JP3517887B2 - 車両用能動型騒音制御装置 - Google Patents

車両用能動型騒音制御装置

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JP3517887B2
JP3517887B2 JP23223092A JP23223092A JP3517887B2 JP 3517887 B2 JP3517887 B2 JP 3517887B2 JP 23223092 A JP23223092 A JP 23223092A JP 23223092 A JP23223092 A JP 23223092A JP 3517887 B2 JP3517887 B2 JP 3517887B2
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、騒音源から車室内に
伝達される騒音に制御音源から発せられる制御音を干渉
させることにより騒音の低減を図る車両用能動型騒音制
御装置に関し、特に、周期的な騒音を発する騒音源から
伝達される騒音の低減を図る能動型騒音制御装置におい
て、演算量が低減され、高速での処理が可能となるよう
にしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来の能動型騒音制御装置として、英国
特許第2149614号や特表平1−501344号に
記載のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室
やこれに類する閉空間に適用される騒音低減装置であっ
て、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音源
は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む騒
音を発生するという条件の下において作動するものであ
る。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0
n 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANSELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変のディジタルフィルタのフィ
ルタ係数を更新している。
【0006】しかし、このような従来の能動型騒音制御
装置にあっては、騒音の発生状態を表す基準信号を例え
ば正弦波のような連続信号として取り込んでいるため、
基準信号と伝達関数フィルタとの畳み込み演算並びに基
準信号と適応ディジタルフィルタとの畳み込み演算の際
に、その連続信号を所定間隔でサンプリングしてなる数
列の各値と、伝達関数フィルタ及び適応ディジタルフィ
ルタの各フィルタ係数とを積算し、その積算の結果をさ
らに加算しなければならないので、計算量が多大になっ
てしまうという不具合がある。
【0007】かかる不具合に対処する従来の技術とし
て、“日本音響学会講演論文集 平成4年3月”の51
5〜516頁に記載された能動型騒音制御装置があり、
この装置では、騒音の発生状態を表す基準信号として正
弦波をわざわざ創出せずパルスをそのまま用いること
で、騒音の基本周波数に同期したインパルス列を適用す
ることにより、畳み込み演算の簡略化若しくは省略を図
っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】確かに、上記論文に記
載された従来の能動型騒音制御装置によれば、畳み込み
演算の簡略化が図られる結果、その分の演算量が低減さ
れて高速での処理が可能となるが、かかる能動型騒音制
御装置を車両の車室内のように発生している騒音の周期
が比較的広い範囲で変化するものに適用した場合、最も
周期の長い騒音が発生している状況においてもその周期
の全域に渡って制御音が発生するように、適応ディジタ
ルフィルタのタップ数をその周期の長い(低周波の)騒
音に基づいて設定する必要があるため、周期の短い(高
周波の)騒音が発生している状況においては、適応ディ
ジタルフィルタのフィルタ係数を更新する際に不要な演
算が行われていたことになる。
【0009】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、基準信
号を騒音に同期したインパルス列として取り込むことに
より畳み込み演算の簡略化を図るとともに、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新する際の不要な演算
を省くことにより、さらなる演算量の低減が図られる車
両用能動型騒音制御装置を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、周期的な騒音を発する騒音
源から騒音が伝達される車両の車室内に制御音を発生可
能な制御音源と、前記騒音源から発せられる騒音と同じ
周期のインパルス列でなる基準信号を生成する基準信号
生成手段と、前記車室内の所定位置における残留騒音を
検出する残留騒音検出手段と、前記制御音源及び前記残
留騒音検出手段間の伝達関数をモデル化した伝達関数フ
ィルタと、この伝達関数フィルタと前記基準信号とを畳
み込んで基準処理信号を生成する基準処理信号生成手段
と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前
記基準信号の最新のインパルスが生成された時点から所
定のサンプリング・クロックの間隔で前記適応ディジタ
ルフィルタのフィルタ係数を順番に前記制御音源を駆動
する信号として出力する駆動信号生成手段と、前記基準
処理信号及び前記残留騒音に基づいて前記車室内の騒音
が低減するように前記適応ディジタルフィルタの各フィ
ルタ係数のうち所定個数のフィルタ係数を更新する適応
処理手段と、を備え、前記適応処理手段は、前記基準信
号の周期及びその変化率に基づいて現在発生している前
記騒音の周期を予測し、前記適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数のうち、その予測された周期に応じた個数
のフィルタ係数を更新するようにした。
【0011】
【0012】上記目的を達成するために、請求項記載
の発明は、周期的な騒音を発する騒音源から騒音が伝達
される車両の車室内に制御音を発生可能な制御音源と、
前記騒音源から発せられる騒音と同じ周期のインパルス
列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、前記
車室内の所定位置における残留騒音を検出する残留騒音
検出手段と、前記制御音源及び前記残留騒音検出手段間
の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、この伝
達関数フィルタと前記基準信号とを畳み込んで基準処理
信号を生成する基準処理信号生成手段と、フィルタ係数
可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号の最新
のインパルスが生成された時点から所定のサンプリング
・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタのフィ
ルタ係数を順番に前記制御音源を駆動する信号として出
力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び前記
残留騒音に基づいて前記車室内の騒音が低減するように
前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数のうち所
定個数のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備
え、前記適応処理手段は、前記適応ディジタルフィルタ
のフィルタ係数のうち、現時点から一定回数の処理を実
行する間に駆動信号生成手段から制御音源を駆動する信
号として出力される一部のフィルタ係数を更新するよう
になっており、前記一定回数は、前記フィルタ係数を収
束させるのに必要な更新の回数とした。また、請求項3
記載の発明は、上記請求項1又は2の発明において、騒
音源がエンジンであり、基準信号生成手段は、前記エン
ジンの回転に基づいて基準信号を生成するものとした。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明にあっては、駆動信号生成
手段が、基準信号生成手段が生成した基準信号の最新の
インパルスが生成された時点から所定のサンプリング・
クロックの間隔で適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を順番に駆動信号として制御音源に出力するため、制
御音源からは、その適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数に対応した制御音が発生するが、制御開始直後は、
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数が最適な値に収
束しているとは限らないので、必ずしも車室内の騒音が
低減するとはいえない。
【0014】しかし、基準処理信号生成手段が伝達関数
フィルタと基準信号とを畳み込んで生成した基準処理信
号と、残留騒音検出手段が検出した残留騒音とに基づい
て、適応処理手段が、車室内の騒音が低減するように適
応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するので、
制御が進むにつれて適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数は最適値に収束していき、従って、制御音源から発
せられる制御音によって騒音が打ち消され、車室内の騒
音が低減する。
【0015】そして、基準信号生成手段が生成した基準
信号は、騒音源から発せられる騒音と同じ周期のインパ
ルス列であり、その基準信号を形成する個々のインパル
スに対する伝達関数フィルタの応答はインパルス応答で
あるから、その伝達関数フィルタの各フィルタ係数に一
致する。従って、基準処理信号生成手段においては、積
算は不要であり、フィルタ係数の加算のみで畳み込み演
算が行える。
【0016】そして、適応処理手段は、適応ディジタル
フィルタのフィルタ係数のうち、一定個数のフィルタ係
数のみを更新するため、全てのフィルタ係数を更新する
処理に比べて演算量が低減する。
【0017】そして、基準信号は車室内に伝達されてい
る騒音と同じ周期のインパルス列であるから、かかる基
準信号の周期に応じた個数のフィルタ係数を更新する
と、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数のうち、現
時点の騒音の一周期内において駆動信号生成手段が駆動
信号として出力するフィルタ係数だけが更新されること
になるので、不要な更新演算が省かれることになる。
【0018】しかし、基準信号の周期は、一つのインパ
ルスが生成されてから、次のインパルスが生成されるま
での間の時間から判るのであるから、厳密には、今現在
発生している騒音の周期を表すことにはならない。
【0019】そこで、請求項1記載の発明であっては、
基準信号の周期及びその変化率に基づいて現在発生して
いる騒音の周期を予測し、適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数のうち、その予測された期に応じた個数の
フィルタ係数を更新すると、騒音の周期が大きく変動す
る状況においても、更新されるフィルタ係数の個数がそ
の変動をも考慮されて決定されることになるから、更新
されるフィルタ係数の個数が現在の騒音の周期に対応し
なくなる可能性がなくなる。
【0020】一方、請求項記載の発明のように、現時
点から一定回数の処理を実行する間に駆動信号生成手段
から駆動信号として出力される一部のフィルタ係数が更
新されるということは、常に、これから先の処理で使用
する一定個数のフィルタ係数が更新されるということで
あるから、各フィルタ係数は、自己が使用される時点と
なるまでの間に一定回数だけ更新されることになる。従
って、かかる一定回数の更新処理によってフィルタ係数
が適宜収束するようにその一定個数を設定している本発
明であれば、制御精度を低下させることなく、更新演算
量が低減するようになる。
【0021】さらに、請求項記載の発明であれば、騒
音源としてのエンジンの回転に基づいて基準信号が生成
されるから、エンジン回転の次数成分に同期して発生す
る騒音、例えばレシプロ4気筒エンジンであれば、その
クランクの1/2回転に同期して発生するこもり音等が
低減されるようになる。
【0022】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、本発明の第1実施例の全体構成を示す
図であり、この実施例は、騒音源としてのエンジン4か
ら車室6内に伝達されるこもり音の低減を図る車両用能
動型騒音制御装置1に本発明を適用したものである。
【0023】先ず、構成を説明すると、車体3は、前輪
2a,2b,後輪2c,2d及び各車輪2a〜2dと車
体3との間に介在するサスペンションによって支持され
ている。なお、図1に示す車両は、前輪2a及び2bが
車体3前部に配置されたエンジン4によって回転駆動さ
れるいわゆる前置きエンジン前輪駆動車である。エンジ
ン4には、クランク角センサ5が取り付けられていて、
このクランク角センサ5は、エンジン4のクランク角の
回転に同期したクランク角信号Xをコントローラ10に
供給する。
【0024】また、車体3の車室6内には、制御音源と
してのラウドスピーカ7a,7b,7c及び7dが、前
部座席S1 ,S2 及び後部座席S3 ,S4 のそれぞれに
対向するドア部に配置されている。さらに、各座席S1
〜S4 のヘッドレスト位置には、残留騒音検出手段とし
てのマイクロフォン8a〜8hが、それぞれ二つずつ配
設されていて、これらマイクロフォン8a〜8hが音圧
として測定した残留騒音信号e1 〜e8 が、コントロー
ラ10に供給される。
【0025】そして、コントローラ10は、マイクロコ
ンピュータや必要なインタフェース回路等を含んで構成
されていて、クランク角センサ5から供給されるクラン
ク角信号Xと、マイクロフォン8a〜8hから供給され
る残留騒音信号e1 〜e8 とに基づいて、後述する演算
処理を実行し、車室6内に伝達されるこもり音を打ち消
すような制御音がラウドスピーカ7a〜7dから発せら
れるように、それらラウドスピーカ7a〜7dに駆動信
号y1 〜y4 を出力する。
【0026】図2は、コントローラ10の機能構成を示
すブロック図であって、このコントローラ10は、クラ
ンク角信号Xに基づき、こもり音の原因となるエンジン
4で発生する振動と同じ周期のインパルス列(例えば、
レシプロ4気筒の場合は、180度回転する度に一つの
インパルス)でなる基準信号xを生成し出力する基準信
号生成部11と、基準信号xの各インパルスの間隔に基
づき、こもり音の原因となるエンジン4で発生する振動
の周期Nを判断し出力する周期判断部12と、を有して
いる。
【0027】さらに、コントローラ10は、ラウドスピ
ーカ7a〜7dに対応した個数(M個:本実施例では、
M=4)の適応ディジタルフィルタWm (m=1〜M)
の各フィルタ係数Wmiを、基準信号xの最新のインパル
スが生成された時点から所定のサンプリング・クロック
の間隔で順番に駆動信号ym として出力する駆動信号生
成部13と、各ラウドスピーカ7a〜7d及びマイクロ
フォン8a〜8h間の伝達関数を有限インパルス応答関
数の形でモデル化した伝達関数フィルタC^lm(l=1
〜L:Lはマイクロフォン8a〜8hの個数であり、本
実施例ではL=8)と基準信号xとを畳み込んで基準処
理信号rlmを生成し出力する基準処理信号生成部14
と、周期Nに基づいて基準処理信号生成部14内の伝達
関数フィルタC^lmを設定する伝達関数フィルタ記憶部
15と、基準処理信号rlmを一旦記憶するrレジスタ1
6と、基準処理信号rlm及び残留騒音信号e1 〜e8
基づいて車室6内のこもり音が低減するように駆動信号
生成部13内の適応ディジタルフィルタWm の各フィル
タ係数Wmiを更新する適応処理部17と、を有してい
る。
【0028】なお、本実施例では、適応処理部17は、
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するのに
好適なアルゴリズムの一つであるLMSアルゴリズムに
基づいて、適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係
数Wmiのうち、周期Nに応じた個数のフィルタ係数Wm0
〜WmNを更新する。図3及び図4は、コントローラ10
内で実行される処理の概要を示したフローチャートであ
って、図3は、基準信号x(一つのインパルス)が生成
される度に実効される割り込み処理を示し、図4は、コ
ントローラ10が駆動信号ym を出力するタイミングで
実行される割り込み処理を示している。
【0029】即ち、基準信号xが生成されると、図3の
割り込み処理が開始され、先ず、そのステップ001で
他の割り込み処理を禁止状態とし、次いでステップ00
2に移行する。ステップ002では、騒音の周期Nの過
去の値を記憶する周期情報N(P)〜N(1)(図5
(a),図6(a)参照)を、下記の(1)式に従って
シフトし、最新情報を取り込むようにする。 さらに、ステップ003に移行し、伝達関数フィルタC
lmの過去の値を記憶しているフィルタ情報C^
lm(P)〜C^lm(1)(図6(b),(c)参照)
を、下記の(2)式に従って同じく最新情報にシフトす
る。
【0030】 なお、周期情報N(p)及びフィルタ情報C^lm(p)
に付されている( )内の数字は、現在の処理に対して
いくつ前の処理において設定した周期N又は伝達関数フ
ィルタC^lmであるかを表している。
【0031】次いで、ステップ004に移行し、最新の
騒音の周期Nを、周期情報N(0)として記憶する。な
お、この騒音の周期Nは、具体的には、後述する図4の
ステップ116で設定されるカウンタkの最新の値を用
いている。そして、ステップ005に移行してカウンタ
iをクリアし、ステップ006に移行して、下記の
(3)式の判定を行う。
【0032】 N(0)<T(i) ……(3) ステップ006の判定が「YES」の場合には、ステッ
プ007に移行し、カウンタiをインクリメントして、
再びステップ006に移行して上記(3)式の判定を行
う。ここで、ステップ006の判定で使用するT(i)
は、周期Nが取り得る範囲を所定段階に分割した各段階
の値である。従って、上記(3)式の判定をステップ0
06,007のループにてi=1から順次行うことによ
り、ステップ006の判定が「NO」となった時点で、
最新の周期情報N(0)に記憶されている周期が、どの
程度の長さであるかが判明することになる。
【0033】そこで、ステップ006の判定が「NO」
となったら、ステップ008に移行し、下記の(4)式
に従ってフィルタ情報C^lm(0)を設定する。 C^lm(0)=C^mem.lm(i) ……(4) 即ち、上記(4)式のC^mem.lm(i)は、周期Nの長
さに対応して予め設定し記憶している伝達関数フィルタ
であって、周期Nに対して長すぎることのないフィルタ
長を有するフィルタである。
【0034】つまり、本実施例では、周期Nに対して長
すぎることのないように、伝達関数フィルタC^lmが設
定されることになる。そして、ステップ009に移行し
て図4に示す処理で使用するカウンタkをクリアし、ス
テップ010に移行して割り込み禁止状態を解除した
ら、今回のこの図3に示す処理を終了する。
【0035】一方、駆動信号ym を出力するタイミング
となると(即ち、サンプリング・クロックごとに)、図
4に示す割り込み処理が実行され、先ず、そのステップ
101で他の割り込み処理を禁止状態とし、次いでステ
ップ102に移行する。ステップ102では、駆動信号
m の値を、下記の(5)式に従って初期設定する。
【0036】 ym =Wmk ……(5) ここで、Wmkは適応ディジタルフィルタWm のk番目の
フィルタ係数である。従って、このステップ102で設
定される駆動信号ym の初期設定値は、直前のインパル
ス入力に対する適応ディジタルフィルタWm の現時点k
における応答である。また、このカウンタkは、図3の
割り込み処理のステップ009でクリアされるため、基
準信号x(n)が生成された時点で0にセットされ、そ
の時点から図4の割り込み処理を何回実行したかを表す
ことになる(図5(a),図6(a)参照)。
【0037】そして、ステップ103に移行し、上記ス
テップ102で設定された駆動信号ym を出力する。次
いで、ステップ104に移行して残留騒音信号e1 〜e
8 を読み込み、ステップ105に移行して、過去の処理
で求められた基準処理信号rlmを記憶しているレジスタ
lm(I)〜rlm(1)を下記の(6)式に従ってシフ
トする。
【0038】 そして、ステップ106に移行し、レジスタrlm(0)
を、下記の(7)式に従って初期設定する。
【0039】 rlm(0)=C^lmk (0) ……(7) ここで、C^lmk (0)は、図3の割り込み処理のステ
ップ008で設定された最新の伝達関数フィルタC^lm
(0)のk番目のフィルタ係数であり、直前のインパル
ス入力に対する伝達関数フィルタフィルタC^lm(0)
の現時点kにおける応答である。
【0040】そして、ステップ107に移行してカウン
タuを1にセットし、次いでステップ108に移行し
て、下記の(8)式の判定を行う。 len(C^lm(u))は、u個前のインパルス入力に
対する伝達関数フィルタC^lm(u)のフィルタ長(タ
ップ数)であり、従って、このステップ108の判定が
「YES」の場合は、u個前のインパルス入力に対する
伝達関数フィルタC^lm(u)の応答が現時点まで続い
ていると判断でき、逆に、このステップ108の判定が
「NO」の場合は、既に消滅していると判断できる。
【0041】そこで、ステップ108の判定が「YE
S」の場合は、ステップ109に移行し、下記の(9)
式に従ってレジスタrlm(0)を累算する。 rlm(0)=rlm(0)+C^lmq (u) ……(9) ただし、 である。
【0042】ここで、C^lmq (u)はu個前のインパ
ルス入力に対する伝達関数フィルタC^lm(u)の応答
である。そして、ステップ109の累算を行ったら、ス
テップ110に移行してカウンタuをインクリメント
し、再びステップ108に戻って、ステップ108の判
定が「NO」となるまで上記処理を繰り返し実行する。
【0043】ステップ108の判定が「NO」となった
場合は、その時点からu個前のインパルス入力に対する
適応ディジタルフィルタWm の応答は現時点まで継続し
ないと判断できるから、駆動信号生成部14における畳
み込み演算は完了したものとし、ステップ111に移行
する。そして、ステップ111では、LMSアルゴリズ
ムに基づいた下記の(10)式に従って、各適応ディジタ
ルフィルタWm のフィルタ係数Wmiを更新する。ただ
し、ここで更新するフィルタ係数Wmiの個数は、最新の
騒音の周期N(0)に対応する個数のフィルタ係数Wm0
〜WmN(0) だけである。
【0044】 なお、αは収束係数と呼ばれる係数であって、フィルタ
が最適に収束する速度やその安定性に関与する。
【0045】ステップ111におけるフィルタ係数Wmi
の更新が完了したら、ステップ112に移行してカウン
タkをインクリメントし、ステップ113に移行して割
り込み禁止状態を解除した後、今回のこの図4に示す割
り込み処理を終了する。次に、本実施例の作用効果を説
明する。エンジン4の振動は、フレーム等を伝わって車
室6内にこもり音となって放射される。一方、クランク
角センサ5からコントローラ10にクランク角信号Xが
供給されると、基準信号生成部11がそのクランク角信
号Xに基づいて、エンジン4の駆動に起因して車室6内
に発生するこもり音の周期と同じ周期のインパルス列で
なる基準信号xを生成し出力する。
【0046】そして、駆動信号生成部13が、基準信号
xの最新のインパルスが生成された時点(k=0)から
サンプリング・クロックの間隔で、適応ディジタルフィ
ルタW1 〜W4 のフィルタ係数W1i〜W4iを、駆動信号
1 〜y4 として順番にラウドスピーカ7a〜7dに供
給する。すると、ラウドスピーカ7a〜7dから車室6
内に制御音が発生するが、制御開始直後は適応ディジタ
ルフィルタWm の各フィルタ係数Wmiが最適な値に収束
しているとは限らないので、必ずしも車室6内に伝達さ
れたこもり音が低減されるとはいえない。
【0047】しかし、基準信号xを伝達関数フィルタC
lmで処理した基準処理信号rlmが適応処理部17に供
給されるとともに、マイクロフォン8a〜8hが出力し
た車室6内の残留騒音e1 〜e8 が適応処理部17に供
給されると、LMSアルゴリズムに基づいた上記(10)
式に従って適応ディジタルフィルタWm の各フィルタ係
数Wmiが更新されていくため、それらフィルタ係数Wmi
は最適値に向かって収束していく。
【0048】この結果、車室6内に伝達されるこもり音
がラウドスピーカ7a〜7dから発せられる制御音によ
って打ち消され、車室6内の騒音の低減が図られる。そ
して、基準信号生成部11から出力される基準信号x
は、図5(a)に示すように騒音の周期Nと同じ周期の
インパルス列であるため、個々の基準信号xに対する適
応ディジタルフィルタWm の応答は、図5(b)に示す
ようにその適応ディジタルフィルタWm のフィルタ係数
miに等しい。
【0049】従って、図4のステップ102で駆動信号
m を現時点kに対応するフィルタ係数Wmiに設定し、
これをステップ103で出力する処理を実行しても、実
質的には、基準信号xと適応ディジタルフィルタWm
の畳み込みの結果を駆動信号ym として出力することと
等価である。ただし、基準信号xをインパルス列とした
ため、適応ディジタルフィルタWmのフィルタ長が短い
(タップ数が少ない)と、騒音の周期Nが長くなった際
に周期の後半で駆動信号ym が生成されないということ
が考えられるので、その適応ディジタルフィルタWm
フィルタ長は適度に長く設定する必要がある。しかし、
後述するように、適応ディジタルフィルタWm のフィル
タ係数Wmiの更新を騒音の周期Nに応じた個数に限って
いるため、フィルタ長を長くしたことによる不具合はな
い。
【0050】また、基準信号xと伝達関数フィルタC^
lmとの畳み込み演算にあっても、基準信号xが図6
(a)に示すように騒音の周期Nと同じ周期のインパル
ス列であるから、個々の基準信号に対する伝達関数フィ
ルタC^lmの応答は、図6(b)又は(c)に示すよう
に、それら伝達関数フィルタC^lm(p)のフィルタ係
数C^lmj (p)に等しい。
【0051】従って、図4のステップ106〜110の
処理によって、現時点nまで継続している各伝達関数フ
ィルタC^lm(p)の応答であるサンプリング時刻kに
おける各フィルタ係数C^lmk (p)を累算するだけ
で、基準信号xと伝達関数フィルタC^lmとの畳み込み
演算を行えることになる。このように、本実施例の構成
であれば、駆動信号ym の生成を適応ディジタルフィル
タWm のフィルタ係数Wmiの読み出しで行えるととも
に、基準信号xと伝達関数フィルタC^lmとの畳み込み
演算を加算のみで行えるため、畳み込み演算に積算及び
加算が必要であった従来の装置と比較して極めて少ない
演算量で済み、騒音低減処理全体の処理速度の向上を図
ることができる。
【0052】例えば、騒音の発生状態を表す信号をその
まま基準信号として取り込む従来の装置にあっては、そ
の基準信号のサンプリング・クロックを1kHz(サン
プリング周期1msec)、伝達関数フィルタC^lmのフィ
ルタ長(タップ数J)を20タップ、チャンネル数(L
×M)を8(L=4,M=2)、適応ディジタルフィル
タWm のフィルタ長(タップ数I)を6とした場合、伝
達関数フィルタC^lmと基準信号との畳み込み演算に
は、 J×L×M=20×4×2=160 回の演算が必要である。また、適応ディジタルフィルタ
m と基準信号との畳み込み演算には、 I×M=6×2=12 回の演算が必要である。従って、畳み込み演算に必要な
総演算回数は、 160+12=172 となる。
【0053】一方、本実施例の構成であれば、例えば、
エンジン4が直列4気筒であって、エンジン回転数が1
500rpmであれば、騒音の周期は20msecであるか
ら、1msec毎に20回の和積演算からなる畳み込み演算
を行う従来の装置に比べて伝達関数フィルタC^lmと基
準信号xとの畳み込み演算は1/20になり、 J×L×M/20=8 となる。
【0054】また、エンジン回転数が1500rpmで
あっても1周期内の全域で制御音が発生するように、適
応ディジタルフィルタWm のタップ数は、騒音の周期2
0msecをサンプリング・クロックの間隔(図4の割り込
み処理を実行する間隔)1msecで割った20とする必要
があるが、適応ディジタルフィルタWm のタップ数を2
0としても、駆動信号ym の生成は適応ディジタルフィ
ルタWm のフィルタ係数Wmiを読み出すだけで済み、従
って、その演算量はラウドスピーカ数Mに等しい2とな
る。
【0055】つまり、本実施例の構成でエンジン回転数
が1500rpmの場合に畳み込み演算に必要な総計算
量は、 8+2=10 となり、従来の演算量に比較して約1/17になる。ま
た、エンジン回転数が4500rpmであれば、騒音の
周期は約6.7msecとなることから、1msec毎に20回の
和積演算からなる畳み込み演算を行う従来の装置に比べ
て伝達関数フィルタC^lmと基準信号xとの畳み込み演
算は1/6.7になり、 J×L×M/6.7≒24 となる。
【0056】そして、駆動信号ym の生成は、適応ディ
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiを読み出すだけ
あるから、やはりその演算量はラウドスピーカ数Mに等
しい2である。つまり、本実施例の構成でエンジン回転
数が4500rpmの場合に畳み込み演算に必要な総計
算量は、 24+2=26 となり、従来の演算量に比較して1/6以下になる。
【0057】また、エンジン回転数が7500rpmで
あれば、騒音の周期は4msecとなることから、1msec毎
に20回の和積演算からなる畳み込み演算を行う従来の
装置に比べて伝達関数フィルタC^lmと基準信号xとの
畳み込み演算は1/4になり、 J×L×M/4=40 となる。
【0058】そして、駆動信号ym の生成は、適応ディ
ジタルフィルタWm のフィルタ係数Wmiを読み出すだけ
あるから、やはりその演算量はラウドスピーカ数Mに等
しい2である。つまり、本実施例の構成でエンジン回転
数が7500rpmの場合に畳み込み演算に必要な総計
算量は、 40+2=42 となり、従来の演算量に比較して1/4以下になる。
【0059】このように、本実施例の構成であれば、通
常の走行域全体において、従来の装置に比較して少ない
演算量で騒音低減処理を実行することができる。ここ
で、基準信号xと伝達関数フィルタC^lmとの畳み込み
演算に必要な計算量は、上記計算例からも明らかなよう
に、騒音の周期Nが短くなるに従って増加する傾向にあ
る。
【0060】これは、図7(a)に示すように騒音の周
期Nが短くなると、畳み込み演算に必要な伝達関数フィ
ルタC^lmを図7(b)〜(f)に示すように比較的遠
い過去の情報まで考慮しなければならなくなるからであ
る。そこで、本実施例では、図3の割り込み処理のステ
ップ005〜007で騒音の周期Nの大きさを判定し、
その周期Nの大きさに従ってステップ008で伝達関数
フィルタC^lm(0)を設定することにより、周期Nが
短くなった際でも演算量が極端に増加することを防止し
ている。
【0061】即ち、ラウドスピーカ及びマイクロフォン
間の音響伝達特性を正確に表した伝達関数フィルタC^
が図8(a)に示すようなものであった場合、本来なら
ばその伝達関数フィルタC^を常に使用しなければなら
ないのであるが、その伝達関数フィルタC^の周波数特
性(図8(b)参照)の内、周波数fa 〜fb で挟まれ
た帯域の特性と、図8(c)に示すようなタップ数の少
ない伝達関数フィルタC^’の周波数特性(図8(d)
参照)の内、周波数fa 〜fb で挟まれた帯域の特性と
が一致し、且つ、その周波数帯域fa 〜fb 内にその時
の騒音の周波数が存在すれば、伝達関数フィルタC^に
代えてC^’を使用しても、同等の騒音低減制御が行え
るのである。
【0062】つまり、ステップ008において、周期N
に対して長過ぎない図8(c)に示すような伝達関数フ
ィルタC^’を設定するようにすれば、制御特性を劣化
させることなく、畳み込み演算に必要な伝達関数フィル
タC^lmを図7(b)〜(f)に示すように比較的遠い
過去の情報まで考慮しなくても済むようになり、周期N
が短くなった際でも演算量が極端に増加することを防止
することができるのである。
【0063】さらに、本実施例にあっては、図4のステ
ップ111における適応ディジタルフィルタWm のフィ
ルタ係数 miの更新個数を、上記(10)式で説明したよ
うに、騒音の周期N(0)に対応した個数に限っている
ため、例えば、騒音の周期Nが比較的長い状況において
は、図9に示すように、更新するフィルタ係数の個数は
比較的多くなるが、騒音の周期Nが比較的短い状況にお
いては、図10に示すように、更新するフィルタ係数の
個数は比較的少なくなる。
【0064】つまり、本実施例では、適応ディジタルフ
ィルタWm のフィルタ係数Wmiのうち、騒音の一周期内
において駆動信号ym として出力されるフィルタ係数W
m0〜WmN(0) だけが更新される、言い換えれば、駆動信
号ym として出力されないフィルタ係数Wm(N(0)+1)
mIについては更新されないことになるから、不要な更
新演算が省かれることになる。
【0065】このように、本実施例の構成であれば、コ
ントローラ10内における演算量が極めて少なくて済む
から、高速での騒音低減処理が可能となり、演算速度の
速い高価なディジタル信号処理装置等を適用しなくても
十分実現が可能である。ここで、本実施例では、クラン
ク角センサ5及び基準信号生成部11によって基準信号
生成手段が構成され、基準処理信号生成部14及びステ
ップ106〜110の処理によって基準処理信号生成手
段が構成され、駆動信号生成部13及びステップ102
〜106の処理によって駆動信号生成手段が構成され、
適応処理部17及びステップ111の処理(上記(10)
式)によって適応処理手段が構成される。
【0066】図11は、本発明の第2実施例を説明する
図である。なお、基本的な構成は上記第1実施例と同様
であるため、その図示及び説明は省略する。ここで、上
記第1実施例では、騒音の周期N(0)に応じた個数の
フィルタ係数を更新することとしているが、かかる騒音
の周期N(0)は、図5(a),図6(a)からも判る
ように、基準信号xの最新のインパルスとその一つ前に
生成されたインパルスとの間の間隔に基づいて設定され
るため、厳密には、今現在発生している騒音の周期には
一致しない。
【0067】従って、騒音の周期が変動しない例えばエ
ンジン回転数が一定の状況等においては特に不具合はな
いが、騒音の周期が大きく変動している状況において
は、更新されるフィルタ係数の個数が現在の騒音の周期
に対応せず、例えば、騒音の周期に比して更新されるフ
ィルタ係数の個数が少なくなり、周期の最後付近では更
新されていないフィルタ係数が駆動信号ym として出力
されてしまうおそれや、或いは、不要な更新演算を行っ
てしまうおそれがある。
【0068】そこで、本実施例では、基準信号xの周期
のみならず、その変化状況にも基づいて更新するフィル
タ係数の個数を決定することにより、上記不具合に対処
することとした。具体的には、図11に示すように、基
準信号xの最新のインパルスが生成された時刻nにおい
て、下記の(11)式に基づき現在発生している騒音の周
期N(0)を予測し、その予測された周期N(0)に基
づいて、上記(10)式の更新処理を行うこととする。
【0069】 N(0)=N(1)+(N(1)−N(2)) ……(11) ただし、N(1)は、基準信号xの最新のインパルスと
その一つ前に生成されたインパルスとの間の間隔であ
り、N(2)は、一つ前に生成されたインパルスとさら
にその一つ前に生成されたインパルスとの間の間隔であ
る。この結果、例えばエンジン回転数が急激に変化する
シフトダウン時や空吹かし時等であっても、更新される
フィルタ係数の個数が現在の騒音の周期に対応するよう
になり、上述した騒音の周期に比して更新されるフィル
タ係数の個数が少なくなる等の不具合が解決される。
【0070】図12は、本発明の第3実施例を説明する
図である。なお、基本的な構成は上記第1実施例と同様
であるため、その図示及び説明は省略する。即ち、上記
第1又は第2実施例では、基準信号xの間隔に応じて更
新するフィルタ係数の個数を決定しているが、本実施例
では、図12に示すように、現サンプリング時刻kから
一定回数Qの処理を実行する間に駆動信号ym として出
力されるフィルタ係数Wm(k+1)〜Wm(k+Q)を更新するこ
ととしている。
【0071】つまり、本実施例であれば、常にこれから
先の処理で使用するQ個のフィルタ係数が更新されるこ
とになるから、各フィルタ係数は、自己が使用される時
点となるまでの間にQ回だけ更新されることになる。従
って、かかるQ回の更新処理によってフィルタ係数が適
宜収束するようにその回数Qを設定すれば、制御精度を
低下させることなく、演算量が低減するようになる。
【0072】そして、更新されるフィルタ係数の個数
は、適応ディジタルフィルタWm のタップ長Iや騒音の
周期Nに関係なく一定個数であるから、騒音の周期Nが
比較的長い状況においても周期の全域に渡って制御音が
発生するようにそのタップ数Iを設定しても、更新に要
する演算量は一定であり、従って、更新時の演算負荷を
低く抑えることができる。
【0073】なお、上記各実施例では、本発明に係る車
両用能動型騒音制御装置を、車両のエンジンから車室内
に伝達されるこもり音の低減を図る装置に適用した場合
について説明したが、本発明によって低減可能な騒音
は、これに限定されるものではなく、周期的な騒音を発
生するものであり、且つ、その騒音と同じ周期のインパ
ルス列でなる基準信号を生成できるものであれば、適用
可能であることは勿論である。
【0074】例えば、トランスミッションで発生する騒
音の低減するのであれば、そのトランスミッションのシ
ャフトの回転信号及びギア位置に基づいて基準信号を生
成すればよいし、終減速装置で発生する騒音を低減する
のであれば、その終減速装置の回転信号及びギア位置に
基づいて基準信号を生成すればよいし、ドライブ・シャ
フトで発生する騒音の低減するのであれば、そのドライ
ブ・シャフト回転信号に基づいて基準信号を生成すれば
よいし、プロペラ・シャフトで発生する騒音の低減する
のであれば、そのプロペラ・シャフト回転信号に基づい
て基準信号を生成すればよいし、エアコンディショナの
コンプレッサで発生する騒音を低減するのであれば、そ
のコンプレッサの回転信号に基づいて基準信号を生成す
ればよいし、ラジエータのファンから発生する騒音を低
減するのであれば、そのファンの回転信号に基づいて基
準信号を生成すればよいし、過給器で発生する騒音を低
減するのであれば、その過給器の回転信号に基づいて基
準信号を生成すればよいし、ウォータ・ポンプやオイル
・ポンプで発生する騒音を低減するのであれば、そのポ
ンプの回転信号に基づいて基準信号を生成すればよい
し、オルタネータで発生する騒音を低減するのであれ
ば、そのオルタネータの回転信号に基づいて基準信号を
生成すればよいし、車輪の回転に伴って発生する騒音を
低減するのであれば、その車輪の回転信号に基づいて基
準信号を生成すればよい。
【0075】また、上記各実施例では、エンジン4で発
生するこもり音に相関のある基準信号xを、クランク角
信号Xに基づいて生成しているが、これに限定されるも
のではなく、例えば、エンジン4での燃焼に同期して基
準信号を生成してもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
騒音源から発せられる騒音と同じ周期のインパルス列を
基準信号とするとともに、適応ディジタルフィルタのフ
ィルタ係数のうち必要なフィルタ係数のみを更新する構
成としたため、騒音低減効果を低下させることなく、演
算量が少なくなって、処理の高速化が図られるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構成図である。
【図2】コントローラの機能構成を示すブロック図であ
る。
【図3】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図4】コントローラ内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである。
【図5】適応ディジタルフィルタと基準信号との関係を
示す図である。
【図6】伝達関数フィルタと基準信号との畳み込み演算
の説明図である。
【図7】騒音の周期が短くなった場合の不具合を説明す
る図である。
【図8】騒音の周期が短くなった場合の不具合の解決策
を説明する図である。
【図9】騒音の周期が長い場合に更新するフィルタ係数
の個数を示す図である。
【図10】騒音の周期が短い場合に更新するフィルタ係
数の個数を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例の説明図である。
【図12】本発明の第3実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 車両用能動型騒音制御装置 4 エンジン(騒音源) 5 クランク角センサ 6 車室 7a〜7d ラウドスピーカ(制御音源) 8a〜8h マイクロフォン(残留騒音検出手段) 10 コントローラ 11 基準信号生成部 12 周期判断部 13 駆動信号生成部 14 基準処理信号生成部 15 伝達関数フィルタ記憶部 16 rレジスタ 17 適応処理部
フロントページの続き (72)発明者 村岡 健一郎 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (72)発明者 浜辺 勉 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−203406(JP,A) 特開 平5−249985(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10K 11/178 B60R 11/02 H03H 17/00 - 21/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期的な騒音を発する騒音源から騒音が
    伝達される車両の車室内に制御音を発生可能な制御音源
    と、前記騒音源から発せられる騒音と同じ周期のインパ
    ルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、
    前記車室内の所定位置における残留騒音を検出する残留
    騒音検出手段と、前記制御音源及び前記残留騒音検出手
    段間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、こ
    の伝達関数フィルタと前記基準信号とを畳み込んで基準
    処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号の
    最新のインパルスが生成された時点から所定のサンプリ
    ング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタの
    フィルタ係数を順番に前記制御音源を駆動する信号とし
    て出力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び
    前記残留騒音に基づいて前記車室内の騒音が低減するよ
    うに前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数のう
    ち所定個数のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
    を備え 前記適応処理手段は、前記基準信号の周期及びその変化
    率に基づいて現在発生している前記騒音の周期を予測
    し、前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数のう
    ち、その予測された周期に応じた個数のフィルタ係数を
    更新する ことを特徴とする車両用能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 周期的な騒音を発する騒音源から騒音が
    伝達される車両の車室内に制御音を発生可能な制御音源
    と、前記騒音源から発せられる騒音と同じ周期のインパ
    ルス列でなる基準信号を生成する基準信号生成手段と、
    前記車室内の所定位置における残留騒音を検出する残留
    騒音検出手段と、前記制御音源及び前記残留騒音検出手
    段間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、こ
    の伝達関数フィルタと前記基準信号とを畳み込んで基準
    処理信号を生成する基準処理信号生成手段と、フィルタ
    係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号の
    最新のインパルスが生成された時点から所定のサンプリ
    ング・クロックの間隔で前記適応ディジタルフィルタの
    フィルタ係数を順番に前記制御音源を駆動する信号とし
    て出力する駆動信号生成手段と、前記基準処理信号及び
    前記残留騒音に基づいて前記車室内の騒音が低減するよ
    うに前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数のう
    ち所定個数のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
    を備え、 前記 適応処理手段は、前記適応ディジタルフィルタのフ
    ィルタ係数のうち、現時点から一定回数の処理を実行す
    る間に駆動信号生成手段から制御音源を駆動する信号と
    して出力される一部のフィルタ係数を更新するようにな
    っており、前記一定回数は、前記フィルタ係数を収束さ
    せるのに必要な更新の回数であることを特徴とする車両
    用能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 騒音源がエンジンであり、基準信号生成
    手段は、前記エンジンの回転に基づいて基準信号を生成
    する請求項1又は請求項2に記載の車両用能動型騒音制
    御装置。
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