JP3528290B2 - 局部補強治具を備えるエネルギー吸収体 - Google Patents

局部補強治具を備えるエネルギー吸収体

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、車両等の衝撃力を受け
る部位に配設されるエネルギー吸収体に係り、特に座屈
破壊モードの肉厚直径比を有する中空円筒体であっても
圧潰モードによるエネルギー吸収が出来る局部補強治具
を備えるエネルギー吸収体に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば、自動車等の車両においては衝突
時における衝突エネルギーを吸収するためのエネルギー
吸収体が設けられている。このエネルギー吸収体は図2
8に示すように先端にテーパ部10を有する中空円筒体
からなり、主に繊維強化複合材料から形成されている。
以下、このエネルギー吸収体をFRP円筒3という。 【0003】図29に示すように、前記のFRP円筒3
に衝突等により荷重11が作用すると、図示のような破
片6を伴う圧縮破壊(以下、圧潰という)が生じ、多く
のエネルギーを吸収することが出来る。図30は圧潰に
おけるエネルギー吸収を示す線図であり、例えば「En
ergy Absorption in Compos
ite Tubes,J.Comp.Mat.Vol.
16,(Nov.1982),P521」に示されてい
る。すなわち、図30において、横軸に変位をとり、縦
軸に荷重をとるとエネルギー吸収量Eは図示のように当
初急激に立上り以後なだらかに変動する曲線によって囲
まれる面積で表わされる。 【0004】一方、エネルギー吸収体に関する公知技術
として特開平5−118370号公報に開示するものが
ある。このエネルギー吸収構造体は軸線に対し0度乃至
45度傾斜した繊維を有する繊維補強熱可塑性樹脂中空
体からなり、その両方又は片方の先端部が斜めに面取り
されているものである。かかるものにより、衝突時にお
ける衝突エネルギー又は圧縮エネルギーを十分に吸収す
るようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】図31に示すように、
横軸に2t/D(tは肉厚,Dは外径)をとり、縦軸に
単位重量当りのエネルギー吸収量の比エネルギー吸収量
[KJ/kg]をとると、図示のように2t/Dの限界
寸法よりも小さい2t/DのFRP円筒3では圧潰モー
ドの替りに座屈破壊モードとなり、エネルギー吸収量は
極めて小さい値となりエネルギー吸収体として機能しな
い。すなわち、図32に示すように、座屈破壊モードの
場合にはFRP円筒3に荷重が加わると凹み変形12が
生じて円筒の形が崩れると共に、図33に示すように大
きな縦方向の縦クラック13が発生して全体が座屈して
しまう。しかしながら、FRP円筒3の軽量化のために
は2t/Dの小さいものを使用する必要がある。 【0006】一方、図34に示すような荷重−変位線図
において、FRP円筒3に加わる最大荷重をPmaxと
し平均荷重をPmeanとすると、エネルギー吸収効率
はPmean/Pmaxで表示される。後に詳説する
が、従来のFRP円筒3の場合には、このエネルギー吸
収効率は70[%]前後の低値を示している。この値を
高くしエネルギー吸収効率を上げるには平均荷重Pme
anの値を上げることが必要になる。 【0007】更に、近年、車の斜め衝突も多発してお
り、斜め衝突時のエネルギー吸収も問題となる。一般
に、エネルギー吸収体円筒が図35に示すように円筒中
心軸から角度αの斜め方向からの衝突力Pにより圧縮さ
れるとき、αが或る角度(以下、限界角度という)以上
になると、破壊モードが変わり、円筒は圧潰されず、図
35に示すように圧縮部に凹み12aが生ずるとともに
その近傍に膨らみ12bが生じ、円筒の形が崩れると共
に図36に示すように大きな縦方向の縦クラック13が
生じて破壊してしまい、エネルギーを吸収出来なくな
る。そのため、FRP円筒を斜め方向衝突にも使用し得
るように斜めの角度のエネルギー吸収能力を上げるため
には、FRP円筒の限界角度、延いては、破壊モードを
制御する必要がある。 【0008】前記の特開平5−118370号公報に示
すエネルギー吸収構造体では一般的な従来のFRP円筒
3に較べてエネルギー吸収量は高い結果が示されてい
る。しかし、この公報には前記の2t/Dの値に関連し
たリサーチはなく、当該技術の場合には2t/Dの値に
よっては座屈破壊モードとなる問題点がある。更に、こ
の公報にはエネルギー吸収効率及び斜め衝突等に関する
リサーチは全然ない。 【0009】本発明は、以上の事情に鑑みて創案された
もので、FRP円筒を安定的に圧潰させてエネルギー吸
収量を増加させる局部補強治具を備えるエネルギー吸収
体を提供することを目的とすると共に、衝突時の最大荷
重を変えないで変形時の平均荷重を増加させてエネルギ
ー吸収効率を向上する局部補強治具を備えるエネルギー
吸収体を提供し、更には斜め衝突時においてもFRP円
筒を安定的に圧潰させてエネルギー吸収量を増加させる
局部補強治具を備えるエネルギー吸収体を提供すること
を目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、衝突時のエネルギーを吸収するエネル
ギー吸収体であって、該エネルギー吸収体は、圧潰現象
によってエネルギーを吸収する中空円筒状の吸収体と、
この内部及び/又は外部に装着される補強治具とからな
り、該補強治具は、前記吸収体の一端側から始まる圧潰
の進行につれてその軸線方向に移動可能に前記吸収体に
装着されるものからなることを特徴とする。 【0011】 【作用】吸収体の内孔及び/又は外周の局部に内部補強
治具及び/又は外部補強治具が設けられ、吸収体を補強
する。そのため、衝撃エネルギーが付加されても前記内
部及び/又は外部補強治具の拘束力により前記した凹み
変形や縦クラックの発生が防止される。これにより、吸
収体に安定的にエネルギーを吸収させることが出来る。
前記内部補強治具及び前記外部補強治具の配置やその数
を適宜設定することにより吸収体に圧潰モードのみしか
発生しないようにすることが出来る。また、内部及び/
又は外部補強治具を圧潰開始側の端部近傍の内孔及び/
又は外周に取り付けることにより、衝突時における最大
荷重を変えることなく平均荷重を増加させることが可能
になり、エネルギー吸収効率を大巾に向上することが出
来る。また、同時に、斜め方向の衝突においても圧潰を
生ずる限界角度を大きくするように制御することが出
来、エネルギーを安定的に吸収させることが出来る。更
に、内部補強治具及び/又は外部補強治具が圧潰の進行
につれて圧潰方向に移動することにより、吸収体の圧潰
直前の部分が順次補強されて効果的な圧潰モードが保持
される。 【0012】 【実施例】 (実施例1)本発明の実施例1を図1〜図4に示す。図
1は図2の線B−B軸断面図であり、図2は図1の線A
−A断面図である。図1及び図2に示すように本実施例
は、FRP円筒3の内孔4の軸線方向のほぼ中間部に内
部補強治具1を嵌入し、外周5の内部補強治具1と相対
向する位置に外部補強治具2を設けたものである。図2
に示すように内部補強治具1及び外部補強治具2は、例
えばその一部を切欠いたエキスパンダ状のリング状部材
よりなり、内孔4及び外周5の全円周にわたりほぼ均一
な内圧及び外圧を付加するようにFRP円筒3に作用す
るものである。以上により、FRP円筒3はその中間部
を内部補強治具1と外部補強治具2により局部的に補強
され変形を拘束される。図3は本実施例のFRP円筒3
の圧潰の状態を示す。衝突荷重の作用によりFRP円筒
3の端部には図示のように破片6が生じるが図32及び
図33に示したような凹み変形12や縦クラック13は
内部補強治具1及び外部補強治具2の存在により防止さ
れ、図示のように破片6による圧潰のみが生じる。これ
は、図4に示すように内部補強治具1及び外部補強治具
2の拘束力7,8の作用によりFRP円筒3の変形及び
座屈が抑えられるためである。以上により、2t/Dの
小さいFRP円筒3であっても座屈破壊モードが生じる
ことなく圧潰モードで変形し、衝突エネルギーを十分に
吸収することが出来る。 【0013】(実施例2)本実施例は、図5及び図6に
示すように、FRP円筒3の上方端及び下方端近傍の内
孔4及び外周5に内部補強治具1,1及び外部補強治具
2,2を設けたものである。図6に示すように、それぞ
れの拘束力7,7及び8,8によりFRP円筒3は円断
面を維持し座屈破壊が防止される。なお、図の上方側の
内部補強治具1及び外部補強治具2は圧潰の発生に伴っ
て次第に下方に移動し、下方側の内部補強治具1及び外
部補強治具2とともにFRP円筒の圧潰前の部分の補強
部材として機能する。 【0014】(実施例3)本実施例は、図7及び図8に
示すように、FRP円筒3の内孔4内にのみ軸線方向に
沿って複数個(図示では3個)の内部補強治具1,1,
1を設けたものである。内部補強治具1の拘束力7を適
宜設定することにより外部補強治具2を使用しなくても
FRP円筒3の変形が防止され、座屈破壊モードが生じ
ない。本実施例の場合も上方側の内部補強治具1は圧潰
の発生に伴って次第に下方に移動し補強部材として機能
する。 【0015】(実施例4)本実施例は、図9及び図10
に示すように、FRP円筒3の内孔4の中間部に集中し
て複数個(図示では2個)の内部補強治具1,1を設け
たものである。図10に示すように内部拘束力7,7が
変形の大きい中間部に集中的に作用することにより座屈
破壊が有効に防止される。 【0016】図11は、実施例1〜4のような補強を施
したFRP円筒3と補強なしの従来のFRP円筒3との
荷重−変位曲線を示すものである。この場合、従来のF
RP円筒3の2t/Dの値は後に図37のエネルギー吸
収特性の比較(1)で説明するように座屈破壊モードを
示すもので図11の曲線Cに示すようにある変位点F以
降は座屈破壊しエネルギー吸収量は極めて低い。一方、
曲線Dは本実施例のもので前記の変位点Fを過ぎても急
激な荷重変化がなく、安定的に圧潰されていることが分
る。以上により2t/Dの値が小さい薄肉のFRP円筒
3でも十分にエネルギー吸収体として機能することが分
る。 【0017】図37のエネルギー吸収特性の比較(1)
は、実施例1〜4のFRP円筒3と、補強なしの従来の
FRP円筒3のエネルギー吸収特性を示したものであ
る。使用されたFRP円筒3は内径40[mm],肉厚
=0.8[mm],長さ50[mm]のもので、2t/
D=0.038であり限界寸法の2t/D=0.04に
ほぼ近いものである。また、材質は表中に示すような繊
維等を含むエポキシ樹脂からなり、シートワインディン
グ法により製作したものである。エネルギー吸収特性値
としては破壊モードと、変位30[mm]における吸収
エネルギー[kgf・m]と、最大荷重[kgf]が示
されている。従来のFRP円筒3は、この場合に補強治
具が設けられていないと座屈モードで破壊されるが、本
実施例のものは補強治具が設けられているので全ての場
合において圧潰モードの破壊が実現されている。また、
最大荷重の値は本実施例のものは従来のものに較べて増
加率が−3.3[%]乃至30.7[%]であり、余り
変化がない。それに対し吸収エネルギーの値の増加率は
638[%]乃至994[%]であり、著しく増加して
いる。以上により本実施例のFRP円筒3が極めて大き
いエネルギー吸収特性を有することが実証される。 【0018】(実施例5)本実施例は本発明の請求項3
に対応する一実施例であり、図12に示すようにFRP
円筒3の圧潰開始側の端部近傍の外周5aに外部補強治
具2aを取り付けたものである。具体的には、FRP円
筒3のテーパ部10を避けた位置に取り付ける。この外
部補強治具2aの取り付けにより、外周5aには図13
に示すような拘束力8aが作用する。その拘束力8a
は、FRP円筒3の圧潰部直近を局部的に補強かつ拘束
し、図14に示すFRP円筒3を層間剥離させるような
亀裂14が圧潰の進行に伴って進展するのを妨げる力と
して作用する。これにより、FRP円筒3のエネルギー
吸収量がアップする。また、前記のようにテーパ部10
を避けた位置に外部補強治具2aを配置しているため、
衝突時における最大荷重は従来のものとほとんど変らな
い。本実施例では外部補強治具2aとして、例えば図2
0に示すような公知のチュービングバンド2bを用い
た。このチュービングバンド2bは、図13に示すよう
に外周5aに均一の拘束力8aを付加すると共に、軸線
方向に沿って移動可能である点に特徴を有する。また、
このチュービングバンド2bはねじ9の締め込み動作に
より拘束力8aを自由に変えることが出来る。 【0019】(実施例6)本実施例は、図15及び図1
6に示すように、FRP円筒3の圧潰開始側の端部近傍
の内孔4a及び外周5aに内部補強治具1a及び外部補
強治具2aを設けたものである。具体的にはFRP円筒
3のテーパ部10を外した位置に内部補強治具1aと外
部補強治具2aを設けたものであり、これ等には例えば
図20に示すような公知のストップリング1b及びチュ
ービングバンド2bが採用される。これ等は内孔4a及
び外周5aに均一の押圧力を付加すると共に、軸線方向
に沿って移動可能である点に特徴を有する。FRP円筒
3の内径に対し適宜の外径を有するストップリング1b
を用いることにより均一、かつ十分な拘束力7a(図1
6)を付加することが出来る。また、チュービングバン
ド2bは、前記のようにねじ9の締め込み動作により拘
束力8aを自由に変えることが出来る。以上の拘束力7
a,8aにより図16に示すようにFRP円筒3は補強
され局部の変形が拘束されると共に、テーパ部10をさ
けた位置に内部補強治具1a及び外部補強治具2aを配
置しているため、衝突時における最大荷重は従来のもの
とほとんど変らない。 【0020】(実施例7)本実施例は、図17に示すよ
うに、実施例5における外部補強治具2aの代わりに内
部補強治具1aを内孔4a内に入れたものであり、これ
によっても局部の変形を拘束することが出来る。図18
は本実施例における拘束力7aの作用を示す。 【0021】図19は図15等におけるFRP円筒3に
作用する荷重Pと拘束力7a,8a等との関係を模式的
に示したものである。拘束力7a,8aの作用によりF
RP円筒3の内孔4及び外周5には軸線方向に沿って摩
擦力fが作用する。この摩擦力fは荷重Pに抵抗する。
従って、摩擦力fの値を荷重Pより少し下廻る値になる
ように拘束力7a,8aを設定することにより、荷重P
の作用に伴って内部補強治具1a及び外部補強治具2a
が下方に移動する。これにより、FRP円筒の圧潰前の
部分が順次補強され圧潰モードを保持することが出来
る。 【0022】図21は実施例5〜7のFRP円筒3と従
来のFRP円筒3の荷重−変位曲線を示す。それは、実
施例5〜7のFRP円筒3と、後に図38のエネルギー
吸収特性の比較(2)で説明するように2t/Dの値が
限界寸法よりも大きい範囲における従来のFRP円筒3
との、エネルギー吸収量の比較を示す。図示のように本
実施例のFRP円筒3の場合は、同一変位点における平
均荷重が高く、エネルギー吸収量が大きいことが分る。 【0023】図38のエネルギー吸収特性の比較(2)
は、実施例5(図12)に示した外部補強治具2aを設
けたFRP円筒3と、これを設けない従来のFRP円筒
3との、エネルギー吸収特性を比較したものである。使
用されたFRP円筒3の寸法は内径40[mm]、肉厚
1.6[mm]、長さ200[mm]のもので2t/D
=0.07で限界寸法を越えている。エネルギー吸収特
性値としては変位30[mm]及び50[mm]におけ
るエネルギー吸収量(kgf・m)と、平均荷重[kg
f]と、エネルギー吸収効率[%]及び最大荷重[kg
f]が上げられる。なお、繊維としては朱子織り織布が
使用され、樹脂としてはエポキシ樹脂が採用される。ま
た、シートワインディング法により製作されたものであ
る。図38のエネルギー吸収特性の比較(2)から分る
ように、最大荷重の増加率は−0.39[%]であり、
ほとんど差がない。しかし、それ以外の特性の増加率は
約15[%]乃至21[%]と大きい。なお、実施例6
及び7に示したものについても、図38のエネルギー吸
収特性の比較(2)に示したエネルギー吸収特性とほぼ
同一の結果が求められている。 【0024】(実施例8)本実施例は斜め衝突にも有効
に対処し得るようにした一実施例であり、図22及び図
23に示すように、圧潰進行中の端部が傾斜状となって
おり、FRP円筒3の傾斜状圧潰部の下端近傍の外周5
bに外部補強治具2cが位置するよう作動すると共に、
FRP円筒3の下端に固定用治具15と外部補強治具2
dとを取り付けたものである。外部補強治具2cの取り
付けにより、外周5bには図24に示すような拘束力8
bが作用する。その拘束力8bにより、限界角度を越え
る斜め衝突角αの圧縮力Pが付加されてもFRP円筒3
はその断面が円形状に保持され、図35及び図36に示
したような凹み12a,膨らみ12bや縦クラック13
の発生が防止され、安定的に圧潰されてエネルギーを安
定的に吸収する。固定用治具15はFRP円筒3を車体
等に取り付ける取り付け部材であって、FRP円筒3の
下端に当接する平板状部16と、その平板状部16から
突出しFRP円筒3の下端近傍の内孔4c内に嵌入する
突起部17とからなる。外部補強治具2dは、突起部1
7と嵌合したFRP円筒3の下端近傍の外周5cを強固
に締め付ける。これにより、外周5cには図24に示す
ような拘束力8cが作用する。その拘束力8cにより、
FRP円筒3の下端近傍の内壁が突起部17に密着させ
られる。これにより、斜め圧縮力Pを受けた際にFRP
円筒3が倒れるのが防止されると共に、FRP円筒3の
下方部が補強される。なお、本実施例では、外部補強治
具2dとして外部補強治具2cと同じものを用いてい
る。 【0025】図25は、本実施例の補強したFRP円筒
3と補強なしのFRP円筒3との荷重−変位曲線を示
す。この場合、補強なしのFRP円筒3は、斜め圧縮力
の傾斜角度が5度のときは急激な荷重変化がなく安定的
に圧潰されるが、10度のときはエネルギーを吸収出来
ず軸方向変位が十分に進まないうちに座屈破壊してしま
う。これにより、補強なしのFRP円筒3の限界角度は
5度と10度の間にあることが分かる。一方、本実施例
の補強したFRP円筒3は、斜め圧縮力の傾斜角度が1
5度のときは急激な荷重変化がなく安定的に圧潰される
が、20度のときは前記補強なしの10度のFRP円筒
3と類似の挙動を示した(図示省略、但し、図39参
照)。これにより、本実施例の補強したFRP円筒3の
限界角度は15度と20度の間にあることが分かる。す
なわち、補強によって限界角度が5度と10度の間か
ら、15度と20度の間に増加したこと、すなわち、限
界角度が約10度増加したことが分かる。以上により、
FRP円筒3の局部補強の構造如何により限界角度及び
破壊モードを制御することが出来、円筒の斜めエネルギ
ー吸収特性を改善し得ることが分かる。 【0026】図39のエネルギー吸収特性の比較(3)
は、実施例8(図22)に示した外部補強治具2cを設
けたFRP円筒3と、これを設けないFRP円筒3との
エネルギー吸収特性を比較したものである。同表より、
限界角度以上の場合には局部を補強してもエネルギー及
び最大荷重は同様な傾向で減少するが、限界角度が約1
0度上がり、エネルギーを安定的に吸収することが出来
ることが分かる(図25も参照)。なお、エネルギー吸
収効率は僅かに約1〜12%低下した。 【0027】(実施例9)本実施例(図26)は、実施
例8(図22)と同様に傾斜状圧潰部の下端近傍の外周
5bに外部補強治具2c(図示せず)を取り付けると共
に、傾斜状圧潰部の下端近傍の内孔4bに内部補強治具
1c(図示せず)を取り付けてFRP円筒3の局部を外
側と内側とから補強したものであり、図26にそれ等の
拘束力8bと7bの作用を示す。本実施例においても、
実施例8とほぼ同様の結果が得られた。 (実施例10)本実施例(図27)は、傾斜状圧潰部の
下端近傍の内孔4bに内部補強治具1c(図示せず)を
取り付けてFRP円筒3の局部を補強したものであり、
図27にその拘束力7bの作用を示す。本実施例におい
ても、実施例8とほぼ同様の結果が得られた。 【0028】前記のように、実施例8〜10の限界角度
は、FRP円筒3と内部補強治具1c及び/又は外部補
強治具2cの組合せにより実験的に求められる。また、
実施例8〜10に用いられる内部補強治具1c及び外部
補強治具2cは実施例6(図15)等で用いたものと同
じものを用いる。これにより、FRP円筒3の圧潰につ
れて内部補強治具1c及び外部補強治具2cは下方に移
動し、FRP円筒の圧潰前の部分が順次補強されて圧潰
モードが保持される。 【0029】以上の説明において、内部補強治具1,1
a,1b,1c及び外部補強治具2,2a,2b,2
c,2dとして図2及び図20に示したものを採用した
が、勿論これ等に限定するものではない。また、個数や
配列についても実施例のものに限定するものではない。
また、FRP円筒の製造方法についてもシートワインデ
ィング法に限らずフィラメントワインディングなどの製
造方法によるものでも勿論よい。 【0030】 【発明の効果】本発明によれば、次のような顕著な効果
を奏する。内部補強治具及び/又は外部補強治具を圧潰
の進行につれて圧潰方向に移動するようにすることによ
り、吸収体の圧潰前の部分が順次補強されて圧潰モード
が保持される。また、吸収体の変形が生じ易い部分に補
強治具を配置し、吸収体の内外から変形を拘束する構造
を採用することにより、吸収体の座屈破壊を防止し、吸
収体を安定した圧潰モードにより変形させることが出来
る。そのため、衝突エネルギーを大巾に吸収し軽量でエ
ネルギー吸収量を向上させることが出来る。また、内部
及び/又は外部補強治具を圧潰開始側の端部近傍の内孔
及び/又は外周に取り付けることにより、衝突時におけ
る最大荷重を変えることなく、安定した圧潰モードで破
壊が進行するため平均荷重が増大し、エネルギー吸収効
率を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例1の軸断面図(図2の線B−B
断面図)。 【図2】図1の線A−A断面図。 【図3】図1の実施例1の圧潰モードを示す軸断面図。 【図4】図1の実施例1の圧潰における補強の様相の原
理図。 【図5】本発明の実施例2の軸断面図。 【図6】図5のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図7】本発明の実施例3の軸断面図。 【図8】図7のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図9】本発明の実施例4の軸断面図。 【図10】図9のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図11】本発明の実施例と従来のFRP円筒の荷重−
変位曲線を示す線図。 【図12】本発明の実施例5の軸断面図。 【図13】図12のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図14】図12の実施例5の圧潰モードを示す軸断面
図。 【図15】本発明の実施例6の軸断面図。 【図16】図15のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図17】本発明の実施例7の軸断面図。 【図18】図17のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図19】本発明の実施例における拘束力と荷重との関
係を示す原理図。 【図20】図15における内部補強治具及び外部補強治
具の具体的構造を示す横断面図。 【図21】図12等における実施例のFRP円筒と従来
のFRP円筒の荷重−変位曲線を示す線図。 【図22】本発明の実施例8の使用状態を示す斜視図。 【図23】図22の側面図。 【図24】図22のFRP円筒の補強の様相の原理図。 【図25】同実施例の補強したFRP円筒と補強なしの
FRP円筒の斜め圧縮の荷重−変位曲線を示す線図。 【図26】本発明の実施例9のFRP円筒の補強の様相
の原理図。 【図27】本発明の実施例10のFRP円筒の補強の様
相の原理図。 【図28】従来のFRP円筒の軸断面図。 【図29】従来のFRP円筒の圧潰モードにおける変形
状態を示す軸断面図。 【図30】一般的な変位と荷重で求められるエネルギー
吸収量を図示した線図。 【図31】FRP円筒の2t/Dと比エネルギー吸収量
と破壊モードとの関係を示す線図。 【図32】従来のFRP円筒の座屈破壊における凹み変
形状態を示す斜視図。 【図33】従来のFRP円筒の座屈破壊における縦クラ
ックを示す斜視図。 【図34】荷重−変位線図における最大荷重及び平均荷
重を示す線図。 【図35】限界角度以上の斜め圧縮力によるFRP円筒
の変形状態を示す斜視図。 【図36】限界角度以上の斜め圧縮力によるFRP円筒
の破壊状態を示す斜視図。 【図37】エネルギー吸収特性の比較(1)。 【図38】エネルギー吸収特性の比較(2)。 【図39】エネルギー吸収特性の比較(3)。 【符号の説明】 1 内部補強治具 1a 内部補強治具 1b ストップリング 2 外部補強治具 2a 外部補強治具 2b チュービングバンド 2c 外部補強治具 2d 外部補強治具 3 エネルギー吸収体(FRP円筒) 4 内孔 4a 圧潰開始側の端部近傍の内孔 4b 傾斜状圧潰部の下端近傍の内孔 4c FRP円筒の下端近傍の内孔 5 外周 5a 圧潰開始側の端部近傍の外周 5b 傾斜状圧潰部の下端近傍の外周 5c FRP円筒の下端近傍の外周 6 破片 7 拘束力 7a 拘束力 7b 拘束力 8 拘束力 8a 拘束力 8b 拘束力 8c 拘束力 9 ねじ 10 テーパ部 11 荷重 12 凹み変形 12a 凹み 12b 膨らみ 13 縦クラック 14 亀裂 15 固定用治具 16 平板状部 17 突起部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−17438(JP,A) 実開 昭54−37641(JP,U) 実開 昭55−104314(JP,U) 実開 平4−1229(JP,U) 実公 昭48−8830(JP,Y1) 実公 平3−7561(JP,Y2) 特表 昭57−502077(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 7/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 衝突時のエネルギーを吸収するエネルギ
    ー吸収体であって、該エネルギー吸収体は、圧潰現象に
    よってエネルギーを吸収する中空円筒状の吸収体と、こ
    の内部及び/又は外部に装着される補強治具とからな
    り、該補強治具は、前記吸収体の一端側から始まる圧潰
    の進行につれてその軸線方向に移動可能に前記吸収体に
    装着されるものからなることを特徴とする局部補強治具
    を備えるエネルギー吸収体。
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