JP3530564B2 - エアゾールフォーム化粧料 - Google Patents
エアゾールフォーム化粧料Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、エアゾールフォーム化
粧料に関する。より詳しくは、温感を付与し得るエアゾ
ールフォーム化粧料であって、皮膚に塗布した際、水和
により発生した熱を効率よく皮膚に供給するとともに、
皮膚が適度に加温を感じることのできるように処方した
新規な化粧料に関する。 【０００２】 【従来の技術】最近、ホットパック剤など温感を唱った
エアゾール化粧料が多種提供されているが、これらは実
際に発熱するというよりはむしろ泡状に噴出させ、泡の
断熱効果により冷感を感じさせなかったり、体温が外部
に逃げるのを防いだりして温感を示すものがほとんどで
あった。発熱物質や、トウガラシチンキなどの皮膚刺激
剤などを用いて温感を与えようとするものもあるが、こ
れらはいずれも塗布部位に神経を集中してやっと感じら
れる程度の温度上昇しか示さない。特に液化ガスを噴射
剤として用いている従来のエアゾール化粧料は、皮膚，
頭皮，頭髪などに塗布したとき、塗布部位の表面が噴射
剤の気化熱によって冷却され、かえって冷感を与えるも
のであった。 【０００３】上記したような冷感は、火傷，炎症，ほて
りのある皮膚に対しては消炎作用を示し、爽快感を与え
るが、冬季や体温の低下している時の使用に際しては不
快感を与える。また、生理学的には、皮膚毛細血管の収
縮等を引き起こし、化粧料中の有効成分の皮膚への浸透
を妨げることになる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来のエアゾール化粧料の欠点である冷却感を改善し、塗
布部位で効果的に発熱させることにより、化粧料中の有
効成分を皮膚の塗布部位により速く浸透させ、その効果
を促進し得るエアゾール化粧料を提供することを目的と
する。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め種々検討を行ったところ、水和発熱性物質を５０重量
％以上含有させ、水の含有率をできるだけ少なくし、且
つ起泡安定剤として炭素数１５〜１８の高級アルコール
の１種又は２種以上と、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルを用いて、きめの細かいエアゾールフォームを形
成させることにより加温の実感性を高められることを見
い出し、本発明を完成するに至った。 【０００６】すなわち、本発明は、水和発熱性物質５０
〜９９．４重量％、水０．５〜２０重量％、炭素数１５
〜１８の高級アルコールの１種又は２種以上０．０５〜
１０．０重量％、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
０．０５〜１０．０重量％、及び噴射剤とから成るエア
ゾールフォーム化粧料である。 【０００７】 本発明に使用する水和発熱性物質とは、
水和により発熱するものであり、エチレングリコール，
プロピレングリコール，ブチレングリコール，アミレン
グリコール，ヘキシレングリコールなどのアルキレング
リコール類、ジエチレングリコール，ジプロピレングリ
コール，ジエチレングリコールモノメチルエーテル，ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルなどのジアルキ
レングリコール類、アルキレンを含むジアルキレングリ
コールの誘導体、グリセロールなどの脂肪族トリオール
類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコ
ール類、酸化エチレンと酸化プロピレンとの共重合体、
酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体のブチルモノ
エーテル類、グリセロールのポリオキシエチレン又はポ
リオキシエチレン・ポリオキシプロピレン或いはポリオ
キシプロピレン付加物のような炭素数１〜５のエーテル
を含むオキシアルキレン付加物などが挙げられ、これら
の１種を単独で使用しても良く、また２種以上を混合し
て使用しても良い。本発明の目的には、ポリエチレング
リコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセ
チルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、アミレング
リコール、ヘキシレングリコール等が特に好ましい。 【０００８】かかる水和発熱性物質自体の発熱温度は通
常高い方が良いが、他の配合成分と混合し最終的な内容
原液とした時の水との等量（重量）混合比における上昇
温度が１０℃程度になるようにするのが好ましい。水和
発熱時の反応は、５秒以内に少なくとも５℃以上の温度
上昇を示すことが温感を実感する上で好ましい。このよ
うな発熱条件を満たすためには、水和発熱性物質の配合
量は少なくとも５０重量％は必要である。また、水、炭
素数１５〜１８の高級アルコールの１種又は２種以上、
及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が、
起泡安定性，用途，効果の面等を考慮すると０．６重量
％は必要であるため、水和発熱性物質の配合量の上限は
９９．４重量％にとどまる。 【０００９】本発明に用いる水の配合量としては、０．
５〜２０．０重量％が適当である。起泡性を向上させる
には水の配合量は多いほど良いが、本発明においては水
和発熱性物質を用いるため、あまり多量の水分を含有さ
せるとエアゾールフォーム化粧料の発熱量が低下し、好
ましくない。一方、水の配合量が少なすぎても発泡しな
くなり、本発明の目的には適切でない。 【００１０】本発明においては、炭素数１５〜１８の高
級アルコールの１種又は２種以上とポリオキシエチレン
アルキルエーテルは、エアゾールフォーム化粧料を使用
時にきめ細かく発泡させるために必要であり、これらは
共存させることが必須の条件となる。 【００１１】炭素数１５〜１８の高級アルコールとして
は、ペンタデシルアルコール，セチルアルコール，ヘプ
タデシルアルコール，ステアリルアルコール，オレイル
アルコールなどを用いることができ、これらのうち、特
にセチルアルコールが最も好ましい。また、かかる高級
アルコールとポリオキシエチレンアルキルエーテルと
は、混合，乳化して自己乳化型ワックスとして用いる
と、エアゾールフォーム化粧料の安定性がより向上す
る。 【００１２】ポリオキシエチレンアルキルエーテルとし
ては、エチレンオキシドの付加数及びアルキル基につい
て特に限定はなく、炭素数１５〜１８の高級アルコール
と良好に混和し、エアゾールフォーム化粧料の製剤安定
性に影響を与えない範囲であればいずれを使用しても良
い。 【００１３】また、上記の炭素数１５〜１８の高級アル
コールの１種又は２種以上とポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルの配合量としては、それぞれ０．０５〜１
０．０重量％が適切である。各配合量が０．０５重量％
より少なくなると発泡性に乏しく、また１０．０重量％
を超えるとべたつきを生じたり、化粧料成分の作用効果
を妨げたり、好ましくない影響を与える。 【００１４】噴射剤としては、液化石油ガス，ジメチル
エーテル等の液化ガス、炭酸ガス，亜酸化窒素，窒素，
酸素等の圧縮ガスなどを用いることができる。噴射剤の
配合量は、気化熱による冷却効果を最低限に抑えるた
め、できるだけ少ない量とするべきであり、特に限定す
るものではないが、好ましくは３．５重量％以下、多く
ても７重量％までにとどめるのが良い。 【００１５】本発明においては、毛髪にコンディション
グ効果を与える第４級アンモニウム塩，皮膚にエモリエ
ント効果を与える炭化水素油等の油分，保湿剤，消炎剤
といった通常化粧料に配合される成分をも配合すること
ができる。 【００１６】そして、本発明に係るエアゾールフォーム
化粧料は、ボディ用洗浄料，ボディトリートメント，洗
顔料，ヘアートリートメント，ヘアーコンディショナ
ー，ヘアーパック剤，マッサージ化粧料等として提供し
得る。 【００１７】 【作用】本発明に係るエアゾールフォーム化粧料はきめ
細かく発泡し、これを皮膚，毛髪等に塗布すると、化粧
料液が塗布面によく展着し、塗布面上及び周囲の水分と
反応し、温感のある塗膜となるので、温感を実感させる
とともに皮膚や毛髪などの塗布部位を十分に膨潤させ、
化粧料中の有効成分の皮膚等への浸透を促進し、その作
用を促進することができる。 【００１８】 【実施例】さらに、本発明の特徴について、実施例によ
り詳細に説明する。まず、実施例１として、フォーム状
ヘアートリートメントの処方を表１に示す。表１中、水
和発熱性物質(A)及び第４級アンモニウム塩(D1)を精製
水(C)に混合，溶解し、７０℃に加熱したものを、同じ
く７０℃に加熱したポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル及び高級アルコール(B)に添加し、混合，均一化し、
冷却後香料(D2)を添加する。これを噴射剤(E)とともに
容器に充填する。なお、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルとしては、エチレンオキシドの付加モル数が４〜
５のセチルエーテルを用いた。以下の実施例についても
同様である。 【表１】 【００１９】洗髪後の濡れた毛髪に実施例１を塗布した
ところ、適当な温感を持つ良好なトリートメント効果を
得た。また、毛髪をドライヤーにて乾燥した後も、良好
なトリートメント効果が持続した。 【００２０】 実施例２は、本発明に係るヘアーパック
剤である。処方を表２に示す。表２中、(A)及び(D1)を
(C)に溶解し、７０℃に加熱したものを、同じく７０℃
に加熱した(B)及び(D3)に添加，混合して均一化し、冷
却後(D2)及び(D4)を添加する。これを(E)とともに容器
に充填する。 【表２】 【００２１】シャンプーを行う前に、水又はぬるま湯を
用いて毛髪を水となじませた後、実施例２を毛髪に塗布
し、しばらく放置したところ、適当な温感と良好なパッ
ク効果を得た。洗髪してドライヤーで毛髪を乾燥した後
も、しなやかでつやのあるパック効果が持続した。 【００２２】実施例３は、本発明に係るボディマッサー
ジ化粧料である。処方を表３に示す。表３中、(A)を(C)
に溶解し７０℃に加熱したものを、同じく７０℃に加熱
した(B)及び(D1)に添加，混合して均一とし、冷却後(D
2)〜(D4)を添加する。これを(E)とともに容器に充填す
る。 【表３】【００２３】実施例３をエアゾール化粧料容器より吐出
させ、手足及び身体表面に塗布し、マッサージを行った
ところ、適度な温感が長時間持続した。その後、水又は
ぬるま湯で洗い流したところ、爽快感のあるすべすべし
た肌を得た。なお、この感触は長時間持続した。 【００２４】続いて、ヘアートリートメント剤である実
施例４〜実施例１６の処方を表４及び表５に、比較例１
〜比較例７の処方を表６に示す。これらは、水和発熱性
物質と水溶性化粧料成分とを精製水に溶解させた後加熱
し、油溶性化粧料成分をポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル及び高級アルコールに溶解し、同様に加熱したも
のに添加，混合して均一とし、これに香料を添加後、噴
射剤とともに容器（内容量２００ｍｌ）に充填して製造
する。これらについて、ヘアートリートメント剤の吐出
状態、泡の状態、温熱感、使用感を調査し、その結果か
ら総合評価を行った。 【表４】 【表５】【表６】【００２５】吐出状態は、低温（５℃）或いは高温（３
５℃）で保存した上記ヘアートリートメント剤をよく振
とうして吐出し、目視にてその状態を観察して評価し、
低温及び高温のいずれにおいても良好な場合を○、低温
及び高温のいずれかでやや悪い場合を△、低温及び高温
のいずれにおいても悪い場合を×とした。 【００２６】泡の状態は、吐出したヘアートリートメン
ト剤の状態を目視及び指触により観察し、低温及び高温
のいずれでも良好な泡が形成されている場合を○、低温
及び高温のいずれかで泡の状態がやや悪い場合を△、低
温及び高温のいずれにおいても泡の形成が悪い場合を×
として評価した。 【００２７】 温熱感は、ヘアートリートメント剤を１
０℃の恒温水槽中に１５分間浸漬した後、２０〜３０才
代の男性１０名及び女性１０名のパネラーの手の甲に塗
布し、１５名以上が温熱感を感じた場合を○、１０〜１
４名が温熱感を感じた場合を△、半数を超えるパネラー
が温熱感を感じなかった場合を×として評価した。 【００２８】 使用感は、上記パネラーに使用させた時
のしっとり感やくし通り性等の使用感を評価させ、１５
名以上が良好と答えた場合を○、１０〜１４名が良好と
答えた場合を△、良好と答えたパネラーが半数未満の場
合を×とした。 【００２９】総合評価は、吐出状態，温熱感，泡状態及
び使用感の全てが○である場合を○、吐出状態及び温熱
感が○であり、泡状態及び使用感の一方又は両方が△で
ある場合を△、全項目の評価が△以下又は総合的に製品
化が不可能である場合を×とした。但し、総合評価が△
である場合でも、ほぼ良好に製品化し得る。 【００３０】以上の評価結果をまとめて表７に示した。
表７において、本発明の実施例はいずれも良い総合評価
を得ていた。これに対し、水和発熱性物質の配合量が５
０重量％に満たない比較例１、水を含有しない比較例
２、炭素数１４の高級アルコールを配合した比較例３、
炭素数１９の高級アルコールを配合した比較例４、高級
アルコールの配合量が０．０５重量％未満である比較例
５、高級アルコールの配合量が１０．０重量％を超える
比較例６、ポリオキシエチレンセチルエーテルの配合量
が０．０５重量％未満である比較例７のいずれにおいて
も、総合評価は十分ではなかった。 【表７】【００３１】 【発明の効果】上記の通り、本発明に係るエアゾールフ
ォーム状化粧料は吐出状態も良く、きめ細かい良好な泡
が得られ、適度な温感と良好な使用感を有するものであ
る。 【００３２】たとえば、ボディ洗浄料或いは洗顔料とし
た場合には、シャワー等である程度体表面又は顔面の汗
を流した後に使用するとより効果的である。フォーム状
であるため体表面又は顔面に無駄なく塗布することがで
き、水洗後体表面等に残った水分で体表面等に塗り伸ば
した化粧料が発熱加温され、優れた浸透性と洗浄力をも
って皮膚表面の汚れを取り除くことができる。また、季
節や周囲の温度に左右されることもなく、いつでも効果
的に洗浄を行うことができる。先に体を水洗しなくて
も、本発明に係るボディ化粧料等を体表面等に塗布する
際、空気中の水分を吸って徐々に発熱し、やはり上記し
たような良い結果を得ることができる。 【００３３】マッサージ化粧料とした場合には、化粧料
を体表面に塗り伸ばし、何度もマッサージしながら塗布
面をこすることにより、温感が持続し、より効果的な結
果をもたらす。 【００３４】ボディトリートメント化粧料とした場合に
は、身体をシャワーで洗った後本化粧料を体表面に塗布
すると、化粧料が体表面上の残留水分と反応し、発熱加
温されるので、化粧料中の有効成分が体表面上に温かい
状態で展着し、皮膚を潤し、蒸らし効果，濡らし効果が
発揮され、有効成分の皮膚への浸透が促進されて、季節
や周囲の温度に左右されることなく、短時間で効率よく
トリートメント効果が得られる。 【００３５】また、ヘアートリートメント剤とした場合
には、フォーム状であるため毛髪上に塗り伸ばしやす
く、洗髪後毛髪上に残った水分と反応して適度な温感が
得られ、トリートメント成分の毛髪への吸着，浸透を促
進して良好な効果を生ずる。
粧料に関する。より詳しくは、温感を付与し得るエアゾ
ールフォーム化粧料であって、皮膚に塗布した際、水和
により発生した熱を効率よく皮膚に供給するとともに、
皮膚が適度に加温を感じることのできるように処方した
新規な化粧料に関する。 【０００２】 【従来の技術】最近、ホットパック剤など温感を唱った
エアゾール化粧料が多種提供されているが、これらは実
際に発熱するというよりはむしろ泡状に噴出させ、泡の
断熱効果により冷感を感じさせなかったり、体温が外部
に逃げるのを防いだりして温感を示すものがほとんどで
あった。発熱物質や、トウガラシチンキなどの皮膚刺激
剤などを用いて温感を与えようとするものもあるが、こ
れらはいずれも塗布部位に神経を集中してやっと感じら
れる程度の温度上昇しか示さない。特に液化ガスを噴射
剤として用いている従来のエアゾール化粧料は、皮膚，
頭皮，頭髪などに塗布したとき、塗布部位の表面が噴射
剤の気化熱によって冷却され、かえって冷感を与えるも
のであった。 【０００３】上記したような冷感は、火傷，炎症，ほて
りのある皮膚に対しては消炎作用を示し、爽快感を与え
るが、冬季や体温の低下している時の使用に際しては不
快感を与える。また、生理学的には、皮膚毛細血管の収
縮等を引き起こし、化粧料中の有効成分の皮膚への浸透
を妨げることになる。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来のエアゾール化粧料の欠点である冷却感を改善し、塗
布部位で効果的に発熱させることにより、化粧料中の有
効成分を皮膚の塗布部位により速く浸透させ、その効果
を促進し得るエアゾール化粧料を提供することを目的と
する。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め種々検討を行ったところ、水和発熱性物質を５０重量
％以上含有させ、水の含有率をできるだけ少なくし、且
つ起泡安定剤として炭素数１５〜１８の高級アルコール
の１種又は２種以上と、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルを用いて、きめの細かいエアゾールフォームを形
成させることにより加温の実感性を高められることを見
い出し、本発明を完成するに至った。 【０００６】すなわち、本発明は、水和発熱性物質５０
〜９９．４重量％、水０．５〜２０重量％、炭素数１５
〜１８の高級アルコールの１種又は２種以上０．０５〜
１０．０重量％、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
０．０５〜１０．０重量％、及び噴射剤とから成るエア
ゾールフォーム化粧料である。 【０００７】 本発明に使用する水和発熱性物質とは、
水和により発熱するものであり、エチレングリコール，
プロピレングリコール，ブチレングリコール，アミレン
グリコール，ヘキシレングリコールなどのアルキレング
リコール類、ジエチレングリコール，ジプロピレングリ
コール，ジエチレングリコールモノメチルエーテル，ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルなどのジアルキ
レングリコール類、アルキレンを含むジアルキレングリ
コールの誘導体、グリセロールなどの脂肪族トリオール
類、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコ
ール類、酸化エチレンと酸化プロピレンとの共重合体、
酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体のブチルモノ
エーテル類、グリセロールのポリオキシエチレン又はポ
リオキシエチレン・ポリオキシプロピレン或いはポリオ
キシプロピレン付加物のような炭素数１〜５のエーテル
を含むオキシアルキレン付加物などが挙げられ、これら
の１種を単独で使用しても良く、また２種以上を混合し
て使用しても良い。本発明の目的には、ポリエチレング
リコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセ
チルエーテルなどのポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、アミレング
リコール、ヘキシレングリコール等が特に好ましい。 【０００８】かかる水和発熱性物質自体の発熱温度は通
常高い方が良いが、他の配合成分と混合し最終的な内容
原液とした時の水との等量（重量）混合比における上昇
温度が１０℃程度になるようにするのが好ましい。水和
発熱時の反応は、５秒以内に少なくとも５℃以上の温度
上昇を示すことが温感を実感する上で好ましい。このよ
うな発熱条件を満たすためには、水和発熱性物質の配合
量は少なくとも５０重量％は必要である。また、水、炭
素数１５〜１８の高級アルコールの１種又は２種以上、
及びポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が、
起泡安定性，用途，効果の面等を考慮すると０．６重量
％は必要であるため、水和発熱性物質の配合量の上限は
９９．４重量％にとどまる。 【０００９】本発明に用いる水の配合量としては、０．
５〜２０．０重量％が適当である。起泡性を向上させる
には水の配合量は多いほど良いが、本発明においては水
和発熱性物質を用いるため、あまり多量の水分を含有さ
せるとエアゾールフォーム化粧料の発熱量が低下し、好
ましくない。一方、水の配合量が少なすぎても発泡しな
くなり、本発明の目的には適切でない。 【００１０】本発明においては、炭素数１５〜１８の高
級アルコールの１種又は２種以上とポリオキシエチレン
アルキルエーテルは、エアゾールフォーム化粧料を使用
時にきめ細かく発泡させるために必要であり、これらは
共存させることが必須の条件となる。 【００１１】炭素数１５〜１８の高級アルコールとして
は、ペンタデシルアルコール，セチルアルコール，ヘプ
タデシルアルコール，ステアリルアルコール，オレイル
アルコールなどを用いることができ、これらのうち、特
にセチルアルコールが最も好ましい。また、かかる高級
アルコールとポリオキシエチレンアルキルエーテルと
は、混合，乳化して自己乳化型ワックスとして用いる
と、エアゾールフォーム化粧料の安定性がより向上す
る。 【００１２】ポリオキシエチレンアルキルエーテルとし
ては、エチレンオキシドの付加数及びアルキル基につい
て特に限定はなく、炭素数１５〜１８の高級アルコール
と良好に混和し、エアゾールフォーム化粧料の製剤安定
性に影響を与えない範囲であればいずれを使用しても良
い。 【００１３】また、上記の炭素数１５〜１８の高級アル
コールの１種又は２種以上とポリオキシエチレンアルキ
ルエーテルの配合量としては、それぞれ０．０５〜１
０．０重量％が適切である。各配合量が０．０５重量％
より少なくなると発泡性に乏しく、また１０．０重量％
を超えるとべたつきを生じたり、化粧料成分の作用効果
を妨げたり、好ましくない影響を与える。 【００１４】噴射剤としては、液化石油ガス，ジメチル
エーテル等の液化ガス、炭酸ガス，亜酸化窒素，窒素，
酸素等の圧縮ガスなどを用いることができる。噴射剤の
配合量は、気化熱による冷却効果を最低限に抑えるた
め、できるだけ少ない量とするべきであり、特に限定す
るものではないが、好ましくは３．５重量％以下、多く
ても７重量％までにとどめるのが良い。 【００１５】本発明においては、毛髪にコンディション
グ効果を与える第４級アンモニウム塩，皮膚にエモリエ
ント効果を与える炭化水素油等の油分，保湿剤，消炎剤
といった通常化粧料に配合される成分をも配合すること
ができる。 【００１６】そして、本発明に係るエアゾールフォーム
化粧料は、ボディ用洗浄料，ボディトリートメント，洗
顔料，ヘアートリートメント，ヘアーコンディショナ
ー，ヘアーパック剤，マッサージ化粧料等として提供し
得る。 【００１７】 【作用】本発明に係るエアゾールフォーム化粧料はきめ
細かく発泡し、これを皮膚，毛髪等に塗布すると、化粧
料液が塗布面によく展着し、塗布面上及び周囲の水分と
反応し、温感のある塗膜となるので、温感を実感させる
とともに皮膚や毛髪などの塗布部位を十分に膨潤させ、
化粧料中の有効成分の皮膚等への浸透を促進し、その作
用を促進することができる。 【００１８】 【実施例】さらに、本発明の特徴について、実施例によ
り詳細に説明する。まず、実施例１として、フォーム状
ヘアートリートメントの処方を表１に示す。表１中、水
和発熱性物質(A)及び第４級アンモニウム塩(D1)を精製
水(C)に混合，溶解し、７０℃に加熱したものを、同じ
く７０℃に加熱したポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル及び高級アルコール(B)に添加し、混合，均一化し、
冷却後香料(D2)を添加する。これを噴射剤(E)とともに
容器に充填する。なお、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルとしては、エチレンオキシドの付加モル数が４〜
５のセチルエーテルを用いた。以下の実施例についても
同様である。 【表１】 【００１９】洗髪後の濡れた毛髪に実施例１を塗布した
ところ、適当な温感を持つ良好なトリートメント効果を
得た。また、毛髪をドライヤーにて乾燥した後も、良好
なトリートメント効果が持続した。 【００２０】 実施例２は、本発明に係るヘアーパック
剤である。処方を表２に示す。表２中、(A)及び(D1)を
(C)に溶解し、７０℃に加熱したものを、同じく７０℃
に加熱した(B)及び(D3)に添加，混合して均一化し、冷
却後(D2)及び(D4)を添加する。これを(E)とともに容器
に充填する。 【表２】 【００２１】シャンプーを行う前に、水又はぬるま湯を
用いて毛髪を水となじませた後、実施例２を毛髪に塗布
し、しばらく放置したところ、適当な温感と良好なパッ
ク効果を得た。洗髪してドライヤーで毛髪を乾燥した後
も、しなやかでつやのあるパック効果が持続した。 【００２２】実施例３は、本発明に係るボディマッサー
ジ化粧料である。処方を表３に示す。表３中、(A)を(C)
に溶解し７０℃に加熱したものを、同じく７０℃に加熱
した(B)及び(D1)に添加，混合して均一とし、冷却後(D
2)〜(D4)を添加する。これを(E)とともに容器に充填す
る。 【表３】【００２３】実施例３をエアゾール化粧料容器より吐出
させ、手足及び身体表面に塗布し、マッサージを行った
ところ、適度な温感が長時間持続した。その後、水又は
ぬるま湯で洗い流したところ、爽快感のあるすべすべし
た肌を得た。なお、この感触は長時間持続した。 【００２４】続いて、ヘアートリートメント剤である実
施例４〜実施例１６の処方を表４及び表５に、比較例１
〜比較例７の処方を表６に示す。これらは、水和発熱性
物質と水溶性化粧料成分とを精製水に溶解させた後加熱
し、油溶性化粧料成分をポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル及び高級アルコールに溶解し、同様に加熱したも
のに添加，混合して均一とし、これに香料を添加後、噴
射剤とともに容器（内容量２００ｍｌ）に充填して製造
する。これらについて、ヘアートリートメント剤の吐出
状態、泡の状態、温熱感、使用感を調査し、その結果か
ら総合評価を行った。 【表４】 【表５】【表６】【００２５】吐出状態は、低温（５℃）或いは高温（３
５℃）で保存した上記ヘアートリートメント剤をよく振
とうして吐出し、目視にてその状態を観察して評価し、
低温及び高温のいずれにおいても良好な場合を○、低温
及び高温のいずれかでやや悪い場合を△、低温及び高温
のいずれにおいても悪い場合を×とした。 【００２６】泡の状態は、吐出したヘアートリートメン
ト剤の状態を目視及び指触により観察し、低温及び高温
のいずれでも良好な泡が形成されている場合を○、低温
及び高温のいずれかで泡の状態がやや悪い場合を△、低
温及び高温のいずれにおいても泡の形成が悪い場合を×
として評価した。 【００２７】 温熱感は、ヘアートリートメント剤を１
０℃の恒温水槽中に１５分間浸漬した後、２０〜３０才
代の男性１０名及び女性１０名のパネラーの手の甲に塗
布し、１５名以上が温熱感を感じた場合を○、１０〜１
４名が温熱感を感じた場合を△、半数を超えるパネラー
が温熱感を感じなかった場合を×として評価した。 【００２８】 使用感は、上記パネラーに使用させた時
のしっとり感やくし通り性等の使用感を評価させ、１５
名以上が良好と答えた場合を○、１０〜１４名が良好と
答えた場合を△、良好と答えたパネラーが半数未満の場
合を×とした。 【００２９】総合評価は、吐出状態，温熱感，泡状態及
び使用感の全てが○である場合を○、吐出状態及び温熱
感が○であり、泡状態及び使用感の一方又は両方が△で
ある場合を△、全項目の評価が△以下又は総合的に製品
化が不可能である場合を×とした。但し、総合評価が△
である場合でも、ほぼ良好に製品化し得る。 【００３０】以上の評価結果をまとめて表７に示した。
表７において、本発明の実施例はいずれも良い総合評価
を得ていた。これに対し、水和発熱性物質の配合量が５
０重量％に満たない比較例１、水を含有しない比較例
２、炭素数１４の高級アルコールを配合した比較例３、
炭素数１９の高級アルコールを配合した比較例４、高級
アルコールの配合量が０．０５重量％未満である比較例
５、高級アルコールの配合量が１０．０重量％を超える
比較例６、ポリオキシエチレンセチルエーテルの配合量
が０．０５重量％未満である比較例７のいずれにおいて
も、総合評価は十分ではなかった。 【表７】【００３１】 【発明の効果】上記の通り、本発明に係るエアゾールフ
ォーム状化粧料は吐出状態も良く、きめ細かい良好な泡
が得られ、適度な温感と良好な使用感を有するものであ
る。 【００３２】たとえば、ボディ洗浄料或いは洗顔料とし
た場合には、シャワー等である程度体表面又は顔面の汗
を流した後に使用するとより効果的である。フォーム状
であるため体表面又は顔面に無駄なく塗布することがで
き、水洗後体表面等に残った水分で体表面等に塗り伸ば
した化粧料が発熱加温され、優れた浸透性と洗浄力をも
って皮膚表面の汚れを取り除くことができる。また、季
節や周囲の温度に左右されることもなく、いつでも効果
的に洗浄を行うことができる。先に体を水洗しなくて
も、本発明に係るボディ化粧料等を体表面等に塗布する
際、空気中の水分を吸って徐々に発熱し、やはり上記し
たような良い結果を得ることができる。 【００３３】マッサージ化粧料とした場合には、化粧料
を体表面に塗り伸ばし、何度もマッサージしながら塗布
面をこすることにより、温感が持続し、より効果的な結
果をもたらす。 【００３４】ボディトリートメント化粧料とした場合に
は、身体をシャワーで洗った後本化粧料を体表面に塗布
すると、化粧料が体表面上の残留水分と反応し、発熱加
温されるので、化粧料中の有効成分が体表面上に温かい
状態で展着し、皮膚を潤し、蒸らし効果，濡らし効果が
発揮され、有効成分の皮膚への浸透が促進されて、季節
や周囲の温度に左右されることなく、短時間で効率よく
トリートメント効果が得られる。 【００３５】また、ヘアートリートメント剤とした場合
には、フォーム状であるため毛髪上に塗り伸ばしやす
く、洗髪後毛髪上に残った水分と反応して適度な温感が
得られ、トリートメント成分の毛髪への吸着，浸透を促
進して良好な効果を生ずる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 鎌井 和男
兵庫県西宮市川添町５−26
(56)参考文献 特開 平３−181412（ＪＰ，Ａ)
特開 平４−89424（ＪＰ，Ａ)
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
A61K 7/00 - 7/155
A61K 7/32 - 7/50
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 ポリエチレングリコール、ポリオキシエ
チレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、プロピレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、アミレングリコール、ヘキシレングリコールの
１種又は２種以上の水和発熱性物質５０〜９９．４重量
％、水０．５〜２０重量％、炭素数１５〜１８の高級ア
ルコールの１種又は２種以上０．０５〜１０．０重量
％、ポリオキシエチレンアルキルエーテル０．０５〜１
０．０重量％、及び噴射剤を３．５重量％未満配合する
ことを特徴とする、エアゾールフォーム化粧料。
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