JP3521666B2 - 偏光分離素子およびこれを用いた投写型表示装置 - Google Patents

偏光分離素子およびこれを用いた投写型表示装置

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JP3521666B2
JP3521666B2 JP00265697A JP265697A JP3521666B2 JP 3521666 B2 JP3521666 B2 JP 3521666B2 JP 00265697 A JP00265697 A JP 00265697A JP 265697 A JP265697 A JP 265697A JP 3521666 B2 JP3521666 B2 JP 3521666B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に光の偏光を利
用する空間光変調素子を照明する際に用いる偏光分離素
子と、当該偏光分離素子を用いた投写型表示装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、原画像を投写レンズを用いて拡大
投影する投写型表示装置として、CRTを用いるもの、
光源と空間光変調素子を用いるもの、が知られている。
空間光変調素子としては、ツイストネマチック液晶を用
いた透過型の液晶パネルが知られており、投写器の小型
化が容易であること、画素数の豊富なパネルを用いれば
高精細な画像を投影できること、直視用途で液晶パネル
の量産技術が確立されていること、などから広く実用化
されている。
【0003】ツイストネマチック液晶は光の偏光を利用
するので、このような空間光変調素子は入射側と出射側
に偏光子を備える。空間光変調素子を照明する光のう
ち、入射側の偏光子を通過した直線偏光の光の偏光状態
を空間的に変化せしめ、出射側の偏光子を通過する光量
を制御して光学像を形成する。
【0004】空間光変調素子を用いた投写型表示装置
は、一般に、自然光を放射するランプを用いて空間光変
調素子を照明する。空間光変調素子が光の偏光を利用す
るものである場合、入射側の偏光子はランプの放射する
自然光の約半分の光しか通過させず、これ以外の光は反
射あるいは吸収されて損失となる。
【0005】これに対し、偏光変換とよばれる技術が各
種提案されている。これは、光源の自然光を、必要な偏
光成分の光と、これと直交する偏光成分の光にあらかじ
め分離し、そのままでは利用できない偏光成分の光の偏
波面を90度回転させて、2つの光の偏波面を揃えた後
に空間光変調素子に供給し、これらを利用しようとする
ものである。
【0006】従って、偏光変換を用いた投写型表示装置
には、自然光を互いに偏光方向の直交する2つの偏光成
分の光に分離する偏光分離素子と、分離した片方の偏光
光の偏波面を90度回転させる偏波面回転素子が必要で
ある。偏光分離素子としては、ブリュースター角と干渉
を利用した偏光分離多層膜が広く知られており、平板
型、プリズム型の偏光分離素子がある。
【0007】一方、偏波面回転素子としては、λ/2板
と呼ばれる位相フィルムが一般に知られている。これ
は、光学的に透明な有機フィルムを一軸方向に延伸させ
て光学異方性を与えたもので、その厚みと光学異方性を
制御して透過する光に波長λの1/2に相当する位相差
を与えるものである。
【0008】λ/2板に、光学軸に対して45度の方向
に偏波面を有する直線偏光の光を入射させた場合、出射
光は偏波面が90度回転した直線偏光となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来から提案されてい
る偏光変換の構成ないしはこれに用いる光学系は、いず
れもその本来の目的から、十分な効果を得るものではな
い。
【0010】以下、光源から空間光変調素子に至る光路
において、空間光変調素子が本来利用する偏光方向の光
について1次偏光と呼び、偏波面を回転させる前にこれ
と直交する偏光方向の光について2次偏光と呼ぶ。ま
た、1次偏光の通過する光路について1次光軸とし、2
次偏光の通過する光路について2次光軸とする。
【0011】偏光変換を実現する場合、1次偏光と2次
偏光の両方について、光学系全体の光利用効率が十分に
高くなくてはいけない。偏光変換を用いることで、用い
ない場合と比較して1次偏光の効率が大きく低下する
と、偏光変換を導入したことによる光利用効率の増加が
目減りし、明るさを向上させるという本来の目的を十分
に達成できない。
【0012】また、2次偏光は、空間光変調素子を照明
する光の明るさむらや色むらを増加させるものであって
はいけない。照明光の照明むらは、投写画像の輝度むら
や色むらとなるので問題がある。
【0013】更に、偏光変換を実現する手段は、1次偏
光と2次偏光の光路長を著しく長くせしめるもの、光学
系の大きさを大きく増加せしめるもの、光学系のコスト
を著しく高価にするもの、であってはいけない。長い光
路での光損失が増加する、投写型表示装置が大きくな
る、高価になる、という問題を生じる。
【0014】上記理由から、従来の偏光変換技術とし
て、特開平3−13983号公報、特開平4−6331
8号公報、特開平4−177335号公報、特開平5−
27203号公報、特開平7−64075号公報、に記
載されるものは、十分ではない。いずれも偏光分離多層
膜を蒸着したプリズムを用いるので、偏光分離素子が高
価である、大型である、1次偏光と2次偏光の光路長を
増加せしめる、光源から空間光変調素子に至る光路長が
1次偏光と2次偏光で大きく異なる、投写画像を明るく
するという効果が十分ではない、という問題を有する。
【0015】特に、光源から空間光変調素子に至る光路
長を1次偏光と2次偏光で同一とすることは重要であ
る。1次偏光と2次偏光の両方について、光源から出射
する光を集光し、伝達し、照明する条件を同じにでき
る。これは、両方の偏光方向の光について、光利用効率
を高くすること、照明光の均一性を同程度とすること、
が容易となるので好ましい。明るく、表示むらの少ない
投写画像を提供できる。
【0016】これに対し、特開平3−174502号公
報に開示される偏光分離素子は、2つのプリズムの界面
に光学軸を揃えた一軸性複屈折材料を挟み込んだもの
で、2つの偏光方向のいずれかのみを選択的に全反射さ
せて、偏光を分離するものである。これは、耐熱性と偏
光分離効率に優れたものであるが、偏光分離素子が大き
く、バルク上のガラスプリズムを使用するので高価であ
る。また、作用する光路長が長くなるので問題がある。
【0017】また、特開平4−234016号公報に開
示される光学系は、1次偏光と2次偏光について、光源
から空間光変調素子に至る光路長を同一としている。こ
れは、両方の偏光の光を同じ条件で扱う上で好ましい
が、当該公報に開示される構成は、全体の光路長が長
く、セット全体の大きさが大きくなるという問題があ
る。また、部品点数も多い。
【0018】更に、特開平6−202094号公報に開
示される光学系は、薄型の偏光分離素子を用いて、1次
偏光と2次偏光の両方を利用できる光学系の一例を開示
している。この光学系の構成を(図13)に示す。
【0019】ランプ901より放射される自然光は、放
物面鏡902により集光され、第1レンズアレイ90
4、第2レンズアレイ905、を経て、液晶パネル90
7を照明する。第1レンズアレイ904は照明光束を分
割し、分割後の光束は第2レンズアレイ905により適
当な大きさに拡大される。凸レンズ908は、分割され
た各光束をパネル上に重畳させる。パネル近傍の凸レン
ズ909は、照明光の各画角における主光線を光軸と平
行にする。
【0020】903は偏光分離素子であり、その構成の
一例を(図14)に示す。これは、1次偏光の光と二次
偏光の光を、進行方向が角θだけ異なる光として出射せ
しめる。これにより、第1レンズアレイ904が第2レ
ンズアレイ905の開口上に収斂せしめる光束のスポッ
トが、一次偏光と二次偏光で、角θの方向に所定距離だ
けずれる。第2レンズアレイ905の開口近傍におい
て、二次偏光の収斂されたスポットにのみ選択的に位相
差板906を作用させてこの偏波面を90度回転させ
て、第2レンズアレイ905から出射する1次偏光と二
次偏光の光の偏波面を同一方向に揃える。これを、液晶
パネル907の入射側偏光板の偏光方向に対応させれ
ば、光利用効率の高い光学系を実現できる。
【0021】偏光分離素子903の構成の一例を補足す
る。911は鋸歯状のプリズムアレイ基板、912は平
面基板、913は複屈折光学材料層であり、液晶層、有
機フィルム、モノマー、などが利用できるとされる。屈
折率が等方性であるプリズムに隣接させて複屈折材料か
らなるプリズム層を組み合わせ、プリズム界面における
屈折の条件を直交する偏光方向について異ならしめて、
2つの偏光光を分離させて進行方向を異ならせること
は、ウォラストンプリズムとして広く知られる。偏光分
離素子903は、これをアレイ状にしたものであり、一
般に複屈折材料として高価な方解石を用いる点を、液晶
やモノマーなどの有機材料を一軸方向に配向させて利用
しようとするものである。
【0022】偏光分離素子903は、原理的に上記作用
は得られるものの、実際には以下の課題を有する。液晶
や有機フィルムは比較的熱に弱いので、高熱を発する光
源の近傍に配置して使用する上で問題がある。
【0023】また、鋸歯状のプリズムアレイは、良好な
形状を加工することを考慮すれば、この周期ピッチが少
なくとも1mm以上は必要と考えられる。この場合、複
屈折材料層の厚みも、少なくとも1mm程度は必要とな
る。液晶などの複屈折性を有する分子を、磁界や電界、
ラビング、などの方法により一軸方向に配向させること
は広く知られているが、一般に配向できるのは大きくて
も数十ミクロンの厚みとされており、数ミリの厚い層全
体を均一に良好に配向させる方法や材料は広く知られて
いるものではない。この点については、特開平6−20
2094号公報に開示されてはいない。
【0024】従って、上記構成の偏光分離素子とこれを
用いた投写型表示装置は、所望の作用を有する偏光分離
素子を具現化する上で、大きな問題がある。
【0025】更に、特開平8−234205号公報は、
上記点を鑑みてなされ、偏光分離素子として、バルク状
のプリズムに多層膜からなる偏光選択性ミラーを組み合
わせた構成を開示している。小さな偏光選択性プリズム
をアレイ状に並べて、薄型の偏光分離素子を構成する方
法の一例も開示されている。
【0026】しかし、このいずれの方式も、プリズムを
配置するために長い光路長を必要とする、プリズムが高
価である、プリズムアレイの構成が複雑で十分な効率が
得られない、といった問題を有する。
【0027】本発明は上記問題を鑑みてなされたもので
あり、具現化が比較的容易な薄型で効率の高い偏光分離
素子を提供することを目的とする。更に、当該偏光分離
素子を用いて、光利用効率が高く明るい表示画像を提供
する投写型表示装置を提供することを目的とする。
【0028】
【0029】
【0030】
【課題を解決するための手段】また、上記 問題点を解決
するために本発明の第1の偏光分離素子は、入射する自
然光を、方位Aに電界の振動成分を有するA偏光成分
と、方位Aと直交する方位Bに電界の振動成分を有する
B偏光成分に分離して出射せしめる偏光分離素子であっ
て、当該偏光分離素子は複数単位の偏光分離要素を二次
元状に配列して構成し、前記偏光分離要素の1単位は、
前記A偏光成分の光と前記B偏光成分の光が所定方向に
所定の分離角を成して、互いに進行方向が異なるように
出射せしめるものであり、当該偏光分離素子と組み合わ
せる正円形状の第1レンズアレイと第2レンズアレイに
対して、第2レンズアレイは瞳利用率を向上させるよう
な開口形状と配列とし、前記第2レンズアレイ上に前記
A偏光によって形成される実像と、前記B偏光によって
形成される実像との距離に対応して二次元状に配列した
複数の前記偏光分離要素をその配置場所に依って前記偏
光分離角を異ならしめることを特徴とするものである。
【0031】望ましくは、本発明の第1の偏光分離素子
において、偏光分離要素は、入射光の光軸に略直交して
配置される透光性基板表面に沿っ一軸方向Cに周期構
造を有する回折格子と、前記回折格子に隣接して形成さ
れる光学異方体層とからなり、前記光学異方体層は前記
基板表面上において前記方向Cの屈折率(N2)とこれ
と直交する方向Dの屈折率(N1)は互いに異なる屈折
率を有し、前記回折格子の屈折率(N0)は方向Dの屈
折率(N1)に略等しく選択されることにより入射光の
光軸に対して前記A偏光成分ないしは前記B偏光成分の
いずれか1つの偏光成分についてのみ選択的に作用して
当該偏光成分の光を所定角度だけ回折せしめ、前記回折
格子の周期構造のピッチを異ならしめて当該偏光分離要
素の分離角を当該偏光分離素子と組み合わせる第2レン
ズアレイの開口形状と配列に対応して異ならしめるよう
にものである。
【0032】更に、上記問題点を解決するために本発明
第1の投写型表示装置は、自然光を放射する光源と、
光源の放射する光を集光せしめて略一軸方向に進行する
光を形成する集光手段と、集光手段から出射する光が入
射する偏光分離素子と、偏光分離手段の近傍に配置され
る第1レンズアレイと、第1レンズアレイから出射する
光が入射する第2レンズアレイと、第2レンズアレイの
近傍に配置されて当該レンズアレイを通過する光の一部
について選択的に作用せしめる偏波面回転手段と、第2
レンズアレイから出射する光が照射される空間光変調素
子と、空間光変調素子上の光学像を投影する投写レンズ
とを備え、空間光変調素子は直線偏光の光に作用して光
学像を形成し、第1レンズアレイは複数の第1レンズを
二次元状に配列してなり、第2レンズアレイは第1レン
ズと対をなす複数の第2レンズを二次元状に配列してな
り、偏光分離素子は上記本発明の第1の偏光分離素子で
あり、偏光分離素子は対応する第1レンズの位置に応じ
て偏光分離角を異ならしめ、互いに進行方向の異なるA
偏光成分の光とB偏光成分の光は第1レンズにより対応
する第2レンズの開口の異なる位置に隣接して収斂せし
められ、偏波面回転手段は第2レンズの開口上のいずれ
か1つの偏光成分の光にのみ選択的に作用して当該偏光
成分の光の偏波面を略90度回転せしめ、空間光変調素
子に照射されるA偏光成分の光の偏波面とB偏光成分の
光の偏波面を略一致せしめてこれを利用するようにした
ものである。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明は、偏光分離素子として回
折格子と一軸性の光学異方体層を組み合わしてなること
を特徴とする。本発明の具体的な説明に先立ち、まず、
回折格子に関する一般的な公知事項を述べる。
【0034】(図1)は、鋸歯状の微小構造を周期的に
形成してなる回折格子11の一例である。鋸歯形状の周
期ピッチをD、最大高さ(深さ)をHとする。
【0035】ここで、基板の法線方向から入射する波長
λ[m]の光12に対して、最大高さH[m]が2πの
位相差を与えるようにすると、入射光12のほぼ全てが
+1次の回折光として角θだけ折れ曲がり、出射光1
2’となる。
【0036】この場合、最大高さH[m]について(数
1)であり、回折角θについて、(数2)である。但
し、Nsは回折格子基板の屈折率、Naは回折格子を包
む媒質の屈折率、である。
【0037】
【数1】
【0038】
【数2】
【0039】(図2)は、バイナリ光学素子として知ら
れる回折格子15の構成例である。これは、(図1)の
鋸歯状の微小構造を階段状のステップ構造で近似したも
のである。この場合、階段の平坦部の階数をレベル数と
呼び、回折格子15は7レベルの場合を図示している。
【0040】バイナリ光学素子は、半導体露光装置(ス
テッパ光学系)を用いたフォトリソグラフィにより、微
細な形状が比較的容易に形成できる利点がある。この場
合も、高さHの与える位相差を2πとすれば、入射する
光16の大部分を+1次の回折光16’として出射せし
める。高さHとピッチDについて、(数1)、(数2)
が同様に成立する。
【0041】また、例えばレベル数が2、4、8、16
である場合について、理論的な回折効率は、40.5
%、81%、95%、99%、となることが知られてお
り、レベル数を4以上とすれば、実用上ほぼ十分な回折
効率が得られる。
【0042】次に、本発明の偏光分離素子の一例を(図
3)に示し、その作用を述べる。偏光分離素子101
は、回折格子基板102と複屈折層103から構成され
る。説明を容易にするために直交座標系を導入し、紙面
に沿った方向をx−y平面、紙面に直交する方向をz軸
とし、偏光分離素子101はy−z平面上に二次元状に
拡がり、基準として考える光線104はx軸に沿って入
射するものとする。
【0043】例えば、回折格子102は(図1)に示し
たものと同様であり、鋸歯状の微小構造をy軸方向にピ
ッチDで周期的に形成してなる。鋸歯構造の物理的な最
大高さはHとする。回折格子102は屈折率がN0の等
方性透明基板を用いて形成する。
【0044】一方、複屈折層103は、正の一軸性光学
異方体を光学軸がz軸方向と一致するように配向させて
構成したものである。複屈折層103について、z軸方
向の屈折率をN1とし、y軸方向の屈折率をN2とし、
N1>N2とする。
【0045】回折格子102の基板の法線(x軸)方向
から入射する自然偏光の光104について、電界がz軸
方向に振動する偏光成分の光を1次偏光104Aとす
る。同様に、電界がy軸方向に振動する偏光成分の光を
2次偏光104Bとする。
【0046】例えば、回折格子102の基材の屈折率N
0と複屈折層103の屈折率N1を、N0≒N1を満た
すように選択する。こうすれば、1次偏光104Aの光
にとっては、回折格子102はあたかも存在しないよう
になり、入射光104のうち1次偏光104Aは、その
まま偏光分離素子101を直進して出射する。
【0047】これに対し、N0>N2であるので、2次
偏光104Bの光に対しては、回折格子102が作用
し、2次偏光104Bは回折されて出射する。
【0048】この場合、回折格子102の高さHは、
(数3)を満たすように選択する。
【0049】
【数3】
【0050】これは、(数1)から、基準波長λの光に
ついて回折格子の与える最大の位相差が2πとなるため
の条件式である。このような鋸歯状の回折格子は、波長
λの光について+1次の回折光が理論上100%とな
る。ただし、基準波長λは可視の波長帯域を代表する波
長として、例えば550nmとすればよい。回折角θは、
回折格子の周期ピッチDを用いて(数2)である。
【0051】上記理由から、入射する光104のうち2
次偏光104Bは、その大部分が+θだけ回折されて出
射する。つまり、偏光分離素子101は、入射光104
を互いに進行方向が角θをなす1次偏光104Aと2次
偏光104Bに分離して出射せしめるように、作用す
る。
【0052】更に、本発明の偏光分離素子は(図4)に
示す偏光分離素子111であってもよい。これは(図
3)の回折格子101の替わりに、(図2)に示したバ
イナリ光学素子を用いたものである。(図3)と同様の
直交座標系を導入する。
【0053】例えば、回折格子112は、階段状の微小
構造をy軸方向にピッチDで周期的に形成したもので、
レベル数は7とする。具体的に、一周期Dを7個の短冊
領域に等分割し、等しいステップ高さH/6を順次積み
上げて、階段形状を構成する。記号Hは、階段形状の物
理的な最大高さである。回折格子112の基材は、屈折
率N0の等方性透明材料とし、複屈折層113は(図
3)に示したものと同様とする。
【0054】電界の振動方向がz軸方向である1次偏光
114Aの光は、回折格子112の作用を受けず、その
まま偏光分離素子111を直進して出射する。これに対
し、電界の振動方向がy軸方向である2次偏光114B
の光は、回折格子112により回折されて出射する。
【0055】この場合も、回折格子112の最大高さH
は、基準波長λに与える位相差が2πとなるように選択
する。このように選択されたステップ状のバイナリ光学
素子は+1次の回折光が支配的となり、7程度のレベル
数であれば実用上十分な回折効率となる。2次偏光11
4Bの回折角θは、回折格子の周期ピッチDを用いて
(数2)と同様である。
【0056】(図3)と(図4)に示した偏光分離素子
は、回折格子を利用するので、複屈折層103、113
の厚みが非常に薄いことを特徴とする。10度程度の回
折角を得るには、ピッチDは数ミクロン程度であり、回
折格子の高さも同程度となる。従って、液晶分子や、液
晶モノマー、液晶ポリマー、一軸性有機材料、などを回
折格子の微小構造部に充填し、所定の一軸方向に配向さ
せることが極めて容易であり、実現性、量産性、に優れ
た偏光分離素子を得ることができる。
【0057】特に、微小ピッチの回折素子を構成する場
合、バイナリ光学素子は、加工性に優れている。半導体
露光装置に用いられるステッパ露光を用いて、レジスト
塗布、パターン露光、エッチング、のプロセスを組み合
わせて、加工精度が高く、量産性に優れ、安価で、比較
的大面積の回折格子を成形できる。従って、(図2)に
示した偏光分離素子は、回折格子の実現性が極めて容易
であり、より量産性に優れコストの安い素子を実現でき
る。
【0058】以下、本発明の偏光分離素子と投写型表示
装置の具体的な実施形態を、図面と数値例を挙げて述べ
る。
【0059】(偏光分離素子の実施例1)偏光分離素子
の第1の実施例として、(図3)に示したものについて
より詳細に述べる。
【0060】例えば、回折格子102は屈折率が1.6
の等方性透明体とする。また、複屈折層103は、正の
複屈折性を有する材料を光学軸をz軸と一致させて配向
したものであり、z軸方向の屈折率を回折格子の屈折率
と同じ1.6とする。また、これと直交するy軸方向の
屈折率を1.45とする。
【0061】上記構成は、例えば、適切に生成された液
晶ポリマー、液晶モノマーなどの有機分子を、回折格子
101上で強制的に配向させた状態で硬化させることで
実現できる。配向手段としては、例えば、ポリイミド膜
を塗布した上でのラビング処理を行う、適切な磁界を加
える、適切な電界を加える、などがある。
【0062】例えば、1次偏光104Aと2次偏光10
4Bの分離角θを8度とするために、(1)式を用い
て、回折格子102のピッチDは3.95μmとする。
ただし、基準波長λとして最も視感度の高い550nmを
選んだ。
【0063】この場合、回折角θは波長に依存して変化
するがその程度は小さく、偏光分離素子として用いる上
で特に問題はない。例えば、D=3.95μmの場合、
波長490nmの青の光について回折角は7.1度、波長
610nmの光について回折角は8.8度、である。
【0064】また、2次偏光104Bについて+1次の
回折効率を最大とするために、(2)式から、回折格子
の最大高さH=3.67μmとする。これにより、基準
波長550nmの光については、2次偏光104Bのほぼ
全ての光が回折されて角θの方向に分離される。波長が
異なると回折効率は低下するが、可視の全波長帯域で実
用上十分な回折効率を得ることができる。
【0065】(偏光分離素子の実施例2)偏光分離素子
の第2の実施例として、(図4)に示したものについて
より詳細に述べる。上記第1の実施例において(図3)
に適用した構成と数値パラメータは、ほぼ同様に(図
4)に適用できる。これにより、上記第1の実施例と同
様に、例えば偏光分離角が8度の偏光分離素子を構成で
きる。
【0066】回折格子112のレベル数は、少なくとも
4以上、できれば8程度にすることで、実用上十分な回
折効率を得ることができる。
【0067】上記第1と第2の実施例では、複屈折層1
03、113を、正の光学異方体として定義し、その配
向方向をy軸方向に限定したが、本発明の効果は特にこ
の構成に限定されない。負の光学異方体であってもよ
く、また、複屈折層の光学軸はy軸方向に一致せしめて
も構わない。回折格子を直進する1次偏光の偏光方向な
いしは2次偏光(回折光)の曲がる方向が異なるだけ
で、上述と同様に1次偏光と2次偏光を、互いに角θを
なして進行する光として分離して出射せしめることがで
きる。
【0068】また、上記偏光分離素子は、偏光の分離角
を容易に制御できる利点を有する。つまり、回折格子1
02、112の格子ピッチDを変化させて、分離された
1次偏光と2次偏光のなす角θを任意に設定できる。こ
れは、偏光分離素子以降の光学系を構成する上で、設計
上の自由度が増えるので極めて好ましい。
【0069】更に、上記実施例では、入射光を回折格子
の基板側から入射させる場合について述べたが、複屈折
層側から入射させても、同様の作用と効果を得ることが
できる。
【0070】(投写型表示装置の実施例1)以下、本発
明の投写型表示装置の第1の実施例について、(図5)
を用いて述べる。
【0071】本発明の投写型表示装置は、基本的に、ラ
ンプ121、放物面鏡122、偏光分離素子123、第
1レンズアレイ124、第2レンズアレイ125、フィ
ールドレンズ126、液晶パネル127、投写レンズ1
28、から構成される。第2レンズアレイ125の片面
には、部分的に位相差板129が貼付される。説明を容
易にするために(図3)と同様の直交座標系を導入し、
x軸を放物面鏡122の回転対称軸に沿った光軸方向、
z軸を紙面に直交する方向とする。
【0072】液晶パネル127は、この用途に一般的な
ツイストネマチック液晶を、画素構造を有するガラス基
板で狭持したものであって、その入射側と出射側に、偏
光板127Aと127Bを備える。便宜上、入射側偏光
板127Aの透過軸(透過させる光の電界の振動方向)
はz軸方向とする。液晶パネル127には、外部から映
像信号が供給され、二次元状の画素構造により光学像を
形成する。当該光学像は、投写レンズ128によりスク
リーン上に投影されて、大画面映像を呈示せしめる。
【0073】偏光分離素子123は、例えば、本発明の
偏光分離素子の実施例1に示したものであり、(図3)
のように構成してなる。y軸方向に周期的に構成された
鋸歯状の回折格子123Aと、z軸方向に配向された正
の一軸性光学異方体123Bを、適切に構成してなる。
【0074】第1レンズアレイ124は、複数の第1レ
ンズ131を二次元状に配列してなり、その構成の一例
を(図6)に示す。(図5)で導入した直交座標系につ
いて、(図6)中にその対応を示す。これは、放物面鏡
122から出射する正円の光束断面に内接させて18個
の第1レンズ131を配列せしめたものである。第1レ
ンズ131の各光軸中心は131Aであり、全てのレン
ズについて適切に偏心させている。
【0075】第2レンズアレイ125は、複数の第2レ
ンズ135を二次元状に配列してなり、その構成の一例
を(図6)と同様に(図7)に示す。第2レンズ135
の各々は第1レンズ131に対応させて同数を同様に配
列してなる。第2レンズ135の各々は、対応する第1
レンズ131の開口と液晶パネル127の表示領域を互
いに共役とせしめ、各レンズを通過する光束を重畳形態
でパネル上に導く。
【0076】各第2レンズ135のおよそ半分の領域に
は、選択的に適切に位相差板129を貼付する。位相差
板129は、入射する光の偏波面を約90度回転させる
ために用い、通過する光を代表する波長λについて、λ
/2の位相差板であればよい。その光学軸は、後述する
作用を果たすように適切な方向が選択される。本実施例
では、y軸方向からz軸方向に45度回った方向136
と位相差板129の光学軸方向を一致せしめる。
【0077】偏光分離素子123の作用により、2次偏
光142は1次偏光141に対してy軸方向に所定角度
θだけずれて進行し、第1レンズアレイ124に入射す
る。1つの第2レンズ135について、位相差板129
の無い領域は1次偏光141のための開口領域であり、
その重心を135Aとする。位相差板129の有る領域
は2次偏光142のための開口領域であり、その重心を
125Bとする。
【0078】上記重心135A近傍を、収斂した1次偏
光141'が通過するように、第1レンズ131の光軸
中心131Aを定めると良い。また、収斂された2次偏
光142'は、第2レンズ135の開口上でy軸方向に
所定距離だけずれた位置を通過する。上記偏光分離角θ
を適切に選択すれば、収斂した2次偏光142'の通過
位置を上記重心135B近傍とせしめることができる。
【0079】ランプ121から放射される自然偏光の光
は、偏光分離素子123により、電界の振動方向がz軸
方向である1次偏光141と、y軸方向である2次偏光
142に分離され、これらはy軸方向に互いに各θを成
して進行する光となって第1レンズアレイ124に入射
する。第1レンズアレイ124により収斂された光は、
第2レンズアレイ125の開口上に離散的な照明スポッ
トを形成し、上記構成から、2次偏光の通過領域にのみ
選択的に位相差板129が挿入されい波面は90度回転
し、z軸方向となる。入射側偏光板127Aに到達する
1次偏光141''と2次偏光142''の偏波面は、いず
れもz軸方向となるので、これらは偏光板を通過して液
晶パネル127を照明する光として有効に利用される。
【0080】上記構成によれば、従来は入射側偏光板で
吸収されて損失となった2次偏光の光を有効に利用でき
るので、光利用効率の高い投写型表示装置を実現でき、
明るい投写画像を提供できる。
【0081】上記投写型表示装置に用いる偏光分離素子
123は、回折格子と適切に構成された複屈折光学層か
ら成り、複屈折光学層の必要な厚みが数ミクロン程度と
極めて薄いので、液晶ポリマーなどの一軸性光学異方体
を良好に配向させて構成できる。
【0082】また、上記照明光の経路は、1次偏光と2
次偏光について、ほぼ等しい光路長であり、放物面鏡1
22で集光された光の大部分は第1レンズアレイ124
に入射し、第2レンズアレイ125を経て液晶パネル1
27に到達するので、1次偏光と2次偏光ともに、高い
光利用効率を実現できる。これにより、明るさを向上さ
せる効果の高い偏光変換光学系を実現できる。
【0083】(偏光分離素子の実施例3)偏光分離素子
の第3の実施例を、(図8)を用いて述べる。偏光分離
素子151は、(図5)に示したような投写型表示装置
に用いた場合に、以下に述べる格別の効果を発揮するよ
うに、構成されたものである。
【0084】(図8)は、偏光分離素子151の正面図
であり、その断面方向の構成は、上記本発明の偏光分離
素子の第1実施例、または第2実施例、と同様である。
ただし、偏光分離素子を構成する複数の回折格子151
Aを、二次元状に配列している。また、各回折格子15
1Aの有効領域は矩形開口とし、各領域において回折ピ
ッチを適切に異ならしめている。これらのアレイ状回折
格子の表面に、一軸方向に配向された正の光学異方体層
を密着させて、1次偏光は直進、2次偏光は回折させ
て、入射する光を分離する。(図8)において矩形開口
中の波線ハッチングは、各矩形開口領域の回折格子の周
期ピッチが、場所に依って異なる様子を模式的に示すた
めに付記する。
【0085】偏光分離素子151は、例えば以下の手順
に従って具現化できる。まず、必要な偏光分離角の種類
に応じて、複数の異なる周期ピッチの回折格子を形成す
る。具体的な構成は(図3)または(図4)に示したも
のと同様であり、具現化すべき格子形状の母型を、機械
的な精密加工、フォトリソ工程などにより成形する。こ
れらの母型を、与えられた矩形開口形状で切り出し、複
数個を適切に配列させて組み型を構成する。これを母型
として、透明樹脂材料などをプレス成形すれば、偏光分
離素子151の回折格子基板を得る。これの回折格子面
について、ラビング処理や、電界または磁界などの強制
力で持って、一軸性光学異方体を強制配向させ、紫外線
硬化などの手法によりその状態を保持すれば良い。これ
により、上記本発明の偏光分離素子の第1または第2実
施例と同様の素子を二次元状に配列し、かつ偏光分離角
を適宜異ならしめた形態で、容易に具現化できる。
【0086】上記構成は、偏光分離素子151から出射
する1次偏光と2次偏光の光の分離角が、場所に依って
より好ましく異なることを特徴とする。このように構成
された偏光分離素子は、これと組み合わせて構成される
投写型表示装置において、より設計の自由度が高く、よ
り光利用効率の高い光学系を実現できる利点がある。
【0087】(投写型表示装置の第2実施例)(図8)
に示した本発明の偏光分離素子の第3実施例を用いて、
(図5)と同様の投写型表示装置を構成する場合に、よ
り大きな効果を得ることのできる構成の一例を述べる。
【0088】(図9)は、第1レンズアレイ161の構
成の一例である。矩形開口を有する36個の第1レンズ
161Aを、二次元状に配列している。第1レンズ16
1Aの各開口は、照明する液晶パネルの表示領域と相似
形状である。第1レンズ161Aの光軸は、各々につい
て適宜偏心させる。こうすれば、各第1レンズが第2レ
ンズアレイ上に形成する照明スポットの配置を、比較的
自由に調整することができる。(図9)は、(図6)に
示した構成と比較して、レンズの個数を多くすると、液
晶パネルを照明する光の明るさの均一性が向上する、光
利用効率が高くできる、といった利点がある。
【0089】参考として、偏光分離素子を用いない従来
の構成の場合に、(図9)に示した配列及び開口形状の
第1レンズアレイと組み合わせて用いる第2レンズアレ
イ162の構成の一例を(図10)に示す。第2レンズ
アレイ162の開口上には、第1レンズアレイにより収
斂された複数の照明スポットが形成される。これは、ラ
ンプ内の発光体の実像163に相当し、その大きさと分
布の一例を(図10)中に模式的に付記する。
【0090】以下に述べる理由から、第2レンズアレイ
162を構成する第2レンズ164の開口は、当該開口
上に形成される実像163の大きさに合わせて適切に異
ならしめ、これらを凝集して配列し、第2レンズアレイ
全体の有効開口の広がりをできるだけ小さくしている。
そのために、対応する第2レンズ164の開口位置に合
わせて、対応する第1レンズの偏心方向と偏心量を決め
る。
【0091】(図5)を参照し、第2レンズアレイ12
5から出射した光の液晶パネル127に対する照射角
は、投写レンズ128の集光角と等しいかそれ以下でな
ければ、投写レンズを有効に通過できない光が発生し、
光損失を生じる。従って、液晶パネルから見た第2レン
ズアレイの有効開口の広がりは、できるだけ小さいこと
が好ましい。これは、液晶パネルを通過する照明光の照
射角をできるだけ小さくすることである。
【0092】この理由から、(図10)に示す第2レン
ズアレイ162の開口形状と複数の実像l63の配置
は、都合がよい。波線で示した正円165は、投写レン
ズの集光範囲のより好ましい一例を第2レンズアレイ上
に書き示したものである。この正円165を投写レンズ
の入射瞳と見なし、実像163を当該入射瞳上における
複数の発光体の実像の大きさと分布として扱うことがで
きる。ここで、入射瞳の拡がり(面積)に対して複数の
実像163の拡がり(面積)の総和が占める割合を瞳利
用率とすれば、瞳利用率の高い光学系ほど、投写型表示
装置にとって、より明るく好ましい光学系と言える。
【0093】(図5)に示した投写型表示装置におい
て、(図8)に示した偏光分離素子151を用いること
は、瞳利用率の高い光学系を実現する上で、極めて高い
効果を得る。具体的に、(図8)に示した偏光分離素子
151と(図9)に示した第1レンズアレイ161と組
み合わせて用いる第2レンズアレイ171の構成の一例
を(図11)に示し、この理由を述べる。
【0094】第2レンズアレイ171は、開口の大きさ
と形状の異なる第2レンズ172を正円173の有効領
域内に凝集させて配列してなる。各第2レンズ172の
波線で区切られたおよそ半分の領域(便宜上、ハッチン
グで図示)には、当該領域を通過する2次偏光の偏波面
を90度回転させる位相差板が貼付される。(図9)の
第1レンズアレイ161と(図11)の第2レンズアレ
イ171には、各レンズの対応関係を明確化するため
に、(1)〜(36)の数字を付記する。
【0095】第2レンズアレイ171の構成は、各第2
レンズ172上に形成される実像の大きさが、光軸の近
傍ほど大きく、光軸から離れるほど小さいことを積極的
に利用し、瞳利用率がより大きくなるように、第1レン
ズアレイの形成する実像を配列し、それに対応したレン
ズの開口形状と配列を構成したものである。この場合
に、第2レンズアレイ171上に構成される実像の大き
さと分布の一例を、(図10)と同様にして(図12)
中に模式的に付記する。
【0096】実線で示した36個の実像175は、第1
レンズアレイを通過する1次偏光成分についての照明ス
ポットである。各実像175は、対応する第2レンズの
開口の対応する位置に配置されるように、第1レンズ1
61Aを適宜偏心させている。
【0097】破線で示した実像176は、同じく2次偏
光成分についての照明スポットである。これらの実像1
76は、偏光分離素子151の作用により、1次偏光に
ついての実像175に対して所定方向に所定距離だけず
れて形成される。ところが、瞳利用率を向上させるため
に第2レンズ172の開口形状と配列を変化させると、
各第1レンズと第2レンズの対ごとに、当該第1レンズ
を通過する1次偏光と2次偏光の偏光分離角を適宜異な
らしめる必要がある。第2レンズアレイ171上でずら
すべき実像175と実像176の距離に応じて、当該偏
光分離角を適宜定める必要がある。
【0098】(図8)に示した偏光分離素子151は、
上記理由から構成されたもので、第1レンズアレイ16
1上の対応する第1レンズ161Aごとに、その近傍に
あって当該レンズを通過する2つの偏光光の偏光分離角
を、適宜、容易に異ならしめることができる。偏光分離
素子151は、回折格子を組み合わせてなるので、各矩
形領域中での回折ピッチを適宜異ならしめるだけで、容
易に偏光分離角を制御できる利点がある。
【0099】具体的に、本発明の効果をある設計事例に
ちて数値を用いて述べる。上記本発明の投写型表示装置
の第2実施例において、第2レンズアレイから液晶パネ
ルに至る光路長を固定し、第2レンズアレイの有効開口
の大きさと瞳利用効率を述べる。
【0100】(図10)に示した偏光分離素子を用いな
い従来の構成の場合、拡がった実像163から放射され
る光を損失なく利用するために、投写レンズの入射瞳は
破線165の大きさが必要であり、これはFナンバーに
換算してF/2.5に相当した。この場合に、実像16
3の拡がり(面積)の総和の、入射瞳(半径165の正
円)の面積に占める割合として瞳利用率は、約33%で
あった。
【0101】(図12)に示した本発明の偏光分離素子
を用いる構成の場合、拡がった実像175と176から
放射される光を損失なく利用するために、投写レンズの
入射瞳は正円177の大きさが必要であり、これはFナ
ンバーに換算してF/2.3に相当した。この場合に瞳
利用率は、約57%であった。
【0102】両者を比較すると、本発明により、投写レ
ンズの集光角をあまり大きくすることなく、瞳利用率を
約2倍に向上させて、1次偏光と2次偏光の両方の成分
について、十分に高い光利用効率を実現できる。これ
は、投写レンズの口径を大きくしなくてもいいので、よ
りコストの安い光学系を実現できる。または、より小さ
い発光体のランプを利用しなくてもいいので、より明る
く信頼性の高いランプを利用して、より明るい投写型表
示装置を実現できる。
【0103】これにより、本願発明の偏光分離素子と、
これを用いた投写型表示装置は、光利用効率が高く、明
るい投写画像を提供するので、極めて大きな効果を得
る。
【0104】
【発明の効果】本発明の偏光分離素子は、回折格子と一
軸性光学異方体を組み合わせてなるので、構成が単純
で、偏光分離効率が高く、偏光分離角を制御しやすい、
という利点がある。また、光学異方体を配向させる厚み
は数ミクロン程度と薄いので、液晶ポリマーなどの一軸
性異方体を容易かつ良好に配向、充填し、所望の素子を
容易に、かつ高い量産性で実現できる。
【0105】更に、本発明の投写型表示装置は、上記本
発明の偏光分離素子を用いて、明るく表示むらの少ない
投写画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回折格子の一般的な作用を説明するための略線
【図2】他の回折格子の一般的な作用を説明するための
略線図
【図3】本発明の偏光分離素子の一実施例を示す略構成
【図4】本発明の他の偏光分離素子の一実施例を示す略
構成図
【図5】本発明の投写型表示装置の一実施例を示す略構
成図
【図6】第1レンズアレイの構成の一例を示す略構成図
【図7】第2レンズアレイの構成の一例を示す略構成図
【図8】本発明の更に他の偏光分離素子の一実施例を示
す略構成図
【図9】第1レンズアレイの構成の他の一例を示す略構
成図
【図10】第2レンズアレイの従来の構成の一例を示す
略構成図
【図11】第2レンズアレイの構成の他の一例を示す略
構成図
【図12】第2レンズアレイ上に形成される発光体の実
像の一例を示す模式図
【図13】従来の投写型表示装置の一例を示す略構成図
【図14】従来の偏光分離素子の一例を示す略構成図
【符号の説明】
101,111,123,151 偏光分離素子 102,112 回折格子 103,113 一軸性光学異方体 121 ランプ 122 放物面鏡 124,161 第1レンズアレイ 125,171 第2レンズアレイ 126 フィールドレンズ 127 液晶パネル 128 投写レンズ 129 位相差板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 27/28 G02F 1/13 505 G02F 1/13357 G02F 1/13363

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射する自然光を、方位Aに電界の振動
    成分を有するA偏光成分と、方位Aと直交する方位Bに
    電界の振動成分を有するB偏光成分に分離して出射せし
    める偏光分離素子であって、 当該偏光分離素子は複数単位の偏光分離要素を二次元状
    に配列して構成し、前記偏光分離要素の1単位は、前記
    A偏光成分の光と前記B偏光成分の光が所定方向に所定
    の分離角を成して、互いに進行方向が異なるように出射
    せしめるものであり、当該偏光分離素子と組み合わせる正円形状の第1レンズ
    アレイと第2レンズアレイに対して、第2レンズアレイ
    は瞳利用率を向上させるような開口形状と配列とし、前
    記第2レンズアレイ上に前記A偏光によって形成される
    実像と、前記B偏光によって形成される実像との距離に
    対応して二次元状に配列した複数の前記偏光分離要素を
    その配置場所に依って前記偏光分離角を異ならしめ るこ
    とを特徴とする偏光分離素子。
  2. 【請求項2】 前記偏光分離要素は、入射光の光軸に略
    直交して配置される透光性基板表面に沿っ一軸方向C
    に周期構造を有する回折格子と、前記回折格子に隣接し
    て形成される光学異方体層とからなり、 前記光学異方体層は前記基板表面上において前記方向C
    の屈折率(N2)とこれと直交する方向Dの屈折率(N
    1)は互いに異なる屈折率を有し、前記回折格子の屈折
    率(N0)は方向Dの屈折率(N1)に略等しく選択さ
    れることにより入射光の光軸に対して前記A偏光成分な
    いしは前記B偏光成分のいずれか1つの偏光成分につい
    てのみ選択的に作用して当該偏光成分の光を所定角度だ
    け回折せしめ、前記回折格子の周期構造のピッチを異な
    らしめて当該偏光分離要素の分離角を当該偏光分離素子
    と組み合わせる第2レンズアレイの開口形状と配列に対
    応して異ならしめることを特徴とする請求項1記載の偏
    光分離素子。
  3. 【請求項3】 自然光を放射する光源と、前記光源の放
    射する光を集光せしめて略一軸方向に進行する光を形成
    する集光手段と、前記集光手段から出射する光が入射す
    る偏光分離素子と、前記偏光分離手段の近傍に配置され
    る第1レンズアレイと、前記第1レンズアレイから出射
    する光が入射する第2レンズアレイと、前記第2レンズ
    アレイの近傍に配置されて当該レンズアレイを通過する
    光の一部について選択的に作用せしめる偏波面回転手段
    と、前記第2レンズアレイから出射する光が照射される
    空間光変調素子と、前記空間光変調素子上の光学像を投
    影する投写レンズとを備え、前記空間光変調素子は直線
    偏光の光に作用して前記光学像を形成し、前記第1レン
    ズアレイは複数の第1レンズを二次元状に配列してな
    り、前記第2レンズアレイは前記第1レンズと対をなす
    複数の第2レンズを二次元状に配列してなり、前記偏光
    分離素子は請求項1に記載の偏光分離素子であり、前記
    偏光分離素子は対応する前記第1レンズの位置に応じて
    偏光分離角を異ならしめ、互いに進行方向の異なるA偏
    光成分の光とB偏光成分の光は前記第1レンズにより対
    応する前記第2レンズの開口の異なる位置に隣接して収
    斂せしめられ、前記偏波面回転手段は前記第2レンズの
    開口上のいずれか1つの偏光成分の光にのみ選択的に作
    用して当該偏光成分の光の偏波面を略90度回転せし
    め、前記空間光変調素子に照射される前記A偏光成分の
    光の偏波面と前記B偏光成分の光の偏波面を略一致せし
    めてこれを利用することを特徴とする投写型表示装置。
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