JP4846940B2 - 画像表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示装置、より具体的には、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する画像表示用素子を拡大像形成光学素子を利用して画像を観察する画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する小型の画像表示用素子をレンズで拡大した画像を観察する画像表示装置としては、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、ヘッドマウンテッドディスプレイ等の商品名で広く使用されている。この画像表示用素子としては、CRT、液晶パネル、DMD(商品名:テキサスインストルメント社:米国)等が商品として使用されており、また無機EL、無機LED、有機LED等も研究されている。また、小型の画像表示用素子をレンズで拡大した画像を観察するのではなく、等倍で観察する画像表示装置としては、既述のCRT、液晶パネル、無機EL、無機LED、有機LED以外に、プラズマディスプレイ、蛍光表示管等が商品として使用されており、またFED(フィールドエミッションディスプレイ)、PALC(プラズマアドレッシングディスプレイ)等も研究されている。これらは、自発光型と空間光変調器型の2つに大きく分類されるが、いずれも光を制御可能な複数の画素を有するものである。
【0003】
これらの画像表示装置に共通の課題は、高解像度化、つまりは大画素数化であり、ブロードキャストの表示を目的とした走査線1000本程度のHDTV用の表示装置が既に商品化され、ワークステーションコンピュータの高解像度表示を目的とした走査線2000本程度の開発品が、液晶パネルを用いた技術で発表されている('98フラットパネルディスプレイ展にて日本IBM社のQSXGA走査線2048本、'99電子ディスプレイ展にて東芝社のQUXGA走査線2400本等)。しかしながら、画素数を増加させることは、液晶パネルの歩留まりを低下させ、また開口率が減少するなどにより、コストが増加したり、輝度やコントラストが低下したり、消費電力が増加したりしていた。
【0004】
従来の複数の画像表示用素子を用いて2倍以上に大画素数化する方法が開示された例としては、例えば、特開平3−150525号公報、及び特開平4−267290号公報等がある。これらは、互いにずれた位置にある複数の画像表示用素子を光学的に配置し、一方の画像表示用素子の画素の隙間にもう一方の画像表示用素子の画素を配置している。しかしながら、上述の機構は複数の画素間の位置合わせが困難であり、また画像表示用素子を複数枚使用することからコストアップになったり、大きな投射レンズが必要となったりとしていた。
【0005】
これらの問題に対して、特開平4−113308号公報、特開平5−289004号公報、及び特開平6−324320号公報等には単一の画像表示用素子を用いて2倍の画素数を有するインタレース表示を行う画像表示装置が記述されている。また、特開平7−36504号公報には、単一の画像表示用素子を用いて4倍以上の画素数を有する表示装置が記述されている。これらが使用する電気光学効果を示す部材と複屈折結晶との組み合わせは、従来から光通信分野での光分配、光スイッチとして用いられている偏光手段として公知の技術である。また、特開平6−324320号公報には、電気光学効果を示す部材と複屈折結晶との組み合わせ以外に、光路を変更する手段として、レンズをシフト可能な手段、バリアングルプリズム、回転ミラー、回転ガラス等が記述されており、また特開平7−104278号公報にはウエッジプリズムを移動する手段が記述されている。
【0006】
図16は、レンズをシフトする方法により画像表示用素子の高解像度化を行ったレンズにより拡大した虚像を観察する、特開平6−324320号公報に記載の従来の表示方法を示す図である。図16において、50はLCDパネル、60はLCDドライブ回路、70は光路変更手段、71は接眼レンズ、72はボイスコイル、73はレンズ取付台、80はボイスコイルのドライブ回路で、上記の光路変更手段70は、接眼レンズ71、ボイスコイル72、レンズ取付台73、及びボイスコイルのドライブ回路80により構成される。
【0007】
ボイスコイル72は、ドライブ回路80で駆動され、このドライブ回路80は、LCDドライブ回路60から入力されたカラー映像信号の奇数フィールドと偶数フィールドの判別信号にO/Eに従って、ボイスコイルに流れる電流を制御し、LCDパネル50の位置が、光学的に接眼レンズ71の光軸に垂直な方向にシフトするようにする。
【0008】
特開平6−324320号公報には、接眼レンズ71をシフトする手段、つまり往復運動させる駆動系としては、ボイスコイルに限らず、圧電素子、バイモルフ、ステップモータ、ソレイドコイル等が記載されている。また、光路を変更する方法としては、レンズや光学部材をシフトさせる方法以外に、光学部材を挿入する方法、光学部材を回転する方法、ミラーを回転する方法、アクティブプリズム、電気光学素子と複屈折材料を使用する方法等が記載されている。
【0009】
図17は、電気光学素子と複屈折材料を使用する方法により画像表示用素子の高解像度化を行ったレンズにより拡大した虚像を観察する、特開平6−324320号公報に記載の従来の表示方法を示す図である。図17において、91は電気光学素子となる偏光面回転部材、92は複屈折板である。偏光面回転部材91は、液晶板93の両面に透明電極94,95が被着形成されて構成され、両透明電極94,95間に液晶駆動電圧が印加されて、偶数と奇数のフィールド毎に偏光面が回転されて偏向されて、複屈折板92の正常光と異常光の偏光面に一致させられる。この正常光と異常光は、複屈折材料の屈折率差により偏向量が変化する。
【0010】
しかしながら、上述のような方法では、画素がシフトすることにより隣接する画素どうしが重なって隣接した画素のクロストークが生じてしまい、コントラストが低減するばかりか、解像度も増加しない場合が生じてしまう。RGBの3色に空間分割された方向の画素のうちの少なくとも2色以上がシフト方向に配列している場合には、画素どうしが重なっても、異なる色の画素が重なるだけであるので、同じ色の画素が重なる状態とはならず、コントラストが低減することもなく、解像度は増加する。しかし、RGBに空間的に分割された方向とは異なる方向に画素をシフトする場合には、同じ色が重なって隣接した画素のクロストークが生じ、コントラストが低減し、また解像度が増加しない場合が生じる。また、モノクロ表示または、フィールドシーケンシャル表示や、3板式プリズム重ね合わせ表示の場合には、シフト方向に同じ色が存在する状態となるので、隣接した画素のクロストークが生じ、コントラストが低減し、また解像度が増加しない場合が生じる。
【0011】
このような問題を解決する従来の方法としては、特開平9−054554号公報に示される、集光機能部分を表示装置の光源側に設けて、集光画素サイズを表示画素の開口面積よりも小さく絞り込む装置がある。
【0012】
図18は、特開平6−324320号公報に記載の従来の方法を示す図で、図中、101は入射光ビーム、101aは集光画素サイズ、102は集光光学系、102aは微小レンズ部、103はモザイク状表示部、103aは表示画素開口部、104は出射ビームである。微小レンズ部102aは、バックライト側からの入射光ビーム101を、モザイク状表示部103の表示ピント面において、表示画素開口部103aよりも小さい集光画素サイズ101aに絞り込んで、出射ビーム104を観察者側もしくはスクリーン側に出射させるものである。この場合、集光された入射ビームは、表示画素開口部103aの位置で最も小さい形状となる状態が記述されている。また、特開平6−324320号公報には、開口率向上のために設けたマイクロレンズを流用して、集光画素を絞り込む例も記述されている。
【0013】
しかしながら、通常の透過型の液晶素子に用いられるアクティブ素子において、透明基板状に形成されたポリシリコン、アモルファスシリコン、導電性有機材料のどれも吸光度の大きい材料であり、入射ビームを透過させることが実質的にできない。このため、開口率が100%未満であることが通常であり、この開口率が100%未満であることによる照明光の利用効率の低下を改善させるために照明光の入射側にマイクロレンズを設けることは周知の事実であり、このマイクロレンズが照明光を開口部分つまりは表示素子の画素部分に集光させる結果、画素サイズが小さくなるのも周知の事実である。また、高解像度の表示装置であるほど、1つの画素のサイズが小さくなるので、この開口率は小さくなりやすい。このため、画素をシフトして高解像度を実現する表示装置に、マイクロレンズのような集光機能部分を設けることは、なんら特別な組み合わせではなく、周知の組み合わせであり新規性のあるものではない。また、画素の開口の開口面積以下に集光画素サイズを絞り込むことも、光利用効率の向上のために、高解像度の表示装置に利用されている構成であることは周知である。
【0014】
また、上記の方法は透過型の表示素子しか考慮しておらず、反射型の表示素子に適用することはできない。つまり、透過型の表示素子においては、集光光学系は入射時しか作用しないために、画素サイズに合わせて、画素とマイクロレンズの距離やマイクロレンズの焦点距離を最適にすることにより、入射ビームを絞り込むことができるが、反射型の表示素子においては、入射した方向と同じ側に出射するので、マイクロレンズにより反射面である画素の開口部で集光されたビームが反射されたあと、その集光方向の光線の方向が維持されてそのまま拡散してビームが広がってしまう。このため、反射光である出射ビームとしては画素の大きさを縮小することができずに、開口効率の向上のみを実現できる。これは、開口効率の向上としては非常に好ましいことである。しかしながら、画素をシフトさせた場合に、画素がシフトすることにより隣接する画素どうしが重ってクロストークを生じてしまい、コントラストが低減するばかりか、解像度が増加しない場合も生じてしまう。
【0015】
また、反射型の表示素子に対しては、アクティブ素子やブラックマトリクスによる開口率をもともと50%または25%にすることによって、画素をシフトして2倍または4倍にしても、画素の隣接する画素どうしが重ならず、コントラストも低減せず、解像度も増加させることができるが、この場合には、照明光の利用効率が50%または25%となってしまい、消費電力が2倍、4倍となるばかりか、照明光の光源コストが増加してしまい、表示装置が非常に高価になってしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
第1の本発明は、反射型表示素子を用いて画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置において、画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【0017】
第2の本発明は、反射型表示素子を用いて画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置において、画素間のクロストークを低減させることができるより高解像度化できる画像表示装置を提供することを目的とする。
【0028】
第3の本発明は、斜入射の反射型表示素子や透過型表示素子以を用いた場合においても、画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置において、画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【0030】
第4の本発明は、画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置において、より画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の課題は、本発明の「画像情報に従って照明光を制御可能な複数の画素を有する反射型画像表示用素子に形成された像を拡大像形成素子により表示する画像表示装置において、画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記反射型画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、該反射型画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該反射型画像表示用素子の画素からの出射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、該反射型画像表示用素子の反射面に対して照明光の入射側かつ表示光の出射側に設け、前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置」により達成される。
【0032】
本発明の第2の課題は、本発明の「前記拡大像形成素子の物面と前記反射型画像表示用素子の反射面とを異なる位置とする該拡大像形成素子を設けることを特徴とする画像表示装置」により達成される。
【0043】
本発明の第3の課題は、本発明の「画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する画像表示用素子に形成された像を像形成素子により表示する画像表示装置において、画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、該画像表示用素子を中間結像する中間結像レンズを設け、該画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該画像表示用素子の画素からの反射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、該中間結像レンズによる該画像表示用素子の中間結像面付近に設け、前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置」により達成される。
【0045】
本発明の第4の課題は、本発明の「画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する画像表示用素子に形成された像を像形成素子により表示する画像表示装置において、画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、該画像表示用素子を結像する中間結像レンズを設け、該画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該画像表示用素子の画素からの反射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、前記画像表示用素子の反射面に対して照明光の入射側かつ表示光の出射側である反射面と前記中間結像レンズとの間と、該中間結像レンズによる画像表示用素子の中間結像面付近とに設け、前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置」により達成される。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による画像表示装置の実施例及び比較例を、添付された図面を参照して具体的に説明する。なお、実施例及び比較例を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には従来例とともに同じ符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0047】
本発明の画像表示装置は、画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する反射型画像表示素子10と、該反射型画像表示素子10よりの反射光を表示するための像形成素子(図示せず)とを有する画像表示装置において、前記反射型画像表示素子10は、解像度を増大させるために画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に該反射型画像表示素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段と、前記反射型画像表示素子10の画素への入射照明光の開口率と該反射型画像表示素子の画素からの反射表示光の開口率とを異ならせるようにした光学素子16,17とを有し、前記像形成素子の物面と前記反射型画像表示素子10の反射面とが光路上の異なる位置に設定されているものである。
【0048】
図1は、本発明の画像表示装置の一実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成及びその作用を説明するための図で、11は前部ガラス、12は液晶層、13(13a〜13e)はアルミニウム反射電極(画素)、14はシリコン基板、15a〜15eは照明光の入射光線および出射光線、16はプリズムアレイであり、10は前部ガラス11,液晶層12,及びシリコン基板14からなる反射型画像表示素子である。入射光線または出射光線15a〜15eは説明のためにその一部または全部を示している。
【0049】
図1において、反射型画像表示素子10はLCOS(Liquid Crystal On Silicon)と呼ばれるシリコン基板14にドライブ素子、メモリー素子等を設け、この上に液晶層12を設けて反射型画像表示素子としたものである。この反射型画像表示素子10は、液晶層として用いたTN液晶のねじれ構造やODB構造により、垂直入射のP偏光またはS偏光の照明光を画像情報に従ってP偏光またはS偏光に制御することができる。このため、この反射型画像表示素子10にP偏光またはS偏光を入射させ、反射型画像表示素子10の光源側に偏光ビームススプリッタ(PBS)や偏光子/検光子を設けることにより、光の反射率を制御することが可能となり、反射型画像表示装置10からの出射光を実像形成素子または虚像形成素子によって像形成することにより、画像表示を行うことができる。
【0050】
図1におけるプリズムアレイ16の作用を説明する。説明の簡略化のため、光源からの照明光はレーザ光をコリメートした平行な光とする。プリズムアレイ16は、1つの画素に対して3等分する状態の3つのスロープ16a,16b,16cを有しており、これら3つのスロープのうち中央のスロープ16bはシリコン基板14と平行となるように設けてあり、他の二つのスロープ16a,16cはシリコン基板14に対して同じ角度でかつ正負の符号を異にした角度で設けてある。中央の1つのスロープ16bに入射した平行な照明光は、15aに示すように、入射光と全く同じ角度、幅で反射する。厳密には、回折による広がりとアルミニウム反射電極13aの微小な凹凸による散乱光により若干光束が広がるが、ほぼ同じ角度及び幅で反射させることができる。これに対して、中央より上側のスロープ16aに入射した平行な照明光は、15bに示すように、反射するときには中央の基板に平行なスロープ16bを透過して、入射光と異なる角度、位置で反射される。この角度は反射光が中央のスロープ16bに入射するように、プリズムの角度とプリズムを形成する材料の屈折率により決定される。同様に、中央より下側のスロープ16cに入射した平行な照明光は、15cに示すように、反射するときには基板に平行な中央のスロープ16bを透過して、入射光と異なる角度、位置で反射される。
【0051】
プリズムアレイ16の3つ種類のスロープ16a,16b,16cにより、1つの画素13dに対して入射した15dに示すような照明光は、15eに示すように1つの画素13eから出射した反射光として振るまい、中央のスロープ16bの部分のみから若干広がった光束で出射させることができる。これにより、反射型画像表示素子10に入射される開口率を100%にしながら、同じ光学系を透過させた反射光であるにもかかわらず、出射光の開口率をプリズムアレイ16で33%とすることができる。
【0052】
また、このプリズムアレイ16は、反射型画像表示素子10の反射面と異なる位置にあり、像形成するレンズに対して十分に離れた距離とすることができ、従ってプリズムアレイ16の面を像形成素子であるレンズの物面とすることにより、反射型画像表示素子10の開口率を33%とすることができる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークを低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させる、すなわち、信頼性をもって解像度を上げることができる。
【0053】
上述の像形成素子の物面は、プリズムアレイ16の面に限定されるわけではなく、反射型画像表示素子10の反射面でなければよく、またプリズムアレイ16中やプリズムアレイ16を出射したあとの空中でもよく、開口率を異ならせる光学素子の形状により適切に設計される。像形成素子の焦点距離、位置、NAを適切に設計することにより、反射型画像表示素子10の反射面と物面との距離や被写体深度を適切な値とすることができる。
【0054】
このようなプリズムアレイ16は、1方向のみに作用させてもよいが、2重に重ねて2方向に作用させてもよい。このときは、反射型画像表示素子10の垂直、水平の両方向の解像度を画素をシフトすることにより増加させた場合においても、画素間のクロストークを低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させる、すなわち、信頼性をもって解像度を上げることができる。
【0055】
またプリズムアレイ16のスロープの分割数は2以上であればよく、図1に示す3つのスロープ16a,16b,16cによる構成以外に、4つ以上の複数のスロープを有していてもよい。スロープの数が多いほど、プリズムアレイを高精度で形成するためのコストが増加するが、反射光の光束の角度及び幅を最適に制御できるようになる。プリズムアレイ16は、厚い場合には型にプラスチック材料を流し込んで成型したり、カッティングすることにより容易に成型でき、また薄い場合には、型と密着させながら転写することによって容易に成型できる。
【0056】
プリズムアレイ16のより具体的な角度は、LCOSの画素サイズと前部ガラス11の厚さに大きく影響されるが、21μmサイズのLCOSで、前部ガラス11の厚さが薄い0.4mmの場合には、厚さ0.15mmのポリカーボネートからなるプラスチック材を用いた場合に、わずか約0.55度の角度を有したプリズムにするだけでよく、わずかの加工で済む。前部ガラス11の厚さが厚い場合、またはプラスチック材の厚さが厚い場合には、加工する角度をより小さくすることができる。LCOSの画素サイズが小さい場合も、加工する角度をより小さくすることができる。また、プリズムアレイ16の表面と反射面との距離は約0.55mmであり、像形成レンズの物面の位置を十分に調節することが可能な距離である。像形成レンズとプリズムアレイや画像表示素子との設計の最適化を図ることが好ましい。
【0057】
上記はレーザ光を用いた平行な照明光に対して説明したが、放電ランプの場合には3〜5度程度の光束の広がりがあり、この分だけ反射光の開口率が大きくなるので、画素をシフトして解像度を2倍にしたい場合には、平行光束の場合における開口率を1次元方向で50%より小さい33%程度に小さくしておくことが好ましい。LED光源の場合には、5〜10度程度の光束の広がりあるので、さらに平行光束の場合における開口率を小さくしておくことが好ましい。また、開口率を変化させる素子としては、上記のプリズムアレイに限定されるものではなく、アルミニウム反射電極13の部分をプリズムアレイと同様に作用する角柱形状としても効果的であり、また凹面形状としても効果的である。
【0058】
図2は、本発明の画像表示装置の全体構成の一例を説明するための概要を光路とともに示す図で、図中、20は液晶パネルユニット、21は液晶パネル、22は支持体、23は圧電素子、24は赤色LEDを2次元アレイ状に配列した照明光源、25は拡散板、26はコンデンサレンズ、27はPBS、28は投射レンズ、29はスクリーン、30は光源ドライブ部、31は液晶パネルのドライブ部、32は圧電素子ドライブ部である。
【0059】
光源ドライブ部30で制御されて照明光源24から放出された照明光は、拡散板25により均一化された照明光となり、コンデンサレンズ26により液晶ドライブ部31で照明光源と同期して制御されて液晶パネル21をクリティカル照明する。この液晶パネル21で空間光変調された照明光は投射レンズ28で拡大されスクリーン29に投射される。このとき、液晶パネル21は上下方向に支持体22と接続され、この支持体22はピエゾからなる小型の圧電素子23に固定されており、この圧電素子23は圧電素子ドライブ部32により制御される。また、図示はしていないが、液晶パネル21は紙面と垂直方向にも圧電素子に固定された支持体に接続しており紙面の上下方向と同様に圧電素子ドライブ部32により制御され、液晶パネルユニット20を形成している。
【0060】
図2において、圧電素子ドライブ部32により、液晶パネル21はx,y方向にそれぞれその画素ピッチの1/2を、1フィールドを1つの基本単位として、4つのサブフィールドに分割されて移動する。この移動する期間は、拡大されたスクリーン状の液晶パネルの画像に感じるフリッカーが実用レベルの時間以下の期間とする。このとき、この液晶パネル21の変位された位置に対応するサブフィールドについて、その位置に対応する画像データを画像表示装置で表示することにより、4倍の画素数の画像表示を行うことができる。
【0061】
図3は、図2の液晶パネルユニット20を背面側(図2の右方向)から見たときの概略構成を説明するための図で、図中、22′,23′は、それぞれ、図2で図示してはいなかった紙面と垂直方向の支持体及び圧電素子である。図3において、位置x1→x0となる変位値Δx33,及び位置y1→y0となる変位値Δy34で、液晶パネルユニット20内の液晶パネル21の位置を変位させることができる。
【0062】
図4は、液晶パネル21の画素(3×3の液晶パネルの実画素分)を拡大観察した場合の概要及び圧電素子による変位量を説明するための図である。画素ピッチがx方向、y方向に、それぞれ2Δx、2Δyであるとき、その1/2ピッチとなるΔx、Δyを変位値とすることにより、液晶パネル21の実画素1つによって、4倍の4つの画素を表示することができる。図4において、画素位置35aに(x0,y0)=(0,0)の場合の開口率が約12%の実画素が設けてあるとき、それぞれのサブフィールドで(x0,y0)=(0,0),(Δx、0),(0,Δy),(Δx、Δy)とすることにより、それぞれ画素位置35d,35b,35cに画素を表示することができる。
【0063】
これらのピッチは、x、yとも実画素のピッチの1/2に限定される必要はなく、両方向に1/3として、9倍の画素を表示することもできるし、y方向にのみ1/2とし、NTSCの偶数と奇数のフィールドをサブフィールドとして2倍の画素を表示することもできる。また、開口は大きくても小さくても良いが、25%付近であることが、画素間の空間的クロストークを減少しかつ画素間の表示抜けが視認されにくいので好ましい。
【0064】
図2において、従来のように液晶パネルと光路をサブフィールドごとに偏向させる必要がないので、画素を増倍しない場合と全く同じ照明光学系及び投射光学系を用いることができ、光学系のMTFを劣化させることがないので、低コストで高解像度の表示を行うことができる。高解像度の投射レンズには、従来よりも2倍の空間周波数に対して同程度のMTFを確保する必要があるため、投射光学系の設計負担を大きく減少することができる。また、圧電素子を用いることにより、コイルやモータ等を用いた方法と比較して、正確に変位量を制御することができるので、常に変位量をフィードバックする必要がなく、液晶パネルを変位させるドライブ部を簡略化でき、かつ正確に変位でき、これにより、低コストでかつ位置ずれによる画像品質の低下の少ない高解像度の画像表示を行うことができる。また、圧電素子は一般に印加電圧と積層数との制約によって変位量が小さいが、図2のように10〜50倍の拡大像を観察する画像表示装置では、元の液晶パネル21の変位量が、観察される変位に対して1/50〜1/10と微小量でよいので、変位量が絶対値として小さく、200V以内、場合によっては100V以内での電圧での圧電素子の可動範囲内ですみ、圧電素子の実用的な電圧での変位量の制約を受けにくい。
【0065】
さらには、従来の照明光学系及び投射光学系をそのまま用いることができるので、新たな設計の負担がなく低コストの画像表示装置を提供できる。また、圧電素子による変位を行わない、すなわち画素増倍しない表示においては、通常と同様の光学特性を実現でき、これは同じ画像表示装置においてモードを切り替えることで容易に可能である。
【0066】
圧電素子23,23′としては、上述のようにピエゾ素子を用いたものが好ましい。例えば、株式会社トーキンの圧電素子(型番:AE0203D08)を用いて、100vでの変位量で約6μmを得ることができる。この圧電素子の共振周波数は138kHzであり、この3分の1の周波数を最大周波数として、約40kHz以上の高速変位を実行でき、また矩形的な変位以外に、変位の開始と終了時の加速度を低減した変位プロファイルを実現することもできる。
【0067】
液晶パネル21としては、画素が12μmピッチのディスプレイテクノロジー社(米)のLCOS(Liquid Crysutal on Si)型の空間変調素子を用いることにより、図1と同様にして反射型の照明光学系および投射光学系を構成して、4倍の画素増倍を行うことができる。ただし、前述のように投射レンズの空間周波数への要求が高解像度のために2倍となるので、高解像度対応の投射レンズを使用する必要がある。
【0068】
図2では、投射レンズ28によりスクリーン29に空間光変調器の実像を形成して拡大しているが、本発明ではこのような構成に限定されるものではなく、投射レンズ29のかわりに接眼レンズを用いて、直接に拡大した虚像を観察してもよい。
【0069】
図5は、上述した本発明のプリズムアレイのような光学素子を用いることなく画素をシフトさせる場合の比較例について説明するための図で、画像表示装置の画像表示素子の部分概略構成の一例を光路とともに示す図である。なお、入射光線及び出射光線25は、説明のためにその一部または全部を示している。図5において、入射した平行な照明光15は、入射光と全く同じ角度及び幅で反射する。厳密には、回折による広がりとアルミニウム反射電極13の微小な凹凸による散乱光により若干光束が広がるが、ほぼ同じ角度及び幅で反射させることができる。このため、開口率がほぼ100%のままであり、画素をシフトさせた場合に、画素がシフトすることにより隣接する画素どうしが重ってクロストークとなってしまい、コントラストが低減するばかりか、解像度が増加しない場合も生じてしまう。
【0070】
図6は、本発明の画像表示装置の他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図で、図中、17はマイクロレンズアレイである。また図6において入射光線及び出射光線15a,15bは、説明のためにその一部または全部を示している。
【0071】
図6におけるマイクロレンズアレイ17の作用を説明する。説明の簡略化のため、光源からの照明光はレーザ光をコリメートした平行な光とする。マイクロレンズアレイ17に入射した照明光15aからなる光束が最小面積を与える距離が、マイクロレンズアレイ17とアルミニウム反射電極13との距離よりも大きくなっており、この場合にはマイクロレンズアレイ17を出射した後の空気部分に反射光15bが最小面積を与える部分がある。図6では、斜線部分において2直線が交差した点となっているが、実際には回折により小さな最小面積を有する。また、レンズの収差やアルミニウム反射電極13の微小な凹凸による散乱光により、この最小面積は大きくなる。
【0072】
このとき、マイクロレンズアレイ17のレンズ面での光束の大きさは、もとのマイクロレンズの直径に対して約1/2であり、面積比で約25%にすることができる。このマイクロレンズ面を像形成素子の物面とすることにより、入射光の開口率をほぼ100%とすると同時に、反射光の開口率を約25%と小さくすることができる。また、マイクロレンズの焦点距離、形状を最適化することにより、10%〜100%の範囲で反射光の開口率を制御することは容易であり、画素のシフト量に対して、プリズムアレイの場合よりもより開口率を適正にできる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークを低減し、コントラストを増大させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。また、マイクロレンズアレイは、既に多くの液晶表示素子に対して用いられているため、他のマイクロ光学素子に対して構造が簡単で安価な方法であり、簡単に低コストで実現できる。
【0073】
図7は、本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。図7において、入射光線及び出射光線15a,15bは、説明のためにその一部または全部を示している。
【0074】
図7における構成も、図6の構成と同様に、マイクロレンズアレイ17に入射した照明光15aからなる光束が最小面積を与える距離が、マイクロレンズアレイ17とアルミニウム反射電極13との距離よりも大きくなっているが、この場合にはマイクロレンズアレイ17を出射する前のマイクロレンズ材料中に反射光15bが最小面積を与える部分がある。図7においては、マイクロレンズの材料中で2直線が交差した点となっているが、実際には回折により小さな最小面積を有する。また、レンズの収差や反射電極の微小な凹凸による散乱光により、この最小面積は大きくなる。また、マイクロレンズアレイ17は、レジスト溶融、レジスト形状転写、及びイオン拡散等の方法で容易に透明基板上または基板内に成型できる。また、マイクロレンズアレイ17としてバイナリ素子やホログラム素子等を用いてもよい。また、マイクロレンズアレイ17は球面形状である必要はなく、非球面、シリンドリカル面であってもよく、複数種類重ねて構成してもよい。
【0075】
このとき、図6の場合と同様に、マイクロレンズアレイ17のマイクロレンズ面での光束の大きさは、もとのマイクロレンズの直径に対して約1/2であり、面積比で約25%にすることができる。このマイクロレンズ面を像形成素子の物面とすることにより、入射光の開口率をほぼ100%とすると同時に、反射光の開口率を約25%と小さくすることができる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークを低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。また、マイクロレンズアレイ17は、既に多くの液晶表示素子に対して用いられているため、他のマイクロ光学素子に対して構造が簡単で安価であり、簡単に低コストで実現できる。
【0076】
図7の構成は、図6の構成と比較して、アルミニウム反射電極13からマイクロレンズ17の表面の間で光束が比較的に小さいことから、像形成素子の焦点深度が多少マイクロレンズ表面から反射電極方向にずれても開口率が小さいままであるので、図6の構成よりも好ましいといえる。
【0077】
マイクロレンズアレイ17に入射した照明光15aからなる光束が最小面積を与える距離は、マイクロレンズの曲率が大きい場合には、その光束の角度や進行方向により、マイクロレンズとしての像側または物側主点からの焦点までの距離が重要となるが、通常の曲率のマイクロレンズであれば、ほぼ焦点距離fまたはマイクロレンズ表面と焦点との距離に等しい。ただし、光束が空気中か他の媒質中かによって、実効屈折率を考慮する必要がある。
【0078】
また、光束が最小となる位置は、焦点距離付近である場合以外にも、球面収差の影響により焦点距離よりも小さくなる場合がある。光束の角度分布がガウシアン分布のように0度付近の強度が強い場合には、球面収差の影響により焦点距離よりも、遠くなる場合がある。また、これらの光束が最小となる場合の画素の形状は、光束の角度分布に大きく影響されるために、光束の角度分布と必要とする画素形状から光束が最小とするのが、最大径か、円または正方形または他の形状の換算径か、半値幅か等によっても異なってくる。
【0079】
また、2つ以上のマイクロレンズを、画素の配列に対応させて形成すると光束を高い光利用効率で縮小することに効果的である。1つのマイクロレンズアレイの上にもう一つのマイクロレンズアレイを積層することにより、収差をおさえたり、より焦点距離の小さいマイクロレンズを形成することができる。また、リレーレンズ等の中間像をマイクロレンズで機能させることにより、画素を効果的に作用することもできる。
【0080】
今、像形成素子の物面をマイクロレンズ表面としたときに、曲率の小さいマイクロレンズで、その焦点距離をf、マイクロレンズアレイ17のレンズ表面とアルミニウム反射電極13との距離をdとするならば、その好ましい関係は、d<fであり、さらに好ましい関係は、1.5×d≦f≦3×dである。その関係が、d<fの場合には、開口率を小さくすることができ、その関係が、1.5×d≦f≦3×dの場合には、開口率を25〜50%以下にすることができる。レンズの収差、実際の照明光の光束の広がり、さらに像形成素子の焦点深度との適正化を考慮すると、特に2×d≦f≦3×dの関係にあることが好ましい。1.5×d=fは図6の状態であり、3×d=fは図7の状態である。いずれも、平行な照明光で、無収差のマイクロレンズの場合には、開口率を約25%にできる。また、2×d=fのときには、平行な照明光で、無収差のマイクロレンズの場合には、マイクロレンズ表面での開口率を最小にできる。ただし、上記とは別に、像形成素子の物面を空中とした場合には、2×d≦fであることが特に好ましい。
【0081】
図8に、10ミクロン角の強誘電液晶からなる画素上に、厚さ100μmの石英基板からなるマイクロレンズを設けた場合の、照明角と画素の開口率縮小による焦点距離20mmの投射レンズの焦点合わせを最適にした場合の疑似MTF(矩形入力に対する出力関数)との関係の実験結果を示す。マイクロレンズの焦点距離は、ガラス中で約200μmであが、疑似MTFが最良になるように最適化してある。また、レンズ形状は1次のコーニック係数を有する矩形開口の非球面である。横軸は、照明角(度)であり、縦軸は疑似MTFである。照明光の角度分布はランバート分布である。
また、図9に、図8における照明角度1度の場合の、投射レンズの焦点をはずした場合の疑似MTFの実験結果を示す。横軸は、デーフォーカス量(μm)であり、縦軸は疑似MTFである。
さらに、図10に、疑似MTFが80%の場合を、光学計算評価ソフトであるLight Tools(サイバネット社)により光線追跡した場合の、開口を縮小された画素のビームプロファイルを示す。
図8,図9,図10からわかるように、反射面上に設けたマイクロレンズにより、良好なビームプロファイルで画素の開口率が縮小されている。
【0082】
図11は、本発明による図6及び図7の構成に対する比較例を示す図であり、画像表示装置の反射型画像表示素子の部分概略構成例を光路とともに示す図である。入射光線および出射光線15a,15bは、説明のためにその一部または全部を示している。図11において、入射した平行な照明光は、入射光15aと全く同じ角度及び幅で反射して反射光15bとなる。厳密には、レンズの収差や、回折による広がりとアルミニウム反射電極13の微小な凹凸による散乱光により若干光束が広がるが、ほぼ同じ角度及び幅で反射させることができる。このため、開口率がほぼ100%のままであり、画素をシフトさせた場合に、画素がシフトすることにより隣接する画素どうしによってクロストークが生じてしまい、コントラストが低減するばかりか、解像度も増加しない場合も生じてしまう。
【0083】
図12は、本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図で、図中、18a〜18c及び19a〜19cはマイクロ偏光ビームムスプリッタ(MPBS)であり、41a〜41cは画素サイズよりも小さくかつ画素間に設けたマイクロレンズである。また図12において、入射光線および出射光線15a〜15cは、説明のためにその一部または全部を示している。
【0084】
図12におけるマイクロレンズアレイ17の作用を説明する。説明の簡略化のため、光源からの照明光はレーザ光をコリメートした平行な光とする。マイクロレンズアレイ17に入射したP偏光の照明光15aからなる光束は、反射電極13aで最小面積を与える。この反射光は、液晶層12により偏光方向を回転されてS偏光となって出射する。このとき、前部ガラス11中に設けた2種類の組になったMPBS18a,19a;18b,19b;18c,19cにより2回反射されて、15bに示す状態となり、これは15cの状態の光束で示すように画素間のマイクロレンズアレイ41cにより光束を集光され、さらに画素間でかつマイクロレンズの凹面部分を光束が透過して発散されて出射する。
【0085】
このとき、マイクロレンズアレイ17のレンズ面での光束の大きさは、もとのマイクロレンズの直径に対して約1/2であり、面積比で約25%にすることができる。このマイクロレンズ面を像形成素子の物面とすることにより、入射光の開口率をほぼ100%とすると同時に、反射光の開口率を約25%と小さくすることができる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークをより低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。
【0086】
ただし、画素サイズが20ミクロンよりも小さいときには、多層膜によって製作するMPBSへの制約が大きくなり消光比が低減しやすいために、偏光分離素子であるMPBSを使用しない構成である図6のものと比較してかえって画素間のクロストークが増加してしまう場合があり、画素サイズが20ミクロンよりも大きい場合に適用することがより好ましい。また、画素間のマイクロレンズ41a〜41cは、イオンの拡散または空気層形成によって作成するが、どちらの場合も、画素サイズが20ミクロンよりも大きいときに作成しやすい。このため、シリコン上に作成したLCOSよりも、比較的画素サイズが大きく、かつ安価にできるアモルファスシリコンまたは低温多結晶等のアクティブ素子を用いた低コストな反射型表示装置に適用することがより好ましい。結晶等の光学材料を用いてMPBSを製作した場合には、上記のような制限はなくなるが、逆に微細加工の困難さや高いコストが問題となる。
【0087】
また、MPBSを構成する多層膜のかわりに、ホログラム素子を用いてもよい。多層膜を形成する時間が短縮できるために、より低コストで実現することができる。また、マイクロレンズを2つ使用する必要はなく、焦点距離やレイアウトを変更することにより、1つにしてもよい。さらに、偏光分離素子としての多層膜も、2つ使用する必要はなく、偏向方向やレイアウトを偏向することにより、1つにしてもよい。また、3つ以上使用してもよい。
【0088】
図13は、本発明の画像表示装置の更に他の実施例における画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図で、図中、42a〜42c及び43a〜43cは凸レンズ作用のある偏光性ホログラム素子である。入射光線及び出射光線15a,15bは、説明のためにその一部または全部を示している。
【0089】
図13における偏光性ホログラム素子42a〜42c,43a〜43cの作用を説明する。説明の簡略化のため、光源からの照明光はレーザ光をコリメートした平行な光とする。偏光性ホログラム素子42aに入射したP偏光からなる照明光15aは、P偏光に対する偏光性ホログラム素子42aが凸レンズとして作用し、アルミニウム反射電極13aで最小面積を与える。さらにこの反射光は、液晶層12により偏光方向が回転されてS偏光となって出射する。このとき、S偏光からなる反射光は、S偏光に対する偏光性ホログラム素子43bが凸レンズとして作用し、このS偏光からなる反射光はほぼ平行な光束となり、図13に示される15bの状態の反射光となる。
【0090】
このとき、偏光性ホログラム素子42bの面での光束の大きさは、もとの偏光性ホログラム素子の直径に対して約1/2であり、面積比で約25%にすることができる。この偏光性ホログラム素子面を像形成素子の物面とすることにより、入射光の開口率をほぼ100%とすると同時に、反射光の開口率を約25%と小さくすることができる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークをより低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。また、MPBSのような基板に斜めの面を有する光学素子を平面的な画像表示素子付近に用いる必要がないので、非常に薄型で小型化することができる。
【0091】
また、図13に示すように、液晶からなる偏光方向を制御する画像表示装置を組み合わせた場合には、入射と反射の場合の偏光特性が異なるため、この偏光特性に対応した偏光性光学素子を設けることにより、反射面に対して、光学素子の光学特性を非対称とすることがでるが、この偏光性の光学素子としてホログラム素子を用いることより、高効率の偏光制御が可能である。
また、ホログラム素子以外にも、グレーティング光学素子、フォトニック光学結晶素子、電気光学結晶素子、複屈折材料光学素子、MPBS等も同様に用いることができる。
【0092】
また、図13に示すように、照明光の光束が最小となる位置または集光される位置は、反射面上にすることもできるため、高効率で、反射型像表示素子の反射面中央部に集光することができるので、画素に設けた駆動素子による元の画素の開口率の影響を小さくすることができるようになる。さらに、ブラックマトリクスを設けた場合のコントラスト増加の効果も大きくすることがでるようになる。また、開口率を縮小された画素の光軸方向の位置が、物理的実体である反射型像表示素子の反射面に固定されるので、投射レンズの焦点合わせが容易となる。
【0093】
この偏光性ホログラム素子は、一般のホログラム形成技術を用いて作成でき、レジストに2光束干渉で露光させて作成してもよいし、屈折率可変のフォトポリマー材料を露光して作成してもよいし、CGHにより薄い基板をステップエッチングしたり、銀塩フィルムを用いたりしてもよい。また必要に応じて異方性材材料等を用いてもかまわない。
【0094】
図14は、本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図で、図中、44a,44bは凸レンズとして作用する偏光性ホログラム素子である。なお、入射光線および出射光線15a,15bは、説明のためにその一部または全部を示している。
【0095】
図14におけるマイクロレンズアレイ17及び偏光性ホログラム44a,44bの作用を説明する。説明の簡略化のため、光源からの照明光はレーザ光をコリメートした平行な光とする。マイクロレンズアレイ17に入射したP偏光からなる照明光15aは、凸型マイクロレンズが凸レンズとして作用し、アルミニウム反射電極13aで最小面積を与える。さらにこの反射光は、液晶層12により偏光方向を回転されてS偏光となって出射する。このとき、S偏光からなる反射光は、S偏光に対する偏光性ホログラム素子44aが凸レンズとして作用し、このS偏光からなる反射光のみの光束がほぼ平行な光束となり、さらにマイクロレンズ17による集光作用をうけて、図に示される15bの状態のように、マイクロレンズ表面付近で弱く反射光となる表示素子とすることができる。
【0096】
このとき、マイクロレンズアレイ17のレンズ表面での光束の大きさは、もとのマイクロレンズの直径に対して約1/2であり、面積比で約25%にすることができる。このマイクロレンズ表面を像形成素子の物面とすることにより、入射光の開口率をほぼ100%とすると同時に、反射光の開口率を約25%と小さくすることができる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークをより低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。また、MPBSのような基板に斜めの面を有する光学素子を平面的な画像表示素子付近に用いる必要がないので、非常に薄型で小型化することができる。
【0097】
図15は、本発明の画像表示装置の更に他の実施例における部分概略構成を光路とともに示す図で、反射型画像表示素子部分、結像レンズ、及び反射型画像表示素子の結像面に設けたマイクロレンズを示しており、観察者がさらに図示しない像形成素子を通してマイクロレンズを観察することにより画像表示を行う。図12において、45は結像レンズ、46a〜46cは透明の基板47上に設けたマイクロレンズ、48はマイクロレンズを設けた基板47の反対面である。
【0098】
図15において、反射型画像表示素子10の画素13bからの反射光は、結像レンズ45によってマイクロレンズ46bに等倍結像されて入射する。このマイクロレンズ46bに入射した光束は、マイクロレンズの凸レンズ作用により集光されて、マイクロレンズを設けた基板47の反対面48において、ほぼ1/2の大きさになる。このとき、このマイクロレンズを設けた基板47の反対面48に、像形成素子の物面を設けることにより、観察者の観察する画像表示面の画素の開口率が約25%となる。これにより、画像を1/2画素の大きな距離でシフトした場合においても、隣接した画像が重なることがなく、画素間のクロストークをより低減し、コントラストを増加させ、解像度が増加しない場合を低減させることができる。
【0099】
このように結像レンズとマイクロレンズを用いることにより、画像表示素子の付近にはマイクロレンズやプリズムアレイのような光学素子を設ける必要がないので、デジタルミラーアレイ(DMD:テキサスインスツルメンツ社)のような垂直方向に入射光と反射光が一致しない画像表素子や、LCOSに対して斜入射の照明光学系を用いる場合に使用することができるようになる。このとき、マイクロレンズは、レジスト溶融、レジスト形状転写、イオン拡散等の方法で容易に透明基板上または基板内に成型できる。また、バイナリ素子やホログラム素子等を用いてもよい。また、図15の結像レンズと像形成レンズを共通化して、スクリーン面にマイクロレンズを設けてもよい。
【0100】
また、画素の開口率を縮小させる光学素子を、反射型像表示素子の前面に設ける同時に、これを中間結像形成レンズで中間結像を形成した中間結像面に設けることは、2ステップで画素の開口率を縮小しているので、それぞれのステップでの画素の開口率を縮小させる際の収差の影響が小さくなるので、高光利用効率とすることができるようになる。
【0101】
【発明の効果】
第1の本発明の画像表示装置においては、反射型像表示素子に照明光の入射と表示光の出射の両方に作用する開口縮小光学素子を設けているので、光束の開口率が効率よく縮小されるので、反射型表示素子を用いて画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置において、画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供できる。
【0102】
第2の本発明の画像表示装置においては、拡大像形成素子の物面と反射型画像表示用素子の反射面とを異なる位置とする拡大像形成素子を設けているので、画素の反射面の大きさと異なる大きさの開口率が十分に縮小されると同時にその画素を拡大表示することができるので、画素間のクロストークを低減させることができるより高解像度化できる画像表示装置を提供できる。
【0113】
第3の本発明の画像表示装置においては、表示素子を中間結像する中間結像レンズを設け、画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率と、画像表示用素子の画素からの反射表示光の開口率が異ならせる開口率縮小光学素子を、中間結像レンズによる表示素子の中間結像面付近に設けているので、開口率縮小光学素子を画像表示用素子付近に設ける必要がないので、斜入射の反射型表示素子や透過型表示素子以を用いた場合においても、画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供することができる。
【0115】
第4の本発明の画像表示装置においては、画像表示用素子付近と画像表示用素子の中間像面との2つの部分に開口率縮小光学素子を設けているので、それぞれの集光作用のパワーを乗ずることができるので、画素をシフトすることにより高解像度化を実現する画像表示装置においても、より画素間のクロストークを低減させることができる画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像表示装置の一実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成及びその作用を説明するための図である。
【図2】 本発明の画像表示装置の全体構成の一例を説明するための概要を光路とともに示す図である。
【図3】 図2の液晶パネルユニット20を背面側(図2の右方向)から見たときの概略構成を説明するための図である。
【図4】 液晶パネル21の画素(3×3の液晶パネルの実画素分)を拡大観察した場合の概要及び圧電素子による変位量を説明するための図である。
【図5】 上述した本発明のプリズムアレイのような光学素子を用いることなく画素をシフトさせる場合の比較例について説明するための図である。
【図6】 本発明の画像表示装置の他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図7】 本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図8】 照明角と、投射レンズの焦点合わせを最適にした場合の疑似MTFの実験結果を示す図である。
【図9】 図8における照明角度1度の場合の、投射レンズの焦点をはずした場合の疑似MTFの実験結果を示す図である。
【図10】 疑似MTFが80%の場合を、光学計算評価ソフトにより光線追跡した場合の、開口を縮小された画素のビームプロファイルを示す図である。
【図11】 本発明による図6及び図7の構成に対する比較例を示す図である。
【図12】 本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図13】 本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図14】 本発明の画像表示装置の更に他の実施例における反射型画像表示素子の部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図15】 本発明の画像表示装置の更に他の実施例における部分概略構成を光路とともに示す図である。
【図16】 レンズをシフトする方法により画像表示用素子の高解像度化を行ったレンズにより拡大した虚像を観察する、特開平6−324320号公報に記載の従来の表示方法を示す図である。
【図17】 電気光学素子と複屈折材料を使用する方法により画像表示用素子の高解像度化を行ったレンズにより拡大した虚像を観察する、特開平6−324320号公報に記載の従来の表示方法を示す図である。
【図18】 特開平6−324320号公報に記載の従来の方法を示す図である。
【符号の説明】
10…反射型画像表示素子、11…前部ガラス、12…液晶層、13(13a〜13e)…アルミニウム反射電極、14…シリコン基板、15a〜15e…照明光の入射光線および出射光線、16…プリズムアレイ(光学素子)、17…マイクロレンズアレイ(光学素子)、18a〜18c,19a〜19c…マイクロ偏光ビームムスプリッタ(MPBS)、20…液晶パネルユニット、21…液晶パネル、22,22′…支持体、23,23′…圧電素子、24…照明光源、25…拡散板、26…コンデンサレンズ、27…PBS、28…投射レンズ、29…スクリーン、30…光源ドライブ部、31…液晶パネルのドライブ部、32…圧電素子ドライブ部、33…変位値Δx、34…変位値Δy、35a,35b,35c,35d…画素位置、41a〜41c…マイクロレンズ、42a〜42c,43a〜43c,44a,44b…凸レンズ作用のある偏光性ホログラム素子、45…結像レンズ、46a,46b,46c…マイクロレンズ、47…基板、48…基板反対面、50…LCDパネル、60…LCDドライブ回路、70…光路変更手段、71…接眼レンズ、72…ボイスコイル、73…レンズ取付台、80…ボイスコイルのドライブ回路、91…偏光面回転部材、92…複屈折板、93…液晶板、94,95…透明電極、101…入射光ビーム、101a…集光画素サイズ、102…集光光学系、102a…微小レンズ部、103…モザイク状表示部、103a…表示画素開口部、104…出射ビーム。
Claims (4)
- 画像情報に従って照明光を制御可能な複数の画素を有する反射型画像表示用素子に形成された像を拡大像形成素子により表示する画像表示装置において、
画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記反射型画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、
該反射型画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該反射型画像表示用素子の画素からの出射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、該反射型画像表示用素子の反射面に対して照明光の入射側かつ表示光の出射側に設け、
前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、
前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 前記拡大像形成素子の物面と前記反射型画像表示用素子の反射面とを異なる位置とする該拡大像形成素子を設けることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
- 画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する画像表示用素子に形成された像を像形成素子により表示する画像表示装置において、
画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、
該画像表示用素子を中間結像する中間結像レンズを設け、該画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該画像表示用素子の画素からの反射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、該中間結像レンズによる該画像表示用素子の中間結像面付近に設け、
前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、
前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置。 - 画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を有する画像表示用素子に形成された像を像形成素子により表示する画像表示装置において、
画像フィールドを構成する複数のサブフィールド毎に前記拡大像形成素子の光軸に対する前記画像表示用素子の位置を画素の略配列面方向に変位させる変位手段を有し、
該画像表示用素子を結像する中間結像レンズを設け、該画像表示用素子の画素への入射照明光の開口率より、該画像表示用素子の画素からの反射表示光の開口率を小さくさせる開口率縮小光学素子を、前記画像表示用素子の反射面に対して照明光の入射側かつ表示光の出射側である反射面と前記中間結像レンズとの間と、該中間結像レンズによる画像表示用素子の中間結像面付近とに設け、
前記開口率縮小光学素子は、プリズムアレイであり、
前記プリズムアレイは、前記反射型画像表示用素子の画素のそれぞれに対して複数の傾斜を備えることを特徴とする画像表示装置。
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