコールエステル及び/又は
その低重合体を生成させ、次いで重合反応せしめてポリ
エステルを製造するに際し、前記請求項1記載のB成分
を、ポリエステルの重合が終了するまでの任意の時期に
添加することを特徴とする芳香族ポリエステル組成物の
製造方法。 - 【請求項6】 ポリエステルを製造するに際し、さらに
前記請求項4記載の一般式[III]で表わされるスル
ホン酸ホスホニウム塩を、二官能性芳香族カルボン酸及
び/又はそのエステル形成性誘導体に対して0.1〜1
0モル%添加する請求項5記載の製造方法。
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