JP3526151B2 - トンネル掘進機の水平位置推定方法 - Google Patents
トンネル掘進機の水平位置推定方法Info
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Description
による方向修正機能を有するトンネル掘進機を用いた圧
入式小口径管推進工法における、地中のトンネル掘進機
の水平位置推定方法に関するものである。
通信の高速・広帯域化サービスに対するニーズの増大
と、今後のマルチメディア時代に向けて、情報通信サー
ビスの高度化・多様化が一層進むことが予想される。マ
ルチメディアサービスを提供するための光ファイバ網構
築においては、それを収容する通信用収納管路等の通信
用地下設備の建設が必須となっている。
ほとんどが開削工法により行われている。しかし、都市
部を中心に道路交通への支障、埋設物の錯綜、近隣への
振動・騒音等、開削工法をとり巻く状況は年々厳しさを
増してきており、非開削工法の普及拡大が望まれてい
る。この非開削工法では、埋設工事経路の両端に立て坑
を作り、内部に設置したトンネル機械によって地中を掘
削、推進し、管路埋設のためのトンネルを形成するよう
にしている。
00mm程度の小口径管が一般的であり、その埋設工事
には無排土方式の小口径のトンネル掘進機が実用化され
ており、これまで独自の方向修正機構、位置計測、方向
制御等が検討され、また実用システムとして多数の施工
実績が得られている。このようなトンネル掘進機は、発
進立坑に設置した元押し装置によりトンネル掘進機本体
を油圧で押し込み推進させ、その方向修正は掘進機先端
のパイロットヘッド水平角を制御して方向修正を行うも
ので、N値15以下の軟・一般土質地盤に適用され、3
00mm径管路の長距離(最大250m)・曲線推進
(曲率半径150m以上)を実現している。
掘削位置の検出には、従来、図2に示すように掘進機先
端のパイロットヘッドから電磁波を発生し、これを地上
のアンテナで受け、その強度から位置を推定する電磁界
法が用いられてきた。この電磁界法は掘進機先端部のパ
イロットヘッド内部に搭載したコイルから交流磁界を発
生し、これを掘進機先端上方の地上部に設置した受信器
で検知する方法である。しかし、電磁界法では、掘進機
先端上方の地上部に設置した受信器等の測定器に常に作
業者が必要であり、かつ1m2 程度の区画を占有して計
測しなければならないことから、道路交通の支障となる
等、測定作業に困難が伴う。また、近くに磁性体埋設
物、金属埋設物及び地上の道路金属付属物等があると磁
界が歪む等の影響を受け、また河川・軌道越し等のよう
に測定のための人が立ち入れない場所では計測を行うこ
とが不可能であり、さらに現システムでは地下5m以下
では磁界強度が弱くその位置の計測が不可能である等の
欠点がある。
1本の布設終了毎(約2.5m)に行っており、そのめ
た方向を制御するパイロットヘッド角修正操作毎の推進
位置が得られず、自動制御の実現が困難である。
レートジャイロを設置し、その出力(角速度)を時間と
距離で積分し位置を計測する方法が研究されている。こ
のジャイロには、機械式ジャイロに比べ保守が容易であ
り現場での使用に適し、かつ精度が高く、保守が容易な
光ファイバジャイロが用いられている。
種々の誤差が発生する。第1には、ジャイロの零点ドリ
フト誤差がある。これはトンネル掘削のような低速運動
では、温度ドリフトによる零点誤差が生じ、計測値の時
間変動として計測される。このとき角速度誤差が一定の
場合、変位誤差は推進距離の2乗に比例して増大する。
具体的には、ジャイロが位置的に静止していても温度ド
リフトにより生じた零点誤差のためある角速度を出力す
るため、これを時間と距離で積分することにより、ジャ
イロを含むパイロットヘッドが直進状態であっても曲が
ったルートを推進しているものとして検出される。
ある。ジャイロの測定感度が正方向と負方向の回転に対
して同一でない場合、ジャイロが揺動すると、角度が原
点に戻っても計測値はゼロとならない。また、トンネル
掘進機に振動的な外乱が加わると、ゼロ点誤差が集積
し、影響が大きくなる。
イロの初期方位がトンネル掘進機の初期方位に正確に一
致していないと、推進距離に比例した変位誤差が発生す
る。例えば、ジャイロの初期角度は元押し装置据え付け
方位を基準として設定されるが、これが計画線とずれて
いると、ジャイロの計測誤差に据え付け誤差が加算され
ることなる。
差がある。ジャイロ計測では、トンネル掘進機の角度を
推進距離で積分して推進経路を求める。このため、トン
ネル掘進機がジャイロ搭載位置で経路曲線に接しつつ移
動すれば、ジャイロ計測値は真の経路に一致する。しか
し、例えば、トンネル掘進機が回転せずに平行移動した
場合には、実際の変位に関わらず見かけの変位はゼロと
なる。また、トンネル掘進機の先端装置は剛体であるこ
とから、ジャイロをどこに載せても計測される角度は同
じとなり、ジャイロ計測値も同じとなる。しかし、直線
状の先端装置が曲線経路を進む場合、どこかの位置で横
移動が発生していることになり、先端装置上の位置によ
って真の軌跡はわずかに異なる。このように、ジャイロ
計測値と真の軌跡とは、一般には一致しない。
置情報のみから所定の推進位置に対する位置推定を行う
計測法が提案されている。これには折れ角累積による方
法がある。この折れ角累積による方法は、トンネル掘進
機において、中折れ機構部で分断される前後推進筒の相
対角(折れ角)を折れ角センサにより計測し、これを累
積することにより位置を算出する方法である。この方法
は、トンネル掘進機の水平挙動モデル中の未知パラメー
タを統計的手法を用いて、折れ角センサ等の他の計測方
法による計測値で同定することによりシステムを確定
し、その確定されたシステムに折れ角を入力することに
より位置を算出するものである。
て説明する。中折れ機構に取り付けた折れ角センサの計
測原理について説明する。図11に中折れ機構の構造を
示す。この中折れ機構は、互いに折れ曲がり得る前部推
進筒113と後部推進筒117とから構成されている。
図11(a)は真直ぐな状態を示し、図11(b)は折
れ曲がった状態を示している。後部推進筒117には、
前部推進筒113に固定された内管113aが挿入され
ており、この後部推進筒117の前端の内径は、内管1
13aの外径にほぼ等しくなっているので後部推進筒1
17はその前端を支点として、隙間が許す範囲で自由に
折れることができる。そして、内管113aの前端から
一定距離だけ離れた位置に設けた直線変位型ポテンショ
メータ(以後折れ角センサと呼ぶ)141を用いて、内
管113aと後部推進筒117の隙間の、折れ角が零度
のときの隙間との差を計測すれば、簡単な計算によって
内管113aの後部推進筒117に対する角度、すなわ
ち前部推進筒113の後部推進筒117に対する折れ角
を求めることができる。
くパイロットヘッドの傾動操作の出力結果であり、この
モデルを用いて位置推定を行っても、方向制御に際し
て、次回のパイロットヘッドの傾動角が決定できない。
従来のトンネル掘進機は、路上での困難な測定作業を伴
うと共に交通支障となり、軌道・河川越しでの測定が不
可能であり、また従来の位置推定法は1ストローク毎の
位置を推定できない、制御入力量であるパイロットヘッ
ドの設定角と水平位置の連続的関係が明確にできない等
の問題点を有していた。
法は、推定のもとにしているモデルが入出力関係を表現
しておらず、オペレータに推定位置を示すのみであっ
た。さらに、モデルがトンネル掘進機の実際の姿勢や位
置の変化を実現できているとは言い難く、推定結果に大
きな誤差を伴う場合があった。
で、現場での水平位置予測を高精度で実現可能とし作業
効率の向上を目指すことのできるトンネル掘進機の位置
推定方法を提供することを目的とする。
ために、本発明は、修正方向へ傾動させたパイロットヘ
ッドをパイロットジャッキの伸長により地中に圧入した
後に、パイロットジャッキを縮退しつつ元押しジャッキ
により中折れ部を介して前部推進筒と後部推進筒とが水
平面で傾動自在に接続されるトンネル掘進機とこれに後
続された埋設管全体を推進させて圧入式小口径管推進用
のトンネルを形成していくときのトンネル掘進機の水平
位置推定方法において、設定したパイロットヘッド水平
角の大きさ及び変化させた角度をもとに、前記修正方向
へパイロットヘッドを傾動させる操作、前記パイロット
ヘッドをパイロットジャッキの伸長により地中に圧入す
る操作、前記元押しジャッキにより中折れ部を介して前
部推進筒と後部推進筒とが傾動自在に接続されるトンネ
ル掘進機とこれを後続された埋設管全体を推進させる操
作をする3操作の各操作終了毎の水平姿勢角の変化を求
め、これらを線形結合して1ストローク毎の水平姿勢変
化角を求める第1の過程と、発進立坑内にトンネル掘進
機を設置した時の掘進機の基準線からのずれ角である水
平姿勢角の初期値と前記第1の過程によって求められた
1ストローク毎の水平姿勢変化角とを累積することによ
り任意ストローク経過後のトンネル掘進機の水平姿勢角
を求める第2の過程と、トンネル掘進機の各部の長さと
パイロットヘッド圧入時の反動による前記中折れ部の水
平戻り距離及び前記第1の過程により算出する3操作の
各操作終了毎の水平姿勢角の変化により、3操作の各操
作終了毎の基準線からの水平距離の変化を求め、これら
の値を線形結合して、1ストローク毎のトンネル掘進機
の中折れ部の基準線からの水平距離の変化を求める第3
の過程と、前記第3の過程によって求められた1ストロ
ーク毎の中折れ部の基準線からの水平距離の変化の累積
とこの水平距離の初期値から求まる中折れ部の基準線か
らの水平距離と、前記第2の過程で求めたトンネル掘進
機の水平姿勢角と、パイロットヘッド水平角及びトンネ
ル掘進機各部の長さから任意ストローク経過後の水平位
置を算出する第4の過程とを有することを要旨とする。
工法におけるトンネル掘進機の方向制御操作毎に、制御
入力量であるパイロットヘッドの傾動角と水平姿勢変化
角の関係から水平位置を求めるモデルをもとに、未知パ
ラメータを推定しながら水平位置推定を可能とすること
を最も主要な特徴とする。
作毎に、制御入力量であるパイロットヘッドの傾動角に
対す姿勢・位置変化を表現した本モデルをもとに位置推
定を行うと、オペレータのパイロットヘッドの操作量と
位置の関係が明確となり、次回の操作量の指針を与える
ことにもなる。さらに、モデルが方向制御手順毎の水平
姿勢変化を表現しているため、より実際に近い挙動を表
現しており、精度の高い推定が可能となっている。これ
らの利点は、現場での水平位置予測を高精度で実現可能
とし、オペレータへ制御量の指針を与えることが可能と
なる。
の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態
に係るトンネル掘進機の構成を示す斜視図である。図1
に示すトンネル掘進機は圧入式小口径管推進工法を用い
ている。
る。トンネル掘進機1はパイロットヘッド水平角修正機
構及び中折れ機構を有するトンネル掘進機本体11、ト
ンネルを形成する埋設管T、トンネル掘進機本体11及
び埋設管Tを油圧で押し込む元押し装置13、この発進
立坑15内の元押し装置13に油圧を供給する油圧装置
17、推進力の管理、掘進機の姿勢監視、パイロットヘ
ッド水平角の修正等を行う操作盤19により構成され
る。Gは地表を示す。
ンネルの形成について概略を説明する。図2および図3
を参照するに、発進立坑15内に設置される元押し装置
13によりトンネル掘進機本体11をトンネル掘進機本
体11先端のパイロットヘッド111と共に地中に圧入
し、若しくはパイロットジャッキ119でパイロットヘ
ッド111のみを地中に圧入し掘進することでトンネル
が形成される。また圧入後は、トンネル掘進機本体11
後端に順次継ぎ足した埋設管T全体を、発進立坑15に
設置した元押し装置13により油圧で押し込みながらト
ンネルを形成していく。オペレータPは位置計測値をも
とに操作盤19によりパイロットヘッド水平角を逐次設
定し、設計軌道に沿うように方向制御を行う。
11の詳細と電磁界法による水平位置計測手法について
説明する。まずトンネル掘進機本体11の構成の詳細に
ついて説明すると、トンネル掘進機本体11は、パイロ
ットヘッド111と中折れ機構を有する中折れ部115
を境にして前部推進筒113と後部推進筒117から構
成され、パイロットヘッド111内部には、発信コイル
131が搭載されている。電磁界法による水平位置の計
測は、地表Gで受信機135に60cm間隔で取り付け
た2つの受信コイル137a,137bに生じる発信コ
イル131より発せられた磁力線133による誘起電圧
を、測定器139にて計測し、左右の電圧値からパイロ
ットヘッド111の設計軌道とのズレ量を特定する方法
をとっている。なお、パイロットヘッド111にGPS
用のアンテナを、後部推進筒117に折れ角センサ14
1を装着して、位置精度をより正確にするようにしても
良い。
11の方向修正方法について説明する。まず、図3
(2)に示すように右部の方向修正ジャッキ121Rを
縮め、左部のジャッキ121Lを伸ばし、パイロットヘ
ッド111を左方に傾動する。次に図3(3)に示すよ
うにパイロットジャッキ119を伸ばし、パイロットヘ
ッド111を修正方向の地中に向かって圧入する。そし
て、図3(4)に示すようにパイロットジャッキ119
を縮めると同時に元押し装置13の元押しジャッキを伸
ばし、推進管Tを押し込む。さらに、元押しジャッキを
縮めると同時に、ジャッキ移動用スクリューを回転し、
元押しジャッキを前方に移動する。この手順1サイクル
で45cm推進し、6サイクルで管1本分の推進を終了
する。そして推進管Tを接続し、このサイクルを繰り返
す。以後、この1サイクルを1ストロークと呼ぶ。
説明する。kを任意のストローク数として、k及び(k
+1)ストローク時のパイロットヘッド角をηk 及びη
k+1 とし、kから(k+1)ストローク時の各操作毎の
前部推進筒の水平姿勢角の変化及びその回転中心の位置
について以下の3つの仮定を設ける。
終了時からパイロットヘッド水平角を変化させたときに
前部推進筒113の姿勢は変化する。図4は、これを模
式的に表したものである。同図において、Lf は前部推
進筒113の長さ、fβは前回の全体推進終了時からパ
イロットヘッド角を変化させた時の前部推進筒113の
水平姿勢変化の中心となる位置の中折れ部115からの
距離と前部推進筒113の長さの比、Lh はパイロット
ヘッド111の長さ、fh はパイロットヘッド111の
水平姿勢変化の中心となる位置の前部推進筒113先端
からの水平距離とパイロットヘッド111の長さの比、
ξβは前部推進筒113の水平姿勢変化角、Oは前部推
進筒先端位置、Cは中折れ部115、Δηk は、パイロ
ットヘッド水平角の変化量ηk+1 −ηk である。このと
きのトンネル掘進機の水平姿勢角の変化は近似的にパイ
ロットヘッド水平角の変化量に比例すると考えパラメー
タβを導入し−β(ηk+1 −ηk )とする。
パイロットヘッド水平角の大きさに応じた反動があり、
前部推進筒の姿勢は変化すると考える。図5は、これを
模式的に表したものである。同図において、Ls はパイ
ロットヘッド圧入長、すなわち1ストローク長、fαは
パイロットヘッド圧入時の前部推進筒の水平姿勢変化の
中心となる位置の中折れ部からの水平距離と前部推進筒
の長さの比である。他の記号が示すものは、図4と同一
である。このときのトンネル掘進機の水平姿勢角の変化
はヘッドの傾動角に比例するものとし、パラメータαを
導入し、−αηk+1 とする。また、このとき中折れ部は
後方にRだけ移動するものとする。
ッド先端の位置は圧入した位置を動かず、中折れ部はヘ
ッド圧入操作終了後の前部推進筒の位置を辿るように動
くものとする。図6において、Dc は全体推進による中
折れ部115の移動距離、Fはヘッド圧入完了時の前部
推進筒先端113の位置、Hはヘッド圧入完了時のヘッ
ド後端の位置、Pはヘッド先端の位置、C′は全体推進
完了後の中折れ部115の位置、H′は全体推進完了時
のヘッド後端の位置、点Oは点Fと点Hとを結ぶ直線
と、点C′と点H′とを結ぶ直線との交点、xは点Oと
点Hとを結ぶ直線の長さ、yは点Oと点H′とを結ぶ直
線の長さ、ξは全体推進時の前部推進筒113の水平姿
勢変化角である。
勢変化角を算出し、それらを線形結合して1ストローク
当たりの前部推進筒113の水平姿勢変化角Δθfk(θ
fk+1−θfk)を算出する。ここで、θfkはkストローク
時の前部推進筒113の基準線からの水平相対角であ
る。その準備として、埋設管Tを弾性床上の梁としてモ
デル化し、周辺地盤と後続管数の影響について力学的に
考察する。
数、Iは断面二次モーメント)が弾性床上にあるとし
て、幅方向に一様の条件を仮定すると、たわみの式は次
の関係で与えられる。
単位をもつものとする。wは単位長さ当たりの荷重であ
る。
である。
設管相互は溶接されておらず、さし込み形式をとってい
る。このため、埋設管相互はピン結合されているものと
見なす。したがって、両端のモーメントは0である。こ
の境界条件のもと、任意の管とその掘削機側の管を自由
物体としてそれぞれ取り出したとき、それぞれの左端
(立坑側)に作用させるべき集中荷重の大きさと変位の
関係を求める。地盤バネ値をks 、それぞれの集中荷重
をPn とPn+1 、変位をyn ,yn+1 、埋設管の長さを
Lc とし、任意の管の左端と右端では、せん断力の符号
の定義が逆であることと、接合点の適合条件に注意すれ
ば、
れた直後の埋設管の立坑側接合点の値とする。この点で
は次の管が接続されているため、モーメントは0であ
り、次の管が元押し装置により左右方向に拘束されてい
るので、変位も近似的に0と見なすと、回転支点となり
y0 =0の境界条件を得る。したがって、
位の比Kn は、
る。a11 (n) ,a21 (n) を計算するために、 (A−a11 (1) I)2 =a12 (1) a21 (1) I となる関係を利用する。Iは2×2の単位行列である。
この関係に値を入れ展開し整理すると
0。上の関係より式(4)のδn /γn の部分は
される。
て考察する。いま、
し、式(5)を参照すれば、 h21 (n) =−h12 (n) を得る。さらに、|H|=1であるので |Hn |=|H||H|…|H|=1 である。以上の準備のもと、1−wn /wn+1 を計算す
ると
れば明らかに単調増加となる。aの絶対値は管を剛体と
した場合、最小値2をとる。したがって
に減少するので、この値が本モデルで水平位置に与える
影響を考慮すると、nはそう大きくなくてもよい。換言
すれば、弾性床上の梁モデルでの解析範囲はこの程度で
よいことになり、境界条件を立坑鏡部にとる必要もない
ことになる。
ヘッド111を自由物体として取り出し、つりあい条件
式のみで解析するため、切断部の適合条件として、中折
れ部115に作用させる等価な集中荷重とその変位の比
Kと地盤バネ値ks の比K/ks を求める。地盤反力係
数の計算は日本道路協会の道路橋示方書・同解説、IV
下部構造編によればよいが、地盤反力係数は載荷される
部材の載荷幅及び断面2次モーメントにより変化し、さ
らに、地盤バネ値はこれに載荷幅を乗じたものである。
部の地盤バネ値はすべて異なる。しかし、トンネル掘進
機各部の断面2次モーメントはその内部の複雑な機構か
ら正確に評価しがたい。したがって、近似的に地盤バネ
値は各部で同じとする。また、断面2次モーメントの値
は不明であるが、トンネル掘削機各部の剛性は埋設管T
より明らかに大きいので掘削機本体は剛体として取り扱
う。中折れ部115のせん断力をP、変位をy、後部推
進筒117の長さをLr とすると、n管が地中に布設さ
れている状態で、後部推進筒117を自由物体として取
り出したときの両端のせん断力と変位の関係は力の釣り
合いより
列表示すると
にK/ks =Leqと表しておく。
勢変化角を求める。 最初に、図4に基づき[仮定1]
によりLeqを用いβ,fβを算出する。ヘッドを傾動し
たとき、ヘッドと前部推進筒は図4のような地盤反力を
受けるものとする。まず、力及びモーメントの釣り合い
条件式よりfh ,fβを求める。ヘッドと先導体前部の
継ぎ目部分を点Oとし、この点の変位を単位長さとする
と、ヘッド先端の変位は(1−fh )/fh 、中折れ部
115の変位はfβ/(1−fβ)である。したがっ
て、中折れ部以前を自由物体として取り出した時、中折
れ部115には後続管から受ける等価な力Kfβ/(1
−fβ)を作用させる。また、掘進機が周辺地盤より受
ける力は、変位した面積に地盤バネ値ks を乗じた値で
ある。以上を考慮し、力とモーメントの釣り合い条件式
の各項をks で除して整理すると、以下のようになる。
力の釣り合いより
βとすると、幾何学的関係から fh Lh (Δη−ξβ)=(1−fβ)Lf ξβ となるので、水平姿勢変化角ξβとパイロットヘッド水
平角の変化Δηの比βは、
を用いfαを算出する。ヘッドを前方地山へ圧入した
時、ヘッド先端に地山からの反力が作用する。しかし、
圧入式の推進では前方の土を圧密しながら進むため、土
を弾性体として扱うことはできない。したがって以下の
ようにして近似的にfαを算出する。ヘッドを前方地山
に圧入した時、反動で前部推進筒が−αηだけ回転する
と前部推進筒及びヘッドが受ける地盤反力が図5のよう
になり全体が静止するものとする。ここで、先導体の回
転角はヘッドの伸長量に比例するものと仮定する。ま
た、cos αη=1と近似している。l=(1−fα)L
f とし、回転中心からの距離をr、角度をθとした極座
標を用い点Oでモーメントをとると
押し時のみの水平姿勢変化角ξを計算する。図6におい
て、△OFC′と△OH′Pは明らかに相似である。点
Oと点Hとの間の距離をx、点Oと点H′との間の距離
をyとし、△OH′Pについて正弦定理から
弦定理から
化角Δθfkは、各操作毎の水平姿勢変化角の線形結合に
より、
らの水平距離の変化Δyck(yck+1−yck)について計
算する。
いて述べる。ここでは単純に1ストローク長Ls から推
進管長Lc を1管推進に要するストローク回数(原則的
に6)で割った値を引いたものとする。すなわち
準線からの水平距離の変化Δyckを求める。図7におい
て、kストローク時の中折れ部C0 がヘッド傾動により
C1 、ヘッド圧入によりC2 へ、元押し後にC3 へと移
動したとする。ただし、Oβ,Oαはそれぞれヘッド傾
動時の回転中心、ヘッド圧入時の反動による回転中心で
ある。kストローク時の前部推進筒と基準線とのなす水
平角をθfkとすると、
線からの水平距離yk は と計算でき、入出力特性を表すモデルとなった。
一例を示す。
解析)法には種々あるが、これを同定する計測値は現場
計測値であり、非常にばらつきが多いため、確率論を基
本においた方法が有効であると考えられる。また、この
パラメータは、物理的に考えても、切羽の土質変化に応
じて変動するものと考えられ、逐次的に更新する必要が
ある。こういった理由から、水平位置の予測には、計測
値が得られる度にパラメータを更新し、連続的に位置予
測が可能なカルマンフィルタを用いる手法をとる。
を状態空間表示式に表す。ただし、計測データが電磁界
法による水平位置データのみの場合について記す。ま
ず、状態量にyc ,θf ,αをとり、それぞれに確率的
変動をwk 程度与えると状態方程式は推定入力ベクトル
を含み、次のように表される。
加え yk =Hxk +vk ただし、観測値yk は、電磁界法での測定値をmk とす
ると、 yk =mk −Lh ηk 観測行列Hは H=[1 Lf +Lh 0] である。
を含むカルマンフィルタを適用すれば、αが推定でき、
水平位置を予測できる。
画推進線形は直線である。また、トンネル掘進機の1ス
トローク長は45cmであり、埋設管は呼び径300の
鋼管で、長さは250cm、外径は32.85cm、断
面二次モーメントは8,200cm4 、弾性係数は2.
1×106 cm4 である。土質は、関東ロームでN値が
9であり、この条件で地盤バネ値を道路橋示方書IV下
部構造編の方法に基づき計算すると、143.8kgf
/cm2 である。また、Leqは後続管数が2本で45.
4cmとなり、以降、後続管数の増大によるこの値の変
化は加速度的に小さくなり、実用上この程度の桁で充分
である。このことは、Leqを用いて算出するβ,fβ,
fαが、定数として算出できることを示しており、大幅
な計算時間の短縮が図れる。各パラメータを算出すると
表1のようになる。
態量の推定誤差共分散行列の初期値Σ0 は
先の推定値の平均誤差は1cm未満に収まっていること
から、本位置推定法の有効性が確認できる。
の計測データが必要となるが、推進初期の段階では操作
盤付近での計測となるので、オペレータの負担も少な
く、初期の段階で位置が大きくずれることはまずないの
で、問題はない。
ンネル掘進機の方向制御手順毎にパイロットヘッドの傾
動角から水平姿勢変化角及び水平位置を算出する入出力
特性を記述したモデルに対し、カルマンフィルタアルゴ
リズムを適用することにより、従来法ではできなかった
マシンの実際の挙動に応じた制御入力量と出力量との関
係を表現でき、オペレータに方向修正の指針を与えなが
ら、水平位置予測が高精度で可能となる。さらに、電磁
界法による測定間隔を広げて行い得るようになり、困難
を伴う作業及び道路交通の支障を軽減でき、測定不可能
な箇所の位置推定も可能となり、工期短縮にも貢献でき
る。
構成図である。
めの説明図である。
の説明図である。
用する力と変位を説明するための説明図である。
用する力と変位を説明するための説明図である。
位を説明するための説明図である。
変位を示す特性図である。
位置)を説明するための特性図である。
対角)を説明するための特性図である。
図である。
原理を説明する図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 修正方向へ傾動させたパイロットヘッド
をパイロットジャッキの伸長により地中に圧入した後
に、パイロットジャッキを縮退しつつ元押しジャッキに
より中折れ部を介して前部推進筒と後部推進筒とが水平
面で傾動自在に接続されるトンネル掘進機とこれに後続
された埋設管全体を推進させて圧入式小口径管推進用の
トンネルを形成していくときのトンネル掘進機の水平位
置推定方法において、 設定したパイロットヘッド水平角の大きさ及び変化させ
た角度をもとに、前記修正方向へパイロットヘッドを傾
動させる操作、前記パイロットヘッドをパイロットジャ
ッキの伸長により地中に圧入する操作、前記元押しジャ
ッキにより中折れ部を介して前部推進筒と後部推進筒と
が傾動自在に接続されるトンネル掘進機とこれを後続さ
れた埋設管全体を推進させる操作をする3操作の各操作
終了毎の水平姿勢角の変化を求め、これらを線形結合し
て1ストローク毎の水平姿勢変化角を求める第1の過程
と、 発進立坑内にトンネル掘進機を設置した時の掘進機の基
準線からのずれ角である水平姿勢角の初期値と前記第1
の過程によって求められた1ストローク毎の水平姿勢変
化角とを累積することにより任意ストローク経過後のト
ンネル掘進機の水平姿勢角を求める第2の過程と、トン
ネル掘進機の各部の長さとパイロットヘッド圧入時の反
動による前記中折れ部の水平戻り距離及び前記第1の過
程により算出する3操作の各操作終了毎の水平姿勢角の
変化により、3操作の各操作終了毎の基準線からの水平
距離の変化を求め、これらの値を線形結合して、1スト
ローク毎のトンネル掘進機の中折れ部の基準線からの水
平距離の変化を求める第3の過程と、 前記第3の過程によって求められた1ストローク毎の中
折れ部の基準線からの水平距離の変化の累積とこの水平
距離の初期値から求まる中折れ部の基準線からの水平距
離と、前記第2の過程で求めたトンネル掘進機の水平姿
勢角と、パイロットヘッド水平角及びトンネル掘進機各
部の長さから任意ストローク経過後の水平位置を算出す
る第4の過程とを有することを特徴とするトンネル掘進
機の水平位置推定方法。 - 【請求項2】 前記パイロットヘッドは前記前部推進筒
に進退自在にかつ傾動自在に取り付けられるとき、kを
任意のストローク数として、kストローク及び(k+
1)ストローク時のパイロットヘッド水平角をそれぞれ
ηk 及びηk+1 とし、Ls を1ストローク長とし、Lf
を前部推進筒の長さとし、Lh をパイロットヘッドの長
さとし、さらにα,βをそれぞれパラメータとしたと
き、1ストローク当たりの水平姿勢変化角Δθfkが 【数1】 に基づき算出されることを特徴とする請求項1記載のト
ンネル掘進機の水平位置推定方法。 - 【請求項3】 前記パイロットヘッドは前部推進筒に進
退自在にかつ傾動自在に接続されるとき、kを任意のス
トローク数として、kストローク及び(k+1)ストロ
ーク時のパイロットヘッド水平角をそれぞれηk 及びη
k+1 とし、θfkをkストローク時の前部推進筒と基準線
とのなす水平角とし、fαをパイロットヘッド圧入時の
前部推進筒の水平姿勢変化の中心となる位置の中折れ部
からの水平距離と前部推進筒の長さの比とし、fβを前
回の全体推進終了時からパイロットヘッド角を変化させ
た時の前部推進筒の水平姿勢変化の中心となる位置の中
折れ部からの水平距離と前部推進筒の長さの比とし、L
f を前部推進筒の長さとし、Ls を1ストローク長と
し、fh をパイロットヘッドの水平姿勢変化の中心とな
る位置の前部推進筒先端からの水平距離とパイロットヘ
ッドの長さの比とし、α,βをそれぞれパラメータと
し、Rを中折れ部の後方への移動量としたとき、1スト
ローク当たりの中折れ部の基準線からの水平距離の変化
Δyckが 【数2】 に基づき算出されることを特徴とする請求項1記載のト
ンネル掘進機の水平位置推定方法。 - 【請求項4】 前記パイロットヘッドは前部推進筒に進
退自在にかつ傾動自在に接続されるとき、kを任意のス
トローク数として、kストローク及び(k+1)ストロ
ーク時のパイロットヘッド水平角をそれぞれηk 及びη
k+1 とし、θfkをkストローク時の前部推進筒と基準線
とのなす水平角とし、Lf を前部推進筒の長さとし、L
h はパイロットヘッドの長さ、Δyckを1ストローク当
たりの中折れ部の基準線からの距離の変化とし、kスト
ローク時のパイロットヘッド先端の基準線からの距離y
k が、 yk =yck+(Lf +Lh )θfk+Lh ηk に基づき算出されることを特徴とする請求項1記載のト
ンネル掘進機の水平位置推定方法。 - 【請求項5】 前記第1の過程におけるパイロットヘッ
ドの傾動時のトンネル掘進機の水平姿勢変化角とパイロ
ットヘッドの水平変化角との比を、周辺土質の物性値と
後続管数から解析的に求めることを特徴とする請求項1
記載のトンネル掘進機の水平位置推定方法。 - 【請求項6】 前記第1の過程におけるパイロットヘッ
ド圧入時の反動によるトンネル掘進機の水平姿勢変化角
とパイロットヘッド水平角との比を、地上に設置される
水平位置計測手段による計測値により推定することを特
徴とする請求項1または請求項5記載のトンネル掘進機
の水平位置推定方法。 - 【請求項7】 前記第1の過程におけるパイロットヘッ
ド圧入時の反動によるトンネル掘進機の水平姿勢変化角
とパイロットヘッド水平角との比を、トンネル掘進機の
絶対方位からの水平相対角から推定することを特徴とす
る請求項1または請求項5記載のトンネル掘進機の水平
位置推定方法。 - 【請求項8】 前記第1の過程におけるパイロットヘッ
ド圧入時の反動によるトンネル掘進機の水平姿勢変化角
とパイロットヘッド水平角との比を、地上に設置された
水平位置計測手段による計測値とトンネル掘進機の絶対
方位からの水平相対角とから推定することを特徴とする
請求項1または請求項5記載のトンネル掘進機の水平位
置推定方法。 - 【請求項9】 前記第1の過程における元押しによる全
体推進終了時のパイロットヘッド圧入完了時からのトン
ネル掘進機の水平姿勢変化角とパイロットヘッド角との
比を、パイロットジャッキの伸長量とトンネル掘進機の
前部推進筒の長さとパイロットヘッド部の長さの和の比
から求めることを特徴とする請求項1または請求項5記
載のトンネル掘進機の水平位置推定方法。 - 【請求項10】 前記第2の過程におけるパイロットヘ
ッド傾動時のトンネル掘進機の水平姿勢変化の中心とな
る位置の中折れ部からの水平距離と前部推進筒の長さと
の比を、周辺土質の物性値と後続管数から解析的に求め
ることを特徴とする請求項1記載のトンネル掘進機の水
平位置推定方法。 - 【請求項11】 前記第2の過程におけるパイロットヘ
ッド圧入時のトンネル掘進機の水平姿勢変化の中心とな
る位置の中折れ部からの水平距離と前部推進筒の長さと
の比を、周辺土質の物性値と後続管数から解析的に求め
ることを特徴とする請求項1記載のトンネル掘進機の水
平位置推定方法。 - 【請求項12】 前記第2の過程におけるパイロットヘ
ッド圧入完了時のトンネル掘進機の中折れ部の水平戻り
量を、パイロットジャッキの1操作の伸長量と管長を1
管布設に要したストローク数で除したものとの差とする
ことを特徴とする請求項1記載のトンネル掘進機の水平
位置推定方法。 - 【請求項13】 前記トンネル掘進機の水平姿勢角及び
中折れ部の基準線からの水平距離の初期値を、地上から
の他の水平位置計測手段による計測若しくは計測値によ
り推定することを特徴とする請求項1記載のトンネル掘
進機の水平位置推定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29054296A JP3526151B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | トンネル掘進機の水平位置推定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29054296A JP3526151B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | トンネル掘進機の水平位置推定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10131671A JPH10131671A (ja) | 1998-05-19 |
JP3526151B2 true JP3526151B2 (ja) | 2004-05-10 |
Family
ID=17757380
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29054296A Expired - Lifetime JP3526151B2 (ja) | 1996-10-31 | 1996-10-31 | トンネル掘進機の水平位置推定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3526151B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100414822B1 (ko) * | 2001-09-26 | 2004-01-13 | 주식회사 대석엔지니어링 | 포크레인에 장착되는 굴착장치 |
-
1996
- 1996-10-31 JP JP29054296A patent/JP3526151B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10131671A (ja) | 1998-05-19 |
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