JP3528171B2 - 移動ロボット装置及び移動ロボット装置の転倒制御方法 - Google Patents

移動ロボット装置及び移動ロボット装置の転倒制御方法

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JP3528171B2
JP3528171B2 JP32284899A JP32284899A JP3528171B2 JP 3528171 B2 JP3528171 B2 JP 3528171B2 JP 32284899 A JP32284899 A JP 32284899A JP 32284899 A JP32284899 A JP 32284899A JP 3528171 B2 JP3528171 B2 JP 3528171B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体のメカニズム
や動作をモデル化して構成されるリアリスティックなロ
ボットのメカニズムに係り、特に、ヒトやサルなどの脚
式移動型動物の身体メカニズムをモデル化した脚式移動
型ロボットのメカニズムに関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は、可動脚により歩
行、走行、ジャンプなどの動作パターンを実行する最中
に脚式移動型ロボットが安定状態を失って転倒する際の
ための制御メカニズムに係り、特に、転倒時にロボット
が被る損害を限りなく軽減することができる脚式移動型
ロボットのための制御方法メカニズムに関する。
【0003】
【従来の技術】ロボットの語源は、スラブ語のROBO
TA(奴隷機械)に由来するといわれている。わが国で
は、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からで
あるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・
無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボット
などの産業用ロボット(industrial rob
ot)であった。
【0004】最近では、ヒトやサルなどの2足直立歩行
を行う動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロ
ボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高
まってきている。2足直立による脚式移動は、クローラ
式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩
行制御が難しくなるが、階段の昇降や障害物の乗り越え
など、柔軟な歩行・走行動作を実現できるという点で優
れている。
【0005】例えば、特開平3−184782号公報に
は、脚式歩行ロボットのうち、胴体より下に相当する構
造体に適用される関節構造について開示している。
【0006】ヒトの生体メカニズムや動作をエミュレー
トした脚式移動ロボットのことを、特に、「人間形」、
若しくは「人間型」のロボット(humanoid r
obot)と呼ぶ。人間型ロボットは、例えば、生活支
援、すなわち住環境その他の日常生活上の様々な場面に
おける人的活動の支援などを行うことができる。
【0007】人間形若しくは人間型と呼ばれるロボット
を研究・開発する意義を、例えば以下の2つの視点から
把握することができよう。
【0008】1つは、人間科学的な視点である。すなわ
ち、人間の下肢及び/又は上肢に似た構造のロボットを
作り、その制御方法を考案して、人間の歩行動作をシミ
ュレートするというプロセスを通じて、歩行を始めとす
る人間の自然な動作のメカニズムを工学的に解明するこ
とができる。このような研究成果は、人間工学、リハビ
リテーション工学、あるいはスポーツ科学など、人間の
運動メカニズムを扱う他のさまざまな研究分野の進展に
大いに還元することができるであろう。
【0009】もう1つは、人間のパートナーとして生活
を支援する、すなわち住環境その他の日常生活上の様々
な場面における人的活動の支援を行うロボットの開発で
ある。この種のロボットは、人間の生活環境のさまざま
な局面において、人間から教わりながら個々に個性の相
違する人間又は環境への適応方法を学習し、機能面でさ
らに成長していく必要がある。このとき、ロボットが
「人間形」すなわち人間と同じ形又は同じ構造をしてい
る方が、人間とロボットとのスムースなコミュニケーシ
ョンを行う上で有効に機能するものと考えられる。
【0010】例えば、踏んではならない障害物を避けな
がら部屋を通り抜ける方法を実地においてロボットに教
示するような場合、クローラ式や4足式ロボットのよう
に教える相手が自分と全く違う構造をしているよりも、
同じような格好をしている2足歩行ロボットの方がユー
ザ(作業員)ははるかに教え易く、またロボットにとっ
ても教わり易い筈であろう(例えば、高西著「2足歩行
ロボットのコントロール」(自動車技術会関東支部<高
塑>No.25,1996APRIL)を参照のこ
と)。そもそも、人間の住環境のほとんどは人間が持つ
形態や行動様式に合わせて形成されたものであるから、
ロボットが人間型の形態を有していることは人間の住環
境との親和性を高める上で必須であるとも言える。
【0011】人間型ロボットの用途の1つとして、産業
活動・生産活動等における各種の難作業の代行が挙げら
れる。例えば、原子力発電プラントや火力発電プラン
ト、石油化学プラントにおけるメンテナンス作業、製造
工場における部品の搬送・組立作業、高層ビルにおける
清掃、火災現場その他における救助といったような危険
作業・難作業の代行などである。但し、この種の産業利
用に特化したロボットは、特定の用途若しくは機能を実
現することが設計・製作上の至上の主題であり、2足歩
行を前提とはするものの、ヒトやサルなど直立歩行動物
が本来持つ身体メカニズムや動作を機械装置として忠実
に再現する必要は必ずしもない。例えば、特定用途を実
現するために手先の自由度や動作機能を強化する一方
で、用途には比較的関係が低いとされる頭部や体幹部
(脊椎など)、腰部などの自由度を制限し又を省略する
ことはある程度許容すべきである。この結果、2足歩行
と謂えども、ロボットの作業や動作の外観上で、ヒトと
しては不自然さが残ることがあるが、かかる点は妥協せ
ざるを得ない。
【0012】また、人間型ロボットの他の用途として、
難作業の代行などの生活支援というよりも、生活密着
型、すなわち人間との「共生」という用途が挙げられ
る。この種のロボットは、ヒトやサルなどの2足の直立
歩行を行う動物が本来持つ、全身協調型の動作メカニズ
ムを忠実に再現し、その自然に円滑な動作を実現するこ
とを至上の目的とする。また、ヒトやサルなどの知性の
高い直立動物をエミュレートする以上、四肢を用いた動
作の表現力が豊かであることが望ましい。さらに、予め
入力された動作パターンを単に忠実に実行するだけでは
なく、相手の言葉や態度(「褒める」とか「叱る」、
「叩く」など)に呼応した、生き生きとした動作表現を
実現することも要求される。この意味において、ヒトを
模したエンターティンメント・ロボットは、まさに「人
間型ロボット」と呼ぶに相応しい。
【0013】既に周知のように、人体は数百の関節すな
わち数百に上る自由度を備えている。限りなくヒトに近
い動作を脚式移動ロボットに付与するためには、ほぼ同
じ自由度を与えることが好ましいが、これは技術的には
極めて困難である。何故ならば、1つの自由度に対して
少なくとも各1つのアクチュエータを配設する必要があ
るが、数百のアクチュエータをロボットという機械装置
上に実装することは、製造コストの点からも、重量やサ
イズなど設計の観点からも不可能に等しい。また、自由
度が多いと、その分だけロボットの位置・動作パターン
制御や姿勢安定制御等のための計算量が指数関数的に増
大してしまう。
【0014】このため、人体よりもはるかに少ない数十
程度の関節自由度で人間型ロボットを構成するのが一般
的である。したがって、少ない自由度を用いてより自然
な動作を如何にして実現するかが、人間型ロボットの設
計・制御において重要な課題の1つといえる。
【0015】例えば、脊椎などのように柔軟性を持つ機
構が人間の生活の場で多様で複雑な動作をするために重
要であることは、人間工学などの観点から既に明らかで
ある。脊椎を意味する体幹関節自由度は、産業的な用途
上は存在価値が低いが、エンターティンメントやその他
の生活密着型の人間型ロボットには重要である。なお且
つ、状況に応じて柔軟さを能動的に調節できることが求
められている。
【0016】また、2足直立歩行を行う脚式移動ロボッ
トは、柔軟な歩行・走行動作(例えば階段の昇降や障害
物の乗り越え等)を実現できる点で優れている反面、重
心位置が高くなるため、その分だけ姿勢制御や安定歩行
制御が難しくなる。特に、生活密着型のロボットの場
合、ヒトやサルなどの知性動物における自然な動作や感
情を豊かに表現しながら姿勢や安定歩行を制御しなけれ
ばならない。
【0017】2足歩行による脚式移動を行うタイプのロ
ボットに関する姿勢制御や安定歩行に関する技術は既に
数多提案されている。ここで言う安定な「歩行」とは、
「転倒することなく、脚を使って移動すること」と定義
することができよう。
【0018】歩行時には、重力と歩行運動に伴なって生
じる加速度によって、歩行系から路面には重力と慣性
力、並びにこれらのモーメントが作用する。いわゆる
「ダランベールの原理」によると、それらは路面から歩
行系への反作用としての床反力、床反力モーメントとバ
ランスする。力学的推論の帰結として、足底接地点と路
面の形成する支持多角形の辺上あるいはその内側にピッ
チ及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわち
「ZMP(Zero Moment Point)」が
存在する。
【0019】ロボットの安定歩行に関する提案の多く
は、このZMPを歩行の安定度判別の規範として用いて
いる。ZMP規範に基づく2足歩行パターン生成は、足
底着地点を予め設定でき、路面形状に応じた足先の運動
学的拘束条件を考慮し易いなどの利点がある。
【0020】例えば、特開平5−305579号公報に
は、脚式移動ロボットの歩行制御装置について開示して
いる。同公報に記載の歩行制御装置は、ZMP(Zer
oMoment Point)すなわち歩行するときの
床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点を目標
値に一致させるように制御するものである。
【0021】また、特開平5−305581号公報に記
載の脚式移動ロボットは、ZMPが支持多面体(多角
形)内部、又は、着地、離床時にZMPが支持多面体
(多角形)の端部から少なくとも所定の余裕を有する位
置にあるように構成した。この結果、外乱などを受けて
も所定距離だけZMPの余裕があり、歩行の安定性の向
上を図ることができる。
【0022】また、特開平5−305583号公報に
は、脚式移動ロボットの歩き速度をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、予め設定された歩行パ
ターン・データを用い、ZMPを目標位置に一致させる
ように脚部関節を駆動するとともに、上体の傾斜を検出
して、その検出値に応じて設定された歩行パターン・デ
ータの吐き出し速度を変更するようにしている。この結
果、予期しない凹凸を踏んでロボットが例えば前傾する
ときは吐き出し速度を速めることで姿勢を回復できる。
またZMPが目標位置に制御できるので、両脚支持期に
おいて吐き出し速度を変更しても支障がない。
【0023】また、特開平5−305585号公報に
は、脚式移動ロボットの着地位置をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、ZMP目標位置と実測
位置とのずれを検出して、それを解消する様に脚部の一
方または双方を駆動するか、又は、ZMP目標位置まわ
りにモーメントを検出してそれが零になる様に脚部を駆
動することで安定歩行を行うようになっている。
【0024】また、特開平5−305586号公報に
は、脚式移動ロボットの傾斜姿勢をZMP目標位置によ
って制御する点について開示している。すなわち、同公
報に記載の脚式移動ロボットは、ZMP目標位置まわり
のモーメントを検出し、モーメントが生じているとき
は、それが零になるように脚部を駆動することで安定歩
行を行うようになっている。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、脚式
移動ロボットにおいては、ZMPを姿勢安定度規範とし
て導入するなどして、歩行、走行、ジャンプその他の動
作パターン実行中にロボットが転倒しないようにするた
めの最大限の努力が注がれている。言うまでもなく、転
倒という状態はロボットが実行中の作業を中断すること
を意味し、且つ、転倒状態から起き上がって作業を再開
するために相当の労力や時間が払われる。ロボットのメ
カニズムによっては、転倒状態から起き上がる動作パタ
ーンがサポートされていないことさえある。また、何よ
りも、転倒によって、ロボット本体自体、あるいは転倒
するロボットと衝突する相手側の物体にも、致命的な損
傷を与えてしまう危険がある。
【0026】転倒しないように最大限の姿勢安定制御を
行うにも拘らず、制御の不備、あるいは予期できない外
的要因(例えば不測の物体との衝突や、床面上の突起や
窪み、障害物の出現など)などにより、姿勢の安定を失
って可動脚のみでは支えきれなくなり、ロボットが転倒
してしまうことがある。特に、人間型など2足による脚
式移動を行うロボットの場合、重心位置が高く、そもそ
も直立した静止状態自体が不安定であるため、転倒を生
じ易い。ロボットが転倒すると、ロボット自体、あるい
は転倒により衝突する相手側にも致命的な損傷を与えて
しまう危険がある。
【0027】例えば、特開平11−48170号公報に
は、脚式移動ロボットが転倒しそうな状況で、その転倒
によりロボットが受ける損傷や、その転倒時にロボット
が衝突する相手側の物体の損傷を可能な限り軽減するこ
とができる脚式移動ロボットの制御装置について開示さ
れている。
【0028】しかしながら、同公報は、転倒に伴なう着
床時に単にロボットの重心を下げるように制御すること
を提案するのみであり、実際に転倒してしまったときに
如何にして損傷を最小限に抑えるかといった議論はなさ
れていない。
【0029】ロボットは、多数の部品・部材ユニット等
で構成される機械装置であり、強度的に弱い部位もあれ
ば、比較的耐性に富む部位もある。例えば、カメラなど
のような精密な測定装置を搭載した頭部ユニットや、制
御ボードを搭載した胴体背面のような部位は、当然にし
て衝撃に弱い。転倒時に、このような部位から最初に着
床してしまうと、ロボットは多大な損害を被ってしま
い、システム全体が大破しかねない。
【0030】本発明は上記したような技術的課題に鑑み
たものであり、その目的は、可動脚により歩行、走行、
ジャンプなどの動作パターンを実行する最中に脚式移動
型ロボットが安定状態を失って転倒する際のための、優
れた制御メカニズムを提供することにある。
【0031】本発明の更なる目的は、転倒時にロボット
が被る損害を限りなく軽減することができる、脚式移動
型ロボットのための優れた制御方法メカニズムを提供す
ることにある。
【0032】本発明の更なる目的は、転倒時にロボット
が被る損害を限りなく軽減することができるように動作
パターンを生成することができる、脚式移動型ロボット
のための優れた制御方法メカニズムを提供することにあ
る。
【0033】本発明の更なる目的は、転倒時に強度的に
弱い部位が着床するのを回避して、ロボットが被る損害
を限りなく軽減することができるように動作パターンを
生成することができる、脚式移動型ロボットのための優
れた制御方法メカニズムを提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を参
酌してなされたものであり、その第1の側面は、少なく
とも下肢と、該下肢の上方に配設された上体とで構成さ
れ、下肢の運動により移動自在なロボットであって、他
の部位よりも高強度に形成され若しくは緩衝部材を含ん
だ優先着床部位と、前記ロボットが転倒しそうか否かを
判断する転倒判断手段と、前記転倒判断手段が転倒する
と判断したことに応答して、前記優先着床部位にて最初
に着床するような前記下肢及び上体の動作パターンを生
成する動作パターン生成手段と、前記動作パターン手段
によって生成された動作パターンに従って前記下肢及び
上体の駆動を制御する制御手段と、を具備することを特
徴とする脚式移動ロボットである。
【0035】本発明の第1の側面に係る脚式移動ロボッ
トは、前記脚式移動ロボットの上体の傾斜及び/又は姿
勢を検出する傾斜・姿勢検出手段と、床面から受ける床
反力を算出する床反力算出手段と、前記下肢の足底が着
床又は離床のいずれの状態かを判別する着床/離床検出
手段とをさらに備え、前記転倒判断手段は、前記傾斜・
姿勢検出手段、前記床反力算出手段、又は、着床/離床
検出手段のうち少なくとも1つの出力に基づいて転倒す
るか否かを判断するようにしてもよい。
【0036】また、前記転倒判断手段は、前記脚式移動
ロボットが転倒するか否かとともに、その転倒方向を判
断するようにしてもよい。
【0037】また、脚式移動ロボットは前記優先着床部
位を2以上含み、前記転倒判断手段は、前記脚式移動ロ
ボットが転倒するか否か及びその転倒方向を判断すると
ともに、該転倒方向に従って使用する優先着床部位を選
択し、前記動作パターン生成手段は該選択された優先着
床部位にて最初に着床する動作パターンを生成するよう
にしてもよい。
【0038】また、前記優先着床部位は、例えば前記脚
式移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくと
も1つに配設されている。
【0039】また、前記優先着床部位は、前記脚式移動
ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも1つ
に配設され、前記転倒判断手段が前方向及び/又は横方
向に転倒すると判断したことに応答して、前記動作パタ
ーン生成手段は、掌で最初に着床するような前記下肢及
び上体の動作パターンを生成するようにしてもよい。こ
の結果、脚式移動ロボットは、人間に似た自然な転倒動
作を行うことで、転倒によって被る衝撃を緩和し、損害
を好適に軽減することができる。
【0040】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記転倒判断手段が後ろ方向に転倒す
ると判断したことに応答して、前記動作パターン生成手
段は、背面部で最初に着床するような前記下肢及び上体
の動作パターンを生成するようにしてもよい。この結
果、脚式移動ロボットは、人間に似た自然な転倒動作を
行うことで、転倒によって被る衝撃を緩和し、損害を好
適に軽減することができる。
【0041】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記転倒判断手段が後ろ方向に転倒す
ると判断したことに応答して、前記動作パターン生成手
段は、臀部で最初に着床するような前記下肢及び上体の
動作パターンを生成するようにしてもよい。この結果、
脚式移動ロボットは、人間に似た自然な転倒動作を行う
ことで、転倒によって被る衝撃を緩和し、損害を好適に
軽減することができる。
【0042】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記転倒判断手段が前方向に転倒する
と判断したことに応答して、前記動作パターン生成手段
は、膝で最初に着床するような前記下肢及び上体の動作
パターンを生成するようにしてもよい。この結果、脚式
移動ロボットは、人間に似た自然な転倒動作を行うこと
で、転倒によって被る衝撃を緩和し、損害を好適に軽減
することができる。
【0043】また、本発明の第2の側面は、少なくとも
下肢と、該下肢の上方に配設された上体とで構成され、
下肢の運動により移動自在な脚式移動ロボットであっ
て、所定の非優先着床部位と、前記ロボットが転倒しそ
うか否かを判断する転倒判断手段と、前記転倒判断手段
が転倒すると判断したことに応答して、前記非優先着床
部位が最初に着床するのを避けるような前記下肢及び上
体の動作パターンを生成する動作パターン生成手段と、
前記動作パターン手段によって生成された動作パターン
に従って前記下肢及び上体の駆動を制御する制御手段
と、を具備することを特徴とする脚式移動ロボットであ
る。
【0044】非優先着床部位は、例えば制御ボードや、
カメラその他のセンサなど、比較的低強度若しくは衝撃
に弱い部品が配備されている場所である。
【0045】また、本発明の第3の側面は、少なくとも
下肢と、該下肢の上方に配設された上体とで構成され、
下肢の運動により移動自在な脚式移動ロボットのための
転倒時動作制御方法であって、前記脚式移動ロボットは
他の部位よりも高強度に形成された優先着床部位を有
し、(a)前記脚式移動ロボットが転倒しそうか否かを
判断するステップと、(b)転倒すると判断したことに
応答して、前記優先着床部位にて最初に着床するような
前記下肢及び上体の動作パターンを生成するステップ
と、(c)生成された動作パターンに従って前記下肢及
び上体の駆動を制御するステップと、を具備することを
特徴とする脚式移動ロボットの転倒時動作制御方法であ
る。
【0046】前記優先着床部位は、例えば、他の部位に
比し高強度に形成され、若しくは、緩衝部材を含んでい
る。
【0047】本発明の第3の側面に係る脚式移動ロボッ
トの転倒時動作制御方法において、前記ステップ(a)
は、前記脚式移動ロボットの上体の傾斜及び/又は姿勢
を検出する傾斜・姿勢検出サブステップ、床面から受け
る床反力を算出する床反力算出サブステップ、前記下肢
の足底が着床又は離床のいずれの状態かを判別する着床
/離床検出サブステップのうち少なくとも1つを備え、
該サブステップからの出力に基づいて転倒するか否かを
判断するようにしてもよい。
【0048】また、前記ステップ(a)では、前記脚式
移動ロボットが転倒するか否かとともに、その転倒方向
を判断するようにしてもよい。
【0049】また、前記脚式移動ロボットは前記優先着
床部位を2以上含み、前記ステップ(a)では、前記脚
式移動ロボットが転倒するか否か及びその転倒方向を判
断するとともに、該転倒方向に従って使用する優先着床
部位を選択し、前記ステップ(b)では、該選択された
優先着床部位にて最初に着床する動作パターンを生成す
るようにしてもよい。
【0050】また、前記優先着床部位は、前記脚式移動
ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも1つ
に配設され、前記判断するステップ(a)において前方
向及び/又は横方向に転倒すると判断したことに応答し
て、前記動作パターンを生成するステップ(b)では、
掌で最初に着床するような前記下肢及び上体の動作パタ
ーンを生成するようにしてもよい。この結果、脚式移動
ロボットは、人間に似た自然な転倒動作を行うことで、
転倒によって被る衝撃を緩和し、損害を好適に軽減する
ことができる。
【0051】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記判断するステップ(a)において
後ろ方向に転倒すると判断したことに応答して、前記動
作パターンを生成するステップ(b)では、背面部で最
初に着床するような前記下肢及び上体の動作パターンを
生成するようにしてもよい。この結果、脚式移動ロボッ
トは、人間に似た自然な転倒動作を行うことで、転倒に
よって被る衝撃を緩和し、損害を好適に軽減することが
できる。
【0052】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記判断するステップ(a)において
後ろ方向に転倒すると判断したことに応答して、前記動
作パターンを生成するステップ(b)では、臀部で最初
に着床するような前記下肢及び上体の動作パターンを生
成するようにしてもよい。この結果、脚式移動ロボット
は、人間に似た自然な転倒動作を行うことで、転倒によ
って被る衝撃を緩和し、損害を好適に軽減することがで
きる。
【0053】あるいは、前記優先着床部位は、前記脚式
移動ロボットの掌、背面部、臀部、膝のうち少なくとも
1つに配設され、前記判断するステップ(a)において
前方向に転倒すると判断したことに応答して、前記動作
パターンを生成するステップ(b)では、膝で最初に着
床するような前記下肢及び上体の動作パターンを生成す
るようにしてもよい。この結果、脚式移動ロボットは、
人間に似た自然な転倒動作を行うことで、転倒によって
被る衝撃を緩和し、損害を好適に軽減することができ
る。
【0054】また、本発明の第4の側面は、少なくとも
下肢と、該下肢の上方に配設された上体とで構成され、
下肢の運動により移動自在な脚式移動ロボットのための
転倒時動作制御方法であって、前記脚式移動ロボットは
所定の非優先着床部位を有し、(a)前記脚式移動ロボ
ットが転倒しそうか否かを判断するステップと、(b)
転倒すると判断したことに応答して、前記非優先着床部
位が最初に着床するのを避けるような前記下肢及び上体
の動作パターンを生成するステップと、(c)生成され
た動作パターンに従って前記下肢及び上体の駆動を制御
するステップと、を具備することを特徴とする脚式移動
ロボットの転倒時動作制御方法である。
【0055】
【作用】本発明に係る脚式移動ロボットによれば、姿勢
センサ出力や接地確認センサ出力による傾斜や着床・離
床検出、さらには床反力の算出結果に基づいて、ロボッ
トが転倒する際の転倒方向を早めに検出して、体幹部、
下肢部、上肢部などの各関節部アクチュエータを制御す
ることで、優先着床部位から着床するような動作パター
ンを生成し且つ動作パターンを実行することができる。
【0056】優先着床部位は、他の部位に比し強度が充
分確保され、あるいは、緩衝部材を含んでいるので、転
倒に伴ないロボットが被る損傷を最小限に抑えることが
できる。
【0057】また、本発明に係る脚式移動ロボットによ
れば、姿勢センサ出力や接地確認センサ出力による傾斜
や着床・離床検出、さらには床反力の算出結果に基づい
て、ロボットが転倒する際の転倒方向を早めに検出し
て、体幹部、下肢部、上肢部などの各関節部アクチュエ
ータを制御することで、非優先着床部位を避けながら着
床するような動作パターンを生成し且つ動作パターンを
実行することができる。
【0058】非優先着床部位は、例えば制御ボードや、
カメラその他のセンサなど、比較的低強度若しくは衝撃
に弱い部品が配備されている場所である。このような非
優先着床部位を避けながら転倒することにより、転倒に
伴ないロボットが被る損傷を最小限に抑えることができ
る。
【0059】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、
後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳
細な説明によって明らかになるであろう。
【0060】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施例を詳解する。
【0061】図1及び図2には本発明の実施に供される
人間形又は人間型ロボット100を前方及び後方の各々
から眺望した様子を示している。さらに、図3には、こ
の人間型ロボット100が具備する関節自由度構成を模
式的に示している。
【0062】図3に示すように、人間型ロボット100
は、2本の腕部と頭部1を含む上体と、移動動作を実現
する2本の脚部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結す
る体幹部とで構成される。
【0063】頭部1を支持する首関節は、首関節ヨー軸
2と、首関節ピッチ軸3と、首関節ロール軸4という3
自由度を有している。
【0064】また、各腕部は、肩関節ピッチ軸8と、肩
関節ロール軸9と、上腕ヨー軸10と、肘関節ピッチ軸
11と、前腕ヨー軸12と、手首関節ピッチ軸13と、
手首関節ロール軸14と、手部15とで構成される。手
部15は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由
度構造体である。但し、手部15の動作自体は、ロボッ
ト100の姿勢安定制御や歩行動作制御に対する寄与や
影響が少ないので、本明細書ではゼロ自由度と仮定す
る。したがって、各腕部は7自由度を有するとする。
【0065】また、体幹部は、体幹ピッチ軸5と、体幹
ロール軸6と、体幹ヨー軸7という3自由度を有する。
【0066】また、下肢を構成する各々の脚部は、股関
節ヨー軸16と、股関節ピッチ軸17と、股関節ロール
軸18と、膝関節ピッチ軸19と、足首関節ピッチ軸2
0と、関節ロール軸21と、足部(足底)22とで構成
される。股関節ピッチ軸17と股関節ロール軸18の交
点は、本実施例に係るロボット100の股関節位置を定
義するものとする。人体の足部(足底)22は、実際に
は多関節・多自由度の足底を含んだ構造体であるが、本
実施例に係る人間型ロボット100の足底はゼロ自由度
とする。したがって、各脚部は6自由度で構成される。
【0067】上述したような人間型ロボット100が持
つ各自由度は、実際にはアクチュエータを用いて実装さ
れる。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状
に近似させること、2足歩行という不安定構造体に対し
て姿勢制御を行うことなどの要請から、アクチュエータ
は小型且つ軽量であることが好ましい。本実施例では、
ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモー
タ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・アク
チュエータを搭載することとした。なお、この種のAC
サーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人に
既に譲渡されている特願平11−33386号明細書に
開示されている。
【0068】なお、図3には図示しないが、本実施例に
係る人間型ロボット100は、臀部、膝部、両手(又は
片手)の掌など、所定の部位を特に強度が充分確保され
た堅牢な部位を備えている。これら高強度の部位は、後
述するように、ロボット100の転倒時に「優先着床部
位」として作用し、他の部位が最初に着床した場合に比
し、ロボット100が受ける損傷を軽減することができ
る。
【0069】優先着床部位は、例えばラバーやクッショ
ンなどの緩衝部材を備えてもよい。緩衝部材は、転倒時
において、ロボット100だけでなくロボット100と
衝突する相手側の物体の損傷も軽減することができる。
【0070】優先着床部位を堅牢に構成し、さらに緩衝
部材を含むことで、その外観は他の部位に比し自ずと膨
らんでしまう。但し、膝部や臀部、掌のように、生命体
において膨らみのある場所を優先着床部位として設定す
ることにより、ロボット100全体の外観の均整は人間
本来の形状を逸脱することはない。
【0071】図4には、人間型ロボット100の制御シ
ステム構成を模式的に示している。同図に示すように、
人間型ロボット100は、ヒトの四肢を表現した各機構
ユニット30,40,50R/L,60R/Lと、各機
構ユニット間の協調動作を実現するための適応制御を行
う制御ユニット80とで構成される(但し、R及びLの
各々は、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下同
様)。
【0072】人間型ロボット100全体の動作は、制御
ユニット80によって統括的に制御される。制御ユニッ
ト80は、CPU(Central Processi
ngUnit)チップやメモリ・チップ等の主要回路コ
ンポーネント(図示しない)で構成される主制御部81
と、電源装置やロボット100の各構成要素とのデータ
やコマンドの授受を行うインターフェース(いずれも図
示しない)などを含んだ周辺回路82とで構成される。
【0073】本実施例では、電源装置は、ロボット10
0を自立的に駆動するためのバッテリを含んだ構成(図
4には図示しない)となっている。自立駆動型であれ
ば、人間型ロボット100の物理的な行動半径は、電源
ケーブルによる制限を受けず、自由に歩行することがで
きる。また、歩行やその他の上肢を含めた各種の運動時
に、電源ケーブルとの干渉を考慮する必要がなくなり、
移動などの動作制御が容易になる。
【0074】図3に示したロボット100内の各関節自
由度は、それぞれに対応するアクチュエータによって実
現される。すなわち、頭部ユニット30には、首関節ヨ
ー軸2、首関節ピッチ軸3、首関節ロール軸4の各々を
表現する首関節ヨー軸アクチュエータA2、首関節ピッ
チ軸アクチュエータA3、首関節ロール軸アクチュエー
タA4がそれぞれ配設されている。
【0075】また、体幹部ユニット40には、体幹ピッ
チ軸5、体幹ロール軸6、体幹ヨー軸7の各々を表現す
る体幹ピッチ軸アクチュエータA5、体幹ロール軸アク
チュエータA6、体幹ヨー軸アクチュエータA7がそれぞ
れ配備されている。
【0076】また、腕部ユニット50R/Lは、上腕ユ
ニット51R/Lと、肘関節ユニット52R/Lと、前
腕ユニット53R/Lに細分化されるが、肩関節ピッチ
軸8、肩関節ロール軸9、上腕ヨー軸10、肘関節ピッ
チ軸11、肘関節ロール軸12、手首関節ピッチ軸1
3、手首関節ロール軸14の各々を表現する肩関節ピッ
チ軸アクチュエータA8、肩関節ロール軸アクチュエー
タA9、上腕ヨー軸アクチュエータA10、肘関節ピッチ
軸アクチュエータA11、肘関節ロール軸アクチュエータ
12、手首関節ピッチ軸アクチュエータA13、手首関節
ロール軸アクチュエータA14がそれぞれ配備されてい
る。
【0077】また、脚部ユニット60R/Lは、大腿部
ユニット61R/Lと、膝ユニット62R/Lと、脛部
ユニット63R/Lに細分化されるが、股関節ヨー軸1
6、股関節ピッチ軸17、股関節ロール軸18、膝関節
ピッチ軸19、足首関節ピッチ軸20、足首関節ロール
軸21の各々を表現する股関節ヨー軸アクチュエータA
16、股関節ピッチ軸アクチュエータA17、股関節ロール
軸アクチュエータA18、膝関節ピッチ軸アクチュエータ
19、足首関節ピッチ軸アクチュエータA20、足首関節
ロール軸アクチュエータA21がそれぞれ配備されてい
る。
【0078】各アクチュエータA2,A3…は、より好ま
しくは、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化
してモータ・ユニット内に搭載したタイプの小型ACサ
ーボ・アクチュエータ(前述)である。
【0079】頭部ユニット30、体幹部ユニット40、
腕部ユニット50、各脚部ユニット60などの各機構ユ
ニット毎に、アクチュエータ駆動制御用の副制御部3
5,45,55,65がそれぞれ配備されている。さら
に、各脚部60R,Lの足底が着床したか否かを検出す
る接地確認センサ91及び92を装着するとともに、体
幹部ユニット40内には、姿勢を計測する姿勢センサ9
3を装備している。本実施例では、姿勢センサ93とし
て加速度センサを用いるものとする。接地確認センサ9
1及び92のセンサ出力に従って、ロボット100の着
床及び離床を検出することができる。また、姿勢センサ
93のセンサ出力に従って、ロボット100の胴体など
の傾斜を検出することができる。主制御部81は、これ
ら各センサ91〜93の出力により、制御目標をダイナ
ミックに補正することができる。
【0080】主制御部80は、各センサ91〜93の出
力に応答して副制御部35,45,55,65の各々に
対して適応的な制御を行い、人間型ロボット100の上
肢、体幹、及び下肢の協調した動作を実現することがで
きる。主制御部81は、ユーザ・コマンド等に従って、
足部運動、ZMP(Zero Moment Poin
t)軌道、体幹運動、上肢運動、腰部高さなどを設定す
るとともに、これらの設定内容に従った動作を指示する
コマンドを各副制御部35,45,55,65に転送す
る。
【0081】そして、各々の副制御部35,45…で
は、主制御部81からの受信コマンドを解釈して、各ア
クチュエータA2,A3…に対して駆動制御信号を出力す
る。ここで言う「ZMP」とは、歩行中の床反力による
モーメントがゼロとなる床面上の点のことであり、ま
た、「ZMP軌道」とは、例えばロボット100の歩行
動作期間中などにZMPが動く軌跡を意味する。
【0082】次に、上述した人間型ロボット100の転
倒時に実行する処理手順について説明する。
【0083】図5には、ロボット100の転倒時の損傷
軽減処理を実現するための機能ブロック図を模式的に示
している。
【0084】バッテリ電圧/電流検出手段151は、ロ
ボット100の駆動電源であるバッテリの端子電圧や放
電電流、充電電流などを常時監視する機能ブロックであ
り、例えば周辺回路82(前述)の一部として実装され
ている。例えば、バッテリの端子電圧の低下や、放電電
流の積算量等を基にして、バッテリの残存容量を常時モ
ニタすることができる。
【0085】傾斜・姿勢検出手段152は、ロボット1
00の上体の傾斜や姿勢を検出する機能モジュールであ
る。より具体的には、ロボット100の体幹部ユニット
40内に配備された姿勢センサ93で構成され、ロボッ
ト100の姿勢やその傾斜の度合いを検出することがで
きる。
【0086】床反力算出手段153は、歩行など、ロボ
ット100が所定の動作パターンを行っているときに、
足底が床面から受ける反力を算出する機能ブロックであ
る。例えば、ロボット100の多質点近似モデルを用い
て床反力を求めることができる。
【0087】着床/離床検出手段154は、ロボット1
00が着床又は離床いずれの期間中であるかを検出する
ための機能モジュールであり、例えば左右両足の足底に
配備された接地確認センサ91及び92で構成すること
ができる。
【0088】各アクチュエータ1,2,…,Nは、各関
節のロール、ピッチ、ヨー各軸の自由度を実現する駆動
装置である。駆動制御装置1,2,…,Nは、各アクチ
ュエータ1,2,…,Nの変位量や変位速度などの駆動
制御を行い、変位検出部1,2,,Nは、各アクチュエ
ータ1,2,…,Nの変位量等を検出してフィードバッ
ク信号を出力する。特願平11−33386号明細書に
開示されているACサーボ・アクチュエータは、アクチ
ュエータと駆動制御装置と変位検出部が一体的に構成さ
れた小型サーボ・アクチュエータである(前述)。
【0089】転倒判断手段155、動作パターン生成手
段156、及び、ロボット制御装置157の各々は、実
際には、主制御部81と、各副制御部35,45,5
5,65の協働的動作によって構成される機能モジュー
ルである。
【0090】転倒判断手段155は、バッテリ電圧/電
流検出手段151、傾斜・姿勢検出手段152、床反力
算出手段153、及び、着床/離床検出手段154の各
々の出力に基づいてロボットが転倒しそうな状態か否か
を判定する。転倒しそうな状態と判断すると、「転倒検
出」信号を付勢する。
【0091】以下のような事態の少なくとも1つが発生
したときに、転倒判断手段155は転倒しそうな状態と
して判断する。
【0092】(1)駆動用バッテリの残存容量が所定値
以下に低下したとき (2)傾斜・姿勢検出手段152により検出された傾斜
角と目標傾斜角との偏差が所定量以上になったとき (3)傾斜・姿勢検出手段152により検出された傾斜
角の時間的変化が所定量以上になったとき (4)床反力算出手段153により求められた床反力が
所定量を越えたとき (5)着床/離床検出手段154により検出された状態
が、動作パターン生成手段155が出力した目標軌道の
状態を逸脱したとき
【0093】ロボット制御装置157は、転倒検出の通
知に応答して、傾斜姿勢、床反力、着床/離床それぞれ
の検出結果、及び、各変位検出部からのアクチュエータ
変位量に基づいて、所望の「優先着床部位」から着床す
るような動作パターンすなわち目標軌道を動作パターン
生成手段156に生成させる。そして、ロボット100
が転倒に至るまでの動作が目標軌道に追従するように、
体幹部、下肢部、上肢部の各関節アクチュエータ1,
2,…,Nを駆動制御する。
【0094】なお、多脚ロボットの動作パターンのう
ち、特に歩行時における下肢の動作パターン(例えば、
足の浮かせ方の順序やそのタイミングなどについてのパ
ターン)のことを、当業界では「歩容」(gait)と
呼ぶ。多脚ロボットの歩容は、脚の位相差およびデュー
ティ比を用いて表される(日本ロボット学会のロボット
学術用語集による)。
【0095】図6には、ロボット100の転倒時に実行
する損傷軽減処理手順の一例をフローチャートの形式で
図解している。以下、このフローチャートの各ステップ
について説明する。
【0096】まず、ステップS10では、転倒判断手段
155が、バッテリ電圧/電流検出手段151、傾斜・
姿勢検出手段152、床反力算出手段153、及び、着
床/離床検出手段154の各出力に基づいて(前述)、
ロボット100が転倒しそうか否かを判断する。
【0097】「転倒する」と判断した場合には、さら
に、ロボット100の正面を基準方向として、前後左右
のうちいずれの方向に向かってロボット100が転倒し
そうかを算出する。
【0098】図7には、転倒方向を算出するための概念
的なブロック図を示している。同図に示すように、ピッ
チ軸(Y軸)及びロール軸(X軸)それぞれの軸まわり
の回転角速度を検出する手段301、302が、例えば
ロボット100の体幹部などに取り付けられている。こ
れら検出手段から出力されるピッチ軸及びロール軸まわ
りの回転角速度を基に、転倒方向算出手段303は転倒
方向を算出することができる。
【0099】図8には、転倒方向を算出するメカニズム
をより具体的に図解している。各検出手段301、30
2は、実際には一対のジャイロ・スコープ311及び3
12で構成される。ジャイロ・スコープ311及び31
2は、姿勢センサ93を兼ねてもよい。各ジャイロ・ス
コープが出力する角速度情報は、A/D変換器313及
び314によりデジタル信号に変換されてから、主制御
部81に入力される。主制御部81では、以下の式に従
い、転倒方向θを算出する。
【0100】
【数1】
【0101】図9には、ロール軸及びピッチ軸各方向の
角速度と転倒方向θとの関係を示している。ステップS
10にて算出された転倒方向θは、後続のステップS3
0において動作パターンを生成する際に利用される。
【0102】再び図7に戻って、転倒時における損傷軽
減のための処理手順について説明する。
【0103】転倒判断手段155が転倒しそうであると
いう状態とその転倒方向を検出すると、これをロボット
制御装置157に通知する(ステップS20)。
【0104】ロボット制御装置157は、通知された転
倒方向に応じて、ロボット100の現在の姿勢から優先
着床部位で最初に着床することができる動作パターンを
動作パターン生成手段156に生成させる(ステップS
30)。そして、この動作パターンを実現するように、
各関節アクチュエータの駆動を指示する(ステップS4
0)。
【0105】優先着床部位は、例えば右掌などロボット
100の全身のうち1箇所に固定してもよい。但し、こ
の場合、転倒開始時の姿勢によっては無理な動作パター
ンを強いることになる。このため、掌以外に、背面部、
臀部、膝など、複数箇所を優先着床部位に設定し、転倒
開始時の姿勢や転倒方向に応じて優先着床部位を選択す
るようにしてもよい。このような場合、ロボット制御装
置157は、動作パターン生成手段156に対して、転
倒方向だけでなく、優先着床部位も指定する。動作パタ
ーン生成手段156は、転倒前の姿勢から優先着床部位
が最初に着床するまでの流暢な動作パターンを生成する
ことができる。
【0106】そして、優先着床部位の着床が検出される
までは、上記の処理手順を繰り返し実行する(ステップ
S50)。
【0107】上述した実施例では、傾斜姿勢検出手段1
52、床反力算出手段153、着床/離床検出手段15
4の各出力やロボット100の姿勢すなわち各関節アク
チュエータの変位角度に基づいて、所定の優先着床部位
で最初に着床するような目標軌道を動作パターン生成手
段156により生成して、その目標軌道に追従させた動
作パターンを実行するようにした。
【0108】但し、傾斜姿勢や床反力などの出力によ
り、自ずと所定の優先着床部位で着床することが判明し
た場合には、目標軌道を生成してそれに追従させる必要
は必ずしもなく、単に、各関節アクチュエータのサーボ
・ゲインを段階的に減衰させるなどの制御を行うだけで
もよいし、あるいはアクチュエータの制御を停止するだ
けでもよい。
【0109】図10〜図14には、ロボット100が転
倒する際における、動作パターン生成手段156が生成
する目標軌道を例示している。
【0110】図10は、右手の掌を優先着床部位として
設定した場合であって、転倒方向がロボット100の正
面に対し右側にある場合の動作パターンを図解してい
る。
【0111】安定姿勢を維持した状態(図10(a)を
参照のこと)において、不測の外乱を被るなどして、ロ
ボット100が正面右側に転倒しそうな状態と判定され
る(図10(b)を参照のこと)。
【0112】すると、右肩関節ピッチ軸アクチュエータ
を駆動させる。さらに、右股関節及び右膝関節ピッチ軸
の各アクチュエータを先に、次いで左股関節及び左膝関
節ピッチ軸の各アクチュエータを駆動させることにより
(図10(c)を参照のこと)、右掌が最も先に着床す
るような姿勢を形成する。
【0113】無事、優先着床部位としての右掌が最初に
着床すると(図10(d)を参照のこと)、優先着床部
位において衝撃力はほとんど吸収され、その後、各関節
アクチュエータのサーボ・ゲインを段階的に減衰させ
る、あるいはアクチュエータの制御を停止するなどし
て、ロボット100が自然に倒れ込み、全身が軟着床す
ることができる(図10(e)を参照のこと)。
【0114】図11は、右手の掌を優先着床部位として
設定した場合であって、転倒方向がロボット100の正
面に対し左側にある場合の動作パターンを図解してい
る。
【0115】安定姿勢を維持した状態(図11(a)を
参照のこと)において、不測の外乱を被るなどして、ロ
ボット100が正面左側に転倒しそうな状態と判定され
る(図11(b)を参照のこと)。
【0116】すると、体幹関節ヨー軸アクチュエータを
反時計回りに回転させるなどして、身体を旋回させて右
腕を左側に向かわせるとともに、左膝関節ピッチ軸アク
チュエータを回転させて腰を落とし、転倒に備える(図
11(c)を参照のこと)。このとき、身体の軸が円滑
に旋回するように、右股関節ピッチ軸アクチュエータを
回転させるなどして、右足平を離床させておくとよい。
【0117】身体を旋回させた結果、転倒方向に対して
ロボット100の左右が逆転し、ロボット100は仰向
け状態で転倒動作に突入する。このとき、右肩関節ピッ
チ軸及び右肘関節ピッチ軸の各アクチュエータを回転さ
せ、右掌を可能な限り低い位置に移動させる(図11
(d)を参照のこと)。
【0118】無事、優先着床部位としての右掌が最初に
着床すると、転倒時の衝撃力は優先着床部位によってほ
とんど吸収される。その後、各関節アクチュエータのサ
ーボ・ゲインを段階的に減衰させる、あるいはアクチュ
エータの制御を停止するなどして、ロボット100が自
然に倒れ込み、全身が軟着床することができる(図11
(e)を参照のこと)。
【0119】図11に示す動作パターンは図10に比し
不自然である。但し、優先着床部位が右掌に固定されて
いる場合には、そうせざるを得ない。
【0120】図12は、背面部を優先着床部位として設
定した場合にロボット100が後方に転倒する動作パタ
ーンを図解している。例えば、ステップS10において
転倒方向がロボット100の後方であると判定され、且
つ、背面部を優先着床部位に選択した場合に、同図に示
す動作パターンに従って転倒動作を実行する。
【0121】安定姿勢を維持した状態(図12(a)を
参照のこと)において、不測の外乱を被るなどして、ロ
ボット100が後方に転倒しそうな状態と判定される
(図12(b)を参照のこと)。
【0122】すると、両脚の股関節ピッチ軸アクチュエ
ータを回転させるなどして、胴体ユニットが後方に転倒
するような姿勢を形成し(図12(c)を参照のこ
と)、さらに、両足の膝関節ピッチ軸及び足首関節ピッ
チ軸の各アクチュエータを回転させて、胴体ユニットが
仰向けで略水平になるような姿勢を形成する(図12
(d)を参照のこと)。このとき、両腕の肩関節ピッチ
軸及び肘関節ピッチ軸の各アクチュエータを回転させ
て、左右の上腕ユニット、前腕ユニットなど優先着床部
位以外の構成ユニットが最初に着床しないようにする。
【0123】その後、各関節アクチュエータのサーボ・
ゲインを段階的に減衰させる、あるいはアクチュエータ
の制御を停止するなどして、ロボット100が自然に倒
れ込むことで、無事、優先着床部位としての背面部が最
初に着床して、転倒時の衝撃力は優先着床部位によって
ほとんど吸収される。次いで、その他の部位が順次着床
して、全身が軟着床することができる(図12(e)を
参照のこと)。
【0124】図13は、臀部を優先着床部位として設定
した場合にロボット100が後方に転倒する動作パター
ンを図解している。例えば、ステップS10において転
倒方向がロボット100の後方であると判定され、且
つ、臀部を優先着床部位に選択した場合に、同図に示す
動作パターンに従って動作する。
【0125】安定姿勢を維持した状態(図13(a)を
参照のこと)において、不測の外乱を被るなどして、ロ
ボット100が後方に転倒しそうな状態と判定される
(図13(b)を参照のこと)。
【0126】すると、両脚の股関節ピッチ軸アクチュエ
ータを回転させるなどして、上体をくの字状に屈曲させ
て、臀部を後方に突き出した姿勢を形成する(図13
(c)を参照のこと)。さらに、両脚の膝関節ピッチ軸
アクチュエータを回転させるなどして、臀部を下方に移
動させる(図13(d)を参照のこと)。
【0127】その後、各関節アクチュエータのサーボ・
ゲインを段階的に減衰させる、あるいはアクチュエータ
の制御を停止するなどして、ロボット100が自然に倒
れ込むことで、無事、優先着床部位としての臀部が最初
に着床して、転倒時の衝撃力は優先着床部位によってほ
とんど吸収される。次いで、その他の部位が順次着床し
て、全身が軟着床することができる(図13(e)を参
照のこと)。
【0128】図14は、両脚膝を優先着床部位として設
定した場合にロボット100が前方に転倒する動作パタ
ーンを図解している。例えば、ステップS10において
転倒方向がロボット100の前方であると判定され、且
つ、両膝を優先着床部位に選択した場合に、同図に示す
動作パターンに従って動作する。
【0129】安定姿勢を維持した状態(図14(a)を
参照のこと)において、不測の外乱を被るなどして、ロ
ボット100が前方に転倒しそうな状態と判定される
(図14(b)を参照のこと)。
【0130】すると、両脚の膝関節ピッチ軸アクチュエ
ータを回転させるなどして、両脚をくの字状に屈曲させ
て、両膝を前方に突き出した姿勢を形成する(図14
(c)を参照のこと)。
【0131】その後、各関節アクチュエータのサーボ・
ゲインを段階的に減衰させる、あるいはアクチュエータ
の制御を停止するなどして、ロボット100が自然に倒
れ込むことで、無事、優先着床部位としての両膝が最初
に着床して(図14(d)を参照のこと)、転倒時の衝
撃力は優先着床部位によってほとんど吸収される。
【0132】両膝が床に着いた状態であって、前方に倒
れ込むときの慣性などにより、図14(d)に示した姿
勢であっても未だ安定しないこともある。このような場
合には、さらに、両脚の股関節ピッチ軸アクチュエータ
を回転させるなどして、上体を前傾姿勢に移行させ、且
つ、左右の肩関節ピッチ軸及び肘関節ピッチ軸の各アク
チュエータを回転させて、両掌を着床させ、四つん這い
の姿勢で静止するようにしてもよい(図14(e)を参
照のこと)。
【0133】上述した各実施形態では、脚式移動ロボッ
ト100の1以上の部位を高強度若しくは緩衝部材を含
んだ構造に形成して、優先着床部位として設定すること
によって、転倒時に被る衝撃による損害を軽減するよう
にした。
【0134】これらの実施形態とは逆に、脚式移動ロボ
ット100の他の部位よりも低強度に形成された部位
や、衝撃に弱い部品が配備されている場所を「非優先着
床部位」に指定して、このような非優先着床部位から最
初に着床しないような動作パターンを生成して転倒動作
を実行することによっても、同様に、ロボット100が
転倒により被る損害を軽減することができる。このよう
な非優先着床部位としては、制御ボードや、カメラその
他の精密機器を搭載した頭部やその周辺を指定するべき
である。
【0135】[追補]以上、特定の実施例を参照しなが
ら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や
代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示とい
う形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈
されるべきではない。本発明の要旨を判断するために
は、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきで
ある。
【0136】なお、本発明の要旨を判断する上で、2足
歩行のロボット100についての関節等の呼び名は、図
3を厳格に適用するのは妥当ではなく、現実のヒトやサ
ルなどの2足直立歩行動物の身体メカニズムとの対比に
より柔軟に解釈されたい。
【0137】参考のため、人間型ロボットの関節モデル
構成を図15に図解しておく。同図に示す例では、肩関
節5から上腕、肘関節6、前腕、手首7及び手部8から
なる部分を「上肢」と呼ぶ。また、肩関節5から股関節
11までの範囲を「体幹部」と呼び、ヒトの胴体に相当
する。また、体幹部のうち特に股関節11から体幹関節
10までの範囲を「腰部」と呼ぶ。体幹関節10は、ヒ
トの背骨が持つ自由度を表現する作用を有する。また、
股関節11より下の大腿部12、膝関節14、下腿部1
3、足首15及び足部16からなる部分を「下肢」と呼
ぶ。一般には、股関節より上方を「上体」と呼び、それ
より下方を「下体」と呼ぶ
【0138】また、図16には、人間型ロボットの他の
関節モデル構成を図解している。同図に示す例は、体幹
関節10を有しない点で図15に示した例とは相違す
る。各部の名称については図を参照されたい。背骨に相
当する体幹関節が省略される結果として人間型ロボット
の上体の動きは表現力を失う。但し、危険作業や難作業
の代行など、産業目的の人間型ロボットの場合、上体の
動きを要しない場合がある。なお、図15及び図16で
用いた参照番号は、それ以外の図面とは一致しない点を
理解されたい。
【0139】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、
転倒時にロボットが被る損害を限りなく軽減することが
できる、脚式移動型ロボットのための優れた制御方法メ
カニズムを提供することができる。
【0140】また、本発明によれば、転倒時にロボット
が被る損害を限りなく軽減することができるように動作
パターンを生成することができる、脚式移動型ロボット
のための優れた制御方法メカニズムを提供することがで
きる。
【0141】また、本発明によれば、転倒時に強度的に
弱い部位が着床するのを回避して、ロボットが被る損害
を限りなく軽減することができるように動作パターンを
生成することができる、脚式移動型ロボットのための優
れた制御方法メカニズムを提供することができる。
【0142】本発明によれば、姿勢センサ出力や接地確
認センサ出力による傾斜や着床・離床検出、さらには床
反力の算出結果に基づいて、ロボットが転倒する際の転
倒方向を早めに検出して、体幹部、下肢部、上肢部など
の各関節部アクチュエータを制御することで、優先着床
部位から着床するような動作パターンを生成し且つ動作
パターンを実行することができる。優先着床部位は、他
の部位に比し強度が充分確保されているので、転倒に伴
なうロボット100が被る損傷を最小限に抑えることが
できる。
【0143】また、本発明によれば、着床の方位を制御
することも可能であるので、転倒不可能な方位がある場
合や、次の動作にスムースに移行できるような姿勢で着
床させたい場合など、所望の方向に転倒させたいときに
も有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供される人間型ロボット100
を前方から眺望した様子を示た図である。
【図2】本発明の実施に供される人間型ロボット100
を後方から眺望した様子を示た図である。
【図3】本実施例に係る人間型ロボット100が具備す
る自由度構成モデルを模式的に示した図である。
【図4】本実施例に係る人間型ロボット100の制御シ
ステム構成を模式的に示した図である。
【図5】ロボット100の転倒時の損傷軽減処理を実現
するための機能ブロック図である。
【図6】ロボット100が転倒する際に実行する損傷軽
減処理手順の一例を示したフローチャートである。
【図7】ロボット100の転倒方向を算出する機能ブロ
ック図である。
【図8】ロボット100の転倒方向を算出する機能ブロ
ック図である。
【図9】ロール軸及びピッチ軸各方向の角速度と転倒方
向θとの関係を示した図である。
【図10】ロボット100が転倒する際における、動作
パターン生成手段156が生成する目標軌道の一例を示
した図であり、より具体的には、右手の掌を優先着床部
位として設定した場合にロボット100が転倒する様子
をシミュレートした図である。
【図11】右手の掌を優先着床部位として設定した場合
にロボット100が転倒する様子の他の例をシミュレー
トした図であり、より具体的には、右手の掌を優先着床
部位として設定した場合にであってロボット100が左
側に転倒する様子をシミュレートした図である。
【図12】ロボット100が転倒する際における、動作
パターン生成手段156が生成する目標軌道の一例を示
した図であり、より具体的には、背面部を優先着床部位
として設定した場合にロボット100が転倒する様子を
シミュレートした図である。
【図13】ロボット100が転倒する際における、動作
パターン生成手段156が生成する目標軌道の一例を示
した図であり、より具体的には、臀部を優先着床部位と
して設定した場合にロボット100が転倒する様子をシ
ミュレートした図である。
【図14】ロボット100が転倒する際における、動作
パターン生成手段156が生成する目標軌道の一例を示
した図であり、より具体的には、膝部を優先着床部位と
して設定した場合にロボット100が転倒する様子をシ
ミュレートした図である。
【図15】人間型ロボットについての関節モデル構成の
一例を模式的に示した図である。
【図16】人間型ロボットについての関節モデル構成の
他の例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1…頭部,2…首関節ヨー軸 3…首関節ピッチ軸,4…首関節ロール軸 5…体幹ピッチ軸,6…体幹ロール軸 7…体幹ヨー軸,8…肩関節ピッチ軸 9…肩関節ロール軸,10…上腕ヨー軸 11…肘関節ピッチ軸,12…前腕ヨー軸 13…手首関節ピッチ軸,14…手首関節ロール軸 15…手部,16…股関節ヨー軸 17…股関節ピッチ軸,18…股関節ロール軸 19…膝関節ピッチ軸,20…足首関節ピッチ軸 21…足首関節ロール軸,22…足部(足底) 30…頭部ユニット,40…体幹部ユニット 50…腕部ユニット,51…上腕ユニット 52…肘関節ユニット,53…前腕ユニット 60…脚部ユニット,61…大腿部ユニット 62…膝関節ユニット,63…脛部ユニット 80…制御ユニット,81…主制御部 82…周辺回路 91,92…接地確認センサ 93…姿勢センサ 100…人間型ロボット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B25J 5/00 B25J 13/00

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】移動ロボット装置において、前記移動ロボット装置の動作を制御する制御手段と、 前記移動ロボット装置の転倒方向を検出する転倒検出手
    段と、前記移動ロボット装置の部位のうち、前記移動ロボット
    装置が転倒する際に、最初に着床する部位を優先着床部
    位として設定する優先着床部位設定手段と、 前記転倒検出手段により検出された転倒方向に応じて、
    前記優先着床部位設定手段が設定した優先着床部位が最
    初に床面に着床することができる前記移動ロボット装置
    の動作パターンを生成する動作パターン生成手段とを備
    え、 前記移動ロボット装置が転倒する際に、前記制御手段
    は、前記移動ロボット装置の動作が前記動作パターンの
    目標軌道に追従するように制御する、 ことを特徴とする移動ロボット装置。
  2. 【請求項2】前記移動ロボット装置は臀部を備え、 前記優先着床部位設定手段は前記臀部を前記優先着床部
    位に設定する、 ことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット装置。
  3. 【請求項3】前記移動ロボット装置は背面部を備え、 前記優先着床部位設定手段は前記背面部を前記優先着床
    部位に設定する、 ことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット装置。
  4. 【請求項4】前記優先着床部位設定手段は前記移動ロボ
    ット装置の複数の箇所を前記優先着床部位に設定し、 前記複数の優先着床部位の中から転倒方向に応じた優先
    着床部位を選択する選択手段をさらに備える、 ことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット装置。
  5. 【請求項5】移動ロボット装置において、前記移動ロボット装置の動作を制御する制御手段と、 前記移動ロボット装置の転倒を検出する転倒検出手段
    と、前記移動ロボット装置の部位のうち、前記移動ロボット
    装置が転倒する際に、最初に着床させない部位を非優先
    着床部位として設定する非優先着床部位設定手段と、 前記転倒検出手段により転倒が検出されたことに応じ
    て、前記非優先着床部位設定手段が設定した非優先着床
    部位が最初に床面に着床しない前記移動ロボット装置の
    動作パターンを生成する動作パターン生成手段とを備
    え、 前記制御手段は、前記移動ロボット装置の動作が前記動
    作パターンの目標軌道に追従するように制御する、 ことを特徴とする移動ロボット装置。
  6. 【請求項6】前記移動ロボット装置は頭部を備え、 前記非優先着床部位設定手段は前記頭部を前記非優先着
    床部位に設定する、 ことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット装置。
  7. 【請求項7】移動ロボット装置の転倒制御方法におい
    て、 前記移動ロボット装置の転倒方向を検出する転倒検出ス
    テップと、前記移動ロボット装置の部位のうち、前記移動ロボット
    装置が転倒する際に、最初に着床する部位を優先着床部
    位として設定する優先着床部位設定ステップと、 前記転倒ステップにおいて検出された転倒方向に応じ
    て、前記優先着床部位設定ステップにおいて設定した優
    先着床部位が最初に床面に着床することができる前記移
    動ロボット 装置の動作パターンを生成する動作パターン
    生成ステップと、 前記移動ロボット装置の動作が前記動作パターンの目標
    軌道に追従するように制御する制御ステップと、 を具備することを特徴とする移動ロボット装置の転倒制
    御方法。
  8. 【請求項8】前記移動ロボット装置は臀部を備え、 前記優先着床部位設定ステップでは前記臀部を前記優先
    着床部位に設定する、 ことを特徴とする請求項7に記載の移動ロボット装置の
    転倒制御方法。
  9. 【請求項9】前記移動ロボット装置は背面部を備え、 前記優先着床部位設定ステップでは前記背面部を前記優
    先着床部位に設定する、 ことを特徴とする請求項7に記載の移動ロボット装置の
    転倒制御方法。
  10. 【請求項10】前記優先着床部位設定ステップでは前記
    移動ロボット装置の複数の箇所を前記優先着床部位に設
    定し、 前記複数の優先着床部位の中から転倒方向に応じた優先
    着床部位を選択する選択ステップをさらに備える、 ことを特徴とする請求項7に記載の移動ロボット装置の
    転倒制御方法。
  11. 【請求項11】移動ロボット装置の転倒制御方法におい
    て、 前記移動ロボット装置の転倒を検出する転倒検出ステッ
    プと、前記ロボット装置の部位のうち、前記移動ロボット装置
    が転倒する際に、最初に着床させない部位を非優先着床
    部位として設定する非優先着床部位設定ステップと、 前記転倒検出ステップにおいて転倒が検出されたことに
    応じて、前記非優先着床部位設定ステップにおいて設定
    した非優先着床部位が最初に床面に着床しない前記移動
    ロボット装置の動作パターンを生成する動作パターン生
    成ステップと、 前記移動ロボット装置の動作が前記動作パターンの目標
    軌道に追従するように制御する制御ステップと、 を具備することを特徴とする移動ロボット装置の転倒制
    御方法。
  12. 【請求項12】前記移動ロボット装置は頭部を備え、 前記非優先着床部位設定ステップでは前記頭部を前記非
    優先着床部位に設定する、 ことを特徴とする請求項11に記載の移動ロボット装置
    の転倒制御方法。
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