JP3519000B2 - 粉塵飛散防止方法と装置 - Google Patents

粉塵飛散防止方法と装置

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JP3519000B2
JP3519000B2 JP26838598A JP26838598A JP3519000B2 JP 3519000 B2 JP3519000 B2 JP 3519000B2 JP 26838598 A JP26838598 A JP 26838598A JP 26838598 A JP26838598 A JP 26838598A JP 3519000 B2 JP3519000 B2 JP 3519000B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工具で被加工物を
加工する際に発生する切粉、粉塵、ガス、オイルミスト
等の周囲への飛散を防止する工作機械等の粉塵防止方法
と装置に関する。さらに詳述すると、回転工具で被加工
物を切削あるいは研削加工するマシニングセンタ等の工
作機械や電極を用いて放電加工を行う形彫り放電加工機
などの加工の際に発生する切粉、粉塵、ガス、オイルミ
スト等が加工部位から飛散すること有効に防止すること
ができる工作機械等の粉塵防止方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】工作機械、例えばマシニングセンタは、
回転工具により被加工物を所望の形状に加工するために
広く用いられるている。マシニングセンタによる加工で
は加工中に多量の切粉や粉塵を発生させ作業環境を著し
く悪化させる。そのため作業者の健康上の問題や機械の
メンテナンスの問題などに対し十分な対策を講じること
が必要である。特に放電加工の電極や放電焼結装置の型
として用いられるグラファイト材の加工やセラミック材
あるいは比較的比重の小さいアルミニューム等の被加工
物を加工する場合においては加工切粉乃至粉塵が飛散し
やすい。そこで、加工中に粉塵が空中に浮遊するのを防
ぐためフードカバーを設けるとともに粉塵を工作機械の
加工部位から吸引して集塵する大型の集塵装置を設ける
か、マシニングセンタの作業領域すべてを密閉構造のカ
バーで覆うなどの対策が取られている。
【0003】しかしながら、前述のような工作機械の作
業スペースにフードカバーや吸引用のダクトを取付ける
方法は著しく作業性を悪くしたり、加工中に工具移動の
妨げとなり、自動化やFA化を困難にする。また、工作
機械の作業領域あるいは全体をカバーで覆う密閉構造の
工作機械の場合においても、グラファイト材等の粉塵を
発生しやすい材質を加工した時には、多量に発生する粉
塵や切削粉が洗浄液と混じり合い真っ黒なスラッジがカ
バー内部の作業領域の各部に飛散し付着してしまい、加
工作業後にその除去をする清掃作業も手間がかかり、作
業効率を悪くしている。
【0004】そこで、加工切粉乃至粉塵の飛散防止のた
め、工作機械のスピンドルヘッドの外周上方から、スピ
ンドルに取り付けられた工具とテーブル上の被加工物を
包囲するように流体をカーテン状やシャワー状に形成
し、加工により発生する粉塵を封じ込め粉塵が空気中に
飛散して浮遊するのを防ぐ技術が知られている。その具
体的手段として、例えば、特公平7−25007や実開
昭64−56940号などに見られるような、工作機械
の主軸台の下端にリング状のスリットからなる洗浄液噴
射口を設置し、スピンドルに取り付けられた工具とテー
ブル上の被加工物を包囲するようにカーテン状の洗浄液
バリアを発生させるウォーターカーテン装置が提供され
ている。
【0005】また、本出願人は、前記実開昭64−56
940号のウォーターカーテン装置の問題点に鑑みて、
工具による被加工物加工で発生する切粉等を包囲すべく
機械位置に、洗浄液の供給部材に装備する多数の小孔を
列設したシャワー部材を配置し、前記各小孔から洗浄液
をガイド面に噴射してガイド面が前記噴射液を連続した
液膜にして所定方向に流出させるように構成した工作機
械のシャワー装置を実開平4−19740号で提案し
た。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】上述の従来技術の前者の実開昭64−56
940号に記載されたウォーターカーテン装置は、実開
平4−19740号で記載したように洗浄液噴射口がリ
ング状の構造を呈しているため、カーテン状の洗浄液を
形成しやすいものの、噴射流の勢いが弱いものになり、
洗浄液中に切粉、粉塵等が混入していると、リング状の
噴射口のスリットに切粉を詰まらせ均一な流体膜が破れ
てしまうことになる。また、リング状のスリット口から
洗浄液を比較的低い流速で流出させて液膜をカーテン状
に形成させるため、流体が持つ変動性分により液膜が不
安定になりやすい。したがって、スリット口から流出し
た液膜カーテンは、スリット口から被加工物までの距離
が大きくなると筒状の液体カーテンは下方向に行くほど
薄くなり僅かな外乱でカーテンの一部が崩れてしまうこ
とになる。また、マシニングセンタが縦形の場合は筒状
カーテンがある程度形成できても、横形のマシニングセ
ンタやスピンドルをテーブル面に対して傾斜させた状態
で加工を行う場合にカーテンを形成することはほとんど
不可能である。
【0007】また、本出願人が実開平4−19740号
で提案したシャワー装置は、ガイド面に噴射させて連続
した噴射流体の壁を形成し、この噴射流体壁が工具から
被加工物の外周を包囲しながら所定の方向に流下させ
て、切粉や粉塵の飛散防止するものであり、上述した問
題点をある程度解消できる。しかしながら、完全な液膜
状に噴射流体の壁が形成されるには未だ十分とは言え
ず、空中に浮遊するような微細な粉塵までをも完全に遮
断することは難しく、さらにガイド面から被加工物まで
の距離が大きくなると噴射流体の壁が形成できなくなる
という問題が残されていた。本発明は、上述の従来装置
の問題点に鑑みてなされたもので、液膜を形成する方向
がテーブル面に垂直の方向に限定されることなく、流体
の噴出口と被加工物の距離が大きくなっても安定して液
膜を形成できる工作機械等に使用する粉塵飛散防止方法
と装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1記載の本発明の方法は、工具と被加工物を包
囲するよう液体バリヤを形成して前記工具で被加工物を
加工する際に発生する切粉等の飛散を防止する粉塵飛散
防止方法において、工具保持ヘッドの下端位置に外郭環
状部材と環状部材の対向面間で設けられた環状のスリッ
ト口から液体を流出させてスリット流を形成すると共
、前記外郭環状部材および/または環状部材の周面の
複数の溝流路を通して液体の流れ方向の乱れ成分を周方
向の周期的振動成分に変換される液流を形成し、前記ス
リット流の液膜に、前記乱れ成分を周期的振動成分に変
換した液流を重畳し、該スリット流の変動速度成分エネ
ルギーを前記液流の周期的振動成分エネルギーに変換し
て被加工物方向に液膜壁を形成することにより液体バリ
ヤを形成することを特徴とする粉塵飛散防止方法であ
る。
【0009】前記本発明の方法によれば、スリット口か
ら流出したスリット流に流体の乱流成分を周期的振動成
分に変換した噴流を付加することによりスリット流の液
膜の何れかの表面にフリップフロップ現象を伴う噴流が
生じる。スリット流の液膜の変動速度成分は、噴流のフ
リップフロップ現象エネルギにより吸収されて安定した
膜厚の厚いスリット流が形成される。
【0010】また、上記目的を達成するための請求項2
記載の本発明の装置は、工具と被加工物を包囲するよう
液体バリヤを形成して前記工具で被加工物を加工する際
に発生する切粉等の飛散を防止する粉塵飛散防止装置に
おいて、主軸の下端位置に取り付けられ、液体供給装置
から供給された液体を主軸と略平行な方向に被加工物に
向けて誘導する環状の外郭環状部材と、前記外郭環状部
材と略同心的に設けられ、前記外郭環状部材内面との間
に所定の間隙を隔てて外周面が対向するように配置され
た環状部材とを有し、外郭環状部材と環状部材の対向面
間にスリット流を形成するスリット口を有すると共に外
郭環状部材又は環状部材の対向面の少なくとも一方の
面に乱れ成分を周期的振動成分に変換する溝流路の配列
されたネットワーク構造を備え、該溝流路は交差路で2
つの液流を合流させる2つの溝流路を1組とする複数組
の溝流路を有し、前記2つの溝を流れる液体が出口部で
合流して乱れ成分を周期的振動成分に変換した液流を形
成し、前記スリット流の液膜に前記液流を重畳し、これ
によって、該スリット流の変動速度成分エネルギーを前
記液流の周期的振動成分エネルギーに変換して被加工物
方向に液膜壁を形成することにより液体バリヤを形成す
ことを特徴とする粉塵飛散防止装置である。
【0011】前記本発明の装置によれば、スリット口
によりスリット流が形成される他に、外郭環状部材内面
と環状部材の外周面との間の間隙から膜状に液体が噴出
する。そして、その際外郭環状部材又は環状部材の
向面の少なくとも一方の周面に、溝流路の配列されたネ
ットワーク構造を備え、該溝流路は交差路で2つの液流
を合流させる2つの溝流路を1組とする複数の溝流路を
設け、複数の流路による流れ構造は、液体の流れ方向
の乱れ成分を方向(流れと直角方向)の周期的振動成
分に変換する。即ち、複数の交差する流路によって形
成される構造は、液体の乱れ成分を制御しその流路の
流れの合流点においてフリップフロップ現象を起こし、
外郭環状部材又は環状部材の対向面の少なくとも一方の
面においてその周方向に周期的振動させる。このフリ
ップフロップ現象を加工物に向けて形成することによ
り、通常の液膜流れの持つ不安定性がフリップフロップ
現象の周期的乱れにより吸収され、その結果その不安定
性が低下して安定した液膜壁が長い距離に渡って形成さ
れる。
【0012】また、上記目的を達成するための請求項3
記載の本発明の装置は、請求項2において、ネットワー
ク構造の溝流路は液膜壁形成方向の線に対して線対称の
角度をなす網目構造の溝流路として形成され、該溝流路
は交差路で2つの液流を合流させる2つの溝流路を1組
とする複数組の溝流路を有し、前記2つの溝を流れる液
体が出口部で合流して乱れ成分を周期的振動成分に変換
した液流を形成し、前記スリット流の液膜に前記液流を
重畳し、液体バリヤを形成ることを特徴とする粉塵飛
散防止装置である。
【0013】請求項3載の本発明の装置によれば、
ットワーク構造の液膜壁形成方向の線に対して線対称の
角度をなす網目状に配置された流路構造によって、前
記膜状に流出する体が持つ乱れ成分を環状周方向の周
期的振動成分に変換される。即ち、言い換えれば、網目
状の流路のネットワーク構造によって、液体の乱れ成
分を制御しその流路の流れの合流点においてフリップ
フロップ現象され、環状部材の周方向に周期的振動
させる噴出流作り出される。このフリップフロップ現
象を液膜流れの表面に伴うスリット流れは、通常の液膜
流れの持つ不安定性がフリップフロップ現象の周期的擾
乱に吸収され、その結果その不安定性が低下し安定し
た液膜壁が長い距離にわたって形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の粉塵飛散防止方法
と装置を図面の実施例により説明する。図1は本発明の
粉塵飛散防止装置をスピンドルヘッドに取付けた状態
図、図2はスピンドルヘッドに取付られた粉塵飛散防止
装置の断面図を示し、図3は外郭環状部材と略同心に設
けられている環状部材の外周面の一部を平面図で示した
図、図4は環状部材の外周面に設けられた複数の流路の
関係を説明するための要部拡大図である。
【0015】図1、2において、1は工作機械のスピン
ドルヘッドであり、この下面のスピンドル2の下端テー
パー穴に工具Tを保持する工具ホルダTHを装着してい
る。スピンドルヘッド1は、前記工具Tを高速回転させ
テーブルTB上の被加工物Wを切削加工する際に、冷却
洗浄液(以下、クーラントという)を加工部位に噴射す
る複数のクーラント噴射ノズルNLをその下端に備えて
いる。そして、前記高速回転する工具Tによりテーブル
TB上の被加工物Wを切削加工している間、切粉や粉塵
が被加工物WやテーブルTB及びその周辺に散乱、飛散
する。特に、グラファイトの加工時には、微細な粉塵が
空気中に漂い作業者の健康に悪影響を与えたり、電気
系、機械の送り系に障害を与える。
【0016】そこで、前記切粉や粉塵の散乱、飛散を防
止するため本発明の粉塵飛散防止装置10が、スピンド
ルヘッド1の下端部に図示しないボルトで取付けられて
いる。粉塵飛散防止装置10は、図示していないクーラ
ント供給装置からクーラント供給配管3を通して供給さ
れたクーラントで液膜壁LHを形成するため、スピンド
ル2の軸方向と略平行な方向で被加工物に向けてクーラ
ントを誘導する環状の外郭環状部材11と、この外郭環
状部材11と略同心に設けられた環状部材12、クリア
ランス調整部材13、保持ベース16等で構成されてい
る。
【0017】図2において、粉塵飛散防止装置10は、
スピンドルヘッド1の保持部14の周りにボルト等で取
り外し自在に取付けられている。粉塵飛散防止装置10
の一部を構成する外郭環状部材11は、環状部材12と
のクリアランスgを調節するクリアランス調整部材13
を有している。そして、クリアランス調整部材13はそ
の内面13aと環状部材12の外周側面12aとの間の
クリアランスgを調節する部材で、クリアランスgの幅
により形成される液膜壁LHの厚さを変えることができ
る。クリアランスgを所定の幅に固定して用いる構成の
場合は外郭環状部材11とクリアランス調整部材13を
一体に製作する。環状部材12は、クリアランス調整部
材の内面13aと所定のクリアランスgを隔ててその外
周側面12aが対向する位置に配置されるよう保持ベー
ス16に固着されている。また、クリアランスgの上方
に外郭環状部材11の側壁、上壁及び保持ベース16の
一部により液室15が環状に形成されている。クーラン
ト供給配管3を通して供給されたクーラントは、スピン
ドルヘッド1全周の液室15に供給され環状部材12の
外周面とクリアランス調整部材の内面13a間の開口部
(以下、スリット口という)から環状の液膜状に流出し
(以下、この流れをスリット流という)後述する環状部
材12の外周に設けられた複数の流路を通った液流と共
に被加工物Wへ向けて噴出される。液室15の容積は、
クーラント供給配管3を通して供給されるクーラントが
スピンドルヘッド1全周にわたっての供給圧力損失を起
こすことなく供給できるように充分な容積をとる。
【0018】図3は環状部材12の外周を平面にして表
わした図で全外周の一部を示している。そして、図3に
示すごとく環状部材12の外周面にはクーラントの流路
として一方の複数の溝流路17a,b,c・・・n及び
他方の複数の溝流路18a,b,c・・・nが網目状に
設けられている。一方の複数の流路17a,b,c・
・・nのそれぞれの溝はそれぞれ平行に等間隔で設けら
れており、他方の複数の溝流路18a,b,c・・・n
も同様である。また、一方の複数の流路17a,b,
c・・・n及び他方の複数の溝流路18a,b,c・・
・nのスピンドル軸方向の線SLとなす角Aの絶対値は
等しくスピンドル軸方向の線SL(あるいは液膜壁形成
方向の線)に対し線対称の関係にある
【0019】スピンドル軸方向の線SLとなす角Aの
複数の溝流路と角度−Aの複数の溝流路は夫々対をなし
てクーラントが合流して噴出口から流出するように図示
のごとく設けられている。一対の溝流路17cと溝流路
18は、液室15側の入口部Lから供給されたクー
ラントが出口部OLで合流するように設けられており、
図4下方波線で示されるように、合流部分で紙面左右方
向の周期的振動成分を持つ液流を作り出す。この周期的
振動成分を持つ液流は、出口部OLのスリット口から流
出した前記スリット流に重畳され、該スリット流ととも
に全周にって切れ目のない筒状の液膜壁LHを形成す
る。以上のように、網目構造の溝流路は、軸方向の線S
Lに対し一方に所定角−Aで傾斜する一方の複数の溝流
路と他方に所定角Aで傾斜する他方の複数の溝流路から
なり、交差路で2つの液流を合流させる2つの溝流路を
1組とする複数組の溝流路として設けられ、これによっ
て主軸の下端位置に設けられた環状のスリット口から液
体を流出させて形成したスリット流の液膜に、乱れ成分
を周期的振動成分に変換した液流を重畳し、該スリット
流の変動度成分エネルギーを前記液流の周期的振動成分
エネルギーに変換して被加工物方向に液膜壁を形成、切
粉等を包囲して加工部位から飛散を防止する液体バリヤ
を形成するものである。
【0020】次に、図4を用いて上述の複数の流路から
なるネットワーク構造により液膜壁LHを形成する本発
明のコンセプトについて説明する。図4は図3を更に拡
大したもので複数の流路が網目状に配列されたネットワ
ーク構造の流れを示したものである。
【0021】従来の技術におけるスリット口から流出し
た液膜は下流において破断しやすくなる。その流体力学
的原因は、流体の持っている乱れ成分(変動速度成分)
に起因する。この乱れは、スリット内壁の剪断層の剥
離、剥離渦、スリット出口の空気巻き込み現象等を起こ
しスリット流れの液膜を不均一にする。その結果、液膜
が僅かな外乱により破断する。
【0022】これに対し、本発明では流体の乱れを主因
とする膜厚の不均一性を均一化するために、乱れを除去
するのではなく積極的に制御された周期的乱れを発現さ
せて流れを均一化しようとするものである。そこで、乱
れの発現を周期的にするために、流体の吹き出し間の相
互作用、つまり薄い固体表面に生じる超音波振動(ラム
効果)、流れの衝突による剪断層の振動現象、剥離渦に
よる吸引特性、コアンダ効果、ネットワーク端末に現れ
る噴流の周期振動などの相互作用によって、増幅機能を
達成しているアンプのフリップフロップ現象を利用す
る。フリップフロップ現象は、複数の交差管により形成
されるネットワーク端末に現れ、噴流をその管の半径方
向に周期振動させる。この現象をもちいて、スリット流
の何れかの表面にフリップフロップ現象を伴う噴流を存
在させれば、液膜流の変動速度成分は噴流のフリップフ
ロップ現象エネルギに変換され安定したスリット流れが
形成できる。
【0023】図4において、液室15からクーラントが
所定の圧力で供給されているので、液室15のクーラン
トは溝流路18cに液流L1aとして流れ、また、溝
17bから液流L1bとして流れる。そして、二つの
液流L1aとL1bは溝流路17bと18cが交差する
交差路M1で合流する。この時交差路M1の経路は狭く
なっているので流速が急激に上昇する。この流速変化に
伴い液流L1aとL1bの持つ流れ方向は流路断面方
向の乱れ成分に変換される。交差路M1を通過した液流
L1aとL1bの半分は溝流路17bを流れ、残りの半
分は溝流路18cを流れる。前者の液流は交差路M2で
流路18bを流れてくる、流れ方向の乱れ成分を溝
断面方向の乱れ成分に変換された液流と合流し、交差
路M2で更に流れ方向の乱れ成分が溝流路断面方向の乱
れ成分に変換されその偏倚が増幅される。に交差路M
2を通過した液流は、溝流路18bを通って出口部の合
流点MOに至る。また、溝流路17cを通って流れる液
流も交差路M3で偏倚が増幅され合流点MOに至る。合
流点MOでは流れに略直角方向の乱れ成分比率が増加し
た2つの液流が合流し夫々の液流が持つ乱れ成分が周期
的振動成分に変換される。即ち、溝流路によって形成さ
れる流路のネットワーク構造は、体の乱れ成分を制御
しその溝流路を流れる液流の合流点において、フリップ
フロップ現象を起こし、液流の方向に流れを周期的に
振動させる。図示するように周期的振動流が複数の合流
部に発生し、それらの周りに流出しているスリット流と
共に膜厚の厚い液膜壁が形成される。
【0024】次に前述のコンセプトに基づいて実際に製
作された粉塵飛散防止装置10の実験例を挙げて説明す
る。実験装置ではマシニングセンタのスピンドルヘッド
の下端に図1に示すごとく粉塵飛散防止装置を取付け
た。そしてクリアランス調整部材を取付けた外郭環状部
材の内径を183mm、環状のクリアランス調整部材高
さを25mm、環状部材12の外径を182mmとして
クリアランスgを0.5mmとした。環状部材12の外
周には、溝の角度を15度、溝幅2mm、深さ1mmの
溝17a、b、c・・・nを100個、同様に溝18a、
b、c・・・nを100個全周に渡って図3に示すごとく
設けた。クーラント供給装置から2kg/cmの圧力
で水溶性クーラントを毎分30L供給した。上述の条件
でZ軸上限リミット迄スピンドルヘッドを移動させ、粉
塵飛散防止装置の出口から被加工物の距離を500mm
とした状態で完全な筒状液膜壁が形成されることを確認
した。
【0025】本発明により提供される粉塵飛散防止装置
で形成される液膜壁を略円筒状とした粉塵の飛散を包囲
する領域により角柱状にしたり多角形形状とすること
は、上述のコンセプトに基づいて外郭環状部材と環状部
材の形状を変更することで可能となる。また、本発明の
実施例では、スリット流に乱れ成分を周期的振動成分に
変換した液流をスリット流の内側から重畳する例を示し
たが、環状部材に複数の流路を設ける代わりに外郭環状
部材の内面に複数の流路を設ける構成、外郭環状部材と
環状部材の両方に複数の流路設ける構成、さらに2重
のスリット流の間に周期的振動成分に変換した液流を噴
出する構成など、本発明が開示するスリット流の液膜に
乱れ成分を周期的振動成分に変換した液流を重畳して該
スリット流の変動速度成分エネルギを前記液流の周期
的振動成分エネルギ変換するという技術思想を利用
することにより例示した実施例以外の他の構成に変更も
可能である。また、本実施例ではマシニングセンタに応
用した例を示したが、例えば形彫り放電加工機で荒加工
を行った際に発生するガス及びオイルミストが空気中に
拡散するのを防止するためにも利用が可能であり、その
他粉塵、ガスやオイルミスト等が発生しそれらが拡散あ
るいは浮遊することを遮断する必要がある環境において
も本発明の液体バリアを用いることができる。なお、形
彫り放電加工機に応用する場合のようにガスが生成され
る時は液膜壁内の特定の部分に吸引口を設けて吸引する
ことが望ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明の構成によれば、主軸の下端位置
に設けられた環状のスリット口から液体を流出させてス
リット流を形成し、前記スリット流の液膜に乱れ成分を
周期的振動成分に変換した液流を重畳し、該スリット流
の変化速度成分エネルギーを前記液流の周期的振動成分
エネルギーに吸収して被加工物方向に液膜壁を形成する
ことにより切粉等を包囲して加工部位から飛散を防止す
るようにしたので、従来の技術に見られるようにスリッ
ト流が持つ変動速度成分により液膜が不安定になって風
などの僅かな外乱やスリット口に切粉が詰まることによ
り破断することもなく、勢いが強く安定した液膜の厚い
液膜壁が形成でき、外部へ飛散しようとする切粉等は高
速流下するクーラントにより捕捉されやすくなる。さら
に、液膜壁を形成する方向がテーブル面に垂直な方向に
限定されることなく、液体の噴出口と被加工物の距離が
大きくなっても安定した液膜壁が形成でき、工具と被加
工物を包囲し切削加工中に発生する切粉、粉塵、ガス或
いはオイルミストを筒状液膜壁内に閉じ込めて外部に飛
散することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粉塵飛散防止装置をスピンドルヘッド
に取付けた状態図
【図2】スピンドルヘッドに取付られた粉塵飛散防止装
置の断面図
【図3】外郭環状部材と略同心に設けられている環状部
材の外周面の一部を平面図で示した図
【図4】環状部材の外周面に設けられた複数の流路の関
係を説明するための要部拡大図
【符号の説明】
1 スピンドルヘッド 2 スピンドル 11 外郭環状部材 12 環状部材 12a 環状部材外周面 13a クリアランス調整部材内面 15 液室 17a、17b、17c 溝 18a、18b、18c 溝 B ベアリング C クーラント
フロントページの続き (72)発明者 堀井 清之 東京都目黒区上目黒五丁目8番15−501 号 (72)発明者 橋立 昭武 神奈川県横浜市緑区長津田町5289 株式 会社エム・シー・ソディック長津田事業 所内 (56)参考文献 特開 平7−156038(JP,A) 特開 平7−51981(JP,A) 実開 平4−19741(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 11/00 B23Q 11/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具と被加工物を包囲するよう液体バリ
    ヤを形成して前記工具で被加工物を加工する際に発生す
    る切粉等の飛散を防止する粉塵飛散防止方法において、
    工具保持ヘッドの下端位置に外郭環状部材と環状部材の
    対向面間で設けられた環状のスリット口から液体を流出
    させてスリット流を形成すると共に、前記外郭環状部材
    および/または環状部材の周面の複数の溝流路を通して
    液体の流れ方向の乱れ成分を周方向の周期的振動成分に
    変換される液流を形成し、前記スリット流の液膜に、前
    乱れ成分を周期的振動成分に変換した液流を重畳し、
    該スリット流の変動速度成分エネルギーを前記液流の周
    期的振動成分エネルギーに変換して被加工物方向に液膜
    壁を形成することにより液体バリヤを形成することを特
    徴とする粉塵飛散防止方法。
  2. 【請求項2】 工具と被加工物を包囲するよう液体バリ
    ヤを形成して前記工具で被加工物を加工する際に発生す
    る切粉等の飛散を防止する粉塵飛散防止装置において、
    主軸の下端位置に取り付けられ、液体供給装置から供給
    された液体を主軸と略平行な方向に被加工物に向けて誘
    導する環状の外郭環状部材と、前記外郭環状部材と略同
    心的に設けられ、前記外郭環状部材内面との間に所定の
    間隙を隔てて外周面が対向するように配置された環状部
    材とを有し、外郭環状部材と環状部材の対向面間にスリ
    ット流を形成するスリット口を有すると共に外郭環状部
    材又は環状部材の対向面の少なくとも一方の面に乱れ
    成分を周期的振動成分に変換する溝流路の配列されたネ
    ットワーク構造を備え、該溝流路は交差路で2つの液流
    を合流させる2つの溝流路を1組とする複数組の溝流路
    を有し、前記2つの溝を流れる液体が出口部で合流し
    乱れ成分を周期的振動成分に変換した液流を形成し、前
    記スリット流の液膜に前記液流を重畳し、これによっ
    て、該スリット流の変動速度成分エネルギーを前記液流
    の周期的振動成分エネルギーに変換して被加工物方向に
    液膜壁を形成することにより液体バリヤを形成すること
    を特徴とする粉塵飛散防止装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、ネットワーク構造の
    溝流路は液膜壁形成方向の線に対して線対称の角度をな
    す網目構造の溝流路として形成され、該溝流路は交差路
    で2つの液流を合流させる2つの溝流路を1組とする複
    数組の溝流路を有し、前記2つの溝を流れる液体が出口
    部で合流して乱れ成分を周期的振動成分に変換した液流
    を形成し、前記スリット流の液膜に前記液流を重畳し、
    液体バリヤを形成ることを特徴とする粉塵飛散防止装
    置。
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