JP3530540B2 - 薄膜半導体装置の製造方法 - Google Patents
薄膜半導体装置の製造方法Info
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Description
液晶ディスプレイ等に応用される薄膜トランジスタや三
次元LSIデバイスなどで使用されている絶縁性物質上
に形成される薄膜半導体装置とその製造方法に関する。
解像度化に伴い、その駆動方式は単純マトリックス方式
からアクティブマトリックス方式へ移行し、大容量の情
報を表示出来るように成りつつ有る。アクティブマトリ
ックス方式は数十万を越える画素を有する液晶ディスプ
レイが可能で有り、各画素毎にスイッチング素子として
薄膜トランジスタを備えるもので有る。薄膜トランジス
タのチャンネル部半導体膜としては、通常非晶質シリコ
ンや多結晶シリコンが用いられているが、駆動回路迄一
体化して薄膜トランジスタで形成しようとする場合には
動作速度の速い多結晶シリコンが有利である。
過型ディスプレイを可能ならしめる溶融石英板やガラス
などの透明絶縁基板が使用されているが、表示画面の拡
大化や低価格化を進める場合には絶縁基板として安価な
通常ガラスを使用するのが必要不可欠で有る。即ち、安
価なガラス基板上に作成された優良な薄膜半導体装置が
求められて居た。安価な通常ガラスを基板として使用す
るには、薄膜半導体装置を製造する工程の最高温度とそ
の温度に維持される期間を600℃程度で数時間以内と
せねばならない。この様な製造工程を低温工程と呼んで
居る。従来低温工程にて薄膜半導体装置を製造するに
は、基板上に常圧化学気相堆積法等で二酸化硅素膜(S
iO2 膜)より構成された下地保護膜を堆積した後、こ
の保護膜上に半導体層を形成し、薄膜半導体装置として
居た。(Jap.J.Appl.Phys,30,3733 '91)この下地保護膜
は純粋なSiO2膜で有るから、波長308nm,40
4.7nm,632.8nmに於ける空気に対する屈折率は
各々1.4856,1.4696,1.4570で吸光
係数はゼロで有る。
べた従来の方法に於いては、以下の如き問題が指摘され
ている。即ち純粋なSiO2膜上に半導体層を形成し、
工程最高温度が600℃の低温工程にて薄膜半導体装置
を作成した場合、例えばn型トランジスタの電界効果移
動度は5cm2/v・sec程度未満と小さく、優良なトランジ
スタ特性を有する薄膜半導体装置が得られていなかっ
た。
で、その目的とするところは、低温工程にて作成される
良好な特性を有する薄膜半導体装置の製造方法を提供す
る事にある。
した酸化珪素膜上に膜厚300Å未満のシリコンを含む
薄膜半導体層を形成し、前記薄膜半導体層をトランジス
タの能動層とする薄膜半導体装置の製造方法において、
前記酸化珪素膜は電子サイクロトロン共鳴プラズマ化学
気相堆積法若しくはPECVD法、減圧化学気相堆積
法、又は常圧化学気相堆積法にて堆積されるとともに、
前記酸化珪素膜の原料は、シラン(SinH2n+2:n≧
1)と酸化性物質を含み、酸素原子数のシリコン原子数
に対する比(m=No/Nsi:Noは酸素原子数、Nsiは
シリコン原子数)は2以下(m≦2)であり、前記酸化
珪素膜は、SiOH基、又はSiH2基を含有し、前記
酸化珪素膜の空気に対する屈折率は、波長308nmに
おいて1.60以上、波長404.7nmにおいて1.
57以上、波長632.8nmにおいて1.54以上で
あり、前記薄膜半導体層は化学気相堆積法にて堆積され
ることを特徴とする。また、前記薄膜半導体層の前記化
学気相堆積法は減圧化学気相堆積法であることを特徴と
する。
方法に於いて、該極薄半導体層を堆積するための化学気
相堆積法が、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)であ
る事を特徴とする。
が以下の実施例に限定されるものでは無い。
自己非整合型スタガード構造のMIS型電界効果トラン
ジスタを構成するシリコン薄膜半導体装置の製造工程を
断面で示した図で有る。
mm□のアルミノシリケートガラス(TRC−5、株式会
社オハラ)を用いたが、600℃の工程最高温度に耐え
得る基板又は下地物質で有るならば、その種類や大きさ
は無論問われない。例えば通常ガラス基板の他にシリコ
ンウェハーなどの半導体基板及びそれらを加工したLS
I、三次元LSIや、或いはシリコン・カーバイト、ア
ルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミックス基板など
も下地基板として可能で有る。
ン,メチル・イソ・ブチル・ケトンやシクロヘキサノン
などの有機溶剤中に基板201を浸し、超音波洗浄を行
う。洗浄後窒素中又は減圧下にて乾燥を施し、更にエタ
ノールによる超音波洗浄を行った後窒素バブリングされ
ている純水にて水洗を施す。次に基板201を沸騰して
いる濃度60%の硝酸中に5分間浸し、更に窒素バブリ
ングされている純水中で洗浄した。基板として金属など
酸に依り腐食されたり、変質して仕舞う物質を用いる場
合、この硝酸に依る洗浄は必要とされない。又この強酸
に依る洗浄では酸として硝酸の他に硫酸なども可能で有
る。
トロン共鳴プラズマ化学気相堆積法(ECR−PECV
D法)で下地保護膜202となる酸化硅素膜を3000
Å堆積した。この下地保護膜202は前述の如き種々多
様な物質を基板として用いる際、後に堆積される半導体
膜の膜質、及びそれを用いて構成される薄膜トランジス
タの性能を安定化する為に必要で有る。と同時に、例え
ば基板201として通常ガラスを用いた場合、ガラス中
に含まれているナトリウムなどの可動イオンが、又基板
201として各種セラミック板を用いた際には基板中に
添加されている焼結助材原料などがトランジスタ部に拡
散混入するのを防ぐ役割をも演じている。又金属板を基
板201として用いる場合は、絶縁性を確保する為に下
地保護膜は必要不可欠で有る。又、三次元LSI素子で
は、トランジスタ間や配線間の層間絶縁膜に相当してい
る。
−PECVD法にて堆積した。原料ガスとしてモノシラ
ン(SiH4)と酸素(O2)を用いた。2.45GHz
のマイクロ波出力は2250wで有った。又基板温度は
100℃に保たれて居た。モノシラン流量は75SCC
Mで有り、酸素流量は45SCCMで有った。従って原
料ガスに於ける酸素原子数のシリコン原子数に対する比
はm=1.2となる。この条件下で堆積された酸化珪素
膜の堆積速度は81Å/secで有った。面方位(10
0)のn型シリコン基板にこの同じ条件で酸化珪素膜を
堆積して多波長エリプソメトリーにてこの酸化珪素膜の
光学特性を調べた所、波長308nm,404.7n
m,632.8nmに於ける空気に対する屈折率が各々
1.9725,1.8753,1.7585で有り、波
長308nmに於ける吸光係数は0.1748で有っ
た。更にこの同じ試料をフーリエ変換赤外分光光度計
(FTIR)で調べた所、SiOH基とSiH2 基の存
在を示すピークがそれぞれ885cm-1付近と2260c
m-1付近に観測された。酸化珪素膜を特徴付けるSi−
O−Siのピークは1050cm-1に出現する。本実施例
1で堆積した下地保護膜のSiOH基強度I(885cm
-1)のSi−O−Si強度I(1050cm-1)に対する
比は0.165で有り、SiH2 基強度I(2260cm
-1)のSi−O−Si強度I(1050cm-1)に対する
比は0.052で有った。
−PECVD法で形成したが、この他にも通常のPEC
VD法、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)や常圧化
学気相堆積法(APCVD法)等のCVD法で形成して
も良い。更に、原料物としてもモノシランと酸素の他に
高次シラン(SinH2n+2:n≧2)やTEOS(Si
−(C2H5−O−)4)等の有機シラン、或いは笑気ガ
ス(N2O)、二酸化炭素(CO2)と言った酸化性物質
を用いても構わない。
物を含んだ半導体膜を減圧CVD法にて堆積した。半導
体膜としてシリコンを用いたが、シリコン・ゲルマニウ
ム等他の半導体膜も無論可能で有る。又本実施例1では
n型トランジスタ作成を目指し不純物としてリンを選ん
だが、n型ならばリン以外に5族、6族の元素、P型な
らばボロンを始めとして2族、3族の元素が不純物元素
として添加され得る。この不純物を含んだ半導体膜はい
ずれソース・ドレイン領域203となる部位で、本実施
例1の如く不純物をCVD法で添加する方法の他、まず
最初に不純物を含まない真性半導体膜を形成して居き、
後に気相或いは真性半導体膜に接する固相より不純物を
拡散させて添加する方法や、不純物をイオン化して真性
半導体膜に打ち込む方法などが有る。これら、真性半導
体膜を形成した後拡散法やイオン打ち込み法で不純物を
添加する手法を用いると真性半導体膜の所望の部位のみ
に不純物を添加する事が可能となり、これにより例えば
トランジスタのゲート電極端ととソース端又はドレイン
端が自己整合したセルフ・アライン・トランジスタが可
能となったり、不純物添加濃度を各部位で変える事に依
り半導体膜中の電流密度や比抵抗を変えて所望の部位の
みに電流を流す事などが可能となる。本実施例1では不
純物としてリンを選んだ為、ホスフィン(PH3 )とシ
ランを混合したガスを用いて、不純物を含んだ半導体膜
を1500Å堆積した。本実施例1では184.5lの
容積を有する減圧CVD炉内にモノシランを200SC
CM、ヘリウムが99.5%でホスフィンが0.5%の
ヘリウム・ホスフィン混合ガスを6SCCM、更にヘリ
ウム100SCCMを流し、堆積温度600℃、炉内圧
力100mtorrで堆積した。この時の堆積速度は3
0Å/minで、成膜直後のシート抵抗値は2,050
Ω/□で有った。
し、四弗化炭素(CF4)と酸素(O2)の混合プラズマ
に依り、前記膜をパターニングし、ソース・ドレイン領
域203を形成した(図2(a))。続いて沸騰硝酸中に
五分間浸す洗浄で残留レジストなどの不純物を取り除
き、1.67%弗化水素酸に20秒浸してソース・ドレ
イン領域203表面上の自然酸化膜を取り除き、直ちに
減圧CVD法でチャンネル部となる半導体膜を堆積し
た。本実施例1では半導体膜としてシリコンを用いた
が、シリコン・ゲルマニウムやガリウム・ヒ素等他の半
導体も可能で有る。
5lで、基板は反応炉中央付近に水平に置かれる。原料
ガス及びヘリウム・窒素・アルゴン・水素等の希釈ガス
は必要に応じて反応炉上部より炉内に導入され、反応炉
下部から排気される。石英ガラスで作られた反応炉の外
側には3ゾーンに分かれたヒーターが設置されて居り、
それらを独立に調整する事で反応炉内中央部付近に所望
の温度で均熱帯を形成する。この均熱帯は約350mmの
高さで広がり、その範囲内での温度のずれは、例えば6
00℃に設定した時0.2℃以内である。従って挿入基
板間の間隔を10mmとすれば1バッチで35枚の基板の
処理が可能で有る。本実施例1では20mm間隔で17枚
の基板を均熱帯内に設置した。
プを直結して行い、反応炉内の圧力は背景真空度の測定
には電離真空計を用い、堆積中は測定値がガスの種類に
依存しない隔膜式圧力計(MKS社バラトロン・マノメ
ーター)に依り測定した。反応炉を600℃に保って、
ガス導入用のバルブを閉じて両ポンプにて反応室の真空
引きを行った時の背景真空度は7.6×10-7torrで有
った。
該領域表面上の自然酸化膜を取り除かれた基板は、表側
を下向きとして直ちに減圧CVD炉内に挿入された。挿
入時の反応炉内温度は395℃から400℃程度に保た
れている。これはソース・ドレイン領域203上に自然
酸化膜が形成されるのを極力少なくする為で有るから、
挿入時の反応炉内温度は出来る丈低く有るのが望まし
い。例えば挿入時の反応炉内温度を室温とする事も可能
で有るが、この場合堆積温度迄反応炉内温度を昇温する
のに数時間以上費やし、又堆積後室温に戻すのに矢張り
数時間必要となる。基板挿入時に反応炉内には約4SL
M〜10SLMの窒素を流し反応炉内を不活性雰囲気に
保っている。更に反応炉内入り口付近には約6SLM〜
20SLMの窒素で窒素カーテンを形成し、基板挿入時
に空気が反応炉内に流れ込む事を最小限に止めている。
反応炉内に空気中の水分や酸素が入ると、これらは反応
炉内壁のSi層に吸着し、又はSiと反応して反応炉内
に残留し、チャンネル部となるシリコン膜堆積の際、脱
ガスとして現れ、堆積シリコン膜の膜品質を低下させる
原因となる。
た。漏洩検査では反応炉に通ずる全バルブを閉じて反応
炉を完全に孤立させて、反応炉内圧力の変化を調べた。
本実施例1では反応炉内温度が400℃で2分間の完全
孤立後、反応炉内圧力は8.4×10-5torrとなっ
た。漏洩検査にて異常が無い事を確認した後、反応炉内
温度を挿入温度の400℃から堆積温度まで昇温する。
本実施例1では600℃でチャンネル部となる半導体膜
を堆積した為、昇温するのに1時間費やした。炉内温度
が堆積温度の600℃に達するには45分間程度で済む
が、反応炉壁からの脱ガスを充分放出する為にも、最短
一時間以上、好ましくは数時間の昇温期間が望ましい。
この昇温期間中、二つのポンプは運転状態に有り、少な
くとも純度が99.995%以上の不活性又は還元性ガ
スを流し続ける。これらのガス種は水素・ヘリウム・窒
素・ネオン・アルゴン・キセノン・クリプトン等の純ガ
スの他、これらのガスの混合ガスも可能で有る。本実施
例1では純度99.9999%以上の窒素を300SC
CM流し続け、反応炉内圧力は3.0mtorrで有っ
た。
シラン又はシランと希釈ガスの混合ガスを反応炉内に導
入し、半導体膜204を堆積する。希釈ガスとしては、
先の昇温期間に流したガスと同種の組み合わせが可能で
有るが、望ましくは各ガスの純度はそれぞれが99.9
99%以上が良い。本実施例1では希釈ガスを用いず、
純度99.999%以上のモノシランを45SCCM流
して半導体膜204を堆積した。この時、反応炉内の圧
力は0.71mtorrで有った。本実施例1ではチャ
ンネル部となる半導体膜204を24分間堆積し、29
6Åの堆積膜厚が得られた(図2(b))。
D法で行い、原料ガスもモノシランを用いたが、これ以
外にもプラズマCVD法やAPCVD法などで形成する
事も可能で有る。又原料ガスもモノシランに限らず、ジ
シランやトリシランなどの高次シランやジクロールシラ
ン或いはゲルマンなども可能で有る。又、無論上記種々
のCVD法と上記種々の原料の組み合わせも可能で有
る。
パターニングされた後、四弗化炭素(CF4)と酸素
(O2)の混合プラズマに依りエッチングされ、チャン
ネル部半導体膜205を形成した(図2(c))。
硝酸にて洗浄し、更に1.67%弗化水素酸水溶液に2
0秒間浸してソース・ドレイン領域203とチャンネル
部半導体膜205上の自然酸化膜を取り除いて清浄なシ
リコン表面が出現した後、直ちに電子サイクロトロン共
鳴プラズマCVD装置(ECR−PECVD装置)にて
ゲート絶縁膜206となるSiO2膜を1500Å堆積
した(図2(d))。
積し、パターニングに依り、ゲート電極207を形成し
た。この時シート抵抗値は1.3±0.05Ω/□で有
った。本実施例1ではゲート電極材料としてクロムを用
いたが、無論これ以外の導電性物質も可能で有るし、又
その形成方法もスパッター法に限らず蒸着法やCVD法
なども可能で有る。続いてAPCVD法で層間絶縁膜2
08となるSiO2 膜を5000Å堆積した。層間絶縁
膜形成後、コンタクトホールを開け、ソース・ドレイン
取り出し電極209をスパッター法などで形成し、トラ
ンジスタが完成する。(図2(e))本実施例1ではソー
ス・ドレイン取り出し電極材料としてアルミニウムを用
いスパッター法で8000Åの膜厚に堆積して、ソース
・ドレイン取り出し電極を形成した。この時堆積アルミ
ニウム膜のシート抵抗は42.5±2.0mΩ/□で有
った。
(TFT)の特性を温度25℃で測定した所、トランジ
スタの飽和電流領域より求めた電界効果移動度(J.L
evinson et al. J.Appl.Phy
s 53.1193.1982)はμo=13.3±
0.4cm2 /v.secと良好なトランジスタ特性を有
する薄膜半導体装置が得られた。なお、エラーバーは9
5%の区間推定値で有る。
除いてその他の工程は総て実施例1と同じ工程で薄膜ト
ランジスタを作成した。又、下地保護膜の物性も実施例
1と同じ方法で測定した。本実施例2でも下地保護膜を
ECR−PECVD法にて堆積した。原料ガスとしてモ
ノシラン(SiH4)と酸素(O2)を用い、これら原料
ガスの流量と堆積時間を変えた他は実施例1と同じ条件
で下地保護膜を形成した。下地保護膜の厚さは3000
Åで有る。試料2−1に於ける下地保護膜堆積時のモノ
シラン流量は70SCCM、又酸素流量は50SCCM
で有った。以下試料2−2から試料2−5に於ける下地
保護膜堆積時のモノシラン流量と酸素流量は試料2−2
で65SCCMと55SCCM、試料2−3で60SC
CMと60SCCM、試料2−4で45SCCMと75
SCCM、試料2−5で20SCCMと100SCCM
で有った。こうして得られた下地保護膜の物性値を表1
に掲げる。又、これら下地保護膜上に実施例1と全く同
じ工程で作成した薄膜トランジスタの電界効果移動度の
下地保護膜依存性を図1及び表1に示す。
ける酸素原子数(NO)のシリコン原子数(NSi)に対
する比(m)が2以下として下地保護膜を形成し、その
保護膜上に半導体層を堆積して薄膜半導体装置を作成し
た時、そのトランジスタ特性(移動度)が急激に改善さ
れる事が分かる。又、これら下地保護膜の物性とトラン
ジスタ特性(移動度)を表1で比較すると下地保護膜の
光学特性が波長308nm、404.7nm、632.
8nmにおける空気に対する屈折率が各々1.5000
以上、1.4800以上、1.4700以上で有るか、
或いは吸光係数がゼロで無い時に薄膜半導体装置のトラ
ンジスタ特性が大きく改善されている様子が分かる。更
にこうした優良なトランジスタ特性を示す薄膜半導体装
置の下地保護膜にはSiOH基やSiH2基が含有され
て居る。これは下地保護膜としての酸化珪素膜の組成が
その上に形成される半導体膜に近づいた為、酸化珪素膜
と半導体膜との間の界面エネルギーが減少し、両者の間
の濡れ性が良くなった事に起因する。これに依り半導体
膜の厚みが300Å未満と窮めて薄くとも、酸化珪素膜
上に極薄膜で均質な半導体膜が堆積され、延ては薄膜半
導体装置の特性改善を行い得たので有る。
実施例1と同じ工程で薄膜トランジスタを作成した。
又、下地保護膜の物性も実施例1と同じ方法で測定し
た。本参考例では下地保護膜を常圧化学気相堆積法(A
PCVD法)にて堆積した。原料ガスとして窒素中に希
釈された濃度20%のモノシランと酸素を用い、これら
の原料ガスを約140SLMの純窒素で希釈して下地保
護膜を堆積した。堆積時の20%モノシランと酸素の流
量はそれぞれ600SCCMと840SCCMで有っ
た。従って原料ガス中に於ける酸素原子数(NO)のシ
リコン原子数(NSi)に対する比はm=14となる。堆
積時の基板温度は300℃で有った。この時の酸化珪素
膜の堆積速度は3.9Å/secで有った。こうして得
られた波長308nm、404.7nm、632.8n
mにおける酸化珪素膜の空気に対する屈折率はそれぞれ
1.4926、1.4763、1.4636で有り、吸
光係数はゼロで有った。又、この膜の構造をFTIRで
調べたが、SiOH基に対応する885cm-1付近のピー
クもSiH2基に対応する2260cm-1のピークも、ど
ちらも測定されなかった。
と全く同じ工程で薄膜トランジスタを作成し、その電界
効果移動度を測定した所、μo=1.9±0.4cm2/
v・secで有った。本参考例は従来技術を代表する物
で、これらの結果と、実施例1及び実施例2の結果は、
単に下地保護膜の膜質、或いはその製造方法を調整する
だけで薄膜半導体装置の特性を大幅に改良し得るとの本
発明の優位性を如実に物語っている。
単に下地保護膜の膜物性或いは膜組成を調整する事、又
は下地保護膜の形成方法を工夫する事のみで、薄膜半導
体装置の特性を大きく向上せしめた。即ち、本発明に依
り、優良なトランジスタ特性を有する薄膜半導体装置を
大面積に均一に簡便な手法にて形成する事が可能とな
り、LSIの多層化や薄膜トランジスタを用いたアクテ
ィブマトリックス液晶ディスプレイの高性能化や低価格
化を実現すると言う多大な効果を有する。
の各工程に於ける素子断面図。
Claims (2)
- 【請求項1】 基板上に形成した酸化珪素膜上に膜厚3
00Å未満のシリコンを含む薄膜半導体層を形成し、前
記薄膜半導体層をトランジスタの能動層とする薄膜半導
体装置の製造方法において、 前記酸化珪素膜は電子サイクロトロン共鳴プラズマ化学
気相堆積法若しくはPECVD法、減圧化学気相堆積
法、又は常圧化学気相堆積法にて堆積されるとともに、
前記酸化珪素膜の原料は、シラン(SinH2n+2:n≧
1)と酸化性物質を含み、酸素原子数のシリコン原子数
に対する比(m=No/Nsi:Noは酸素原子数、Nsiは
シリコン原子数)は2以下(m≦2)であり、 前記酸化珪素膜は、SiOH基、又はSiH2基を含有
し、前記酸化珪素膜の空気に対する屈折率は、波長30
8nmにおいて1.60以上、波長404.7nmにお
いて1.57以上、波長632.8nmにおいて1.5
4以上であり、 前記薄膜半導体層は化学気相堆積法にて堆積されること
を特徴とする薄膜半導体装置の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜半導体装置の製造
方法において、前記薄膜半導体層の前記化学気相堆積法
は減圧化学気相堆積法であることを特徴とする薄膜半導
体装置の製造方法。
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JP33323792A JP3530540B2 (ja) | 1992-12-14 | 1992-12-14 | 薄膜半導体装置の製造方法 |
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JP2005108949A (ja) * | 2003-09-29 | 2005-04-21 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電界効果トランジスタおよびその製造方法 |
-
1992
- 1992-12-14 JP JP33323792A patent/JP3530540B2/ja not_active Expired - Lifetime
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